ZENSHIN 2000/01/01(No1939 p16)

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週刊『前進』(1939号1面1)

 2000年1・1アピール 

有事立法・改憲の自自公体制打倒し衆院選決戦勝利、名護新基地建設阻止・沖縄サミット粉砕かちとれ

 戦闘的労働組合の総結集で新潮流運動の大躍進かちとり連合=JR総連を打倒せよ

 革命的共産主義者同盟政治局

 はじめに

 来るべき二十一世紀がどのような世紀となるかは、本二○○○年決戦の帰すうにかかっていると言っても過言ではない。米日帝を始めとする帝国主義は恐るべき世界戦争の過程にのめり込もうとしている。その最大の焦点こそ、朝鮮および中国をめぐる帝国主義の大侵略戦争である。それは、必ずやアジア全域、そして全世界をのみ込んだ世界大戦規模の戦争に発展せずにはおかないものである。
 二十一世紀が未曽有(みぞう)の世界大戦の世紀と化してしまうか、あるいは輝かしい反帝国主義・反スターリン主義世界革命の世紀と化すか、わが革命的共産主義者の歴史的責務は重大である。
 かつて一九〇〇年の義和団事件を受けて幕を開けた二十世紀に続く二十一世紀もまた、中国と中国をめぐる米日帝を始めとする帝国主義の侵略戦争の動向が、世界史の方向を決定づけると言わなければならない。残存スターリン主義である中国の崩壊、中国大乱の情勢は、ソ連崩壊後の現代世界に内在し蓄積した全矛盾、帝国主義の基本矛盾の全面的な大爆発を引き出す世界戦争の火薬庫なのである。
 二十一世紀突入前夜である二〇〇〇年は、真に歴史の分岐点である。なぜなら米帝の世界大戦級の大侵略戦争に対応することのできる侵略戦争国家体制の確立のために、あるいはまた朝鮮・中国−アジアの独自の勢力圏化のために、日帝はいよいよ絶望的飛躍を成し遂げなくてはならないからである。日帝にとって二〇〇〇年は、帝国主義としての生死存亡をかけた暴力的突破の年なのである。
 また、わが日本労働者階級人民にとっても二〇〇〇年は、中国情勢を噴火山とする帝国主義の一大侵略戦争|世界大戦情勢の切迫をプロレタリア世界革命の勝利へと転化できるかどうかの歴史的階級決戦の年となった。その当面の最大の決戦課題は、いうまでもなく長谷川英憲氏を推し立てた衆院選決戦である。わが革共同は、二〇〇〇年を期して衆議院選挙決戦に総決起し、なんとしても勝利することを高らかに宣言する。
 自自公体制を基軸とし、かつファシスト石原を突撃隊とする大政翼賛会的政治体制の大反革命攻撃に正面から立ち向かい、打ち破ることのできる者はいったい誰か。恐るべき戦争政治の前に立ちはだかる者は誰か。今や改憲を唱え帝国主義ブルジョア政党に大転向を遂げた民主党、あるいは安保を容認し自衛権を推進する「愛国の党」=日本共産党スターリン主義であろうか。断じて否だ。彼らはもはや自自公体制の第五列にすぎない。
 長谷川英憲氏を先頭として、革共同こそは、有事立法・改憲大反革命に突進し労働者階級人民の利益を暴力的に踏みにじる自自公政権と、その突撃隊・ファシスト石原を打倒できる唯一の政党である。二〇〇〇年決戦の幕開けを、衆院選決戦の歴史的勝利で飾ろうではないか。
 二〇〇〇年決戦はまた、沖縄基地の再編・強化=SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)報告貫徹のための普天間基地の名護移設=新基地建設、那覇軍港の浦添移設、そしてそれと一体の七月沖縄サミット攻撃などの大反革命との決戦である。われわれは沖縄人民との連帯をかけて、新たな琉球処分ともいうべき攻撃を全力で粉砕しなくてはならない。
 二○○○年決戦は同時に、日本階級闘争の最強の砦(とりで)・三里塚をめぐる決戦である。沖縄闘争と固く結合し、三里塚農民との血盟にかけて三里塚闘争に総決起していこう。
 二〇〇〇年決戦はさらに、「祖国防衛」派へと大転向を遂げた連合およびその先兵=JR総連を解体する闘いを強力に推し進めると同時に、全国労働組合の新潮流運動の爆発的躍進を切り開く闘いである。われわれは、二十一世紀の遠くない将来、必ずや連合を打倒し、現代のファシスト=JR総連を解体することを宣言する。
 反帝国主義・反スターリン主義世界革命戦略と、「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」という、〈二つの連帯戦略と一つの打倒戦略〉を真っ向から掲げて、「激動期の行動原理」で武装し、社・共をのりこえ、ファシスト・カクマル=JR総連を打倒する真の労働者党を建設して、確信も固く闘うことこそが勝利の道である。
 いざ、二〇〇〇年決戦へ進み出よう。

