COMMUNE 2007/1/01(No.368 p48)

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1月号 (2007年1月1日発行)No.368号

定価 315円(本体価格300円+税)


〈特集〉  米軍再編・改憲阻止の砦・沖縄

□最終合意と徹底対決し新たな島ぐるみ闘争へ
□北朝鮮−世界戦争態勢造る米軍再編最終報告
□経済制裁−臨検は北朝鮮侵略戦争の始まりだ
□沖縄から自治労運動の階級的再生切り開こう

●資料1 米軍再編最終報告 2006年5月1日 日米安保協議委員会共同発表

●国際労働運動 南朝鮮・韓国/動労千葉、民主労総ソウル本部と共闘  全国労働者大会5万人がゼネスト誓う−−室田順子

    11・5労働者集会

三里塚ドキュメント(10月) 政治・軍事月報(10月)

労働月報(10月)  闘争日誌(9月)

コミューン表紙

 教基法の改悪阻止

 ▼安倍と自公与党は11月15日に衆院特別委員会で、16日には衆院本会議で教育基本法改悪案を強行採決し、法案は参院に送られた。民主党などの野党は「教育問題での抵抗はまずい」と完全な屈服姿勢をとり、欠席戦術をとり、議会内での実力抵抗をまったく放棄した。教育基本法改悪は、「教育勅語」の復活であり、国家のために喜んで死ぬことを教え込む教育に転換する。さらに教育に市場原理・競争原理を導入し、教育の機会均等原則を破り捨て、一握りのエリートを優遇育成し、それ以外は切り捨てる。徹底した格差社会を形成する。最大の狙いは、日教組の解体だ。「つくる会」元会長の八木秀次は教育基本法改悪の一番の眼目は「左派系職員組合の影響力を排除し」「教職員の法令遵守」を規定することだと言い、現行教育基本法10条改悪が一番の問題だと主張している。これが日帝の本音だ。

▼12月の参院での攻防が決定的になった。しかし与党は決して磐石ではない。改悪案は実際には「荷崩れ」状態で参院に送られ、日程は綱渡りであり、議席数も与野党は接近している。安倍は超反動で凶暴だが、盟友・ブッシュの中間選挙における大敗北で大きく打撃を受け、安倍の本性がむき出しになるにつれ支持率も10ポイント程度低下(朝日新聞の世論調査)するなど、危機と破綻も明白に始まっている。

▼教育基本法改悪を阻止できる展望は確実にある。10月17日朝、教育基本法改悪を阻止しようと教育労働者が国会前でリレーハンストと座り込み行動をスタートさせて以来、国会前に闘いの拠点ができた。19日には日教組の座り込みが始まり、連日数十人、数百人から多いときに1000人を超えた。25日から教育基本法特別委員会で審議が始まった。26日には日教組緊急集会が本部をのりこえ日比谷野音に8500人を集め、11月5日には動労千葉など3労組主催の全国労働者総決起集会(日比谷野音)に4900人、12日の全国連絡会主催の集会(日比谷野音)に8000人、そして15日の特別委員会の強行採決時には1000人が国会前で怒りのシュプレヒコールをあげ、翌16日の本会議には被処分者が先頭に立って多数が抗議、夕方には職場から教育労働者が一斉にかけつけ実に5000人が国会前を埋め尽くした。国会前には怒り、感動、連帯、団結がある。闘いは始まったばかりだ。教育基本法改悪は絶対阻止できる。

▼安倍が教育基本法改悪、共謀罪、防衛庁「省」昇格、さらには集団的自衛権行使などを急ぐのは、米日帝の北朝鮮侵略戦争が切迫しているからだ。安倍はブッシュと共に北朝鮮侵略戦争の口火を切ろうとしている。安倍は11月14日ワシントン・ポスト紙で、「任期中に改憲を政治スケジュールに乗せたい」と述べ「米国に向かうミサイルを撃ち落とす研究もしなければならない」と集団的自衛権の行使への野望を語っている。さらに中川自民党幹事長が11月15日に「(来年の通常国会で)国民投票法案を成立させて、参院選後から憲法改正問題の協議をスタートさせていくべきだ」「参院選後の3本柱は憲法改正、道州制、中央省庁再々編だ」と安倍の路線を代弁している。教育基本法改悪は安倍にとってまさに改憲への突破口であり、現在の闘いは改憲阻止決戦そのものだ。日教組、自治労の現場労働者を先頭に4大産別決戦と6000万労働者階級の猛反撃を安倍にたたきつけよう。(U)

