COMMUNE 2005/12/01(No.356 p48)

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12月号 (2005年12月1日発行)No.356号

定価 315円(本体価格300円+税)


〈特集〉 日教組ゆるがす2年間の闘い

口はじめに
□改憲阻止の砦となった「日の丸・君が代」闘争
□「つくる会」教科書採択撤回まで闘い続く杉並
口数育基本法改悪・改憲阻止へ06年闘いの展望

●翻訳資料1 ガザ撤退の煙幕を吹き払おう
●翻訳資料2 イスラエルの「ガザ撤退計画の概要」

●国際労働運動 南朝鮮・韓国/民主労総11月ゼセストへ新体制−−室田順子

    10・9三里塚全国闘争

三里塚ドキュメント(9月) 政治・軍事月報(9月)

労働月報(9月)  闘争日誌(8月)

コミューン表紙

   帝国主義の脆弱性

 小泉は10月17日の「秋季例大祭」に合わせて、首相就任以来5年連続5度目の靖国神社参拝を行った。今春、靖国参拝に関する居直り発言に対して中国、韓国を始め、アジア諸国の人民から広範で強烈な弾劾の声が上がった。首脳会談も開くことができないほどに外交的あつれきさえもが強まってきていた。その中で強行したらどうなるかを熟知しながら、小泉はあえて参拝を強行したのだ。「私人」を強調し、参拝形式を変えるなど取り繕ってはいるが、参拝は参拝である。これは、北朝鮮・中国侵略戦争に向かっての戦争挑発であり、新しい戦死者を英霊化するための準備行為である。小泉は、「思想、良心の自由」などと言うが、それは侵略戦争と他民族人民虐殺、自国人民への犠牲強要の「自由」を要求するものに等しい。

 自民党は、11月の結党50周年の党大会に合わせて、自民党新憲法草案を決定しようとしている。小泉は、8・8解散―9・11総選挙でのファシスト的政治クーデターの「勝利」をテコに憲法改悪に向けて歩を進めようとしている。衆議院に憲法調査特別委員会を設置し、国民投票法の成立を来年通常国会で図ろうとしている。言うまでもなく改憲は、憲法9条を破棄し、名実ともに帝国主義軍隊を持てるようにすることを最大の目的としている。この9条を中心に自民党は現行憲法全体を丸ごと破棄し、新しい憲法を作ろうとしている。また、民主党も、前原を新しい代表に据え、率先して改憲をめざして動き始めている。事態は容易ならないところに来ているのだ。改憲阻止を正面に据えて闘うべき時がやってきたのだ。

 米軍の世界再編(トランスフォーメーション)が策定されている中で、この間、沖縄・普天間基地移設をめぐって激烈な事態が進行した。辺野古の現行計画は、500日を超える海上と陸での座り込み闘争によって、いまだにボーリングのくい1本打たせない状態が続き、破綻させられてきた。その中で、日帝が当初はキャンプ・シュワブ陸上案、次いで沿岸部への基地建設を提案した。米帝はそれを激しく拒絶し、浅瀬・縮小案を提起した。岸本名護市長は、地元業界の勧める浅瀬案を主張した。しかし、日米帝の対立は、結局沖縄のどこに犠牲を負わせるかという対立にすぎない。敵は何がなんでも辺野古への基地建設を強行しようとしているのだ。事態はきわめて重大だ。沖縄人民の闘いと連帯し、新基地建設を粉砕しよう。

 こうした政治的な動きのまっただ中で11・6労働者集会が開かれる。教労、自治体、全逓、国鉄の4大産別決戦と改憲阻止決戦を掛け合わせた闘いとして、11・6日米韓国際連帯集会の意義は大きい。郵政民営化法は10月14日に参議院で成立したが、それで決着したわけではない。07年の民営化まで、これから闘いが始まるのだ。全逓労働者の現場から、下からの実力決起で必ず粉砕することはできる。小泉は、おごり高ぶって公務員バッシングをやり、官公労を攻撃して、公務員労働運動と労働組合を破壊しようとしているが、それは労働者階級の怒りの大きさを見ない浅薄な攻撃だ。何よりも体制的危機を深め、あえいでいるのは帝国主義の側なのだ。労働者階級が団結して帝国主義の攻撃と真っ向から対決して闘うなら、帝国主義を土台から打倒することができる。11・6集会はそのような階級的宣言の闘いである。(た)

