International Lavor Movement 2010/08/01(No.408 p48)

ホームページへ週刊『前進』季刊『共産主義者』月刊『コミューン』出版物案内週刊『三里塚』販売書店案内連絡先English

2010/08/01発行 No.408

定価 315円(本体価格300円+税)


月刊『国際労働運動』(408号1-1)(2010/08/01)

羅針盤

 ■羅針盤

 国鉄全国運動を直ちに全職場で

▼6・13大集会の圧倒的成功で、国鉄決戦に勝利してプロレタリア世界革命をかちとる闘いが本格的全面的に開始された。動労千葉と国労闘争団4人の不退転の決起は、民主党・連合政権と4者4団体による国鉄闘争解体攻撃を根本から粉砕した。全参加者が国鉄分割・民営化への怒りを爆発させ、第2次国鉄決戦の勝利によって労働者の未来を切り開く決意をうち固めた。全国運動の発展にこそ労働者の未来がある。6・13大集会の感動を直ちにすべての労働者に伝え、全国全職場で国鉄全国運動を推進しよう。
▼動労千葉は、車両の検査修繕業務の全面外注化の4月1日実施を阻止する大勝利をかちとった。この勝利の上に6・13をもって開始された新たな国鉄1047名解雇撤回闘争は、資本主義擁護の体制内勢力をなぎ倒して、必ずや2千万青年労働者、6千万労働者と圧倒的に結合する。世界大恐慌という世界史的事態の中で、ついにたぐり寄せた革命情勢をプロレタリア世界革命に転化する現実的水路が第2次国鉄決戦であり、全国運動だ。この偉大な闘いが6・13をもって本格的に始まった。この道を真一文字に突き進もうではないか。
▼全国運動の核心は、反合理化・運転保安闘争路線を貫いた職場闘争を実践し、動労千葉とともに闘う労働組合を全国の職場につくりだすことだ。体制内労組ダラ幹を打倒して、動労千葉派が労働組合権力を握る道だ。そして全国運動の3千人会員づくりを一体で闘おう。
 全国運動で、2千万青年労働者、6千万労働者と結合する最大の武器が動労千葉物販だ。動労千葉物販こそ動労千葉の正義性と勝利性を示し、労働者の怒りと結合する最大の武器だ。

------------------------TOPへ---------------------------

月刊『国際労働運動』(408号2-1)(2010/08/01)

 ■News & Review 韓国

 与党ハンナラ党大敗、哨戒艦沈没で人民反乱

 「北朝鮮の仕業」との調査結果に抗議

 3月26日に起こった韓国海軍哨戒艦「天安(チョナン)」沈没事件(46人死亡)に対し、韓国を始め米・英・豪・スウェーデンも参加する軍民合同調査団が5月20日、「北朝鮮製の魚雷による水中爆発で沈没した」と調査結果を発表した。
 続いて24日、この調査結果を受けて韓国の李明博(イミョンバク)大統領は北朝鮮に対して「断固たる措置を取る」と談話を発表。李は制裁措置を発動すると同時に、「北朝鮮が今後韓国の領海、領空、領土を武力侵犯すれば、即刻自衛権を発動する」と発言した。
 米帝は、「調査結果」を受けてゲーツ国防長官が「韓国の調査を支持する」と態度表明した。
 日帝は李明博の声明を断固支持し、共同歩調をとることを表明した。
 クリントン国務長官は訪中を前に、急きょ21日訪日し、鳩山、岡田と会談した。朝鮮情勢についての意思一致であった。クリントンは24日、北京で北朝鮮を「テロ国家に再指定するかどうか引き続き検討している」と発言した。
 韓国政府は、北朝鮮への制裁を求める国連安全保障理事会への新たな決議案を6月初めに提示した。
 「調査結果発表」自体が宣戦布告にも等しい。きわめて切迫した重大事態である。
 これに対して韓国国会で推薦された天安号沈没事件の民間調査員、シンサンチョル氏が「調査結果反対」を表明した。民主労総を含めた「調査結果は認めることができない」という声明も出ている。

