International Lavor Movement 2013/08/01(No.444 p48)

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2013/08/01発行 No.444

定価 315円(本体価格300円+税)

第444号の目次

表紙の画像

(表紙写真 3・11二周年の反原発福島行動のデモ【3月11日】)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集
原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ ( はじめに)
記事を読む
一斉再稼働を許すな  全国にNAZENを 記事を読む

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集 原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

T フクシマの怒りとつながり再稼働を絶対に止めよう

 1 今も危機が続く福島第一 労働者はコスト優先批判

記事を読む
 2 深刻な核汚染が今も続く ペテン的除染で帰還強要 記事を読む
 3 内部被曝の隠蔽許さず共同診療所を支援しよう 記事を読む
 4 破産した核燃サイクルに固執し核武装狙う 記事を読む
 5 原発輸出=大事故輸出の大罪に踏みこむ安倍 記事を読む
 6 「命より金」の新自由主義のあがき許すな 記事を読む

U 労働組合をよみがえらせ新自由主義をうち破ろう

 1 被曝労働を拒否してストで闘う動労水戸

記事を読む
 2 動労水戸はなぜ闘えているのか――闘いの歴史 記事を読む
 3 動労水戸に加入した青年労働者に聞く 記事を読む
 4 国労郡山工場支部・橋本光一さんに聞く 記事を読む
 5 反合・運転保安闘争路線で闘う動労千葉 記事を読む
 6 「原子力の平和利用」論は合理化容認と一体 記事を読む
 7 大恐慌―新自由主義―3・11のもとで生きる闘い 記事を読む
 8 青年労働者が被曝労働と非正規職化と闘おう 記事を読む

V 労働者の国際的団結で原発も核もなくそう

 1 動労水戸の被曝労働拒否のストに国際的な波紋

記事を読む
 2 核を賛美するスターリン主義打破し労働者解放を 記事を読む
 3 戦争・核戦争の危機に労働者の国際連帯を 記事を読む
 4 8・6広島大行動への国際連帯アピール 記事を読む
 原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ 記事を読む
■Photo Document 反原発闘争 記事を読む
全原発廃炉・核廃絶世界大会を実現しよう!
被爆68周年8・6ヒロシマ大行動への賛同と参加をお願いします
記事を読む
■NAZEN結成宣言文 記事を読む
■国鉄と原発の関連年表 記事を読む
(裏表紙写真 芝公園でのさようなら原発集会後のデモ【6月2日】)

月刊『国際労働運動』(444号0-1)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 08年リーマンショックから5年、10年4・9国鉄闘争政治和解攻撃から3年、11年3・11東日本大震災と福島原発事故から2年余り、世界大恐慌が深化し、新自由主義が大破産し、帝国主義もスターリン主義も危機と没落を深めている。帝国主義と大国間の大争闘戦の時代に入っている。戦争と大失業の攻撃が激化し、全世界で労働者階級人民の怒りの闘いが巻き起こっている。日本でも国鉄決戦と反原発決戦を柱に闘いの火が噴いている。プロレタリア革命の時代が到来している。
 昨年、本誌8月号を反原発総特集として出した6月は、野田内閣の原発再稼働攻撃に反対する首相官邸前の数十万人の抗議行動の渦の中であった。今年は、昨年10月からの外注化阻止・非正規職化撤廃の国鉄決戦の地平の上に、国家権力のスパイ分子を摘発し打倒し、安倍政権の原発再稼働阻止、改憲阻止の巨万の決起を実現していく渦中にある。フクシマと連帯する8・6ヒロシマ―8・9ナガサキ世界労働者大会をかちとろう。国際連帯が全原発廃炉・核廃絶の道である。

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月刊『国際労働運動』(444号1-1)(2013/08/01)

一斉再稼働を許すな

全国にNAZENを

 安倍政権は、原発に関する規制委員会の新基準の7月施行を機に、一斉再稼働に踏み込もうとしている。夏から秋が再稼働阻止の最大攻防となることが確実となった。絶対に再稼働をくいとめよう。8・6広島―8・9長崎闘争を皮切りに、再稼働阻止の100万人デモを巻き起こそう。NAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)をともに発展させ、その最先頭で闘おう。
 7月に再稼働申請が見込まれるのは、北海道電力泊原発1〜3号機、東京電力柏崎刈羽原発1、7号機、関西電力高浜原発3、4号機、四国電力伊方原発3号機、九州電力川内原発1、2号機と玄海原発3、4号機である。さらに、関西電力は、9月に定期検査入りする大飯原発3、4号機についても12月に再び稼働させるため、7月に申請する計画という。原発を持っている電力会社9社のうち5社が、14基もの原発の再稼働に乗り出すというのだ。
 これは、3・11の前の状態≠ノ戻すに等しい。福島第一原発事故はまったく収束していない。今なお16万人が避難したままだ。3・11以降ずっと福島を始め首都圏・全国の人たちは、被曝し続けている。それなのに、一斉に再稼働して原発大事故を引き起こそうというのか。またも何百万人の人から古里を奪おうというのか。これ以上どれだけ膨大な人々を被曝させ傷つければ済むのか。私たちは絶対に1基の再稼働も許さない。

 破産した新自由主義にしがみつく資本家

 一斉再稼働は、日本の資本家階級の必死のあがきだ。安倍政権は、原発活用と再稼働、さらには原発輸出を「成長戦略」の柱にすえている。しかし、福島第一原発でメルトダウン(溶融)した核燃料がどうなっているか今もなお分からない状況だ。それなのに、その原発を「成長戦略」の柱にするなどというのは、資本家階級として実に破滅的ではないか。また、もともと日本の原発は核武装の偽装形態であり、軍事用プルトニウム確保のために核燃料サイクル推進に固執し、そのためにも再稼働を狙っている。しかし、核燃料サイクル計画は高速増殖炉「もんじゅ」を始めボロボロになっており、なんの展望もない。
 資本家階級と安倍政権を再稼働に駆り立てているのは、3・11で帝国主義として脱落してしまったことへの焦り、なんとか巻き返したいというあがきでしかない。資本家階級にはなんの成算がなくても、「命より金」の政治しかないのだ。これこそ資本の利益を至上とする新自由主義、労働者人民の命を使い捨てにする新自由主義である。しかし、この新自由主義こそが、福島第一原発事故を引き起したのであり、しかも世界大恐慌も新自由主義の結果なのである。その意味で新自由主義は歴史的に大破産した。ところが資本家階級は、破産した新自由主義にしがみつくことしかできず、結局は破滅に転落していく以外にないのである。
 現に、安倍政権の再稼働策動は最初から破綻的だ。政府の産業競争力会議は6月に成長戦略を決定したが、原案にあった「(再稼働へ)政府一丸となって最大限」という表現は削除された。再稼働に三木谷浩史・楽天社長、竹中平蔵・慶大教授らが慎重論をとったためである。三木谷は「もう一回福島のような事故が起こってしまったら、全ての産業も含め終わってしまう」と発言(東京新聞6・13付)。「全ての産業を含め」何が終わるというのか。日本の体制≠ネのだ。資本家階級として、第2の原発大事故が起きれば体制が崩壊する≠ニ恐怖しているのである。
 私たちは第2の原発大事故など絶対に起こさせない。それが自分の人生をかけて、3・11で誓ったことだ。しかも、三木谷はまったく分かっていないが、すでに福島第一原発事故で日本の体制は崩壊し始めているのだ。人類史上最悪の原発事故を引き起こしておきながら、なんの対応策も取れずにごまかし続け、2年を過ぎれば一斉に再稼働する、輸出もする、などというのは、一個の体制として自己崩壊に等しい。こんな体制はもう、労働者人民の闘いで終わらせよう。

 労働運動と国際連帯で安倍政権を倒そう

 再稼働阻止闘争は安倍政権打倒の闘いでもある。安倍政権は、労働者の総非正規化をたくらむとともに、戦争をやるための改憲をもくろんでいる。だから反原発闘争は、反失業や改憲阻止とも結びつく闘いであり、何よりも国鉄闘争を先頭にした階級的労働運動、そして日韓米を軸にした国際連帯闘争と一体である。労働組合をよみがえらせ、労働者の国際的団結をつくり上げること、それこそが全原発廃炉の展望を切り開く。
 そのためにNAZENを発展させ、核も原発もない社会の実現に突き進もう。NAZENは、どこまでもフクシマの怒りを共有し、@全原発廃炉、A被曝労働拒否、B「ふくしま共同診療所」(12年12月開院)の建設、C保養・避難運動の推進、D国際連帯を柱に闘っている。青年・学生を先頭に全国でNAZENを発展させよう。「フクシマとヒロシマ・ナガサキの怒りを一つに結び、全世界に向けて反原発・反戦反核闘争を呼びかけます」(11年8月5日のNAZEN結成宣言)というアピールに応え、すべての人の自己解放をかけて闘おう。

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月刊『国際労働運動』(444号2-1)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 T フクシマの怒りとつながり再稼働を絶対に止めよう

 1 今も危機が続く福島第一 労働者はコスト優先批判

 福島第一原発事故は発生から2年以上経つが、収束のメドすらまったく立っていない。そのような現実を覆い隠し、「世界一安全」などとうそとペテンで安倍政権が強行しようとしている原発再稼働と輸出などまったく論外だ。この点をはっきりさせるためにも、福島第一原発事故の現状に迫ってみたい。
 この事故では、地震と津波で全電源喪失に陥り、原子炉停止後も発生する崩壊熱を冷やすことができず、1号機から3号機の原子炉で燃料棒が溶け出し、圧力容器および格納容器の底を突き抜けてしまった(メルトダウンないしメルトスルー)。運転停止中の4号機も水素爆発した。爆発で建屋が大きく破損したことも重なり、膨大な放射性物質が大気中にまき散らされた。事故と放射能流出がずっと続いている点では、86年のチェルノブイリ事故を上回る人類史上最悪の事故だ。
 原発においては「止める」と同時に「冷やす」ということが最大の事故対策となる。ところが東京電力は、事故直後から泥縄的な「打ち水方式」を続けている。@破損している原子炉内の溶けた燃料棒にとにかく水をかけて冷やす、Aその結果生じる汚染水が原子炉容器から漏れだして地下水と混じり合う、Bその汚染水をくみ出して再利用を試みる、Cしかし膨大な地下水と混じり合うことで汚染水が1日あたり400dも増え続ける、D増え続ける汚染水を暫定的にタンクに貯める、という場当たり的なやり方である。これを「循環注水冷却」などと呼んでいるが、循環などしていない、単なる打ち水ではないか。
(写真 汚染水用「仮設タンク」。溶接せずにボルトで締めただけのその場しのぎだ)

 冷却水がストップすると再度の大事故が起きる

 しかも、この全設備が仮設のままである。3月に停電事故を起こした配電盤も、トラックの荷台に置かれた仮設の設備だった。汚染水タンクの多くは、丸めた鋼板を溶接せずにボルトで締めただけの急場しのぎだ。この仮設タンクでは、つなぎ目のゴムパッキングの寿命が3年から5年と言われ、あと1年もすれば次々と耐用年数が来る。配管も多くが塩化ビニール製の仮設ホースのままである。
 こうした仮設だらけの冷却がストップすると、メルトダウンした核燃料が再び溶け出し、再度の大事故になる危険性があるのだ。3月に停電によって冷却水が停止した時、福島の人たちは「車は満タンにした?」と連絡し合ったという。いつでも避難できる準備をしていたのだ。また、仮設住宅に避難した家族が丸ごと帰還しないのは、「仮設住宅は緊急時の避難先になるから」と考えているからともいう(東京新聞4・19付)
 しかも、汚染水がもはや処理できなくなっている。広大な福島第一原発の敷地は汚染水タンクで埋め尽くされている。汚染水タンクは現在、約40万d分あるが、あと80万dまで増設可能だという。だが1日に400dずつ増え続けているから、写真の1000dタンクですら2日半で一杯になる。残りの40万dもあと2年半あまりで使い尽くす計算だ。それ以降のタンク増設計画はない。
 汚染水処理に窮した東電は、3・11直後にやったように汚染水の海洋放出を狙うところまで追い詰められている。具体的なシナリオは、トリチウムが含まれる汚染水を海洋放出するか、またはくみ上げた井戸水を海洋放出するか。いずれも高度に汚染された福島第一原発の敷地内から出る水であり、海洋放出などとんでもない。東京電力は地元の漁業関係者の同意を取り付けようとしているが、漁民からは「それなら飲んでみればよい」「建屋から(汚染水が)出たらどうする」など怒りの声が上がっている。

 労働者の提案を聞けば事故収束も廃炉も可能

 このように福島第一原発事故は収束のメドすら立たない状態が続いており、その中で日々3000人もの労働者が被曝労働を余儀なくされている。そして死亡する労働者も相次いでいる。今後、廃炉作業が本格化すればするほど高線量の被曝が予想される。
 この困難な状況下で、福島第一で働く労働者たちは、次々と東電・政府への批判の声を上げ始めている。「競争入札で安いところばかりに仕事がいく」「きちんとしたものを技術のあるメーカーなどに作らせず、安かろう悪かろうの悪循環になっている。みんな文句を言っているよ」(東京新聞5・1付)。「事故後に導入された設備類は、保守管理のことを十分考慮しない仮設のものが多い。耐久性のあるものに交換すべきだと東電に提案しても、『予算がない』と却下される」(東京新聞5・5付)。当の現場の労働者には事態がすべて分かっている。本当の収束作業をどうやればいいのか、労働者にまかせれば必ずうまくいくのだ。
 原発事故を引き起こし、原発労働者に被曝労働を強制する政府・東電資本に怒りを爆発させよう。そして、収束作業のあり方を根本的に告発し始めた原発労働者とともに闘い、全原発廃炉に向かって突き進もう。

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月刊『国際労働運動』(444号2-2)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

(図 汚染状況調査地域【2012年12月27日 現在】)

(図 避難指示区域の再編【2013年5月7日 現在】)

 2 深刻な核汚染が今も続く ペテン的除染で帰還強要

 放射能汚染で避難推奨の地域が今も広範囲に

 3・11原発事故で放出された放射能は、とくに福島県を始め東北・関東圏に降り注ぎ、さらに日本全国、海外にまでまき散らされた。2年を過ぎた今も放射線の脅威は衰えず、深刻さを増している。
 環境省は汚染状況重点調査地域マップ(次ページ右図)を公表している。
 除染特別地域とは事故後1年間の積算線量が20_シーベルト以上および福島第一原発から半径20`メートル以内の地域であり、また汚染状況重点調査地域とは1時間あたり0・23マイクロシーベルト(年間1_シーベルト)以上の市町村だという。年間1_シーベルト以上とは、チェルノブイリ周辺3カ国が1991年に制定した移住権利ゾーンに相当する。
 避難が促されるほどの放射能汚染地域が、福島を始め宮城・岩手・茨城・栃木・群馬・千葉・埼玉など東北・関東圏に広く存在している。
 周囲と比べて線量が高いホットスポットも無数に点在する。山林や大地に降った放射能は、雨や風などで移動し拡散・集合をくり返す。最近の調査によると福島県で、双葉町の沢入第一農業用ため池で1sあたり78万ベクレル、南相馬市横川ダム貯水池で13万ベクレル、飯舘村岩部ダム貯水池で12万ベクレルのセシウムがストロンチウムとともに検出されている。また福島市でも図書館駐車場の土から43万ベクレルのセシウムが検出された。
 その他、宮城県の天沼で9700ベクレル、千葉県の手賀沼で7600ベクレル、群馬県の藤原ダムで1900ベクレルなど、湖沼・河川・水源地で桁はずれの高濃度放射能汚染が見つかっている。
 3・11以前は1sあたり100ベクレルを超えると低レベル放射性廃棄物として厳重管理が義務づけられていた。だが現状は以上の通りだ。
 そして動植物の放射能濃縮・食物連鎖も表面化し始めた。南相馬市ではイノシシから6万1000ベクレル、田村市では山菜のコシアブラから1万2000ベクレルという過去最悪のセシウムが検出された。福島第一原発から200`メートル離れた千葉県市川市の江戸川でさえ、ウナギから現行基準値(100ベクレル)を超えるセシウムが検出され、漁業組合等に対し出荷「自粛」が要請された。
 そもそも「人間の被曝に関して安全線量などまったくない」(ゴフマン『人間と放射線』)。放射能を呼吸や飲食で体内に取り込んで起きる内部被曝は特に危険である。それはチェルノブイリの事例や最新の生物学的知見で明白となってきている。放射能関連の基準値はなんら安全値を示すものでなく、放射線による殺傷を合法化するための政治的規制値にほかならないのだ。

 除染・帰還あおり被曝強制する暴挙許すな!

