COMMUNE 2008/08/(No.385 p48)

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08月号 (2008年8月1日発行)No.385号

定価 315円(本体価格300円+税)


〈特集〉  双頭体制で独裁続けるプーチン

□プーチン王朝。20年をめざし「プーチン計画」
□プーチンに忠誠を誓うメドベージェフ大統領
□ 国内強権支配と対米対抗的な大国主義を貫く

●翻訳資料 プエルトリコの教員ストライキ スト破壊に出た米帝・SEIU 丹沢 望訳

●国際労働運動 南朝鮮・韓国/イミョンバク打倒へ100万人デモ−−室田順子
●国際労働運動 中東欧/自動車労働者がストで賃上げ−−川武信夫

    (休載)

三里塚ドキュメント(5月) 政治・軍事月報(5月)

労働月報(5月)  闘争日誌(4月)

コミューン表紙

羅針盤 全世界を覆う反乱

▼5・28〜29の法大決起は、全国の労働者・学生への総決起の呼びかけだった。監獄大学=法大の現実を真っ向から打ち破った38人の闘いに続こう。逮捕者のうち22人を18、19日に奪還した。しかし、闘いの一層の爆発を恐れた国家権力は新たに1人を事後逮捕し、15人を起訴した。だがこの大弾圧は闘いの火に油を注ぐだけだ。6・29代々木公園、さらに7・6札幌現地闘争とサミット粉砕の闘いが圧倒的にかちとられた。
▼今、全世界で進行していること、それは帝国主義の新自由主義攻撃に対して、労働者人民の総反乱が始まっているということだ。食糧・燃料の大幅値上げ、首切り・賃下げ、不安定雇用化、社会保障の解体は、例外なく全世界の労働者階級に襲いかかっている。これに対して暴動、ゼネスト、街頭デモ、運送業者の道路封鎖や、漁民の休漁スト、抗議行動などが爆発している。世界は革命情勢なのだ。5・1メーデーにはアメリカの港湾労働者のストライキに、イラクの労働者が連帯ストを闘った。交戦国の労働者の画期的な連帯ストだ。ここにこそ戦争を止める力がある。韓国の民主労総ソウル本部は今、イミョンバク独裁政権打倒の韓国民衆決起の先頭に立ち、7・2ゼネスト貫徹に向け、あらゆる弾圧をはねのけて闘っている。貨物連帯のストライキは釜山など韓国の主要な港を完全にストップさせ、資本家に大打撃を与えている。まさに、11月労働者集会で日本の動労千葉などと国際的に団結した米韓の労働組合が、「労働者に国境はない」の立場を貫いて、新自由主義と真っ向から闘っている。世界革命に向けた共同闘争が進んでいる。
▼秋葉原事件で25歳の派遣労働者の青年を絶望的な行動に走らせたものは何か? それは、労働者を人間扱いせずバラバラに分断して搾取するこの社会と資本への煮えたぎる怒り、屈辱感、孤立感、絶望感だ。人間としてのプライドをずたずたに引き裂き、取り替え自由のモノ、部品としてぞんざいに扱い、搾取し尽くし、どんなに働いても苦しさから逃れられず、資本家だけがますます豊かになっていく資本主義社会。″こんな社会なんか滅んでしまえ!”という強烈な復讐心だ。それは、けっして特別なものではなく、今希望や未来を奪われている多くの若者たちに共通する怒り、憎しみだ。働く仲間たちよ。競争と分断をうち破って、仲間と団結しよう。不当起訴された15人と団結し革命をやろう。労働者こそ社会の主人公だ。労働者階級のもつ真の底力をはっきりと自覚し、団結し、資本家階級を打倒するために立ち上がることだ。労働者にとって団結ほど大切なものはない。団結こそ資本家階級に勝利する最強の武器だ。「革命の現実性」というものは、私の職場、君の職場、その闘いの中にこそあるのだ。「団結して反撃しよう」「労働者が主人公の社会をつくろう」||そう呼びかけて、まずともに闘う一人の仲間をつくろう。それこそが〈革命の最前線〉なのだ。
☆資本主義体制は今や完全に破産している。ところが、連合中央や、全労連=日共、協会派などには、〈労働者階級自己解放〉の思想と運動が、ひとかけらもないのだ。動労千葉は、苦悶(くもん)する青年たちに「団結して一緒に闘おう。労働者こそ社会の主人公だ。誇りを持とう。労働運動の力で世界を変えよう」と呼びかけている。その団結の輪は今、国境をこえて全世界に広がっている。(U)

