COMMUNE 2003/07/01(No329 p48)

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7月号 (2003年7月1日発行)No329号

定価 315円(本体価格300円)


〈特集〉 特集/有事立法は北朝鮮先制攻撃法

口暴かれたブッシュのイラク戦口実のデタラメ
口「専守防衛」から先制攻撃へ大転換する自衛隊

●討議資料/ 日本経済団体連合会新ビジョン (奥田ビジョン)
●資料/ ブッシュ開戦演説と小泉の支持表明
●翻訳資料/ アメリカの中東植民地化政策  
「中東自由貿易圏構想」と「中東和平のロードマップ」
ニューズ&レビュー 休載 

    有事法案衆院通過弾劾

三里塚ドキュメント(4月) 内外情勢(4月) 日誌(3月)

コミューン表紙

 参院段階の決戦へ

 小泉と民主党の菅代表の党首会談で、有事法制の修正合意が行われ、衆議院の特別委員会と本会議での採決が強行された。この協議によって、法案に「基本的人権」が盛り込まれたなどと言っているが、そもそもこの法律は、北朝鮮に対する武力行使を憲法を踏みにじって強行するための法律であり、こんな修正は何の意味もない。侵略戦争を行って、北朝鮮の人民を何十万人、何百万人と虐殺して、何が「基本的人権」かということだ。また、戦争のために自治体労働者や、運輸労働者などの権利を踏みにじって戦争動員しておいて、「基本的人権」もないものだ。日本共産党や社民党もなんらなすすべもなく採決に従った。この裏切りと屈服をのりこえて、参院段階の法案阻止闘争を大爆発させなければならない。

 今国会では、有事法制を始めとして、戦争国家づくりのための法案が目白押しだ。事態の重大さは戦慄すべきものがある。有事立法の第4法案ともいうべき報道・言論規制法=個人情報保護法案(関連5法案)、相談しただけで実行行為がなくても逮捕できる共謀罪の新設法案、「精神病者」を隔離・収容・抹殺する保安処分新法=心身喪失等医療観察法案、難民排除を貫こうとする入管法改悪、そして解雇原則自由・労働基本権剥奪・団結権破壊の労働法制改悪(労働基準法改悪、労働者派遣法改悪、職業安定法改悪など)といった大攻撃が次々と今国会で強行されようとしている。また、中教審答申にのっとって教育基本法改悪も今国会に出されようとしている。戦時下の大攻撃のラッシュと全力で闘いを構えなければならない。

 米帝(米英日帝)のイラク侵略戦争は、米帝がイラクの資源を独占し、中東を支配するための戦争であったことが、ますます鮮明になっている。米帝は、イラク人民の反米決起を力ずくで圧殺してイラクを軍事占領し、植民地支配しようとしているのである。米帝は、イラクを軍事的に制圧したことを拠点にフランス、ドイツなどに既成事実を確認させ、争闘戦を一層強めている。そして、シリアや北朝鮮への侵略戦争を拡大しようとしている。ブッシュ・ドクトリンの世界戦争計画、先制攻撃戦略が、米帝の危機の中でごり押しに推し進められているのだ。何よりも、米帝は北朝鮮・金正日スターリン主義の核開発路線を口実とし、えじきとして、襲いかかろうとしている。有事立法決戦は、この戦争と真っ向から対決する闘いである。

 闘いの前進は、諸党派の本性を人民の前にさらけだすものとなる。日本共産党が有事立法に反対する理由は、「アメリカの戦争に日本が巻き込まれていくものとなる」というもので、逆に「日本の自衛の戦争だったら賛成する」思想でしかない。あたかも北朝鮮に戦争の原因があるかのような議論をして、日本政府に「北朝鮮を説得しなさい」と要求する。だが、問題はまずもって有事立法が北朝鮮に対する戦争計画であることにあるのではないか。日共はまったく転倒しているのだ。また、ファシスト・カクマルも、有事立法が北朝鮮侵略戦争法案であることを絶対に言わず、そのことで自らの政治的混迷を深めている。黒田・中央派と松崎・JR総連派に分裂したカクマルは、それぞれの内部に再度の分裂を生み出し、進退きわまっているのだ。これらの反革命勢力を打倒し、のりこえて、大衆的大運動をつくりだそう。(た)

 

 

翻訳資料

  ●翻訳資料

 アメリカの中東植民地化政策

 「中東自由貿易圏構想」と「中東和平のロードマップ」

 村上和幸訳 

 【解説】

 この4、5月、アメリカの新中東戦略があいついで発表された。ここに翻訳した「中東自由貿易圏」構想と、「イスラエル・パレスチナ和平のロードマップ」だ。
 前者では経済的側面を主に、後者では政治・軍事的側面を主にして述べられ、両者一体となってアメリカの新たな中東植民地化戦略となっている。

