COMMUNE 2000/07/01(No296 p48)

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No296号 2000年7月号〈2000年7月1日発行)

定価 315円(本体価格300円+税)

〈特集〉 ファシスト石原の4・9暴言弾劾

  □日帝の先兵として東京から戦争体制構築狙う
   ・9・3防災訓練=治安出動粉砕
   ・排外主義の扇動を居直る石原
   ・石原都知事と伸晃を共に倒せ

 □一貫した民族排外主義で石原と同盟する日共
   ・石原暴言に完全沈黙する不破
   ・安保承認し沖縄サミット推進
   ・福祉破壊する介護保険の手先
 ●資料/4・9自衛隊行事発言ほか

 にゅーず&レビュー
  南朝鮮・韓国/5・31対政府ゼネスト突入へ 室田順子

 5・13-15沖縄闘争

三里塚ドキュメント(4月)内外情勢(4月)日誌(3月)

羅針盤 総選挙決戦必勝へ

 総選挙本番に突入した。森自公政権と石原都政に真っ向から対決して闘う候補・長谷川英憲氏の勝利をめざす東京8区(杉並)の闘いは待ったなしの正念場に入った。小渕死去での同情票を集めようという自民党の小手先の戦術ではどうにもならないほど自民党支配の危機は深い。青木官房長官の「首相臨時代理」就任をめぐる疑惑、そして何よりも森首相の「神の国」発言や買春疑惑など、噴出する森内閣の問題点は、日帝の政治危機を一層深刻なものとしており、人民の自民党に対する怒りを広げ、内閣不支持率を急騰させている。この時、この森・自公政権は戦争に向かっての国家体制をつくるための政権であること、この戦争政治と真っ向から対決する候補を国会に送り出そうと訴えて闘うことが重要である。
 森首相の「日本は天皇を中心とする神の国であるぞということを国民の皆さんにしっかりと承知していただく」という発言は、誤解の余地なく皇国史観そのものであり、反憲法発言であり、天皇制イデオロギー攻撃をもって戦争国家化を進めるものである。即刻首相の座からたたき落とさなければならない。森は「陳謝するが撤回はしない」という態度をとる一方、その釈明で、少年犯罪について「人間の情操教育の中で、神様から頂いた命を大事にする」という趣旨だと言い訳している。今日の日本帝国主義社会の行き詰まりの表現である「17歳の犯罪」を、「日本は天皇を中心とする神の国」の思想で、道徳教育の強化や教育勅語の復活で解決しようとする攻撃こそ、一層反動的な社会を生み出すものであることは明白である。
 7月沖縄サミット粉砕闘争の突破口を開く、5月沖縄現地闘争が14日の森来沖阻止闘争と県民大会を中心に大きな高揚をかちとった。沖縄サミットは帝国主義の戦争会議であり、新しい米軍基地を沖縄に押しつけるための儀式である。日帝の沖縄差別政策はここまできているのだ。この道は沖縄戦の道だ。排外主義を振りかざして軍隊の奮起を促す4・9石原発言は、7・21沖縄サミットと同じ方向を目指しているものだ。沖縄サミットをいわば軍事的な厳戒体制のもとで開き、ガイドライン法の発動として強行しようとしていることと、朝鮮人・中国人に対する排外主義をあおって9・3陸海空3軍治安訓練を強行しようとする攻撃とはひとつのことである。沖縄人民を先頭に、本土−沖縄の怒りの総決起をかちとらなくてはならない。
 長谷川氏当選をかちとるということは、民主党、日本共産党を打倒し、自民党・石原伸晃を打倒するということである。民主党は代表の鳩山由紀夫が率先して憲法第9条の改悪を主張し、政調会長・菅直人が厚生大臣の時に介護保険を導入した。まさに第2自民党、ブルジョアジーのための政党である。日本共産党は、「日本改革論」の名のもとに、戦争国家体制づくりを容認し、介護保険を推進し、沖縄サミットに翼賛し、名護新基地建設反対闘争に敵対する、徹頭徹尾反革命的な政党である。彼らは民主党との連立政権を夢想して「暫定政権では安保廃棄を凍結する」などと言って転向路線を歩んできたが、新ガイドライン法の発動攻撃との闘いを放棄する形でそれを貫徹しているのだ。日本共産党スターリン主義は労働者人民の味方ではないことを徹底的に宣伝しなければならない。日共を打倒して長谷川勝利を! (た)                                     

 

 