 

 

翻訳資料

 翻訳資料-1

 ガザ撤退の煙幕を吹き払おう

 ISM(国際連帯運動)のファクト・シー

 丹沢 望訳

【解説】

 

 第1章 ガザ「撤退」の恐るべき意味

 今年8月から開始されたガザのイスラエル人入植地の撤去=ガザ「撤退」は、パレスチナ人の追放と抹殺の政策の歴史的画期をなすものとなった。
 ガザ「撤退」なるものは、ブルジョア報道機関が大宣伝しているように、占領を終結させる目的を持ったものでは決してない。いや、それはまったく逆の目的を持ったものである。
 その第1の目的は、現在、対イスラエル抵抗闘争の最大の拠点となっているガザを完全に封鎖し、経済的・社会的に崩壊させ、人間の住めない土地にすることである。
 入植地の撤去とガザ「撤退」によってガザの占領が終結し、ガザがパレスチナ人の自治に任されたわけではない。
 イスラエル軍は依然としてガザとエジプトの境界地域を封鎖・警備し、越境する者があれば容赦なく攻撃を加えている。
 ガザの海岸地域および西岸地区との境界地域もイスラエル軍が警備し、外部との交通を遮断している。イスラエル領との境界地域は完全に封鎖され、イスラエル領に入るパレスチナ人労働者は厳しい制限を受けている。
 ガザからイスラエル領への攻撃が行われれば、イスラエル軍は即時に報復攻撃のために侵攻し、爆撃や逮捕、家屋破壊、家宅捜索を繰り返している。
 「撤退」後、ガザ住民に対する非人間的攻撃はむしろ激化している。イスラエル軍は、パレスチナ人側から何の攻撃も行われない場合でも恣意的に大量の戦車や装甲車、ヘリコプターなどでガザの町に侵攻し、検問や街頭での尋問、家宅捜索を繰り返して住民を恐怖に陥れるという非道な行為を繰り返している。空中には常時無人偵察機が飛行し、音響爆弾や異音による攻撃を昼夜を問わず四六時中行い、パレスチナ住民の睡眠を妨害したり、心理的脅迫を行うなどのあくどい行為を行っている。
 他方、占領の終結を口実に、武装勢力のみでなく全住民の非武装化を強制し、武装解放闘争を解体しようとしている。
 このように、封鎖体制と攻撃体制は今まで以上にごりごりに固められている。外部世界と西岸地区との連絡が完全に絶たれたガザの経済は、これまで以上に衰退するしかない。
 イスラエル領への出稼ぎが厳しく制限された上に、入植地の撤去で入植地内の農業労働などの仕事もなくなったこともガザの経済的衰退を促進する。
 撤去された入植地は、建物や生産設備が基本的に破壊されたうえに引き続いてイスラエルの管理下に置かれる。入植者が撤退した後に残された、もっとも好条件の場所にある入植地跡をパレスチナ人住民が利用することはできないのである。
 乾燥地域の営農に不可欠の水資源や、電気、ガスなどの管理権も依然としてイスラエルの管理下にあり、パレスチナ人が自由に利用することはできない。
 このような状況下でガザの140万人のパレスチナ人の生活はこれまで以上に破壊され、生きるためにはガザの外に移住する以外になくなる。こうしてパレスチナ人の国外移住は、「占領終了後の自由意志による国外移住」であって、経済的圧迫や武力による強制のもとでの追放ではないとされる。だがそれは、独特の形態をとったパレスチナ人追放政策なのである。