1 アメリカブロックとして中東を囲い込む「中東自由貿易圏」

 翻訳資料の@は、中東自由貿易圏についての資料だ。
 モロッコなど北アフリカ諸国を含む中東諸国とアメリカとの二国間自由貿易協定(FTA)の締結を進めるという。「二国間」ということは、°排他的″ということだ。そして商事法や司法制度などをアメリカの制度に一体化する。米資本の中東展開を促進し、また違った法体系、司法制度の下にあるEU・日本の資本の展開に障壁を作るためだ。こうして地域全体をアメリカブロックとすることが公然と宣言されたのだ。これは、次のようなイラク侵略戦争・占領支配強行の脈絡の中で出された。
 米英帝は5月9日、「イラク制裁解除」と称する決議案を国連安保理に提出した。これまで制裁解除の条件とされてきた大量破壊兵器の解明の棚上げと、イラクの石油売却代金の米帝による支配が主な狙いだ。
 石油代金の管理を米帝が握れば、その直接の利権だけでなく、石油取引をドル建てに戻すという戦略的目標にかなう。
 また、イラクの中央銀行を爆撃で破壊して通貨発行機能を奪ったうえで、ドルを流通させようという政策が行われている。公務員給与のドルでの支払いがすでに始まっている。
 イラク「復興事業」では、米資本が一方的に指名されて受注している。これらの資本は、チェイニー副大統領が就任直前までCEO(最高経営責任者=社長)であったハリバートン社をはじめ、ブッシュ政権と密接な関係がある。
 米帝は、帝国主義支配階級の戦略的な利益からも、非常に直接的な利権からも、イラクを植民地化しようとしている。国連に対して、米英軍のイラク占領を一年間認めよと迫っているそばで、ラムズフェルドは、
 「一年間は始まりにすぎない」
と公言している。長期にわたって占領し、典型的な植民地にしようとしている。
 このように、イラクを植民地とし、イラク石油を支配し、軍事拠点とすることによって、中東全体をアメリカが排他的に支配する貿易市場、資本市場として再編し、支配しようとしている。

2 パレスチナ自治政府の解体・再編と解放闘争の圧殺狙う「ロードマップ」

 翻訳資料のAには、パレスチナ民族解放闘争をどのようにして圧殺しようとしているかが述べられている。これは、「中東自由貿易圏」が、中東人民の闘いの超暴力的な圧殺のうえにしか成り立ちえないことを示している。中東人民の闘いの基軸中の基軸にパレスチナ問題があるのだ。
 この資料を一読してわかるように、ここにはイスラエルとパレスチナを仲介するという見せかけのかけらもない。一方的にパレスチナ側に闘争への弾圧の徹底を求めている。イスラエルは「建国」時のパレスチナ人追放の責任を負わないばかりか、国連でさえ国際法違反としている67年のガザ、西岸占領の責任も負わない。求められる「譲歩」とは、せいぜい、00年秋以後に占領した地域からの撤退、パレスチナのカイライ議会に出席する人物の移動を妨げないために、道路封鎖、検問などを少々緩めることぐらいしかない。
 しかも、パレスチナ側には厳格な義務が課せられ、義務履行の点検システムが規定されているが、イスラエルには、努力目標があるだけだ。
 要するに、《パレスチナ人が悪いから中東紛争がある――だから、パレスチナ改革が必要だ、イスラエルもそれを援助してやれ》ということだ。
 米帝は、もっとも躊躇なくパレスチナ人民を弾圧できる人物としてアッバスを選び、「新首相」として押し付けた。アッバスが新内閣の治安担当国務相として推したダハラン前パレスチナ治安警察長官(ガザ地区担当)こそ、パレスチナ人民に暴虐きわまる弾圧を加えた人物だ。
 パレスチナ人民はもとより、パレスチナ自治政府内に強くあった反アッバスの動きを押し切って4月30日に彼が首相に就任した直後、「ロードマップ」が米帝によって発表された。その経過に、この文書の本質がもっともよく示されている。
 帝国主義とイスラエルに追放された450万の難民の帰還を求めるパレスチナ・中東人民は、「ロードマップ」によってさらに怒りを燃え上がらせるであろう。連帯して、首都圏100万をはじめとする労働者人民の決起を日本で実現しよう。

 アメリカの強引さの物質的根拠

 なぜ、ブッシュ政権はこれほど強引に、100パーセントの屈服をパレスチナ人民に求めるというめちゃくちゃな「ロードマップ」を作らねばならないのか。
 なぜ、これほど強引にイラク攻撃を強行し、再植民地化を進めるのか。
 今後、戦争はどう拡大していくのか。これを支持し、参戦した日本帝国主義・小泉は、有事立法で何をしようとしているのか。
 このような問題に迫っていくためには、帝国主義の物質的利害を軸にして考えていかねばならない。というのは、国家が、全力で行っている政策には、その国家の支配的な利害が貫かれるからだ。
 それでは、アメリカ帝国主義の支配的な物質的利害とは何か。イラク侵略戦争、そしてイラク占領支配、中東自由貿易圏へとつき動かしているものか何か。
 それは、アメリカの破産の切迫であり、また米国内と全世界での人民の闘いの高まり――アメリカ帝国主義の世界支配の危機だ。