翻訳資料

 資料

資料石原暴言録

 自衛隊行事発言全文

(4月9日の陸上自衛隊・第1師団創設式典での発言)
 本日は陸上自衛隊、そして第1師団の創設記念にお招き頂きまして、ありがとうございます。そしてまた、この機会に国民、都民を代表いたしまして、皆さんへの改めて大きな期待を述べさせて頂きたいと思います。
 今日の日本を眺めますと、残念ながらどうも国の外側も内側もタガが緩んできたなという感じが否めません。図体の大きな経済国家でありますけども、この日本の姿、社会に起こっている出来事をながめますと、何か肝心なものが欠けてしまっているなという感じが否めません。私たちのうちに、自分たちが属する伝統のある、力のあるこの日本という国家社会に対する意識が、どれほどあるかなという疑念がわいてまいります。
 国家の国民に対する責任の最大のものは国民の生命と財産を守るというのは自明なことであります。そしてまた、国民もまたそれを期待するがゆえに国家というものに対する責任あるいは忠誠というものを抱いてるに違いないが、しかし残念なことに今日の日本の政治をながめますと、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に拉致(らち)されていた、いたいけなあの少女1人を救うこともできずに、これは政府の責任であると同時に私は国民一人一人の責任というものが結束していない証拠ではないかという気が強くいたします。
 まあ、あまり物騒なことは申し上げませんけども、私たちはどうもですね、この敗戦後の50年間、実に見事に内側からも外側からも解体されたという気がしてならない。私の大の友人でありました評論家の村松剛君が交換教授に行った帰りに、ニューヨーク・タイムズに寄りまして、私たちが戦争に敗れた時(1945年)の8月15日、向こうの14日のニューヨーク・タイムズの論説、そしたまた、数カ月前、ドイツの敗れた日の論説をコピーして、持って帰ってくれました。私とこれも今は亡き、(作家の) 三島由紀夫さんに一つの資料としてくれた。非常に対照的なことに、ドイツの降伏は当たり前に扱われておりますが、日本の降伏の場合には非常に醜い大きな怪物の姿が、そのあんぐり開いた口からアメリカの兵隊が3人でやっと大きな牙(きば)を抜いている。そして、その解説この怪物は倒れはしたが、まだ骨と牙は抜き去られていない。我々は永久にかかっても、この解体をアメリカのために世界のためにするんだという記事がありました。
 彼ら白人にとってみると、日本人だけが有色人種の中で唯一見事な近代国家を作ったということそのものが、意に沿わない事実だったのでありましょう。ゆえに、このへんを非常に危険視したアメリカは、あのいびつな憲法に象徴されるようにこの日本の解体を図って、残念ながらその結果が今日露呈されていることをだれも否めないと思います。
 そういう中で皆さん、ある意味で社会の中に途絶された形で、場合によって白眼視(ママ)されながら日々精励され、この国家をいったん緩急の時には守る、国民の生命を守る、財産を守るために精励していらっしゃる。これは当たり前のことであると同時に、実は日本の社会にとって希有(けう)なことであると、残念ながら思わざるをえない。どうか一つこういった状況に決して屈することのないように、一旦緩急の時に崇高な目的を達成されるために精進を続けて頂きたいということを、改めてこの機会に国民、都民を代表して熱願する次第でございます。
 先程、師団長の言葉にありましたが、この9月3日に陸海空の3軍を使ってのこの東京を防衛する、災害を防止する、災害を救急する大演習をやっていただきます。今日の東京をみますと、不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している。もはや東京の犯罪の形は過去と違ってきた。こういう状況で、すごく大きな災害が起きた時には大きな大きな騒じょう事件すらですね想定される。そういう現状があります。こういうことに対処するためには我々警察の力をもっても限りがある。だからこそ、そういう時に皆さんに出動願って、災害の救急だけではなしに、やはり治安の維持も一つ皆さんの大きな目的として遂行していただきたいということを期待しております。
 どうか、この来る9月3日、おそらく敗戦後日本で初めての大きな作業を使っての、市民のための、都民のための、国民のための大きな演習が繰り広げられますが、そこでやはり、国家の軍隊、国家にとっての軍隊の意義というものを皆さんは何としても中核の第1師団として、国民に都民にしっかりと示して頂きたいということをここで改めてお願いし、期待して、本日の祝辞と皆さんに対するお礼と期待の言葉にさせていただきます。頑張って下さい。