  第2章 ガザの封鎖・孤立化政策

 イスラエルがこうした政策を露骨に推進しているのは、ガザがイスラエル軍のいかなる弾圧にも屈しない強固な抵抗闘争の拠点となっているからである。
 この間、西岸地区のジェニンを始めとする諸都市への侵攻作戦によってすさまじいまでの虐殺と破壊の戦争を仕掛けてきたイスラエルは、ガザのハマス、イスラム聖戦、ファタハ左派などの武装組織に対する攻撃を繰り返してきたが、ガザ全域を制圧しきれていない。それどころか、パレスチナ人民のガザでの武装解放闘争はますます激しさを増してイスラエルを追いつめてきた。
 こうした中でイスラエルは、武装解放勢力との正面からの激突による自軍の物質的・心理的消耗を避け、ガザを封鎖・孤立させて消耗させ、必要に応じて侵攻作戦や白色襲撃作戦を展開する戦略に転換してきた。
 また、入植地に対する武装解放勢力からの攻撃に対抗して入植地を防衛するために数万の軍隊をガザに張り付けることから生じる巨大な負担を回避するために、いったん入植地を西岸に移転する戦略に転換したのだ。
 これは、「撤退」によって戦力の温存と、軍事作戦上のフリーハンドを確保し、その上で武装抵抗闘争の解体とガザのパレスチナ人民の国外への新たな難民化を推進した後にガザを改めてイスラエル領土に組み込む戦略だ。

  第3章 西岸の併合

 ガザからの「撤退」は第2に、西岸のイスラエル領への併合攻撃と一体のものとしてある。イスラエルの最大の戦略目標は、現在のパレスチナ占領地を全面的にイスラエルに併合することである。
 オスロ合意以降の一切の「和平」交渉は、この戦略目標を実現するための隠れ蓑でしかない。米帝が推進し、イスラエルも合意しているとされる「ロードマップ」も例外ではない。
 だが今回のガザ「撤退」と西岸地区のイスラエルへの併合政策は、これらの一連のペテン的「和平」プロセスさえも全面的に否定し、露骨な領土併合へと突進しようとするものだ。
 ガザについてはすでに見たが西岸ではどうなるのか。イスラエルは現在、入植地の拡大と分離壁の建設によって西岸地区のパレスチナ人地域を相互に分断し、最も豊穣で戦略的な地域を併合しようとしている。
 入植地についてはとりわけ東エルサレムの東に位置するマアレ・アドミウム入植地の拡張による西岸地区の南北への分断や、6400軒の入植者用住宅の建設などの方策がどんどん実施されている。 西岸にはすでに東エルサレムを含めて42万人もの入植者がおり、その数はさらに増加しつづけている。今回ガザの全入植地と西岸の4つの入植地から入植者が引き上げているが、その数は全体で9000人でしかなく、その40倍以上もの入植者の住む入植地がイスラエル領に併合されるのである。
 分離壁は、最終的にはパレスチナの諸都市周辺を取り囲み、諸都市間を分断するとともに、それらの諸都市と周辺地域をつぎはぎしたものとしての「パレスチナ国家」なるものを作り出す手段となっている。イスラエルによる分離壁建設は、「テロリストからイスラエル市民を防衛する」ための安全措置なのでは決してなく、パレスチナ領を併合するためなのだ。
 だからこそイスラエルは、この最終目的に至る過程で、分離壁のイスラエル側に取り込むパレスチナ人地域と入植地をどんどん拡大しているのだ。
 現在焦点になっているマアレ・アドミウム入植地群は西岸に14q(この部分の西岸の幅の45%)も食い込む分離壁の内側に取り込まれる。この違法に建設され、西岸全体の入植者の76%にあたる17万人の入植者が居住する56もの個別入植地からなる入植地群は、分離壁で完全にイスラエル領に併合されるのである。
 他方、東エルサレムでは、パレスチナ住民23万人のうち5万5000人が分離壁の外に排除される。イスラエルはこれによって東エルサレムでのパレスチナ人とユダヤ人の人口比率をドラスチックに変え、「パレスチナ国家の首都」とされるはずの東エルサレムを完全にイスラエル領に編入しようとしているのだ。
 また、この措置はパレスチナ経済の40%ともいわれるほどの比重をもつエルサレムとその周辺地域を他のパレスチナ領から分離し、パレスチナの経済的自立の可能性を最終的に葬り去るためでもある。これらによって、「和平」プロセスで長年懸案になってきた「東エルサレム問題」は実質的に「最終解決」されることになる。