 

 

翻訳資料

 翻訳資料

 プエルトリコの教員ストライキ

 スト破壊に出た米帝・SEIU         

丹沢 望 訳 

 ■解説■

  アメリカ合州国の自治的・未編入領域で、実質的植民地であるカリブ海に浮かぶ島プエルトリコ(人口395万人・面積9104Ku)の教育労働者は、08年2月に10日間の歴史的大ストライキに決起した。労組破壊と教育の民営化に反対し、労働条件改善、賃上げを要求して闘った。このストライキによってプエルトリコの教職員組合は賃上げと労働条件の改善をかちとるとともに、教育の民営化を阻止したのである。
  プエルトリコ最大の労働組合である教職員組合のストライキは、アメリカ帝国主義の実質的植民地とされてきたプエルトリコの労働者の総反乱ののろしをあげるものとなった。(本文B参照)
  この事態に驚愕(きょうがく)したアメリカ帝国主義は、プエルトリコの教育労働者の闘いを全面的に解体するために、恐るべき手段を採用した。すなわち、アメリカ国内において「左派」労働運動の代表的組合といわれるSEIU(サービス従業員国際組合)を動員して、プエルトリコ教職員組合を解体・吸収し、体制内労働運動へと変質させ、プエルトリコの教育労働者の闘いを解体する卑劣な攻撃を仕掛けてきたのである。(本文@、A参照)
  SEIUはいわゆる新潮流運動の代表と言われているが、その指導部は旧来のAFL−CIOの体質を受け継ぎ、ランク・アンド・ファイルの労働運動を抑圧し、米帝の勢力圏における労働運動を解体する帝国主義的労働運動を推進する勢力であることが極めて鮮明になった。
  塩川一派を始めとしてSEIUを賛美する勢力が、アメリカにおける階級闘争の現実についていかに無理解であるかが、プエルトリコにおけるSEIUの帝国主義的労働運動の露骨な展開によって明
らかになった。
  われわれは体制内労働運動に対
する一切の幻想を粉砕し、ランク・アンド・ファイルの階級的労働運動と全面的に連帯する立場から、プエルトリコの教育労働者の闘いとSEIUの反動的介入について暴露しなければならない。  
  他方、SEIUのこの反動的介
入に対するプエルトリコの教育労働者の断固たる反撃の闘いは、SEIU内部における体制内派と階級的労働運動派との分裂を激化させる引き金となっている点にも大いに注目しておかねばならない。

