COMMUNE 2008/05/01(No.382 p48)

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5月号 (2008年5月1日発行)No.382号

定価 315円(本体価格300円+税)


〈特集〉 侵略戦争軍隊に変貌した自衛隊

ロ漁船を虫けらのように踏みつぶした「あたご」
□給油新法で8年目のインド洋作戦続ける海自
□米軍再編とMDの巨大利権に貧りたかる守屋

●翻訳資料 米最大労組でパートナーシップ路線に大反乱 城山豊訳

●国際労働運動 南朝鮮・韓国/労使協力で7%成長叫ぶ新大統領−−室田順子

    07年イラク反戦5周年闘争

三里塚ドキュメント(2月) 政治・軍事月報(2月)

労働月報(2月)  闘争日誌(1月)

コミューン表紙

羅針盤 サミット粉砕せよ

▼3・16イラク反戦5周年の全世界一斉デモは、東京を始め全国各地で戦闘的に圧倒的にかちとられた。帝国主義の侵略戦争と不屈に闘いぬくイラクの労働者人民、全世界で闘う労働者階級と連帯して、帝国主義打倒―世界革命をめざす闘いとして打ちぬかれた。これと一体で動労千葉は14日、検修職場を軸に春闘第1波ストライキに断固決起した。闘えば勝てる! 労働者の団結には、資本家どもをぶっとばす力がある。職場闘争で団結を固め、前進しよう。4〜5月闘争から6〜7月洞爺湖サミット粉砕決戦へ進撃しよう。
▼最末期帝国主義の新自由主義攻撃は、帝国主義の危機を救うどころか、ますます体制破局的な危機に追い込んでいる。民営化・労組破壊と安全破壊の攻撃は、至るところでブルジョアジーの支配の破綻(はたん)を広げ、労働者の怒りの決起をつくり出している。しかもこれはまだ、これから爆発する壮大な闘いのほんの始まりだ。世界金融大恐慌の嵐は、世界中の労働者階級を「闘わなければ生きられない」現実に一層たたき込む。全力で反撃しなければ、労働者は資本家の延命のために賃金を削られ、リストラされ、長時間過密労働に駆り立てられ、さらに社会保障制度の解体、ガソリンや食料、生活必需品の値上げが襲いかかる。これでどうやって生きていけと言うのか! そればかりではない。民営化・労組破壊の攻撃で鉄道が廃止され、郵便局、病院、学校、役所が統廃合されて、地方はずたずたに破壊されている。低所得の労働者・高齢者は年々上がる年金・健保の支払いに苦しめられ、健康保険証も取り上げられて医者にもかかれない。これがこの帝国主義・日本の現実だ。
▼だが、世界金融大恐慌と世界戦争にのめり込む帝国主義は、どんなに危機を深め、ボロボロになろうとも自ら権力を手放すことはない。だから、労働者の力で絶対に打倒しなければならない。労働者階級が団結して職場支配権を握り、政治権力をとりプロレタリア独裁を樹立するならば、失業や戦争、貧困・飢餓を一掃し、差別・抑圧のない新しい社会を建設することができるのだ。それは今や、全世界の労働者階級の切実な課題である。「労働運動の力で革命を」。これを本当に実現することの中に勝利の展望がある。
▼どん詰まりの危機にあえぐ帝国主義の首脳が7月7〜9日、洞爺湖サミット(先進国首脳会議)を開こうとしている。世界中で侵略戦争を強行し、資源を略奪し、貧困と飢餓をつくり出している帝国主義強盗のトップが集合する。やつらは金もうけのために自然と環境を破壊している元凶であるのに、「環境保護」「地球温暖化対策」などと称して、これすら金もうけの対象にしようとしている。どこまでも腐敗している。帝国主義を打倒しなければ、地球環境の破壊は止まらない。労働者の決起と世界革命の足音に脅える帝国主義者どもは、「テロ対策」と称して治安弾圧を激化させている。だが一方で帝国主義間の分裂と争闘戦は激化するばかりだ。世界金融大恐慌―大不況時代への突入で、資源と市場・勢力圏をめぐる帝国主義の対立と死闘はますます激しくなる。大恐慌と世界戦争に突き進むこの帝国主義の破局的危機を迎え撃ち、労働者の総決起をもって全世界にとどろくサミット粉砕闘争を大爆発させ、プロレタリア世界革命勝利へ前進しよう。職場から6〜7月サミット決戦に断固として立とう。(U)

 

 