  第4章 米帝の承認

 以上のような政策は、米帝の完全な承認の下に行われている。米帝は毎年イスラエルに与える30億jの援助に加え、ガザ「撤退」資金として3年間に22億jを追加援助した。この資金は、主に現在イスラエル領となっているガリラヤやネゲブの開発に使用するとされているが、そのかなりの部分がガザから西岸に再定住する入植者への援助や、イスラエル領内のパレスチナ人移転のために使われる。
 米帝はガザ「撤退」を、「和平」プロセスの前進として描きだし、実際にはイスラエルによるパレスチナ人の追放と抹殺の政策を承認したのだ。それは「パレスチナ国家の樹立」を唱える「ロードマップ」そのものを米帝自身が否定したことを意味する。
 今回の翻訳資料1は、ガザ「撤退」が「和平」プロセスの凍結を目的としたものであり、同時にガザの現状を徹底的に悪化させることを暴露したISM(パレスチナ人民の闘いを支援する外国人の組織である「国際連帯運動」)のファクト・シートである。
 翻訳資料2は、シャロン政権が05年1月に発表した「ガザ撤退計画の概要」である。それは「ガザ撤退」の真の目的が何であるかを、イスラエル政府自身の文書からつかみ取るための資料である。
 イスラエル軍のガザ「撤退」を勝利とは安易に言えないパレスチナ人民の困難な現状を正しく認識し、苦闘するパレスチナ人民と連帯して闘おう。

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 イスラエルのガザからの「撤退」に関する報道の洪水を見ていると、この地域の和平への「ロードマップ」が前進し、占領がなんらかの結末に近づいているかのような考えに引き込まれがちになる。したがって、このファクト・シートに掲載された情報をしっかり頭にとどめておくことが重要である。

 ガザ撤退は和平ププロセスを凍結することを狙っている

 2004年10月の日刊ハーレツ紙のシャロン首相の主席顧問・ダブ・ワイスグラスへのインタビューによれば、「撤退計画の意味するものは、和平プロセスの凍結ということである。……パレスチナ国家と呼ばれる全パッケージは、それが包含するすべてを含めて、永久にわれわれの課題から取り除かれた。……そのすべてに大統領の祝福と米両院の承認が与えられている」

 ガザは今後も占領されたままである

 イスラエルはいまだにパレスチナ人がガザとエジプトの国境を管理することを許していないし、ガザと西岸の間の物資と人の移動も、ガザの空域、海域の管理も許していない。
 イスラエルがパレスチナ人のこの領域における管理権をパレスチナ人に移譲することに合意しない限り、ガザは法的にはイスラエルの軍事占領下にあると認識されると、(国際赤十字委員会や「ヒューマンライツ・ウオッチ、ブツレム、ハモケッド、イスラエル政府の諸部局なども含め)多くの団体が一致した見解を出している。

 イスラエルのガザ撤退計画は、アメリカ合州国の最低限の要請にも応えていない 

 イスラエルのガザ地帯からの「撤退」計画は、米国がはっきりと表明した最低限の要請にさえも応えていない。ライス国務長官のコンドリーザ・ライスは、「ガザからイスラエルが撤退する際に、撤退後にパレスチナ人を閉じこめたまま、ガザを封鎖し孤立したままにしておくことはできない。われわれは、ガザと西岸を連絡できるようにしておく責任と、ガザの開放性とパレスチナ人の移動の自由を保障する責任がある」と述べている。

 イスラエルはガザ撤退の代償にアメリカに22億jの援助追加を要求している

 アメリカが毎年イスラエルに与える30億jの援助に加えて、イスラエル政府は「ガザ撤退」資金を援助するものとして3年間に22億jの追加援助を要求している。この資金の3分の2は、ガリラヤとネゲブを開発するために使われるだろう。再定住するユダヤ人入植者と、両地域に住んでいるイスラエル内のパレスチナ市民の移転のために使われるのだ(ワシントンポストによる)。

 すべてのイスラエル人入植者は国際法を侵犯している

 アムネスティー・インターナショナルや、ヒューマンライツ・ウオッチ、ブツレム(イスラエル人の団体)、国際司法裁判所、国連、そして世界のほとんどの政府によれば、ガザ地帯と東エルサレムを含む西岸地域のすべてのイスラエル人入植者は、国際法、とりわけジュネーブ第4条約に違反している。
 イスラエルは欺瞞的に入植地を「合法的」なものと「違法開拓地」とに区別しているが、すべての入植地と開拓地は国際法のもとでは違法である。

