2008年9月 8日

〈焦点〉 対中輸出に依存する日帝直撃 中国バブルすでに崩壊へ

週刊『前進』06頁(2358号3面4)(2008/09/08)

〈焦点〉 対中輸出に依存する日帝直撃
 中国バブルすでに崩壊へ

 中国のバブル経済が北京五輪前の段階からすでに崩壊し始めていることが、今や明白となってきた。すでに株式と不動産はバブル崩壊の真っただ中にあり、今後さらに建設業や製造業でもバブル崩壊が必至だ。それは世界金融大恐慌の最後のとめ金を外すものとなる。それと同時に、中国情勢の大動乱、労働者人民の歴史的な決起の過程が完全に始まっている。
 株価(上海総合指数)は、02年に中国共産党の党規約を変えて資産家の入党を公認して以来、上昇し続けてきた。05年後半から07年秋までで500%も急騰した。株価収益率(株価がその株式会社の1株当たり利益の何倍になっているかを示す)は07年秋には70倍と、80年代後半の日本のバブル期並みになった。しかし07年10月をピークに、株価は8月末までで約6割も暴落した。中国の個人の証券口座数は07年5月には1億を超えた。今や7200万党員の6〜7割が株を持つと言われる。その株価が暴落しているのだから、中国経済への影響は大きい。
 不動産価格は、都市部では03年ごろから急騰してきた。07年の海外からの直接投資のうち、23%もが不動産向けだった。国内外の投資資金・投機資金が不動産に殺到していたのだ。しかし、都市部では昨秋から今年初めにかけて下落に転じた。深せん(シェンチェン)では07年10月のピークから今年5月までで36・5%も下がった。
 北京五輪に向けてバブル化してきた株式・不動産が、五輪を前にして崩壊し始めたのだ。
 さらに、一番のバブルが建設投資と製造業投資だった。この数年間、インフラとビルの建設が野放図に行われてきた。自動車など製造業や素材産業でも工場が乱立し、過剰投資・過剰生産が横行してきた。だがこれらが行き詰まるのも時間の問題だ。固定資産投資(建設投資と設備投資)は20%台で伸び続けてきたが、すでに1〜7月には10%台後半に鈍化した。
 バブル崩壊とともに輸出の頭打ち、インフレ、国有銀行の不良債権問題が表面化している。中国の貿易黒字のうち対米黒字は6割強を占めているが、米経済の不況化で対米貿易黒字が減りつつある。1〜6月の貿易黒字全体も前年同期比11・8%の減少となった。インフレも、7月の工業品出荷価格(卸売物価)が前年同月比10%上昇し、95年末以来の2ケタ台となった。また都市部の年間平均賃金も07年に前年比18・7%増となり上昇を続けている。これら一切が、収益を無視した融資を繰り返してきた国有銀行を直撃し、不良債権問題が爆発するのは確実だ。
 こうした中国経済の危機は、対中輸出で成り立ってきた日米欧経済を一段と不況化させる。特に日本の対中輸出額は7月には対米輸出額を上回った。日帝はいよいよ”最弱の環”に転落する。中国バブル崩壊で、世界金融大恐慌はますます本格的段階に入るのだ。
 すでに中国では農民暴動、労働争議やストが激発している。それが残存スターリン主義体制を揺るがす労働者と農民の大反乱に発展するのは不可避だ。11月労働者集会を「万国の労働者、団結せよ」のスローガンのもと闘いとろう。

 第2章 インフレに賃上げゼネストを 今秋も値上げのラッシュ

 物価上昇が止まらない。総務省が8月29日に発表した7月の全国の消費者物価指数は102・4となった。これは05年を100として、値動きの激しい生鮮食品を除いた総合指数だ。前年同月比では2・4%と、10カ月連続の物価上昇で、上昇率は6月の1・9%からさらに急拡大した。
 この上昇率は、消費税率引き上げでかさ上げされた97年〜98年を除けば、92年6月の2・5%以来、約16年ぶりの高さとなる。しかし実際のインフレは、こんな数字で表されるよりずっと深刻だ。
 何よりも生活関連物資の大幅な値上げが止まらない。7月は、ガソリンが前年同月比28・7%上昇したほか、灯油が53・2%、電気代が5・4%、都市ガス代が5・9%それぞれ上昇した。
 また穀物高を反映してスパゲティが32・0%上昇したほか、食パンや即席めんも20%程度の値上がり。主原料の大豆の高騰で、食用油も20・9%上昇した。航空燃料価格の高騰を背景に、外国パック旅行も上昇幅を拡大した。
 さらに9月以降も値上げラッシュだ。味の素は調味料など31品目を11月1日出荷分から5〜10%程度値上げする。日本水産は家庭用魚肉ハム・ソーセージや練り製品41品目を9月1日から平均20%値上げした。ミツカンも食酢製品37品目を8〜10%値上げし、「デフレの象徴」牛丼も松屋フーズが並盛りで350円から30円値上げする。いずれも原料や燃料の高騰が理由だ。10月には輸入小麦の政府売り渡し価格も10%上がる。
 さらに日産自動車も、商用車の販売価格を10月1日から値上げすると発表した。すでにトヨタ自動車がハイブリッド車プリウスや商用車計10車種を9月から値上げしている。白物家電でも、三菱電機や東芝、日立が、秋発売の冷蔵庫の新機種で市場想定価格を1万〜3万円(3・5〜10・7%)引き上げた。エアコンも三菱電機と日立が引き上げる方針だ。
 日本経済は、日銀が中長期的にみて物価安定の水準として掲げる上限の2%を超える物価上昇の過程に、今や突入している。すでに世界金融大恐慌が本格化し、世界的なインフレが爆発し、実体経済の景気後退と不況化も現実のものとなってきている。1929年の大恐慌をも超える最末期帝国主義の危機が爆発しているのだ。
 こうした中で、”最弱の環”である日本帝国主義は、まさに出口のない体制的危機に突入している。福田政権は、小泉改革=新自由主義攻撃の大破産に痛撃され、労働者や農民、漁民の「生きさせろ!」の怒りの反乱に直面して、1年前の安倍に続きまたもや政権を投げ出し、打倒された。
 世界的なインフレの爆発のもとで、日本でも燃料や食料など生活必需品の高騰は、今秋から09年に向けさらに進む。またこれと一体となってリストラ、首切り、賃下げの攻撃も新たに激化していく。
 本質的に革命の要求である一律大幅賃上げや「生きさせろ!」ゼネストなどを真っ向から掲げて、11月労働者集会の1万人大結集へ今こそ全力で闘う時である。