 4・12記者会見全文

( 4・9発言の居直りのために石原が開いた記者会見における石原発言全文)
「私が主催した記者会見だから、私のやり方でやりますから。私は逆に質問を皆さんからまとめて聞きたいんだけどね、この騒ぎの元凶の共同通信の○○君(記者名)、君の書いた記事が非常に不備だったんでね、こういうことになった。君は出てきて皆の意見まとめて聞いてくれ、質問をまず」
−あなたの発言が不備だったから書いた。(記事の)どこが不備だったか言って下さい、会見場で=記者。
「じゃあ、あなた何で文章切って報道したんですか。私は朝日に記載されている全文の中で『今日の東京をみますと、不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している。もはや東京の犯罪の形は過去と違ってきた。こういう状況ですごく大きな災害が起きた時には、大きな大きな騒じょう事件すらですね、想定される。そういう現況であります』。
 これ、あなたの原稿に出てないじゃない。(「不法入国の」のところを)何で切ったんだよ。浜鍋特別秘書が『何で切った』って言ったら『聞こえなかった』って言ったそうだね。あれだけ大きな大きなスピーカーで報道した。ほかの人は皆聞いているのに君だけが聞こえなかったのはおかしな話じゃないか。君が怠慢か無能かどっちかだよ、それは」
−私は聞いたのをその通り書きました。必ずしもテープをとってなかったので……=同記者。
「君の取材は非常にそこつだね。正確を期してないよ」
−申し上げます。あの時の会見で言われた不法入国のところは、あなたの発言は非常に小さくて早口だった。知事は大事なことを言われる時、非常に早口になります。記者に対して聞き取れないような発言をなされるのは公人として非常によろしくないと思われます=同記者。
「だってこれ自衛隊の時の講演でしょ、訓話でしょ。あれだけゆっくり話したじゃないですか。録音ありますよ。お聞かせしようか。君自身がだね、そこつなんだよ。あるいは意図的に君は外したんだよ。さて、何が皆さんお聞きになりたいですかな」
−9日の陸上自衛隊の式典での知事発言をめぐって、差別用語である「三国人」という言葉を使ったこと、大きな災害が起きた際に、「三国人」と外国人が騒じょう事件を起こすと発言されたこと、治安維持に機動隊ではなく自衛隊に出動してほしいと表明したこと、以上4点について、言葉の定義を含めて認識を伺いたい=以下、各社質問。
「主に今の質問は言葉に関することだから、これは大事なことでね、昨日も非常に不備な情報を知らされたうえで、河野君と瓦君、つまり外務大臣と防衛庁長官がコメントしてましたが、河野外務大臣が言ったのは非常に大事なことでね、『言葉の定義にもよるが』ということを言ったが、まさに言葉の定義の問題なんだ。それでね、第三国人というのが差別用語なんですか。そのわけを聞かせてもらいたい。なぜですか」
−知事は差別用語ではないという認識。世の中では差別用語とされている。
「それは辞書にはっきり出てますな。例えばだね、私の使っている三省堂の大辞林にまず『三国人』『第三国人』の『三国』なるものには当時国以外の国、つまり戦争とか国際交渉ね、それに関係している相手国以外の直接関係を持たぬ国、つまり外国とされていますな。それから、同じ辞書に第三国人という項目もあって、1は当時国以外の国の人、次は第2次大戦前及び大戦中、日本の統治下にあった諸国の国民のうち、日本国内に居住した人々の俗称。べっ称とは書いていない。俗称と書いてある。
 そして、敗戦後の一時期、主として台湾出身の中国人や朝鮮人を指していたと書いてありますがね。私はこの辞書に沿って、つまり、第一義の意味で外国人と言葉で使ったんだけども、このごろの人には耳慣れない言葉だから、あえて、重ねて外国人と重ねました。そして、その前段に非常に大事なことだけども、さっき申しましたように今日における不法入国、これには不法入国だけじゃなしに、入国したあと不法に滞在しているその種の外国人も含めて言ったんで、それは重ねてここで説明しますけど、その点では言葉が足りなかったかも知れないが、例の蛇頭、スネークヘッドのようなグループにお金を払って、不法に入ってきている中国人、あるいは他の国籍を持っていて当然日本から退去しなくちゃいけないのに、不法に滞在している外国人を含めて私は言ったわけです。
 ということでありますから、私たち、あながた年が違うんで、終戦後の混乱の時に、私たち非常に肩身を狭く暮らしていたもんだから、その外国人のことをなかなか、外国人すなわちアメリカ人と印象に受け取られたんで、その他のここに記述してある、かつて日本の統治下にいた、しかも、戦争の後ですね、国籍のまだ定まらぬ、中国も混乱していたし、韓国も分裂していたままで、あの地に条約できて、国籍はっきりするようになるんだけど、それまでの日本にいるかつては日本人だったかも知れないが、今は国籍を違えた人たちのことを私たちは「三国人」と呼んでいました。その中にはアメリカ人も入っていた。
 ただ、邪悪な犯罪があって、日本人がひどい目にあった、そんなかにアメリカ人もいたって書くわけにいかないからね、「三国人の大男」「大男の三国人」という表現がありましたな。ということでね、私は「三国人」って言葉はこの辞書にある通り、第一義的には外国人という認識をしています。そして、耳慣れない言葉なんでね、だから、この間は重ねて外国人といったわけで。私は不法に滞在している、入国している外国人は中国から密入国している人たちも含めて、あるいは退去しないでいる人たちも含めて、非常に厄介な存在と思うけれど、ずっと在日でいた朝鮮の人や韓国の人を不法入国したと思ってませんよ。
 だからですねこの前段がきちっと報道されれば、私はその「三国人」という言葉の中で、ずっと日本にいる韓国人や朝鮮人を指したと受け取られるわけはないのに、だれかがだな、意識的にカットしたんだ。『一犬虚をほえて万犬虚にほえる』みたいになっちゃったから。このへんで皆冷静になって、言葉の問題というなら言葉ってものを大事にして、認識してもらいたい。ただ、私はこういう問題起こってしまったのだから、これから心して、誤解招きやすいのだったのなら、ずっと在日韓国人、朝鮮人の人たちの心中察するに余りありますからね。
