COMMUNE 2007/11/1(No.377 p48)

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11月号 (2007年11月1日発行)No.377号

定価 315円(本体価格300円+税)


〈特集〉  国鉄分割・民営化攻撃を忘れるな

□動労千葉労働運動を実践し11月労働者集会へ
口国労を解体し総評労働運動の解体を狙う攻撃
□死中に活求めストライキを決断した動労千葉
□大量解雇処分攻撃破り2波のストライキ貫徹
□動労千葉はなぜ闘い勝利することができたか
 写真コーナー
・85年11月第1波ストライキ
・86年初頭の闘い 2月線見阻止闘争
・86年2月第2波ストライキ

●翻訳資料 校内での募兵活動と闘う米教育労働者 アーリーン・イノウエ

●国際労働運動 南朝鮮・韓国/イーランドで勝てばすべて勝てる−−室田順子

    9・1「防災訓練」阻止

三里塚ドキュメント(8月) 政治・軍事月報(8月)

労働月報(8月)  闘争日誌(7月)

コミューン表紙

 11月労働者集会へ

▼安倍は参院選で、労働者と農民の怒りの爆発によって大敗を喫し、完全に行き詰まり、ボロボロになり、精根尽き果てて打倒された。さらにはテロ特措法・日米同盟の危機と重圧の中で、無様に政権を放り出した。しかし振り返って見れば、安倍が「美しい国」「戦後レジームからの脱却」を叫んで凶暴に推進してきた戦争・改憲、民営化・労組破壊の攻撃、とりわけ教育基本法改悪の攻撃、防衛庁の省昇格、改憲投票法成立と社会保険庁の解体・全員解雇の攻撃は天人ともに許さざる歴史的暴挙である。さらに安倍は、辞任にあたって「局面の転換」を強調し、「私が残ることが障害になる」と述べた。一見突飛で無責任な辞任は、政権としてのどん詰まりとテロ特措法の突破に向けた起死回生の「局面の転換」を狙った「職を賭して」の反革命である。安倍と日帝を再びはい上がることもできないほどに徹底的にうちのめそう。労働者階級が団結を固め、日帝を打倒する又とないチャンスが訪れている。それを生かすのが11月労働者集会1万人結集である。

▼自民党後継総裁めぐる選挙戦が福田と麻生の間で争われている。福田優位などと言われ、福田は「希望と安心」「自立と共生」などというヌエ的ペテン的なスローガンを掲げて労働者人民の怒りの激しさからすり抜けようとしている。しかし、いずれにしろ日帝は、インド洋での米軍への「給油継続」、小泉「構造改革」路線継承そして「成長戦略」による民営化と労組破壊(公務員労働者の大量首切り)、さらには消費税増税論議の本格化など、反労働者政策を再開することは不可避だ。しかしそれに何の展望もない。労働者人民の怒りによって打倒される以外にない。安倍後継内閣にも安倍が苦しみぬいた「国際帝国主義における最弱の環=日帝」の絶望的宿命的危機から逃れる術はない。

▼11月労働者集会までにあとわずか1カ月。1万人結集のためにいかに闘うのか。それは動労千葉労働運動を実践することだ。日本における2000万青年労働者が「ワーキングプア」として存在し、「生きさせろ」と叫んでいる。ネットカフェ難民として「住むこと」も「食べること」もできない怒りがある。青年労働者はもはやこの資本主義社会に何の希望も持っていない。生きるか死ぬかという次元の根底的な革命を求めている。革命は彼岸にではなく、切実な希求になっている。こうした青年労働者の希求と真に結びつくものこそ動労千葉労働運動である。ここでは資本との非妥協、非和解の闘いを続け、既成の体制内労働運動を突き破り、民同労働運動を完全に乗り越えた階級的労働運動が実践され、屹立している。そして今や青年労働者が動労千葉に結集し、第2、第3の動労千葉を各職場につくりあげ始めている。2000万青年労働者と動労千葉労働運動が結合してきている。ここに革命を達成する力がある。こうした闘いを4大産別を中心に無数に生み出すことだ。そのために職場で資本と闘うこと、体制内労働運動と闘うことだ。この勝負に勝つことが階級情勢を転換させる。そのためにも自分が動労千葉派であると名乗りを挙げることだ。体制内労働運動、資本と激突に勝利することを通して、職場を動労千葉派にし、2000万人青年労働者を獲得していくのだ。11・4労働者集会、1万人結集のために、大飛躍をかちとろう。 (U)

