COMMUNE 2001/7/01(No307 p48)

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No307号 2001年7月号 (2001年7月1日発行)

定価 315円(本体価格300円+税)

〈特集〉 「つくる会」教科書の採択阻止

□歴史歪曲と戦争賛美の皇国史観の歴史教科書
□忠誠心と国防の義務をたたき込む公民教科書

アピール 教育改革関連法案を粉砕しよう
●資料/教育改革関連法案--学校教育法・社会教育法・地方教育行政法

 ニューズ&レビュー   休載

    動労千葉ストに決起

三里塚ドキュメント(4月) 内外情勢(4月) 日誌(3月)

 羅針盤 小泉反革命の正体

 4月中旬以降の日本の政治の変化は、戦後史の中でも例を見ない激しさだった。森喜朗の辞任表明の後、自民党総裁選では大方の予想は第一派閥の橋本派から橋本が選出されるものと言われていた。そして自民党の末期的危機もここに極まったと思われた。事実、そのまま橋本が総裁になっていたら、自民党に対する怒りが爆発して次の都議選でも参院選でも自民党は大敗し、回復不可能な崩壊的危機を迎えていただろう。小泉が全国の自民党員の中で他を圧する支持で総裁に押し上げられたのは直接には、自民党員自身の中にある大衆的な危機感がそうさせたということであろう。だが、根本的には、日帝の体制的危機が政治危機として爆発したのであり、その危機は過ぎ去ったのではなく、依然として大きく横たわっているのである。
 小泉政権が発足して、その支持率が80%台、90%台のかつてない数字を示しており、「小泉現象」と言われるものになっている。これは、森内閣の最後の局面が7%やそれ以下と言われたことの反動で、「自民党の解体的出直し」「自民党を変える」と叫んでいることに何か現実性があるかのような幻想をあおっていることから生まれているものだ。野党特に民主党などが「聖域なき構造改革」などの小泉のスローガンに圧倒され、なんら反論できないでいることも重大な要因だ。実際に小泉の改革が実施されれば、大リストラと中小企業倒産、大矢業になることは明白である。また、小泉が何をやろうと、今日の日帝の経済は過剰資本・過剰生産力、不良債権、財政赤字のどうにもならない死重から解放されることはないのである。
 小泉政権の本質は、改憲と戦争の極右反動政権である。所信表明演説に示されるように小泉内閣は「地球規模の競争社会」を強調し、米帝との帝国主義間争闘戦に身構えた内閣である。小泉は自民党総裁選の過程から、憲法9条の改憲を主張し、集団的自衛権の必要を語り、「つくる会」歴史教科書を肯定して登場してきた。そして、首相就任後は、靖国神社に首相として参拝すると言明し、また「首相公選制」に限って憲法を改定すると語っている。靖国神社参拝は「外国から何と批判されようとやる」と強弁し、アジアの人民を再びじゆうりんしている。首相公選制は、憲法9条改悪の突破口であり、独裁政治の道である。「つくる会」教科書に対する韓国、中国政府の再修正要求にも小泉は「変えるつもりはない」と居直っている。
 こうした小泉が「現状変革」の幻想を与え、閉塞を打ち破ってくれるのでは、という期待を集めて、異常な高率の支持を得ていることは、一方では野党の屈服によるものだ。民主党はもとより、社民党も日本共産党も改憲と戦争の小泉政権と対決する勢力ではない。何よりも今日の状況は、在日朝鮮・中国人、闘うアジア人民が、身の危険を感ずるような民族排外主義の噴出の危機をはらんでおり、日本人民としてそれとの対決は死活的である。今や、右からの現状打破か、革命的労働者党の鮮明な登場か、が問われている。この時、極右小泉政権とファシスト石原都政と真っ向から対決して、労働者人民の闘いの先頭に立つ候補として、都議会議員選挙にけしば誠一氏が立っていることは決定的なことである。けしば氏の勝利こそ、改憲と戦争、大リストラと大増税に突き進む小泉を倒す労働者人民の闘いを切り開くのだ。    (た)

 

 

翻訳資料

 資料

 教育改革関連法案(抄、【 】内は編集部)

 学校教育法の一部を改正する法律案

 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。

【奉仕活動の義務化】

 第十八条の次に次の一条を加える。
第十八条の二 小学校においては、前条各号に掲げる目標の達成に資するよう、教育指導を行うに当たり、児童の体験的な学習活動、特に社会奉仕体験活動、自然体験活動その他の体験活動の充実に努めるものとする。この場合において、社会教育関係団体その他の関係団体及び関係機関との連携に十分配慮しなければならない。
【この規定は、中学、高校にも準用される(第五十一条の九第一項、第四十条)】

