2009年12月14日

判決に対する国労5・27被告団の声明

週刊『前進』06頁(2420号3面1)(2009/12/14)

判決に対する国労5・27被告団の声明
 暴処法と共謀を粉砕する歴史的勝利
 向山被告に無罪、国労共闘6被告に罰金

 国労5・27臨大闘争弾圧裁判の1審判決を受け、同被告団が出した声明を紹介します。暴力行為等処罰法と共謀認定を打ち破った被告団の勝利に続き、国鉄決戦に総決起しよう。(編集局)

 歴史的大勝利をかちとる

 私たち国労5・27臨大闘争弾圧被告団は、11月27日の判決公判(東京地裁刑事第10部、植村稔裁判長)において、国労5・27弾圧の二つの柱である「暴力行為等処罰に関する法律」(暴処法)の適用と「共謀」の事実の認定を完膚なきまでにうち砕くという歴史的勝利をかちとりました。
 その結果、「首謀者」にデッチあげられ、懲役1年6月を求刑されていた国鉄闘争支援者の向山和光被告が無罪をかちとり、それぞれ懲役1年を求刑されていた国労共闘の富田益行被告に60万円、羽廣憲、東元の両被告に40万円、橘日出夫、原田隆司、小泉伸の各被告に20万円の罰金刑しか言い渡せないところまで裁判所を追い込みました。「暴処法適用」と「共謀認定」を斥けたにもかかわらず、裁判所は、私たちをなんとしても有罪に持ち込むために、国労共闘の6人に対して刑法の「暴行罪」を適用し、罰金刑を宣告してきたのです。
 この判決によって、私たちを罪に陥れようとした酒田充元委員長、吉田進元書記長、鈴木勉・笹原助雄・江田雄二ら国労本部派が、国家権力と結託して組織的に組合員を権力に売り渡したことが断罪されたのです。
 私たちは判決後、直ちに控訴するとともに、本件弾圧の張本人である国労本部への弾劾闘争に決起し、夕方、判決報告集会を520人の結集でかちとりました。この集会は暴処法と共謀を粉砕した勝利に沸き立つとともに、この弾圧を完全に粉砕し、国労本部を打倒し、1047名解雇撤回・JR体制打倒の国鉄決戦に勝利する決意をうち固めました。

 原則を貫いて闘えば必ず勝てる

 この勝利は第1に、私たち7被告が完全黙秘・非転向で闘った勝利です。このことによって、権力の最大の狙いである暴処法の適用を根幹からうち破るとともに、共謀の事実の認定をうち破ったのです。
 第2に、昨年2月の旧弁護団解任と5月の松崎被告との弁論分離をとおしてかちとった、労働者階級の団結の力のみに依拠して原則を貫く階級裁判の実践によるものです。
 第3に、1047名解雇撤回闘争を掲げて闘った11月労働者集会の大成功が切り開いた歴史的勝利です。5・27被告団と国労共闘が、国労本部打倒、1047名解雇撤回・JR体制打倒の責任勢力になることを目指して、階級的労働運動路線を実践したことによって切り開いたものです。
 総じて、被告たちが、更新意見、本人質問そして最終意見で陳述した生きざま、国鉄分割・民営化絶対反対を貫いた闘い、そして「資本主義の時代は終わった、俺たち労働者が主人公になる社会をつくるんだ」という固い意志からあふれ出るプロレタリアの階級的正義性が、裁判所を圧倒したのです。
 なによりも「原則を貫いて闘えば勝てる!」というプロレタリア的確信を示したことです。その基礎にあるのは団結の力です。そこには、被告団の団結、弁護人との団結と信頼、家族の団結と愛情があり、国労共闘の団結と闘い、7年間に及ぶ被告と家族の闘いを支えぬいた全国の仲間の団結と支援がありました。
 さらに、被告団は2008年4月、05年4月25日の尼崎事故を弾劾する現地闘争を動労千葉とともに全国闘争として開催するまでに押し上げ、今日、JR西日本が、組織的に「事故調査委報告書」の改ざんに手を染めるに至り、井手・南谷・垣内・山崎という20年におよぶ歴代4社長のJR体制そのものがデッドロックに突き当たるところまで追い込み、民営化粉砕・JR体制打倒の展望を大きく作り出しています。
 この5・27弾圧粉砕の勝利は、検察庁と警視庁公安部を直撃し、JR西日本・貨物資本を震撼させ、国労本部と4者4団体派を動転させ、そして松崎被告とその弁護団に巨大な打撃を与えています。
 佐藤弁護士は、動労千葉やス労自主に送った文書の中で、この判決に関して、「実質的に5・27弾圧を粉砕しました」などと言っています。7被告とその弁護団がかちとった勝利について、7被告に解任された佐藤弁護士にこんなことを言う資格はありません。怒りが湧き上がってきます。
 また、「ビデオ分析と証人尋問を全力でやり抜いたことが重要」などと言っていますが、「被告人質問」という言葉がありません。解任されることによって、法廷で弁解的釈明をする屈服方針を被告に強制できなくなったからです。私たちの「法廷においても実行行為の黙秘を貫く」という方針が、暴処法無罪と共謀粉砕の勝利を切り開いたのです。
 佐藤弁護士は、7被告の裁判についてあれこれ言う前に、松崎弁護団の最終弁論の準備から陳述までのみじめな破産の数々を総括しろ、と言いたい。