 

 

翻訳資料

 米軍再編最終報告 2006年5月1日

 ● 日米安保協議委員会共同発表

 日米安全保障関係を中核とする日米同盟は、日本の安全及びアジア太平洋地域における平和と安定にとって不可欠の基礎であり、地域における米国の安全保障政策の要である。この強力なパートナーシップは、グローバルな課題に対応し、また、基本的人権、自由、民主主義及び法の支配といった両国が共有する基本的な価値を促進する上で、ますます極めて重要となってきている。この同盟関係は、地域及び世界の安全保障環境における変化に成功裡に適応してきており、引き続き、将来の課題に対応するため、より深く、より幅広く、発展していく必要がある。このパートナーシップが、強固であり続けるためには、両国の国民一般の確固とした支持を引き続き得ることにより強化されなければならない。
 本日の会合において、閣僚は、新たに発生している脅威が、世界中の国々の安全に影響を及ぼす共通の課題を生み出しているとの見解を共有し、幅広い問題に関する2国間のますます緊密な協力に留意した。閣僚は、日米同盟が、地域及び世界の平和と安全を高める上で極めて重要な役割を引き続き果たすよう、協力を拡大したいと考えていることを確認した。閣僚は、イラク及びアフガニスタンを再建し、これらの国々において民主主義を強化するとともに、より広い中東における改革の努力を支援するための、日米の努力の重要性に留意した。閣僚は、イランに対しすべての濃縮関連活動を停止し、IAEAの査察に全面的に協力するよう説得する努力において、緊密に協力することを確約するとともに、国連安全保障理事会の行動が協調してとられる必要性につき合意した。
 アジア太平洋地域も、世界の他の地域と同様、不透明性や不確実性を生み出す課題に引き続き直面している。閣僚は、6者会合の共同声明への一致したコミットメントを再確認し、北朝鮮に対して、無条件かつ即時に6者会合の場に戻ること、完全、検証可能かつ不可逆的な形で核計画を廃棄すること、また、すべての不法な活動や拡散の活動を中止することを求めた。閣僚は、外交努力を通じて地域紛争を解決することの重要性を再確認し、地域における軍事力の近代化に関してより一層の透明性を求めた。
 このような安全保障環境の中で、閣僚は、2005年2月に安全保障協議委員会が特定した共通戦略目標を実現するに当たり、緊密に協力するとのコミットメントを確認した。閣僚は、2005年10月の安全保障協議委員会文書に記されている両国間の役割・任務・能力に関する勧告に示されているように、弾道ミサイル防衛、両国間の計画検討作業、情報共有と情報協力や国際平和協力活動といった分野で、2国間の安全保障・防衛協力の実効性を強化し、改善することの必要性や、自衛隊と米軍の相互運用性を向上することの重要性を強調した。この文脈で、閣僚は、変化する地域及び世界の安全保障環境において、確固たる同盟関係を確保するとともに、様々な課題に対応するよう同盟の能力を向上するために、安全保障・防衛協力の在り方を検討する重要性を強調した。
 本日開催された安全保障協議委員会において、閣僚は、本日の同委員会文書「再編実施のための日米のロードマップ」に記されている、2005年10月の再編案の実施の詳細を承認した。閣僚は、これらの再編案の実施により、同盟関係における協力は新たな段階に入るものであり、また、地域における同盟関係の能力強化につながるものであることを認識した。今後実施される措置は、日米安全保障条約の下での日米双方のコミットメントを強化すると同時に、沖縄を含む地元の負担を軽減するとの日米双方の決意を示すものである。これは、安全保障上の同盟関係に対する国民一般の支持を高める基礎を提供するものである。閣僚は、日本国政府による地元との調整を認識し、再編案が実現可能であることを確認した。また、閣僚は、これらの再編案を完了させることが同盟関係の変革の基礎を強化するために不可欠であることを認識し、日米安全保障条約及び関連取極を遵守しつつ、この計画を速やかに、かつ、徹底して実施していくことを確約した。(以上仮訳)