 アメリカ破産の切迫

 強大なアメリカが世界を飲み込もうとしている、と現在の情勢を見る人も多い。たしかに、イラク・フセイン政権などと比較すれば、米帝が圧倒的に強大だ。しかし、強大さだけに注目することは、事態を逆に見ることになる。
 米帝は没落している。実質的に破産している。これが事態の核心だ。
 02年のアメリカの経常収支の赤字は5000億jを超えた。1ドル=120円と概算しても60兆円だ。近年、4000億j、4500億jと、赤字が雪だるま式に拡大している。
 つまり、生産し、輸出する額を大幅に超えて輸入し、消費している。その差額は借金だ。海外投資の収益と外国による対米投資の収益のバランスも赤字が拡大している。
 問題は、こうした年ごとの借金にとどまらない。当然、借金は累積している。
 年々の経常収支の赤字額は、新聞等で報道されている。しかし、アメリカの累積債務の総額がいくらかは、90年代に入ってから、ほとんど目立った報道はされなくなった。直視するには恐ろしすぎる数字になっているということだ。絶対に返済できない額、踏み倒す以外にはない額なのだ。(昨年末の公式統計で2兆3千億jという数字があるが、どうみてもこれは過小だ。実態は7兆jを超えるという試算もある)
 かつて大恐慌とブロック化の情勢の中で、ドイツは東欧諸国との間で精算協定を結んだ。これによって、金やドルなどの裏づけがなくても、東欧とドイツの間では貿易が成り立った。ドイツが貿易赤字となる構造であったが、帳簿上東欧諸国が債権を貯めることができるかぎりは、貿易として成り立った。だが、ナチス・ドイツは返済不能となるまでに膨れた対東欧債務問題を東欧侵略戦争という形で「解決」した。今や米帝の累積債務も、暴力的な「解決」以外には出口がないところまで膨張している。
 借金が累積して返済不能になると、一般の会社なら破産だ。国家でも同じことだ。しかし、ドルは世界の基軸通貨だから、今までは、直接にはアメリカの破産は表面化しなかった。つまり、ドルが世界の貿易、投資・投機、外貨準備に使われているかぎり、アメリカは、自国の国内通貨で対外的な支払ができるという特殊な利益を受けてきたのだ。
 空前の借金国であるアメリカの通貨が基軸通貨でありつづけられる根拠は何か。
 たしかに、ドルに代わる基軸通貨になりうる圧倒的な通貨が存在しないという問題はあった。だから、ドルを基軸通貨としつづけねばならなかったという側面はあった。また、日銀、生保を始めとする世界の機関が保有するアメリカ国債などは巨額すぎて、売るに売れないという側面もあった。
 だが、こうした消去法による基軸通貨ドルの延命にも限界がある。ユーロという、米経済に匹敵する規模を持つEUを背景にした通貨が登場し、そしてEUは、さらに東欧に拡大していく。
 結局は、ドルの基軸通貨としての地位を支えてきたのは、軍事力を始めとした世界支配力だ。そして、それ基礎にした石油支配だ。従来は、世界の石油資源は、米系石油メジャーが圧倒的に支配してきた。そして、OPECの石油取引、非OPEC産油国の石油取引はドル建てで行われる決まりになってきた。OPEC諸国のドル建て外貨準備の蓄積は、米国債相場等の下支えになってきた。ドル以外では石油が買えない仕組みの他国への強制は、ドルの基軸通貨としての地位を最後の一線で守ってきた。
 だが、OPECに対する米帝メジャーの支配力は近年大きく後退してきた。そしてイラク・フセイン政権は00年に石油取引をユーロに転換した。イランもユーロへの転換をOPECに提言しだした。ベネズエラは、中南米諸国との間で石油と他商品とのバーター取引(通貨を介さない取引)を始めた。
 ドルが基軸通貨でなくなる事態、つまりアメリカ破産が一挙に表面化する懸念が、もはや想定上のものではなく、現実味ある懸念として浮かび上がってきたのだ。
 だから米帝は、自己の延命をかけて必死なのだ。米帝全体も必死であり、また個々の資本も、エンロン、ワールドコム事件にみるように、破産の瀬戸際であって、なりふりかまっていられない。
 イラク戦争の先頭にたって共に戦った、米帝にとって最高の功労者であるはずの英帝にさえ、米帝は、イラク復興需要や石油利権の分け前をほとんど与えていない。英帝の離反を招きかねないほどに超利己的になっているのは、米帝の危機のあまりの深さのためだ。
 この問題の根本にある年々の赤字も、累積赤字も、その最大の要素は対日赤字プラス日本資本のアジア拠点との取引での赤字だ。米帝にとって、日帝との対立は深刻なものだ。米帝は、EUとの対立とともに、それ以上に日帝と対立しており、そうした帝国主義間の争闘戦に暴力的に勝利するために、イラク・中東の勢力圏化、植民地化を強行しているのだ。