 □北朝鮮スターリン主義の体制崩壊的危機

 一方、北朝鮮政府は、20日の調査結果は「ねつ造」だとする声明を発表、「制裁措置に対しては全面戦争を含む強硬措置で答える」と警告した。北朝鮮の金正日(キムジョンイル)スターリン主義政権は、昨年のデノミ政策の失敗もあり、世界大恐慌のもとでの経済的破綻の様相を一段と深めており、体制崩壊的危機に突入している。米帝に自らの支配体制の保証を取り付けようとして、反労働者的反人民的な冒険主義的瀬戸際政策に訴えている。
 しかし、問題はこの北朝鮮政権の綱渡り的政策を餌食として、米日帝が一気に北朝鮮侵略戦争、体制転覆的行動に出ようとしていることにある。
 今年も3月8日から10日間、米韓合同軍事演習「キーリゾルブ」が強行された。韓国軍2万人、米軍1万8000人という陣容で「北朝鮮軍の全面的な南侵に備えて米軍を朝鮮半島に迅速に増員する訓練」として行われた。野外機動訓練「フォールイーグル」が並行して実施された。キーリゾルブの過程でも、(北朝鮮からの)韓国の艦艇に対する攻撃などを想定した訓練が行われた。
 「政権が崩壊した時に、北朝鮮にある核を押さえることが海兵隊の目的である」と米海兵隊司令官が公言してはばからない。

 □与党ハンナラ党が大敗

 6月2日、韓国で李明博政権への労働者人民の強烈な「ノー!」の意思表示がたたきつけられた。
 李明博の大統領就任から2年、任期5年の「中間評価」を問う選挙と位置づけられた2日の統一地方選挙で与党ハンナラ党が大敗したのだ。全国7市長と9道知事の主要16自治体首長選挙ではハンナラ党候補の勝利は6人にとどまった。首都ソウル特別市でも現職のオセフン候補がわずかの差で辛勝となり、ハンナラ党の票田である慶尚南道、江原道なども野党に明け渡すという惨敗ぶりだった。
 韓国では軍事独裁時代から「選挙前には北風が吹く」と言われてきた。朝鮮半島の軍事的危機を演出して保守層を固め、労働者人民を恫喝する戦法だ。今回も米日帝の支持を取り付け、「沈没原因の発表に国民の70%以上が同意」しているとの世論調査を流し、選挙での「圧勝」を策した。
 しかし今回、ハンナラ党は歴史的惨敗を遂げた。これこそ労働者人民による大反乱であり、明白に李明博打倒へと行き着くしかない総決起の開始だ。
 1年前「解雇は殺人だ」と、77日間の工場占拠ストライキで立ち向かった双龍(サンヨン)自動車労組。これをテロ鎮圧部隊で弾圧したのが李明博政権だ。都市再開発の追い出し攻撃にビルに立てこもった龍山(ヨンサン)住民にテロ鎮圧部隊を差し向け焼き殺したのも李明博だ! 李明博政権のもとでは生きられない!
 さしあたっては野党第1党の民主党を始めとする親盧武鉉(ノムヒョン)勢力への投票として表現された今回の決起だが、この決起を体制内に封じ込めようとする一切の策動をなぎ倒し、階級的な行動へと組織しなければならない。盧武鉉政権こそ「親労働者」を装いながら、労働者人民に失業と貧困をもたらす新自由主義を推し進めた張本人だ。
 「国鉄闘争の火を消すな!」の掛け声で始まった6・13集会と新たな全国運動は、国際的にも動労千葉を架け橋に世界の労働者との合流、団結を拡大している。この運動に韓国のソウル地域で活動する民主労総傘下の階級的戦闘的労働組合指導部32人が賛同し、呼びかけ人に加わった。
 米日韓による北朝鮮侵略戦争策動を阻む力がここにある。
 米日韓労働者の国際連帯で北朝鮮侵略戦争阻止、世界革命勝利へ闘おう。
 ------------------------------------------------

 ■資料 「爆発もなかった 魚雷もなかった(抄)」 シンサンチョル

 PCC―772(哨戒艦「天安」)の事故に関する意見

 私は沈没した天安号調査のため韓国国会によって推薦された民間調査員、シンサンチョルです。ここ韓国における真実そのものをクリントン米国務長官にお知らせしたくこの手紙を書いています。
 私は韓国海洋大学を198
2年に卒業し、航海および砲術士官として2年間海軍に在籍、その後、韓進海運で航海士として数年間極東と米国西海岸の定期航路貨物船に乗船勤務し、さらに現代、サムスン、大宇、韓進重工のような韓国大企業の造船所で7年間、造船検査業務を経験しました。
 私は13万6000dのバラ積貨物船3隻、2000〜4000dのコンテナ船10隻の建造で、船体構造、船用機械と装備、塗料と航行システムを含む航海器具を担当しました。