翻訳資料

 翻訳資料 

 翻訳資料米最大労組でパートナーシップに大反乱

 城山豊 訳 

■解説■

  本号の資料、『レーバーノーツ』誌の2つの記事は、アメリカの体制内労働運動の一つの結集軸となってきたSEIU)サービス従業員国際組合)内の3番目に大きな支部の反乱を伝えている。
  SEIUは、アメリカ全体の労組組織率が低下しつづけている中で、拡大を続け、組合員数は現在190万人に達している。これは、資本と闘った成果ではない。逆に、資本家に、SEIUなら安心だと売り込んで拡大したのだ。
  「他の労組が御社で組合を作ったら厄介ですよ。そうなる前にSEIUの組合を作ってしまえば安心です。うちは、ストなどやらせません。労使交渉は本部役員がやるから安心です」と。
  この労使パートナー路線が労働者の怒りの的になっているのだ。

 @SEIU、カリフォルニア介護施設 とのパートナーシップを終了

  マーク・ブレナー 『レーバーノーツ』07年7月号

  何カ月もの批判と厳しい内部の議論の末、5月31日、SEIUはカリフォルニア州の介護施設グループとのパートナーシップ協定を終了した。この4年半にわたる協定は、医療扶助制度の対象となっている低所得者と「障害者」の患者たちを介護している施設に対する州政府の給付の増大を組合が確保する見返りに、3000人の労働者をSEIUに加入させるという取引協定であった。この協定によって多くの介護施設をSEIUが組織化する手がかりを得たが、新規に労組ができた職場の労働協約の文章は組合員を「枠にはめる」ものであった。
  SEIUは、西部統一医療労働者組合(UHW)(最初の協定の当事者である2つのSEIUローカルの1つ)の執行委員会が、今までと違った方向をめざす協定を締結するためのキャンペーンを始めたまさに数日後に、パートナーシップを終了すると発表した。
  ここ数週間、カリフォルニア全体の介護労働者を代表するUHWの指導部は、介護施設とのパートナーシップについて再交渉するにあたって、組合員に発言権を与えるようSEIU本部に要請する署名運動を始めた。この要請署名運動の一環として、UHW指導部は、組合員に事態が悪い方向に向かっていることを説明する手紙を送っている。
  この手紙では、「全国SEIUの中のいくつかの支部は、カリフォルニア州や全国で介護施設雇用主との協定交渉を行っているが、そこではUHWの介護施設労働者や選挙されたその代表をその交渉のプロセスから繰り返し排除している。これらの協定は、職場でわれわれの介護施設組合員が声を上げることを制限する内容のものとなっているし、投票権を持っている組合員で協定の対象となる当事者さえも排除して締結される可能性がある」と述べている。
  UHWの指導者達は介護施設業界でいかなる雇用者協約においても適用されねばならない3つの原則を提案した。労働組合内の民主主義、組合員の利益のために指導部が積極的に主張する権利、パートナーシップ協約を通して組織された労働者が全面的な組合員資格を持つことの3つである。
  署名運動と激しい水面下での圧力を使って、UHWのリーダー達は、これらの原則がすべての将来の協約で「はっきりと定義された契約基準にしたがって実現される」ことを要求した。

 何を賭けた対立か

 3つの原則のそれぞれは、介護施設パートナーシップが始まって以来、介護施設労働者と患者支援団体が指摘してきた問題点に対処するものである。
  例えば、この協定は、法律で義務付けられる場合を除き、組合が介護施設に関する問題点を国家の監督機関や報道機関に報告することを禁じている。たとえば、UHWの内部調査のデータによれば、人員不足は、この協定のもとで新しく組織された労働者がもっとも心配していることである。だがパートナーシップによって、組合は患者に対する職員の比率に注意を向けさせるために社会に積極的に訴えることを禁じられた。
  同様にこのパートナーシップ協定を通してSEIUに加入したほとんどの労働者は、結局、彼らが加入する前に締結された組合員を「枠にはめる」協約を与えられはめになった。UHW自身の内部分析によればこれらの協約は、現場に対して、全くと言っていいほど権限を与えなかった。スト権がなく、全面的な団体交渉権を持てる道も全く明らかでなかった。
  全体的にみると、パートナーシップの影響は、膨大な「二級組合員」を作ったことだといえる。あらかじめ締結された協定が、「労働者が自分たちの労働条件を改善する闘いに独自に取り組むこと対して、やる気をそいだり、場合によっては阻止したりする」のだ。
  要するに、カリフォルニアの介護施設で締結された協定は、介護施設業界での労働者の組織化や協約交渉における新しいやり方なのである。これを全国に広げようということなのだ。この新しいやり方のもとでSEIU本部、とりわけ少数の本部役員とスタッフが、介護施設経営者との交渉で決定的な役割をはたした。現在の介護施設労働者と彼らに選挙された組合指導者達は、その間、かやの外に置かれたのだ。
  北部カリフォルニアのSEIU組合員によれば、このパートナーシップ協定に関する関心が高まっている。2万人以上がキャンペーンが開始されてから数週間以内にUHWの嘆願書に署名した。
  「私たちは同じ職場の同僚の半分以上の署名をとった」と、UHWの職場委員は匿名にすることを条件に語った。「本当にみんなが驚いたのはワシントンでスーツを着て座っている人物が協約交渉をするという考え方だった」。
  「彼らは病院で働いた経験のない人々であって、われわれの仕事については何も知らない。それからあげくに、われわれには彼らが交渉した協約についての投票権さえない」。