 自民党・安倍政権は、「避難解除等区域復興再生計画」で、「福島第一原発の安全確保は、復興・再生の前提となる最も重要な課題」「除染などを進め、安心して帰還できる環境を速やかに整備」と言うが、事故の収束はまったくめどがついていない。それどころか事故がまた起きるかもしれない状況が続いている。そうした危険きわまりない原発の周辺への「帰還」を形ばかりの除染であおり、原発再稼動と原発輸出を推進しようと躍起になっているのだ。
 避難指示区域の細切れの再編(上図左)は、住民間に差別・分断しかもたらさない。山林の除染はできず、住宅地などの除染は一時的であり、ほとんどが元に戻る。しかも前述のとおり、この区域では飲料水や農業用水などの水源地がとんでもない高濃度の放射能に汚染されている。
 除染と帰還は、労働者・住民に被曝・健康破壊を、資本家・ゼネコンに利益をもたらすだけだ。特措法での除染予算は、13年度までに約1・3兆円にも及ぶ。
 「学校再開」が「復興」のシンボルとされ、教育労働者が学校内の除染労働まで強制される事態が起きている。「復興」で真っ先に動員の対象となるのは自治体・郵便・教育・輸送などの労働者である。
 現状は古里に戻れる状況にない。「帰還」をあおり、二重三重の被曝を強いる支配階級への怒りの爆発は不可避だ。資本家と国が引き起こした核汚染の始末は資本家と国が全責任をとって行え! 「帰還」の可否を決めるのは福島の労働者民衆だ。
 動労水戸は被曝労働をストライキで拒否した。さらに除染労働者の決起も開始されている。原発再稼働・輸出絶対阻止と被曝労働拒否の闘いを強化し、全原発廃炉へ驀進しよう。

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月刊『国際労働運動』(444号2-3)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 3 内部被曝の隠蔽許さず共同診療所を支援しよう

 福島の子ども達に多発しはじめた甲状腺がん

 6月5日、福島県の第11回「県民健康管理調査」検討委員会は、3・11事故発生当時、18歳以下だった約38万人の子どものうち、甲状腺検査で28人が悪性ないし悪性の疑いと判定され、13人がすでに手術を受けた(うち1人は悪性ではなかった)と発表した。
 普通、子どもの甲状腺がんは100万人に1人と言われている。今回はその70倍、悪性の疑い(がんの発症がほぼ確定)を含めれば160倍もの発症率を示す。福島原発事故で大量に放出された放射性ヨウ素などを吸うことで甲状腺が内部被曝し、がんを発症したことは明らかだ。チェルノブイリ事故では、甲状腺がんは徐々に増え、その後、爆発的に増大している。
 福島では、早くも2年後に急増の傾向が現れ始めた(上図)。この深刻な結果について検討委は、「放射能が原因でない」「多発でない」と3・11福島原発事故との関連の否定に躍起となっている。
 福島医大教授の鈴木眞一らは、甲状腺がんが外科手術によって容易に治療できるかのような誤解をふりまいている。だがチェルノブイリの被害では、「患者の大多数が手術を受けているという事実にもかかわらず、約3分の1の症例でがんは進行し続けている。さらに手術を受けても、
患者は例外なく投薬によるホルモン補充に全面的に依存することになり、生涯にわたって健康面の重いハンディキャップを負い続けることになる」(ヤブロコフ等共著『チェルノブイリ被害の全貌』)と指摘されているのだ。甲状腺のがんが1例あれば、その背景には他の種類の甲状腺疾患が数百例存在するという。また内部被曝が子どもの免疫低下や心臓疾患などの多様な疾病をもたらすことも明らかになってきている。東電・国による健康影響否定を許すな。

 核犯罪の巣窟・検討委解体し御用学者追放を

 この期に及んでも、甲状腺がんと3・11原発事故・放射能影響の関係を隠し否定する検討委員会は、「健康管理」とは無縁の原発推進目的の犯罪者集団としての正体をむきだしにしつつある。
 これまでは、「放射能の影響は、笑っている人には来ない」と3・11直後に大デマを吹聴して回り、子どもを始めとした福島の人々を放射能の渦中に閉じ込めた山下俊一が座長だった。この被曝強制の最高犯罪者の山下は、フクシマの怒りの爆発で打倒され、長崎大に逃げ帰った。
 だが、新体制となっても極悪の御用学者ががん首を揃えていることに変わりない。「放射線の影響は極めて少ない」という結論を最初から前提にして、それに沿って都合のいいように情報操作を行うという本末転倒の体質はそっくり踏襲されている。
 新たな委員会再編で登場した人物は例外なく札付きの御用学者たちであり、反原発運動の最も悪質な敵である。
 「子どもに甲状腺がんが増えることはほとんど考えられない」(稲葉俊哉)、「放射能によって福島県民、日本国民の健康リスクはない」(高村昇)と言い放った広島・長崎の大学教授の肩書きをもつ輩が、福島の子どもの甲状腺がんが多発し始めたなかで検討委の委員に就任し、「放射能の影響はない」の大デマ宣伝を展開しようとしている。ヒロシマ・ナガサキの「黒い雨」をめぐり内部被曝を徹底して無視し、帝国主義の核犯罪の証拠隠滅を図ってきたと同じことを繰り返そうというのか。この策動を絶対に許さない!
 3・11直後の避難について「政府の避難指示は妥当だった」と擁護した弘前大教授の床次眞司も新委員に加わった。弘前大は日帝の核武装国家化の要・六ヶ所核燃サイクル(日本原燃)の存続を前提に、核事故を想定して放医研との間で緊急被ばく医療協力協定を締結している。
 さらに、反原発闘争・学生運動に対し日帝権力と一体となって許しがたい妨害・破壊策動に手を染めてきた福島大教授の清水修二が、この検討委に参画した。これが正体だ。
 フクシマの怒りと強く結びつき、検討委員会を解体し、広島大・長崎大・福島大・弘前大を始め全御用学者を大学から追放しよう。
 福島の地域のすべての人々、日本・全世界の人々とつながり、放射能から命と健康を守る闘いを、団結の無限の力で前進させていこう。12年12月に開院した「ふくしま共同診療所」は、命と心のよりどころである。福島診療所建設委員会は「第2期の大きい病院をめざそう」と訴えている。NAZENを拡大し、これに応える運動を担おう。さらに保養・避難運動にも取り組み、反原発闘争をもっと豊かに発展させよう。

 〔検討委員会新規主要メンバー〕


稲葉俊哉(広島大原爆放射線医科学研究所長・教授)

高村昇(長崎大原爆後障害医療研究所・教授)

床次眞司(弘前大被ばく医療総合研究所・教授)

清水修二(福島大人文社会学群経済経営学類・教授)

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月刊『国際労働運動』(444号2-4)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 4 破産した核燃サイクルに固執し核武装狙う

 原発・プルサーマル再開 核燃継続へ絶望的に突進

 自民党・安倍政権は発足直後から、原発輸出と原発・核燃サイクルの継続、「原発ゼロ」見直しを宣言した。成長戦略に「原発活用」を明記し「世界で最も安全な日本の原子力技術」と大うそをつきながら、ベトナム・中東・東欧・インドなどへの原発セールスへ乗りだしている。
 また、原子力規制委員会の新基準の7月施行に合わせ、大飯原発に続いて、泊、柏崎・刈羽、高浜、伊方、玄海、川内の原発の早期再稼働を狙っている。しかも、当面は英仏の、将来は六ケ所の再処理工場で取り出したプルトニウム・ウラン混合燃料(MOX燃料)を使うプルサーマル計画を再開しようというのだ。
 人体に最も有害なプルトニウムを原発で燃やす同計画の実施ほど無謀なものはない。昨年10月に建設再開が強行されたフルMOX(全炉心にMOX燃料を使う)の大間原発は特に危険だ。原発は原爆の材料となるプルトニウムを生み出す。日帝は「余剰プルトニウムの原発・高速増殖炉での消費」というプルサーマル計画を掲げて核武装国家化の野望をごまかそうとしてきたが、3・11福島原発事故で大破綻した。プルサーマル再開を原発の再稼動・核燃サイクル継続と一体で策動していることこそ、プルトニウム大量生産体制確保のかつてない危機に追い込まれた日帝の絶望的悲鳴にほかならない。
 3・11の原発事故で突然古里から追い出され、いまだ戻りたくても戻れない16万もの人々。避難時とその後の避難生活の中で亡くなり、また仕事を奪われ自ら命を断った千人以上の人々、そして被害の拡大を防ぐため殺人的被曝労働に日夜従事している多くの現場労働者、放射能の被曝で死亡し闇から闇に葬られている労働者・住民は数知れない。この犯罪の元凶は安倍が属する自民党だ。極限的な棄民政策と結びついた原発再稼働・原発輸出の攻撃は、新自由主義の極致そのものである。

 核の廃絶と相いれない「安全保障」粉砕しよう

 前民主党政権時の12年6月20日に成立した原子力規制委員会設置法には付則がある。その中で原子力基本法に「安全保障に資することを目的」という文言が追加されていた。これは自民党の強力な要求でねじ込まれたという。同じ日に成立した宇宙航空研究開発機構法では、「平和目的に限る」という規定が削除された。そして08年の宇宙基本法には「安全保障に資する」が条文に入れられている。
 安倍政権はNPT再検討会議に向けた準備委員会において、核兵器の不使用と廃絶を訴える「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に対し、「日本の安全保障政策と相いれない」として、なんとその賛同を拒否した。ヒロシマ・ナガサキの反戦反核の闘いに全面敵対し、核武装と核戦争をもたらすだけの「日本の安全保障」など、粉砕あるのみだ!
 日米帝国主義間の同盟と争闘の矛盾が激化する中で、安倍は米帝の核を軸とした日米同盟を強化しつつ、改憲・戦争国家化の攻撃を加速させている。それは独自の核武装国家化の攻撃と一体だ。
 宇宙の軍事利用とは、先制攻撃を柱とし、情報収集衛星とセットになった核ミサイル開発を意味する。日帝は、三菱重工を主メーカーとしてミサイル打ち上げ・誘導・弾頭回収技術の獲得に躍起となっている。
 そして、この運搬技術開発とともに核弾頭となる核爆弾開発(核燃料サイクル計画)も推し進めてきた。だが、それは破綻につぐ破綻の連続であり、今や完全にデッドロックにぶつかっている。上図に示す原発・再処理工場・高速増殖炉という核燃サイクルの核心的環が、すべてボロボロの惨めな姿をさらけ出している。何よりも3・11福島第一原発事故で、「原発=安全」神話が崩壊し、絶えることのない膨大な反原発の声に包囲され、日帝の原発・核燃政策はかつてない危機にたたき込まれている。これらの環を一つでも断ち切れば、核武装を阻むことができる。原発廃絶の闘いは、これ以上の放射能被曝を許さない闘いであると同時に、日帝の核武装を許さない闘いそのものなのだ。原発・核燃サイクルの労働者こそ核廃絶の鍵を握っている。
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 自民党・安倍政権の核関連動向


12年12月26日 安倍政権発足
13 年1月16日 ベトナムへの原発輸出継続確認
        以後、各国へ「トップセールス」
  1月25日  「原発ゼロ」見直しを表明
        宇宙基本法と安保の連携指示
  1月27日 情報収集衛星を打ち上げ
  1月30日 衆院本会議で改憲を表明
  2月8日 安保法制懇で集団的自衛権行使等の検討を諮問
 3月1日 武器輸出、大幅に緩和
  3月31日 今秋国会での「秘密保全法」提出を発表
  4月24日 NPT準備委で「核兵器の非人道性声明」の賛同を拒否
  5月13日 衆院予算委で核燃の継続を明言
  5月15日 参院予算委で原発早期再稼働表明
   5月29日 日印間で原子力協定の協議再開
   6月7日 日仏間で原発・核燃サイクル推進強化に合意
       「 国家安全保障会議」 関連法案を閣議決定
   6月14日 「 原発の活用」を盛り込んだ成長戦略を閣議決定

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月刊『国際労働運動』(444号2-5)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 5 原発輸出=大事故輸出の大罪に踏みこむ安倍

 安倍政権と電力資本・資本家階級が原発再稼働と一体で総力を挙げて推進しようとしているのが原発の輸出だ。6月14日に閣議決定した「成長戦略」では原発の活用・再稼働を明記し、原発を含むインフラ輸出を2020年に約30兆円とする目標を掲げた。
 原発の輸出とは3・11福島第一原発大事故の輸出であり、被曝労働の輸出だ。アジアを始め世界中の労働者人民に対する虐殺攻撃であり、断じて許すことはできない。
 安倍は「リーダーシップを発揮しながら」原発輸出を進めると、各国を歴訪し「トップセールス」に血眼となっている。茂木経済産業相の動きも併せ、1月16日ベトナム、2月9日サウジアラビア、5月2日アラブ首長国連邦(UAE)、5月2日ブラジルと激しい展開だ。
 安倍は、続いて5月3日にはトルコとの間で、原発輸出に向けて原子力協定を結ぶことを確認。5月29日にはインドのシン首相と会談して、原子力協定の協議を再開し、早期妥結のために交渉を加速させるなどの共同声明に署名した。インドは核兵器保有国だ。インドへの原発輸出はインドの核武装を促進するとともに、日帝自身の核武装へのハードルを低くするものでもある。安倍はさらに6月16日にはポーランドなど東欧4カ国の首脳と会合し、日本が原子力技術で協力するなどの共同声明を発表した。