 第1章 ガイドライン攻撃と対決し、2000年決戦への展望開く(99年総括)

 九九年は、世界大恐慌への突入情勢が現実的に開始され、帝国主義の危機、現代世界の危機が帝国主義の侵略戦争となって爆発し始めた歴史的な年であった。恐慌と大失業、大失業と戦争の時代への突入であり、日帝のガイドライン攻撃を始めとする一大政治反動攻勢と、労働者階級人民への資本攻勢、大衆収奪、生活破壊の攻撃は一挙に激化してきた。そしてそれは野党諸党、社・共既成指導部、連合、JR総連=カクマルなどの一大転向をつくりだし、階級闘争への制動は一段と強められた。
 しかし、恐慌、大失業、戦争の時代への突入ということは、階級闘争論的に言えばレーニンのいわゆる革命的情勢への接近ということであり、帝国主義、スターリン主義、社会民主主義、ファシストやファシスト労働運動によるどのような弾圧、抑圧、制動があろうとも、労働者階級人民の根底的な怒りは闘うアジア人民との固い連帯の中で必ず爆発してくるのである。そして、こうした時代の革命党の任務は、この労働者階級人民の国際的=階級的な決起の革命的爆発を確信し、その先頭に立ち、闘いの革命的階級的発展のために、階級性をますます鮮明にして闘いぬくことである。
 九九年の実際の闘いにおいて、われわれはこのことを、ガイドライン決戦への百万人民の決起、沖縄人民の一貫した苦闘的先進的決起、労働戦線における労働組合運動の階級的再生をめざす一連の決起の一体的前進の中に、がっちりと確信することができたのである。
 こうした意味でわれわれは、革共同として五月テーゼ・一九全総(二〇全総)の路線の基本的正しさを実践をとおして自ら確認できたと総括できる。

 第1節 (1)ガイドライン法成立を画期と する日帝の大反動攻勢

 まずはじめに、九九年における日帝の歴史的な超反動攻勢について、階級闘争の「ガイドライン下の階級闘争」への移行を確認するものとしてみていこう。
 第一に、日帝の本格的な侵略戦争準備が開始されたことである。日帝は米帝・NATOによるユーゴスラビア侵略戦争の爆発に鋭く反応し、日米安保体制の強化のもとで、朝鮮・中国―アジア侵略戦争に向かって本格的に戦争体制の構築に踏み切ってきた。
 第二に、新安保ガイドライン法が五月二十四日、国会で成立したことの反革命的大きさである。この五・二四国会強行通過が九九年における階級情勢全般を質的に大転換させたことは明らかである。
 第三に、自自公体制を基軸として大政翼賛会的政治体制の形成に踏み出したことである。日本共産党は「日の丸・君が代」法制化攻撃に賛成したことを始め、許すことのできない反革命的大転向を遂げた。さらに、ファシスト石原都知事の登場と自自公翼賛体制の成立という政治情勢の流れは、民主党の存立の危機を生み出した。民主党・鳩山はこれへの抜本的対応として改憲路線を公然と打ち出すにいたった。こうした政党レベルに続いて一層重大かつ深刻なことは、連合、全労連、JR総連などの労働運動レベルでの歴史的大転向が強行されたことである。
 第四に、ガイドライン体制の実体的確立の攻撃と、有事立法・改憲攻撃への本格的着手である。
 第五に、こうした一連の政治攻勢と一体となって、労働者階級への一大資本攻勢が展開された。これらの一大資本攻勢は、大恐慌の開始と国際的な争闘戦の激化の中で、帝国主義の延命のために一切の犠牲を労働者階級に転嫁しようとするものであり、究極的には数千万人の失業者を生み出し、職場と生活を破壊しようとする一大階級攻撃である。さらに、介護保険導入を始めとする戦後社会保障制度解体の攻撃が激化している。
 九九年から二〇〇〇年にかけての政治情勢は、このようにして戦後史上最大の転換点となった。戦後日本の議会制民主主義が名実ともに崩れ去り、ボナパルティズム的=大政翼賛会的政治ないしファシズム政治に向かって突き進むのか、それとも革命的内乱的状況に向かって前進していくのかをかけた歴史的な政治決戦が本格的に開始されたのである。