 暴処法=労働運動鎮圧法との闘いの勝利

 国家権力と国労本部が結託して強行した5・27弾圧は、暴処法を適用することで、国労共闘と1047名闘争が結合することを阻止しようとしたものであり、1047名解雇撤回闘争の解体攻撃そのものでした。
 11・27判決で暴処法の適用と共謀の成立を粉砕したことにより、5・27弾圧を根底から粉砕し、1047名闘争のその責任勢力としての位置を確立し、JR体制打倒、国労本部打倒の巨大な展望を切り開いたのです。
 暴処法は1926年、治安維持法と一対で制定され、戦前の労働運動・農民運動・水平運動への弾圧に猛威をふるった弾圧法です。そして戦後も延命し、労働運動や学生運動が高揚局面を迎えるたびに、「使い勝手のよい弾圧法」としてくり返し適用されてきました。
 その暴処法を、2000年代の世界大恐慌下、戦争と改憲、民営化・労組破壊、大失業攻撃と闘う労働者人民への弾圧の武器として駆使しようとした、権力の弾圧構造を、5・27弾圧との攻防という緒戦において全面的にうち砕き、そこに「でっかい風穴を開けた」意義の大きさは計り知れません。11月労働者集会の成功と一体で、世界大恐慌を世界革命へ転化する決定的地平をもぎりとったのです。 
 また暴処法は、法政大学学生運動への弾圧にも使われ、今なお8学生が獄中にとらわれています。5・27弾圧粉砕闘争で暴処法適用を粉砕したことは、8学生奪還に向けて最大の援軍となっています。
 共謀の成立を粉砕したことも重大な勝利です。検察官は、共謀を適用することで、国労共闘の6人に対して、自分の行為だけでなく、それぞれほかの5人の行為の責任も問うことで重罰を狙ったのです。また、向山被告に対しては共謀だけで起訴して、ほかの6人の行為の責任を問い、そうすることで7被告全員を懲役刑に処そうとしてきたのです。
 昨今、共謀について、その事実の厳格な立証なしに安易にその成立を認める傾向が強まる中で、本裁判において、共謀の成立を完膚なきまでに粉砕した意義は大きく、画期的なものです。

