COMMUNE 2003/08/01(No330 p48)

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8月号 (2003年8月1日発行)No330号

定価 315円(本体価格300円)


〈特集〉 Q&A 現代世界をどう見るか

口なぜ米経済は破産し、世界戦争になるのか?
口侵略戦争とどう闘い、団結をどうつくるか?

●討議資料/ 米英軍と一体で陸上自衛隊が軍事占領するイラク派兵法案
●資料/ イラク復興支援特措法案 〈全文〉
●資料/ イラク制裁解除決議(要旨) (安保理決議1483) 

ニューズ&レビュー/ 南朝鮮・韓国 盧武鉉政権へストライキの嵐 室田順子

    6・10有事法制反対集会

三里塚ドキュメント(5月) 内外情勢(5月) 日誌(4月)

コミューン表紙

 戦後史画する攻撃

 有事3法が民主党の裏切りの中で成立した。この法律は、北朝鮮(ひいては中国)侵略戦争を実行するための法律であることがますます明らかになった。法案審議過程で、北朝鮮の「核開発」や万景峰(マンギョンボン)号の入港規制をめぐる一連の排外主義キャンペーンが行われたのは、この法律を通すためであり、北朝鮮への侵略戦争に米帝と共同・競合しつつ乗り出していくためであった。周辺事態法とセットになることで、「武力攻撃事態」あるいは「武力攻撃予測事態」が宣言され、日帝・自衛隊が武力行使に踏み出し、全社会を戦時体制にたたき込んでいく仕組みがつくられたのである。陸・海・空・港湾労組20団体などの戦争協力拒否宣言とともに、この法律の発動を粉砕する闘いがただちに求められる。

 小泉政権は、続いてイラク派兵新法を閣議決定し、国会提出し、今国会で成立させるために会期を40日間延長した。この攻撃は、米英帝国主義のイラク侵略戦争の継続・泥沼化の中で、この戦場に日帝軍隊を派兵するものであり、これまでの戦後史を画する大攻撃である。イラクには非戦闘地域などまったくなく、米英軍はイラク人民の怒りの決起に包囲され、大衆的デモとゲリラ戦争が続発している。米軍によるイラク人民の虐殺も続いている。日帝は、「盗賊のたぐいとの戦闘は武力行使ではない」などと言い、攻撃されることを前提に出兵しようとしているのだ。かつて中国・アジアを侵略していった歴史そのものである。日帝自身がイラク人民の民族解放闘争の圧殺者、虐殺者として登場しようとしているのである。絶対粉砕しよう。

 有事3法を強行成立させるにあたって民主党の果たした裏切りは、歴史的な事態であり、日本が戦争国家に転落していく決定的な分岐点をなすものといえるものである。憲法9条を踏み破って自衛隊が武力行使をする法制が、「北朝鮮に対して備えは必要」とか、「基本的人権が守られればよい」という論理で承認されたのである。これは連合中央が有事法制を容認したのと同じく、支配階級の側への合流であり、徹底断罪されなければならない。民主党は、政権政党になるためには有事法制を推進するという道に完全に転落したのである。また、日本共産党や社民党も、国会で8〜9割の議員が賛成するという恐るべき翼賛状況に対して、完全に無力である。このような状況を突破する真の労働者の闘う党が今こそ求められている。

 きわめて鋭い攻撃が吹き荒れているが、闘いは粉砕されたわけでも終わったわけでもない。有事法制に対して、絶対に加害者にならない、戦争協力しない、と誓う20労組を中心に日比谷野音を埋め尽くす労働者人民の決起がかちとられたこと、万景峰号の入港規制と大々的な排外主義運動に対して、新潟県労組交流センターが真っ向から反対して決起したことなど、米日帝の侵略戦争攻撃に対して、階級的な反撃は起こっている。国労5・27臨大闘争弾圧に対する「許さない会」を先頭とする反撃の闘いは、階級的団結を粉砕し、奴隷の屈服を強要する日帝権力の攻撃に対する最先端の闘いである。この闘いを強め、そして何よりも闘う労働者の党をつくる闘いを強力に展開するなら、敵日帝の侵略戦争に向かっての攻撃を打ち破ることはできる。帝国主義の戦争と資本攻勢と真っ向から対決する思想と組織をつくろう。(た)

 

 

翻訳資料

 翻訳資料-1

 ●討議資料

 米英軍と一体で陸上自衛隊が軍事占領するイラク派兵法案

 日帝・小泉は6月13日、「イラク復興支援特別措置法案」と、「テロ対策特別措置法」の2年間延長の改悪案を国会に提出した。このイラク復興支援特措法案は、目的、内容ともに、米英軍とともに自衛隊がイラクを軍事占領するための法律である。以下、〔目的〕、〔非戦闘地域〕、〔武器使用〕の3点に絞って批判していく。