 ●韓国政府の信じがたいような結論と態度

 私は韓国軍当局の結論に合意しませんでしたので、現在名誉毀損により訴えられています。 私は当局に反対の立場にたった唯一の人間です。それが私が訴えられた唯一の理由です。  私は韓国軍当局の結論に合意しませんでしたので、現在名誉毀損により訴えられています。 私は当局に反対の立場にたった唯一の人間です。それが私が訴えられた唯一の理由です。
 軍当局は「魚雷の爆発」によって天安号が二つに割れて沈んだという結論に達しました。
 しかし私の意見はそれとは全く異なります、なぜなら私は「爆発」を示すものはかけらも見つけることができず、反対にその船の座礁と離礁を示すいくつもの証拠を見つけることができたからです。
 これから、ベンニョン島の位置する環境、特にこの付近での船舶航海にとって重要な自然環境を含む地理学的背景について話します。
1 ベンニョン島はどこに位置しているか?
 ベンニョン島は黄海(西海)にある韓国領の島で、北朝鮮領のOngin半島の沖合にあります。その島は北朝鮮の沿岸からは10マイル足らず、韓国本道からは100マイル以上離れたところにあります。2、3、4、5(略)
6 3月26日当日に何が起こったのか
 本部への772からの第一報は「座礁!」。
 韓国海岸警備隊への本部からの第一報は「座礁!」。
 政府への第一報は「座礁!」。
  沿岸警備隊の局長は、「座礁」という第一報を受け取り、501巡視艇に現場へ急行するよう命じた。   沿岸警備隊の局長は、「座礁」という第一報を受け取り、501巡視艇に現場へ急行するよう命じた。
 3月29日、MBCニュース7 混乱―最初の事故の正確な時刻
 国防省は最初に事故が21時45分に発生したと発表したが、その後、KIGAM(韓国地理科学鉱物資源研究所)が振動波の時刻を報告するまで、毎日それを変更しました。
8「最初の座礁」を示す調査活動地図が見つかる
 海軍当局と生存者が事故の翌日3月27日に遺族に概略説明をし、一番上の左端に潮流の時刻と水深についての注釈が書かれた調査活動地図上で、正確な座礁現場をマークしたものを見せました。
 3月27日18時50分、KBBニュース・スペシャル
9「座礁」の証拠
(1)船体側面下部の重大なひっかき傷
(2)ビルジキール(*)損傷と、その付近での海水の浸透
*ビジルキール(動揺軽減のため船底湾曲部に沿って突出させた緩衝材)
(3)右舷の五つのスクリュー刃にへこみとなった損傷
 前方へへこむ損傷は、困難な状況から逃れようとして船が砂丘か泥に座礁した間に、「エンジン全開で後進」を行ったことを示します。
 五つのスクリューの刃すべてが前にへこんでいる。これはエンジンを「全速力後進」にして座礁状態から抜け出そうとしていたことを示す。土壌は硬化した珪藻土であると推定される。    五つのスクリューの刃すべてが前にへこんでいる。これはエンジンを「全速力後進」にして座礁状態から抜け出そうとしていたことを示す。土壌は硬化した珪藻土であると推定される。  
(4)PCC―772の下部側面板の状態を、PKM―357のそれとくらべてごらんなさい。
 後者は02年6月に発生した延坪での2度目の小競り合いで、黄海に沈没後、53日間海底に横たわっていました。(現在は、あなたが滞在されている韓国海軍第2艦隊の中庭に置かれています)
10(略)
11 当局の中間報告―4月25日
 魚雷貫通の痕跡なし(*) 火災跡なし
 熱の発生なし
 破片なし
 ケーブル線カバー損傷なし オイル・タンクとダンプ・ エリア損傷皆無
 これがそうです。これは「爆発は無かった!」と宣言するのに十分です。しかし彼らの結論は「海中にて船外で魚雷爆発」でした! 信じられません。魚雷が772の真下3bのところで爆発して、何の損傷もなく、ただ、鉄鋼が「切り落とされた」だけというのです。
12 仮に魚雷が爆発するのであれば、どうしたら、船体が割れた付近で見つかった犠牲者の遺体がああもきれいで、一方、船体を真っ二つに裂くのに十分なほどに大きな爆発が生じるのでしょう?
 船体の底に魚雷破片の貫通がまったくないものでしょうか? (*)
 ケーブル線を覆っているビニルがまったく損傷しないものでしょうか?
 大爆発が起こったというのに付近に死んだ魚すらみつからないことがあり得るでしょうか
 なぜ誰一人耳やのどに症状がないのでしょうか。鼻血すらも?
13 そこで私はこの結論に達するわけです。―最初の事故は「座礁」で、2番目の事故は―あらゆる知識と経験と分析を持って言えば―「衝突」です。
14(略)
15 私の意見の概略
(1) 最も重要なことは、事故は1度ではなく連続して2度あったということです。(2)最初の事故は上記の各種証拠から「座礁」でした。(3)「砂の上への座礁」はいくらか損傷させ浸水にも至りましたが、それ自体は、船を二つに裂くほどの重大な状況にはなりませんでした。 (1) 最も重要なことは、事故は1度ではなく連続して2度あったということです。(2)最初の事故は上記の各種証拠から「座礁」でした。(3)「砂の上への座礁」はいくらか損傷させ浸水にも至りましたが、それ自体は、船を二つに裂くほどの重大な状況にはなりませんでした。
(4)二つめの事故がこたえて、沈むことになりました。
(5)私は「爆発」があった痕跡は少しも見つけることができませんでした。
(6)2度目の事故は私の上記の分析によれば「衝突」でした。
 (以下略)