  安直なパートナーシップ

 カリフォルニア介護施設協約は棚上げになっているが、SEIUが組合員獲得のために絶え間ない活動を続けている中で、可能なあるいは望ましい労働者と経営者との間のパートナーシップはどのようなものかという重要な問題を投げかけて、SEIU内の全国的な議論に火をつけた。
  ジェローム・ブラウン(SEIUのニューイングランドの大きな医療支部であるローカル1199の前委員長)は、SEIUが組合のない職場でゼロから効果的な雇い主とのパートナーシップを築くことができるか疑問があると公然と述べた。SEIU本部委員長のアンディ・スターンが2006年に書いた本である「機能する国家」にたいするブラウンの書評には次のように書かれている。組織化する権利を含む真の獲得物は通常「雇用主との何年間もの闘争、ストライキなどの闘いによって得られたものだ」と。
  「真正面からの対立の時期があってこそ初めて、強い組合と積極的に組合活動に参加する組合員は雇用主との円熟した協力関係に入ることができるのだ」。しかしこれに対して、SEIUが介護施設業界での組織化のために使った協定は、ブラウンにさまざまな懸念を生じさせた。
  「われわれは次のことを自問自答せねばならない。こうしたやり方が真の民主的な労働者の組織を生み出すことができるかどうか、いいかえれば、『組合員』が雇用主からと同じくらい組合の指導部から遠ざかってしまうことにならないのかどうかと。『組合員』は、自分自身を組合のブローカーと雇用主とは違う立場に立つ者だと正しくも認識しているのだ。組合ブローカーと雇用主は真のランク・アンド・ファイル組合運動の対立物なのだ」。
  UHWの内部文書によると、このような見方、すなわち一人ひとり組合員より「ボス達のほうが組合に利益をもたらす」という見方は、カリフォルニアの協定のもとで組織された介護施設労働者の間であたりまえのことになっていた。それはUHWの指導者達に対して、「枠はめ型協約はどのような労働者組織を生み出しているのか」という問題を提起するものだった。
  長年の経験から、一部の指導者達は次のような結論に至った。これらの協約は「歴史的に『御用組合』と呼ばれてきたものとほとんど同じになるだろう」と。

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 AカリフォルニアのSEIUのリーダー へのインタビュー

  マーク・ブレナー 『レーバーノーツ』08年3月号

 サル・ロゼリはUHW(西部統一医療労働組合)の委員長である。(UHWはSEIUのなかで3番目に大きなローカルである)。彼はSEIUの執行委員会を2月9日に辞任した。
  ロゼリの離脱は組合の今後の方向をめぐる、最近の最もあからさまな対立を示している。
  昨年の春、SEIUとカリフォルニア介護施設経営者協会との間のパートナーシップ協定をめぐって、UHWはSEIU中央本部と衝突した。またUHWは、テネット私立病院チェーンとの交渉をめぐって、本部最高幹部と争った。この2つの件で本部役員は交渉を直接に支配し、UHWで選ばれた指導者達を排除した。
  争いは今年になって、西部カトリック医療チェーンとの来るべき交渉や、また6万5000人の介護労働者をUHWから分離させる提案をめぐって激化した。
  ロゼリはSEIU内部の対立について本誌インタビューに次のように語った。

――あなたの組合の内部で発生している対立の特徴は何ですか。

  簡単に言えば、ワシントンDCの中央本部の2,3人に権力や資産や決定権を集中することと、労働者に権限を与え彼らに雇用主との関係を任すこととの違いです。
  労働者に影響を与える全決定における、一人一票制などのことです。本部に指名された人物か、それとも自分たちの協約交渉委員会を自分たちで選ぶかということです。