 米帝のイラク侵略を正当化

 第1条〔目的〕で、「この法律はイラク特別事態を受けて」という。その「イラク特別事態」とは、「国連安保理決議678、687、1441並びに関連する決議に基づき国連加盟国によりイラクに対し行われた武力行使並びにこれに引き続く事態」と説明している。
 安保理決議1441は、昨年11月、米帝ブッシュの世界戦争計画のもとで、最初からイラク戦争計画があり、その戦争の口実をつくるために国連にあげさせた決議である。戦争挑発も甚だしい決議であった。イラクが受け入れ難いもので、受け入れ拒否を狙ったものだ。だがイラクは受け入れ、査察が始まった。査察継続を求めるフランス・ドイツ・ロシアとイラクへの強盗戦争を決断していた米英の間で分裂が起こり、米英は問答無用で3・20イラク侵略戦争に突入していった。反対するなら他帝国主義をたたきつぶしてでもやるというものだった。
 これが「特別事態」の内容だ。こんなものを認めることなど絶対できない。

 決議1483の反動性

 3・20に開始されたイラク侵略戦争は、4・20前後をメルクマールとして、米英両軍によるイラク軍事占領と植民地化政策の展開として継続・激化・拡大している。その中で5・22国連安保理での「イラク制裁解除決議」(決議1483)はきわめて重要な反革命的画期をなしている。
 この決議の採択は帝国主義強盗戦争における勝者である米英帝が、イラクの占領継続と植民地化政策の全一的権限を掌握したことを示している。米帝は国連安保理決議という形で独・仏などの他帝国主義諸国やロ・中などの大国諸国に追認させたのである。
 決議1483をもって、米帝はますます激しくイラク軍事占領の長期化を図り、石油資源をはじめとする帝国主義的全権益を独占的にむさぼっていくプロセスへと突入していく。
 決議1483の内容は次のようなものである。
@決議は「イラク制裁解除決議」という名称だが、中身はそれにとどまらず、米英帝によるイラクの全面的な統治・植民地的支配の基本項目をすべて含んでいる。
A単純に戦後統治についての取り決めではないということだ。
「改善はされたがイラクの状況は依然として世界の平和と安全に対する脅威である」
「イラクが武装解除の責任を負うことを再確認する」
 大量破壊兵器など発見されず、米帝の「戦争目的」のペテン性が天下に暴露されたことも開き直りつつ、米帝はイラク戦争が本質的にはまだ続いているという基本構図を継続・維持しようとしているのだ。これは米軍の占領の長期化を合法化し、イラク権益の帝国主義的独占をいっそう確実にしようとしているからだ。
B決議の前文では、
「米国と英国が統一司令部(『当局』)のもとで該当する国際法に基づき占領国として有する特定の権威と責任・義務を認識。占領国以外の国は『当局』の下で活動する」と、イラクの国家経済の統治にかかわることは米英が独占的に権力を掌握することが確認されている。国連はあくまでもそれを「支援」「協力すること」を任務とするにとどまっている。
 さらに米英の『当局』のイラク統治の責任なるものは何の時限的規定もない。
「イラク国民を代表する政府が樹立されるまでは『当局』が責任を負う」とされている。「当局」は「過渡的行政としての暫定行政機構」の樹立を支援するとされているが、この段階では統治権は依然として米英のものとされている。
C貿易・経済・財政の面については、
「武器禁輸をのぞき、イラクとの貿易や金融、経済関係をめぐるあらゆる禁止措置をやめる」として、イラク制裁が解除されたことが重要である。これによって生じる石油代金等々はすべて新しく設定された「イラク開発基金」に振り込まれる。そして、この「イラク開発基金の運用は『当局』の監督のもとに置かれる」と明記されている。
 この基金の具体的運用としては、「経済の再建とインフラの修復、武装解除の継続、文民行政の経費」などに使用されるとしている。つまり、軍事占領と植民地経営のための費用や、独占的に牛耳るつもりの石油施設などのための費用として使用されるのだ。
D現行の、国連下の「石油と食料のための交換計画」は6カ月後に終了するとされた。「最も費用対効果の高い方法によって」という意味ありげな条件がついているが、これはロシアなどを決議賛成に引き入れるための取り引き内容をさすとされている。しかし同時に、上記の「計画」の資金から10億jをイラク開発基金(=米英)に早急に送金することを確認している。さらに決議採択後の石油等の輸出の収益はすべて「開発基金に預けられる」ことも確認されている。
 米英帝のイラク侵略戦争が、帝国主義的な強盗戦争以外のなにものでもなかったことが鮮明に示されている。
 米帝は「占領国としての権威と責任と義務」と称し、戦争に勝った国の当然の権利というむきだしの主張を平然と押し出している。さらに「国際的に認知された国民を代表する政府が樹立されるまで」無制限に軍事占領を続けることを宣言し、イラクの政治・経済・財政・貿易その他を完全に独裁的に牛耳ること、つまりイラクの植民地支配を継続することを、帝国主義間争闘戦のさしあたっての敗者である独・仏やロ・中に認めさせ、国連の名においてそれを国際的に強制するに至ったのだ。
 この決議全体を通じて、フセインの大量破壊兵器保有問題はほとんどかすんでしまった。結局、米英帝にとってはイラク戦争目的は石油国イラクを侵略し支配し牛耳ること、そしてそれをテコに中東全体を制圧し、帝国主義間争闘戦で決定的に他を圧倒しようとするもの以外のなにものでもなかったのである。
 このイラク制裁解除決議案に独・仏そしてロ・中などが賛成したことは、今回のイラク戦争のプロセスで決定的となった米対EU(独・仏など)を軸とする帝国主義間対立、帝国主義世界体制の分裂が、修復されたとか、修復されつつあるとかいうことではない。帝国主義的強盗どもはさしあたって圧倒的な軍事力でイラクを軍事制圧した米帝の権益を決定的に認めたうえで、その枠内での自己の利益を少しでも図ろうとしているにすぎない。
 この法案は、以上のような決議1483を「根拠」に、自衛隊をイラク植民地支配のための占領軍として、イラク人民の武装解放闘争を鎮圧するために派兵しようとしているのだ。人道復興支援活動や安全確保支援活動なるペテン的な表現をしているが、これはイラク人民に銃口を向け、ついには無差別虐殺に至るものである。侵略戦争そのものである。

