2010年4月17日01:24

鈴木一坪裁判、県は土地強奪の理由主張できず

 4月15日、千葉地裁で鈴木幸司さん、いとさん夫妻の一坪共有地裁判の口頭弁論が開かれ、三里塚反対同盟と支援の労働者・学生が傍聴闘争を闘った。
 県はこの土地について成田国際物流事業の複合基地にするという思惑で造成・整備を行い、その後に成田空港会社(NAA)に譲渡する――これが裁判まで起こして土地強奪をたくらむ県の主張である。だが現実には大恐慌情勢の真っただ中でそんな大仰な計画はとうの昔に頓挫し、県とNAAとの譲渡契約すら交わされていない。「計画は破綻しているが土地はぶんどる」というこの恥知らずで悪らつな主張を、弁護団が鋭く徹底追及した。

 すると原告・千葉県の代理人弁護士は「被告は誤解している部分がある。NAAに譲渡するために共有関係の解消をしろと言っているわけではない」と述べた。「誤解? 何がどう誤解なのか」弁護団がたたみかけ、廷内も怒号で騒然となった。うろたえて口ごもる県側に対し、傍聴席から市東孝雄さんが「それなら譲渡しないということだな!」と一喝を浴びせた。
 裁判長は、現闘本部裁判で反動判決を出したあの仲戸川隆人だ。窮地に陥った県側にたびたび助け舟を出そうとするが、肝心の県の代理人が土地強奪の理由さえまともに主張できぬほど動揺している。次回期日を7月1日として閉廷を宣しようとした仲戸川裁判長に対し、怒りの声が最後までたたきつけられた。
 裁判所の控え室で総括が行われた。葉山岳夫弁護士を始め弁護団からは、「誤解」発言に表された県の動揺の背景には、日航の経営破綻と貨物輸送事業からの撤退に象徴される航空産業の衰退、成田空港の危機があることが指摘され、今後も追及の手を緩めることなく闘うことが明らかにされた。被告である鈴木いとさんは、「からだに気をつけながらこれからも闘います」との簡潔だが力強い決意表明を笑顔で行った。(写真)
 北原鉱治事務局長は、団結街道廃道化攻撃に対し5月16日に三里塚現地大闘争を闘うことを明らかにした。
 最後に行動提起として萩原進事務局次長が発言した。「5月20日から団結街道の管理権がNAAに移る。さらに第3誘導路については建設の認可手続きとして公聴会が開かれるだろう。われわれは現地における監視を強化し緊急動員体制を組んで、実力闘争をもって阻止行動を行う態勢を取る。そのために沖縄の闘いと日程として重なるがあえて5月16日、三里塚現地闘争を行う。沖縄と三里塚を一体のものとして闘いぬこう」
 この提起に全員が身を引き締めて決戦に臨む決意と意気込みを確認し、大きな拍手でこたえた。(TN)

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