 第2節 (2)第三次安保・沖縄闘争の全人民的発展の始まり

 九九年におけるこのような帝国主義的攻勢の激化は、しかしながらただ一面的に反動的情勢、暗黒の情勢をつくりだしているのではない。戦争(準備)、反動、抑圧、搾取、収奪の嵐(あらし)のような展開は、あらゆる制動を突き破り、さまざまな経路・形態をとって階級的な反撃の流れをつくりだす。そしてそれは次第に大きく合流し、革命的激流へと発展していくのだ。
 革共同はこの確信に燃え、五月テーゼ・一九全総路線のもと、「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」の戦略的総路線を真っ向から掲げて、ガイドライン決戦、沖縄決戦、国会決戦を中軸とした第三次安保・沖縄闘争、戦闘的労働組合の全国的結集と闘う新潮流の形成をめざす闘い、さらに革命的議会主義を現代的に再生させるべき闘いの先頭に立って闘いぬいてきた。
 第一に、九九年階級闘争の基底を支えたのは沖縄人民の不屈の闘いである。
 九九年の闘いは、二〇〇〇年沖縄サミット開催をテコにしてSACO最終報告の実施、すなわち普天間基地に代わる新基地建設方針の年内決着を図ろうとした日帝・小渕政権とその先兵・稲嶺県政との壮絶な決戦となった。それは新ガイドライン攻撃の成否をかけた攻防であり、沖縄闘争の圧殺か否かをめぐる攻防であった。
 日帝の国家的総力を挙げたこうした攻撃に対して、沖縄人民の歴史的反撃がついに開始され、十月二十三日の「普天間基地・那覇軍港の県内移設に反対する県民大会」には一万二千人が結集した。そして、日帝のシナリオに基づく十一月二十二日の稲嶺県知事の移設候補地発表と岸本名護市長の受け入れの動きに対し、怒りを爆発させ、二十三日から十五日間連続の市役所前座り込みに突入、十二月四日の名護決起集会には地元最大の二千五百人が決起し、十二・二一那覇の県民大集会へと突き進んだ。
 安保問題は沖縄問題であり、沖縄問題は安保問題である。安保の最大実体(米軍基地)を強制される沖縄人民の反戦・反安保の闘い、日帝の国家的・国策的な沖縄差別との闘いは、したがって同時に強烈な反安保闘争とならざるをえない。ここから日帝は、「沖縄」と「安保」の分断を狙って沖縄闘争圧殺のため、あらゆる重圧と振興策的なペテンを弄(ろう)してくる。今日、二〇〇〇年サミットと普天間基地の名護市辺野古地区への移設攻撃というものはまさにそうしたものである。
 この日帝の恐るべき沖縄攻撃に対して沖縄人民はいま渾身(こんしん)の決起をもって反撃に立ち上がりつつあるのだ。この沖縄人民と固く連帯して、全日本のプロレタリアートは自らの階級的死活をかけて総決起しなければならない。九九年の重要な総括として、この点を強く確認しよう。
 第二に、九九年の闘いとして特筆すべきは、ガイドライン闘争がついに百万人民の闘いとなって高揚したことである。革共同は、このガイドライン闘争〔この場合、組対法闘争も含む第三次安保・沖縄闘争の全体という意味でこのように言っている〕が膨大な労働者人民の闘いとなって発展したことについて、きわめて高く評価すべきことだと考える。
 ガイドライン攻撃は、日帝が危機にのたうち、対外侵略戦争への対応能力をもつことなしに帝国主義として生きていけないという切迫した情勢を背景として、体制存亡の重みをかけて打ち出されたものである。この意味で、祖国防衛主義との根本的対決を全労働者人民に迫るものとしてあった。このため、既成野党、連合等々は、この攻撃と対決するどころか基本的には賛成であるという、六〇年・七〇年の時以上の厳しい現実の中での闘いとなった。
 革共同は、ガイドライン闘争の重さというものは、危機にあえぐ自国帝国主義の対外侵略戦争への動きとの対決の重さ〔それも既成政党の裏切りと転向によって加重された〕であるととらえ、「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」の戦略的立場をしっかりとふまえ、祖国防衛主義の反階級的ペテンを暴き、粘り強く闘い、訴え続けるならば、必ず全労働者階級人民の闘いへと発展することを確信していた。それは帝国主義の侵略戦争と労働者階級の立場とは絶対に相入れないからであり、どんなルートやどんな形態をつうじても、必ず闘いの火の手は燃え上がってこないわけにいかないからである。