  「非戦闘地域」のペテン

 自衛隊の活動領域は、「戦闘行為が行われていない地域」(第2条の3)という。これがペテンであることは明白だ。
 米帝はことあるごとに「ブーツ・オン・ザ・グラウンド(地上部隊の派遣)」を強調してきた。5月23日の日米首脳会談でもブッシュは「フット・ソルジャー(歩兵)を出してくれ」と求めたとされる。イラクでは米英両軍が展開し、占領が強行され、それに対してイラク人民の民族解放戦争、ゲリラ戦争が闘い抜かれている。それに対して米英軍は発砲し、虐殺を続けている。イラクはせん滅戦争が繰り広げられる戦場そのものである。どこまでが戦場でどこからが戦場でないのか、区別などできるはずがない。
 しかし、第2条2には「対応措置の実施は武力による威嚇または武力の行使に当たるものであってはならない」とある。いうまでもなく憲法9条の規定だ。この大前提があるために、自衛隊は戦闘区域に存在することはできないとせざるを得ない。
 つまり外務省高官が言うように
「戦闘とは武力行使の当事者が殺し合いをしていること」という基本的な認識がある。戦闘を認めると、武力行使を認めざるを得ず、それは憲法9条の規定とは逃れようもなく違反する。だから言葉の解釈で言い抜けようというのだ。
 そこで出た政府解釈がこれだ。
 「組織的行為でなければ、戦闘行為とみなされない」と。
 政府内では、バクダッド周辺で頻発する自爆テロや砲撃、手投げ弾などの突発的な攻撃について「組織的でなければ、戦闘行為とみなさない」という解釈が有力になっているという(朝日新聞6月 12日)。
 まったくデタラメな屁理屈だ。要するに、現に問題になっているイラク人民の自爆決起や砲撃、手投げ弾戦闘などのゲリラ戦争、抵抗闘争、民族解放闘争を「戦闘ではない」ことにするために、「組織的でなければ、戦闘行為とみなさない」と解釈をでっち上げたのだ。このデタラメな解釈の下で、イラク人民のゲリラ戦闘をそれは戦闘ではない、だからそこは戦闘が行われている区域ではないから自衛隊を派遣できるというきわめつきのペテンを押し通そうというのだ。
 「戦闘区域ではない」とするところに派遣された自衛隊は安全確保活動として、米英軍に対する医療、輸送、補給などを行う。
 自衛隊員が武器を使って守れる範囲は、PKO法では「隊員本人と、ともに現場に所在する隊員」に限定された。武器使用の判断をするのは「生命の危険にさらされた」隊員本人である。周辺事態法では、武器使用の範囲が自衛隊が保管する武器を守る場合にまで拡大された。武器、艦艇まで拡大された。テロ対策特別措置法では、防護対象をさらに「自衛官の管理下に入った者」にまで拡大した。
 今回のイラク派兵法はテロ対策特別措置法と同じである。
 「自己の管理下に入った者」とは、自衛隊の診療所で治療を受けた米軍兵士、米軍との連絡員、自衛隊が輸送している救難した米兵も含まれる。
 自衛隊の管理下にある米兵(=米軍)が攻撃を受けた場合は、自衛隊員は武器使用できる。これは明らかに戦闘である。武力行使そのものである。しかも集団的自衛権の発動である。戦闘において米軍と自衛隊は完全に一体化している。
 陸上自衛隊は、戦闘現場に登場することで、否応なく戦争にまきこまれていくことになるのだ。
 さらに敵の攻撃をでっちあげて戦争挑発さえしていくのが帝国主義というものだ。戦前の日本軍の歴史はそうした例でいっぱいだ。
 自衛隊がイラク人民の虐殺を「主体的に積極的に」担うものに必ずなっていく。自衛隊は恐るべき勢いでイラク侵略戦争のど真ん中に突入していくことになるのだ。絶対に許すことはできない。