 ですから『三国人』という言葉、心して使わないようにしますけども。つまり、正当な日本語を正当に使ったのに、その説明がカットされて、非常に悪い印象与え、誤解されたってことは遺憾でありますな。極めて遺憾であります。これはやっぱり、聞こえなかったか、そこつだったか知らんけど、やはりね、新聞記者の魂にもとるよ」
−ちょっと待って下さい=会場から抗議の声
「いやだって、個人の問題で済ませないじゃないですか。あなたが扱っているのは天下の公器だよ。メディアというのはパブリックなものだよ」
−意図的でないという話はですね、あえて外したわけではないということはですね……。
「ああそうですか、それじゃ譲ってだね、しかし、結果としてね、聞こえなかったで済む問題じゃないんじゃないの。もうちょっとこれが問題になると思ったんなら、十全な調査なりテープなり確かめて、完璧な報道をすべきじゃない。現に、朝日はきちんとちゃんと書いてあるじゃないか。それからもう一つ、皆さんに興味ある原稿ですけど、かつて、『三国人』という言葉を朝日新聞も使っております。これはイラク、クウェート内の外国人出国に関する安保理の決定、決議要旨でですね。1990年8月20日、朝日の朝刊に『イラクとクウェートに滞在している第三国国民の安全と安寧を憂慮する』うんぬん、『イラクに対して、クウェートとイラクにいる第三国人の即時出国を許可するとともに』うんぬんとありますね。
 それから、1988年6月10日の読売新聞には、これは、『在北京アメリカ大使館は9日、北京と天津に住むアメリカ人に緊急通知を発し、第三国人がアメリカ人にテロ攻撃を加えうる計画を立てているとの報道があり』うんぬんと書いてあるね。ですから『第三国人』という言葉はね、つまり何というかな、日本の中だけでなくもっとポピュラーな言葉だし、外国も使ってるんだ。そういう意味で、正確な意味で。しかし、日本には日本の特別の事情があって、ずっと在日でいた韓国の人、朝鮮の人たちが嫌な思いをした、差別を受けた、だから独特のニュアンスあるかもしれないけど、私はそんなものを斟酌(しんしゃく)というか考えて、斟酌してもなおかつ、「三国人」という言葉をこのこの辞書にある通り、第一義で使ったわけですから。やっぱり皆言葉は正確に使った方がいいしね。俗称というものがいつのまにか正称になってしまったら、怖いですよ。日本語の破壊ですよ。次の質問、何だっけ」
−大きな災害時に「三国人」が騒じょうを起こすと発言したことについて、また、自衛隊を国民の軍隊と表現したことの真意を。
「自衛隊は国民の軍隊じゃないですか。あのパレード出てね、あれだけの堂々たる装甲師団がパレードしてね、あれが軍隊じゃないんですか。英語に訳せばグラウンドフォースだよ。それを訳し直せば地上軍ですよ。3軍ですよ。エアフォースは空軍ですよ。ネーバルフォースは海軍ですよ。自衛隊と訳したのは日本だけ。それはやはり日本人は考え方を変えた方がいいんじゃないの。皆国民の皆さんがおかしいと言っているよ。だから、どうして、自衛隊を軍といっちゃいけないんですか。軍じゃないですか。それからね、彼らの身分が軍人じゃなければ困るんですよ。ジュネーブ協定でね、軍人か軍人じゃないか分からないあいまいな人間はもし捕虜になったた虐待されてもしかるべき、構わない。ただ、軍人の身分がはっきりして、軍人ならば戦争に中で捕虜になった時はちゃんと身分が保障される。自衛隊は軍人です。
−治安出動について。
「治安維持はどこの国だってそうじゃないですか。警察の機動力に限界があった時にね、軍隊は治安出動するってのいうのは、災害の時もそうでしょう。アメリカなんかちゃんとロサンゼルスの地震の時はカリフォルニアの知事が要請して、ステートアーミー、州軍が進出して治安の維持してましたよ。私は当たり前のことだと思うね。しかもそれを想定することがどうしていけないの。地震は来ないだろうと済ませば楽なもんだろうけどね、やはり大地震が来るだろうという想定の中に私はこの東京を預かっている最高の指導者とすれば、それから派生するもっと大きな非常にあしき事件を想定するってことは、私の責任ですから。それが杞憂(きゆう)に終われば結構なことだし、私はあそこであえて、『第三国人』のことは予期しなかったことですけどね、騒じょう事件が起こったときに仮定して、三軍を出動して治安の対策をしてもらううんぬんと言ったのは、言うことが良いことなの。これが抑止力になるの。また、9月3日に演習することで、それが抑止力になる。起こってからバタバタ慌てて練習したって間に合わない。危機管理っていうのはそういうものですよ。私は私の責任でそれをやります。それを想定してやります」
−知事は大災害時に不法入国の外国人が騒じょうを起こす可能性があると言うが、阪神大震災ではそうした事実はなかった。
「阪神大震災ってよく言いますが、ケースが違います。東京の場合にはもっと凶悪な犯罪をたくさんしている不法入国、不法駐留の外国人がたくさんいる。警視庁の指数、みてごらんなさい。今までの日本の例えば強盗なら強盗が、やりようのないような凶悪な手口でですね……。
 例えば、話しましょうか。宝石店にですね、普通の日本の泥棒だったら狡智(こうち)を尽くしてかぎ開けて入るけども、彼らはね、工事用の車持ってきていきなり壁に穴開けてがさっとかっぱらって、どこ持っていくかといったら、日本の故買のルートなんかかけないんだよ。香港に持っていって、香港のルートにかけるんですよ。例えば日本堂とか和光にあった10万円の価格のついている指輪だったら、これはもう一流の店だから信用できるっていうんで、そのまま向こうのルートにかけるんですよ。こういう事実があるんですよ。