 経済的にも軍事的にも日帝の死活的な国策に

 日帝にとって原発輸出は経済的にも軍事的にも死活的な位置を持つものとなっている。それはまず、原発が日帝にとって輸出促進の基軸産業となっていることだ。大恐慌の進展と争闘戦の激化の中で日帝は敗退を重ね、没落の一途をたどっている。かつて国際競争力を誇っていた電機・IT関連で日帝は敗北を重ね、自動車も危うくなっている。日帝が優位性を発揮できる≠ニいう数少ない産業が鉄道とならぶ原発の輸出だ。
 原発は1基の建設が約50
00億円という超巨大事業だ。さらに送電線網などの関連設備の建設、原発の運転・点検・修理なども受注すれば1基あたりの事業規模は計り知れない。経産省は2030年までに世界で原発が最大370基新設されると試算している。資本がもうけるためにどんどん造れということだ。
 日帝は破滅の淵からの脱出をかけ原発輸出に突き進む魂胆だ。それは安倍政権が成長戦略において、労働者階級に対する階級戦争として、民営化・外注化、非正規職化を全社会的に推進しようとしているのと一体だ。
 日帝にとって原発輸出が死活的であるもう一つの理由は、米帝の新軍事戦略のもとでの対中国戦略の一環を日帝が担うということだ。その意味でベトナム・インド・トルコへの輸出は重大だ。米帝は、TPP(環太平洋経済連携協定)と新軍事戦略を一体的に展開し、日本を含むアジア市場を奪おうと狙っている。だが、3・11大震災と福島原発事故により帝国主義から脱落状況にある日帝は、このTPP・日米安保強化に踏み込むことで延命を図る以外の選択はありない。
 日帝にとって原発輸出の死活性は明白だ。だがそれがスムーズに進むということではない。逆に原発輸出は破綻的であり、日帝の破滅に直結している。何よりも日本の労働者人民の「原発廃炉! 再稼働も輸出もやめろ!」の10
0万人規模での闘いの爆発、同時にアジアなど輸出先の人民の「日本政府は輸出をやめろ!」の声と闘いの巨大なうねり、この両方が日帝の危機を促進する。
 さらに原発輸出の度を超えた展開は日米関係の緊張を激化させるものとなる。この点で6月7日の安倍のフランス・オランド大統領との首脳会談は大きな意味を持つ。両者はこの会談で原発輸出で連携を強化していくことを確認すると同時に高速増殖炉の共同開発で合意した。日帝の狙いは核兵器用プルトニウムの製造に道をつけることにある。だがそれは米帝とのあつれきをより激しくさせ、ここからも日帝の危機は、深刻の度を増すものとなる。

 輸出先ベトナム・トルコなどの反対運動と連帯し

 日本がベトナムに建設しようとしているのは同国の南東部に位置し、南中国海に面するニントゥアン第二原発だ。福島原発事故をテレビで知った村民からは建設反対の声が上がっている。また著名な古典音楽史研究家のグエン・スアン・ジエンさんは「壊滅的な事故で日本は原発をすべて停止させたのに、それを輸出するのは無責任で不道徳」とブログで署名を募り、抗議文書を日本大使館に送った。
 トルコの原発建設予定地は首都アンカラから北に約300`メートル、黒海沿岸の港町シノップだ。2009年には原発反対を訴える市長が過半数の票を得て誕生した。さらにトルコでは、新自由主義政策を進める資本家の政府に対し労働者がストライキとデモで闘いに立ち上がっている。
 ベトナムやトルコを始めとしたアジア・世界の労働者・農民・漁民・人民と連帯し原発輸出を絶対に阻止しよう。国際連帯と階級的労働運動の前進こそ勝利の道だ。

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月刊『国際労働運動』(444号2-6)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 6 「命より金」の新自由主義のあがき許すな

 「1%」の資本家階級が生き延びるのが一切に

 「私は『新自由主義とは命より金もうけ主義』『合理化とは働く者を人としてではなく駒として動かすことだ』と伝えていこうと思います」。これは、今春の反原発学習会に参加した青年労働者の感想である。まさにその通り。反原発は「命より金もうけ」の新自由主義を打ち破り、労働者人民がまっとうに生きられる社会を希求する闘いだ。
 第T部で見てきた具体的事実の数々。本当に信じられないようなことが行われている。福島第一原発の事故自体、今も続くその危機的状況、ペテン的な「除染」と汚染地への帰還の強制、「健康管理調査」と称した内部被曝の隠蔽、そして何よりも大飯原発に続く一斉再稼働と原発輸出の画策。これらすべてに共通するのは、労働者人民の命などどうなってもかまわないということだ。そこにあるのは、「1%」の資本家階級とその体制を守ること、それがすべてだ。
 3・11以降、巨万の人民が気付いたことは、原発に限らず現体制がうそで支配していることだった。しかし、12年春〜夏の大飯原発の再稼働は、政府のうそ≠ニいうレベルを超えていた。人間だったら絶対にやってはならないことを、平然とやるこの社会はなんなんだ? この抑えられない怒りの中で、巨万人民が「命より金の社会」であると感じとった。再稼働反対闘争を通して、言葉に出すかどうかは別にして、反原発は新自由主義との闘いであるとつかみとってきたのだ。
 私たちが立ち向かっているのは、単なる資本主義一般、帝国主義一般ではない。現に戦後日本でも、資本主義・帝国主義でありながら一定の「労働者の保護」や「社会福祉」が国策とされた時期もあった。ペテン的にではあれ、命を大切にする≠ニの仮象すらとった。もちろん、そういう国策自体、労働者人民の大反乱を恐れた予防策だった。
 しかし、70年代半ばにはそうした従来の支配政策が破産し、資本主義体制を維持できなくなった。経済成長の頭打ち、戦後世界の基軸だったアメリカの没落、アメリカのベトナム敗戦により、戦後の帝国主義はそこでいったん終わった。そこからなんとかはいあがろうと、従来とは真逆に、労働者の権利を全面破壊し、民営化し社会保障も解体する政策に大転換した。それが新自由主義だ。労働者に対しては暴力的な攻撃として襲いかかってくる。しかしその本質は、従来のあり方の大破産、そこからの延命策である。何か成算的なプランがあるわけではない。新自由主義は〈最末期帝国主義の絶望的延命形態〉なのだ。

 破産した新自由主義と対決して勝利する展望

 福島第一原発事故は、この新自由主義の自爆的事故として起きた。事故後も、「命より金」の新自由主義が、フクシマ圧殺や被曝強制などあらゆる形で労働者人民に襲いかかりつづけている。しかしこの新自由主義を打ち破ることはまったく可能だ。
 何よりも、新自由主義の本格的開始であった80年代国鉄分割・民営化と労働組合の解体攻撃に対し、これが今も闘いつづけられてきており、ついに勝利の展望を開きつつある。新自由主義の核心は、労働者に対する階級戦争、労働組合の解体、それによる資本による搾取・収奪の自由な展開にある。原発事故の原因も、国鉄分割・民営化と総評解散・連合結成を経て労働者の抵抗力が弱まったことにある(略年表参照)。実際、国鉄分割・民営化の後の80年代末〜90年代初めに原発事故が続発するようになった。89年1月に福島第二原発3号機の事故を皮切りに、90年には福島第一3号機、91年には美浜2号機、浜岡2号機と事故が続出した。結局それが福島第一原発事故にまで行き着いた。だからこそ反原発闘争の展望も、国鉄闘争を闘い、労働組合をよみがえらせることと一体である。
 しかも、新自由主義は今や、福島原発事故としてだけでなく大恐慌という形でも大破産している。「命より金」のむき出しのあり方は、安全を破壊し社会を崩壊させて原発事故に行き着いた。同時に、資本の自由な活動はバブルを巨大に膨らませ、ついには07年夏からの世界大恐慌を引き起こした。新自由主義は大破産したのだ。ところが、それに代わる延命策はない。破綻した新自由主義になおもすがりつき、破産に破産を積み重ね、破滅的コースに陥るしかない。その最たるものが原発再稼働だ。労働者人民が立ち向かえば、新自由主義のあがきを許さず、必ず再稼働を阻止し全原発を廃炉にできる。
 全原発廃炉は、こうした明るい希望、確固とした展望を持った運動によってこそ可能となる。NAZENをそういう運動として、全人民の英知を結集して発展させよう。

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月刊『国際労働運動』(444号3-1)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 U 労働組合をよみがえらせ新自由主義をうち破ろう

 1 被曝労働を拒否してストで闘う動労水戸

 動労水戸(国鉄水戸動力車労働組合)は、茨城県水戸市を拠点に、JR東日本の常磐線、水郡線、水戸線で乗務する運転士と車両の検査・修繕(検修)業務に携わる労働者で組織する労組だ。福島県いわき市に住む組合員も多く、12年1月に平支部事務所を開設し、文字通り被災地の労働組合として、先陣を切って闘っている。

 放射能汚染車両の検修業務を阻止

 特筆すべきは、放射能に汚染された車両の検修業務の強制に対し、被曝労働拒否のストライキを何波にもわたって闘い抜き、その車両の運用を阻止していることである。
 常磐線は、地震と津波、原発事故によって福島第一原発から概ね30`以内と宮城県沿岸部が不通となった。ところが、11年10月、当時の野田政権による緊急時避難準備区域の指定解除を受け、JR東日本は10月10日から常磐線久ノ浜駅(福島県いわき市)〜広野駅(同県広野町)間の営業運転を再開した。広野駅は福島第一原発から20`余り。9日には、広野駅構内に放置されて放射能に汚染された電車(K544編成)の勝田車両センターへの回送を強行、そしてK544の交番検査を13日に行い、営業運転に使用する方針を打ち出した。
 検修業務の大半を担うのは平成採の若い労働者だ。「仲間を守れるのは俺たちしかいない」。動労水戸は猛然と決起し、8日には勝田車両センター所属の11人が第1波ストを決行。9日にはK544の回送強行に対する抗議闘争に立った。この中でJRは、K544の清掃作業と交番検査の中止を表明せざるをえなくなった。動労水戸はさらに13日、きちんとした除染を求めて第2波ストに決起した。

 女性車掌の被曝労働に抗議してストに決起

 動労水戸は続いて12年3月23日の春闘ストで、青年労働者への被曝強制に抗議した。2月に、いわき運輸区の女性車掌Aさんが、広野駅までを往復する1回の乗務で積算15マイクロシーベルトもの被曝をしたことが明らかになった。Aさんは運輸区区長に、「将来、子どもを産むのにすごく不安です」と訴えた。しかし区長は「わがままは通らない」と一蹴した。Aさんは、他労組の組合員だが、動労水戸は全労働者の被曝労働を許さないために決起したのだ。

 ラジエーター除染作業に反対しスト

 さらに、水郡線・常陸大子運輸科で気動車のラジエーター除染作業の強制に反対し、7月30日から8月23日まで7波のストに決起した。線量の高い郡山まで走行する気動車のラジエーターには放射能を含むチリが付着している。これを圧縮空気で吹き飛ばすという暴挙に対して、第1波は大子支部の全員がストに決起して作業を阻止。第2波以降は、作業を指定された組合員がスト通告し、指名ストに入るという大変な闘いだった。

 K544の運用を阻止する決戦へ

 動労水戸は今年3月25日、勝田車両センターで時限ストに立った。JR水戸支社は3月14日、動労水戸が春闘ストに突入したその日に突然、K544の運行に向けた作業開始を通告してきた。25日夜、動労水戸は水戸支社に対し「K544の運用にかかわる作業指示が組合員に出された場合、車両センターの全組合員がストに入る」と通告。翌26日、水戸支社は、動労水戸組合員にK544を移動するための誘導作業を指示してきた。昼休み、職場集会が開かれ直ちにJRの全組合員の抗議スト突入を決定した。この急なストに対しても青年たちがK544への乗務を拒否し、誘導業務のスト破りを命じられた青年が業務命令を無視して誘導に行かなかった。会社は結局、K544の運用を強行することができず、再び使用停止にして元の場所、勝田車両センターの隅に戻さざるを得なかったのだ。
 だが、JRは7月中旬にもK544の交番検査を強行する構えだ。国交省とJRは常磐線の広野駅〜竜田駅の運転再開を狙っており、そこに運用しようとしている。7〜8月、再び決戦を迎えている。

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月刊『国際労働運動』(444号3-2)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 2 動労水戸はなぜ闘えているのか――闘いの歴史

 動労水戸はなぜ、このように被曝労働拒否の闘いを貫けるのか。それは、指導部が現場組合員を徹底的に信頼し、資本による合理化攻撃や組合員を差別し団結を破壊する不当労働行為と非妥協で対決する階級的労働運動を、不断に推進してきたからだ。

 外注化阻止と一体で

 前項で見た被曝労働拒否のストは、同時に検修業務の外注化阻止闘争と一体で闘い抜かれた。12年10月1日の検修業務外注化攻撃では、動労水戸組合員10人に対して水戸鉄道サービス(MTS)への強制出向が強行された。これを前にして、動労水戸は8〜9月、4波のストを闘い抜いた。特に、9月14日のストでは、2人のスト代務をめぐり、勝田車両センターの東労組の青年労働者を中心にスト破りを拒否し、勇気ある非協力闘争でストに連帯するという感動的な闘いとなった。この闘いにより出向の事前通知を出せない状況をつくりだした。
 外注化強行後も、11月30日にJR本体の仲間とMTS出向者の分断を許さず、ともにストを打ち抜いた。現場は矛盾だらけで、偽装請負であることは明らかだ。
 13年春闘でも、外注化粉砕を掲げて動労水戸は3月6日、12日、14日の3波のストに決起した。第3波は、全勤務者の一斉ストライキだ。
 石井真一委員長は「3月16日のダイヤ改定をめぐってMTSは『労働条件の変更は組合には提案しない』と開き直っている。違法企業への強制出向を許さず裁判闘争と一体で職場闘争を闘い抜こう」と訴えた。辻川慎一副委員長は「外注化とは非正規職化と解雇自由の攻撃であると同時に、労働者の生命と鉄道の安全に対する責任放棄だ。会社はスト破りのために『業務指示』を乱発しているが、会社の命令が不当なら労働組合として闘うのは当たり前だ」と訴えた。

 国鉄分割・民営化に反対し組合を結成

 ここで、動労水戸の闘いの歴史を振り返ってみる。
 動労水戸が結成されたのは、1987年4月1日の国鉄分割・民営化を目前に控えた86年11月19日だった。「3人に1人は首切り」と言われる中で分割・民営化に真っ向から反対して新組合を結成することは無謀≠セとも言われた。しかし、動労本部カクマルが国家権力の手先となって首切りを推進することは断じて許されないことだった。
 初代委員長の辻川さん(現・副委員長)を先頭に、70年代末から動労青年部の権力をめぐりカクマルとの激しい組織戦を繰り広げた。それは、79年に動労本部からの分離・独立を果たした動労千葉とともに動労を大改革していく闘いだった。動労水戸支部青年部を握った辻川さんたちは、さらに大子、勝田の権力も奪取し、国鉄で最後の82年採用者(五七予科生=運転士資格を持つ)の争奪戦にも勝利した。
 82年7月に第二臨調が国鉄分割・民営化方針を打ち出し、国鉄が「出向・派遣、一時帰休、若年退職」の「首切り三本柱」を提案すると、動労カクマルは全面協力を表明。辻川さんたちは、85年の動労全国青年部大会で、動労本部委員長のカクマル・松崎明と真っ向から対峙して闘い抜いた。86年全国大会では、動労と同じく分割・民営化に協力する鉄労の志摩組合長を野次ったことを口実に辻川さんたちは、組合員権停止の処分を受ける。
 さらに、多くの青年部員が本務を外され、人材活用センターに配属された。彼らは意気軒高と闘っていたが、国労組合員は、本部の無方針の中で相次いで自殺していった。水戸でも人材活用センターに配属されていた水戸機関区の国労青年部員が自殺するという衝撃的な事態が起きた。彼の追悼集会を国労水戸機関区分会青年部と動労水戸支部青年部の共催で行ったことなどを理由に、動労水戸地本は、青年部員に対する2度目の大量の統制処分を強行した。動労カクマルとは、もはや同じ組合でいることはできない。こうして新組合・動労水戸の結成に踏み切るのだ。全員が20代の青年労働者だった。それは悲壮感などなく、実に清々しい決断だった。