@SEIUによる教職員組合襲撃

ホアン・ゴンサレス

  08年3月4日  『ニューヨーク・デイリーニュース』

  SEIU指導者のデニス・リベラは、組合員を奪い取るためにプエルトリコの教員組合を解体させたと、リベラと対立する労働者たちは攻撃している。
  恥ずべき団結破壊行為を行っているニューヨークの最強の組合指導者であるデニス・リベラは、この島の最大の労働組合を破壊する驚くべき試みでプエルトリコの知事に協力した。
  8日前には、4万人の教職員を代表するプエルトリコ教職員組合は、ストライキでこの島の公立学校を麻痺(まひ)させた。
  最高で年間給与2万6000jの教職員たちは、30カ月にわたって協約なしの労働を強いられてきた。組合指導者たちはアニバル・アセベード・ビラ知事が昨年、新たな労働条件を強要し、1月には組合の認可を取り消し、組合費の天引きを停止したことに怒っていた。
  知事の過酷な措置は、組合員たちが11月にスト承認の投票を行った後に取られた。1998年以降、プエルトリコの公務員労働者たちはストライキを禁止されてきた。
  教職員の戦闘的指導者たちと政府の衝突がニュースになっている時、リベラは教職員を管理する権限を奪い取り、彼のサービス従業員国際労組(SEIU)に渡そうと策動していた。
  アセベード・ビラ知事は彼の親しい友人であり、160万人の組合員を持つSEIUの副委員長であるリベラに対して、昨年に教職
員組合を解体し、新たに形成された労働団体であるプエルトリコ教職員組合に取り替えるという案にゴーサインを出していた。アメリカとプエルトリコの労組指導部はこのように証言している。
  この新組合は、長い間、この島の公立学校の校長や監督官を代表してきたプエルトリコ教職員連盟に従属する組合である。
  1月にリベラと校長の団体の長であるアイダ・ディアスは、校長たちがSEIUに所属し、彼らに従属する新組合は教職員組合を解体するために選挙を要求すると発表した。
  実際、校長や監督官たちは彼らに従属する新組合を創設した。彼らが明らかにしなかったのは、この組合乗っ取り策動にあたって、彼らが知事に支持されていたということだ。
  「知事はリベラに対して『この組合は本来あなたが獲得すべきものですよ』と言った」と、プエルトリコの組合指導者と知事とリベラの間で12月末にもたれた会談に立ち会ったと言っている人は述べている。
  今週、『エル・ディアリオ』紙は、教職員組合問題とSEIUによる知事への財政支援問題について討議するために、リベラとアセベード・ビラが9月にサン・ホアンのレストランで会合したことを報道している。
  リベラは昨日、『ディアリオ』紙の記事について「これは完全なでっち上げだ」「私が8月頃にレストランでプエルトリコの知事と会談しただって? そうですよ、私は彼とはおそらく20回は会っています。私が知事になんらかの形で資金援助しただって? 絶対にそんなことはない」と語った。
  リベラはまた、SEIUがプエルトリコの教職員の交渉機関になるための活動について知事といかなる討議もしたこともないと述べている。
  知事の事務所では、昨日のコメント要請に対しては何もこたえていない。知事は今週、プエルトリコの記者に対して、財政支援問題について討議するリベラとのいかなる会合にも参加したことがないと全面的に否定した。
  リベラと校長組合が記者会見を行った日から数日後に、プエルトリコの知事は教職員組合の組合資格を剥奪(はくだつ)した。これを受けて教育長官は、教職員組合が教職員を代表するために今後いかなる選挙を行うことも認めないだろうと裁定した。
  プエルトリコでは教職員や電気労働者の組合のような独立組合と、AFL−CIOやSEIUもその構成団体である『勝利のための変革』連合などに加盟する労働組合との間に長い対立の歴史がある。
  アメリカに拠点を置く多くの労働組合が傲慢(ごうまん)で植民地主義的な態度で活動していると、独立組合の人々は語っている。
  リベラのような在米のプエルトリコ人で最も影響力のある労働組合の指導者が、プエルトリコの独立組合をアメリカ人の労組指導部が長い間行ってきたような方法で扱うなどということは彼らにはまったく思いもよらないことであった。