 

 

 

翻訳資料

   校内での募兵活動と闘う米教育労働者 アーリーン・イノウエ

 「校内の軍国主義に反対する連合」ホームページより

 小野田 良訳

 【解説】

 今号の翻訳資料は、アメリカの高校における軍の募兵活動に反対して闘っているアーリーン・イノウエさんが、CAMS(校内の軍国主義に反対する連合)のホームページに掲載したいくつかの論文を訳出した。
 アーリーン・イノウエさんは、最も貧しい家庭の生徒たちをだまして募兵し、イラクに派兵する活動を高校内で行っている軍の募兵官に反対する活動に精力的に取り組んでいるアメリカの反戦教師だ。彼女は校内の軍国主義に反対する連合をたちあげ、ロサンゼルスの50の高校で「教え子を戦場に送るな」という闘いを展開している。この闘いは左翼的なロサンゼルス統一教組の積極的な取り組みに支援されて、次第に全国に拡大しつつある。
 このような闘いを展開しているからこそ、イノウエさんは今年7月、「日の丸・君が代」不起立闘争を闘い処分をうけた神奈川県三浦半島教組の教育労働者が訪米して、根津さんへの解雇攻撃に反対する署名を訴えたことに直ちに共感し、その場で同僚たちから署名を積極的に集めてくれた。さらには、自分たちと同じ「教え子を戦場に送らない」闘いを「日の丸・君が代」反対闘争として闘っている日本の教育労働者と連帯して闘うために来日し、11月4日の東京での労働者集会に積極的に参加することを表明したのである。
 イノウエさんの闘いは、戦時下にあるアメリカの「闘わなければ戦場に送られ殺される」現実との
すさまじい格闘である。当初のイノウエさん一人の闘いから始まった校内での野放図な募兵活動に対する反対運動は、一気に発展したわけではない。最初は一握りの人しかイノウエさんが中心となって提起した反募兵活動の集会に集まらなかった。だが、運動拡大の突破口は、ロサンゼルス統一教員組合が、イラク反戦運動のなかで急速に左翼化し、イノウエさんの働きかけでこの運動に取り組むことによって切り開かれた。4万4000人の組合員をもつこの組合の積極的活動の開始は、この運動をロサンゼルスの全地域をカバーするものへと発展させた。さらにそれは、募兵官によって狙われた家庭(ほとんどがラティーノの家族)の父母や、生徒自身も積極的に反募兵運動を闘う主体として組織する運動へと発展し、地域ぐるみの強力な運動が形成された。
 それは主に移民労働者の貧しい家庭の子どもたちを狙って、軍に入れば大学に入るための奨学金をもらえるとか、役にたつ技術を身につけることができるとかの嘘とペテンで無理矢理軍に入れ、直ちにイラクに送るという強引なやり方に対する移民労働者全体の激しい怒りを組織する闘いでもあった。低賃金、強労働を強制し、家族を養うことも、子どもを大学に行かせることもできないような状況に追い込んでおきながら、そういう状況を利用して、子どもたちをだまして戦場に送り込むやり方に、ラティーノの地域社会は怒りを爆発させたのである。
 イノウエさんの反募兵闘争は、たとえ最初は一人であっても、教育労働者が不退転の決意をもって決起すれば、米帝のイラク侵略戦争遂行体制さえ揺るがすことができることを示す闘いだ。それは根津さんの不退転の不起立闘争と同じ質を持つ闘いだ。問題は、根津さんの解雇攻撃をさらなる不起立闘争の大爆発によって粉砕する教育労働者の闘いをいかにして実現するかということである。そうした闘いを実現するに当たって、イノウエさんの闘いは重要な教訓を与えてくれるであろう。