 それからどうなんですかね。中国製の覚せい剤がどんどんどんどん輸入されてきて、売るのはパキスタン人が主らしいけれど。非常に多様ですね、そういう薬というものを摘発しても、なお末端価格は上がらない。上がらないってことはですね、もっともっと多量な、そういう危険な薬物が、まさに『三国人』、外国人の手によってまん延してんだ、この日本に。皆さんの子弟がスポイルされているんだよ。それを放置できますか。警視庁は悪戦苦闘していますよ。その手合いが、とにかくいまだにばっこしてるんだ。私はね、そういう事実をメディアの人に知ってもらいたいしそういう情報の事実を確かめたいのなら、どうぞ警視庁に行ってください。
 そりゃね、神戸におけるね、不法滞在している外国人やってる犯罪と、東京の場合、ケースが全然違うし、質も量も全然違うんです。だからロサンゼルスでも(地震の際に)、あれは何て言うのか、少数民族による略奪事件があった。しかし、日本の場合はですね、もっと肩身の狭い、後ろめたい思いをしている外国人がいて、現に狡智にたけた犯罪をしていながらだね、つまり、なかなか手が及ばない。それが大きな災害の時、どんな形で爆発するかということを考えたら、私は知事として本当に寒心に耐えないね。
 それでね、東京の都民が大きな迷惑を被ることが許せないから、抑止するために演習をするんだ。演習をするということを言ってきた。私の責任で。もし、それがいけないんだったら、4年か3年後の選挙で都民が私を裁いたらいい。私は潔くですね、その時また訴えますよ。知事である限り、地震が来ないにこしたことはないけれど、いつ来るか分からない地震に備えた大演習をしますよ。政府の協力の下に。だれがそれをとがめられますか」
−社会的に影響力のある知事としてはですね−。
「もちろん、影響力があるから、こういうオファーしてるんだよ、おれは」
−日本では朝鮮半島がらみの事案が起きると、朝鮮学校の生徒のスカートが切られたりする。社会的な影響力のある知事の発言がそういう事件を助長しないか。
「それはね。前段の問題がね。私が今度言った『三国人』というのは、ずっと日本にいる朝鮮や韓国の人じゃないんですよ。不法に入国し、不法に駐留している、滞在している外国人のことを言った。現にその犯罪はばっこしている。私はその人間を対象としただけで、一部の人たちがですね、俗称である『三国人』を誇張してね喧伝することで、朝鮮の人、韓国の人は不安で不愉快な思いをしただろうけど、それは非常にお気の毒だし、遺憾に耐えないけど、これを謝罪するべきは、そういう間違った報道した、偏った報道した人間じゃないの」
−真意はどこにあるにせよ、実際に知事発言によって傷つけられた人たちがいる。発言を撤回したり謝罪したりする用意はあるか。
「いや、謝罪する必要ないけど、私は説明しますよ。こういう皆さん、メディアに説明してるじゃないですか。外国の記者も来ているらしいし。どうぞ、正確に私の言ったことを報道してもらいたい。メディアを半分信じ、半分信じていないけれども、せっかく皆さんお集まりになっているんだから、正確な報道をしてもらいたい。私はね、断っておくけれども、北鮮(北朝鮮)はいろいろ問題があってね、好ましくない国だと思うけれど、韓国には友人がたくさんいます。今の首相のパク(朴泰俊)さんだって私の友人ですよ。世界中にたくさんいますよ。その人たちの子弟がね、仲間がね、これ非常に迷惑をし、不安をおぼえているんだったら、それは非常に気の毒だと思うし、慙愧(ざんき)ですけども、その原因になったのは間違った報道じゃないですか。歪められた報道じゃないです。寸足らずな報道じゃないですか」
−治安出動の話は、関東大震災の時と重なる。歴史認識を聞きたい。
「それはですね、私はと都議会でも、この計画を説明する時、言ってます。詳しく言ってます。議事録を読みなさい。取材をきちっとしなさい。私はですね、過去に関東大震災の時に流言飛語でね、在日の朝鮮人の人たちがむげに殺され、非常に痛ましい事件が起こった。しかし、もうそんな時代じゃない。今度は朝鮮の人、韓国の人じゃないんですよ。違法に日本に入国し、駐留し、滞在し、そして犯罪を繰り返している、そういう人間たちが、何を起こすかわからんてことを言ってるだけでね。要するに、もし、日本にいる外国人がだ、流言飛語でそういうことになったら、一種の治安出動で私たちは守りますよ。あの時は日本の当局が守りきれなかったから、朝鮮人に被害が出た」
−関東大震災では、警察や軍当局が虐殺にかかわったという事実があるが。
「ああ、そうですか。それは論外の話しでね。そんなことは許されるわけはないし、世界が眺めている中で、そんなばか(ママ)なことは私が許さない絶対に」
−それなのに「三国人」という差別語を使ったのは、誤解というより、明らかに知事の不手際では。
「不手際ではない。私は第一義で使っているんだから。ただ、やっぱりそれはね、感情的に非常に反発しやすい言葉だったら、これから使いませんよ。しかしね、あくまでも『三国人、外国人』て言いなおして、重ねて言ってたけど、どの種の外国人かってことをきちんと言ってるでしょう。朝日の全文にもきちんと書いてあるけど。え、『不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している』っていう前段で始まっているんだ。これを切ってしまって、いきなり『三国人』てことになったら、そりゃねえ、いろんな誤解が生ずるだろうけど。報道は正確にしてもらいたいね」
−「三国人」という言葉を使ったこと自体が誤解を招くと思わないのか。
「だって、辞書にきちっと(あるように)第一義の『外国人』という定義で使ったんだ。だけど、耳慣れない言葉だから外国人と言いなおしたわけですよ。これから使いますまい、そりゃ。それからね、皆さんね、記者、記者っていうなら東京の実情をこれから見てね、行ってごらんよ。歌舞伎町とか池袋とか。12時過ぎたらどこの国かわらないよ。ヤクザだって怖くて歩けないよ。日本のヤクザだって。そういう現況があるんだ」