 JR体制下での闘い

 国鉄分割・民営化―JR発足に伴い、動労水戸からも希望退職は出たが、新会社を希望した組合員は全員がJRに採用された。だが、国鉄当局は、役員を始め、動労水戸組合員を売店に配属したり、運転士でも遠距離配転を強行し、組織の弱体化を狙った。JR発足後も、そば屋やベンディングセンター(缶入り飲料の自販機を扱う)などに飛ばした。また、先に触れた五七予科生を運転士に登用しない組合差別を続けた。
 困難な中でも団結を維持した動労水戸は、08年12月に運転士登用差別事件の裁判で最高裁勝利判決をかちとった。組合員は、09年4月に全員が運転職場(運転士および検修)に戻ることができた。しかし、その後も続く不当労働行為を弾劾し、今、最高裁判決の完全履行、昇進差別による損害の賠償をJR東日本に求めて裁判を闘っている。

 青年労働者の加入

 こうして外注化阻止闘争と被曝労働拒否闘争を闘う中で11年10月14日、勝田車両センターで、照沼靖功君(24)がJR東労組と決別し、動労水戸に加入した。さらに、12年8月28日、水郡線営業所運輸科の運転士で東労組大子支部青年部長を務めていた羽部圭介君(29)が加入した。「われわれこそが動力車労働組合であり主流派組合です。すべての青年と労働者の動労水戸への結集をかちとるまで闘う決意です」(辻川副委員長)。「奇跡」に向けた挑戦が続く。

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月刊『国際労働運動』(444号3-3)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 3 動労水戸に加入した青年労働者に聞く

 労働者が主役の社会を共につくろう


勝田車両センター・照沼靖功君
水郡線営業所運転士・羽部圭介君

 東労組と決別し加入

――どういう経過で動労水戸に加入したのですか。
 照沼 僕がJRに入社したのは平成18年(06年)です。同期の新入社員が集められて、酒や食べ物がたくさん用意されている前で、東労組はこういう組合だ≠ニか説明を受けました。白河の学園講師に相談したら「東労組なら大丈夫だ」ということで、加入書にサインしました。
 でも、郡山工場に研修に行った時、国労の人は仕事ができるのに車両職で、仕事のできない東労組の人が主任だなんておかしいなと思いました。
 勝田車両センターに来てから、同じ班に動労水戸の方々がいて、仕事を教わりながら、組合のことなども話すようになり、11月労働者集会に誘われて行って、その時に辻川さんを紹介されたんです。辻川さんと学習会をするようになりました。最初は『甦る労働組合』(故・中野洋動労千葉前委員長著)です。闘う労働組合についての考え方が分かりましたね。
 それで、検修・構内外注化の問題が出た時に、東労組の支部や地本に、反対するべきだと突きつけましたが、まったく変わりませんでした。職場で、分会から変えていくしかないと思っていました。
 そういう時に、地震と原発事故が起きて、K544移送の問題が出てきました。動労水戸がストライキをやるのに、東労組は何もやらない。被曝労働をやめさせられるのは動労水戸しかない。辻川さんに「動労水戸に入らなくてもいいから、抗議行動に参加しないか」と誘われて、参加しました。
 動労水戸には入るな≠ニいう、翌日から1週間にわたる説得を乗り越えて加入しました。地震がなかったら、こんなに早く入らなかったですね。
 羽部 僕も東労組にいて、駅から車掌、そして運転士になって、大子支部の青年部長をやっていました。他にやる人がいなかったということですけど。その頃、東労組はさかんに「一企業一組合」と言っていました。職場には動労水戸も国労も鉄産労もいるのに、なんでこんなことを言うのか疑問でした。
 それで運転士が駅に異動させられる「ライフサイクル」が出てきて、これはおかしいと思いました。周りの仲間も反対でしたが、東労組は「反対ばかり言っても仕方がない」と言って妥結しました。
 検修・構内の外注化の問題もそうです。東労組は当初は「若年出向反対」「安全と技術継承を守れない外注化反対」と言っていたので「今回は東労組も闘うのか」と期待していました。東労組本部青年部主催の会議に出て、その時も、高崎とか千葉の京葉とかから反対意見が出ましたが、本部の態度はあいまいでした。そうこうするうちに、本社・本部間で妥結してしまいました。組合の中では「青年部長なんだから(外注化を進めることについて)みんなに説明しろ」と言われましたが、納得できませんでした。
 動労水戸は、外注化にストライキで闘っているし、大子支部はラジエーターの除染の問題でもストライキをやっている。東労組も「安全な作業が確認されるまで被曝労働はやらない」と言っていた。逆に言うと安全な作業が確認されたらやる≠ニいうことです。結局、東労組は反対できなくなった。そういうのを見て、動労水戸に加入しました。

 仲間を大切にする組合

――動労水戸に入ってからはどうですか。
 照沼 飲み会と動員が増えましたね(笑)。
 羽部 僕も飲み会は増えました。東労組の時より動員は減りましたが。大子支部は乗務員が4人、検修が4人ですが職場はバラバラです。その8人全員が1カ月に一度は飲み会をやって、意思統一もする。そうやって団結を固めているんですね。「嫌なことは嫌」と言える組合です。
 被曝労働の問題では、「内部被曝」問題のパンフレットを周りに配って、訴えています。
 照沼 言いたいことを言えて、仲間を大切にする組合ですよね。
 それと東労組の時は、JRの中だけの関係しかなかったのが、動労水戸に来てから、いろんな職種の労働者と交流ができるようになりましたね。首都圏青年労働者集会に参加したり、動労千葉の労働学校には動労水戸に入る前から行っていました。職種は違っても同じ労働者だということで団結することができます。
 僕は今、勝田の技術管理室というところにいるんですが、19人のうち僕以外は全員東労組です。そういう中で大変な面もあるけど、広島に一緒に行ったことのある仲間もいるし、頑張っていきたい。

 正規・非正規の団結を

――全国の青年労働者に訴えたいことを聞かせてください。特に、青年は非正規労働者が多いですが。
 照沼 同じ職場で同じ仕事をしているのに正規・非正規で給料も違う。その典型がJR東日本のグリーンスタッフ(駅業務の契約社員)です。正規の人は非正規の人を見下してはいけないと思うんです。分断を許さず、同じ労働者として団結し、非正規職をなくさなければならない。反原発でも正規・非正規が団結することが必要ですよね。「労働者が主役の社会を共につくろう」と訴えたいです。
 羽部 「迷った時は基本に返る」ということで、僕の信念である「労働者を守るのが労働組合」ということを貫いていきたいと思います。
 照沼 会社も東労組も、とにかく平成採を動労水戸に入れないということで必死です。でも、必ず組織拡大して動労水戸にも青年部をつくりたいと思います。
  (聞き手・構成/編集部)

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月刊『国際労働運動』(444号3-4)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 4 国労郡山工場支部・橋本光一さんに聞く

 労働組合の力で世の中をひっくり返そう

 倉庫業務外注化を阻止

 JR東日本郡山総合車両センターで車両のメンテナンスをしています。元は郡山工場と言いまして、俺は国労郡山工場支部の書記長です。
 国労本部が外注化を妥結する中で、郡工支部は外注化に絶対反対で闘って、倉庫業務外注化の6月実施の提案は実施できませんでした。国労の2人の出向を止めたわけです。
 去年10月のコンプレッサーの外注化では、東労組が強制出向に出されました。だから、出向容認で強制出向をやられている東労組に対して、外注化絶対反対で出向を止めた国労という、東労組としてはあってはならない事態になった。ただ、出向に出された東労組の2人をJRに戻す。会社も国労は出向に行かなかった。東労組は出向に行かされたままではまずい≠ニ考えたと思うんですね。

 支部の書記長として

 俺が書記長になったのが2003年です。当時の書記長が東労組に行ってしまい、その後釜に俺が上がったんです。1047名問題で「JRに責任なし」を認める4党合意を国労が受諾しましたが、俺は、社民党左派や新社会党の人たちと4党合意反対で共闘関係をつくっていました。そのうちに4・9政治和解の話が出て、国労全国大会の代議員選挙に、俺が立候補する。今までは他の人と共闘して、当選したりしていたんです。だけど、政治和解絶対反対をはっきりさせたら「一緒にやってきた人らを裏切るのか」と言う。どっちが裏切るのかという話だけど、当然、共産党とも仲が悪い。組合事務所に行っても、しゃべる気もしない。
 書記長がコミュニケーションをとれなくなると、組合運動は完全に停滞するわけですね。組合員も「今の支部はどうなっているんだ」と心配していました。

 3・11大震災に直面

 そういう時に地震が起きた。職場もグチャグチャになって、原発でいつまた爆発があるか、とにかくパニックです。俺は組合事務所に行って、みんなに「大丈夫ですか」と電話しました。農家の人も多くて食い物はある。「野菜あるから取りに来い」とかね。
 その上で、仙台がひどいので、仙台の組合員に物資を送ろうと執行委員会で決めました。さて、誰が持っていくのか。ガソリンはないし、高速道路は止まっている。そしたら、共産党の役員が「俺が行く」と言うんです。組合員が日用品とかを持ってくる。あとは新潟経由で労組交流センターの物資が来ました。欲しい人には全部配って、残った物を仙台に持っていきました。お互いに心配し合っていると、団結が生まれるんです。

 3・11一周年の郡山集会

 原発事故から1年も経っていない12月頃、「収束宣言」が出る。「これはまずいよね」という話になる。社民党も共産党も、反原発の意識はありますから。共産党は前は反原発じゃなかったですけどね。
 そんな時に、福島県教組が呼びかけて、郡山で2万人集会をやろうという話が持ち上がる。俺らも、執行委員会で初めて10割動員という方針を決めるんです。実行委員会に入ることも決めました。しかし、「集まっても千人、2千人ぐらいなもんだべ」とみんな思っていた。そしたら、「雰囲気が違うぞ」。駅前からぞろぞろと来る。スタンドから見渡せば、「すごい、この人は」と。さんざん文句を言っていた人たちが「いい集会だったな」となる。「自分らが1万6千人を集めたんだ」みたいになる。だから、すごく意識が変わりました。

 二周年の3・11に賛同

 今年の3月の集会は、全国動員はかけない。しかも23日にやる。みんなそれに疑問を持つわけ。
 そういう中で、俺が「3・11集会の組織賛同をお願いします」と提起します。「中核派と言われている人も呼びかけ人にはいますが、中核派の集会ではありません。だけど、そういう人も来る。動労千葉も来ますよ」と。「みなさん、11日にやりたいと思いますよね」と言うと、「それはそうだ」と。だけど、賛同になるということは動員をかけなければならない。というんで反対する役員が出て、「多数決を取れ」と言う。そうすれば3対2で決まる。だけど、俺は「執行部が団結してきたわけだし、それを壊してまで、振り回すようなことをするつもりはない」と言ったんです。「そこまで言うんだったら信用すっぺ」となった。それで団体賛同が決まりました。

 労働組合が先頭に立って

 反原発は市民運動で、労働組合は経済闘争だと分ける考え方があります。だけど、労働者の日々の働かせられ方、強制配転とか、非正規ならピンはねや首切りとか、それと原発では日々高い放射線環境下で働かせられる、それは労働者を人間として扱わないという点で同じです。だから、資本家が大手を振っている世の中を変えるしかない。賃上げ闘争で、千円、2千円上がったと言いますけど、資本家っていくらもらっているの? 俺らの何十倍、何百倍でしょう。やっぱりそういう人らを許さない。世の中をひっくり返すしかない。だから、労働運動の中に反原発運動をちゃんと位置づけてやるべきだと思います。
 だけど、労働組合は抽象的なことでは運動にならない。例えば外注化反対でも、「あの人を絶対に出向に行かせない」と、具体的なことにしないとダメです。反原発運動でも、車両の下にもぐった時と外にいるのと、どれだけ放射線の浴び方が違うのか、会社をしつこく追及していきたい。それが大きな運動につながると思うんです。
 (聞き手・構成/編集部)

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月刊『国際労働運動』(444号3-5)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 5 反合・運転保安闘争路線で闘う動労千葉

 外注化・非正規職化、被曝労働強制と闘う労働組合をよみがえらせるためには、その闘いの路線が重要だ。「反合理化・運転保安闘争」路線で闘っているのが、動労千葉(国鉄千葉動力車労働組合)だ。

 船橋事故闘争で反合・運転保安闘争路線確立

 動労千葉は、故・中野洋前委員長を先頭にして、1960年代から動労千葉地本を闘う労働組合につくりかえるために奮闘し、79年3月30日に、動労本部から分離・独立して結成された。動労本部が、カクマル支配のもとで変質し、78年動労津山大会で、三里塚闘争(成田空港反対闘争)と一線を画すことを決議したことなどに反対し、千葉地本がほぼ丸ごと動労千葉に移行したのだ。
 それに先立つ72年に始まる船橋事故闘争を契機に、反合・運転保安闘争路線が確立される。それまでは「事故は課題にはならない」というのが労働運動の常識だった。しかし動労千葉は、船橋駅での列車追突事故について、事故原因は合理化の中にあり、すべての責任は合理化を進めた当局にあることを明らかにし、事故問題を反合理化闘争として闘い抜いたのだ。この闘いは現場労働者のものすごい決起を引き出した。鉄道で働く労働者は日々事故に直面し、誰もが「明日はわが身」と思い、事故責任が労働者に転嫁されることに怒りを感じ続けてきた。その怒りに火をつけたのだ。動労千葉は、この闘いをとおして事故当該の運転士を守り抜いた。

 戦後労働運動の常識を打ち破って団結固める

 動労千葉は、現場労働者への絶対的な信頼に立ち、直面している具体的課題も、その本質も、すべて現場と率直に討論する。組合員一人ひとりが団結し、闘うことを自ら選び、実践をとおして確信を深めていく。そうすることで動労千葉は不断に団結を組織し続けてきた。
 「闘えば分裂する」という既成労働運動のあしき常識は、こういった団結を組織し続けてこられなかったことに根拠がある。それは、合理化との対決で最も鋭く問われてきた。「科学は絶対」という資本のイデオロギーに労組幹部自身が負け、闘う前から「合理化実施は仕方がない」とあきらめ、合理化推進過程で労働組合としての日常的闘いをつくり出せなかった。
 しかし、日々現場で働き、自らの手で安全を守り抜いている労働者には、「合理的だ」「安全だ」とされる合理化施策や技術革新の中に危険や矛盾を感じ取る力がある。労働組合の役割は、この現場労働者の実感を資本の攻撃に対置することだ。これを、動労千葉は反合・運転保安闘争を生み出す中で具体的にやり抜いてきたのだ。