 再編実施のための日米ロードマップ

 概観

 2005年10月29日、日米安全保障協議委員会の構成員たる閣僚は、その文書「日米同盟/未来のための変革と再編」において、在日米軍及び関連する自衛隊の再編に関する勧告を承認した。その文書において、閣僚は、それぞれの事務当局に対して、「これらの個別的かつ相互に関連する具体案を最終的に取りまとめ、具体的な実施日程を含めた計画を2006年3月までに作成するよう」指示した。この作業は完了し、この文書に反映されている。
再編案の最終取りまとめ
 個別の再編案は統一的なパッケージとなっている。これらの再編を実施することにより、同盟関係にとって死活的に重要な在日米軍のプレゼンスが確保されることとなる。
 これらの案の実施における施設整備に要する建設費その他の費用は、明示されない限り日本国政府が負担するものである。米国政府は、これらの案の実施により生ずる運用上の費用を負担する。両政府は、再編に関連する費用を、地元の負担を軽減しつつ抑止力を維持するという、2005年10月29日の日米安全保障協議委員会文書におけるコミットメントに従って負担する。
実施に関する主な詳細

1 沖縄における再編

 (a)普天間飛行場代替施設

 ●日本及び米国は、普天間飛行場代替施設を、辺野古岬とこれに隣接する大浦湾と辺野古湾の水域を結ぶ形で設置し、V字型に配置される2本の滑走路はそれぞれ1600メートルの長さを有し、2つの100メートルのオーバーランを有する。各滑走路の在る部分の施設の長さは、護岸を除いて1800メートルとなる。この施設は、合意された運用上の能力を確保するとともに、安全性、騒音及び環境への影響という問題に対処するものである。
 ●合意された支援施設を含めた普天間飛行場代替施設をキャンプ・シュワブ区域に設置するため、キャンプ・シュワブの施設及び隣接する水域の再編成などの必要な調整が行われる。
 ●普天間飛行場代替施設の建設は、2014年までの完成が目標とされる。
 ●普天間飛行場代替施設への移設は、同施設が完全に運用上の能力を備えた時に実施される。
 ●普天間飛行場の能力を代替することに関連する、航空自衛隊新田原基地及び築城基地の緊急時の使用のための施設整備は、実地調査実施の後、普天間飛行場の返還の前に、必要に応じて、行われる。
 ●民間施設の緊急時における使用を改善するための所要が、2国間の計画検討作業の文脈で検討され、普天間飛行場の返還を実現するために適切な措置がとられる。
 ●普天間飛行場代替施設の工法は、原則として、埋立てとなる。
 ●米国政府は、この施設から戦闘機を運用する計画を有していない。

 (b)兵力削減とグアムへの移転

 ●約8000名の第3海兵機動展開部隊の要員と、その家族約9000名は、部隊の一体性を維持するような形で2014年までに沖縄からグアムに移転する。移転する部隊は、第3海兵機動展開部隊の指揮部隊、第3海兵師団司令部、第3海兵後方群(戦務支援群から改称)司令部、第1海兵航空団司令部及び第12海兵連隊司令部を含む。
 ●対象となる部隊は、キャンプ・コートニー、キャンプ・ハンセン、普天間飛行場、キャンプ瑞慶覧及び牧港補給地区といった施設から移転する。
 ●沖縄に残る米海兵隊の兵力は、司令部、陸上、航空、戦闘支援及び基地支援能力といった海兵空地任務部隊の要素から構成される。
 ●第3海兵機動展開部隊のグアムへの移転のための施設及びインフラの整備費算定額102・7億ドルのうち、日本は、これらの兵力の移転が早期に実現されることへの沖縄住民の強い希望を認識しつつ、これらの兵力の移転が可能となるよう、グアムにおける施設及びインフラ整備のため、28億ドルの直接的な財政支援を含め、60・9億ドル(2008米会計年度の価格)を提供する。米国は、グアムへの移転のための施設及びインフラ整備費の残りを負担する。これは、2008米会計年度の価格で算定して、財政支出31・8億ドルと道路のための約10億ドルから成る。

 (c)土地の返還及び施設の共同使用

 ●普天間飛行場代替施設への移転、普天間飛行場の返還及びグアムへの第3海兵機動展開部隊要員の移転に続いて、沖縄に残る施設・区域が統合され、嘉手納飛行場以南の相当規模の土地の返還が可能となる。
 ●双方は、2007年3月までに、統合のための詳細な計画を作成する。この計画においては、以下の6つの候補施設について、全面的または部分的な返還が検討される。
 ○キャンプ桑江=全面返還。
 ○キャンプ瑞慶覧=部分返還及び残りの施設とインフラの可能な限りの統合。
 ○普天間飛行場=全面返還(上記の普天間飛行場代替施設の項を参照)。
 ○牧港補給地区=全面返還。
 ○那覇港湾施設=全面返還(浦添に建設される新たな施設=追加的な集積場を含む=に移設)。
 ○陸軍貯油施設第1桑江タンク・ファーム=全面返還。
 ●返還対象となる施設に所在する機能及び能力で、沖縄に残る部隊が必要とするすべてのものは、沖縄の中で移設される。これらの移設は、対象施設の返還前に実施される。
 ●SACO最終報告の着実な実施の重要性を強調しつつ、SACOによる移設・返還計画については、再評価が必要となる可能性がある。
 ●キャンプ・ハンセンは、陸上自衛隊の訓練に使用される。施設整備を必要としない共同使用は、2006年から可能となる。
 ●航空自衛隊は、地元への騒音の影響を考慮しつつ、米軍との共同訓練のために嘉手納飛行場を使用する。