 広がる溝 2006年10月27日

 戦争に関する現実と幻想の間の断絶と溝が広がっている。10月の米軍の死者はこれまでで最高で、イラクの民間人の推定死者数も65万5千人に上っている。しかし、同様の現実が全国のほとんどの高校でも起こっていることについては知られていない。カリフォルニアの一地域にあるヘメット高校を例に取ろう。この高校は最近の数週間に3名の卒業生を戦争で失ったという点で特筆される。以下の内容は、ロサンゼルス・タイムズの記者のスティーブ・ロペスがヘメット高校を訪問した際に目撃したものだ。
 空軍のJROTC(少年予備役将校訓練団)の制服を着た若い女性が、海軍のパンフレット(『あなたの生活を高める』)、海兵隊のパンフレット(『少数精鋭と誇り』)、陸軍のパンフレット(『今のあなたより素晴らしくなる』)などのパンフレットが目を引くように掲示されている鮮やかなブルーの板に囲まれたカウンターの後ろで迷いながら動き回っていた。こうした光景は国内のどの高校でも繰り返されている。しかしこの光景は、この学校に在籍していた3人の若者がイラク戦争で殺されたヘメット高校でのことだ。
 ロペス記者は生徒たちと話をし、次のようなことを聞いた。16歳のカイルは、昨年10月13日に殺されたケニー・スタントンのことについて聞いていたが、それでも彼は高校卒業後、入隊しようと考えている。「たまたまさ。人は死ぬものさ」と彼は言っていた。ROTC(予備役将校訓練団)の制服を着た新入生のジュリアンは、ヘメット高校卒業生たちの死については知らなかったが、そのニュースを聞いて不安を感じたように見えた。しかし彼は、一家の男たちに続いて軍隊に入ろうと思っていると語った。先生たちや学校の管理職たちはいったい何と言っているのだろうか?ある生徒は、どの先生もスタントンや戦争のことについて教室では問題にしない、歴史の授業では僕たちは清教徒について学んでいると言っていた。
 副校長は訪問者が学生たちと話をしていることだけを気にしているように見えた。彼は校長の許可が必要だと言った。3人の卒業生が戦争で死んだ学校で軍の募兵パンフレットをこれほど派手に展示することの妥当性を聞いたところ、彼は「これは政府の要請だと思います」と丁重に答えた。
 これは間違いだ。連邦、州などの法律には学校での募兵を目立たせるよう指示する規定はない。
 現実はこのようであり、戦争によって自分たちの生徒が直接影響を受けているのに、どうしてこれほど多くの学校や地域の関係者が戦争賛美を続けることを正当化できるのか不思議に思う。学校の責任ある大人たちが将来の選択、とりわけ生死を左右する軍隊に関する十分な情報を生徒たちが得られるようにしないとしたら、それは何かがひどく間違っていると確信する。クエイカー教徒や、地域の平和と正義をめざす組織のオルグの人々や、平和のための退役軍人たちが拒絶されるのに、なぜ募兵官たちは学校で歓迎されるのか?CAMSに属する私たちは、今こそ幻想を現実に変え、若者の将来に責任を持つべき時だと考える。