 外注化阻止へ新たな反合・運転保安闘争

 この反合・運転保安闘争路線は、国鉄分割・民営化に反対する85〜86年の2波の大ストライキや、JR発足以後の基地統廃合などの合理化攻撃と闘う力となり、動労千葉の団結を不断に打ち固めるものとなった。そして、2000年を前後して始まる検修・構内運転業務の外注化攻撃を13年間にわたって阻止し続け、その過程で平成採の青年労働者を始め、約20人の組織拡大を実現した。
 そして、昨年10月1日に、仕業検査、交番検査、構内運転業務が千葉鉄道サービス(CTS)という列車の清掃業務しかやっていない会社に外注化された。そして91人が強制出向に出され、うち44人が動労千葉組合員だ。動労千葉は、これに5日間に及ぶストライキで立ち向かった。
 外注化により、技術継承は絶たれ、安全は破壊される。例えば構内運転業務は、厳格な指揮命令による通告によって行われなければならない。しかし、JRは外注化が偽装請負にならないと言い張るために、通告を単なる「情報提供」と言い換えた。このため、運転法規は破壊され、運転保安を脅かされる。
 動労千葉は、JRとCTSに分断されながらも、団結を維持し、現場で起きるあらゆる矛盾を突いて闘いに立ち上がっている。その矛盾とは安全問題とともに、帰る場所のない強制出向から非正規職に突き落としていくという雇用問題だ。動労千葉は、この安全破壊と雇用破壊という二つの矛盾を追及する新たな時代の反合・運転保安闘争を創造して闘い抜いている。それは、外注化という合理化が強行された中で、あくまでも合理化絶対反対を貫く新たな闘いだ。

 国鉄分割・民営化を問い直す時が来た

 動労千葉のいまひとつの決戦は、国鉄分割・民営化で不採用となり、国鉄清算事業団からも解雇された1047名の解雇撤回闘争だ。10年4・9「政治和解」により、国労などの4者4団体は闘争を終結させた。だが、動労千葉は不屈の闘いを貫き、裁判闘争では、動労千葉などを不当に差別する目的で「停職6カ月、または停職2回以上」という不採用基準を葛西敬之国鉄職員局次長(現・JR東海会長)らが作成したことにより、動労千葉組合員が不採用になったという事実を認定させる、昨年6・29東京地裁一審判決をかちとった。だが、この判決を書いた東京地裁民事第11部の白石裁判長が更迭される「白石事件」が起きた。
 控訴審ではさらに、この不採用基準がJR設立委員会委員長の斎藤英四郎(経団連会長)の指示によるものであることを暴く新証拠を提出した。これは、国鉄とJRは別法人だ。国鉄が不当労働行為を行ったとしてもJRには責任は及ばない≠ニいう国鉄分割・民営化の虚構を暴くものだった。だが、東京高裁・難波裁判長は、5月8日に結審を強行し、9月25日を判決日とした。判決までの3カ月間を決戦として、動労千葉とともに闘い抜こう。
 動労千葉に学び、すべての職場で反合・運転保安(安全)闘争を実施し、労働組合をよみがえらせよう。

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月刊『国際労働運動』(444号3-6)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 6 「原子力の平和利用」論は合理化容認と一体

 日本共産党は核・原発を「技術的進歩」と絶賛

 別掲の日本共産党の『前衛』135号(1957年12月)の文章を読んで欲しい。「原子力の平的利用」に「双手をあげて賛成」と明言している。それと「同じように」として、「技術的進歩とそれによる設備更新」、つまり産業合理化にも賛成するとしている。同じ論文では「われわれは、今日のすばらしい技術的進歩の成果をよろこび、その前進を支持する」と絶賛している。
 なぜ、こんな古い文書を問題にするのか。1950年代半ばこそ、日本の核・原発政策が始まった時であり、同時に戦後日本で産業合理化が本格的に始まった時でもあるからだ。その一番重要な時期に、日本共産党が両方ともを容認したばかりか、率先して推進者となった。その歴史を振り返ることで、反原発闘争と労働運動の本来のあり方を取り戻さなければならない。
 略年表から分かるように、「原子力の平和利用」論は、もともと50年代半ば以降、アメリカ側から振りまかれた。アメリカは原発でも主導権を取ることを狙い、原発推進・輸出を「平和利用」と称した。日本でも、真の狙いが核武装にあることを隠し、「平和利用」の名で原発を推進した。しかも、ビキニ事件を機に原水爆禁止運動が高揚する真っただ中にである。「平和利用」論を積極推進した日本共産党のこの犯罪性は、歴史から消え去らない。
 また、55年から高度成長が始まり、本格的な合理化が強行されていったが、総評は早くも55年3月の幹事会で、条件を付けて生産性向上には必ずしも反対しないとした。55年10月の総評「当面する賃金闘争の行動綱領草案」も、生産性向上に妥協した上で賃上げを求める内容だ。最初から合理化を認めた上での賃上げ春闘だった。

 労働者自己解放に敵対 生産力主義で原則破壊

 なぜ、日本共産党は「平和利用」論・合理化容認の方針をとったのか。それは生産力の発展が共産主義≠ニするスターリン主義だからだ。
 共産主義とは「労働者階級自己解放の闘いの全面的な貫徹とその完全な勝利」「すなわち、資本主義・帝国主義の完全打倒=プロレタリア世界革命の完遂と階級社会の廃止、真の人間的な共同社会=共産主義社会の建設」にある(革共同綱領草案第1項)。スターリン主義は、この労働者階級自己解放を否定し、一国社会主義論で世界革命を圧殺してきた。労働者自己解放という最大の核心を解体してしまえば、スターリン主義体制を維持する動機は生産力発展しか残らない。
 実際、ノルマ(ロシア語)と称して労働者・農民を競争に駆り立て、帝国主義諸国との生産力競争にのめりこんだ。30年代から50年代は、スターリン主義が国際共産主義運動を支配していた時代だ。しかも戦後、ICBM、人工衛星打ち上げ、原発建設で先行したのは、アメリカではなくソ連だった。ソ連の方が生産力を発展させて優位に立つ≠ネどと言って、核・原発も合理化も絶賛したのだ。
 91年のソ連解体のはるか以前に、この生産力主義は破産していた。しかし、その生産力主義を根っこにした「平和利用」論と合理化容認が反省されることはなく、その後も続いた。その行き着いた先こそ、恒常的な被曝労働であり、チェルノブイリ原発事故、福島第一原発事故である。同時に、労働者に対する果てしない合理化であり、国鉄分割・民営化から始まる新自由主義攻撃、今日的には民営化・外注化・非正規職化という究極の合理化である。この両者が今日の新自由主義攻撃のもとで労働者人民に襲いかかり、「生きていけない」「放射能に殺される」という極限状態を引き起こしているのだ。
 このように、「平和利用」論と合理化容認の問題は、資本家を批判するだけにとどまらない。最大の犯罪はこの両者を率先推進してきたスターリン主義にこそある。今こそ、核・原発と合理化に対し絶対反対で闘う、という労働者階級の原則を打ち立てよう。
 反原発は、労働者の自己解放をかけた闘いとして、反合理化・運転保安闘争(一般的には反合・安全闘争)と同じ内容を持っている。この総体を階級的労働運動としてつくり出そう。
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 「平和利用」絶賛し合理化容認した日本共産党

(1957年12月『前衛』135号「新しい技術上の進歩と労働運動」より)

 「原子力の平和利用は無限のエネルギー源を人類に保障した。人間の肉体労働にかかわるいままでの機械化とちがって、頭脳労働にかわり記憶し選択する機械が生まれ、生産と事務のオートメーション化が行われはじめた」
 「われわれは原子力が平和的に利用され、それが生産力をたかめ、人類の生活を豊かにすることに双手をあげて賛成し、原子力科学の研究が前進することを支持する。……それは原子力の研究を妨げるものではないばかりか、むしろ、その平和的利用の道を促進する社会的進歩のためのたたかいである。
 同じように、技術的進歩とそれによる設備更新にたいして、労働条件の悪化と貧困化に対してたたかい、とりわけ労働者の民主的諸権利を擁護し強化することは、技術的進歩の利益を少しでも人民の本当の利益に役立て、現在の制度を改善し、改革する一歩をすすめることであり、科学と技術の正しい発展を擁護することである」
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 原発と合理化に関する略年表


原発関連

53年12月 米アイゼンハワー大統領「アトムズ・フォー・ピース」演説
54年 3月 ビキニ事件
55年 4月 経団連が原子力平和利用懇談会
   6月 日米原子力協定の仮調印
   8月 第1回原水爆禁止世界大会
    9月 原水爆禁止日本協議会の結成
   12月 科学技術庁の発足
57年 5月 岸首相「自衛のため核武装必要」


合理化関連

53〜54年 企業整備・人員削減(55 年からの技術革新的設備更新を準備
2月 日本生産性本部の設立
   55 年から民間春闘始まる
3月 総評が条件付き生産性向上受け入れ
10月 総評の合理化容認した賃金闘争論
   55 年から高度成長始まる
   56 年から官公労含む春闘に

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月刊『国際労働運動』(444号3-7)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 7 大恐慌―新自由主義―3・11のもとで生きる闘い

 6月2日に東京・芝公園で開かれた「つながろうフクシマ! さようなら原発集会」で、呼びかけ人の落合恵子さんは次のように訴えた。「フクシマ第一原発事故の後、私はずっと対峙してきた権力が欲しいと思いました。そしたら子どもを、家族を、学校を、地域社会を、そのまま別の所に移転させることもできるのにと」。落合さんが鋭く提起しているように、3・11で起きているすべてを抜本的に解決するにはどうすればいいのか。反原発・脱原発で決起した人たちはみな、それを真剣に考え、今あらためて社会と時代をとらえ直している。反原発闘争はそうした飛躍の真っただ中にある。
 では、私たちはどういう時代に生き、何と闘えばいいのか。結論的に言うと、世界大恐慌のもとで大失業と戦争が引き起こされ、すでに破産した新自由主義がなおも労働者人民に襲いかかり、3・11を経て福島と全国が放射線被曝にさらされている時代にある。私たちの眼前で起きているのは、大恐慌―大失業・戦争、新自由主義、3・11という三重の歴史的事態によって、労働者人民が生きられなくなっていることだ。

 「生きられない」うえに「放射能に殺される」

 そもそも80年代以来、資本家階級による新自由主義攻撃によって、労働者は生きていけなくなっていた。民営化、労組破壊、非正規職化、社会保障解体などがすでに30年間にもわたって強行されてきた。資本家たちは規制緩和し民営化すればすべてうまくいく≠ニ称したが、すべてうそだった。新自由主義の30年以上の歴史の結果は、医療・教育を含む社会基盤の解体であり、とてつもない貧困である。とくに青年層では非正規職が過半を占めるまでになった。
 そこに、07年夏以来の世界大恐慌が襲いかかった。70年代半ばで経済成長が終わっているにもかかわらず、それ以降、無理に無理を重ねて延命してきた資本主義経済の全矛盾が大恐慌として噴出した。しかも、新自由主義による金融の規制緩和が金融投機=バブルを助長し、その大崩壊である大恐慌を引き起こした。労働者人民にとって、大恐慌とは大失業と戦争であり、ますます生きていけなくなった。13年の世界の失業者は2億人に増えるとの予測もある。
 大恐慌は新自由主義の大破産を刻印するものであるが、しかし資本家階級の恐慌対策はその新自由主義になおもすがりつくことしかない。日本だけでなく全帝国主義国で財政政策も金融政策ももはや功を奏さず、資本家階級としてなんの成算もなくなっている。結局、安倍政権の「成長戦略」のキーワードは「民間活力の爆発」であり、労働者に対しては「解雇の自由化」攻撃である。
 3・11東日本大震災と福島第一原発事故は、このような中で起きた。それは新自由主義の自爆的事故であり、長期間にわたる被曝と汚染によって労働者人民を傷つけ殺そうとしている。核が登場して以来、内部被曝の事実は抹殺されつづけてきたが、今の日本政府と福島県が行っている内部被曝の隠蔽は、新自由主義攻撃としてある。その意味で歴史上最もあくどい。このように新自由主義が何乗にもなって襲いかかり、労働者人民を生きられない状態におとしいれているのだ。

 労働組合よみがえらせ社会の抜本的な変革を

 私たちが闘っている反原発闘争は、こういう時代に労働者人民が人間らしく生きる闘いだ。新自由主義というキーワードを通して時代を見ると、単に福島原発事故をめぐる闘いであるだけではないことが分かる。新自由主義がつくり出した社会すべての非道・矛盾と向き合い、この社会全体を変えよう。NAZENが掲げる「全原発廃炉」という課題は、社会の根本的な変革をも問いかけている。
 だからこそ、反原発闘争を国鉄闘争と一体で闘おう。国鉄闘争は、新自由主義の本格的始まりだった国鉄分割・民営化と闘いつづけ、日本の労働者人民の闘いの基軸をなしてきた。しかもこの間の裁判で、国鉄労働者の全員解雇・選別再雇用の真実が暴かれ、国家的不当労働行為だったことが明るみに出ようとしている。国鉄闘争こそ新自由主義と対決し、「99%」の労働者階級が「1%」の資本家階級に打ち勝つ最重要の闘いだ。
 さらに、反原発闘争と被曝労働拒否の闘いをさらに発展させる鍵も、労働組合の復権にある。「労働組合をよみがえらせ、電力労働者をはじめ、あらゆる職場の労働者、農民、漁民、全住民が生きるために団結し、立ち上がれば、全原発を廃炉にできます。青年労働者はその中軸です」(NAZEN結成宣言)。労働組合が中心に位置して闘うNAZENを拡大・強化しよう。

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月刊『国際労働運動』(444号3-8)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 8 青年労働者が被曝労働と非正規職化と闘おう

 食っていけず原発か除染以外に仕事なし

 放射線による被曝、とりわけ内部被曝は遺伝子を傷つけ破壊するものであり、長期にわたって生命と人体に甚大な影響をもたらす。にもかかわらず、なぜ多くの労働者があえて被曝労働へと駆り立てられるのか。それは一言でいえば「食っていけない」からだ。ほかに仕事がない、あっても賃金が安くて食っていけないという現実が全社会的にあるからだ。実際、福島・浪江町で仮設住宅に住む高齢者の「健康相談」を行う医師からは「とにかく福島には仕事がない、子どもたちには原発か除染の仕事しかない、と訴える高齢者が多い」という報告がされている。
 さらに安倍政権は、警戒区域見直しで原発周辺地域の立ち入り禁止を解除しようとしている。福島第一原発から20`メートル圏内で今なお高線量の放射能が計測され、上下水道も復旧していない浪江町、大熊町、双葉町、富岡町、楢葉町に住民を帰そうとしている。閉鎖している福島原発近くのJR常磐線を再開させることも策動している。これらすべてが被曝と被曝労働の強制であり、「3・11」をなきものにしようとする人類史的犯罪行為である。絶対に許すことができない。
 重要なことは、この福島の現実は、半数が非正規職に置かれている青年労働者の目の前にある現実、結婚できない、子どもも生めない、職場で殺されるという現実と何ら変わらないということだ。確かに放射能も、雇い止めも、超低賃金もすぐに目に見える問題ではない。しかしはっきりしていることは、これらは間違いなく私たちを〈殺す〉ということだ。展望を奪い、未来を奪い取るのだ。これが新自由主義だ。何が「原発事故で死者が出ている状況ではない」だ(自民党政調会長・高市早苗の6月18日の発言)。ふざけるな!
 まさに今、原発労働者や放射能がれきの処理や「除染」にあたっている労働者がこの現実にぶち当たり、格闘している。彼らの置かれている状況は放射能による被曝であり、同時に多重の下請けという非正規職であり超低賃金である。被曝対策を要求すれば解雇、「手抜き除染」を指摘すれば解雇。それらを我慢しても「被曝上限」を超えれば解雇。その結果、被曝線量をごまかして生命を削って仕事を維持し、賃金をもらって生活を維持するという、どこまでも非人間的な状況がまかり通っている。
 それは、政府や東電が原発事故の責任をまったく取らないからだ。それどころかゼネコンや大資本は、復興増税や「除染事業」などの莫大な金に群がりぼろもうけしている。そもそも外注化・下請け化そのものが労働者の切り捨てなのだ。この福島の現実に、青年労働者こそが怒りをもって立ち上がろう。政府と資本に対する団結した闘いのみが真実を暴き出し、青年を始めとしたすべての労働者人民の未来を切り開くのだ。