 42万人の不法なイスラエル人入植者が西岸地域に残存している

 ガザ地帯の違法なイスラエル人入植地と西岸の4つの違法入植地からわずか9000人のイスラエル人入植者が退去させられる。だが、東エルサレムを含む西岸地域の違法入植地には、約42万人のイスラエル人入植者が残存する(ニューヨークタイムスやその他多くの情報源による)。

 西岸地域の急速な入植地拡大と隔離壁建設の継続

 西岸地域全域で違法なイスラエル人入植地が急速に拡大し続けている。特に、イスラエルが隔離壁の西側に取り込もうとしている値域と4つの主要な入植地ブロックにおいて著しい。イスラエルが、ガザ地帯で2000軒の入植者の住宅を取り壊そうと話している間に、イスラエルは占領地の西岸地域では6400軒の入植者の住宅を建設してきた(アリ・アブニマー 「デモクラシー・ナウ」)
 パレスチナ人の土地でのイスラエルの隔離壁の建設継続は、ビリーンや西岸の数十の村々でパレスチナ人の土地をイスラエルに併合するものだ。

 イスラエルの入植地は戦略的土地を取得している

 ガザと西岸地域では、イスラエルの入植地は水資源が豊かで、イスラエルが資源と土地を支配するのを容易にし、パレスチナ人の領域を非連続的な地域に分断する典型的な戦略的土地に建設されている(家屋破壊に反対するイスラエル委員会)。

 イスラエルの入植者はこの2週間に8人のパレスチナ人を殺害した

 2人のイスラエル人入植者が、この2週間に何の挑発もされていないのに、8人のパレスチナ人を射殺した。イスラエル人によってこれらの殺人が行われたにもかかわらず、またパレスチナ人側からの暴力がなかったにもかかわらず、世界の報道機関は撤退期間中の「パレスチナ人の暴力」の可能性になによりも焦点を当て続けた。

 イスラエルは1948年と1967年に80万人のパレスチナ人を自分の土地から引き離し、難民にした

 イスラエルと世界の報道機関は、入植者たちが30年ほどしか住んでいないガザの違法入植地からの9000人のイスラエル人の撤退をドラマチックに報道している。イスラエルは1948年に73万7000人のパレスチナ人を先祖代々の家から避難することを強制し、1967年には6万9000人のパレスチナ人に自分の家からのさらなる避難を強制した。
 イスラエル政府はこの大規模な土地没収の責任をとらず、国際法で保証されているパレスチナ難民の帰還権を承認することもしない状態を続けている(アル・アウダ)。

  第5章 とくにガザに関する事実

 イスラエルはガザの3分の1を支配している

 約9000人の入植者とイスラエル軍はちっぽけな人口過剰なガザ地帯の33%を支配してきた。他方、ほとんどが難民と難民の子孫からなる130万人のパレスチナ人は、残りの67%の土地に詰め込まれてきた(ニューヨークタイムス)。

 イスラエルがガザを貧困化した

 ガザのパレスチナ人の土地は1平方マイルあたり平均1万4000人の人口を抱えている。パレスチナ人の失業は率は、45%と見積もられ、ガザの家族のほとんどは1日2ドル以下で生活している(ニューヨークタイムス 2005年8月18日付)。過去のイスラエルの政策ゆえに、イスラエルはガザの現状に責任を負っている(「1つの巨大な監獄」 ブツレムとハモケッドによる)。

 イスラエル人の入植者は数十万jの補償金を受け取っている

 「撤退」に際し、イスラエルの各入植者家族は、西岸およびガザ地帯の違法入植地の家から胎教することに対し、イスラエル政府から30〜50万jの補償金を受け取る資格を得る(2005年8月12日付のクリスチャン・サイエンスモニター紙および諸情報源より)。

 イスラエル人の入植者は、何年もの間、政府の補助金受け取ってきた

 イスラエル人の入植者は年金、水、電気、農業などに関するいくつもの政府補助金の恩恵を受けてきた(ブツレムより)。

 ガザのパレスチナ人の3万軒の家は何の賠償もなしに破壊されてきた

 わずか9000人の入植者がガザと西岸4入植地の家から退去するのに対して、イスラエル軍はこの4年間にガザ地帯だけで3万人のパレスチナ人の家を破壊した。その多くはイスラエルの入植地に隣接する難民キャンプにあった。パレスチナ人は家屋破壊に対し、イスラエル政府から何の賠償も受けていない(ダニー・ルビンシュタイン、日刊ハーレツ紙)。