 暴かれた「大量破壊兵器」の大ウソ

 これまでの歴史のなかでは、いかなる侵略戦争でも、国民と兵士を動員するために、それなりにもっともらしい理由づけが行われてきた。だが、今回は、極端に粗暴に行われ、開戦前から本当の戦争目的が圧倒的な大衆に見抜かれている。占領情勢は、さらに戦争目的の不正義を自己暴露している。
 イラク攻撃の前に、米英日の帝国主義者が大騒ぎした「大量破壊兵器」はどうなったのか。いまだに見つからないではないか。
 米英日帝国主義は、次のように大量破壊兵器の証拠があると言い張って戦争を強行した。
 「われわれは、この〔フセイン〕体制がマスタードガス、サリン神経ガス、VX神経ガスなど数千トンの化学剤を持っていることを知っている。またサダム・フセインは、化学兵器を使った経験を持っている。…そして、偵察写真で、この体制が化学・生物兵器を製造するために使われた施設を再建していることが暴露された」(02年10月7日、ブッシュ演説)
 「われわれは、禁止された物質が、イラクの大量破壊兵器施設から最近移動されたことを示す衛星写真も持っている。……ひとつを見てみよう。これは、タジという場所の弾薬施設のものだ。これはイラクのこうした65の施設のうちのひとつだ。われわれは、ここには化学兵器が収納されていることを知っている。…ここに、黄色と赤の輪郭がある15の弾薬庫が見える。4つの赤い四角形のものは、化学兵器弾薬庫を示している」(パウエル2月5日国連安保理演説)
 今、米英がイラクを占領している。それなのに「大量破壊兵器」は見つからない。もはや、誰が考えても、これがデッチあげの戦争の口実だったことは明々白々になった。もう、「フセインが査察を妨害しているから査察団には見つからない」という開戦前の言い訳は通用しない。
 衛星写真で場所が特定されたはずの兵器は、どこに行ったのか。化学兵器だけで「数千トン」にのぼる大量の物質を、米軍ご自慢の偵察衛星による監視から逃れて、どうやって移動して隠したり、廃棄したりできるのか。
 アメリカ帝国主義の利害を代表する『ニューヨークタイムズ』紙は、「大量破壊兵器未発見」についての人民の批判が盛り上がるたびに、「生物兵器開発用の移動実験車が発見された」等々の記事を掲載した。これらはすぐ後にデマであったことが発覚しているが、大見出しで「発見」を報じ、訂正記事は小さく載せるというやり方をとっている。だが、そうした世論操作の手法も限界に近づいている。何より、戦闘を強いられた兵士の間での疑問の声が日に日に高まっている。戦場の恐怖や劣化ウラン被曝などによる戦争後遺症の恐怖に直面しながらも、「大量破壊兵器の脅威を取り除くため」として無理やりに自分に言い聞かせて戦争に耐えてきた兵士も少なくない。それが、今や大量破壊兵器など主要な問題ではなかったかのように扱われていることに不満をつのらせているのだ。
 イギリスのストロー外相は、BBCの番組で、大量破壊兵器が発見できていないことを問われ、
 「それは決定的に重要なことではない」
と口走った。(5月14日)
 むろん、開戦時には別のことを言ってイラク人民虐殺をあおっていたのだ。
 「サダム・フセインは1万リットルの炭疽菌兵器……を持っている」「これらの兵器は、使用命令後45分以内に配備できる」(2月21日、ストロー)
 今、帝国主義は、イラクが敗戦前にあるいは戦争突入前にこれらの兵器を隠したり、廃棄したりしたから発見できないと言い訳する。だが、「45分以内に配備できる」状態の兵器を、しかも1種類だけで1万リットルもある大量の兵器をどうやってあわただしい時期に隠蔽・廃棄できるのか。米英軍の攻撃で指揮系統が破壊されている中で、どうやって遠方に配備された大量の兵器を一糸乱れずに処分できるのか。
 日本帝国主義・小泉は、米英帝国主義の「大量破壊兵器」デマを積極的に支持し、自衛隊をアラビア海(実際上はペルシャ湾にまで入っている)に送った。
 それだけではない。
 「危険な大量破壊兵器が危険な独裁者の手に渡ったならどんなことになるか、それはアメリカ国民だけでなく日本国民にとっても重大問題だ」
と小泉が国会や記者会見で繰り返し発言したことは、イラク侵略戦争だけではなく、北朝鮮侵略戦争の準備のための扇動でもある。
 「大量破壊兵器の脅威」がデマだったことは米英軍のイラク占領の事実によってますますはっきりした。「大量破壊兵器」問題はイラク先制攻撃を正当化した唯一の理由づけだった。このデマで、おびただしいイラク人が殺され、傷ついた。劣化ウランやクラスター爆弾で生活環境がおそるべき破壊をこうむったのだ。徹底的に追及しよう。次々に別のテーマに乗り移る帝国主義マスコミの手法を許してはならない。