−どこの報道が良い悪いという問題ではない。ほとんどの記者は知事に非があると認識していると思う。発言が広げた波紋について、どう考えるか。
「あのね、多くの日本のメディアを信じていますがね、あの日、たまたま日曜日で翌日の新聞は休刊日で、なかった。そして、共同通信の報道が普通の新聞ではなくスポーツ新聞に流れた。スポーツ新聞というのは非常に針小棒大っていうか、すごいチャッチフレーズ書きますよ。それでですね問題が非常にセンセーショナルになったんだ。もし、普通の新聞が、朝日が全文掲載したみたいに月曜日の朝に私の言葉を全文掲載してくれていたら、こんな問題はここまでならなかったと思う。私のどこに非があるんですか。いや、非があったら認めますよ」
−毎日新聞も発言の全文を掲載している。知事のコメントもすべて載せている。それでも、なお知事発言はおかしいという意見が出ているのが現実だ。
「『三国人』に関して?」
ーそれだけではない。大災害時には、外国人だけではなく、日本人だって犯罪を犯す蓋(がい)然性はあるはず。それを知事はあえて「外国人が」と言っている。
「でもね、それは都民の皆さん、国民の皆さんに東京の実態を知ってもらいたいんだ。日本全体にまん延している覚せい剤、いったいどこの外国人がどうやって運び込んでるのかね。その実態、警視庁に行ったら詳しく話してくれますよ。このコンピューター時代にねえ、インターネット使って狡智な暗号でだね、覚せい剤なり麻薬を販売しているのは、不法入国し不法滞在している外国人じゃないですか。ほとんどは原産地から中国経由で入っているんだよ。これは国家の問題だから、政府もちゃんとしてもらいたいんだ、本当に。中国の政府なら政府に、きちっと抗議したらいいし、向こうだって法治機能はあるんでしょうからね。
 それで結局だね、どれだけの金になってどれだけ還流されているか知らないよ。だけど、やっぱりそれだけ日本の子弟の若い人の体がむしばまれて、精神がむしばまれている。それを私は看過できませんな。その多くの発信基地というのは東京にあるんだ。行ってごらんなさいよ。歌舞伎町や池袋。女の人は夜はとっても一人で歩けないよ。ヤクザだって怖がって入らないよ。そういう無法地帯になっているんです、ある時間帯は。
 だから私は、その人間たちが大きな引き金を引いて、大きな騒じょう事件を起こす可能性があると。当然、東京全体が瓦解したら、こそ泥を働く人はいるでしょう、日本人だって。日本人が泥棒をしないとは言いませんよ。しかし、もっと大きな規模のロサンゼルスで起こったようなね、そういう略奪騒動事件が起こった時に、ロスではカリフォルニア州軍が出動したみたいに、私は軍隊持っているわけではないから、とにかく国家に頼んで治安の出動を要請する。その演出をすることで、未然に防げると思ったんで、あえてそういう発言をしてきました。そのへんでいいでしょう。はい、以上であります」
|「三国人」という言葉がべっ称として使われていたことはご存じなかったのか。
「べっ称? 俗称としてはありましたよ」
−いや、一般の人の間でべっ称として使われていたというについて。
「その、要するに何ていうか識別するために使ってましたよね」
−差別的な使われ方をしていたという認識はなかったということか。
「は? しかし、言葉とすりゃ、それは人によってねえ、つまり差別ってのは感情の問題ですからね。使い方はいろいろあるでしょう、その意識が。しかし、私はあくまでも第一義として使ったわけです。耳慣れない言葉だから、改めて外国人と言いなおしたわけです」
−(2月定例)議会で「三国人」と発言した後、議事録を「外国人」と訂正したが、これはどういう意図か。
「はあ、それは僕はよく覚えていませんね」
−知事の名前で、代表質問の後に訂正が出されているが、これは知事が命じたものではないのか。
「それは明らかにしませんが、それでしたら私は『三国人』というのは今後使いません。こりましたからね。迷惑もかけたし。ただ、やっぱり、その引き金を引いたのは、私はやっぱり不備な報道だと思いますよ」
−私は、大震災が起きたら軍を出動して取り締まるという、発言の趣旨を書いたつもりだ。それについてはどう考えられるか=共同通信記者。
「だから、当然騒じょう事件を防ぐためにだね、要するに外国人か何かしらないけれどもね、とにかく一番発信源になりそうな歌舞伎町なり池袋なりを対象としてね、厳重な警護をする必要あるし。つまり、演習をすることで抑止力になると、私は思いますよ」
−日本人と外国人の関係を悪化させ、外国人を「白い目」(ママ)で見ることにつながらないか。
「あなた、どこの会社のどの人? 名前を名乗りなさい。デイリーヨミウリ? はあ。日本人ほど、外国人と親しい、何と言うかコスモポリタンな民族っていないんじゃないの。決して日本人はですね、外国人を最初から白眼視(ママ)なんかしてませんよ。外国人に比べて日本人の方がよっぽど寛容だと思うけどね」
−知事の理念の上では、不法入国とそうでない外国人の区別はつくかもしれないが、まち中では外形的な区別はつかない。
「まあ、そりゃあ、その人間が日頃何をしているかね、日本の社会に溶け込んで、いい市民であるなら、だれもそんな人を迫害しないでしょう。私が言いたいのは、大きな大きな災害が起こった時に、人間の精神というか心理をアップセット(混乱)してね、非常に何と言うか異常な精神状態になった時にね、そりゃ、やっぱり、日本で肩身の狭い思いをしている外国人、たくさんいるでしょう。犯罪者を含めて。特にその犯罪者がですね、それならということで一攫千金(を狙って)何をやるかわからない。それは私はきちっと抑止しなくちゃならない、防止しなくちゃならないと思っていますがね。知事としての危機管理の責任だと私は思う」
−今回の発言に関して正式に謝罪したり辞任したりということは考えていないか。
「何を言ってんだ、あんた。誰に謝罪するの。なんで私が辞任しなくちゃいけないの。私は私のやり方で責任を遂行しようと思っている。ばか(ママ)なことを聞くな」