 被曝労働拒否は反合・運転保安闘争路線の実践

 だからこそ、被曝と被曝労働を絶対許さない職場生産点からの闘いは、それがどんなに「ささやかな」ものであったとしても福島の労働者人民、さらには電力労働者・原発労働者との団結を必ずつくり出す。反原発を労働運動の課題として拡大させていくことこそ、全原発廃炉の唯一の道だ。
 それは、解雇や雇い止め、賃下げや外注化・非正規職化に対して労働者が生きるために資本と非和解的に闘い、資本主義社会を根本的に変革することと完全に一体だ。「原発に対するスタンスがそのまま組合になってる。もう絶対非和解というか。絶対に向こう側とは和解できないから闘っている」(『月刊労働運動』6月号 東京西部ユニオン・アメリカンアパレル分会へのインタビューより)。
 動労千葉や動労西日本、国労郡山工場支部が切り開いている外注化阻止・粉砕の闘いと並んで、動労水戸が闘う被曝車両K544運用阻止・被曝労働拒否闘争は、反合・運転保安闘争の一つの到達地平そのものだ。7月に狙われている郡山工場へのK544移送阻止を動労、国労といった組合や党派の枠を超えて勝田―郡山を結んで闘いとることこそ、この闘いとってきた地平と団結をさらに拡大させる道だ。それは全労働者とりわけ電力労働者が被曝労働拒否という反合・運転保安闘争に立ち上がる水路となる。青年労働者が動労千葉鉄建公団訴訟の9・25判決粉砕へ「3カ月決戦」の先頭に立ち、外注化阻止・非正規職撤廃、被曝労働拒否を資本と非和解で闘おう。

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月刊『国際労働運動』(444号4-1)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 V 労働者の国際的団結で原発も核もなくそう

 1 動労水戸の被曝労働拒否のストに国際的な波紋

 サンフランシスコのレーバーフェスタ

 動労水戸の闘いは、全世界に巨大な衝撃を与えている。
 『Doro-Chiba Quake Report(動労千葉震災レポート)』第34号に、動労水戸の被曝労働拒否の11年10月8日のストライキが掲載されると、ドイツの労働運動左派の情報サイトであるレーバーネットに転載され、さらにアメリカ、イギリス、フランスなど多くのサイトに転載され、転送されて議論の的になった。「労働組合がストライキで原発と闘った姿を初めて見た」と。
 世界の労働運動の左派の中では、原子力は科学的、進歩的な技術≠ニいうイデオロギーが根強く、反原発で労働組合がまとまることは難しかったのだ。反原発運動は、住民運動・市民運動≠ェ常識で、労働者も組合員としてではなく、住民として運動に参加してきた。
 だから、労働者の最強の武器である職場で闘いに立ち上がった動労水戸は、強烈なインスピレーションを与えたのだ。
 米運輸労働者連帯委員会のスティーブ・ゼルツァーさんは、自分が主催者の1人になっているサンフランシスコのレーバーフェスタに、動労水戸の石井真一委員長を招き、12年7月に「福島原発と労働運動」という集会が行われた。
 集会は、アメリカで最も戦闘的な労働組合といわれるILWU(国際港湾倉庫労働組合)のローカル34(第34支部)のホールで行われ、ILWUローカル34の執行委員、同ローカル10の元執行委員、UTU(鉄道労組)ローカル23の元議長など労働運動の重要な活動家や、アメリカ核兵器の中心的な研究・生産機関であるローレンス・リバモア研究所と闘う住民団体などが参加した。
 ここで撮られた石井委員長のプレゼンテーションのビデオは、全世界に転送・再転送され、さらに大きな影響を与えた。
 核・原発を圧倒的に主導してきたアメリカの国内ではすさまじい重圧があり、反核・反原発運動は非常に厳しい。しかも、むしろ戦闘的な労働運動のなかに「原子力=科学的、進歩的」「反原発に反対」という勢力の影響が大きく、労働組合として一致して反原発に取り組むことは困難だ。こうした中に動労水戸の職場での被曝労働拒否の闘いが登場した。それまで、諸勢力の狭間で反原発を支持すべきか悩んでいた人が、動労水戸の闘いに感動している。

 長崎原爆が作られたハンフォードで

 汚染されたK544車両を動労水戸の闘いによって、ついに車庫の奥深くに収納させ、動かなくさせた闘いは、アメリカの核兵器生産地の反対運動の中でも反響を呼んでいる。
 米国西海岸、ワシントン州のハンフォードは、長崎原爆を始めとして、アメリカの6万発の核弾頭の大部分を作ってきた所だ。原発やプルトニウム抽出施設、そして核廃棄物の集積所が集中し、汚染もすさまじい。
 公式にいわれているだけで、20万立方bの高レベル放射性廃棄物、71万立方bの固形放射性廃棄物、520平方`メートルに及ぶ地域の地下水汚染があるが、その他、現在でも次々に新たな汚染が見つかっている。
 しかも現在、オバマ政権の「歳出強制削減」でハンフォードの廃棄物管理と除染の要員(被曝労働者)が大量解雇、賃金削減されている。
 こうした中で、労働組合として職場で被曝労働、外注化・非正規職化と闘う動労水戸のK544の運用策動をとめた闘いが注目され、ハンフォード汚染地域の反対運動の討論資料として『レポート』第52号が使われている。また、それを機に、安倍・橋下発言を弾劾した『レポート』第53号も討論資料にされた。

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月刊『国際労働運動』(444号4-2)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 2 核を賛美するスターリン主義打破し労働者解放を

 労働者蔑視=生産力・「科学」崇拝

 核廃絶・原発廃炉の国際連帯にとってスターリン主義の批判は避けて通れない。
 原発がこれだけ多数建設されたのは、帝国主義の政策だけではなく、体制内の諸勢力が、原子力を推進してきたからだ。特にスターリン主義の原子力美化は、世界の多くの勢力に影響を及ぼしてきた。
 その縮図が日本だ。これまで日本共産党は「原子力は人類と共存できない」という思想に対し「反科学主義」と罵倒し、対策をとれば原発は安全になると主張してきた。
 3・11後、日共は党内が大混乱に陥り、11年メーデーでの志位演説を機に一応「脱原発」にかじをきった。だが根本思想は同じだ。
 福島県内の日共が影響力を持つ医療拠点では、独自の被曝検査を行わず、内部被曝を問題にしない。しかも日共は、山下俊一らの不当・不法な医療独占支配に従わない医師を攻撃しているのだ。現実に被曝している福島の人間は、日共にとってはどうでもいいのだ。
 この思想の根底にあるのはニセの「マルクス主義」で合理化された生産力崇拝だ。マルクス主義を「生産力を高めることが社会主義への道」という生産力主義に歪めたのだ。
 それは、ブルジョア科学への全面屈服である。巨大生産設備、巨大兵器などが科学である≠ニし、科学の発展、生産力の発展は良いもの≠ニして、生産力崇拝にねじ曲げた。だから日共は「原子力への反対は科学の否定」とまで言いなしたのである。
 この逆転した思想は、スターリン主義を批判してきたはずのトロツキー主義者の中にさえ根強く残っている。3・11の後でも、世界の少なからぬトロツキスト諸党派が、「社会主義の実現には巨大な生産力が必要だから、フクシマ事故があったからといって原発廃止を言うべきでない」「反原発は小ブルジョアの運動」と言っている。
 第四インター日本支部に連なる人々は1961年の歴史的犯罪を自己批判せず、今も同じことを繰り返している。その年のソ連核実験再開に対して第四インターは「労働者国家の核武装の権利」を主張し、共産党とともに原水禁運動の分裂を強行した。その論拠はソ連は生産手段を国有化しているから労働者国家∞アメリカの核にはソ連の核で対抗するしかない≠セった。労働者ではなく生産手段が主語になってしまっている。そして、アメリカ労働者が全世界の労働者と連帯して決起し、アメリカ支配階級を打倒する現実性は無視抹殺している。
 米の核にはソ連の核≠ニしてアメリカ労働者を核攻撃・核恫喝して良いという第四インターは、根本のところでスターリン主義を批判できていない。
 彼らが、何を恐れ、何を歪曲しているのか、さらに検討し、それによってわれわれ自身の闘いの方向をいっそう明確にしていこう。

 判断・工夫を伴う労働者の労働

 労働者は、それ以外に生きられないから労働力を売る。労働力を買った資本家が労働者に指揮命令する。だから、生産過程は資本の意志ですべて動いていると見える。しかし労働現場では、労働者の意志を媒介にしないと何も動かない。
 労働者の労働は、資本家の指揮命令を機械的に実行するだけではない。一見「単純労働」と思えるものでも、労働者が現場で具体的な判断や工夫を行っている。労働者は考え、行動し、相互の協力関係をつくっている。
 賃労働と資本の関係、生産過程を通して剰余価値が資本に搾取される関係こそ、資本主義社会の根本だ。その生産過程の中で、被支配者である労働者が実際には、意志をもって生産を担っている。そして、それを基礎にして、あらゆる社会的な問題に対して闘う力を持っている。だから労働者は、この社会を根底的に変革する主体になれる。「労働者階級の解放は労働者自身の事業」だ。
 だからこそ、労働者階級を裏切ったスターリン主義にとっては、労働者が社会変革の主体であることの否定に全力を注がざるをえない。
 表向き否定できない場合でも、「主体」を単なる物理的な力として扱い、動員の対象にしてしまう。討論、決定、実行を不可分一体にして労働者が行うのではなく、スターリン主義党や体制内労働組合幹部に従う単なる実行部隊にしてしまう。そして、あらゆる方策をもって労働者を蔑視する思想をばらまこうとするのだ。
 このスターリン主義にとって、核・原発は労働者階級自己解放の破壊の手段なのだ。アメリカ帝国主義は30年代の革命的激動や全世界の戦時下のレジスタンス、民族解放闘争におののいて原爆(原発)を開発し、投下したが、スターリン主義も同じ動機で共犯者となったのだ。
 したがって〈労働者自己解放〉の回復こそ核・原発を廃絶する勝利の道だ。特に、国境・民族による分断を打破し、労働者階級全体に対する信頼を回復することだ。すでに動労千葉・動労水戸を先頭とする強固な国際連帯がある。この道を突き進み、全面的勝利をもぎ取ろう。

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月刊『国際労働運動』(444号4-3)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 3 戦争・核戦争の危機に労働者の国際連帯を

 日米安保を強化しつつ敵基地攻撃力をも狙う

 5月の国会答弁で安倍首相は、「日本を攻撃しようとしているミサイルに対し、米軍に攻撃して下さいと日本が頼むだけでいいのか」と公言。これを受け、同じ5月に自民党の国防部会・安全保障調査会は、政府の「防衛大綱」見直しに対する提言案をまとめ、「敵基地攻撃の打撃力の保持」を公然と打ち出した。改憲、日米安保の強化、集団的自衛権の行使を狙うとともに、今や日本が独自に北朝鮮などに先制的に攻撃を仕掛けることもたくらみつつあるのだ。
 朝鮮半島をめぐっては、すでに米韓の動きが一触即発の戦争的危機をつくり出している。米国務省のダニエル・フリード大使(外国への制裁措置の最高責任者)は13年に入り、核実験を行った北朝鮮情勢について「もはや平時ではない」と述べている。米韓は3月に、南北間で局地的な衝突が発生した場合でも直ちに米軍が介入する内容の協定を結んだ。実際、4月末まで米韓両軍は過去最大規模の合同軍事演習を行い、核攻撃が可能なステルス戦略爆撃機B2を米国基地から発進させ、空中給油で北朝鮮上空(一説には平壌上空)にまで突っ込ませている。
 安倍政権はこの機に乗じ、平和憲法の全面破棄と改憲、戦争国家への公然たる転換をたくらんでいる。そのため、北朝鮮や中国に対する戦争挑発の先頭に立ち、領土問題での排外主義をあおり、日米軍事同盟を強化し、沖縄・辺野古新基地建設にしがみついている。また、そうした情勢だからこそ、核武装の偽装形態である原発推進にますますこだわり、原発再稼働と輸出に必死になっている。
 とくに重大なのは、日本帝国主義はすでに釣魚島(尖閣諸島)の国有化を宣言し、軍事衝突に進展しかねない領土問題で歴史的な踏み込みを行った。これに対し1月の中国の軍機関紙・解放軍報は、人民解放軍を指揮する総参謀部が全軍に、13年の任務について「戦争の準備をせよ」との指示を出した≠ニ伝えた。
 こうした戦争的危機を引き起こしているのは、大恐慌下での帝国主義間・大国間の争闘戦である。市場・領土・資源・勢力圏をめぐる対立が今や、軍事的対立・抗争に急速に転化しつつある。20世紀の二度の世界戦争と本質的に同じことが進みつつあるのだ。

 米軍が核攻撃の新指針 「民間は標的外」と大嘘

 しかも核戦争の現実性がある。6月19日に米国防総省は、11年ぶりに核兵器運用指針の改定を公表した。その中で「米国は(核攻撃で)民間人や民間施設を故意に標的にしない」とした。これは言い訳にもならない。広島への原爆投下は、当時の広島・宇品港が南太平洋の戦場へ向かう日本兵のほぼすべての出発点になっていたことによる。単に軍事施設だけでなく民間人も含めて無差別に大量殺戮することに、そもそもの核兵器の目的があるのだ。
 現在、米軍はアフガニスタンで、特にパキスタンとの国境地帯で無人機による攻撃を主要手段にしているが、パキスタン外務省が「市民が巻き添えになっている」と抗議声明を出すほどの無差別攻撃をしている(朝日新聞5・25付)。今回のアメリカの新指針は、広島・長崎のような核攻撃を繰り返すことを公言したものとして、絶対に許されない。

 労働者が団結し闘えば戦争を必ず止められる

 こうした新たな戦争・核戦争の危機に対し、労働者の原則的な立場が求められている。戦争を必要としているのは、米日韓の資本家階級や中国・北朝鮮の特権的支配層(スターリン主義官僚)である。戦争で犠牲になるのは各国の労働者人民である。しかし同時に、戦争を止めることができるのも労働者階級だ。戦争の成否を決する兵站は、すべて労働者によって担われる。労働者が戦争を拒否すれば、戦争をまちがいなく止められる。資本と非和解で闘う階級的労働運動こそ、資本家のための戦争に対しても絶対反対を貫くことができる。
 それを一国でやるのではなく、国際的に連帯してやるのだ。動労千葉は有事3法が制定された後の03年6月に「戦争協力拒否宣言」を決議し、「労働者の団結した闘いこそが戦争を止める力だ。われわれはアジア―世界の民衆と連帯し、力を合わせて戦争反対の闘いに立ちあがる」とアピールしている。韓国民主労総は今年4月10日に、「すべての戦争に反対し、戦争を助長するすべての勢力と対決して闘う」との声明を発した。日韓米の労働者が連帯して闘えば、あくまで戦争をしようとする資本家階級を逆に打ち倒すこともできるのだ。
 マルクス・エンゲルス著の『共産党宣言』は、「万国のプロレタリア(労働者)、団結せよ」と締めくくられている。これを本当に実践する時がやってきた。資本間の競争、国家間の競争、そのための労働者への攻撃に対して、労働者の国際的な団結をもって闘おう。国家主義・排外主義に対しては、労働者の原則である国際主義をもって闘おう。資本家階級の新自由主義とその国際版とも言えるグローバリズム(地球大化の戦略)に対し、それぞれの国で新自由主義と徹底対決する労働運動を闘いつつ国際連帯を強めよう。
 さらに、原発大事故は一国だけでなく全世界を汚染させ被曝させる。放射能に国境はない。また、全原発廃炉の闘いは国際連帯なしにはありえない。NAZENは「いっさいの核と原発を世界から一掃しましょう」(結成宣言)と訴えている。これに応えて、ともに闘おう。

