2010年5月 2日22:49

オバマの移民弾圧にロサンゼルス、シカゴで10万人のデモ

 5月1日、全米各地で大きなデモが行われた。特に、ロサンゼルス、シカゴではそれぞれ10万人が結集した。4月23日アリゾナ州で成立した移民弾圧法に対する怒りで、2006年以来の大デモになった。シカゴでは、メーデーの準備過程でもアリゾナの新州法反対の座り込み闘争が行われた。
 (写真はロサンゼルスのデモ。写真下では十字架の形をしたプラカードに「オバマよ、これ以上移民を殺すな、合法化せよ」のスローガンが掲げられている)

 アリゾナの新州法は、「合理的な疑い」さえあれば、令状なしで誰にでも身分証明書を提示させる権限を警官に与えている。また「不法滞在者」をかくまったり、放置してはならない等の規定がある。つまり、「合理的な疑い」というあいまいな口実で、外国人らしく見える者はすべて身分証明書(運転免許、永住ビザ等)を求められるという、とんでもない人種差別法だ。また、住民に排外主義、密告を扇動するものだ。
 この州法に対して、オバマ政権は口先では「反対」している。だが、このアリゾナの排外主義立法をあおったのはオバマ自身だ。オバマは、大統領選挙で当選するとただちに、当時のアリゾナ州の知事、ジャネット・ナポリターノを国土安全保障省の長官に任命した。ナポリターノは、移民取締強硬派で有名な知事だった。彼女は、アメリカで初めてメキシコ国境に常時州兵部隊を配備し、また、長い国境沿いに莫大な費用を投じて監視装置付きのフェンスを建設している。「国境警備の軍事化」といわれる政策だ。
 ICE(移民関税局)は、国土安全保障省内の一局である。ナポリターノの監督下で、ICEは、就任直後の2月に3万人のハイチ人を強制送還した。そして、特に労働組合運動をしている職場への強制捜査を繰り返し、許可証をもっていない労働者を大量に逮捕した。全米にICEの収容所を建設した。2010年1月、ICEが発表した統計によれば、オバマ政権の最初の1年間は、ブッシュ政権のどの年よりも強制送還が多かったのだ。
 ICEの弾圧は、2006年のメーデー1000万人決起がアメリカ階級闘争全体を揺り動かしたことに対する大反動だ。だが、今年、この大弾圧を打ち破ってさらに強固な組織化が始まっている。(S)

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