2010年1月 1日

労働者の国際連帯で大恐慌と闘う 革共同・国際部

週刊『前進』12頁(2422号8面1)(2010/01/01)

労働者の国際連帯で大恐慌と闘う
 革命的インターナショナルへ 画期的前進が切り開かれた
 革命的共産主義者同盟・国際部

 11月集会がかちとった地平

 11月労働者集会の大成功、そして国労5・27臨大闘争弾圧裁判の勝利を頂点とする2009年の階級的労働運動の前進は、2010年決戦勝利への巨大な展望を切り開いた。
 その火ぶたは、11月集会直後に爆発した韓国鉄道労働者の無期限スト、米独を先頭とする教育労働者と学生のストライキと法大闘争の連帯の開始、そして動労千葉・動労水戸を先頭とした検修・構内業務全面外注化阻止の戦闘宣言などによって切られた。
 11月集会の成功とは何であったか。それは、世界大恐慌のもとで全社会、全世界にあふれる「生きさせろ」の叫びにこたえ、資本と権力への絶対反対、階級的団結の強化の立場に立って職場で闘う、すなわち動労千葉のように闘いぬくなら、絶対に勝利できることを示したことである。そして、労働者が主人公となる社会を自分たちの手で建設できることを全参加者が確認し、新たな闘いを宣言したことである。

 7月サンフランシスコ会議

 本稿の課題は、われわれの階級的労働運動の現在の到達点を、国際連帯の前進という視点を中心に明らかにし、それをかちとった闘いを総括し、全世界の労働者階級の勝利のために突破すべき壁、課題は何かを明らかにすることである。
 まず、11月労働者集会は、7月サンフランシスコ国際労働者会議の成功を踏まえてかちとられたことを確認したい。この7月会議は、1934年に世界大恐慌下のサンフランシスコで港湾労働者を先頭として闘われたゼネストの75周年を記念し継承しようと開かれた。ILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10、34とTWSC(運輸労働者連帯会議)が世界の労働運動・労働組合の戦闘的潮流に呼びかけて開催された。
 「世界大恐慌のただ中で労働者階級の革命的決起を、今こそやろう」という呼びかけにこたえて動労千葉は決起した。体制内労働運動と諸潮流の総屈服の中で、動労千葉は「闘う労働組合は世界大恐慌にどう立ち向かうべきか」「労働者が国際的に連帯しなければ、この大恐慌情勢に立ち向かうことはできない」(『サンフランシスコ国際労働者会議報告集』座談会での田中康宏委員長の発言)という立場を鮮明にして訪米団を結成し、日本の階級的労働運動を代表して参加した。
 この時代における労働者階級の立場は、世界大恐慌を「資本主義の歴史的生命の終わり」として根底的にとらえ、プロレタリア世界革命を真っ向から対置することである。そして、労働者階級の革命的自己解放性を徹底的に信頼し、プロレタリア独裁権力の樹立、労働者階級の勝利によって、社会の主人公になる以外に労働者は生きていけないことを徹底的に明らかにして闘うことだ。
 国際労働者会議は、動労千葉訪米団の提起した「国鉄1047名解雇撤回闘争支援、法大闘争支援、11月労働者集会への結集」の決議を満場一致で採択し、「11月には日本で会おう!」のあいさつで終了した。
 戦争と民営化、組合つぶし攻撃との闘いを路線的にすえきった動労千葉の主張は、体制内労働運動指導部の総屈服と闘う各国の戦闘的労働組合の仲間たちに大きな共感と感動を与えた。これまで連帯を深めてきた韓国の民主労総、アメリカのILWU(およびUTLA〔ロサンゼルス統一教組〕)の仲間との結合を深めただけでなく、初めて知り合ったブラジル、トルコ、フィリピンなどの戦闘的労働組合の仲間たちとのあいだでも、直ちに感動的な交流が開始された。動労千葉が労働者階級の革命的自己解放性をとことん確信し、絶対反対、階級的団結の強化を総括基軸にして、資本・権力との闘いを職場を基礎に闘いぬいてきたことが、全世界で苦闘する労働組合活動家の心を激しくとらえたのだ。
 この会議での「国鉄1047名闘争支援」を中心とする決議に壊滅的な打撃を受け、激甚に反応したのがカクマル=JR総連である。彼らは絶望的な危機の中、延命のために「戸塚文書」を発行して国際的にばらまき、国鉄分割・民営化攻撃への屈服を労働運動の「華麗なる変身」などと恥知らずにも開き直った。だが、このような策動は、動労千葉による壊滅的な批判によって粉砕された。動労千葉と国鉄1047名闘争の階級的正義性が、そして対極ではJR総連カクマル=松崎の反労働者性が、新自由主義攻撃の根幹をなす民営化問題においてますます明らかになった。
 会議はまた、労働者階級の国際連帯とは、紙の上、あるいは口先だけのやりとりや儀礼的なメッセージの交換にあるのではないことをはっきりさせた。あくまでも職場の実践を踏まえ、資本・権力との闘いによって鍛えられた戦闘的労働組合の活動家の魂のぶつかり合いを基礎にして、どのように闘って勝利するかをめぐっての真剣で実践的な討論でなければ、一切は空語なのだ。こうしたサンフランシスコ国際会議の成果と教訓の上に、11月集会が準備されたのである。