 イスラエル人は荷造りをし、パレスチナ人は15分前の警告で退去 

 イスラエル軍の特別部隊はガザのイスラエル人入植者が家から退去する際に家財の荷造りをするのを手伝った。イスラエル軍は、パレスチナ人に対しては通常、最大で15分間を家を破壊する前に家財を荷造りし退去する時間を与える。

 イスラエルの入植者はガザの労働者を搾取した

 イスラエル人の入植者はガザに封鎖された難民をイスラエルの最低賃金の3分の1の賃金を払って農業労働者として働かせた。入植者は「撤退」による雇用の終了に対する補償もパレスチナ人労働者に支払っていない(アミーラ・ハス 日刊ハーレツ紙)。

 イスラエルの法律違反者には非暴力で、パレスチナ人市民には暴力で

 イスラエル軍は、国際法に違反してパレスチナ人の土地に住み、パレスチナ人市民を恐怖に陥れたり殺害してきたイスラエル人入植者で、撤退に抗議する者を退去させるためには武器を使わなかった。だが、イスラエル軍は日常生活を営んでいるパレスチナ人市民や非暴力で抗議するパレスチナ人に対しては常に過剰な武力を行使している(ブツレム、ヒューマンライツ・ウオッチ、アムネスティー・インターナショナル)。

 パレスチナ人は夜間外出禁止令の下に置かれ、ガザでの入植者の攻撃は増加している

 イスラエルは入植者の「撤退」期間中、入植地と隣接しているガザの多くのコミュニティーでパレスチナ人に夜間外出禁止令を強制している。他方、イスラエル軍が「撤退」させようとしている時にも、ガザのイスラエル人入植者は、パレスチナ人への攻撃を続けている(アルジャジーラ)。

翻訳資料

 翻訳資料-2

 イスラエルの「ガザ撤退計画の概要」

 −−2005年1月25日 イスラエル政府−−

 丹沢 望訳 

  第1章 総論

 イスラエルは和平プロセスに関与し、ブッシュ大統領の構想の実現の一環としてある、ユダヤ人国家としてのイスラエル国家と、パレスチナ人国家としてのパレスチナ国家という2民族2国家の原則に基づき、紛争の合意による解決を達成することを熱望している。
 イスラエルは現在の状況を改善し前進させようと努力している。イスラエルは、現在、2者間の和平プロセスにおいてイスラエルが前進を実現することのできるパレスチナ側の信頼しうる交渉相手が存在しないという結論に到達した。したがって、イスラエルは以下のような配慮に基づいて一方的撤退計画を立案した。
 現在の状況に規定された交渉の行き詰まりは有害な結果をもたらす。このような行き詰まりから抜け出すために、イスラエルはパレスチナ側の協力に依存しない活動を行う必要に迫られた。
 この計画は少なくとも長期的にみれば治安状況の改善に導くであろう。
 その前提は、将来のいかなる永久的な地位協定においても、ガザ地域にはイスラエル人の町や村は一切存在しないだろうということである。他方、ヨルダン川西岸地域には、諸都市、町、村、安全地帯と安全保障施設、イスラエルにとって特別の利害がある地域などの、イスラエル国家の一部分になるであろう地域が存在する。
 ガザ地域や北サマリアからの移住パレスチナ人住民との摩擦を軽減し、それに伴ってパレスチナ人の経済と生活条件の改善の可能性をもたらすであろう。
 パレスチナ人がこの撤退によってもたらされる機会を、暴力の悪循環から脱却し、交渉プロセスに復帰するために活用することが期待される。
 撤退はガザのパレスチナ人に関するイスラエルの責任を払拭するのに役立つであろう。
 撤退がイスラエル・パレスチナ協定を害することはない。適切な協定は適用を継続される。
 パレスチナ人側から、テロに対する闘いと、ロードマップによって要求された改革機構の設立の実施、その意志、能力があることが証明されれば、交渉と対話の道に回帰することは可能となろう。