 こうした観点から、革共同は反戦共同行動委員会の闘いの先頭に立って、ガイドライン闘争を、九七年九・二三や九八年九・二三などを軸として粘り強く推進してきた。こうした中で、ついに地からわき出るような勢いと新鮮さ、力強さとしなやかさをもったガイドライン反対の百万人署名運動の陣形が生み出され、急速に発展していったのである。
 この運動は、幅広く、柔軟な民衆的自主的運動体であるが、同時にガイドライン闘争、沖縄闘争を真剣に闘おうとする意欲と実践力をもった人びとの運動という特性をもつものであった。それはまた、署名運動という形態をとった労働者階級の政治闘争への決起の水路となり、階級本隊を揺り動かし、社・共をも突き動かした。
 さらにここでわれわれは、この百万人署名運動とともに、それと同時的に、独自に創造的に発展してきた組織的犯罪対策法三法粉砕闘争の陣形の、同じようにしなやかで強靱(きょうじん)な、かつ幅広く戦闘的な性格を高く評価しなければならない。
 このような諸運動と連帯しつつ、ついに労働者階級本隊が動き始め、陸海空港湾関係労組二十団体の立ち上がりを契機として、五・二一のガイドライン反対五万人集会がかちとられた。このことは、ガイドライン闘争史を画する画期的事態であった。
 この巨大な決起をバネに、五・二三には反戦共同行動委員会の大闘争がかちとられた。さらに、六・二四―八・三の組対法反対集会、七・二三―八・五の「日の丸・君が代」法制化反対集会、八・六ヒロシマ大行動、八・九ナガサキ闘争が連続的に圧倒的に闘いとられていった。
 とりわけヒロシマ大行動が、ガイドライン法案の強行成立のあと一気に「日の丸・君が代」の法制化=強制化を狙ってきた日帝の攻撃への怒りと危機感の爆発の中で、教育労働者、部落解放運動、ガイドラインと闘うすべての労働者・市民を広範に、戦闘的に結集する陣形の中で戦取されたことは、いくら高く評価してもしすぎることはない。
 このような闘いの前進の中で、百万人署名運動は、ガイドライン法案との攻防を中間総括しつつ、「とめよう戦争への道! 百万人署名運動」として力強く再前進していくことが、九月二十三日の全国集会で確認された。われわれは、反戦共同行動委員会の確固たる戦闘的大衆的闘争をふまえつつ、百万人署名運動や闘う労働組合の新潮流をめざす闘いの決定的意義を確認し、その先頭に立って闘うことが今日の階級闘争においてきわめて重要であることをここにしっかりと確認したい。
 総転向情勢のもとでガイドライン闘争はこのように大きく発展したが、われわれは五月二十四日にガイドライン関連法が強行成立したことを、リアルな革命的精神をもって厳しく直視しなければならない。
 いわば「ガイドライン下の階級闘争」「ガイドライン下の労働運動」ともいうべき情勢の到来である。ここにおいては、帝国主義が生きていくためには戦争が必要であり、日帝、資本、企業が生きていくためにはリストラ、首切り、賃金カットが必要であるという、祖国防衛主義、国益・企業防衛主義と対決する階級闘争が不可欠だということである。まさに資本主義にノーといえる立場、帝国主義打倒の立場が根幹に座っていなければならないということである。
 九九年の闘いの経験はこのことの正しさを端緒的に示している。
 さらに九九年の闘いにおいては、以上の沖縄闘争、ガイドライン闘争、つまり第三次安保・沖縄闘争の一環として、またそれと関連するかたちで、いくつかのきわめて重要な闘いがかちとられた。
 とりわけ、三里塚闘争は、ガイドライン攻撃の中でその一大軍事空港としての位置づけが明白となり、いわゆる暫定滑走路なるものの着工がついに強行され、これに反撃する闘いが断固として展開された。
 さらに北富士闘争、関西新空港闘争、日本原闘争を始め、横須賀、呉、岩国、佐世保、浜大樹(はまたいき)、饗庭野(あいばの)、王城寺原、小松など全国各地の反空港、反基地、反軍事演習の闘争が戦闘的に全力で闘いぬかれた。
 また、東海村臨界事故に際しては怒りの弾劾行動に直ちに決起し、六ケ所、敦賀を先頭に反原発・反核燃闘争を全力で闘った。
 さらに、入管闘争、部落解放闘争、在本土沖縄出身者の闘い、「障害者」解放闘争、被爆者解放闘争、女性解放闘争、反軍闘争などの戦線において、画期的な前進をかちとった。