 Aプエルトリコでの大統領選予備選とSEIU内部の深刻な亀裂

デモクラシー・ナウ 6月3日

  プエルトリコから帰ったホアン・ゴンサレスが、先週この島で起きた二つの問題についてレポートする。ひとつはヒラリー・クリントン上院議員が勝利し、バラク・オバマがチャンスを逸した民主党の大統領選予備選であり、もうひとつは、SEIU内部の深刻な亀裂についてだ。プエルトリコの住民は予備選では投票できるが、11月の大統領選では投票することを認められていない。民主党の大統領選予備選が行われている時に、サービス従業員国際労組(SEIU)は、プエルトリコのサン・ホアンで全国大会を開催した。SEIUでは、組合指導部がランク・アンド・ファイルを犠牲にしながら組合の規模と影響力を強化しようとしているという疑惑をめぐって内部紛争が起きて紛糾している。
ホアン・ゴンサレス 今日、民主党の一連の予備選が、サウス・ダコタ州とモンタナ州でのバラク・オバマとヒラリー・クリントンの対決をもって終了しました。今晩、全体で31人の代議員をどちらが獲得するかが争われます。オバマは大統領候補指名を獲得し、大政党の最初の黒人大統領候補となるために必要な2118名の代議員獲得まで、あとちょうど40名を獲得すればいいというところにいます。彼が、まだ2人の候補のどちらを選ぶかを決めていない200人の幹部代議員からの支持をどれだけ早く得られるかにもよりますが、彼は今晩にもこの数を獲得できるかもしれません。
エイミー・グッドマン 今晩の最終指名争いは、日曜日のプエルトリコでの大統領選予備選でのクリントンの大きな勝利に続いて行われます。クリントンはオバマが32%を獲得したのに対して、68%を獲得しています。投票率は低く、プエルトリコの住民のちょうど16%、あるいは40万人にも満たない人が投票しただけです。プエルトリコの住民は米国市民ですが、11月の大統領選挙での投票は認められていません。
  ところで、ホアン・ゴンサレスは昨日、ニューヨークの『デイリー・ニュース』の仕事で出かけていたプエルトリコから帰ってきたばかりです。ホアン、プエルトリコの全体状況について話してください。(中略)
エイミー・グッドマン ところで民主党の大統領選予備選が行われると同時に、サービス従業員国際労組(SEIU)はサン・ホアンで全国大会を開催しました。SEIUは170万人の組合員を擁し、組織労働者のなかで最も大きく、発言力のあるバラク・オバマ支持勢力です。私たちが以前にレポートしたように、SEIU内部では大きな内部闘争が行われています。組合委員長のアンディ・スターンは、ランク・アンド・ファイルを犠牲にして組合の規模を拡大し、指導部の権力を強化しようとしているとして、ますます激化する内部批判に直面しています。サン・ホアンの大会会場で演説したスターンは、組合を非中央集権化していると主張しています。
   アンドリュー・スターンの発言 複合的な組合で急速に組織を拡大しているSEIUのような組合では、これまで以上に政策決定機構を非中央集権化しなければならない。
   中央指導部によっていったん決定されたことは、組合員が活動している場所に最も密着している組合支部から選出されたわが組合の諸産業の指導部によって再度決定される必要がある。
エイミー・グッドマン しかし、月曜日にはSEIUの反対派組合員は、2005年にスターンがAFL−CIOから分離して以降、最も論議が沸騰した大会といわれているこの大会会場で発言権を行使しました。次は、「今日の改革を目指すSEIU組合員活動家」(SMART)の指導者であるマヤ・モリスの大会会場での発言です。
   マヤ・モリスの発言 皮肉なことに、この提案は民主主義と労働者の力の強化を推進するものとなりました。だから私は、この提案をそのままの形で受け入れることを拒否し、それをランク・アンド・ファイルの代議員が協約交渉のあらゆるレベルに参加する権利を保証する一連の原則、政策、計画などを含むものへと修正しようとしました。  