 @ブッシュ「中東自由貿易圏」を主張

 5月9日、サウスカロライナ大学での演説

〔前半省略〕
 アメリカは、中東全体で、諸政府や改革者と協力している。われわれは、中東パートナーシップ活動を通じて、きずなを強めている。さらなるステップとして、パウエル国務長官とゼーリック通商代表は、来月ヨルダンでこの地域のリーダーたちと会い、経済的、政治的、社会的な前進のための議題について討議することになっている。前進のためには、貿易の拡大が必要だ。これが経済開発のエンジンなのだ。
 アラブ諸国全体のGDPの合計は、スペインのGDPより小さい。そこの人びとのインターネットへのアクセスは、サハラ以南のアフリカの人びとよりも少ない。アラブ世界は偉大な文化的伝統を持っているが、この時代の経済的な進歩をほとんど得そこなっている。世界中で自由市場と貿易が貧困を打ち破り、自由の習慣を人びとに教えてきた。であるから、私は、米・中東自由貿易圏を10年のうちに設立することを提案するのだ。この自由貿易圏は、中東を、機会拡大の循環の中に入れ、この地域に住む人びとに希望を与えるものだ。
 われわれは、パートナーとともに協力し、中小企業が資本へのアクセスを持てるように保証し、また、この地域における基本的な所有権法と良好なビジネス慣行を作り出す活動を支援していく。腐敗と資金流用に自由市場と公正な法律が取って代わることによって、中東の人びとは、繁栄と自由のうちに成長していくであろう。
 経済の諸機会のうちのほとんどには、それを作るためにより広範でより良い教育が必要だ。とりわけ、もっとも不利な女性にはそれが必要だ。われわれは、アフガニスタン、モロッコ、イエメンでの同様の活動のうえにたって、少女と女性の識字力を改善するために行動していく。初級読本のアラブ語への翻訳のための資金などを提供し、またそうした本をこの地域の小学校に寄付していく。
 そして、結局は、経済的成功も人間の尊厳も、法の支配と公平な司法にかかっているのだ。したがってアメリカは、バーレーン政府とともに、地域の司法改革会議を後援していく。私は、最高裁判事サンドラ・デイ・オコナー※がこの作業をリードしていくことを引き受けたことをうれしく思っている。 ※〔2000年、フロリダ州の不正選挙を許容してブッシュを「当選」させた連邦最高裁判事の一人。レーガンに任命された〕
 貿易が拡大し、中東に知識が普及していくにつれ、女性が平等な地位と尊敬を得ていき、法の支配が根を下ろすにつれ、この地域のすべての人びとが司法の新時代、繁栄の新時代を経験するようになるであろう。
 数世代にわたって、中東でのもっとも悲劇的な問題は聖地での紛争だった。しかし今、イラクの解放によって、パレスチナ人たちの新たな指導部によって、ムバラク大統領やアブダラ皇太子のようなリーダーの努力によって、平和の希望がよみがえってきた。
 パレスチナ人たちがテロを取り締まる具体的な措置をとり、平和・改革・民主主義への道を歩みつづけるならば、彼らと全世界は、パレスチナの旗が自由で独立した国の上に掲げられるのを見ることになるであろう。
 この紛争のすべての側が、義務を負っている。イスラエルはパレスチナ人の苦しみを今やわらげる具体的な措置をとり、彼らの尊厳への尊重を示さねばならない。そして、平和への前進が行われるなかで、イスラエルは占領地での入植活動を停止せねばならない。アラブ諸国は、あらゆる形態のテロとの戦いをせねばならない。そして、イスラエルがユダヤ人国家として隣人たちとともに平和のうちに存在するあらゆる権利を、承認し、それをきっぱりと明瞭に声明せねばならない。
 中東での前進への道は、ミステリーではない。意志とビジョン、そして行動の問題なのだ。前進への道は、過去の報復ではなく、生きることの利益のために尽力していくことにかかっている。
 この機会をつかまえるために、私は、パウエル国務長官を中東に送り、すべての当事者に彼らの責任をはたすようよびかけていく。パウエル国務長官は、今夜、この任務のために出発する。彼は、アメリカは2つの国家、すなわち隣り合って安全と繁栄と平和のうちに生活するイスラエルとパレスチナを実現するために疲れを知らずに働くという私の約束をたずさえていく。
 諸君は、わが国の歴史的時期に生きている。20カ月前にアメリカが攻撃された時、多くの人が恐怖とテロの時代が到来したと考えた。しかし世界は、まったく違うことを見るにいたっている。アメリカは、どこで脅威が高まろうとも、重大な脅威と戦っていく。
 われわれは、恨みではなく希望のうちに成長していく中東の建設を援助する決意だ。この国には理想と決意があるのであるから、諸君と私はテロの時代に生きてゆくのではない。われわれは自由の時代に生きてゆく。……
 諸君に神のご加護がありますように。アメリカに神のご加護がありますように。

 中東自由貿易圏構想の「ファクトシート」

 5月9日発表、大統領府

……
 中東自由貿易圏を10年以内に設立する。イスラエル及びヨルダンとのわが国の自由貿易協定(FTA)を基礎にして、米国は次の段階的な措置をとってゆく。
▼改革を進める国のWTO加盟を助ける。
▼貿易・投資制度の改善を決定した政府と二国間投資条約及び貿易・投資枠組協定を交渉する。
▼今年末までにモロッコとのFTA交渉を完了する。
▼議会と協議のうえ、高度の基準と包括的自由貿易協定を約束する政府と新たな二国間FTAを立ち上げる。
▼貿易能力構築への援助を提供し、諸国が世界貿易システムへの統合から利益を得られるようにする。
 地域のパートナーとは次のように協力する。
▼中小規模の企業の資本へのアクセスを助け、雇用を創出するために中東金融施設を設立する、
▼商法を改革し、貿易・投資環境を改善し、また米国と中東のロースクールと法律家の協力による新たな商法〔改革〕活動及び企業間接触を通して所有権を強化する。
▼財政の透明性を高め、腐敗との闘いを支援し、そして国際的な最善の慣行に基づいて金融部門改革を支援する。
 教育及び知識を高める。
……〔略〕
 自由と司法の強化
……〔略〕