 動労千葉労働運動の普遍性

 11月集会はまさにこのようなものとして、09年の世界大恐慌下における各国の職場での苦闘とその成果を反映するものとしてかちとられた。
 11月労働者集会の成功の要因は、第一に、国鉄1047名解雇撤回闘争を、大恐慌に立ち向かう労働者階級の闘いの基軸として打ち出し、路線的に貫徹したことである。帝国主義の新自由主義攻撃=国鉄分割・民営化に対し、国鉄1047名闘争は真っ向から立ち向かい、20年間にわたって闘い続けてきた。動労千葉はその先頭に立ち、首をかけ数次のストライキを貫徹してきた。これが、世界大恐慌下で大量解雇、非正規職化、派遣切りなどが労働者に襲いかかっている今、階級的団結の強さを実証した闘いの指針として、内外の参加者の心からの感動を呼んだのである。
 ちょうど7月国際会議から11月労働者集会の過程で激しく闘われた韓国サンヨン自動車労働者の工場占拠闘争は「首切りは殺人だ。整理解雇反対」という血の叫びをあげていた(民主労総ソウル地域本部のチェジョンジン本部長の発言より)。大失業攻撃に対する闘いが階級闘争の中心的なテーマとなっている現在、解雇撤回を要求する闘いとその勝利の路線が、11月労働者集会の中心的テーマとしてはっきりと提起されたことが第一の意義であり、成果である。
 第二に、11月集会そのものの戦闘的大衆的な衝撃力が、韓国、アメリカ、ブラジル、ドイツの組合代表、活動家たちに深い感銘を与えたことである。
 各国の代表は11月集会で、国鉄1047名闘争団を始めとして次々に登壇する労働者・農民・学生の発言に非常に注目した。賃下げ、首切り、社会保障解体攻撃との職場における闘いを報告し、体制内労働運動の壁を突き破る決意を述べる現場労働者=ランク・アンド・ファイル、青年労働者の発言、三里塚の農民、法政大学の学生などの発言に真剣に聞き入っていた。
 そして世界大恐慌下の労働者階級の状況が、国境をこえてどこでも基本的に同じであり、同じ攻撃、同じ敵と闘っていることを感動をもって受け止めた。まさに労働者階級に国境はないこと、労働者と農民、労働者と学生の連帯闘争が持つ巨大な可能性を実感をもって確認したのである。
 さらに今回、7月〜11月の過程で、闘う労働組合のあいだで戦略的路線的な討論が国際的に開始された。そして新たにブラジル、トルコ、フィリピンの闘う労働組合、ドイツの闘う仲間との国際連帯の開始をかちとることができた。この事実は、まだわれわれと直接、国際連帯の絆(きずな)を形成しえていない世界各地の労働者人民、労働組合との巨大な規模での合流・連帯が必然であり、可能であることを示している。
 第三に、共通の現実を確認した上で国際連帯の強化・拡大のために取り組むべき課題が明確になってきたことである。恐慌の激化の中でますます熾烈(しれつ)化する帝国主義の攻撃、すなわち〈内に向かっての階級戦争、外に向かっての侵略戦争>とどう闘うか、どうやったら資本・権力との非妥協の闘いを貫徹し、階級的団結を固めることができるのか、そして資本主義=帝国主義を本当に打倒して勝利できるのか。その方針、路線、それを基礎付ける思想が、真剣に熱烈に求められている。そのことが、7月サンフランシスコ会議にひき続いて、国際連帯の切実な課題として浮かび上がった。
 海外からの参加者は、「数百人の組合員の動労千葉が、産別をこえ地域をこえて、どうしてこれだけ多くの労働者、労働組合活動家を11月集会に結集できるのか」と、動労千葉に真剣に質問してきた。
 民主労総ソウル地域本部に結集する活動家と動労千葉は、08年から「理念交流」の活動を続けてきた。労働運動・労働組合の現状と総括、階級的労働運動の向かうべき道、労働者階級の階級的解放、自己解放の道についての熱心で真剣な討論が数回にわたって積み上げられた。09年はさらに突っ込んだ討論が、日韓活動家のあいだで展開された。

