2008年3月31日

〈焦点〉 中国人民の総反乱の突破口

週刊『前進』06頁(2337号3面3)(2008/03/31)

〈焦点〉 中国人民の総反乱の突破口
 チベット暴動と胡錦濤体制の危機

●チベット人民への虐殺弾劾!
 3月10日のラサでのデモに始まったチベット人民の闘いは、瞬く間に激化・拡大し、中国スターリン主義の支配を根底から揺るがす大闘争となった。武装警察や軍隊の出動による残虐な弾圧は人民の怒りの火に油を注いだ。暴動はラサからチベット自治区全体へ、さらに隣接する甘粛省、四川省、青海省などへと次々に拡大。チベットの独立を求める文字どおりの全民族的な蜂起へと発展した。
 これに対して中国スターリン主義が加えた凶暴きわまりない武力弾圧と虐殺は、断じて許すことができない。中国政府当局は、ラサでの僧侶のデモ発生を聞くや直ちにこれを警察によって暴力的に解散させた。そしてこれへの抗議と怒りが暴動となって爆発すると、軍と警察が全市を封鎖して戒厳体制を敷き、抵抗する者に即座に発砲し射殺した。さらにチベット人の外出を一切禁止した上で、その住居をしらみつぶしに捜索し、当局への恭順の意を示さない者は片端から連行し拘束した。
 同様の封鎖と弾圧は甘粛省や四川省でも大規模に繰り返された。この過程で虐殺された者は少なく見積もっても140人以上、負傷者は数百人と言われている。
 中国政府は、事態の本質が中国スターリン主義政権の過酷な民族抑圧に対するチベット人民の蜂起であることを隠すために、暴動は国外の「ダライ・ラマ一派」による「計画的な犯行」「北京五輪の破壊を狙ったもの」などとキャンペーンしている。また内外の報道機関に異様なまでの報道管制を敷き、血塗られた弾圧の実態を覆い隠すことに必死になっている。だがそれは怒りをさらにかきたてるものでしかない。24日には四川省で再び大規模な激突が起きた。闘いの火は今や、ますます深く燃え広がろうとしているのだ。
●民族抑圧への怒りが噴出した
 重要なことは、今回のチベット人民の決起が、青年を先頭に、ダライ・ラマを指導者とする従来のチベット民族運動をものりこえる形で闘われていることである。ダライ・ラマ自身が、現在の運動は「われわれの掌握できる範囲を超えている」「制御できない」と告白している。そこにあるのは、1950年代の中国軍によるチベット軍事制圧以来の過酷な民族抑圧に対する、半世紀にわたる積もりに積もった怒りの爆発である。
 中国スターリン主義はその抑圧体制維持のために、中国農民と労働者から極度の収奪を行う一方、国内の諸民族を抑圧・分断して漢民族が他を支配する体制をつくり上げた。とりわけチベットについては、この地域を中国国境の西の軍事拠点として、また核実験場として確保するために民族自決権を絶対に認めない政策をとった。チベット仏教への大弾圧を始め民族の文化をも破壊し、チベット全域を一種の軍事監獄下において徹底的な抑圧政策を続けてきた。
 1989年の天安門事件当時には、民主化を求める北京での闘いと並んで、チベットでも激しいデモが闘われた。これを鎮圧した「功績」を買われて中央指導部になったのが現在の胡錦濤だ。
 21世紀に入ると、中国政府は弾圧の一方でチベット人民への懐柔政策をも強めた。国家財政を投じた「西部大開発」を推進し、ダライ・ラマをも「高度な自治」の要求という中国との交渉路線に引き込んだ。だが鳴り物入りで推進された経済開発も、チベットに進出した漢族の企業や商店主を富ませただけで、チベット人民の貧困化と民族格差はさらに進んだ。
 闘うチベットの青年は、これらの一切と対決し、ついに「独立」を真っ向から掲げてスターリン主義体制との非和解の激突を開始したのだ。これこそ、胡錦濤らの中国指導部をかつてない危機にたたき込み、絶望的凶暴化に走らせている最大の原因だ。
●反帝・反スタ世界革命勝利へ
 今や、チベットの決起が、新疆ウイグル自治区を始め中国スターリン主義の民族抑圧に苦しむ諸民族の新たな決起を呼び起こすことは不可避である。さらに、それ以上に一層重大なことは、この闘いが、すでに中国全土にわたって始まっている労働者や農民の大反乱と結びつくことだ。
 中国国内での労働争議は年々急増し、昨年には40万6千件に達した。開発で土地を追われた農民による暴動も続発し、かつますます大規模化している。世界金融大恐慌への突入は労働者・農民の困窮を一層激化させ、中国大陸を再び一大騒乱状態にたたき込むのは間違いない。3月5日から2週間にわたって開催された全人代(全国人民代表大会)では、この危機をどうのりきるかが最大テーマとなった。チベット人民の大決起はこれをまさに直撃したのである。
 米帝や日帝を始めとする国際帝国主義は、中国国内への帝国主義的介入と侵略を強める手段としてチベット問題を利用するが、中国人民自身の手による中国スターリン主義支配体制の打倒を実はまったく望んでいない。それは、プロレタリア世界革命への道を開き、帝国主義の世界支配の打倒に直結するからだ。だからこそ米帝は、中国政府と連動して「事態の鎮静化」に必死になっている。
 反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命こそ、全世界の労働者階級と農民、被抑圧民族の唯一の解放の道だ。闘うチベット人民と連帯し、この道を断固として突き進もう。