 (d)再編案間の関係

 ●全体的なパッケージの中で、沖縄に関連する再編案は、相互に結びついている。
 ●特に、嘉手納以南の統合及び土地の返還は、第3海兵機動展開部隊要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転完了に懸かっている。
 ●沖縄からグアムへの第3海兵機動展開部隊の移転は、(1)普天間飛行場代替施設の完成に向けた具体的な進展、(2)グアムにおける所要の施設及びインフラ整備のための日本の資金的貢献に懸かっている。
2 米陸軍司令部能力の改善
 ●キャンプ座間の米陸軍司令部は、2008米会計年度までに改編される。その後、陸上自衛隊中央即応集団司令部が、2012年度(以下、日本国の会計年度)までにキャンプ座間に移転する。自衛隊のヘリコプターは、キャンプ座間のキャスナー・ヘリポートに出入りすることができる。
 ●在日米陸軍司令部の改編に伴い、戦闘指揮訓練センターその他の支援施設が、米国の資金で相模総合補給廠内に建設される。
 ●この改編に関連して、キャンプ座間及び相模総合補給廠の効率的かつ効果的な使用のための以下の措置が実施される。
 ○相模総合補給廠の一部は、地元の再開発のため(約15ヘクタール)、また、道路及び地下を通る線路のため(約2ヘクタール)に返還される。影響を受ける住宅は相模原住宅地区に移設される。
○相模総合補給廠の北西部の野積場の特定の部分(約35ヘクタール)は、緊急時や訓練目的に必要である時を除き、地元の使用に供される。
 ○キャンプ座間のチャペル・ヒル住宅地区の一部(1・1ヘクタール)は、影響を受ける住宅のキャンプ座間内での移設後に、日本国政府に返還される。チャペル・ヒル住宅地区における、あり得べき追加的な土地返還に関する更なる協議は、適切に行われる。

3 横田飛行場及び空域

 ●航空自衛隊航空総隊司令部及び関連部隊は、2010年度に横田飛行場に移転する。施設の使用に関する共同の全体計画は、施設及びインフラの所要を確保するよう作成される。
 ●横田飛行場の共同統合運用調整所は、防空及びミサイル防衛に関する調整を併置して行う機能を含む。日本国政府及び米国政府は、自らが必要とする装備やシステムにつきそれぞれ資金負担するとともに、双方は、共用する装備やシステムの適切な資金負担について調整する。
 ●軍事運用上の所要を満たしつつ、横田空域における民間航空機の航行を円滑化するため、以下の措置が追求される。
 ○民間航空の事業者に対して、横田空域を通過するための既存の手続について情報提供するプログラムを2006年度に立ち上げる。
 ○横田空域の一部について、2008年9月までに管制業務を日本に返還する。返還される空域は、2006年10月までに特定される。
 ○横田空域の一部について、軍事上の目的に必要でないときに管制業務の責任を一時的に日本国の当局に移管するための手続を2006年度に作成する。
 ○日本における空域の使用に関する、民間及び(日本及び米国の)軍事上の所要の将来の在り方を満たすような、関連空域の再編成や航空管制手続の変更のための選択肢を包括的に検討する一環として、横田空域全体のあり得べき返還に必要な条件を検討する。この検討は、嘉手納レーダー進入管制業務の移管の経験から得られる教訓や、在日米軍と日本の管制官の併置の経験から得られる教訓を考慮する。この検討は2009年度に完了する。
 ●日本国政府及び米国政府は、横田飛行場のあり得べき軍民共同使用の具体的な条件や態様に関する検討を実施し、開始から12カ月以内に終了する。
 ○この検討は、共同使用が横田飛行場の軍事上の運用や安全及び軍事運用上の能力を損なってはならないとの共通の理解の下で行われる。
 ○両政府は、この検討の結果に基づき協議し、その上で軍民共同使用に関する適切な決定を行う。