  「武力攻撃事態」もある

 そして現在では、恐るべき侵略戦争法である有事3法が成立している。「武力攻撃事態」の認定について、福田官房長官はこのように述べている。
 自衛艦や民間船舶などが公海上で攻撃された場合も武力攻撃事態と認定することもあり得る。他国の領域内にある自衛艦や在外公館への攻撃については
「基本的には(武力攻撃事態に)入らない」としたが、国際平和維持活動(PKO法)やテロ対策特別措置法などで活動中の自衛隊の攻撃については
「わが国への組織的、計画的な攻撃と認定されるかどうかだ」と述べ、完全に排除されないという認識を示した(02年5月8日衆院有事法制特別委)。
 イラクに派遣された自衛隊が「組織的、計画的な攻撃を受けた場合」、「武力攻撃事態」と認定して、自衛権を発動し、本格的な侵略戦争にエスカレーションさせる道が開かれている。PKOだ、テロ対策特別措置法だ、そしてイラク新法だとさまざまな口実をつけて自衛隊が海外に展開することが、常に有事3法を発動する機会をつくり、日帝の本格的な侵略戦争を引き出していく。
 戦前、柳条湖事件で中国東北部への侵略戦争を仕掛けた関東軍とは、もともとは日露戦争後の1906年に関東州租借地と満州鉄道付属地の警備に当たった陸軍部隊であった。それが、次第に位置を高め中国侵略の主役になっていった。この戦前の中国侵略の歴史を忘れることはできない。

 ROEで「正当防衛」緩和

 「自衛隊の武器使用について緩和しない」ということが言われている。それは法案の条文中だけのことであり、防衛庁は「部隊行動基準」(ROE)を策定し、武器使用を緩和する方針を打ち出した。
 その核心は、「正当防衛」を拡大解釈することだ。武器の使用をめぐっては、人に危害を加える「危険射撃」は「正当防衛」と「緊急避難」以外は認められていない。防衛庁幹部は
「急迫不正の侵害が予想されれば、相手に撃たれなければ、こちらが撃てないわけではない」
と言って、「正当防衛」の範囲を拡大することを示唆した。
 こうした考え方で、防衛庁は、イラク派兵法成立を前提に、自衛隊部隊が人民のゲリラ部隊に襲撃された場合を想定して、武器使用基準を具体的にマニュアル化した「部隊行動基準」(ROE)を策定して初適用するというのだ。
 自衛隊は、政府が言うように自爆テロや砲撃や手投げ弾の戦闘を「組織的でないから戦闘でない」などとは言っていられない状況に突入していくのだ。それらが戦闘行為であることは余りにも明白だからだ。
 それに対応する行為が「正当防衛」などではなく、戦闘行為であることも又明白である。だから「部隊行動基準」(ROE)なのだ。
 ROEとは「交戦規則」である。「交戦権の禁止」を定めた憲法9条を意識してその用語を避け、「部隊行動基準」なる言葉を防衛庁が発明したのである。
 交戦規則とは米統合参謀本部による「国防省軍事関連用語辞典」によると
「所管の軍当局によって交付された指令で、軍が遭遇した他の軍隊との戦闘交戦を開始および(または)継続しようとする際の状況と制限について叙述したもの」
である。つまり、戦闘をどのような手続きで開始するかを決めた規則である。
 防衛庁は、「部隊行動基準」をつくり、その中で、@口頭で警告、A銃を構える、B威嚇射撃、C危害射撃−−と明示。人に危害を加える「危害射撃」には「正当防衛」として認められる具体例をあげるなど、一連の手続きについて法解釈の幅を広げ、武器使用基準を事実上「緩和」するという。
 つまり、自衛隊は後方支援だとか、戦闘地域ではないところで活動するとかという政府の説明が通用しないことを確認し、戦争に行くこと、戦闘をすること、そのための部隊行動基準という名の交戦規則を決め、敵(イラク人民だ)の行動に対する先制的な攻撃を「正当防衛」の名の下で実施できるようにしようとしているのだ。
 4年の時限立法というが、アフガニスタンの例をみるまでもなく、これは一旦始まれば永続的な泥沼的な侵略戦争へと発展せざるをえないのだ。アフガニスタン、イラク、イラン、北朝鮮そして中国侵略戦争から第3次世界大戦を不可避とする道程である。
 帝国主義国の労働者階級人民と被抑圧民族人民が連帯し、帝国主義の侵略戦争を内乱へ、国際的内乱へ発展させ、反帝・反スターリン主義世界革命の達成をかちとることだ。それだけが全世界人民が目指す道である。
 軍事占領するための、自衛隊のイラク派兵法案を阻止しよう。

 