 第3節 (3)労働戦線における新潮流運動の画期的前進

 第三に、九九年の闘いにおいて労働戦線でかちとられた成果はきわめて大きなものがある。われわれは、昨年の『前進』新年号論文において、ガイドライン決戦の戦取と、資本攻勢と対決して闘う労働組合の新しい全国潮流の形成の闘いを一体のものとして提起した。そして九九年の闘いの経験から、まさにこの両者が対帝国主義の単一の階級決戦の両輪であり、本質的に一体のものであることをしっかりと学んだ。
 帝国主義の戦争への動きと、恐慌と大失業、リストラ、賃下げの攻撃とはそもそも一体である。帝国主義者においては帝国主義間争闘戦にかちぬき、帝国主義戦争の時代にかちぬくためには、労働者階級を根底から抑圧し圧殺することが大前提であるといえる。とりわけ、労働者階級の最も基礎的で基盤的な団結形態である労働組合とその運動を全面的に破壊し、粉砕し、変質させ、産業報国会化し尽くすことが決定的な問題となる。
 ナチスが権力獲得の途上で、また権力獲得後に遂行した最大の反革命が労働組合の徹底的破壊であったことは、トロツキーが鋭く指摘しているとおりである。
 今日、二九年型世界大恐慌への現実的突入過程はすでに始まっている。こうした中で、日帝は恐慌の全面的爆発を抑え込むために、一方では際限のない放漫財政政策を展開し、他方では過剰資本の整理のために独占的再編や企業の解体的再編、閉鎖、縮小などありとあらゆる方策に訴えている。そしてその一切の犠牲を労働者階級におしつけようとしている。日帝権力、資本、経済団体、連合、全労連、JR総連等々が一体となって労働者階級に襲いかかってきている。
 こうした中で戦闘的労働運動の一切の現れ、一切の流れを支持し、合流させ、ひとつの全国的潮流へと発展させることは決定的に意義があることである。ここでの闘いは、対帝国主義の階級決戦における階級的主体の存否を決める闘いであり、一切の土台をなすと言っていい。この闘い自身が階級決戦そのものの決定的基本的環をなしている。
 われわれは、こうした観点から国鉄決戦を闘い、全産別、組合での闘いをくりひろげ、全国労組交流センターの力強い発展をかちとり、そして十一月労働者集会の全面的成功のために九九年の一年間、総力をあげて取り組んできた。五月テーゼ・一九全総路線の正念場はまさにこの戦場に存在しているのであるから。

 第1項 国鉄決戦を軸に全戦線で進撃を開始

 この一年、国鉄決戦を先頭に、戦闘的労働組合の階級的再生、防衛・強化をめぐる闘いが全力で闘われた。
 最大の焦点となった国鉄戦線においては、国鉄改革法承認、権力・資本への投降、国労解体=JR連合化、闘争団切り捨てという中央本部の裏切り的路線の推進に対して、国労組合員、全国鉄労働者の怒りが爆発した。昨年八月の国労大会はこのことをはっきりと示した。裏切り路線の崩壊は必至だ。
 この間の全経験は、国労中央本部、宮坂・チャレンジグループらの主張と指導の誤りと虚偽性をはっきり示している。JRにおけるこの間の事故の多発や全国的にみたときの経営上の大破綻(はたん)は、国鉄分割・民営化=JR化路線の決定的行きづまりと崩壊的危機を示しているのだ。
 国鉄改革法を拒否し、行きづまったJR各社資本やJR総連どものリストラ、賃金抑制、運転保安無視のすさまじい反労働者的攻撃と戦闘的に闘いぬく道の中に、勝利の展望は明々と照らし出されている。
 動労千葉・動労総連合は、この国鉄決戦の最先頭を切り開いている。その戦争協力拒否宣言は全労働者の魂をうち、連合、JR総連の転向をぶち破る強烈な階級的威力をもっている。さらに、日教組(「日の丸・君が代」決戦)、自治体労働運動(都労連決戦)、全逓をはじめ第二、第三の国鉄決戦を切り開く闘いが生まれ、発展しつつある。国鉄決戦に勝利し、全戦線で一斉にそれに続くことこそ目下の必勝のコースである。