  第1章 主要な要素

  第1節 ガザ地帯

 イスラエルは現存する全てのイスラエルの町と村を含めてガザ地域から撤退し、その外部に再展開するであろう。この撤退には、以下に詳述されるように、ガザとエジプトの間の境界地域(「フィラデルフィア・ルート)における軍事的配置は含まれない。
 この撤退過程の完了後は、イスラエルの安全保障軍と撤退が行われるガザ地域のイスラエル民間人はもはや恒久的には存在することはなくなる。
 この結果、ガザ地帯が占領地域であると主張する根拠はなくなるであろう。

  第2節 ヨルダン川西岸地域

 イスラエルは、4つの村と全軍事施設を含めて、北サマリア地域から撤退し、撤退地域の外部に再展開するであろう。
 この過程の終了後、北サマリア地域では、イスラエル安全保障軍と民間人はもはや恒久的には存在することはなくなる。
 これによって北サマリア地域のパレスチナ人にとって領土的連続性が実現される。
 イスラエルはパレスチナ人にとっての交通面での連続性を容易にするために、西岸における交通インフラストラクチャーを改善するであろう。
 この過程は、パレスチナ人の西岸における経済的商業的活動を容易にするであろう。
 安全保障壁については、イスラエルは政府の適正な決定にしたがって安全保障フェンスの建設を継続するであろう。そのルートについては人道的配慮が行われる。

 第1章 撤退後の安全保障状況

 第1節 ガザ地帯

 イスラエルはガザ地帯の外周境界線を防衛、監視し、ガザ空域の排他的権限を維持し続け、ガザ地帯の沿岸海域における安全保障活動を行い続けるであろう。
 ガザ地帯は非武装化され、武器は撤去される。武器の存在はイスラエル・パレスチナ協定にそぐわないからである。
 イスラエルは、ガザ地帯から発生する脅威に関しては、先制的なものであれ、反撃的なものであれ、必要ならば軍事力の使用を含む固有の自衛権を維持する。

 第2節 西岸地域

 北サマリア地域からの撤退の完了後は、イスラエル軍がこの地域に恒久的に駐留することはない。
 イスラエルは北サマリア地域から発生する脅威に関しては、先制的なものであれ、反撃的なものであれ、必要ならば軍事力の使用を含む固有の自衛権を維持する。
 西岸地域の他の地域においては、現在の安全保障活動が継続されるであろう。しかし、状況が許せば、イスラエルはパレスチナ人の諸都市でのこうした活動を縮小することを考慮するであろう。
 イスラエルは西岸全域の領域内検問所の数を削減するように努力するであろう。

  第4章 ガザ地帯と北サマリアにおける軍事施設・インフラ

 全体的にはイスラエルが残すか他の場所に移転するかを決めたものを除いて解体されるか撤去される。

 第5章 パレスチナ人に対する安全保障上の支援

 イスラエルの承認を受けて、アメリカ人、イギリス人、エジプト人、ヨルダン人や他の諸国の専門家によって、テロリズムとの戦いや公共の秩序維持のための任務を完遂するために、パレスチナ人の治安維持軍に対する助言、援助、訓練が与えられることを、イスラエルはパレスチナ人と調整することによって合意した。外国のいかなる安全保障上のプレゼンスも、イスラエルと調整し承認されることなしにガザ地帯や西岸地域には入れない。

 第6章 ガザ地帯とエジプトの境界地域(フィラデルフィア・ルート)

 当初は、イスラエルはガザ地帯とエジプトとの境界地域(フィラデルフィア・ルート)沿いに軍事力を維持し続けるであろう。この軍事力の存在は重要な安全保障上の要求である。特定の地域については、安全保障上の配慮によって、軍事行動が展開されるその地域の何らかの拡大が必要になるかもしれない。
 続いて、この地域からの撤退が考慮されるであろう。この地域からの撤退は、とりわけ安全保障上の情勢と、信頼しうる安全保障上の代替措置の整備の実現に関するエジプトとの協力の程度に依存するであろう。
 諸条件がこの地域からの撤退を許せば、イスラエルと合意される協定にしたがい、ガザ地帯に港湾と空港を建設する可能性をイスラエルは積極的に考慮する。