 Aイスラエル・パレスチナ紛争の永続的二国家解決のための実績ベースのロードマップ

 4月30日発表「四者」(米、EU、国連、ロシア)による「中東和平」案

 以下は、実績ベースで目標主導のロードマップ〔行程表〕だ。「四者」の後援の下で、2つの当事者の政治・安全保障・経済・人道・機構創設の諸分野の相互の措置の前進について、明確な段階区分、スケジュール、目標期日、達成基準をそなえたロードマップだ。行程の目的地は、イスラエル・パレスチナ紛争を2005年までに最終的かつ包括的に和平合意するということであり、ブッシュ大統領が〔02年〕6月24日の演説で発表し、7月16日と9月17日の四者閣僚声明においてEU、ロシア及び国連に歓迎されたものだ。
 イスラエル・パレスチナ紛争の二国家解決は、暴力とテロリズムの終結によって、パレスチナ人がテロに断固反対の行動をし寛容と自由にもとづく民主主義の実践を作り出すことができる指導者を持つことによって、そしてイスラエルが民主主義的パレスチナ国家建設に必要なことを行うイスラエルの意志によって、そして以下に記す交渉による解決の目標の両当事者による曖昧さのない受諾によって、はじめて達成される。
 四者は、両当事者間の直接討議を始めとする第一段階から、この計画の実施を容易にするために支援していく。この計画は、現実的な実施期日を設定している。しかしながら、実績ベースの計画として、前進のためには当事者の誠実な努力と以下に述べる各々の義務の順守が必要なのだ。当事者が自己の義務を速やかに実施するならば、この計画に示されているよりもそれぞれの段階における前進は早まるであろう。
 当事者間で交渉される和平合意は、独立した、イスラエルや他の隣国と協力して生きていく民主的で存続性あるパレスチナ国家の出現ということになるであろう。その和平合意は、マドリッド協議、国連安保理決議第242号・338号・1397号の原則、両当事者がこれまでに行ってきた諸合意、及びサウジのアブドラ皇太子の包括的和平の中でイスラエルを平和と安全のうちに生活する隣国として承認することを呼びかけた提案――ベイルートのアラブ連盟首脳会議で承認された――に基づいてイスラエル・パレスチナ紛争を解決し、1967年に始まった占領を終了する。皇太子の提案は、シリア・イスラエルの路、レバノン・イスラエルの路を含むあらゆる路を通して包括和平を推進する国際的努力の不可欠の部分なのだ。
 四者は、両当事者の計画実施の実績を評価するために高官レベルで定期的に会合していく。それぞれの段階で、両当事者は、他に規定されていないかぎり、自己の義務をそれぞれが平行して実施していくことが期待される。

 第一段階 テロと暴力の終結、パレスチナ人の生活の正常化及び2003年に存在するパレスチナの諸機構の建設

 第一段階において、パレスチナ人は以下に概略する措置に従って直ちに暴力の無条件停止を行う。この停止行動には、イスラエルによって行われる支援措置が伴う必要がある。パレスチナ人とイスラエル人は、「テネット案」※にもとづく治安協力を再開し、パレスチナ治安機関の再編と効率化によって暴力・テロリズム・扇動を終わらせる。パレスチナ側は、国家としての地位を得るための準備として包括的な政治改革を行っていく。それにはパレスチナ憲法の起草やそれらの諸措置を基礎にした自由・公正・開放的選挙が含まれる。イスラエルは、パレスチナ人の生活の正常化を助けるあらゆる必要な措置を行う。イスラエルは2000年9月28日以後に占領したパレスチナ地域から撤退し、両者は、安全保障の実績と協力が前進するにしたがってその時点の原状を回復する。イスラエルは、ミッチェル報告にのっとってあらゆる入植活動を凍結する。※〔01年6月にCIA長官テネットが提示した「和平」案。本誌01年10月号特集参照(前進ホームページに再録)〕
 第一段階の開始にあたっては、
▼パレスチナの指導者は、イスラエルが平和と安全のうちに存在する権利を再確認し、武装活動とイスラエル人に対するあらゆる場所でのあらゆる暴力行為の即時無条件の停止を呼びかける、あいまいさのない声明を発表する。すべての公式のパレスチナ人の機構は、反イスラエル扇動を停止する。
▼イスラエルの指導者は、ブッシュ大統領が述べたようなイスラエルと共に平和と安全のうちに生きてゆく、独立した、存続性ある、パレスチナ主権国家の2国家ビジョンへのコミットメントを確認する、あいまいさのない声明を発表し、あらゆる場所でのパレスチナ人に対する暴力の即時停止を呼びかける。すべての公式のイスラエルの機構は、反パレスチナ人扇動を停止する。