翻訳資料

 資料-2

  イラク復興支援特措法案 〈全文〉

第一章 総則

(目的)
第一条 
この法律は、イラク特別事態(国連安保理決議678、687、1441並びに関連する決議に基づき国連加盟国によりイラクに対して行われた武力行使並びにこれに引き続く事態をいう。以下同じ)を受けて、国家の速やかな再建を図るためにイラクにおいて行われている国民生活の安定と向上、民主的な手段による統治組織の設立等に向けたイラクの国民による自主的な努力を支援し、及び促進しようとする国際社会の取り組みに関し、我が国がこれに主体的かつ積極的に寄与するため、安保理決議1483を踏まえ、人道復興支援活動及び安全確保支援活動を行うこととし、もってイラクの国家の再建を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的とする。
(基本原則)
第二条 
政府は、この法律に基づく人道復興支援活動または安全確保支援活動(以下「対応措置」という)を適切かつ迅速に実施することにより、前条に規定する国際社会の取り組みに我が国として主体的かつ積極的に寄与し、もってイラクの国家の再建を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に努めるものとする。
2 対応措置の実施は、武力による威嚇または武力の行使に当たるものであってはならない。
3 対応措置については、我が国領域及び現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷しまたは物を破壊する行為をいう。以下同じ)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域において実施するものとする。
一 外国の領域(当該対応措置が行われることについて当該外国の同意がある場合に限る。ただし、イラクにあっては、安保理決議1483その他の政令で定める国連総会または安保理決議に従ってイラクにおいて施政を行う機関の同意によることができる)
二 公海(海洋法に関する国連条約に規定する排他的経済水域を含む。第八条第5項及び第十四条第1項において同じ)及びその上空
4 内閣総理大臣は、対応措置の実施に当たり、第四条第1項に規定する基本計画に基づいて、内閣を代表して行政各部を指揮監督する。
5 関係行政機関の長は、前条の目的を達成するため、対応措置の実施に関し、内閣総理大臣及び防衛庁長官に協力するものとする。
(定義等)
第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 人道復興支援活動 
イラクの国民に対して医療その他の人道上の支援を行い若しくはイラクの復興を支援することを国連加盟国に対して要請する安保理決議1483またはこれに関連する政令で定める国連総会若しくは安保理決議に基づき、人道的精神に基づいてイラク特別事態によって被害を受け若しくは受けるおそれがあるイラクの住民その他の者(以下「被災民」という)を救援し若しくはイラク特別事態によって生じた被害を復旧するため、またはイラクの復興を支援するために我が国が実施する措置をいう。
二 安全確保支援活動 
イラクの国内における安全及び安定を回復するために貢献することを国連加盟国に対して要請する安保理決議1483またはこれに関連する政令で定める国連総会若しくは安保理決議に基づき、国連加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動を支援するために我が国が実施する措置をいう。
三 関係行政機関 次に掲げる機関で政令で定めるものをいう。
イ 内閣府並びに内閣府設置法第49条第1項及び第2項に規定する機関並びに国家行政組織法第3条第2項に規定する機関
ロ 内閣府設置法第40条及び第56条並びに国家行政組織法第8条の三に規定する特別の機関
四 人道復興関係国際機関 
国連難民高等弁務官事務所その他国連総会若しくは安保理によって設立された機関若しくは国連の専門機関または我が国が締結した条約その他の国際約束により設立された国際機関であって人道復興支援活動に関するものとして政令で定める国際機関をいう。
2 人道復興支援活動として実施される業務は、次に掲げるもの(これらの業務にそれぞれ付帯する業務を含む)とする。
一 医療
二 被災民の帰還の援助、被災民に対する食糧、衣料、医薬品その他の生活関連物資の配布または被災民の収容施設の設置
三 被災民の生活若しくはイラクの復興を支援する上で必要な施設若しくは設備の復旧若しくは整備またはイラク特別事態によって汚染その他の被害を受けた自然環境の復旧
四 行政事務に関する助言または指導
五 前各号に掲げるもののほか、人道的精神に基づいて被災民を救援し若しくはイラク特別事態によって生じた被害を復旧するため、またはイラクの復興を支援するために我が国が実施する輸送、保管(備蓄を含む)、通信、建設、修理若しくは整備、補給または消毒
3 安全確保支援活動として実施される業務は、国連加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動を支援するために我が国が実施する医療、輸送、保管(備蓄を含む)、通信、建設、修理若しくは整備、補給または消毒(これらの業務にそれぞれ付帯する業務を含む)とする。