 公明、民主、民団に 示した知事見解

●公明の緊急申し入れに対する知事の見解(14日)
「不法入国した外国人のことを『不法入国した三国人』と表現しました。
 このことが在日韓国・朝鮮人をはじめとする一般の外国人の皆さんの心を不用意に傷つけたとしたら、それは私の本意ではなく、極めて遺憾です。
 一般の外国人の皆さんの心を傷つけるつもりはないので、今後は、その言葉を一切使わぬように致します」
(公明は、この回答を事実上の謝罪と受けとめた)
●民主に対して示した知事の見解(19日)
「不法入国した外国人のことを不法入国した『三国人』と表現しました。
 この言葉は、私が意図した意味とは異なり、差別的に使われていたため、在日韓国人・朝鮮人をはじめとする一般の外国人の皆さんの心を不用意に傷つけることとなったのは、不本意であり極めて遺憾です。
 一般の外国人の皆さんの心を傷つけるつもりは全くないので、今後は、誤解を招きやすい不適切な言葉を使わぬように致します。
 なお、今後とも在日韓国・朝鮮人をはじめとする一般の外国人の皆さんに対する差別意識の解消を図るなど、人権施策の推進に積極的に努めてまいります」
(民主もこの回答を評価した)
●民団に対して都が示した見解(20日)
「不法入国した外国人のことを『不法入国した三国人』と表現しました。このことが在日韓国・朝鮮人をはじめとする一般外国人の皆さんの心を不用意に傷つけることになったのは、まったく私の本意ではなく、きわめて遺憾です。私はあくまで、不法入国、不法滞在している、在日韓国・朝鮮人以外の人をさして言いました。一般の外国人の皆さんの心を傷つけるつもりはまったくないので、今後は、その言葉を一切使わないように致します。
 違法に入国し、駐留し、滞在し、そして犯罪を繰り返している人たちがおり、通常の状態とは異なり、大災害時には何が起きるかわからないと危惧されます。首都東京を預かる責任者としてあらゆる事態を想定しておく必要があると考えています」
(民団はこの居直り見解を認めず退席した)

 「障害者」差別発言

(1999年9月17日、「障害者」施設・府中療育センターの視察後の記者会見での発言全文)
 あの病院見てね、いろんなこと考えたね。絶対戻らない、ほっといちゃ骨折だらけで死んじゃう。それをあれだけかいがいしくお医者さんも看護婦さんもボランティアしてやってるわけだろ。ああいう人ってのは人格あるのかね。つまり意志持ってないんだからね。僕は自分で結論出してないんだ。逆にみなさんどう思うのかなあって思ってさ。
 もう絶対よくならない、自分がだれか分からない、生まれてきたか生きたかも分からない。ただ、人間として生まれてきたけれども、ああいう障害で、しかもああいう状況になって、かけてるお金も大変なものだけど、しかし、こういうことやっているのは日本だけでしょうな。人から見たら素晴らしいことと言う人もいるし、おそらく西洋人なんかね、切り捨てちゃうんじゃないかと思うけどね。そこらへん、やっぱり宗教観とかの違いだろうけど。
 ただ、僕はやっぱり非常に分かんないのは自分の文学の問題にとってもねえ、こう触れてくるんでね。例えばああいう問題って安楽死なんかにつながるんじゃないかって気がするんだけど。ああいう患者さんっていうか入居者ってのを、人格ってのをですね、認める人と認めない人があるんじゃないか。日本人は認めるんだろうなあ。西洋人てのは認めないんじゃないかなあ。どうなんだろう。本当に分からない。非常に大きな問題を抱えて私は帰ってきましたがね。もっとみなさんの意見聞かしてよ。
(福祉施設を今後どうしていくか、問われて)
 そりゃあもう明らかに他の医療の施設と違いますからね。しかも、ものすごい重症な、可逆性が全くない人たちをだね、人間のこどもであるからってことでああいう形で療養、療育するということは、これはやっぱり人によってはいろんな何て言うか経済性ってことだけに触れないと思うけど、しかしやっぱりそれを考えざるを得ない人もいるでしょう。
 しかし、やっぱり日本の首都、東京なんだし、東京がああいう施設をですな、こりゃ考えてみたら東京だけじゃなしに国の指定みたいなもので、国も協力してね、運営しないと。要するにその病院が個々に採算とって経営しろっていうことではとても当てはまる問題ではないですよ。
 ある意味じゃ日本人の宗教観てのか価値観、人間観てのかな、日本の宗教がはぐくんだ日本人の哲学みたいなものをだね、どう酌量して、私はあれを是とするけれども、すごいことと思うけど、ただやっぱり永久に採算に合わないだろうし、特に院長さんに言ったんだ。「あなたがたこういう患者をこうやって、患者っていうのかな、あれ、入居者って言うんでしょうか、後遺症でああいう無残な姿になったわけだけど、こういう人たちを可逆性がないということを承知しながらみとってて徒労感というものを感じませんか」って言ったら、「あります」って言ったね。「でもそれを乗り越えなければこの仕事はできません」ってそういう言い方してましたよ。
 やっぱりあそこで働いている人たちってのは、言葉は絶対通わない、ほとんど通わない患者をああやって慈しみ、とにかく一日でも長生きさせようってやってることで、やっぱり人間とは何かとか、自分が生きていることは何かってことのそこらの真偽を一番痛切に、ものすごく考えるというより感じ取ってるんだと思いましたけどね。まあ、これ言うと文学的になって諸君らには分からんだろうから。まあ、そりゃ冗談だけど、行政に関係ないからね。
(安楽死の問題と関係すると言ったが、と問われて)
 いや、多分そういうことをね、つなげて考える人もいるだろうと問題提起っていうか、あなた方、それとも何か考えるヒントというか、やっぱり人間の存在という問題だからね。
 ちょっとあんた、私ああいう形で安楽死させろって言ってんじゃないよ。断っておくけど、変なこと書かないでくれよ。だけど西洋人なんかやっぱりね、すぐああいうこと考えるだろうね。日本人はやっぱりそういうこと考えにくい。そこらへん東洋と西洋の違いがあって。一種の何て言うのかな、文明っていうか、一つの比較論のそういうもののきっかけをまた勉強したような気がしましたけどね。
●都議会での答弁
(9月21日の議会で、「発言を撤回し、謝罪すべきだ」との質問に対して)
 私の発言の真意は、行政の長というより一人の人間としての自らの思い悩むことを感じさせられ、そのことを自分自身にも、及び記者の皆さんにも問いかけたものであります。
 ある新聞が、現場にも同行せずにこの発言を意識的に曲解し、あたかも私が、障害を持つ方々の人格を傷つけたと、多くの読者に印象づけたことは報道の正確性にもとり、許せぬ行為でもあります。
 これは、卑劣なセンセーショナリズムであり、アジテーションであり、社会的には非常に危険なことだと思います。
 重度の府中療育センターで、重度の障害を持つ入所者とふれあい、懸命に介護する医師や、看護婦と意見を交換して感じたことは、人間の生きることの意義と奥深さであり、また、これに携わる仕事の崇高さであります。
 私は、この視察で感じたことを知事としてしっかり胸に受け止め、福祉の問題に取り組んでいきたいと思います。
●松本正・朝日新聞社会部長の話し
 記事は都知事が病院を視察したあと、記者会見で発言した内容を正確に報じたものです。本社の記者は知事の病院視察に同行しています。