安全保障

▼パレスチナ人側は、暴力とテロリズムのあいまいさのない停止を宣言し、いずれかの場所でイスラエル人に対する暴力的攻撃を実行し計画している個人や団体をその場で逮捕し、崩壊させ、抑制するための目に見える努力を行う。
▼パレスチナ自治政府の治安機構を再建し、重点の再編を行い、その治安機構が、テロに関与したすべての者と対決し、テロリストの能力とインフラを解体するために、持続的で、目標を定めた、効果的な作戦を開始する。これには、違法な武器を押収すること、治安当局のテロとの繋がりと腐敗を絶ち統合していくことも含まれる。
▼イスラエル政府は、信頼を損なう行為をしない。それには追放や民間人への攻撃、懲罰措置としての又はイスラエル人の建設活動を容易にするためのパレスチナ人の家屋・財産の収用や解体、パレスチナの諸機構及びインフラの破壊、そしてテネット案で定められた他の諸措置が含まれる。
▼既存のメカニズムと現地にある資源を用いて、「四者」の代表は、非公式のモニタリングを開始し、両当事者と公式のモニタリングメカニズムの設立とその実施について協議する。
▼すでに合意したように、外部監査機関(米国・エジプト・ヨルダン)と協調しつつ、米国の再建・訓練・治安協力再開計画を実施していく。四者は、継続的な包括的停戦を達成するための努力を支援する。
 □すべてのパレスチナ治安組織は、3つの機関に統合される。内相に権限を与え、この3つの機関は、内相に報告をするものとする。
 □パレスチナの治安部隊を再編・維持し、その治安部隊とイスラエル国防軍が徐々に治安協力及び他のテネット案の諸措置の実施を再開する。それには、定期的な高官レベルの会合が含まれる。それに米国の安全保障担当者も参加する。
▼アラブ諸国は、暴力とテロを支持しまたそれに参与している団体を支持するあらゆる形の公的・私的な資金提供を停止する。
▼パレスチナ人への財政的支援のすべての提供者は、そうした資金をパレスチナ財務省の単一の財務口座を通す。
▼包括的な安全保障の実績が前進するにしたがって、イスラエル国防軍は、2000年9月28日以後に占領した地域から徐々に撤退し、両者は、2000年9月28日前に存在した原状を回復する。パレスチナ治安部隊は、イスラエル国防軍によって明け渡された地域に再展開する。

パレスチナの機構建設

▼パレスチナの国家としての地位の〔確立の〕ために憲法草案を作成する信頼性のあるプロセスについて、直ちに行動する。強力な議会制民主主義及び権限を持った首相を有する内閣に基づくパレスチナ憲法草案を、できるかぎり速やかに憲法制定委員会が配布し、公共の意見と討議に付す。憲法制定委員会は、適切なパレスチナ諸機構による承認のための選挙の後に、提出する草案文書を発議する。
▼執行権限を持ち、意志決定機関である、暫定首相ないし内閣を指名する。
▼イスラエル政府は、パレスチナの関係者がPLC〔パレスチナ立法評議会〕や閣議、国際的監督下の治安再訓練、選挙や他の改革活動、及び改革活動に関係したその他の補助任務を行うために旅行することを全面的に容易化する。
▼根本的な改革を行う権限を持つパレスチナの閣僚を引き続き任命していく。パレスチナの真の権力分割――その目的のための法改正も含む――を達成するためのさらなる諸措置を完遂する。
▼パレスチナ改革についての国際タスクフォースによって設定された、司法、行政及び経済の達成基準のパレスチナ人による達成。
▼できるかぎり早く、また上記の諸措置とオープンな議論と透明性のある候補選定と自由で多党制プロセスに基づく選挙運動という状況のなかで、パレスチナ人は自由、オープンで、公正な選挙を行う。
▼イスラエルは、タスクフォースの選挙支援、有権者登録、候補と選挙管理担当者の移動を容易にする。
▼イスラエルは、パレスチナ商工会議所及び東エルサレムを拠点とする他の閉鎖されたパレスチナ諸機構を、そうした諸機構が両当事者の間の以前の合意に厳格に従って運用されるという約束に基づいて、再び開かせる。

人道的対応

▼イスラエルは、人道上の状況を改善する措置をとる。イスラエルとパレスチナ人は、夜間外出禁止令を撤廃し、人と物の移動の制限を緩和し、国際機関の人員と人道機関の人員の完全・安全・無制約のアクセスを許容して、ベルティーニ報告※のすべての勧告を完全に実施する。
※〔国連事務総長人道問題特使キャサリン・ベルティーニの02年8月の報告書〕
▼AHLC〔パレスチナ支援調整会合〕は、人道上の状況および西岸とガザの経済開発を点検し、改革活動を含む大規模な援助国支援活動を開始する。
▼イスラエル政府及びパレスチナ自治政府は、合意された透明なモニタリングメカニズムにのっとって、遅延金を含む資金の決済と移転のプロセスの点検を継続する。

市民社会

▼民間ボランティア団体・NGOを通じた人民から人民への援助計画、民間部門開発、市民社会活動を含む、援助支援が継続される。

入植地

▼イスラエル政府は、2001年3月以後に設立された入植開拓地を直ちに解体する。
▼ミッチェル報告にしたがって、イスラエルはすべての入植活動を凍結する(入植地の自然増分を含む)