エイミー・グッドマン ホアンさんこの対立についてどうですか。
ホアン・ゴンサレス そうですね、私は現在、たくさんのSEIUの組合員と話をする機会がありますが、それでも全国大会に出席する機会はありませんでした。このプエルトリコでの大会には5000人が参加しているので、ここの全ホテルを使っています。しかし、私は大会に参加した指導部や組合員のほとんどと知り合いではありません。
  SEIU内部では明らかに内部闘争が進行中です。そして現在、民主主義の拡大を要求しているこのランク・アンド・ファイル運動の先頭に立ってきたサル・ロゼリたちが率いるカリフォルニア州の西部統一医療労組をめぐる問題に焦点が絞られています。スターンと指導者たちはこの運動に対して非常に激しく攻撃してきました。彼らは、この運動が組合内部で明らかに多数派となっていなかったので、討論を許可しました。しかし注目すべきことは、激しい討論があらゆる問題をめぐって行われ、強力なフラクションがSEIU内部に形成されているということです。私は、今SEIU内部では組合の拡大と組合内民主主義をどのようなものととらえるかをめぐる根本的問題が生じていると考えています。現実には、SEIUはその運動形態という点でますます中央集権化された組合となっており、そしてある批判者の言葉によれば、アメリカの諸地域で組合員を増加させることができるように各州当局と取引するなど、組合を拡大させるためにはますますなんでもするようになっています。ですから私は、現在は重要な分水嶺(ぶんすいれい)的段階にあると考えています。なぜなら、SEIUは組織労働者の間で改革運動なるものを行おうとしているのに対し、改革運動の指導者たちはSEIUの改革運動の性格そのものを批判しているからです。私はこれは現在の内部闘争がさらに継続されていくことを告げ知らせる号砲となるものと思っています。
エイミー・グッドマン 教職員組合の話についてもお話したいと思いますが、ここで休憩を入れましょう。その後この問題に戻ってきましょう。それから、デイビッド・シロタも同席してもらいます。彼の新刊は、『民衆蜂起 公開を禁止されたウオールストリートとワシントンを脅かす民衆反乱一覧』というものです。それからグアンタナモの抗議運動団体の一人とお会いし、彼らが受けた判決についての情報を得ることにしましょう。
(休憩)
エイミー・グッドマン もう少しプエルトリコ問題について話しましょう。プエルトリコ最大の組合、教職員労組は激しい闘いに巻き込まれています。SEIUがこの組合を乗っ取ろうとしており、組合員に知事との取引を行わせ、SEIUに加盟させようとしています。お聞きいただくのは、先週のニューヨークでの記者会見でのプエルトリコの教職員組合委員長のラファエル・フェリシアーノの発言です。
   ラファエル・フェリシアーノ・エルナンデス 私たちはSEIUの反対派の人々に対して、スターンの反民主主義的な政策とプエルトリコの教職員組合に対するSEIUの攻撃をやめさせるよう要請しています。私たちはランク・アンド・ファイルの労働組合です。民衆のために闘う労働組合です。私たちは教職員のために闘うだけでなく、わが国の民衆すべてのための良い教育制度を作るために闘っているのです。それが教職員組合の歴史でもあるのです。私はこのSEIU全国大会は教職員組合にとってSEIU指導部、スターン執行部や彼らが行使している戦術に対する闘いを発展させる良い機会であるだけでなく、スターンの政策は組合に害を及ぼすと考えているSEIU代議員やSEIU内反対派の代議員と意見を分かち合うよい機会です。そして私たちは連帯を求め、教職員やわが国にたいするSEIUの攻撃をやめさせるよう要請しました。なぜならプエルトリコの教職員組合はさまざまな領域で地域社会と共に闘っている非常に重要な組織だからです。私たちは政府とデニス・リベラ、SEIUの同盟はプエルトリコに対する帝国主義的攻撃であると考えています。