------------------------TOPへ---------------------------

月刊『国際労働運動』(408号2-2)(2010/08/01)

 ■News & Review 日本

 6・13「新たな全国運動」がスタート

 国鉄分割・民営化反対! 解雇撤回へ

 “新しい運動をつくろう”

 

6月13日、東京・文京シビックホールで「国鉄分割・民営化反対/1047名解雇撤回/新たな全国運動スタート6・13大集会」が会場を埋める1635人の結集で、圧倒的にかちとられた。
4月9日の政府・与党3党、公明党と国労、建交労(全動労)などの4者4団体による1047名解雇問題の「政治和解」は、検修部門の全面外注化攻撃と一体となって動労千葉を破壊する攻撃である。これに抗して闘う動労千葉と、国労闘争団であくまでも解雇撤回を求めて闘い続けることを宣言した闘争団員を先頭に、まったく新しい運動が始まったのだ。
ある参加者は「参加していて、これは大変なことを始めたんだなと思った」と感想を語った。また別の参加者は「演壇と参加者が気持ちがひとつになっていたという感じだった」と述べている。
集会後に動労千葉の田中康宏委員長は、「新しいスタートラインをつくったという意味では成功したと思っています。だけど、すべてはこれからだと考えています。1047名闘争に結末をつけることを政府が決断したということは、労働運動の息の根を止めるということです。それに反撃する新しい一歩を踏み出すことができた。その意味で、いろんな集会とは意味が違うものとしてかちとることができた」と語っている。そして、「新しい運動のあり方をつくっていきたい。そのために、今までのわれわれの運動のあり方、発想を全部変えよう。今までは『反対派』で国労本部を批判していれば形はできた。もうそんなことは通用しない。自分たちで全部をつくっていかなければならない。もう一回、われわれの運動のあり方、職場における団結の組織のし方を見直そう」と訴えている。
それは、動労千葉が右翼的な体質の動労千葉地本を故中野洋前委員長を先頭にして、青年部から闘いをつくりだし、例えば1968年当時の新小岩支部長・滝口誠さんの解雇撤回闘争に執行部の制動を打ち破って闘い勝利し、72年の船橋事故闘争で反合・運転保安闘争路線を打ち立てて高石正博運転士の職場復帰をかちとったように、現場から闘う労働組合をつくっていくということなのだ。

(写真 【上】1635人が新たな決意で“団結ガンバロー”【下】不屈の決意を語る動労千葉争議団・国労闘争団)

 争議団・闘争団の決意

 集会の圧巻は、動労千葉争議団3人と国労闘争団4人の決意表明だった。
 動労千葉争議団長の高石正博さんは、「当然、動労千葉は和解の対象から除かれている。除かれたらそれでいいじゃないか。俺たちはフリーハンドになった。これから全国に出て、俺たちが先頭に立って闘う」と支援を訴えた。
 動労千葉争議団の中村仁さんは、「われわれは国鉄分割・民営化に反対し、“一人の首切りも許さない”という原則を貫いて解雇されたんです。これが労働者の魂です。われわれは資本と非和解なんです。原則を曲げずに闘う労働運動をつくりましょう。全国の労働者に物販を持ち込んでください」と呼びかけた。
 動労千葉争議団の中村俊六郎さんは、「この闘いはこれから正念場を迎えるんだと思っています。これからも頑張っていきたいと思いますので、今後もよろしくお願いします」と語った。
 国労旭川闘争団の成田昭雄さんは、「今回の解決案は、私に『二度と文句を言うな、争うな、黙って国の言うことを聞け』というものです。これから国労闘争団のこの4人、そして動労千葉の皆さんとともに前面に立って闘うことを誓います」と表明した。
 国労小倉地区闘争団の羽廣憲さんは、「24年前の『国鉄分割・民営化反対の決意は、今もって変わらない。解雇撤回なしに元に戻ることはない。われわれはどこまでも解雇撤回を闘い抜く。不当労働行為、違法行為を行った政府、JR資本を絶対に許さない」と不屈の決意を示した。
 国労秋田闘争団の小玉忠憲さんは「私は旧秋田鉄道管理局で一人だけ選別され、首になった。なんで自分が解雇されたのか。それが昨年12月の動労千葉鉄建公団訴訟で非常にはっきりした。採用名簿に載っていたけれども、旧動労カクマル松崎一派が国鉄総裁にねじ込んだ結果、定員割れにもかかわらず名簿から排除された。これを国家的不当労働行為と言わずに何を不当労働行為というのか! これをはした金でなかったことにしろと私たちに迫ってきた。絶対に許せない」と怒りをあらわに訴えた。
 国労鳥栖闘争団の石崎義徳さんは、「今回の政治解決の条件は、裁判を取り下ろし、今後一切、旧国鉄やJRの責任を問わない、200人の採用を政府としてJR各社にお願いするが保証できない、というもの。24年間闘ってきて、そんなことは到底許し難いことです。これからも旧国鉄と政府の行った数々の不当労働行為の責任を追及し続けることが、今、全労働者が置かれている現実を変えていく闘いでもある」と訴えた。
 7人の決意表明に鳴り止まない大拍手が送られた。