 第二段階 過渡 2003年6月〜12月

 第二段階では、永続的地位の決着までの通過点として、暫定的国境及び主権を有し、独立したパレスチナ国家の創設のオプションが活動の焦点となる。ここまで述べてきたように、このゴールは、パレスチナ人が、テロに対して断固として行動し、寛容と自由に基づいて実践される民主主義を建設する意志と能力がある指導部を持つようになれば、達成されることができるのだ。そうした指導部及び改革された文民機構と治安機構があれば、パレスチナ人は、独立した存続性のある国家の設立に、四者及び広範な国際社会からの積極的な支持が得られるのだ。
 第二段階への前進は、両当事者の目標達成度を考慮して、諸条件が前進するのに適しているか否かについての四者の一致した判断に基づいて行われる。パレスチナ人の生活の正常化とパレスチナ諸機構の設立のための活動を強化し、持続しつつ、第二段階は、パレスチナ選挙の終了後に開始され、2003年に暫定国境を持った独立パレスチナ国家が創設されることによって終了する。その主要なゴールは、引き続き包括的な安全保障の履行と効果的な治安協力を行うこと及びパレスチナ人の生活の正常化と機構建設を継続すること、第一段階で概括された目標を基礎にしてさらに前進しそれを持続していくこと、そして民主的パレスチナ憲法の承認、首相府の公式な設立、政治改革の強固化、暫定国境を有するパレスチナ国家の創設だ。
▼国際会議 四者は、両当事者と協議の上、パレスチナ選挙が成功裏に終わった直後に国際会議を招集し、それによってパレスチナの経済復興を支援し、暫定国境を有する独立パレスチナ国家の設立へのプロセスを開始する。
 □こうした会合は、包括的中東和平(イスラエル・シリア間、イスラエル・レバノン間の和平を含む)の目標に基づいて、また本文書の前文に述べられた諸原則に基づいて、包括的なものになっていく。
 □アラブ諸国は、インティファーダ前のイスラエルとのつながり(貿易事務所など)を回復する。
 □地域的水資源、環境、経済開発、難民及び軍備管理問題についての多国間の取り組みの復活
▼民主的な独立パレスチナ国家の新憲法は、適切なパレスチナ諸機構によって仕上げられ、承認される。さらに選挙が必要になった場合には、新憲法の承認の後とする。
▼憲法草案に従って公式に設立された首相府を有する改革内閣に権限を与える。
▼第一段階において設定された基礎の上にたって、効果的な治安協力を含む、包括的な治安の遂行を継続する。
▼暫定国境を有する独立パレスチナ国家をイスラエル・パレスチナの関与したプロセスを通して創設する。これは国際会議によって開始される。このプロセスの一部として、領土の隣接性を最大限にするための以前の諸合意を実施していく。これには、暫定国境を有するパレスチナ国家の設立に関連した入植地についてのさらなる措置も含む。
▼移行をモニターする国際的な役割を強化する。四者は、それに積極的、持続的な、役立つ支援を提供する。
▼四者のメンバーは、パレスチナ国家の国際承認を推進する。それには、国連加盟も含まれる。

 第三段階 永続的地位協定及びイスラエル・パレスチナ紛争の終結

 2004〜2005年

 第三段階への前進は、両当事者の行動及び四者のモニタリングを考慮して、四者の一致した判断に基づいて行われる。第三段階の目的は、パレスチナ諸機構の改革・安定化の強化であり、持続的・効果的なパレスチナの治安目標達成であり、そして2005年の永続的地位協定を目指したイスラエル・パレスチナ交渉だ。
▼第二国際会議 四者は、両当事者と協議の上、2004年初めに第二国際会議を招集し、それによって、暫定国境を有する独立パレスチナ国家についての合意に支持を与える。そして第二国際会議は、2005年の最終的な永続的地位の決定に向かうプロセスを公式に開始する。四者はそのプロセスに積極的・持続的な役立つ支援を提供する。最終的な永続的地位の決定には、国境、エルサレム、難民、入植地が含まれる。また、このプロセスは、イスラエル・レバノン間及びイスラエル・シリア間の出来る限り早期の包括的中東和平への前進を支援するものだ。
▼タスクフォースによって設定された改革計画表についての包括的で効果的な進捗を引き続きはかっていく。
▼第一段階で設けられた基礎の上で、持続的・効果的な治安目標達成と持続的・効果的な治安協力を引き続き行う。
▼最終的地位協定への準備として、パレスチナの諸機構及びパレスチナ経済の改革と安定化を容易化するための国際的活動を行う。
▼両当事者は、イスラエル・パレスチナ紛争を終結する最終的かつ包括的な永続的地位協定を2005年に締結する。その永続的地位協定は、国連安保理決議第242号、第338号及び第1397号に基づいて両者間で交渉される1967年からの占領を終わらせ、公正・公平かつ現実的な難民問題の合意解決を含む和解を通じて締結される。そしてその和解には、両者の政治的・宗教的な懸念を考慮し、また世界のユダヤ人、クリスチャン及びムスリムの宗教的利益を守る、エルサレムの地位の交渉による決定が含まれる。またそれは、イスラエルと主権のある独立した民主的で存続性のあるパレスチナが、平和と安全のうちに隣人として生きていく、2国家ビジョンを実現するものとなる。
▼包括的なアラブ・イスラエル和平の枠組みの中で、アラブ諸国はイスラエルとの完全で正常な関係及びこの地域のすべての国家の安全保障を受け入れる。
 (終わり)