エイミー・グッドマン プエルトリコの教職員組合委員長のラファエル・エルナンデスでした。ホアンどうですか?
ホアン・ゴンサレス 重要な点は、教職員組合はプエルトリコでは最も大きく戦闘的な組合であり続け、現在もそうであるということ、そして、今年の初めに教職員が政府との重要な闘いとストライキを行っている最中にSEIUが介入し、結局、教職員組合の指導権を奪取しようとしたことが、アメリカやラテン・アメリカの労働運動全体に大きな波紋を広げたということだと思います。実際、最も興味深いことは、この大会が始まる前にスターンとデニス・リベラが、世界的組合を形成するためにプエルトリコから始めてラテン・アメリカ全体とSEIUの紐帯(ちゅうたい)を作り出す新たな活動を開始するということを宣言したことです。ですから本質的には、教職員組合の支配権の獲得、すなわち実質上のプエルトリコ労働運動の支配権の獲得を通じてSEIUが行おうとしていることは、結局、ラテン・アメリカの他の諸国にも組織を拡大しようということです。現在、彼らは諸組合の自治と民主主義を破壊しないような形でSEIUの支配権を獲得しようとしていると主張していますが、これまでの記録によれば、そのようにはなっていないのです。実際、ちょうど私がヒラリー・クリントンの選挙活動を報道するためにその活動を追っていた日曜日には、SEIUの大会会場では大きな衝突が起きました。教職員組合の組合員たちが会場にデモをかけ、攻撃を受けたのです。SEIUは警察を呼び入れました。プエルトリコの悪名高い警察突撃隊がやってきて教職員たちを攻撃し、数人の教職員を殴打しました。この長時間の衝突で一人の警察官が負傷したようです。数人の教職員が拘束されました。一人は警察官に対する暴行容疑で逮捕されたようです。SEIUが全国大会の際にこのようなデモをかけられるということは、プエルトリコでの対立が激化していることを示しています。バラク・オバマもこの大会で講演する予定でしたが、最終的には参加しないことを決定しています。
エイミー・グッドマン それはなぜかわかりますか?
ホアン・ゴンサレス いや、理由ははっきりしません。彼の選挙事務所はオバマがプエルトリコに行かなかったとだけしか言っていません。SEIUの大会での講演者のリストには載っていたのですがね。私は、彼の演説取りやめは教職員のデモと関係するのではないかという感触を持っていますが、確実にそうだとはわかりません。
エイミー・グッドマン ラジオの聴取者の皆さんのためには、私たちはテレビでこの衝突のビデオをお見せしています。プエルトリコの教職員組合と、彼らと衝突した警察との間に何が起きたかについては、私たちのウエブサイトのdemocracynow.orgで見ることができます。
エイミー・グッドマン この映像はデモクラシーナウの元プロデューサーのフランク・ロペスによって撮影されました。さてプエルトリコは今後どこへと向かうのでしょうか。どうですか、ホアン。
ホアン・ゴンサレス そうですね、現在はプエルトリコは基本的には大統領選挙から排除されています。米議会は他の50の州に比べてはるかに低いレベルに、プエルトリコの連邦資格を制限し続けています。そして、米市民であるプエルトリコ人は、これは一種の差別だと感じています。オバマはこの問題に取り組むと約束しています。プエルトリコの連邦資格問題の解決に取り組むと約束しています。だからもし彼が大統領候補に選出されれば、プエルトリコにおけるこれらの問題のいくつかに対処する可能性が出てきます。他方、ジョン・マケインはこれまでこれらの問題にまったく対処してきませんでした。

