2010年3月 8日

国鉄・三里塚・沖縄・法大決戦の爆発で民主党・連合政権を倒せ 斉田猛

週刊『前進』06頁(2430号4面3)(2010/03/08)

団結と闘争拠点を守り抜き国鉄・三里塚・沖縄・法大決戦の爆発で民主党・連合政権を倒せ
 斉田猛

 天神峰現闘本部裁判の判決闘争で2月25日、政府・国土交通省、成田空港会社(NAA)が最大の狙いとしていた強制「仮執行宣言」を粉砕する勝利をかちとった。しかし、仲戸川隆人裁判長は、反対同盟の地上権・賃借権については全面否定し、控訴審における再度の「仮執行」策動に道を開いた。この攻撃と一体で成田市とNAAによる団結街道の廃道化攻撃も激化している。3月1日、市東孝雄さんの畑に通じる付け替え道路の着工を強行してきたのだ。3・28三里塚全国総決起集会は、現闘本部、団結街道、市東さんの畑という闘争拠点そのものをめぐる大決戦となった。動労千葉のJR検修全面外注化阻止決戦、沖縄決戦、法政大学決戦と結びついた三里塚2010年決戦の革命
的な新地平を奪取する闘いとして昨年10・11全国集会を上回る結集をかちとろう

 2・25本部裁判判決仮処分宣言を粉砕

 一審判決から即、現闘本部建物の撤去を許すのかどうかをかけた天神峰現闘本部裁判は、国交省、NAAの手先=千葉地裁・仲戸川裁判長をぎりぎりと追いつめ、ついに「仮執行宣言」策動を粉砕した。
 「仮執行宣言」は、判決の確定を待たずに一審段階で現闘本部の強制撤去を可能にする前代未聞の反動判決だ。2・25闘争を頂点に反対同盟は、6年間22回にわたる弁論、5回の裁判官忌避・仲戸川罷免請求、十数回に及ぶ地裁前情宣、北原鉱治事務局長、萩原進事務局次長の法廷証言など、三里塚民事裁判における最大・最高の闘いを積み上げ、ついに仲戸川の策動を粉砕したのだ。
 当日の総括集会で萩原事務局次長は「反動判決を押し返した」「闘えば勝てるということだ」とその勝利感を表現した。(他方、仲戸川裁判長が反対同盟の明々白々な権利である現闘本部への地上権、賃借権を、裁判の公正さすらかなぐり捨てて否定し去った暴虐を控訴審闘争の爆発で必ず覆さなければならない)
 国交省、NAA、成田市は「仮執行宣言」判決が出ることを寸分も疑わず、現闘本部撤去の準備工事を開始していた。1月21日〜22日、空港会社は現闘本部東側の竹林を強行伐採し、監視カメラ、投光機を設置した。さらに機動隊1個小隊を常駐させ、重機を投入し、強制撤去に向けた整地まで開始したのだ。
 これと連動して成田市は2月3日、NAAと連れ立って市東さん宅に現れ、なんと団結街道の廃道化案を3月議会に提出すると通告したのだ。これらすべての動きが2・25判決での「仮執行宣言」を折り込んだ動きだった。「仮執行宣言」を粉砕した闘いは、権力側のスケジュールの一切を吹き飛ばした決定的な勝利なのだ。
 新聞報道では「NAA困惑」「想定外、残念……」(2・26千葉日報)と彼らの打撃感を暴いている。
 そうであればあるほど国交省、NAA、成田市は攻撃を中断することはできない。「ハブ空港の位置を奪還せよ」という昨年10・12前原国交相の発言を見るまでもなく、民主党の攻撃は、まったく余裕のない綱渡り政策だ。一瞬でも攻撃の手を緩めた瞬間に全体が動揺する瀬戸際なのだ。
 国交省、NAAは3月1日、仮執行宣言が粉砕され、直近での現闘本部破壊が不可能になったにもかかわらず、団結街道廃道化のための付け替え道路工事の着工を強行した。成田市議会で廃道化が決定されていないにもかかわらずだ。開始された2010年決戦は反対同盟の圧倒的主導の下、現地で激しく火を噴いている。
 2・25現闘本部裁判で「仮執行宣言」阻止の決定的勝利をかちとり、三里塚闘争は02年暫定滑走路開港時以来の大決戦をたぐり寄せている。3・28全国総決起集会は、この2010年決戦をさらに前進させるための大きな飛躍台だ。反対同盟の呼びかけに応え、全国から大結集しよう。