 大恐慌の時代に通用する労働運動への挑戦

 集会は、全国金属機械労組港合同の中村吉政副委員長と動労千葉の長田敏之書記長の司会で進められた。
 冒頭、中村副委員長が「この解決案は自らが闘いとったものなのでしょうか。けっしてそうではないと思います。闘争団の23年間を超える、本当に苦闘の闘いを否定する解決案だと思います。多くの皆さんのご参加をいただいて新たな運動をスタートできることを心から喜び合いたい」と述べて始まった。
 開会のあいさつを呼びかけ人で動労千葉弁護団長の葉山岳夫弁護士が行い、「4月9日の決着は、絵に描いたような不当労働行為です。こんな決着を、1047名は誰も喜んでいません。他方、中曽根元首相が喜んでいたという。この決着の本質は明らかです。今回、国労の4人の素晴らしい階級的労働者の代理人として、鉄建公団訴訟の代理人として、弁護団に参加することができて光栄に思っています」と誇らかに語った。
 動労千葉の田中康宏委員長が、この運動を提起するに至った経緯と方向性を明らかにした。
 「国鉄闘争は30年近い闘いになります。動労千葉は、国鉄分割・民営化に反対して2波のストに立ち、40人の仲間が解雇されながら、この攻撃に立ち向かってきました。それ以来、24年にわたる闘いの結末がこれでいいのか。24年間闘ってきたのは、国鉄改革法を承認するためだったのか。『JRに法的責任なし』を承認するためだったのか。今回の和解は絶対に間違っていると思います。今回の和解は、労働組合への歴史を画する攻撃です。労働組合を変質させ、闘わない労働組合に変える。すべての攻防の焦点がここにある」
 「私たちが始めようとしている全国運動は、新自由主義に対決し、この時代に通用する新しい労働運動をもう一回つくり上げる挑戦です」
 「資本主義体制はガタガタです。全世界で怒りの声が社会に積もりに積もっている。この声を国鉄闘争を軸に結集したい。私たちはその先頭に立ちます」

 呼びかけ人の熱い思い

 各界の呼びかけ人からの訴えでは、国鉄闘争に寄せる熱い思いが語られた。
 日本近代史研究者の伊藤晃さんは、「解雇された1047名は単なる救済の対象ではない。自らの権利は自分の行動で守るんだと二十数年の闘いを繰り広げてきた人たちです。新たな全国運動は、この人たちと志を同じくし、社会の各所に生まれている無数の運動が大きな力となってまとまっていくきっかけにならなければいけない」と述べた。
 愛媛県職労の宇都宮理委員長は、「1985年の動労千葉のストライキは、愛媛の地にも大きな衝撃を与えた。この国鉄闘争の火を消すわけにはいきません。国鉄闘争を終わらせないことは、すべての労働者にとって最後の砦と言ってもよいくらい大切なことです」と、自治体労働者として民営化と闘う決意を明らかにした。
 韓国労働運動史研究家の金元重さんは、「24年にわたる国鉄闘争の意味を、日本と韓国における労働運動の発展、苦闘、そして現状とかかわらせてみる時、私は、韓国の労働運動が、動労千葉を中心とした1047名解雇撤回運動の本質をしっかり見極める必要があると考えています。民主労総ソウル本部の指導者32人が連名でこの運動への連帯を意思表示してくださったことは大変心強く思いました」と述べた。
 法政大学弾圧裁判弁護団長の鈴木達夫弁護士は、「中曽根よ、喜ぶのはまだ早い! この二十数年間、改憲はできていないじゃないか。沖縄、動労千葉、1047名闘争、そして裁判員制度反対運動が中曽根の野望を阻んでいます。中曽根の野望を、今日の集会を出発点に完全に打ち砕こう」と訴えた。
 憲法と人権の日弁連をめざす会代表の高山俊吉弁護士は、「私たち闘う弁護士は、分割・民営化の3年後の1990年から司法改革と闘い続けてきました。闘う弁護士と、闘う労働者・労働組合が本当に一つにならなければならない時が来た。そしてこうして現に一つになっている! 肩を組んでともに闘っていきます」と語った。
(写真 演壇と会場がひとつになった集会)