 アメリカ的な自由な選択 2006年9月

 最大の誤解の一つに、高校生は軍隊に入るか否かを選択できるというものがある。また軍隊を選ぶ機会を彼等から剥奪するのは間違っているというものもある。人々がこのような論議をするのを聞いていると、今日生徒が直面している状況がほとんど知られていないことがわかる。かつて言われていたように「これは貧困による徴兵」だ。なぜなのか説明しよう。
 第一に、ロサンゼルスの経済的状況が、大金持ちの大邸宅とホームレスの子どもの間の途方もない不釣り合いをもたらしているということである。ロサンゼルス郡では人種と生誕地に直接関係する格差が大きく、子どもの3分の1は極貧の生活をしている。そして、その77%が連邦政府の貧困対策指針のもとで特別給付の対象となっている。両親の長時間労働、アウトソーシングとグローバリゼーション、医療費と家賃の高騰の中で、生徒たちは将来にどのような希望が持てるのか?世界のどこよりも銃が安く製造され、より簡単に手に入るこの地域での暴力を彼等は知っている。多くの子どもたちがギャング、麻薬中毒について知っており、地球温暖化、環境破壊などについても聞いたことがある。彼らは自分たちが直面する社会・経済的状況に強く影響を受けている。しかも彼等は食欲を満たすため商業化されたきまりきった物を食べ、最新のアイポッド、ビデオゲーム、デザイナーブランドの服の消費者に仕上げられる。こうして新たないくつものウォルマートが町中に開店する。
 さらに、学ぶことと発見することの喜びを無くしてしまうほど達成不可能なことを要求し、それができないと学生に落第生というレッテルを貼る「落ちこぼれ防止」教育が加わる。われわれの教育制度は学生たちを21世紀の労働者や批判的に考える人にではなく、工場で使われている方式を使って従順な兵士に仕立てることにより若者を駄目にしている。若者たちに対する支援や指針はあるのか?彼らはおそらく400人の生徒を抱えるカウンセラーや、40人以上の生徒を持つ担任教師からの個人的な支援は受けていないだろう。有色人種の生徒は恐るべき率である50%以上の割合で学校から(落ちこぼれではなく)排除され、国内で投獄されている若者のうちに占める率は最も高い。他方で、大学は費用がかかり、競争も激しくなっている。
 その上、大学や企業の募集要員に比べて軍の募兵官は高校で容易に生徒に接近できる。彼らは、若者たちの一人前になりたいという思い、自分の家族に名誉を与えたいという思い、大学の学費を払う道を見つけたいという思いを利用する。軍隊はそれぞれの若者に適した説得の型を備えており、すべての若者たちのあらゆる夢をかなえる場所になる。大学の学費が必要なら、軍隊に入るのがいいよ。職業訓練を受けたいなら軍隊に入ろう。世界を見たいなら軍隊に入れば無料でできる。家族に名誉を与えよう、何か重要なことをしよう。それに軍隊に入れば医療も住宅もフィットネスもただだ。若者はそれらすべてを得られるというわけだ。われわれは軍隊というものを若者が必要であると望み感じられるように彼らを十分に鍛える。彼らは一人前になるだろう。暴力で敵を粉砕するマッチョな英雄、上品で名誉ある軍服を着た兵士、アメリカの勇敢な守護者になるだろう。これらのことが、家族づらした募兵官による贈り物、昼食のおごり、などの誘惑的な心付けとともに生徒たちに語られる。
 大人たちの一部の者の利益のために、国家が若者たちを罠にかけ、売り渡すようなことは恥ずべきことだ。これがアメリカ流の自由選択の仕掛けだ。ティーンエージャーたちは手遅れになるまでこれが罠であることさえ気が付かないだろう。選択の自由はないし、多くの若者が失敗するようにお膳立てされているのだ。これでもあなた方はわれわれがなぜ怒っているのかいぶかしく思うのですか?