 第7章 イスラエルの町と村

 イスラエルはイスラエル人の町と村の不動産をそのまま残す努力をするであろう。イスラエル人の経済活動のパレスチナ人への移転は、それによってパレスチナ経済の顕著な改善の可能性を与える。イスラエルは、ガザに残される資産所有権をイスラエル人から獲得し、そうしたすべての資産の価値を評価する国際機関が(AHLCの方針に沿って)、アメリカ合州国とイスラエルとの合意の上に設立されることを提案する。
 イスラエルは、撤退地域に残される資産の経済的価値の考慮を要求する権利を留保する。

 第8章 民間のインフラストラクチャーと諸協定 (略)

 第9章 国際組織の活動

 イスラエルは、パレスチナ人住民を支援する国際的な人道組織の活動が継続されることの重要性を理解している。イスラエルはこうした活動を容易にするために、これらの組織の計画に協力するであろう。

 第10章 経済協定

 総じて、現在イスラエルとパレスチナ人との間で効力をもっている経済協定は、当面の間その効力を維持する。これらの協定のなかにはとりわけ、以下のようなものが含まれる。
・現行基準にしたがったイスラエルへの労働者の入国
・ガザ地帯、西岸地域、イスラエルと外国との物資の輸出入
・通貨制度
・税金と関税に関する協定
・郵便・電信電話協定
 長期的に、また、パレスチナ経済のより大きな独立性を促すにあたってのイスラエルの利害にしたがって、イスラエルはイスラエルに入るパレスチナ人労働者の数を削減することを予定している。イスラエルはガザ地帯と西岸のパレスチナ地域における雇用源の強化を支援する。

 第11章 エレツ工業地域

 ガザ地帯にあるエレツ工業地域は4000人のパレスチナ労働者を雇用している。この工業地域の操業の継続は、なによりも明確にパレスチナ人の利益となるものである。イスラエルはこの工業地域の操業の継続を、以下の2つの条件付きで現状のまま行う。
・適切な安全保障協定の存在
・この工業地域の操業の現状のままの継続が、この地域のイスラエルによる支配の継続とみなされないという確認の国際社会による表明
 以上の条件が満たされない場合、この工業地域は合意によってパレスチナ人あるいは国外の事業体に譲渡される。
 イスラエルはエジプトとともに、ガザ地帯とエジプト、イスラエルとの間の地域に共同工業地域を設立する可能性について検討しようとしている。

 第12章 国際間通行路

・ガザ地帯とエジプトとの間の国際間通行路に関して
  現在の協定は継続される。
 イスラエルはこの通行路を、現在の位置から約2q南の「3国間国境」地域に移転することに関心を持っている。これはエジプトとの協力によって実施される必要があるであろう。この移転によって、通過時間を長くすることが可能になる。
・西岸地域とヨルダンとの間の国際間通行路に関して
 現在の協定が継続される。

 第13章 エレツ検問所

 エレツ検問所のイスラエル側部分は別個に決める時期にイスラエル領内に移転される。 

 第14章 予定表

 撤退過程は2005年末までに完了すると計画されている。撤退の諸段階と詳細な予定はアメリカ合州国に通告される。

 第15章 結論

 イスラエルは撤退計画に対する広範な支持を国際社会に期待する。パレスチナ人にテロリズムと闘い、改革を実施するという自分たちの義務を遂行させ、諸政治勢力を交渉の道に復帰させるためには、この支持は決定的である。
 ブッシュ大統領の首相への文書と、首相のブッシュ大統領への文書は、撤退計画全体の諸部分を構成する。そしてこのアメリカとの了解は、撤退計画がイスラエルによって決定された場合に初めて効力を発揮する。ブッシュ大統領と首相との間の文書の交換と、官房長官の米安全保障担当補佐官への文書は、この撤退計画と一体のものとして添付される。
 イスラエル政府が採用したロードマップに従い、イスラエルは、無許可の入植拠点の解体、入植地の拡大の制限などに関するさまざまな行動を行ってきた。アメリカとの交渉にあたって、これらの諸問題に関するイスラエルのこれまでの全ての行動についてのアメリカ政府への説明は、首相府官房長官の米国家安全保障担当補佐官への文書の中に含まれている。