――SEIU執行委員会から辞任したのはなぜですか。

  1996年以来のSEIU内部の改革の観点から見ると私たちは同じチームの中にいました。これには統一的な交渉についてとか、組織を作ることにおいて中心になるべきものについての改革を含みます。
  およそ3年前事態が反対方向に進み始めました。スターンは組織化や交渉をめぐる雇用主との関係において資産や権限や権力をどんどんと集中させ、数人の管理下に置いています。
  昨年のテネット病院チェーンとの交渉は最悪でした。本部は自分たちだけで交渉に入りました。
  本部は雇用主との交渉から私たちの組合員を排除しました。選挙で選ばれた我々のチームを加えることなしに仮協定を結びました。
  この数週間の間に3つの物事が本当に常軌を逸して押し進められてきました。
  第1に、本部は6万5000人の介護労働者を、病院労働者から分離された組合に加入させるための聴取をすることにしています。
  これは他の州で起きていることと反対のことです。ミシガン州やイリノイ州では、スターンは介護労働者と病院労働者を1つの組合に合同しました。介護労働者は分離された組合では病院の基準を満たすことは決してできない事を知っいるし、分離に賛成票を入れる人は誰もいないでしょう。
  第2に、昨年の間中、全国的交渉過程にいくつかの国内カトリック医療システムで労働組合を組織しようとしてきました。
  UHWは、カトリック医療システムのなかにあるSEIU組織の中で病院労働者の大多数を代表してきました。しかし交渉過程から我々は排除されています。
  第3に先週、スターンは一方的に西部カトリック医療統一協議会を解散しました。同じ雇用主のローカル組合が複数ある時には、統一協議会を通じて交渉を行います。スターンは、雇用主との関係で組合を代表すべき人物を指名する権限をもっています。それで彼は私の代わりにSEIUの本部の代表を指名しようとしています。
  私たちは指導部間でなにをなすべきか相談を始めました。200人の在宅介護労働者の職場代表と175人の介護施設労働者職場代表を結集して大会を開きました。100人のカトリック病院で選出された交渉チームのメンバーと2回の電話会議を開きました。そして同時に執行委員会会議を2回開催しました。
  仲間の労働者は激怒しています。介護施設労働者と病院労働者との間では同じ労働条件と基準のもとで20年間にわたって働いてきました。現在では違っています。
  カリフォルニアの介護施設は搾取職場で、恐ろしい所です。私たちは20年間にわたって共通の協約更改期日で協約を結ぶ調整を行ってきました。この州の介護施設を経営する利潤追求一辺倒の会社に対抗する力を持つためです。
  私たちは現在、110の介護施設の間で、共通の6月の更改期日で交渉を行っています。昨年はさらにまた17の施設でこれらの同じ雇用主に交渉の席に着かせるようにすることができました。
  スターンが現在のこの瞬間に、UHWからこれらの労働者を分離しようといっていることは全面的にこの力を弱体化するものです。

――他の労働運動に引き起こされることは何ですか。

  スターンが現在率いている方向に、SEIUが持って行かれるならば、ビジネスユニオン運動=サービス型組織になってしまうでしょう。これは我々の成り立ちへの敵対です。私たちは本当の労働者の運動を建設したいのです。本当の社会運動としての労働組合―労働者のための労働者による労働組合です。労働者が勇気づけられ、決定権を持つ指導者になる訓練を受ける労働組合です。
  もう一つの大きな違いは、彼が何が何でも数だけを増やそうとしていることです。我々はバランスがとれたやりかたを求めています。
  闘っている労働者は真の道徳的権威を持つようになります。他の人はそれを見て自分も組合に加わりたいと思うようになります。中立協定を獲得するためのトップダウンの取引はそれとは全く違います。それは労働者の団体交渉権と発言権を厳しく限定する協約に組合が合意するということです。

――次に組合で起きることは何ですか。SEIU大会は5月末ですが。

  組合員は組合員民主主義でSEIU委員長の権限をチェックするという目的を持っています。
  これは組合がその資産をどこに振り向けるかについての決定の仕方をはらんでいます。すでにわれわれは、組合員からの金の約3分の1をSEIUに送っています。2000年には組合費を一人一月に5ドル増加することを支持しました。それは全国的組織化に重点的に取り組むための統一基金を生み出すためでした。
  問題は、わがローカルの組織化の予算の一部の金です。各々のローカル組合は組合規約上、新規組織化のために予算の20パーセントを使わなければなりません。本部の役員はこの20パーセントのある部分を中央権限で使いたいと願っています。
  これを正当化するために、彼らは、ローカルのリーダーの権限を強化するかのようなレトリックを使っています。しかしこれは完全なごまかしです。スターンが全て指図するようになるからです。
  今の動きは、UHWで起きているだけではありません。我々の所には全国から電話がかかってきています。ランクアンドファイルと指導部の両方からです。ランクアンドファイルの会合が初めて開催されようとしているそうです。ネットワークを作ろうとしているのです。チームスターズ民主化同盟のようなタイプの組織です。私は、すばらしいことだ思います。