 日帝の延命策阻む反権力闘争の拠点

 世界大恐慌は2番底、3番底に向かってキリもみ的に拡大している。ギリシャにおける財政破綻と労働者人民のゼネスト決起を見よ。大恐慌の激化回避のための財政出動が逆に未曽有の危機を引き起こしている。それ以上に深刻なのが民主党・連合政権だ。借金(国債)が予算の6割にも達する未曽有の危機のもとで、財務大臣の菅直人が消費税増税にカジを切る一方、行政刷新大臣の枝野は「国の出先機関の統廃合で3万5000人の国家公務員を削減する」と言い放った。民主党・連合政権こそ、消費税増税と公務員労働者の大量解雇を強行する反人民政権だ。
 民主党政権が動労千葉、法政大学、沖縄と並んで三里塚闘争破壊にのめりこむ理由は何か。
 第一に、〈改憲・戦争と民営化・労組破壊〉の攻撃と「東アジア共同体構想」=アジア侵略・勢力圏化に延命の道を求める日帝が、アジア侵略のためのインフラである成田空港建設の拡大と三里塚闘争破壊に死活をかけているからだ。
 昨年10月12日の「羽田ハブ化」という前原国交相の発言は、その危機感をあからさまに表明したものだ。07年に自民党の安倍内閣のもとで提唱された「アジア・ゲートウェイ構想」を民主党「東アジア共同体構想」の立場から推進するものだ。
 アジア・ゲートウェイ構想で日帝は、その危機感を激しく語っている。「アジアにおいて日本が唯一の巨人である時代は終わった」「取り残される可能性があるのは日本」だとして最大の戦略分野として航空を挙げている。
 「航空の分野が、アジア・ゲートウェイ構想実現の最大の焦点と考える」と記し、「航空は、人、モノ、カネのすべての交流の基礎となる重要な戦略インフラ」「国民経済全体の視点から、スピード感をもって航空自由化の推進」などを行い「アジアや世界の活力を取り込め」とあおった。そして「航空政策を大転換し、アメリカ流ではない航空自由化(アジア・オープンスカイ)を、スピード感をもって戦略的に推進する」とした。
 このアジア・ゲートウェイ構想の考え方を具体的に推し進めたのが「羽田ハブ化」の前原構想だ。その中身は「自民党のできないことをやる民主党」の面目躍如であり、自民党下ではタブーだった「羽田ハブ化」に切り込み、成田の地元自治体・経済界の危機感をあおることで「成田・羽田一体化」による航空政策の大転換を強行しようとする攻撃だ。
 三里塚が決戦化している最深の根拠は、この日帝の延命策と正面から対決し、その前に真っ向から立ちはだかる構造にこそある。
 第二に、三里塚闘争が44年の歳月を経て、日本帝国主義を打倒する全人民の拠点としてそびえ立っているからだ。
 前述の前原の危機感こそ、1966年以来半世紀近くにもわたって「空港絶対反対・一切の話し合い拒否・農地死守」という不抜の闘争原則を、1ミリたりとも妥協することなく貫いてきた三里塚闘争の強靭(きょうじん)・不屈の原則に対する悲鳴だ。
 この三里塚闘争の神髄が、動労千葉・動労水戸を始めとした国鉄決戦、普天間基地撤去を求める沖縄県民、そして118人の不当逮捕に対して一歩も引くことなく対峙しぬく法大決戦と共振・共鳴した時、それは2000万青年労働者、6000万労働者の積もり積もった資本主義への怒りに火をつけ、日帝打倒・プロレタリア革命への大道を切り開くことは明らかだ。それは「生きられない」300万農民の決起へと連動する。
 こうした闘いの砦・三里塚と日帝は絶対非和解の関係に突入している。この砦を破壊する治安的攻撃として、現闘本部、団結街道、市東さんの畑を強奪する攻撃が襲いかかっている。帝国主義打倒の砦を守る闘いが三里塚2010年決戦という形で問われているのだ。
 当面する最大の闘いが3・28集会への総結集と大成功である。

 3・16成田市議会に怒りを集中せよ

 まさに三里塚では、現闘本部など絶対に引くことのできない闘争拠点をめぐった激突が開始されている。
 当面する闘いの方針は第一に、団結街道廃道化阻止の3・16成田市議会包囲闘争(午前10時、成田市内)に断固決起することだ。3月16日は市議会の最終日だ。2・26市議会包囲・傍聴闘争で明らかになったことは、市当局が足立満智子議員の質問に何ひとつ答えられず、市当局の廃道化方針があらゆる意味でデタラメだということだ。3・16闘争で成田市議会を追撃しよう。
 全国の三里塚を闘う仲間は、団結街道廃道化阻止、白紙撤回の弾劾文・抗議文を成田市長・小泉一成や成田市議会に集中しよう。この闘いで問われていることは、全国からの怒りの爆発だ。怒りを小泉市長らにたたきつけることだ。やつらを震撼させることだ。
 第二に、3・20イラク反戦7周年闘争を3・28闘争と一体の闘いとして爆発させることだ。3・20闘争は国鉄・三里塚・沖縄・法大決戦そのものだ。青年労働者・学生を先頭に渋谷を席巻する大デモを実現しよう。
 第三に、3・28闘争に昨秋10・11をはるかに上回る大結集をなんとしてもかちとろう。2010年決戦は始まったばかりだ。3・28闘争の爆発で団結街道の廃道を実力阻止する闘い、第3誘導路の工事実施計画変更申請—公聴会—認可処分を粉砕する闘い、何よりも時を経ずして始まる現闘本部裁判の控訴審闘争の勝利を実現しよう。
 そのためにも3・28全国総決起集会へ大結集しよう。