 1億円基金、3千会員を

 「運動の目的と課題」を動労千葉を支援する会の山本弘行事務局長が提起した。@動労千葉を支援する会を始め、全国運動の土台となる共闘組織をあらゆる職場・地域につくり上げる、A1億円、3000口の組織化とする基金運動、B物資販売運動、C鉄道運輸機構とJR各社への申し入れ行動、裁判闘争――の4点だ。
 また、止めよう戦争への道!百万人署名運動の西川重則事務局長が連帯あいさつを行い、「産業報国会のもとで侵略戦争に動員された歴史を繰り返してはならない」と訴えた。
 スタンダード・ヴァキューム石油自主労組の入江史郎委員長がカンパアピールを行い、動労千葉新小岩支部の佐藤正和支部長によるブラジル訪問の報告、動労水戸の石井真一委員長らの決意表明が集会を盛り上げた。
 全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の高英男副委員長が、閉会あいさつを行い、「具体的にどういう形で動労千葉と国労有志の闘いを支え、ともに支え、闘い得るのか」と問いかけ、「動労千葉や国労有志の闘いを孤立させないためには、現場で闘いを組織する以外に方法はない」と核心的に提起した。
 動労西日本の大江照己委員長の発声によるインターナショナルと団結ガンバローで熱気ある集会を終えた。
 こうして、これまでの労働運動の限界を突破するまったく新しい運動が始まったのだ。この道を断固突き進もう。
 (大沢 康)

------------------------TOPへ---------------------------

月刊『国際労働運動』(408号2-3)(2010/08/01)

 ■News & Review アメリカ

 無人機戦争にのめりこむオバマ

 帝国主義戦争の末期性・非人間性の極致

 米帝オバマは「4年ごとの防衛見直し(QDR)201
0」でイラク・アフガニスタン戦争に勝利しなければならないと絶叫している。そして米軍の疲弊を認め、志願兵制度の維持を訴えている。そして「過去8年間の作戦は地上部隊へ偏った負担をかけてきたが米軍が準備しなければならないのは長期にわたる空海作戦である」と言っている。
 そして「恒常的な監視態勢の強化、電子戦、遠隔型の兵器、高機能の武装ヘリコプター、垂直型の飛行機等の予算化」と言っている。
 一言で言えば、地上部隊、陸軍の負担を軽減するために無人機戦争を強化するということである。遠隔型の兵器とは無人機を指している。
 この間、オバマのもとで無人機戦争が圧倒的に強化され拡大されてきている。
 無人機戦争は、操縦士が安全なところにいて、敵だけを一方的に殺すということだ。帝国主義戦争の末期性、被人間性の極致だ。しかし無人機戦争は、大量の誤爆を引き起し、イラク、アフガニスタン、パキスタンの多くの労働者人民を無差別殺戮している。圧倒的な労働者人民の米帝への怒りを増幅させている。
 その怒りは現地米軍への戦闘となって激化し、アフガニスタンでの米軍兵士の死傷者が増加の一途をたどっている。戦争の最終的な勝敗は地上戦で決せられる。帝国主義の侵略戦争は必ず敗北する。なぜなら帝国主義とイラク、アフガニスタン、パキスタン人民との利害は絶対に非和解であるからだ。
 米帝はイラク、アフガニスタン、パキスタンでその厳しい現実を突きつけられている。

 無人機戦争の開始

 「毎日新聞」(4月30日〜5月4日)で『テロとの戦いと米国』第4部「オバマの無人機戦争」が5回連載された。そこで暴露されたことに基づいて、米帝のイラク・アフガニスタン・パキスタン侵略戦争の残虐性・反人民性・末期性について明らかにしていきたい。
 無人機戦争は、01年9月11日の反米ゲリラ戦争以来、始まった。当時のブッシュ政権は、アルカイダ幹部を暗殺する許可する文書に署名、無人機でアルカイダなど反米武装勢力を暗殺する「ターゲッテド・キリング(標的殺害)」を開始した。
 しかし誤爆が相次いだ。02年にはオサマビンラディンを狙って無人機攻撃をしかけて殺害したが別人であったことが判明した。
 最初は「標的殺害」であったが、アフガニスタン、イラク、パキスタンで米帝の侵略戦争に対する人民の戦いが民族解放・革命戦争の様相をもって拡大してくると、04年イラクのファルージャ戦争のように、作戦の一翼を担うようになっていった。戦争現場からの通報に応じた現場をよく確認することもない無差別爆撃とエスカレーションしていった。