 革命的な労働者党が現場の切実な要求に

 第四に、情勢の激動化、革命情勢の成熟の中におけるこうした国際連帯の質的深化は、労働者階級自己解放の道を示す単一の革命党、革命的労働者党を全世界的に建設する必要性を提起している。このことが各国代表から訴えられたことである。
 「私たち自身の党、労働者の利益のために闘う労働者の党を建設しなければなりません」(ILWUローカル10のレヴィージさん)。つまり、労働者の革命的国際組織や革命的労働者党の建設が、職場で闘うランク・アンド・ファイルから、切実な要求として提起されているのである。
 第五に、11月集会は5850人の結集によって大成功をかちとった。この成功は現在、資本と権力の攻撃にさらされながら、体制内労働運動の支配下で階級的団結を奪われ、いまだ本格的闘いに立ち上がれていない6千万労働者階級の総決起を実現し、プロレタリア日本革命=世界革命をかちとっていくための確実な一歩である。とは言え、本格的な闘いはまだこれからだ。
 危機に立つ日帝ブルジョアジーの新自由主義攻撃の手先となってきた連合指導部は現在、鳩山民主党政権の中枢ポストを占め、「無駄をなくす」というスローガンをもって階級戦争の実行者となっている。このような反労働者的な労働運動指導部を打倒し、資本と闘う階級的武器である労働組合を現場労働者の手にとり戻そう。
 そして、この課題は日本だけでなく、韓国、アメリカを始め体制内労働運動指導部と激突している全世界の労働者の共通の緊急課題であることが明らかにされた。「多くの労働組合は、企業救済を支持し、譲歩交渉に明け暮れています」「私たちはこれと異なる立場に立ち切らなければなりません」(ブラジルCONLUTAS〔全国闘争連盟〕ボスコさん)。

 われわれの突破すべき課題

 われわれには何が問われているのか。まず何よりも第一に確認すべきことは、時代認識と思想と路線を明確にして、職場の闘いを貫徹することである。
 階級的労働運動は、「帝国主義=資本主義は歴史的生命が終わっている」という確固とした認識、「労働者階級こそが資本主義を転覆し、新たな時代を切り開く力をもっている」という階級的確信に基礎づけられた運動である。そして帝国主義打倒のために、目的意識的に労働者の闘いを方向付け、組織していく革命的路線を基礎に持つ運動である。このことによって資本・権力との非妥協的な絶対反対の闘いを、階級的団結を固めつつ闘っていくのである。これを可能にするのが、「万国の労働者、団結せよ!」と呼びかける労働者階級の自己解放の理論、すなわちマルクス主義だ。労働者の国際的共通語はマルクス主義である。
 その真価が試されるのは、あくまでも職場における闘い、実践である。資本、権力との非和解的対決を、職場の仲間を信頼し階級的団結を強める闘いとして徹底的にやりぬくことだ。それをつうじて“動労千葉派”“11月集会派”、つまり階級的労働運動の担い手をもっと多くの職場につくりだし、連合・全労連などの体制内労働運動の支配を覆していくことである。
 第二に、これは11月集会に結集した世界の戦闘的労働組合の仲間たちと共有している課題であり、国際連帯の強化、拡大の中で果たされていくのである。われわれの職場での闘いは国際連帯と直結しているのだ。
 労働者階級は世界的にひとつの階級である。一切の生産手段を奪われ、資本家に自分の労働力を商品として販売しなければ生きていけないという共通の階級的立場に立っている。そして資本家階級を打倒し、全社会の主人公となり、新たな社会を建設していく力をもっている。だから労働者階級の自己解放は、プロレタリア世界革命としてのみ実現されるのだ。
 第三に、しかし現実には労働者はブルジョアジーの階級支配によってさまざまな形で分断され、階級的団結を破壊されている。体制内労働運動指導部がこの分断を促進している。したがって労働者階級は意識的に国際連帯をつくりあげ、ブルジョアジーとその手先=体制内労働運動指導部と断固として闘うことをもって、労働者階級の解放をかちとっていかなければならない。
 動労千葉が軸となって03年以来粘り強く築き上げてきた日韓米の階級的国際連帯、そして今回、新たに合流したブラジルを始めとする闘う労働組合との連帯は、こうした意義をもつものである。階級的労働運動の核心である〈時代認識と思想と路線>の確立が、国際連帯の前進のための緊急の課題として提起されている。