 第2項 闘う労働組合の交流と共闘の広がり

 九九年の闘いの一切は、十一・七労働者集会に集約された。三千人をこえる闘う労働者が結集した。資本の攻撃と真っ向から闘いぬく労組からの発言は、すべての参加者、いや全労働者の心をふるわせる力をもつものであった。
 九九年の十一・七労働者集会は、戦後未曽有の規模の大資本攻勢が労働者階級に襲いかかり、連合、カクマル=JR総連の雪崩うつ大転向情勢が激しく進行する中で、戦争と大失業と闘う階級的労働運動の戦闘的中心勢力が固く結束して、闘う労働組合運動の本格的な全国的新潮流をついに生み出したところに偉大な意義があった。五・二一の五万人集会や八・六ヒロシマのうねりを受けつぎ、発展させるものとして、それはかちとられたのである。
 連合、全労連、JR総連などの総転向と全面的抑圧、制動の中でも、日本労働者階級の戦闘的息吹はけっして全面的に圧殺され尽くしてなどいない。労働者階級はいたるところで階級的原則的労働運動をめざして苦闘している。こうした中で闘う労働組合、戦闘的組合が結集・合流することは必ず革命的化学変化を引き起こす。相互に交流し、学び合う中で、帝国主義の打倒へ力強く武器を磨いていく。全国潮流運動、十一・七運動の決定的意義はここにある。
 革共同は、動労千葉、国労の労働者と強く結びつき、ともに闘いながら、動労千葉、全国金属機械港合同、全日建運輸連帯関西生コン支部の先進的闘いと運動から貪欲(どんよく)に学び、いたるところにこの三組合の闘いの火を広げ、全労働戦線に燎原(りょうげん)の火のように燃え上がらせていかなくてはならない。国鉄決戦と都労連決戦、そして「日の丸・君が代」決戦はその最大の戦場である。他のすべての産別の労働者の闘いも、この戦線に結集し、強力な部隊として登場すべく準備しつつあるのだ。

 第4節 (4)4月統一地方選挙闘争の勝利と衆院選決戦への決断

 四月統一地方選挙闘争は、都議補選(杉並)、杉並区議選、相模原、船橋、勝浦、高槻の各市議選など全国各地で闘われ、偉大な勝利をおさめた。九月東大阪市議選も圧倒的な勝利をかちとった。
 第一に、われわれ革共同が、「議会と選挙」というものを帝国主義ブルジョア諸政党や社民、スターリン主義の諸党にけっして明け渡したりせず、階級闘争の必須(ひっす)の分野として位置づけ、一個の政治闘争、最重要の政治決戦として闘いぬいて勝利したことである。反革命と反動諸勢力の牙城(がじょう)であるこの闘争分野に、革共同の全党が全体重をかけて突入し、革命的議会主義の決定的意義を体感し、体得した。このことは、五月テーゼ・一九全総路線が真に全面的に発展する局面が切り開かれたことを意味している。
 第二に、選挙綱領確立の勝利性である。「平和・くらし・福祉・教育・いのち」を大きく掲げ、とくに介護保険制度導入攻撃に鋭く反対したこと、さらにガイドライン絶対反対の立場を貫きつつ、「自治体の戦争協力を許さない」という点を政策的に押し出して闘い、多くの住民大衆の自主的な決起を組織した。
 第三に、この闘いの中で、革命的議会主義において、革命的議員の活動の果たす役割の重要性ということをしっかりと確認した。
 さらに今回の選挙闘争は党建設の上でも、また日本共産党などとの政党間党派闘争の本格的な開始という点でも、選挙闘争をガイドライン決戦(革命的政治闘争)の一環として闘うという点でも、画期的な地平を切り開いた。
 さらに、四月選挙の切り開いた地平の最大のものは、われわれが、自自公体制の到来に対して、ついに衆議院議員選挙闘争への決起を決意したということそのものである。
■学生戦線
 〔学生戦線の九九年の前進は大きい。紙面の都合で、学生戦線については方針の章でまとめて論じたい〕
■理論戦線の前進
 九九年は、理論戦線において、次の重要な前進がかちとられた。
 『清水丈夫選集』の第二巻「七〇年安保・沖縄闘争論」と第三巻「七一年十一月決戦から七〇年代中期へ」、仲山良介著『マルクス「賃金・価格・利潤」』(マルクス主義基本文献学習シリーズ5)、川武信夫著『安保・戦争を容認した日本共産党』などの著作の出版が行われ、革共同の路線・党史の明確化、労働組合論、日共スターリン主義批判などにおいて前進した地平を切り開いた。
 全党的な学習会が前進している中で、中央党学校が二期目を迎えた。階級情勢の激動の中で、巨万の労働者大衆の中に網の目のような学習会を組織していく任務に党員一人一人が取り組んでいく出発点をかちとりつつある。

 第2章 世界大恐慌−フロック化−朝鮮・中国侵略戦争の歴史的切迫

 ソ連の歴史的崩壊を契機とした帝国主義とスターリン主義による戦後世界体制の決定的崩壊は、帝国主義間の対立を世界史的基調とする時代を到来させる一方で、崩壊したスターリン主義圏の帝国主義世界体制への組み込み、中国などの残存スターリン主義の転覆と取り込みを帝国主義間争闘戦の契機とする新たな世界史的情勢をつくりだした。この新たな世界史的情勢は、帝国主義の基本矛盾が全面的に爆発する過程である。