 ラティーノの入隊率が上昇 2006年9月 

 新兵全体にしめるラティーノの新兵の比率が13%に増大し、軍隊内のラティーノの増加率は、国防総省の2004年以降の最近のデータによれば、この数年間でほぼ倍増した。軍隊内のラティーノの割合は、18歳から24歳の全人口に占めるラティーノの割合である17%よりは依然として少ない、とはいえ、それはこの10年間のラティーノの比率の増大を反映している。だが同時にピュー・ヒスパニックセンターの調査によれば、大多数のラティーノは米軍ができるだけ早く帰国すべきだと考えている。
 これは矛盾であり、ラティーノ社会の中で軋轢を生じさせている。母親であるアマリア・アベイラは戦争を支持したことはない。しかし長男のビクター・ゴンサレスが海兵隊に入りたいと言った時、恐れと不安と、そして最後には誇りの混在した感情を味わった。彼女は、5月にカリフォルニア州ワトソンビルから、「この戦争は私には理解できないものだ」と書いてよこした。息子は弟達を助けるために軍隊に行くことを望んだのだ……そして息子が出発した日、彼女は誇りを感じた、と語った。「その日は素晴らしい日だった」。しかしその日はまた息子を見た最後の日だった。ビクターは19歳で、2003年10月に道路にしかけられた爆弾で殺された。若い息子を失ったという深い悲しみの中で、この母親の誇りはどのように彼女を支えているだろうか。これは一人の母親にとっては最大の犠牲的行為だ。
 このような分裂こそラティーノ社会が直面しているものだ。彼らの祖父母や両親はかつて戦争の諸結果を目撃してきたが、一方で彼ら自身はこの国の一員になり、愛国心を示したいと思っている。考慮に入れるべきその他の要素は、ヒスパニック奨学金基金によれば、ラティーノたちは他の人種グループに比べて最も低い水準の財政援助しか受けておらず、他方で最も高い貸し付けを受けているということだ。彼らは施しをのぞまない。だが市民権というおとりの人参と誤った情報と引き換えに、彼らとその家族にとって名誉ある選択として軍隊に自らを捧げるのである。
 CAMS(校内の軍国主義に反対する連合)はロサンゼルス地区で、「生徒のプライバシーのための行動」と「学生のためのインフォームド・コンセント」という二つの運動を展開してきた。これはラティーノが多数を占める学校が直面している幻想と現実との間と溝を明らかにするための運動だ。われわれの目標は情報と教育を提供することにより若者が情報に基づいた決断をし、彼等を誘惑するために作られた宣伝のためのイメージと戦争の恐ろしい現実を区別できるようにすることだ。多くの生徒、両親、退役軍人はすでに現実を理解した。彼らの声はまやかしを見抜き、それを力強く切り裂いている。
 私は軍隊ではない、と主張しよう。

 生徒のプライバシーのための行動 2006年9月

 2006学校年度が始まると、軍の募兵官から生徒のプライバシーを守ることが、若者の健康、安全、福祉に関連する大きな問題として浮かび上がってきた。
 NCLB法の第9528条は、募兵からのオプトアウト(保護者の申請による軍への情報提供の免除)の書類に署名がされない場合には、高校が3・4年生の生徒の名前、住所、電話番号を軍の募兵官に公開することを指示している。もし学区側がこの要求に応じないと、連邦政府からの資金を失う。ロサンゼルス統合学区では、オプトアウトの用紙は家庭に送られる生徒保護者マニュアルの中にもあるし、ウェッブサイトにもある。閉めきりは10月27日だ。
 CAMSの2004年〜2005年のオプトアウト運動は、この法律に焦点をあて、オプトアウトの書類の送り返しを1万以上に増大させるために、生徒、両親、教師、地域の草の根組織がこの法律についての情報を伝えた。だがわれわれは生徒のプライバシー問題は、オプトアウトだけでは対応できないということに気づいた。
 今年の9月14日、CAMSはベルモント高校で「生徒のプライバシーのための行動」を開始するであろう。われわれは募兵官が社会保障番号、成績平均点、民族その他を含む生徒の個人情報を入手するさまざまな方法に関する情報を提供するだろう。
 あまり知られていないASVAB(軍務適性総合テスト)は、軍務上の配置のためのテストであり、学校で無料で行われる。これは一般的な適性テストとして市場に出されている。全国の高校の3分の2、ロサンゼルス統合学区の75%の学校で実施されている。生徒がテストを受けると、親権は放棄させられ、生徒のプライバシーは侵害される。生徒たちはたとえオプトアウトの書類にサインしていたとしても、学校がオプション8を選択していなければ、生徒の情報は軍の募兵官に渡されるであろうということを知っていない。
 さらに国防総省は、16〜25歳の若者の個人情報のデータベースを跡づけが不可能な多様な情報源から収集している。
 プライバシーは保証されているものではなく、生徒、両親、教師たちが闘い取り、守るものだ。
 われわれは生徒をどん欲な軍の募兵官から守るためにあらゆることをしなければならない。政府の統計によれば、軍の権限濫用は2005年には約2倍化し、レイプや性的暴力は歯止めが利かなくなっている。生徒たちは募兵官たちの嘘や、いやがらせ、犯罪行為を個人的にわれわれに訴えている。
 9月14日の木曜日、ちょうど午後3時に、2004年にヒスパニックの若者が全国で5番目に多く募兵されたベルモント高校に集まろう。「生徒のプライバシーのための行動」に参加しよう。