第二章 対応措置等

(基本計画)
第四条 内閣総理大臣は、対応措置のいずれかを実施することが必要であると認めるときは、当該対応措置を実施すること及び当該対応措置に関する基本計画(以下「基本計画」という)の案につき閣議の決定を求めなければならない。
2 基本計画に定める事項は、次のとおりとする。
一 対応措置に関する基本方針
二  対応措置を実施する場合における次に掲げる事項
イ 当該対応措置に係る基本的事項
ロ 当該対応措置の種類及び内容
ハ 当該対応措置を実施する区域の範囲及び当該区域の指定に関する事項
ニ 当該対応措置を自衛隊が外国の領域で実施する場合には、当該対応措置を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等(自衛隊法第8条に規定する部隊等をいう。以下同じ)の規模及び構成並びに装備並びに派遣期間
ホ 国連、人道復興関係国際機関または国連加盟国(第十八条において「国連等」という)に無償または時価よりも低い対価で譲渡するために関係行政機関がその事務または事業の用に供しまたは供していた物品以外の物品を調達する場合には、その実施に係る重要事項
ヘ その他当該対応措置の実施に関する重要事項
三 対応措置の実施のための関係行政機関の連絡調整に関する事項
3 第1項の規定は、基本計画の変更について準用する。
4 対応措置を外国の領域で実施する場合には、当該外国(イラクにあっては、第二条第3項第一号の政令で定める国連の総会または安保理決議に従ってイラクにおいて施政を行う機関を含む)及び人道復興関係国際機関その他の関係機関と協議して、実施する区域の範囲を定めるものとする。
(国会への報告)
第五条 内閣総理大臣は、次に掲げる事項を、遅滞なく、国会に報告しなければならない。
一 基本計画の決定または変更があったときは、その内容
二 基本計画に定める対応措置が終了したときは、その結果
(国会の承認)
第六条 内閣総理大臣は、基本計画に定められた自衛隊の部隊等が実施する対応措置については、当該対応措置を開始した日(防衛庁長官が第八条第2項の規定により当該対応措置の実施を自衛隊の部隊等に命じた日をいう)から20日以内に国会に付議して、当該対応措置の実施につき国会の承認を求めなければならない。ただし、国会が閉会中の場合または衆議院が解散されている場合には、その後最初に召集される国会において、速やかに、その承認を求めなければならない。
2 政府は、前項の場合において不承認の議決があったときは、速やかに、当該対応措置を終了させなければならない。
(本府による対応措置の実施)
第七条 内閣総理大臣またはその委任を受けた者は、基本計画に従い、対応措置として実施される業務としての物品の提供(次条第1項に規定する物品の提供を除く)を行うものとする。
2 内閣総理大臣は、基本計画に従い、対応措置として実施される業務としての役務の提供(次条第2項に規定する役務の提供を除く)を行うものとする。この場合において、内閣総理大臣は、イラク復興支援職員(一般職に属する国家公務員のうち対応措置に従事する内閣府本府〈以下「本府」という>の職員をいう。以下同じ)にその実施を命ずるものとする。
3 前2項に定めるもののほか、本府による対応措置の実施に関し必要な事項は、政令で定める。
(自衛隊による対応措置の実施)
第八条 内閣総理大臣またはその委任を受けた者は、基本計画に従い、対応措置として実施される業務としての物品の提供(自衛隊に属する物品の提供に限る)を行うものとする。
2 防衛庁長官は、基本計画に従い、対応措置として実施される業務としての役務の提供(自衛隊による役務の提供に限る)について実施要項を定め、これについて内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊等にその実施を命ずるものとする。
3 防衛庁長官は、前項の実施要項において、対応措置を実施する区域(以下この条において「実施区域」という)を指定するものとする。
4 防衛庁長官は、実施区域の全部または一部がこの法律または基本計画に定められた要件を満たさないものとなった場合には、速やかに、その指定を変更し、またはそこで実施されている活動の中断を命じなければならない。
5 対応措置のうち公海若しくはその上空または外国の領域における活動の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の長またはその指定する者は、当該活動を実施している場所の近傍において、戦闘行為が行われるに至った場合または付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合には、当該活動の実施を一時休止しまたは避難するなどして当該戦闘行為による危険を回避しつつ、前項の規定による措置を待つものとする。
6 自衛隊の部隊等が対応措置として実施する業務には、次に掲げるものを含まないものとする。
一 武器(弾薬を含む。第十八条において同じ)の提供
二 戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備
7 自衛隊の部隊等は、外国の領域において対応措置を実施するに当たり、外務大臣の指定する在外公館と密接に連絡を保つものとする。
8 外務大臣の指定する在外公館長は、外務大臣の命を受け、自衛隊による対応措置の実施のため必要な協力を行うものとする。
9 第2項の規定は、同項の実施要項の変更(第4項の規定により実施区域を縮小する変更を除く)について準用する。
(配慮事項)
第九条 内閣総理大臣及び防衛庁長官は、対応措置の実施に当たっては、その円滑かつ効果的な推進に努めるとともに、イラク復興支援職員及び自衛隊の部隊等の安全の確保に配慮しなければならない。
(イラク復興支援職員の採用)
第十条 内閣総理大臣は、対応措置に従事させるため、当該対応措置に従事することを志望する者のうちから、選考により、任期を定めてイラク復興支援職員を採用することができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による採用に当たり、関係行政機関若しくは地方公共団体または民間の団体の協力を得て、広く人材の確保に努めるものとする。
(行政機関の職員の定員に関する法律の特例)
第十一条 行政機関の職員の定員に関する法律第1条及び第2条の規定にかかわらず、前条第1項の規定により採用されるイラク復興支援職員の定員は、政令で定めるところにより、同法第1条第1項及び第2条の定員に含まないものとする。
(関係行政機関の職員の派遣)
第十二条 内閣総理大臣は、関係行政機関の長に対し、基本計画に従い、対応措置を実施するため必要な技術、能力等を有する職員(国家公務員法第2条第3項各号に掲げる者を除く)を本府に派遣するよう要請することができる。
2 関係行政機関の長は、前項の規定による要請があったときは、その所掌事務に支障を生じない限度において、同項の職員に該当する職員を期間を定めて本府に派遣するものとする。
3 前項の規定により派遣された職員は、従前の官職を保有したまま、同項の期間を任期としてイラク復興支援職員に任用されるものとする。
4 前項の規定により従前の官職を保有したままイラク復興支援職員に任用される者は、内閣総理大臣の指揮監督の下に対応措置に従事する。
(国家公務員法の適用除外)
第十三条 第十条第1項の規定により採用されるイラク復興支援職員については、イラク復興支援職員になる前に、国家公務員法第103条第1項に規定する営利企業(以下この条において「営利企業」という)を営むことを目的とする団体の役員、顧問若しくは評議員(以下この条において「役員等」という)の職に就き、若しくは自ら営利企業を営み、または報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等の職に就き、若しくは事業に従事し、若しくは事務を行っていた場合においても、同項及び同法第104条の規定は、適用しない。
(イラク人道復興支援等手当)
第十四条 我が国以外の領域(公海を含む)において対応措置に従事する者には、対応措置が行われる地域の勤務環境及び対応措置の特質にかんがみ、イラク人道復興支援等手当を支給することができる。
2 前項のイラク人道復興支援等手当に関し必要な事項は、政令で定める。
3 内閣総理大臣は、前項の政令の制定または改廃に際しては、人事院の意見を聴かなければならない。
(国家公務員災害補償法等の読み替え)
第十五条 イラク人道復興支援等手当が支給される者に係る国家公務員災害補償法第4条第2項及び防衛庁の職員の給与等に関する法律第27条第2項ただし書きの規定の適用については、これらの規定中「及び国際平和協力手当」とあるのは、「、国際平和協力手当及びイラク人道復興支援等手当」とする。
(関係行政機関の協力)
第十六条 内閣総理大臣及び防衛庁長官は、対応措置を実施するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、その所管に属する物品の管理換えその他の協力を要請することができる。
2 関係行政機関の長は、前項の規定による要請があったときは、その所掌事務に支障を生じない限度において、同項の協力を行うものとする。
(武器の使用)
第十七条 対応措置の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官は、自己または自己と共に現場に所在する他の自衛隊員(自衛隊法第2条第5項に規定する隊員をいう)、イラク復興支援職員若しくはその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命または身体を防衛するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、第四条第2項第二号ニの規定により基本計画に定める装備である武器を使用することができる。
2 前項の規定による武器の使用は、当該現場に上官が在るときは、その命令によらなければならない。ただし、生命または身体に対する侵害または危難が切迫し、その命令を受けるいとまがないときは、この限りでない。
3 第1項の場合において、当該現場に在る上官は、統制を欠いた武器の使用によりかえって生命若しくは身体に対する危険または事態の混乱を招くこととなることを未然に防止し、当該武器の使用が同項及び次項の規定に従いその目的の範囲内において適正に行われることを確保する見地から必要な命令をするものとする。
4 第1項の規定による武器の使用に際しては、刑法第36条または第37条の規定に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない。