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月刊『国際労働運動』(444号4-4)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 4 8・6広島大行動への国際連帯アピール

 ■ドイツ

●ベントラント(ゴアレーベン)から
ケアスティン・ルーデック
(べントラントの反核活動家、29年前から反核活動に従事、6人の子どもの母親)
 親愛な仲間・友人のみなさん!
 私たちは、ドイツのべントラント(ゴアレーベン)の地から今、日本で何が起こっているかを見守っています。
 私たちは、日本政府が、福島の大惨事とその結果、すなわち広範な地域とその住民・動物・植物・大地・大気・水などの放射能汚染という事実を、あらゆる手段を使ってもみけし、原子力を容認させようとしていることを知っています。
 私たちは、日本政府が、核兵器と原発に対する反対運動がより強力に発展することを阻止するために弾圧していることを知っています。
 私たちは、マスコミが、福島大災害の深刻さと規模の大きさについて沈黙していることを知っています。
 私たちが、36年前に、ゴアレーベンへの核施設センターの建設に反対して立ち上がった時、それは、私たち一人ひとりの将来がどうなるのかという不安、そして核施設が家の間近にまで迫って来るという不安からでした。
 こうした地域的な視点から始まって、私たちの運動は急速に、原発を稼働させる全行程に対する根本的拒否の立場に発展していったのです。
 ウランの採掘であれ(例えばアフリカのタンザニア)、新たな原発の建設であれ(例えばロシアのカリーニングラード)、原発事故であれ(例えば日本のフクシマ)、あるいは核廃棄物の安全な保管という解決不能な問題であれ(例えばドイツのゴアレーベン)、こうした連鎖の一つひとつが、原子力の即時廃止を要求しています。
 私たちは、長期間にわたる闘いから、「原子力国家と民主主義は両立しない」ことを学んできました。そして私たちは、私たちの共同の闘いをつうじて、やりたい放題の原子力産業ビジネスから人民を守るという義務を各国の政府が果たすように働きかけなければならないと思います。
 原子力産業は、世界のどこでも活動しています。フランスの企業がタンザニアでウラン採掘を行い、ドイツの企業がチェルノブイリやゴアレーベンや福島の核施設で使うクレーンを製造しています。このように、人間の命と健康を犠牲にして原子力から利益を得ようとする動きが全世界的なものである以上、これを阻止する反対運動もまた全世界的なものでなくてはなりません。
 連帯のネットワークをもっともっと強めましょう! 情報を交換し、共同の集会を組織し、お互いに学びあい、反対運動をともに闘いぬきましょう! 私たちの後に来る世代、まだ自分たち自身では闘いに立ちあがることができない世代、こうした後のちの世代のために、世界がこれ以上放射能で汚染されないように、そしてこれ以上被曝が進まないように、お互いに助け合いましょう。
 再び原発大事故が起きる前に原子力に終止符を打ちましょう!
 世界の子どもたちのために! 核のない世界を闘いとるために国際連帯を強めましょう!

 ■アメリカ

●シンディー・シーハン
 2011年8月の悲惨な日の記念日に、私はヒロシマ・ナガサキを訪問する機会を得ました。私は、1945年に小さい子どもであった被爆者たちと話すことができました。そしてその時に焼き尽くされた数十万の人々の埋もれた遺体の上に立ち、その犠牲者の方々に話しかけました。
 多くの人々が資本家の利益のための戦争に激しい苦痛を感じているとき、この語り部たちのお話は、私にとって極めて新鮮なものでした。広島平和記念館に、「シン」という3歳の男の子の三輪車の残骸が展示されています。彼は同じように焼けつくような蒸し暑い日、大好きな車を乗り回していました。その時、「リトル・ボーイ」が彼の頭上で炸裂しその尊い命を奪いました。このことは、彼が昨日亡くなったかのように、小さい孫たちがいる私の心を引き裂きました。
●サンルイス・オビスポ平和のための母の会(米カリフォルニア州)/(12年7月の椎名さんのカリフォルニアツアーの受け入れ団体の一つ)
イレーヌ・ホルダー
 3月には、日本の原発事故と福島に住む人々の苦難を想起するイベントを開催し、毎年8月には広島・長崎への原爆投下の惨状を想起する集まりを、鶴の折り紙をつくりながら開いています。福島で起こったことはここでも起こるのであり、皆さんが苦労している事態は、私たちにこのことを一層強調するものとなっています。がんばってください。
●ニュークウォッチ
(ウィスコンシン州の反核兵器・反原発・反核廃棄物団体)
 私たちは、核のない地球を実現するため皆さんと共に闘います。
●ロン・ジェイコブス
(ジャーナリスト・作家)
バーモント州バーリントン
 原子力という最もおろかで危険な試みに対する皆さんの見解を支持します。

 ■イギリス

●CND(核軍縮キャンペーン)Cymru
ジル・ゴフ(CNDウェールズ全ウェールズ書記)
 われわれは、喜んで広島での8・6集会に賛同します。われわれは、ウェールズのデンビーでわれわれ自身の集会をします。
 われわれは、ウェールズにおける核軍縮キャンペーンで、原発に反対するキャンペーンも行っています。初めからそうです。
 みなさんの健闘を祈ります。われわれはウェールズで、みなさんとともに立ち上がります。
●CNDロンドン支部
デビット・ポルデン
 何よりも核の存在に苦しんでいる国の住民として、私の心は皆さんと共にあります。
 みなさんの体験からして、原発を廃止し核武装を拒否しつづけることで、みなさんが世界に規範を示されんことを望みます。

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月刊『国際労働運動』(444号4-5)(2013/08/01)

8・6広島―8・9長崎闘争 総特集

原発再稼働阻止・核廃絶 世界労働者大会へ

 5 訪独代表団、ゴアレーベンと共同闘争で一致

 今回のドイツ訪問は、6月6日から17日までの12日間、ゴアレーベン核廃棄物処分場反対同盟(正式名称は「リュヒョウ・ダネンベルク環境保護市民運動」)の招待により、行われた。訪独代表団は、ふくしま共同診療所・運営委員会の椎名千恵子さん、NAZEN事務局長の織田陽介さん、動労千葉国際連帯委員会の通訳の3人だった。
 1日目(6月6日)
 空港では、MI(マルクス主義イニシアティブ)のラーベンさんとトーマスさん、そしてベルリン都市鉄道の民営化に反対する行動委員会のクルト・シュナイダーさん(ドイツ機関士労組所属)の3人が出迎えに来てくれた。
 2日目(6月7日)
 ベルリンからゴアレーベンに向かった。教会の所有するレストランとホールで、ドイツ初の集会。洪水が大変な中、ゴアレーベンの住民たちや同盟の中心人物が集まった。彼らは、とても明るい。今年の3・11や6・2デモの映像などを見ながら、討論し、かんしょ踊りが大好評だった。
 3日目(6月8日)
 @風力発電の現場見学、A最終処分場予定地前での集会と交歓、Bゴアレーベン図書館の訪問と初代委員長マリアンネさんの訪問、C洪水に脅かされるマーティン・ドナート委員長宅の訪問など。
 4日目(6月9日)
 車で核廃棄物が搬入されるルート(線路→道路)の実地見学。その足で、最終処分場予定地の日曜包囲行動。デモは25年続いているそうだ。
 5日目(6月10日)
 ベルリン行き。連邦議会前での抗議行動。高レベル核廃棄物最終処分場選定法をつくろうという動向に対するもの。ドラム缶を三つがんがんたたいて抗議行動。晩はゴアレーベンの町で毎月曜日行われている反原発月曜行動。椎名さんが、3・11福島行動の集会宣言をドイツ語にした「私たちの誓い」を読み上げた。
 6日目(6月11日)
 ゴアレーベン反対同盟の事務所を訪問し、1977年以来の闘いの歴史のレクチャーを受けた。
 10日目(6月15日)
 ベルリンで集会を行った。会場はクルド民族の抵抗運動の会館。MIのラーベンさんからこの間の経緯を話してもらい、簡単に自己紹介。3・11の動画をみてもらい、椎名さんが報告した。すごい反応を引き出したのは動労水戸のストライキの動画だった。
 集会を終えて、ベルリンのトルコ人・クルド人がトルコでの闘いを応援するためにテントを立てて抗議集会をしている現場を訪問。
 12日目(6月17日)
 午前中はIPPNW(核戦争防止国際医師会議)ドイツ支部と交流した。
 今回の訪独をとおして、8・6広島と動労千葉などが呼びかける11月労働者集会での再会を約束することができた。
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 日本代表団がべントラント(ゴアレーベン)を訪問

リュヒョウ・ダネンベルク環境保護市民運動(現地反対同盟)機関紙 2013年6月12日

 ゴアレーベン代表が、日本の福島を訪問してからほぼ1年になるが、その日本からの代表団が当地を訪問した。
 今回の訪問の目的は、全世界の反原発運動の国際連帯を強化し、同時にドイツでの個人的なつながりをも深めることである。というのは、反原発運動が闘っている相手は、国際的なコンツェルンだからだ。このような強力な敵に勝つためには、強固な国際連帯の組織をもち、情報と意見の交換を活発に行っていくことが不可欠である。
 こうしたことから日本とドイツの異なる状況、さまざまな反対運動のあり方などをめぐり、ゴアレーベン現地反対同盟の主催で一晩、深夜まで熱心な討論が行われた。
 テーマの一つは、核に代わる代替エネルギーの問題であった。ドイツではかなり実用化されている風力発電が、日本ではあまり問題になっていないとのことで、今後の情報交換の必要性が確認された。
 また、日本の代表団に深い感銘を与えたのは、毎週日曜日に行われている宗派(カトリック、プロテスタントなど)を超えた「ゴアレーベンの祈り」という懇談会だった。来年に行われる「ゴアレーベンの祈り」25周年記念に、日本の代表団を招待しようということも話題となった。
 日本の反原発運動の現状について、運動の組織化が進んでいるとの報告が行われた。その中心的組織が、「全原発の即時廃止」をかかげるNAZENで、織田陽介さんはその代表者である。NAZENは全国で700人以上が参加するグループを結集している。
 6月2日には、反原発運動の集会とデモが行われ、8万人という圧倒的な結集がかちとられた。この行動は、全原発の即時廃炉だけでなく、安倍政権の退陣を要求した。安倍政権は、核エネルギーを放棄しようとしないどころか、核武装さえも狙っている。日本の反原発運動は自分たちの目標をしっかりと見すえ、何者も止めることができない力を自覚している。
 代表団の1人、椎名千恵子さんは、福島診療所についてその設立者の1人として特別報告を行った。既存の病院が福島現地の人々に対して、何の助けにもならないなかで、この独立の福島診療所は、本当の診療と援助を行うことを目指して設立された。昨年末の開設以来、すでに400人の患者さんの診察と治療を行ってきている。このような診療所を開設し、運営するためには、巨額の資金が必要だ。改めてカンパが求められている。ゴアレーベン現地反対同盟は、昨年に福島を訪問して以来カンパを呼びかけ、その結果、マーチン・ドナート委員長から、福島診療所に2800ユーロ(約35万円)を渡すことができた。
 今回の日本代表団のドイツ訪問は、大洪水という困難な条件にもかかわらず、交流に加わったすべての人々にとって、核のない世界へ向けての共同の闘いを推進する重要な一歩となった。ゴアレーベン現地反対同盟は、日本の人々との交流関係を維持し、さらに支援と連帯を発展させていく決意である。

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月刊『国際労働運動』(444号5-1)(2013/08/01)

■Photo Document 反原発闘争


▲8・6ヒロシマ大行動でのヒロシマ・アピール集会(2012年8月6日 広島・原爆ドーム前)

▲2012年12月1日に開院したふくしま共同診療所(福島市)

▲3・11二周年の反原発福島行動に1350人が結集(2013年3月11日 福島県 福島県教育会館大ホール)

▲福島の人々や広島の下田禮子さんらを先頭に反原発福島行動13のデモ行進に出発(2013年3月11日 福島市)

▲野田首相による大飯原発再稼働を弾劾し、首相官邸前に20万人もの人々が集まった(2012年6月29日)

▲3・11一周年の福島県民大集会に1万6000人が結集した(2012年3月11日 郡山・開成山野球場)

▲「再稼働反対!」「野田を倒せ!」と20万人が国会正門前に押し寄せた(2012年7月29日)

▲17万人が集まった「さようなら原発集会」後のデモ行進(2012年7月16日 東京・原宿)

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月刊『国際労働運動』(444号6-1)(2013/08/01)

全原発廃炉・核廃絶世界大会を実現しよう!

被爆68周年8・6ヒロシマ大行動への賛同と参加をお願いします

 すべての労働者、農民、漁民、市民の皆さん。被爆68周年の8・6ヒロシマから、「再稼働阻止! 全原発を廃炉に!」「すべての核をなくせ!」の声を全世界に発しましょう。

 ●フクシマの怒り、被爆者の怒りを共にし安倍政権の再稼働阻止!