 B教師のストの決定的意義

 ルイス・アンヘル・トーレス

 ニューヨークFMPR支援委員会

  10日間にわたって、最も困難な状況下でほとんどが女性の数千人の教育労働者はピケットラインで学校管理者と闘い、全人民に重々しい教訓を与えた。教育省長官のアラグンデとアセベード・ビラ知事は、教師にはストライキなどできないし、ストライキの脅しなどプエルトリコ教職員組合(FMPR)のブラフに過ぎないと常々言っていた。彼らはストライキはせいぜい1日ぐらいなものであり、ほんのわずかの学校が影響を受けるにすぎないと言っていた。また、教職員組合と論議すべきものは何もないと主張していた。彼らを驚かせたストライキがいったん始まると、今度はそれは2〜3日で終わるだろうと彼らは言っていた。教育長官と知事には、教師たちが10日間も激しく、長期にわたって、信じられないエネルギーでピケットラインで非妥協的な学校当局と対決するとは想像もつかなかったのである。
  何の抵抗闘争もないだろうと言っていた者は間違っていたのである。教師たちは戦闘的にかつ大衆的に自分たちの尊厳を尊重することを要求した。約2万人の教師たちがこのストライキを支持した。うち8000人がピケットラインについた。教師のストライキにこれだけ大衆的に参加があったことはかつてないことである。このストライキの積極的な側面は、ストに数千人の若い女性教師たちが参加し、ストが続いた10日間にわたってピケットラインの防衛に全力を投入したことである。弾圧の脅しや減給、商業的報道機関によるデマ、戦闘警察の攻撃などもこれらの若い教師たちをおびえさせることはできなかった。教師の闘いに対するこのような勇気と積極的関与精神の発揮は、FMPRが決して解体できないことを示す決定的な証である。これが教師たちのストライキが実現した最も偉大な成果である。
  このストライキの性格に関してもうひとつ忘れることができないのは、実に多くの教師を動員できた教職員組合の力である。わずか7日間に教職員組合は、数千人の教師が参加する四つの大衆的戦闘的デモを組織した。これらのデモは、スト参加者と合流し、集団的な力を視覚的に示すことによって彼らの孤立を打ち破る助けとなった。近年のプエルトリコにおいては、この教師のストライキと同様な動員レベルを維持できたストライキを想起することはできない。この事実の中に真の労働組合として再組織し、学校当局の攻撃を打ち破り、独占的な代表権を再獲得したFMPRの指導性と戦闘性がある。
  教師のストライキはもうひとつ疑う余地のない成果を得た。このストライキは、全人民が教育制度の現実の姿と教師が教育の素晴らしさを認識して全力を投入していることについて学習するよい機会となった。アメリカの歴史において教育に関する問題がこれほどマスメディアで報道されたことはかつてないことだ。どこに行っても討論のテーマはこのストライキと公教育問題であった。ストライキは市民からの大衆的支持を受け、教師の献身のおかげで、今日、わが国では学校の状態と教師の要求について大きな注目がされるようになっている。
  ストライキは社会的現象であり、無数の人々の人生と人生観に大きな影響を与える。ストライキが政治や労働組合に与える影響や全労働者階級への貢献度を理解するためには、ストライキを正しい文脈に置いてみることが重要である。以下、いくつかの基本的要因について検討してみよう。
  ストライキを行ったほとんどの教師はこれまでストライキや労働停止行動に参加したことがなかった、という点から検討することが重要である。彼らは、学校当局やそれと連携する勢力がスト参加者を無力化させるために使ってきた恐怖や脅迫、圧力を乗り越えてきた。それはストライキを禁止し、公共機関における労働の中断を暗に示唆するすべての連携行動を犯罪視する弾圧法45号の下で起きた闘いである。実際、この法律はいかなる形であれ、非合法ストライキに参加した労働者を解雇できると規定している。
  プエルトリコの教師の危機的経済状況も障害となった。教師の低賃金や、無数の教師たちが経済的必要を満たすためにセカンド・ジョブを強いられているという現実はよく知られている。諸統計によれば、10人に2人の教師が経済的破産の状態にあり、10人に4人が月300j以上の赤字を抱えて生活している。そして10人に4人の教師が、ストライキの結果としての減収に対処するために借金や救援金に頼らざるを得なくなっている。学校で働くためには学校の消耗品や資材を自分たちのポケットから支出しなければならないという現実のために、多くの教師の経済状態は深刻化している。
  大多数の教師は女性であり、そのうちの多くがシングルマザーである。多くの女性教師が、ストライキが要求する任務を遂行するためには男性の性差別主義的態度と対決しなければならなかった。
  ストライキが宣言される数カ月前、政府、学校当局、商業報道機関、買収された評論家たちは悪意に満ちた攻撃を行った。この攻撃は絶え間なく行われ、スト中の教師を打ちのめし、社会における教師たちの重要な役割を減殺することを目指すものであった。この破壊戦略は、組合を破壊しようとするさまざまな勢力の指導者、人民党と連携する独立運動勢力、そして残念なことにストライキを攻撃し、破壊しようとしていた自称FMPR指導者たちの熱烈な協力を得て展開された。