 米本土で無人機を操縦

 米帝の無人機戦争とはどのような戦争なのか。
 「米国本土の基地から衛星通信を使い、1万`以上離れた戦地で無人航空機を飛ばす。兵士は自宅で家族と朝を迎え、基地に出勤。モニター画面に写る『戦場』で戦い、再び家族の待つ家に帰る」
 イラク侵略戦争開戦時の03年、無人機のパイロットをしていたエガース大佐は、ネバダ州ネリス基地で「午前中3時間はアフガンで飛ばし、1時間休憩する。午後の3時間はイラクで飛ばす。米国にいながら、毎日二つの戦場で戦争をしていた」。
 04年、イラクのファルージャに米軍が侵攻した時、エガースは、ネリス基地で現地からの要請に応え、無人機「プレデター(捕食者)」の操縦席に座り、レーダーの示す発射地点を確認、操縦かんを倒し航行させた。
 「モニターに浮かぶ男たちに照準を定めるまでわずか9分。赤いミサイルボタンを押す。画面いっぱいに土煙は広がり『武装勢力は、姿を消した』」
 無人機はイラクやアフガニスタンの米軍基地に常駐しているが、その無人機の操縦席は米本土の米軍基地の中にあるのだ。戦場からはるか彼方にある米本土に勤務しながらイラクやアフガニスタン侵略戦争に参戦しているのが無人機の操縦士だ。
 イラクやアフガニスタンやパキスタンに住み、生活している現地人民とはまったく無関係なところから、モニター画面を見て、「敵」を認識して空爆し、「敵」を虐殺している。そして大量の人民を無差別に殺戮している。
 戦争につきもののあらゆる危険から逃れたところで最も残虐な侵略戦争をゲームのように行っている。
 イラク、アフガニスタン、パキスタンの人民は、無人機の一方的な誤爆、無差別爆撃にさらされている。そのやり場のない怒りは現地米軍兵士に向かっていかざるをえない。反米民族解放戦争へと発展している。
 無人機「プレデター」は24時間の連続飛行が可能で、夜間は赤外線カメラが、武装勢力を探す。機体価格は約450万j(約4億3000
万円)でF22戦闘機の約85分の1。最終的に目指しているのは「無人機を操縦するロボット」の開発という。新型の「リーバー(死に神)」も開発されている。
 オバマやゲーツは、これがイラク・アフガン・パキスタン侵略戦争に勝利し、志願兵制度を維持する「特効薬」だと考えているのだ。
 空軍の集計値によると、オバマ政権が発足した09年、アフガンで無人機が投下した爆弾は219個。08年は183個。07年は74個。飛躍的に増えている。
 だが国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)によると、09年に戦闘にまきこまれて死亡した市民は2412人。4人に1人は、米軍の無人機を含む空爆の犠牲になっている。

 増える民間人の犠牲者

 オバマはパキスタンにおいてもCIAによる無人機空爆を拡大している。04年からの集計では1314人が死亡、うち3割が民間人で、死亡した民間人の半数がオバマ政権下の空爆での犠牲者である。
 米帝は公式にはパキスタンでは戦争をしていないことになっている。米軍は駐留していない。その代わりにCIAがいる。
 パキスタン北西部の部族地域はイラク、アフガニスタンと同じく米帝の侵略戦争の泥沼の中にある。
 この地域は歴史的にアフガニスタンであり、パシュツゥーン人の居住地であること、今日的にはタリバンの根拠地になっている。タリバンはパキスタンの部族地域を聖域としてアフガニスタンの民族解放闘争を戦っている。
 米帝は、アフガニスタン侵略戦争開戦当初から、アフガニスタンの米軍基地からパキスタンの部族地域に無人機を飛ばしてアルカイダやタリバンに対する越境攻撃を行ってきた。パキスタン政府は当初はこの越境攻撃に対して形式的な抗議をしてきた。
 しかし米帝はパキスタン政府に圧力を加え、部族地域のアルカイダ・タリバン掃討作戦を要求し、パキスタン軍を部族地域制圧のための侵攻作戦に駆り立てている。この侵略戦争で多数の人民に死者が出ている。パキスタン軍も大きな打撃を受けている。そして米軍とCIAは、パキスタンの部族地域に対する無人機戦争を強化している。
 CIAや米軍は、民間軍事会社の社員に現金を渡し、アフガニスタンやパキスタンに派遣している。アルカイダやタリバンを無人機で攻撃するための情報を収集している。
 CIAは、パキスタン南部のシャムシ空港などに無人機を駐機させ、米南部バージニア州ラングレー空軍基地から操作しているという。
 ソ連崩壊後の90年代、CIAは人員を約25%削減された。01年9・11以後、その不足を補うために多くの民間軍事会社の社員を多数雇った。最近ではその一部が無人機攻撃のための情報収集役を担当しているとされる。民間人を使うのは「低コストのうえ、問題が起きた時も、政府の説明責任から切り離させるからだ」と。戦争の民営化だ。貫かれているのは低コストと無責任ということだ。これは無人機戦争に貫かれている。
 09年4月、パキスタンで19歳の少年が「米国のスパイ」としてタリバンに射殺された。直前に撮影されたビデオで少年は「小さな金属片をアルカイダやタリバンの家に置けば、2万ルピー(約238j)やると言われた。お金が欲しくて関係ない家にも置いた」と語った。
 米帝はパキスタンの部族社会をズタズタに切り裂いているのだ。対立を生み出し、内部崩壊を促進しようとしている。