 その他の石原暴言録

●新ガイドラインと自治体協力
「国がなくなりかねない戦争が近くで起こったなら地方自治体のエゴもあったものじゃない。そういうときはもちろん私は全面協力します」(1999年8月号『VOICE』)
●「自治体は命投げ出す」
「ガイドラインだって、アメリカは完全に台湾を巡る中国相手の戦争を想定している。そこで、ガイドラインに協力しない自治体があったら、中国は核を持ってるしそれがもとで国が滅びるかもしれない。ぼくは東京都知事かもしらんけど、都の施設で一旦緩急の際には防衛に必要なものは全部使ってくれって言うよ。自治体はやっぱり、命投げ出すぐらいの覚悟が必要ですよ」(1999年8月25日/9月8日号『SAPIO』)
●「無条件で国に協力する」
「新ガイドラインが始動する時にどう協力するかという質問があったが、私は文句言わずに協力すると言った唯一の知事だ」(就任1年を迎えた時の朝日新聞のインタビュー)
●東京都知事の地位について
「知事になると4年間は自分の思うところを存分にできますから。選挙で選ばれた地位だけに、閣僚や総理大臣よりもレジテマシー(正統性)があって、ある意味では大統領的なことができますね」(1999年8月号『VOICE』
●自分は「選ばれた人間」
「選ばれた人間なんだという自覚があれば、誰でも何やったっていいんだって思いこむことが大事だと思うね」「僕なんか、自分が死んじゃったら、日本国家は消滅すると思っているもの。それはつまり、僕の体の内に日本があるという一体感です」(1999年8月25日/9月8日号『SAPIO』、小林よしのりとの対談)
●「憲法は破棄したらいい」
「日本はいつも他人頼みなんだ。でも、アメリカは自分で切り拓こうとする。そこが根本的に違うんだね。日本だってこれだけの国力があればやればいいんですよ。憲法でがんじがらめになってないで、憲法なんて破棄したらいい。あれはもう、絶対に変えられないような手続きになってるんだから、全部基本的に考え直すということで『破棄しましょう』という動議を出したらいい。それが、国会の51%の賛成と49%の反対なら通るんですよ」「新しい憲法をつくったら自衛権だってきちんと定義できる。ぼくなんかが思うのは、日本は世界一の防衛国家になったらいい、と。そして世界一優秀な戦闘機をつくってどんどん外国に売ったらいいんだ」(1999年8月25日/9月5日『SAPIO』、小林よしのりとの対談)
●「9条は話にならない」
「中曾根さんのいうように、まず民族性、日本の伝統をすべて踏まえた、日本人の感性に訴えた格調ある日本語でつくってもらいたい。ただし、9条というのは話にならない。国家が主権を持って国民の生命と財産を守るというのは国政の大眼目でしょう。それをしなくていい、アメリカがやってやるから余計なことは考えなくいいと牙を抜かれたのが9条だよ」(2000年1月14、21日号『週刊ポスト』)
●「あの戦争は、感動的だった」
「ぼくなんかが海兵の予備校のようなものだった湘南中学にいたから、もう2年早かったら実際に海軍士官として戦っていたからね。で、最後の夏(1945年)に厚木の飛行場に学徒動員でかりだされたときのこと。1週間もすると兵隊とも仲良くなる。そしてある日、『今日、大空中戦がある』っていう密かな噂がたって、27、28機いた飛行機が南のほうへ発進していった。でも、なかなか飛行機が帰ってこないわけだ。それで整備兵が『何時までに帰ってこなかったらもうダメだ』なんて言う。なかには木更津に降りたりとか、あちこちでダイブ・アウトした飛行機もあったらしいらしいけれど、電話が不便なところにあったんでそれもよくわからない」「気を揉みながら数人の予備兵が夕焼けのなか、滑走路の端でずーっと座っているわけ。それでも1機は帰ってきたんだ。それが不時着して、みんなで走り寄ってその傷ついている兵隊を運び出すのを手伝った」「あれがやっぱり国家なんだよね。だから何度思い返しても、悲しいとかなんかじゃない。やっぱり感動的だったな。あのとき兵隊さんたちと一緒にしみじみぼくは国家と座っていたんだと思うね(と、ハンカチで涙を拭く)」「それと思い出すのは、学徒動員される前に学校から帰る途中で空襲にあったことね。止まっている電車が見えたんで、そこに向かって走っていたら、麦畑のなかで敵の艦載機に襲われてさ。パァーと伏せるわけ。そこで一人撃たれるんだけど、さらにその先に森があったんで、そこまで走ろうとしたら、今度は畝の低い芋畑のところで、また次の飛行機がくるわけだ。伏せる場所がないからそのまま走っていると、今度は撃たれない。なぜだって、振り仰ぐとそれが日本の飛行機でさ。濃い褐色に日の丸が書いてある。それがとっても鮮やかで、こう震いつきたくなるようなものがしたな。その感覚というのは、オリンピックで日章旗があがるどころのものじゃなんだよ(1999年8月25日/9月8日『SAPIO』、小林よしのりとの対談)
●戦後の植民地の独立について
「歴史教育では、やっぱり近代史から教えていかなきゃだめだよね。でも、近代の歴史原理は帝国主義しかなかったんだ。欧州の列強に植民地にされるか植民地を持つかというね。それで日本もやったわけだけど、おかげで世界各地で民族意識が目覚めて戦後かつての植民地は独立したわけでしょう」(1999年8月25日/9月8日『SAPIO』)
●日帝の朝鮮植民地統治について
「韓国の朴正煕大統領がこんな話しをしてくれました。彼の周囲にいるかつての軍人だったような威勢のいい連中は、酒によってくると、『日本はけしからん』と言いだす。それに対して朴大統領は『まあ、待て』となだめながら自らの歩みを語る。朴大統領は貧農の出身で、教育を受けたいと思いながら、とても無理だろうとあきらめていた。ところが日本のその統治下で義務教育制を敷いたことで、朴少年も学校に通うことができた。また満州軍官学校を首席で卒業した彼は、その特典で日本の陸軍士官学校に留学し、卒業します。日本は朴少年のような存在にそうした機会を与えた。『日本人は名前を変えろとか生意気なこともやったけれど、私はおおむね彼らは公平にやった』と朴大統領は述懐していたわけです」(2000年1月4日『産経新聞』)
●北朝鮮壊滅暴言
「北鮮(ママ)なんて、ばか(ママ)なことを始めたら一撃で壊滅する」(3月7日の自民・自由両党参院議員の勉強会の講師として)
●中国の分裂を促進すべきだ
「もちろん、超大国中国が多くの小国家に分裂したほうが良い。分裂はまったく、起こる可能性が高いことです。日本は、このような進展を力のかぎり促進すべきです。
 南京についての非難は、完全なナンセンスです。このいわゆる虐殺は、1946年にアメリカが東京戦犯裁判の過程の中で創作したものです。たしかに私は日本兵が南京でまったくだれも殺さなかったとは主張しません。しかし、わが部隊が30万人の人間をどうやって殺せるのですか。当時の南京に20万人の住民しかいなかったというのに」(『シュピーゲル』4月10日号)
●「台湾合併戦争始めたらヒトラー」
「ドイツ人はいくつ国をつくっているのか。オーストリア、ドイツ、リヒテンシュタイン。それを強引に束ねたのはヒトラーだよ。もし仮に(中国の)江沢民(国家主席)が気が狂って(ママ)軍をそそのかし、台湾を合併するために戦争始めたら彼は中国のヒトラーだ」(5月20日、台北での記者会見で)
●東京湾に原発を
「完璧な管理が行われれば、東京湾に原子力発電所を造ってもいい」(4月26日 日本原子力産業会議年次大会)
●中国について
「中国人の不法滞在者が起こす犯罪があまりに多い。中国の政府がどう認識しているか知らないが、水爆を作っている国を援助するくらいなら、その分を東京の治安、中国人犯罪対策に回した方がよほどましだ」(1999年11月25日「朝日新聞」。警視庁視察後の記者団への発言から)
●「中国を分裂させよ」
「もしアメリカに従って日本が台湾を無為に放棄したら、それは日本の、中国への属国化へと傾斜する大きな歴史的失策になるよね」「となると、私がせっかく灯台を建てた尖閣、魚釣島も簡単に海に沈み、スプラトリーや西沙諸島も完全に併合されて、中国の拡張主義政策が半ば以上成就してしまう」「とにかく彼らの拡張を阻止するために何ができるか。ここでもやっぱり戦略なんだよ。日本の持っている力とは何か||。それはだぶついている金融資産だよ。だからいつも言ってることだけど、日本の金を使って沿海州などの中国の周辺に自治区みたいな地域をどんどん作るという戦略をすぐ行動に移すべきなんだよ」「うまく波及すれば、日本はODAを北京ではなく、もっと効果的なところに入れられるし、中国の国内分裂の動きを加速させることができる」「分裂させなきゃいけないんだよ。少しでもその作用に日本は手を貸してやるべきだし、分裂前後のイニシアチブもとらなければならない」(2000年3月号『諸君』)
●「日本はアメリカの金融奴隷」
「アメリカにこんなに虐げられている日本は、まさにアメリカの金融奴隷だ。何でそんなにアメリカに対してびくつくのか。安保を気にすることはない。文句があるなら米軍に出ていってもらえばいい。現在の日本は、軍事面の技術も予算も他に劣らぬものがあるのだから、自分の金と力で、強力な自衛国家になればいい」「そしてアメリカが最も恐れていることをやればいい。(日本が買っている300兆円ぐらいの)米国債を売りに出せばいい。そうすると、日本が世界大恐慌の引き金を引くと非難されるだろうが、原爆を落とされたのだから、今度は日本が原爆を落としてもいいような話しだ」「日本の米国債処分で、世界経済は一度沈むだろう。沈んだときに、どこが最初に立ち直るか? きちっとしたモノを作れる日本や東アジアの国々が必ず優位になる。つまり、アメリカも認めるモノ作りNO1の国である日本こそが、生き残るのだ。そして東アジア諸国は、モノを作る技術もあり教養水準も高いので、まさに『大東亜強円圏』が誕生するだろう」(1999年12月号『現代』)