 追いつめられて罰金刑、実行行為の認定が判決の弱点

 以上のように、7被告全員が無罪であることが明らかであるにもかかわらず、ただただ有罪を出すという政治的結論にのみ基づいて、裁判所は国労共闘の6人に暴行罪を適用し、罰金刑を宣告してきました。
 だが、裁判所は、5・27臨大に対する国労共闘のビラまき・説得活動が「組合活動の一環として、憲法28条〔労働基本権〕の保護のもとにある」ことを認め、「ビラを受け取ろうとしないなどの本部派組合員の態度に立腹した結果の犯行」と国労本部派側の責任を認めています。また「国労内部に長期にわたる深刻な路線対立があったこと」や大会会場が機動隊で包囲され、ビラまき・説得活動は代議員宿泊所前しかなかったこと、5・27臨大が闘争団員を統制処分にかける大会であったこと等、国労共闘の5・27当日の行動がやむにやまれぬものであったことを認めています。
 そこからでてくる結論は、7被告全員の無罪しかありません。
 しかし、裁判所は、国労共闘の6人の「有形力の行使」は「法秩序全体の見地からして社会的に許容される程度のものではない」と決めつけて罰金刑にしてきました。
 裁判所の事実認定は、ビデオテープの映像の特定や「被害者」の証言の引用がなく、具体性を全く欠くものであり、弁護人最終弁論の主張に反論できないことを自認するものです。
 この有罪判決を断じて許すことはできません。私たちは、直ちに控訴しました。控訴審で完全無罪をかちとります。
 さらに私たちは、現職である5人に対するJR西日本とJR貨物資本の有罪判決を口実とする懲戒処分攻撃を迎え撃ち粉砕します。

 民主党・連合政権打倒へ

 11月労働者集会の大成功と5・27暴処法弾圧を粉砕した力を出発点に、民主党・連合政権打倒に総決起しよう。
 民主党・連合政権は、〈戦争・改憲、民営化・労組破壊〉の攻撃を推し進め、現代版の産業報国会と大東亜共栄圏の攻撃を、連合と結託して推進しようとする極反動政権です。
 現在、労働者派遣法のもと、1千万人を超す労働者が非正規職にされています。民主党・連合政権は、360万人公務員労働者全員解雇の道州制導入攻撃を強めるとともに、社保庁1千人解雇や日航1万3千人解雇の攻撃を強行しようとしています。これをうち破る力は、1047名解雇撤回闘争に労働者が全面的に決起することによって生まれます。
 1047名闘争の発展をとおして、闘う労働組合を甦らせ、民主党・連合政権を打倒し、大失業攻撃をうち返そう。

 検修外注化絶対阻止! 新たな1047名闘争勝利へ

 10月29日、JR東日本は検修部門の全面外注化を提案してきました。JRはこれを来年4月1日に強行実施しようとしています。
 ただちに、検修全面外注化絶対阻止・1047名解雇撤回、JR体制打倒へ、国鉄分割・民営化以来の大決戦へ突入しよう。
 11・27判決報告集会で、私たちはこれと全面的に対決し、2010年春季ゼネスト勝利と4・25尼崎事故弾劾闘争にいたる5カ月間決戦を宣言しました。
 検修部門全面外注化の攻撃は、職場丸ごとの出向攻撃であり、動労千葉、動労水戸の組織破壊と1047名闘争の解体、国労の最後的解体を狙う大攻撃です。この攻撃を許せば、安全のさらなる崩壊は不可避です。
 JR資本との癒着・結託体制の破綻という絶体絶命の危機に追いつめられた東労組カクマルは、そこから逃れるため、外注化攻撃との率先妥結を強行しました。彼らは、国鉄分割・民営化時の裏切りをまたも繰り返しているのです。資本の先兵=JR総連カクマルを許さず、4者4団体派の屈服をうち破って闘おう。
 私たちはまた、尼崎事故の真相を隠し、事故調報告書の改ざんに手を染めたJR西日本幹部・事故調幹部どもをJR体制もろとも打倒するため、反合・運転保安闘争に全力で決起します。
 私たち被告団が、動労西日本・九州闘争団(鉄建公団原告)と共に呼びかけた12・3JR西日本本社包囲闘争は130人の結集で、1047名解雇撤回、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕・有罪処分攻撃阻止、JR西日本の尼崎事故報告書改ざん弾劾をJR西日本とJR貨物に叩きつけ大成功しました。
 5・27裁判での暴処法弾圧粉砕の勝利に続き、法大裁判の勝利と獄中8学生の年内奪還へ攻め上ろう! ともに闘おう。
 2009年12月4日
 国労5・27臨大闘争弾圧被告団