4 厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐

 ●第5空母航空団の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐は、FA18、EA6B、E2C及びC2航空機から構成され、(1)必要な施設が完成し、(2)訓練空域及び岩国レーダー進入管制空域の調整が行われた後、2014年までに完了する。
 ●厚木飛行場から行われる継続的な米軍の運用の所要を考慮しつつ、厚木飛行場において、海上自衛隊EP3、OP3、UP3飛行隊等の岩国飛行場からの移駐を受け入れるための必要な施設が整備される。
 ●KC130飛行隊は、司令部、整備支援施設及び家族支援施設とともに、岩国飛行場を拠点とする。航空機は、訓練及び運用のため、海上自衛隊鹿屋基地及びグアムに定期的にローテーションで展開する。KC130航空機の展開を支援するため、鹿屋基地において必要な施設が整備される。
 ●海兵隊CH53Dヘリは、第3海兵機動展開部隊の要員が沖縄からグアムに移転する際に、岩国飛行場からグアムに移転する。
 ●訓練空域及び岩国レーダー進入管制空域は、米軍、自衛隊及び民間航空機(隣接する空域内のものを含む)の訓練及び運用上の所要を安全に満たすよう、合同委員会を通じて、調整される。
 ●恒常的な空母艦載機離発着訓練施設について検討を行うための2国間の枠組みが設けられ、恒常的な施設を2009年7月またはその後のできるだけ早い時期に選定することを目標とする。
 ●将来の民間航空施設の一部が岩国飛行場に設けられる。

5 ミサイル防衛

 ●双方が追加的な能力を展開し、それぞれの弾道ミサイル防衛能力を向上させることに応じて、緊密な連携が継続される。
 ●新たな米軍のXバンド・レーダー・システムの最適な展開地として航空自衛隊車力分屯基地が選定された。レーダーが運用可能となる2006年夏までに、必要な措置や米側の資金負担による施設改修が行われる。
 ●米国政府は、Xバンド・レーダーのデータを日本国政府と共有する。
 ●米軍のパトリオットPAC3能力が、日本における既存の米軍施設・区域に展開され、可能な限り早い時期に運用可能となる。

6 訓練移転

 ●双方は、2007年度からの共同訓練に関する年間計画を作成する。必要に応じて、2006年度における補足的な計画が作成され得る。
 ●当分の間、嘉手納飛行場、三沢飛行場及び岩国飛行場の3つの米軍施設からの航空機が、千歳、三沢、百里、小松、築城及び新田原の自衛隊施設から行われる移転訓練に参加する。双方は、将来の共同訓練・演習のための自衛隊施設の使用拡大に向けて取り組む。
 ●日本国政府は、実地調査を行った上で、必要に応じて、自衛隊施設における訓練移転のためのインフラを改善する。
 ●移転される訓練については、施設や訓練の所要を考慮して、在日米軍が現在得ることのできる訓練の質を低下させることはない。
 ●一般に、共同訓練は、1回につき1〜5機の航空機が1〜7日間参加するものから始め、いずれ、6〜12機の航空機が8〜14日間参加するものへと発展させる。
 ●共同使用の条件が合同委員会合意で定められている自衛隊施設については、共同訓練の回数に関する制限を撤廃する。各自衛隊施設の共同使用の合計日数及び1回の訓練の期間に関する制限は維持される。
 ●日本国政府及び米国政府は、即応性の維持が優先されることに留意しつつ、共同訓練の費用を適切に分担する。(以上仮訳) 
 ● 資料2 新世紀の日米同盟 2006年6月29日(於 ワシントンDC)
 2006年6月29日、ジョージ・W・ブッシュ・アメリカ合衆国大統領は、小泉純一郎日本国総理大臣を公式の賓客としてホワイトハウスに招き、両首脳の間の緊密な友好関係や日米両国民の間の深い絆が強化されていることを祝した。
 両首脳は、日米関係が歴史上最も成熟した2国間関係の一つであるとの見解で一致した。両首脳は、双方の指導の下で、より広範でより強化された協力関係が同盟の下で達成されたことを大いなる満足の意をもって振り返り、21世紀の地球的規模での協力のための新しい日米同盟を宣言した。

1.普遍的価値観と共通の利益に基づく日米同盟

 日米両国は、共通の脅威に対処するのみならず、自由、人間の尊厳及び人権、民主主義、市場経済、法の支配といった中核となる普遍的価値観を共に推進していく。こうした価値観は、両国の長い歴史的伝統に深く根差したものである。
 日米両国は、テロとの闘いにおける勝利、地域の安定と繁栄の確保、市場経済の理念・体制の推進、人権の擁護、シーレーンを含む航海・通商の自由の確保、地球的規模でのエネルギー安全保障の向上といった利益を共有している。
 地域及び世界における日米協力の基盤を形成しているのは、こうした日米共通の価値観と利益である。