第三章 雑則

(物品の譲渡及び無償貸し付け)
第十八条 内閣総理大臣またはその委任を受けた者は、本府または自衛隊に属する物品(武器を除く)につき、国連等からその活動の用に供するため当該物品の譲渡または無償貸し付けを求める旨の申し出があった場合において、当該活動の円滑な実施に必要であると認めるときは、その所掌事務に支障を生じない限度において、当該申し出に係る物品を当該国連等に対し無償若しくは時価よりも低い対価で譲渡し、または無償で貸し付けることができる。
(民間の協力等)
第十九条 内閣総理大臣及び防衛庁長官は、前章の規定による措置によっては対応措置を十分に実施することができないと認めるときは、関係行政機関の長の協力を得て、物品の譲渡若しくは貸し付けまたは役務の提供について国以外の者に協力を求めることができる。
2 政府は、前項の規定により協力を求められた国以外の者に対し適正な対価を支払うとともに、その者が当該協力により損失を受けた場合には、その損失に関し、必要な財政上の措置を講ずるものとする。
(その他の措置)
第二十条 政府は、前章の規定による措置を実施するほか、イラク特別事態を受けて、国家の速やかな再建を図るためにイラクにおいて行われている国民生活の安定と向上、民主的な手段による統治組織の設立等に向けたイラクの国民による自主的な努力を支援し、及び促進するよう努めるものとする。
(政令への委任)
第二十一条 この法律に特別の定めがあるもののほか、この法律の実施のための手続きその他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