 何が獲得され何が獲得されなかったか?

  ストライキは、すべての教師たちにとって重要な意味をもつ諸要求を実現するために無数の教師たちが参加して行われた抵抗運動であった。諸要求とは以下のようなものである。
・教師と公教育に公正をもたらす団体交渉協定の締結
・チャーター・スクール(公設民営学校)制度を通じた教育の民営化の中止
・ストに参加した教師に対して報復措置を取らないこと
・法律45号の修正の推進
  ストライキが10日目に入って中断されると、教育省長官のラファエル・アラグンデはFMPRと結んだ合意について詳細に述べた覚書を出した。たしかにこの合意は当初のストライキの要求項目とは大きく異なるものであることは事実であるが、教師の闘いにとってのその重要性を理解するために、その成果を評価することが重要である。ストの合意は以下のようなものである。
1 教育省長官はストに参加した教師の報復処分はしない
2 教育省は合意を義務的な目的としない対話をFMPRと行う。ただし、クラスの規模の制限などの残っている問題についての合意の可能性については限定しない
3 教育省はチャーター・スクール化を経て公教育を民営化しないという規定を直ちに取り入れることに合意する
4 教育省は団体交渉単位の構成員の雇用条件と雇用期間について現状維持に合意する。これは、たとえFMPRが最終的に交渉単位として認められなくなり、団体交渉合意が文書化されたものとしてはなくなった場合でも教師の既得権が変更されないことを意味する5 教育省は08年7月1日から150jの給与増額と、基本給の1750jへの増額に合意する
6 教育省は知事に対して、限定的期間、教師の基本給を月3000jにする法律を提案することを勧告する
  ここにみたように、教師のストを収束させた合意は、教師にとって有利な措置が含まれており、過小評価できないものだ。学校を民営化しないという規定を直ちに取り入れるという点は、教師にとって極めて重要な意義を持つ。この規定は、当局側の基本目的の一つを凍結させた。雇用の保証、身分保障と既得権は民営化の脅しによって危機に直面していたが、このストライキのおかげで手をふれることができなかったのだ。学生の権利の喪失を結果する学校の民営化は阻止された。それは国民の無料で非宗派的な教育を受ける権利を守った。この規定はストライキの前に交渉が行われていたが、その導入は団体交渉合意が行われた後に実施された。ストライキはそれを直ちに実施させたのだ。
  第2に、雇用条件と雇用期間の現状維持の合意も、現在の教師の既得権を保証するという点で、非常に実践的な意義を持っていた。
  第3に、ストライキによって賃上げの約束が確定的で最終的合意となったことである。
  第4に、ストライキに対していかなる処分も行わないという保証は、このストの最も重要な合意である。直接的影響だけでなく、将来の闘争に与える影響も大きい。
  われわれはすべての公務員労働者のために、忘れられていたスト権を奪い返したのだ。今や公務員労働者は、労働者の権利を行使することを制限することはできないということを知ったのである。SEIUや教職員連盟の指導者も、ストライキの成功に敵対する諸策動を行っている。合意が締結されそうになった時点で、デニス・ヒッケイ・リベラとロベルト・パガンは、知事に対してFMPRと合意交渉に入らないように圧力をかけた。彼らは夜盗のようにストライキを破壊する陰謀を行った。知事の選挙運動に資金を提供し、彼らと同様に労働組合をビジネスとして運営している連中も、教職員連盟と連携する学校当局を支援して、教職員を代表する権利を独占しようとしている。このような彼らの策動を教育省も知事も支援している。
  以上のような事情は大きな問題にわれわれを直面させている。すなわち教師の意識の問題である。4万3000人の教師の半数以上は、いまだ労働者階級としての教師の利害や、自分たちの利害を防衛するために団結を固めることの必要性、学校側の権力乱用に対して労働組合が不可欠の闘いの手段としてあることを自覚していない。このような現実は、それがいかに複雑なものに見えようとも、教師として将来の脅威と対決するためには、われわれの重要な克服課題となっているのである。教師のストライキは教育的経験となった。このストライキでは、無数の教師たちが、通常時には何年もかかって学んだことを10日間で学んだのである。ストライキは政治的にも労働組合的にも最良の経験となった。
  ストライキ後はすべてが変わった。教師のストはFMPRやこの闘いの英雄的過程に参加したすべての人を変貌させた。今日われわれは、このストライキの中で鍛えられた無数の指導者や、あらゆるレベルで学校側と対決できる新たな能力に依拠することができる。またわれわれが集団的に克服しなければならない主要な限界についても自覚することができたのである。
  われわれは1999年に教師の唯一の代表として最初に認定されるとともに、2008年に認定を取り消された最初の労働組合である。もう一度組合員による組合認定選挙が行われれば、われわれが認定されることは疑いがない。選挙が行われるならば、それに参加する資格を得るための推薦をわれわれはすでに獲得している。教師たちがFMPRの代表に投票できるようにすることが重要だ。
  だが教師の唯一の代表となるということよりもさらに重要なのは、FMPRをどのようなものとして鍛え上げるかということである。われわれはストライキによってFMPRが裏切りも買収もされない組合だということが認められたことを誇りに思っている。FMPRは、たとえ教師の権利と利害の防衛が、組合組織の指導部に大きな犠牲を強いることになろうとも、それを第一に重視する。
  今やわれわれはストライキと無数の教師の献身と犠牲のおかげで、実践で試された戦闘的で教師の権利のために闘う組合組織を有している。われわれはもはや組合資格の剥奪など恐れない。われわれを縛るものがなくなった今、われわれは以前よりも危険な存在になっている。
  学校側が時間かせぎをしていた交渉の際に、学校側の交渉担当者は傲慢な態度をとっていたが、それは彼らが、われわれの手が縛られており、決してストライキなどしないと思っていたからだ。このような脅しはもう効かない。われわれは必要ならばいつでもストライキを行う力を持っていることを学んだのである。