 時代認識と思想、路線をめぐる国際的討論

 第四に、この〈時代認識と思想と路線>をめぐる国際的な討論の開始は、その基礎にあるマルクス主義、より正確にはスターリン主義によって歪曲されてきたマルクス主義を、労働者の手にとり戻す闘いとして行われるのである。スターリン主義は、「労働者階級の自己解放」というマルクス主義の核心を徹底的に破壊し、歪曲(わいきょく)した。その結果生じたことは労働者階級の自信喪失であり、労働者階級の革命性の否定、労働者を低く見る思想のまんえんである。「労働者を軽んじ、蔑視(べっし)する考えに取り込まれない限り労働者は必ず勝てる」(中野洋・動労千葉前委員長『新版・甦る労働組合』4㌻)
 スターリン主義によるマルクス主義の歪曲は、〈労働組合と党の関係>という核心的問題にも及んでいる。国際連帯の闘いは、7月国際労働者会議を経て11月集会をめぐる国際交流において、国際的労働者党の建設を課題とするに至った。世界大恐慌、労働者階級の全世界的決起の開始、体制内労働運動との激突の中で、労働組合と党を「限りなく一体」の関係として形成していかなければならない。
 第五に、世界の最も戦闘的な労働組合のあいだで一致がかちとられた共通の課題、すなわち戦闘的労働組合の国際連帯組織を形成すること、さらに革命的な労働者の党を建設するという課題の核心は何か。それは、あくまでも職場での実践に絶対的基礎を置くこと、それをより広大な戦線に位置付ける条件を拡大し、資本・国家権力に対する闘いの実践によって絶えず検証し、労働者が労働者自身の力によって物質化していくべきものだということである。
 労働者階級の自己解放のために必要なのはどのような党なのか。そういう党を労働者がどのようにしてつくっていくのか。党と労働組合との関係はどのようにあるべきなのか。——こうした課題をめぐって討論が開始されている。重要なことは、それは各国の階級闘争・労働運動の歴史、党派闘争・党派の形成、労働組合や党のあり方などの独自の経験を踏まえて行われなければならないのである。
 革共同の綱領草案は、新たな国際連帯のひとつの起爆力となることは確実である。わが綱領草案は、1991年5月テーゼから01年の革共同6回大会、そして06年以来の「党の革命」の中で、転向スパイ集団=塩川一派を追放し、労働組合に基礎をおいた階級的労働運動路線を確立し、この労働者の自己解放性をしっかり踏まえた党を再形成する闘いの結実としてかちとられたものである。各国の闘う労働組合とその組織・党もそれぞれ独自の歴史と闘いを有している。したがって討論はこうした現実的な基礎を徹底的に踏まえて貫徹されなければならない。

 国鉄決戦と春季ゼネストへ

 11月労働者集会では、日韓米の戦闘的労働運動、労働組合が、それぞれの国の職場での原則的な闘いを基礎にして国際的に団結し、世界大恐慌に真っ向から立ち向かい、資本の支配を打倒して「労働者が主人公となる社会をつくろう」と高らかに宣言した。今回、新たにブラジルに代表される中南米の戦闘的労働運動、そしてドイツを突破口とするヨーロッパの労働運動の闘う潮流との合流をかちとり、全世界の労働者階級の怒りの声を階級的労働運動の一大潮流として結集していく手がかりをつかんだことは決定的である。
 新しい2010年を迎えて、われわれは反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命の勝利へ歴史の扉を開きつつある。第1次世界大戦への第2インターナショナルの屈服に抗して、レーニンは帝国主義戦争に反対する原則的な勢力を結集し、新たな革命的インターナショナルの基礎を形成していった。われわれはこの闘いと同様の革命的、世界史的な闘いに挑戦している。本格的な闘いはこれからだ。
 11月労働者集会でかちとった階級的労働運動の国際的団結のもとに結集し、プロレタリア世界革命の勝利に向かって、国鉄決戦と春季ゼネストをもって2010年決戦を切り開こう。