 軍隊=性的攻撃、レイプと虐待 2006年8月27日

 政府の説明責任局は、募兵官が過度に強引な方法や犯罪行為に訴えることが急激に増えているという文書を出した。実証された不当な行為は2005年には3分の1以上増加し、セクシャルハラスメントや医療記録の改ざんなど犯罪は2倍以上に増えている。
 同時期、マーサ・メンドーサをリーダーとして行われたAP通信の6カ月にわたる調査によると、昨年、16〜18歳の軍への入隊の意志を表明していた100人以上の女性が、募兵官から性的被害を受けていた。女性たちは募兵事務所のソファでレイプされたり、政府の車の中で性的暴行を受けたり、入学試験会場に行く途中に痴漢行為をされた。軍の支所全体で80人以上の募兵官が性的非行で処分された(告発はされなかった)。このような犯罪行為に関わった男たちの大部分が実際にどうなったのかについては疑問が残る。
 なによりも、軍が性的な嫌がらせや暴行が存在することを常に隠したり否定するということに驚いてはいけない。テイル・フック・スキャンダルのようなショッキングな事件が時々おきるだろうし、勇気ある女性が軍隊での女性の状態がどんなものであるかについて語ることもあるだろう。性的暴行と嫌がらせは軍隊内の「古き良き男たちの文化」の一部であって、例外ではない。
 したがって、それは一部の悪い連中のことだという反論は、もはやアメリカの人民には受け入れられるはずがない。数多くのレイプで告発されたセドリック・ハミルトンは自分の行為を深く後悔している。募兵官に対して学校から情報が与えられていることもあって、高校や大学のキャンパスで学生たちに接近することはかつてなく簡単だったと彼は述べている。18歳の被害者は、「募兵官はあらゆる権限を持っていた。彼は制服を着た軍人だったし、私の将来を握っていたので、私は彼を信頼した。こんなことがは決して許されてはならない」と述べている。もうひとつの一般的な反論は、女性のほうから性的な接触を主導したというものだが、これは権力の濫用を正当化するために使われる「被害者を責める」という典型的な思考方法だ。
 すべての親と教師は学校当局に対して、犯罪行為につながるような、権力を濫用し、生徒たちを食い物にする学内での軍の募兵活動から子どもを守るよう要求しなければならない。募兵官が親よりも権限を持ち、親の承諾なしに生徒たちを校外に連れ出し、われわれの子どもたちと親密な関係を持つことを許されていることは言語道断だ。募兵官がたやすく生徒の個人情報を得ることができ、家まで追いかけてくるということは、すべての人に警告されるべきだ。
 われわれの娘や姉妹に対するレイプや性的暴力などの犯罪行為を容認している腐敗した軍の制度を廃止するために、すべての人に衝撃を感じてもらい、目覚めさせようではありませんか。そして、深刻な精神的衝撃を受けた100人を超える女性が苦悩を感じ続けていることに疑問を感じるさせるようにしよう。彼女たちが必要としている治療を誰が行うのか、そして誰がその費用を払うのか。彼女たちの人生は決してこれまで通りのものにはならないであろう。