2.政治・安全保障・経済の面での2国間の協力

 総理大臣及び大統領は、双方が就任して以来日米の安全保障関係において達成された著しい進展を歓迎した。日米の安全保障協力は、弾道ミサイル防衛協力や日本における有事法制の整備によって、深化してきた。
 両首脳は、2005年2月の共通戦略目標の策定や、日米同盟を将来に向けて変革する画期的な諸合意が行われたことを歓迎した。米軍及び自衛隊の過去数十年間で最も重要な再編をはじめとして、これらの合意は歴史的な前進であり、米軍のプレゼンスをより持続的かつ効果的にするものである。同時に、変化する安全保障環境において、日米同盟が様々な課題に対処するために必要とする能力を確保するものである。
 両首脳はまた、これらの合意の完全かつ迅速な実施が、日米両国にとってのみならず、アジア太平洋地域の平和と安定にとっても必要であることについて一致した。
 アジアは、民主主義、自由、人権、市場経済、法の支配といった普遍的価値観に一層拠って立つ地域へと変わりつつある。両首脳は、アジアのこの歴史的変革を共に形作り支援していくことを表明した。このため、両国は、個人の自由の促進、政治・経済・軍事分野での透明性と信頼性の向上、人間の尊厳の保護、拉致問題を含む人道・人権問題の解決といった、地域における共通の課題に引き続き対処していく。
 両首脳は、強固な日米協力が、中国の活力を生かし、北東アジアの平和と安寧の維持に資することを確認した。両首脳は、豪州のような地域の友好国や同盟国との戦略的対話を増進する重要性を再確認した。また、両首脳は、北朝鮮に対し、2005年9月の6者会合での共同声明における非核化の誓約を履行し、ミサイル実験モラトリアムを引続き遵守するよう呼びかけた。両首脳は、域内の孤立した政権が、人権と包括的な政治対話を含む民主主義の原則を尊重することが必要である旨話し合った。
 両首脳は、テロとの闘いにおける最近の成功や、イラク新政府への支援、イラン問題を含む不拡散面での協力といった幅広い地球的規模の活動に関し、両国の共同の取組みを改めて評価した。大統領は、アフガニスタン及びイラクにおける日本の人道復興支援、並びにインド洋での多国籍軍に対する日本の支援を賞賛した。
 日本の国連での重要な役割や貢献にかんがみ、日米両国は協力を強化し、日本の安全保障理事会常任理事国入りを実現すべく連携する。
 両首脳は、戦略的開発協調の下で緊密な協力を継続していくことを表明し、また、自然災害への対応のための能力強化支援や鳥・新型インフルエンザの予防・対処という地球的規模の課題について、連携して取り組んでいくことを確認した。
 両首脳は、また、エネルギー安全保障、クリーン・エネルギー開発、汚染削減、気候変動といった相互に関連する課題に取り組んでいくことで一致した。
 両首脳は、「成長のための日米経済パートナーシップ」の下で過去5年間にわたって達成されてきた進展を基礎として、互恵的な2国間経済関係を更に深化させ、地域や世界の経済問題に関する協力を強化するための方策を探っていくことで一致した。
 このような協力の拡大は、成長と経済改革を促進し、開放された市場を維持・推進し、テロの脅威に対処しつつ合法的な物、サービス、人及び投資の効率的な移動を確保し、知的財産権の保護と取締りを強化し、地球的規模でのエネルギー安全保障を強化し、両国における透明性の高い良好なビジネス環境を促進するといったことを含むこととなろう。
 両首脳は、また、世界貿易機関(WTO)ドーハ開発アジェンダ交渉において、2006年末までに、市場を開放し全般的にバランスのとれた結果を達成するような野心的な成果を確保するため、力強い貢献を行っていく決意を確認した。
 両首脳は、アジア太平洋経済協力(APEC)について、地域の安定、安全及び繁栄の促進のためのその極めて重要な役割を認識し、これを共に強化していく決意を表明した。
 両首脳は、「世界の中の日米同盟」が一貫して建設的な役割を果たし続けるとの認識を共有した。両首脳は、日米間の友好関係や地球的規模での協力関係が今後とも益々発展していくことを共に希望した。