付則

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(この法律の失効等)
第二条 この法律は、施行の日から起算して4年を経過した日に、その効力を失う。ただし、その日より前に、対応措置を実施する必要がないと認められるに至ったときは、速やかに廃止するものとする。
第三条 前条の規定にかかわらず、施行の日から起算して4年を経過する日以後においても対応措置を実施する必要があると認められるに至ったときは、別に法律で定めるところにより、同日から起算して4年以内の期間を定めて、その効力を延長することができる。
第四条 前条の規定は、同条(この条において準用する場合を含む)の規定により効力を延長した後その定めた期間を経過しようとする場合について準用する。
(自衛隊法の一部改正)
第五条 自衛隊法の一部を次のように改正する。
付則中第33項を第35項とし、第19項から第32項までを2項ずつ繰り下げ、第18項の次に次の2項を加える。
19 内閣総理大臣またはその委任を受けた者は、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法がその効力を有する間、同法の定めるところにより、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、対応措置としての物品の提供を実施することができる。
20 長官は、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法がその効力を有する間、同法の定めるところにより、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、部隊等に対応措置としての役務の提供を行わせることができる。
(内閣府設置法の一部改正)
第六条 内閣府設置法の一部を次のように改正する。
付則第2条第4項中「前3項」を「前各項」に改め、同項を同条第5項とし、同条第3項の次に次の1項を加える。
4 内閣府は、第3条第2項の任務を達成するため、第4条第3項各号及び前3項に掲げる事務のほか、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法がその効力を有する間、同法第二条第1項に規定する対応措置(自衛隊が実施するものを除く)の実施に関する事務をつかさどる。

 

翻訳資料

 資料-3

  イラク制裁解除決議(要旨)

 (安保理決議1483)

 03年5月22日の国連安全保障理事会で採択されたイラク制裁解除決議(安保理決議1483)の要旨は次の通り。
〔前文〕
一、イラクの最終的な武装解除の確認が重要
一、人道援助、復興、国と地方の統治機構の設立で国連が重要な役割を演じる
一、米国と英国が統一司令部(「当局」)の下で、該当する国際法に基づき占領国として有する特定の権威と責任、義務を認識。占領国以外の国は「当局」の下で活動する
一、改善はされたが、イラクの状況は依然として世界の平和と安全に対する脅威である
〔本文〕
一、フセイン政権下での犯罪や残虐行為に責任があるとされる者に避難先を与えず、司法の裁きを受けさせることを支援するよう全加盟国に要請する
一、イラクの国立博物館や国立図書館などから不法に持ち去られた疑いのある文化財や、考古学的、歴史的に重要な遺物などが安全に戻されるための適切な手段を全加盟国が取る
一、国連事務総長に次のような独立した責任を果たす特別代表の任命を要請する
▽紛争後の国連などによる人道・復興支援活動の調整
▽「当局」やイラク国民、その他の関係者と緊密に協力し、国と地方の統治機構の設立を進めるほか、国際的に認知された、国民を代表する政権の樹立につながるプロセスを支援
一、イラク国民が「当局」の支援を受け、国連の特別代表と協力して、過渡的行政としての暫定統治機構を樹立するのを支援。国際的に認知された、国民を代表する政府が樹立されるまでは、「当局」が責任を負う
一、武器禁輸を除き、イラクとの貿易や金融、経済関係をめぐるあらゆる禁止措置をやめる
一、イラクが武装解除の義務を負うことを再確認し、この点について米英両国に安全保障理事会に報告することを要請。国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)と国際原子力機関(IAEA)の任務を再び取り上げる安保理の意思を強調する
一、イラク中央銀行の中にイラク開発基金を置き、国際諮問監視委員会により認められた独立公認会計士の検査を受ける。同諮問監視委員会は国連事務総長や国際通貨基金(IMF)専務理事、世界銀行総裁などがそれぞれ任命する代表からなる
一、イラク開発基金の運用は、イラク暫定統治機構と協議しながら、「当局」の監督の下で行われる
一、イラク開発基金は透明性を確保した方法で運用される。国民の人道計な必要性、経済再建とインフラの修復、武装解除の継続、文民行政の経費、国民の利益となる目的のために使われる
一、主要債権国会議(パリ・クラブ)を含む債権者がイラクの債務問題の解決に取り組む用意があることを歓迎
一、事務総長に対し、「当局」と調整しながら、この決議が採択されてから6カ月の間に、費用対効果の最も高い方法で「石油と食糧の交換計画」を終了し、「計画」の残務は「当局」とイラク暫定統治機構に移すよう求める
一、「計画」の資金から早急に10億j(約1170億円)をイラク開発基金に送金するよう事務総長に求める。また、「計画」の余剰金も早急に同基金に移す
一、この決議採択後のイラクの石油、石油製品、天然ガスの輸出はすべて、現行国際市場の慣行に従い、透明性確保のため、国際諮問監視委員会に報告する独立公認会計士の検査を受ける。さらに、新政府が発足するまで、収益は開発基金に預けられる
一、この決議の履行状態を採択から12カ月以内に再検討し、さらに必要な措置があるかどうかを考慮する
一、イラク産の石油、石油製品、天然ガスから得られる収入は、07年12月31日まで、フセイン政権下で発生した債務などの返済に充てることから免除される。ただし、重油流出など環境に影響する事故がこの決議採択後に起き、補償などが必要になる場合は、免責は適用されない
一、フセイン政権に関連した資産などを抱える加盟国は、それらを即時凍結し、イラク開発基金に移す
一、この決議の履行状況に関する特別代表や国際諮問委員会の仕事について、安保理に報告するよう事務総長に求め、米英にも定期的に安保理に報告を要請する