 これは募兵とは関係ない 2006年8月

 「これは募兵には関係ありません」と、これまで何度も何度も言われてきた。多くの番組、活動、宣伝が若者を軍隊に募集するためのものでないとどうして言われるのか不思議ではないだろうか。
 子どもが生れて大人が玩具を与えることから全てが始まる。GIジョー(兵隊の着せ替え人形)、おもちゃの飛行機、かわいらしい迷彩服、海兵隊の制服を着たブルドッグ・チェスターなどの動物のぬいぐるみである。これは遊ぶためのもので何ら軍隊とは関係ない。男の子、女の子が8歳を過ぎたら「少年海兵隊」に加入できるが、「それは募集とは関係ない」。3週間の基礎訓練で軍隊の習慣と作法、海兵隊の歴史、軍事訓練、規律などが教えられる。「それは若者を大学に行かせるためだ」とロスアンゼルス中心にある中学校の海兵隊指揮官は言う。州軍がスポンサーになっているカリフォルニア・カデット【ボーイスカウトに似た組織】は、募兵には関係なく、反麻薬・反非行集団化のカリキュラムであって、規律を身につけ人格を向上させるためのものだとあえて強調している。
 JROTC(少年予備役将校訓練団)もまた「募集とは関係ない」。ロサンゼルス統合学区(LAUSD)のJROTCの退役中佐はこう断言し、「人格形成と指導者としての能力を身につけるためのものだ、それが真実だ!」とも言った。実際、誰もがLAUSDで展開されているカリキュラムに反対するのを彼は戸惑っている。JROTCは現在30の高校で学区の予算600万ドルの60〜75%を使っているが、他方でわれわれは体育教師の不足に悩まされ、生徒は強制的にJROTCに参加させられている。ガーフィールド高校では、JROTC将校が口説き文句で演説を行い、多数のJROTCの士官候補生が制服を身につけ軍旗衛兵隊に参加するのを見るために、9年生の全てが観覧席に集められる。ライフルをくるくる回すのはきっと楽しそうに見えるだろう。
 軍務適性総合テスト(ASVAB)は、任意の一般的な適性検査で、募兵とはまったく関係ないと軍の試験官はパワーポイントを使って高校にこのテストを導入する仕事を行うカウンセラーに説明した。このテストが生徒のプライバシーと親の権利を侵害していることを多くの者は知らない。学校が成績を非公開にしておく選択をしない限り、成績は軍の募兵官に送られる、もちろん募兵のためではないとされるが。しかしある不思議な理由からあらゆる活動がすべて軍につながるものになっている。それはちょうど、2006年の国家防衛権限法によって設立された職業兵団(Job Corps 16歳から24歳の落ちこぼれた青少年たちの教育と職業訓練のために、労働省が運営する機関)が、この兵団は募兵活動において大きな役割を果たすことができると主張しているにもかかわらず、他方でわれわれはそれが募兵とは何の関係もないと信じさせられているのと同じである。
 他の狡猾な募兵の手段として他でもないアメリカ陸軍が運営しているインターネットホームページである march2success.com がある。これは人気のあるオンラインの30時間コースである。これはテストを受ける戦略の訓練と問題を解く技術を提供し、生徒に数学と英語の知識の向上方法を教える。だまされるのがわれわれの子どもたちだという現実を除けばむしろ面白いものかもしれない。われわれは若者に大人のいうことを信用しなさいと教えている。だから彼等は、戦争に行くのではなく、大学教育を受けに行くのだと信じてまっしぐらに募兵事務所に行く。アメリカは軍の支配を認めたがらないが、軍の支配はわれわれが若者をだまし、殺すことを認めたことを望んでいるということを意味する以外のなにものでもないのである。