 第1項 全世界が米帝バブル崩壊の危機に震撼

 それを示す最大の事実は、帝国主義世界経済が一九二九年型世界大恐慌の現実化の過程に全面的に突入したということそのものである。
 何よりもまず、米帝経済のバブル的膨張が破裂の危機に突入し、噴火山上に立っているということである。
 バブル経済の崩壊を不可避としている第一の要因は、米帝経済の超過熱化―インフレ傾向の強まりと、政策金利の引き上げである。米帝経済の最近の動向は、@九八年秋からの通貨供給量の増加、A原油価格の過去最高の上昇(率)、B金価格の二十年ぶりという大幅上昇、Cドル安の結果としての輸入価格の上昇、D賃金の上昇などを原因としてインフレが顕著となってきているが、とりわけ重要な根本的問題が労働市場の逼迫(ひっぱく)にともなう賃金の上昇圧力である。
 第二の要因は、バブルを支えてきた日欧からの米帝への資金流入の循環構造が途絶え始めていることである。「強いドルは米国の国益にかなう」という米帝のドル高政策(九五年の転換)を背景として、さらには九七年アジア危機を契機として、「ジャパンマネー」を中心とした外国資金が大量に米に流入し、これが米帝金融市場を支え、株価を支え、バブル経済が成り立ってきた。
 しかし、一昨年夏―秋のロシア・中南米危機を契機に、この米帝への資金流入の構造が揺らぎ始めた。今後ドルの信認がますます低下し、米への資金流入が不安定化することは避けられない。史上最大、世界最大の米貿易赤字―経常収支赤字と一兆五千億jにも達する累積債務はもはや許容できないレベルであり、必然的にドル安と外国資金の逃避を生み、バブル経済への決定的打撃となる。
 また、日帝の恐慌対策のための膨大な赤字国債の発行は長期金利の上昇をもたらし、日米金利差の縮小がドル安・株価暴落を引き起こすと同時に、これが日本の株価にも連動し、日米相互暴落となることもありうる。ドルの基軸性を押しつけて資金の流入を図る九五年以来のドル高政策によってつくりあげられてきた米帝経済のバブル構造は、今や全面的に崩落してしまう危機に突入している。
 だが、二九年型世界大恐慌の本格的爆発を回避することは、帝国主義が帝国主義であるかぎり不可能である。なぜならば歴史的構造的に、しかも全世界的に蓄積された過剰資本・過剰生産力状態を帝国主義が自ら処理することなど絶対にできないからである。しかもこれと踵(きびす)を接して相互促進的に、世界経済の分裂化・ブロック化の動きが米帝的世界経済体制を突き崩して進行しているからである。
 二九年型世界大恐慌の爆発は、必然的に帝国主義間のすさまじい相互のつぶしあいと争闘戦、あるいはブロック化とブロック間の争闘戦を一挙に激化させる。昨秋のWTO(世界貿易機関)閣僚会議決裂という事態はそのことを鋭く示すものとなった。そして、こうした過程は同時に政治的階級的には、大失業と戦争(侵略戦争と帝国主義戦争)の時代への本格的突入を意味することになる。