【出席停止】

 第二十六条を次のように改める。
第二十六条 市町村の教育委員会は、次に掲げる行為の一又は二以上を繰り返し行う等性行不良であつて他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる。
 一 他の児童に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為
 二 職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為
 三 施設又は設備を損壊する行為
 四 授業その他の教育活動の実施を妨げる行為
 市町村の教育委員会は、前項の規定により出席停止を命ずる場合には、あらかじめ保護者の意見を聴取するとともに、理由及び期間を記載した文書を交付しなければならない。
 前項に規定するもののほか、出席停止の命令の手続に関し必要な事項は、教育委員会規則で定めるものとする。
 市町村の教育委員会は、出席停止の命令に係る児童の出席停止の期間における学習に対する支援その他の教育上必要な措置を講ずるものとする。
【現行第二十六条(「市町村の教育委員会は、性行不良であつて他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる」)よりも具体的にして、出席停止を現実に推進する狙い】
【飛び級の布石 大学入学年齢制限の撤廃】
 第五十六条に次の一項を加える。
  前項の規定にかかわらず、大学は、文部科学大臣の定めるところにより、高等学校に文部科学大臣の定める年数以上在学した者(これに準ずる者として文部科学大臣が定める者を含む。)であつて、当該大学の定める分野において特に優れた資質を有すると認めるものを、当該大学に入学させることができる。

【同右の大学院版】

 第六十七条に次の一項を加える。
 前項本文の規定にかかわらず、大学院を置く大学は、文部科学大臣の定めるところにより、第五十二条の大学に文部科学大臣の定める年数以上在学した者(これに準ずる者として文部科学大臣が定める者を含む。)であつて、当該大学院を置く大学の定める単位を優秀な成績で修得したと認めるものを、当該大学院に入学させることができる。

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。

【教育委員会の発議の密室化】

 第十三条第三項中「議事は」の下に「、第六項ただし書の発議に係るものを除き」を加え、同条第四項中「又は」を「若しくは議事又は第六項ただし書の発議に係る」に改め、同条に次の二項を加える。
6 教育委員会の発議は、公開する。ただし、人事に関する事件その他の事件について、委員長又は委員の発議により、出席委員の三分の二以上の多数で議決したときは、これを公開しないことができる。

【討論なしの採決の義務化】

7 前項ただし書の委員長又は委員の発議は、討論を行わないでその可否を決しなければならない。
 第十九条中第八項を第九項とし、第七項の次に次の一項を加える。
8 教育委員会は、事務局の職員のうち所掌事務に係る教育行政に関する相談に関する事務を行う職員を指定し、これを公表するものとする。

【「不適格教員」の免職】

 第四章第二節中第四十七条の三を第四十七条の四とし、第四十七条の二を第四十七条の三とし、第四十七条の次に次の一条を加える。
 (県費負担教職員の免職及び都道府県の職への採用)
第四十七条の二 都道府県委員会は、地方公務員法第二十七条第二項及び第二十八条第一項の規定にかかわらず、その任命に係る市町村の県費負担教職員(教諭、養護教諭、助教諭及び養護助教諭(同法第二十八条の四第一項又は第二十八条の五第一項の規定により採用された者(以下この項において「再任用職員」という。)を除く。)並びに講師(再任用職員及び非常勤の講師を除く。)に限る。)で次の各号のいずれにも該当するもの(同法第二十八条第一項各号又は第二項各号のいずれかに該当する者を除く。)を免職し、引き続いて当該都道府県の常時勤務を要する職(指導主事並びに校長、園長及び教員の職を除く。)に採用することができる。
 一 児童又は生徒に対する指導が不適切であること。
 二 研修等必要な措置が講じられたとしてもなお児童又は生徒に対する指導を適切に行うことができないと認められること。
2 事実の確認の方法その他前項の県費負担教職員が同項各号に該当するかどうかを判断するための手続に関し必要な事項は、都道府県の教育委員会規則で定めるものとする。
3 都道府県委員会は、第一項の規定による採用に当たつては、公務の能率的な運営を確保する見地から、同項の県費負担教職員の適性、知識等について十分に考慮するものとする。
4 第四十条後段の規定は、第一項の場合について準用する。この場合において、同条後段中「当該他の市町村」とあるのは、「当該都道府県」と読み替えるものとする。

 社会教育法の一部を改正する法律案

 社会教育法(昭和二十四年法律第二百七号)の一部を次のように改正する。

【学校・家庭への干渉強化】

 第三条に次の一項を加える。
2 国及び地方公共団体は、前項の任務を行うに当たつては、社会教育が学校教育及び家庭教育との密接な関連性を有することにかんがみ、学校教育との連携の確保に努めるとともに、家庭教育の向上に資することとなるよう必要な配慮をするものとする。

【奉仕活動の推進】

 第五条中「左の」を「次の」に改め、同条第十四号中「第三条」を「第三条第一項」に改め、同条中同号を第十六号とし、第十三号を第十五号とし、同条第十二号中「視覚聴覚教育」を「視聴覚教育」に改め、同条中同号を第十四号とし、第十一号を第十三号とし、第十号を第十一号とし、同号の次に次の一号を加える。
 十二 青少年に対し社会奉仕体験活動、自然体験活動その他の体験活動の機会を提供する事業の実施及びその奨励に関すること。