 急増する無人機

 空軍は無人機を米本土から遠隔操作するが、陸軍は「現場との連携を密にするため」現地で操作する。しかし戦場とはいえ基地の中で毎日無人機操作に明け暮れる兵士にとって、人の死を真正面から受け止めることはできない。
 米陸軍によると、無人機操縦士の7人に1人は民間人。無人機の急増に兵士の訓練が追いついていない。
 陸軍は無人偵察機「レイバン(不吉の兆しとされるワタリガラスの意味)」を500
0機以上イラクやアフガニスタンに配備している。レイバンに攻撃機能はなく偵察専門。大型のプラモデルのような機体(全長約90a、翼幅約1・4b、重さ約2`)。無線操縦(半径10`以内)。
 03年から06年に起きた事故のうち、約7割は人為ミス。未熟な技術や経験不足での誤った判断が原因と見られるという。
 無人機の操縦士不足は07年ごろ、最も深刻化した。空軍は新兵の採用を拡大し、操縦士の勤務は連日12時間に及んだ。それでも需要に追いつかず、09年から試験的に一部の訓練生に無人機の訓練だけを実施。有人機の訓練を省くことで、教育期間を1年から3カ月に短縮した。
 04年から07年にかけて無人機を遠隔操作する米国内の基地や訓練生、指導官の数は、ほぼ倍増したという。
 アフガニスタンの戦闘で死傷した米兵は6200人余り。その7割を陸軍兵が占める。最大の脅威は武装勢力が仕掛ける路肩爆弾。その探索に必死になっているのだが、相変わらず、米兵の死傷者は増加の一途をたどっている。
 09年の戦闘による米兵の死者は263人で、08年132人の2倍に達した。10年は3月までにすでに米兵の死者は76人になっている。
 オバマは無人機戦争への依存をさらに深めている。しかしこれはイラク・アフガニスタン・パキスタン侵略戦争での泥沼化、戦略的敗勢をさらに促進するだけのことである。

 労働者の国際連帯を

 世界大恐慌の深化の中で、帝国主義は戦争と大失業をもたらす。これに対して全世界で、帝国主義打倒、世界革命を求める労働者階級の国際連帯が前進している。
 中でも日本の動労千葉、韓国の民主労総ソウル地域本部、アメリカのILWUを軸に拡大している。この闘いはイラク・アフガニスタン・パキスタンなどをはじめとする被抑圧国の労働者人民との国境を越えた連帯を求めている。この闘いの発展の中に、戦争と大失業を打ち破る展望がある。
 (宇和島洋)

------------------------TOPへ---------------------------

月刊『国際労働運動』(408号A-1)(2010/08/01)

編集後記

■編集後記

 菅政権が誕生した。日帝の危機と矛盾の爆発を背負って生まれてきた政権だ。辺野古新基地建設、公務員労働者への大量首切り、そして消費税の大幅税率アップ=大増税を狙う政権だ。辺野古新基地建設など、自民党時代に破産を重ね、鳩山が「県外・国外移設」などと幻想をあおって大破産したものだ。
 動労千葉破壊を核心とする国鉄1047名闘争解体の4・9和解策動だ。この上に360万公務員労働者の首切りをやろうとしている。6・13全国運動はこの狙いと正面激突する闘いだ。そして消費税の大増税路線で菅政権の支持率は一挙に10ポイント下落した。
 菅政権はまさに戦争と大失業を労働者人民に押しつけ日帝ブルジョアジーと運命を共にする超反動政権だ。脆弱で危機深める菅政権を一刻も早く打倒しよう。

------------------------TOPへ---------------------------