 3・11から2年以上が過ぎました。しかし福島の現実はますます深刻化しています。十数万もの人々の避難生活の長期化、労働者・農漁民・住民への内部被曝と被曝労働の強制、拡大し続ける汚染水問題、そして福島の子どもから12人(疑いも含めれば27人)もの甲状腺がんが発見されるという大変な事態が起きています。しかし安倍政権は福島原発事故などなかったかのように、原発再稼働と原発輸出に突き進んでいます。「命よりカネ」という資本家たちが「再稼働こそ経済成長の条件」(葛西JR東海会長)と叫び、高市早苗自民党政調会長は「福島第一原発を含めて、事故によって死亡者が出ている状況では無い」と言い放って、福島の激しい怒りを巻き起こしました。
 安倍政権の原発再稼働・原発輸出の政策は、改憲と核武装の野望と一体です。労働者を、子どもたちを被曝させ、その命を奪って平然としている者たちが、今度はヒロシマ・ナガサキそのものをくり返そうとしているのです。
 しかし原発と被曝への怒りは、ますます深く大きく広がっています。今こそ、被爆者とフクシマの怒りをひとつにし、労働者、農民、漁民、住民、子どもたちを被爆・被曝させて生き延びようとする支配者たちと対決し、「再稼働阻止・全原発廃炉」を高々と掲げた8・6ヒロシマ世界大会を実現しましょう。

 ●被曝労働絶対阻止の労働組合の闘いこそ全原発廃炉への道ひらく

 再稼働阻止・全原発廃炉を実現する最大の力は、被曝労働を拒否する労働組合の闘いにこそあります。すべての原発・核施設は、労働者に被曝労働を強制することによって成り立っています。被曝を強制されている労働者の多くは、何重もの下請け構造の中で搾取され、権利を奪われている非正規労働者です。新自由主義と呼ばれる現代の資本主義は、労働者の命をしぼり取り、一握りの資本家の富だけを増やしてきました。この「新自由主義のエネルギー源」となってきた原発こそ「地上に設置された原爆」であり、労働者の命を直接的に奪い、破壊することで動いてきたのです。そして、この現実を許してきたのは、新自由主義と闘えなかった労働組合の変質でした。だからこそ労働者が労働組合を甦らせ、団結と闘いの武器としてとりもどし、被曝労働とそれを強制する外注化・非正規化、新自由主義と闘うことこそ、すべての原発を止め、廃炉にしていく道です。
 日本における新自由主義の出発点となった国鉄分割・民営化に絶対反対を貫き、解雇撤回を闘う国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)は、安全問題を徹底的に追及しJRの合理化、外注化を阻止する闘いを続けています。動労千葉とともに闘う国鉄水戸動力車労働組合(動労水戸)は被曝労働絶対拒否を掲げ、福島第一原発事故現場近くに放置された被曝列車の運行を実力阻止しています。福島県内でも国労郡山工場支部の仲間が、外注化と被曝労働を阻止する闘いを開始しています。すべての労働者、労働組合が、労働者の命を脅かす被曝労働を職場・生産現場から拒否して立ちあがるならば、原発を動かすことはできません。
 被曝労働阻止の闘いは、いま福島第一原発の事故現場で必死の収束作業を行っている労働者の命を守りぬくためにこそ必要です。労働者の安全を守りぬくために闘ってこそ、全原発廃炉の道を開くことができます。

 ●労働運動と国際連帯の力で勝利しましょう

 安倍政権は、アジアに、世界中に原発を輸出しようとし、米欧や中国などの大国も世界の支配をかけて原発と核にしがみついています。全原発廃炉の闘いは一国だけではできません。それは国際連帯の闘いを必要としています。全世界の労働者が、新自由主義と闘い、被曝労働を阻止し、人間らしく生きるために団結するときです。
 大恐慌の激化のもとで、資本は労働者を分断してさらなる競争に駆り立て、市場・資源・領土の支配をめぐる資本家・国家同士の争い、新たな戦争・核戦争の道へ引きずり込もうと躍起になっています。安倍政権の原発再稼働と改憲攻撃は、まさにそのために進められています。民営化・外注化・非正規化、賃下げ・首切り、被曝の強制、戦争・核戦争――すべてが労働者民衆を犠牲にして延命しようとする新自由主義の攻撃です。まさしく全世界で労働者民衆は同じ課題に直面し、同じ闘いにたちあがっています。だからこそ国境をこえて団結しましょう。労働運動の力と国際連帯で、安倍政権の原発再稼働と改憲と戦争・核武装を打ち砕こう!
 放射能から子どもの命を守りぬくために、ふくしま共同診療所建設、保養・避難の取り組みを広げましょう。この運動も全国・全世界の労働者の団結した力によってのみ展望を開くことができます。
 世界のすべての人々に呼びかけます。ヒロシマ・ナガサキ・ビキニを、そしてフクシマを繰り返させないために、核と原発を地上から一掃するために団結しましょう!
 8月6日、ヒロシマの地に集まり、「全原発廃炉・核廃絶の世界大会」を共に実現することを心から呼びかけます!
 2013年6 月

 被爆68周年8・6ヒロシマ大行動実行委員会

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 被爆者とフクシマの怒りをともにし実現しよう

 全原発廃炉・核廃絶 8・6ヒロシマ世界大会


8月5日(月)
15〜18時 再稼働阻止!全原発廃炉!ヒロシマ世界大会
 アステールプラザ中ホール
8月6日(火)
7時 原爆ドーム前 ヒロシマ・アピール集会
8時15分 黙とう後、首相式典出席抗議のデモ
12時30分〜14時 8・6ヒロシマ大行動大集会
 広島県立総合体育館小アリーナ
14時30分 市内デモ行進(16時 平和資料館前解散)
統一主催 被爆68周年8・6ヒロシマ大行動実行委員会

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月刊『国際労働運動』(444号7-1)(2013/08/01)

■NAZEN結成宣言文

 私たちは、この集会を出発点とし、この場に示された限りない団結の力に確信を持って、新たな反原発全国運動を開始します。
 福島第一原発の大事故は、ヒロシマ・ナガサキに続く「三度目の原爆投下」ともいうべき、国家・資本による歴史的大犯罪です。今もなお大気・大地・海への放射能の放出が続き、汚染の規模はますます拡大しています。無数の人々に被曝を強制し、人間の生きる社会を破壊している責任を、絶対にあいまいにすることはできません。政府、電力会社をはじめ、原発を推進してきた全勢力にいっさいの責任をとらせるまで、私たちは闘います。
 今、何より求められていることは、被災地フクシマの腹の底からの怒りと闘いを全国で共有し、起きている事態に全力で立ち向かっていくことです。原発事故の速やかな収束、放射能の除染、地域の完全復旧、そして子どもたちをはじめとする全住民の生活と命を守るために、あらゆる英知を結集して立ち上がりましょう。
 「核と人類は共存できない」――ヒロシマ・ナガサキ、そしてビキニの被爆者たちが訴え続けたこの言葉を、今こそ声を大にして訴えなくてはなりません。
 原発は、「原子力の平和利用」の名の下に、核武装・核兵器開発を押し隠すものとして導入され、数限りない労働者に被曝労働を強制しながら推進されてきました。日本の歴代政府は、「ヒロシマ・ナガサキをくり返すな!」という被爆者の訴えと闘いのみならず、多くの住民の疑問、怒り、決起を踏みにじり、原発を増設し続けてきました。その行き着いた先に、フクシマが引き起こされたのです。
 今こそ、核・原発との「共存」を強いられてきたこれまでの歴史を乗り越え、核も原発もこの世界からなくすために立ち上がる時です。フクシマとヒロシマ・ナガサキの怒りを一つに結び、全世界に向けて反原発・反戦反核闘争を呼びかけます。
 核・原発をなくす闘いの鍵を握るのは、労働者・労働組合です。労働組合をよみがえらせ、電力労働者をはじめ、あらゆる職場の労働者、農民、漁民、全住民が生きるために団結し、立ち上がれば、全原発を廃炉にできます。青年労働者はその中軸です。
 それと一体で、学生が先頭に立って、大学キャンパスから反原発の闘いを巻き起こすことが求められています。原発推進に加担する研究機関と御用学者を許さず、大学を反原発の発信源にしましょう。
 歴史は大きく動き始めました。青年・学生をはじめかつてない巨万の人々が、日本中で、そして世界中で反原発の声を上げ、怒りと決意を胸に行動を開始しています。原発をなくし、社会を根底から変革する力は、このたたかいの中にこそあります。
 今こそ、すべての原発の即時停止・廃炉を! 新たな原発の建設と停止中原発の再稼働を絶対に許さず、いっさいの核と原発を世界から一掃しましょう!
 ここに、「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」(通称「な全 NAZEN」)の結成を宣言します。
   (2011年8月5日)

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 NAZEN呼びかけ人

赤羽進彦(精研労組青年部書記長)
秋田明大(元日大全共闘議長)
阿部宗悦(女川原発反対同盟)
石井真一(動労水戸委員長)
石田真弓(東北大学学生自治会書記長)
市川潤子(ふくしま合同労働組合委員長)
壹貫田康博(被爆者青年同盟・広大生協労働組合委員長)
井野博満(東京大学名誉教授)
岩田雅一(牧師・写真家)
入江史郎(スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合委員長)
大石又七(元第五福竜丸乗組員)
大江厚子(セイブ・ザ・イラクチルドレン広島代表)
長田敏之(動労千葉書記長)
小関恭弘(置賜百姓交流会)
織田陽介(前全学連委員長・東北大学)
鎌仲ひとみ(映画監督)
北島邦彦(前杉並区議会議員)
北西充(広島大学名誉教授)
小出五郎(元NHKプロデューサー)
国賀祥司(泉佐野市議会議員)
斎藤郁真(全学連委員長・法政大学文化連盟委員長)
齋藤裕介(郵政非正規ユニオン委員長)
坂井留吉(六ケ所村・「核燃から漁場を守る会」)
佐久川政一(沖縄大学元教授)
佐藤幸子
三里塚芝山連合空港反対同盟
椎名千恵子
下田禮子(反戦被爆者の会、8・6ヒロシマ大行動呼びかけ人)
シンディ・シーハン(アメリカ反戦の母)
神保美彦(仙台市職員組合副委員長)
末光道正(八尾市議会議員・八尾北医療センター院長・医師)
須賀華呼(NONAME)
杉井吉彦(国分寺市・本町クリニック院長・医師)
鈴木光一郎(酪農家)
鈴木達夫(弁護士・元日放労長崎分会委員長)
清野和彦(元福島県教職員組合委員長)
高山俊吉(弁護士)
武内更一(弁護士)
土井淑平(人形峠ウラン鉱害裁判・フリーライター)
富田翔子(アーティスト)
中島健(被爆2世、8・6ヒロシマ大行動呼びかけ人)
中道雅史(青森県反戦反核学習会実行委員会)
中村圭司(愛媛県職員労働組合副委員長)
永野佳世子(東京北部ユニオン書記長)
西川重則(とめよう戦争への道!百万人署名運動事務局長)
西村綾子(前相模原市議会議員・湘北合同労組副委員長)
二本柳実(三浦半島地区教職員組合)
橋本光一(国労郡山工場支部書記長)
花澤俊之(弁護士)
葉山岳夫(弁護士)
福地曠昭(元沖縄県教組委員長)
藤田城治(弁護士)
松井英介(岐阜環境医学研究所長・医師)
松江寛人(がん総合相談センター所長・医師)
松浦武生(島根人類愛善会会長、さよなら島根原発ネットワーク)
松元ヒロ(コメディアン)
間山正茂(青森県八戸・南部バス労組執行委員長)
三角忠(8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会)
皆川学(元NHKプロデューサー)
宮村みつお(美ら島沖縄大使・琉球アーティスト)
森川文人(弁護士)
矢ヶ崎克馬(琉球大学名誉教授)
柳沢裕子(船橋二和病院医師・千葉勤医労)
山田真(子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク代表)
山本太郎(俳優)
吉田義久(核問題研究情報センター代表、元相模女子大教授)
吉田良順(高陽病院医師、8・6ヒロシマ大行動呼びかけ人)

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月刊『国際労働運動』(444号8-1)(2013/08/01)

■国鉄と原発の関連年表

82年11月 中曽根政権登場(87年11月まで在任)
 国鉄分割・民営化攻撃と核・核燃サイクルの攻撃
83年 中曽根「下北を原子力のメッカに」と発言
85年 高速増殖炉「もんじゅ」建設開始
85年11月 国鉄分割・民営化に反対し動労千葉第1波ストライキ
86年2月 動労千葉第2波ストライキ
87年 国鉄が分割・民営化される。JR発足
87年 日米原子力協定改定、核燃サイクルで合意。六ケ所村の再処理工場の許可申請
89年 総評解散−連合結成
90年 1047名の国鉄労働者が清算事業団から解雇
95年 日経連、「新時代の『日本的経営』」出す
03年 イラク侵略戦争、小泉は自衛隊を派兵
08年 リーマンショック、世界大恐慌本格化
09年 民主党に政権交代、鳩山内閣登場
10年 1047名解雇めぐる政治和解、闘争終結狙う
 「国鉄闘争の火を消すな」6・13国鉄闘争全国運動集会に1635人

●2011年

2.1、2 動労千葉が春闘第1波スト
2.16 国鉄集会に820人
3.11 東日本大震災と津波で東京電力福島第一原発が大事故。1〜4号機の原子炉と使用済み燃料プールは冷却不可能に。菅首相が原子力緊急事態宣言を発令。防衛相が自衛隊に原子力災害派遣命令。米軍が「トモダチ作戦」を発動。事実上の「周辺事態法」発動
3.12 1号機原子炉建屋で水素爆発
3.14 3号機原子炉建屋で水素爆発
3.15 2号機の圧力抑制プールで異常発生、大量の放射能放出。4号機原子炉建屋で水素爆発
4.1 20`圏外に計画的避難地域を設定
4.9 文部科学省、福島の子どもたちの年間被曝許容量を年間20_シーベルトに
4.10 杉並高円寺、反原発1万5000人がデモ
4.22 半径20`圏内を立ち入り禁止の「警戒区域」に。「計画的避難区域」「緊急時避難準備区域」も設定
5.7 反原発≠ナ1万5000人の渋谷大デモ
6.5 国鉄決戦と反原発闘争を宣言した国鉄闘争全国運動集会、1780人結集
8.5 広島市で「すべての原発いますぐなくそう!全国会議(NAZEN)」結成集会
9.3 野田内閣発足
9.11 再稼働阻止・野田反動政権打倒で反原発大デモ、新宿1万先頭に全国3万立つ
9.19 東京明治公園、労働組合の底力示す6万の大結集、福島の怒り、世界にとどろく
10.8、13 動労水戸、被曝労働拒否でスト
11.24 和解拒否の国労闘争団、組合員資格確認訴訟
11.6 日比谷野音で動労千葉など3労組主催の反原発・反失業の集会、6000人が結集
12.16 野田首相「福島原発事故収束」と表明

●2012年

1.10 動労千葉、京葉車両センターで外注化阻止のスト
2.11 代々木公園に1万2000人、再稼働阻止
3.11 福島県民大集会、1万6000人結集
4. 1 動労千葉、外注化阻止へ戦闘宣言
5.5 「原発ゼロの日/さようなら原発5・5集会」が芝公園で開催され5500人が集まった
6.10 国鉄闘争全国運動集会に1800人
6.16 野田首相、大飯原子力発電所3、4号機の再稼働を正式決定
6.15、16 再稼働弾劾、首相官邸前に1万人
6.22 首相官邸前に4万4000人
6.29 首相官邸前に20万人
6.29 動労千葉鉄建公団訴訟、東京地裁で白石判決。不当労働行為認めながら解雇容認
7. 6 首相官邸前に15万人
7.16 さようなら原発大集会(代々木公園)に17万人
7.29 反原発、20万人が国会包囲
7.30 動労水戸、除染作業強制に抗議しスト
8.5-6 ヒロシマ大行動、独ゴアレーベン反対同盟と連帯
8.28 動労総連合、強制出向粉砕・偽装請負弾劾の24時間スト
8.24 原子力規制委員会人事案閣議決定に怒り、官邸・国会前に数万人
9.26 動労水戸、出向通知に怒りのスト
10.30 JR東日本、「経営構想X」出す
10. 1 動労千葉、外注化に怒りの60時間スト
11. 4 外注化阻止・非正規職撤廃労働者集会
11.11 反原発20万人、霞が関占拠
12. 1 「ふくしま共同診療所」開院
12.16 衆院選、杉並で山本太郎さん7万票獲得
12.26 安倍内閣登場

●2013年

2.17 2.17労働者集会、650人が結集
3. 1 ビキニデー杉並集会
3.11 反原発福島行動に1380人
3.9-11 全世界で反原発集会とデモ
5. 8 東京高裁が動労千葉鉄建公団訴訟の結審強行
6. 2 再稼働阻止、国会前を8万5000人が包囲
6. 9 国鉄闘争全国運動集会に1800人

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