 第2項 日米争闘戦と日帝の国家破産的危機

 こうした中で、日米帝国主義間の争闘戦はいまひとつ新たな段階へと突入した。後述するユーゴスラビア情勢は完全にアジア情勢に連動している。日帝にとって、アジアは帝国主義間争闘戦、対米争闘戦に勝ちぬくうえで絶対的な生命線をなす地域であり、アジア勢力圏化は帝国主義としての存亡のかかった国家戦略である。これに対して、米帝は危機にあえぐ日帝をこの段階でたたき落とそうと、アジア、とくに中国市場をめぐる対日帝の勢力圏抗争に突入している。
 同時に、バブル経済の崩壊の危機を背景に、米帝は日帝に対して国家財政の破綻と大量の通貨増発による円の弱体化を辞さずに景気浮揚策を展開することを要求し、国家的破産、帝国主義としての解体の要求ともいえる争闘戦的突きつけを行っている。
 こうした情勢のもとで、日帝は生き残りをかけたなりふり構わぬ攻撃に踏み切ったのである。
 第一に、日帝・小渕政権の野放図な金融・財政政策に依拠した「恐慌対策」とその破産性である。今日の日帝の長期不況(または恐慌的爆発)の最大の実体的根拠は巨大な設備過剰(過剰生産力)にあるが、これは資本主義・帝国主義にとって大恐慌の爆発と戦争によってしか突破しようもない問題なのだ。
 第二に、ばく大な額の国債の大量発行である。日帝は国債による赤字放漫財政をもって恐慌対策のための景気促進策としているが、この大量国債の発行は長期金利の急上昇を引き起こし、これが為替相場に影響をおよぼし、円高・ドル安化をもたらす。これは日帝経済の不況をさらに一層深刻なものとする。また円高・ドル安は膨大な「ジャパンマネー」を日本に逆流させ、ニューヨーク株式市場の大暴落を引き起こしかねない。
 ここから米帝のバブル引き延ばし策としての国債の際限のない大量発行と日銀引き受けの要求が出てくる。だが、これは確実に悪性のインフレを引き起こすことになる。そして究極的には軍需経済・戦争経済に行きつく。
 第三に、帝国主義間争闘戦に打ち勝つことのできる独占資本の体制づくりのための一大資本攻勢である。その中心環にすえられているのが産業再生法だ。それは過剰設備廃棄を推進し、労働者に大量解雇を強制し、超低賃金を強制して独占資本の国際競争力を強めようという大攻撃なのである。
 いまひとつの環は、日本興業銀行、第一勧銀、富士銀行の三行の統合、住友銀行、さくら銀行の合併にみられるような金融資本全体の巨大な資本再編、巨大独占資本形成の動きである。これは危機の銀行資本が、統合・合併することによって、帝国主義間争闘戦の激しい展開に巨大独占体制の強化で対応し延命していこうとするものであるが、膨大な不良債権をかかえたままで、日帝とブルジョアジーの思惑どおりにはけっしていかないものである。

 第3項 対ユーゴ侵略戦争の歴史的重大性

 昨年のユーゴ侵略戦争は、戦後帝国主義体制のもとで、帝国主義諸国の分裂化とブロック化の動きを原動力として行われた戦後史上重大な意味をもつ戦争であった。たしかに戦争の構図は米帝を中心とした国際帝国主義(NATO)対ミロシェビッチ政権ではあったが、米帝はこの地域で、あくまで米帝主導のもとにミロシェビッチ政権打倒の侵略戦争を強行することが必要であった。米帝にとっては、欧州帝国主義諸国の通貨統合(ユーロ)がもつ本質的な対米ブロック的動向は大きな脅威であったからである。
 それゆえ、米帝は巨大な自らの軍事力を振りかざし、NATOとNATO軍を使ったNATO域外への侵略戦争を行うことによって、米帝の欧州、中央アジア、さらにはユーラシア大陸全体にわたる主導権を確立しようとしたのである。それは明白に、バルカン地域での対ドイツ抑制的意図をもって遂行された。
 九一年ソ連スターリン主義崩壊を歴史的な契機として、世界史の展開基軸が帝国主義対帝国主義の対峙・対決へと決定的に転換し、帝国主義の基本矛盾が全面的に露呈し始めた。
 この中で、崩壊した旧スターリン主義圏や残存スターリン主義諸国家は、帝国主義の世界支配にとって重大な破綻点となって帝国主義の体制自体を揺さぶるとともに、他方では帝国主義的な世界支配と勢力圏形成にとっての「草刈り場」となった。ヨーロッパでは、それは米帝の「NATO堅持と拡大」路線となって現れたり、ドイツ帝国主義などの中欧・東欧諸国の勢力圏化、マルク圏へのブロック的組み入れとなって現れている。
 またアジアでは、中国市場をめぐる争闘戦、さらに東ティモール・インドネシア情勢を始めとして、アジア全域をめぐっての日米帝国主義の勢力圏化攻防として進行しているのである。

 第4項 体制転覆と侵略戦争を基底に据えた米帝の対中国政策

 その最大の焦点こそが朝鮮、中国である。とくに中国(とロシア)である。
 第一に、ロシアは、エリツィンの資本主義化政策の無理性、危機性ゆえに一層の破綻的危機を深めている。米帝のみが米ロ関係的にロシアを制圧する物質力をもっているといえるが、しかしロシアの抱える矛盾と危機の爆発は、米帝をもってしてもコントロール不可能なものとしてある。
 第二に、中国スターリン主義は、ソ連スターリン主義の歴史的破産の重圧を受け、きわめて危機的状況にあり、また巨大な流動的空間を形成している。中国は「改革・開放」路線のもとでそれなりの経済的発展を遂げた。しかし、今日の中国ほど経済的体制的行きづまりの中で、危機的現実の上に成り立っている国はない。経済政策では帝国主義経済への依存と「特区資本主義」化政策をもって「資本主義化」政策を大規模に進めながら、他方では政治権力はあくまでスターリン主義体制だというようなアクロバットがどこまで続けられるか。WTOへの中国の正式加盟の問題は、その矛盾と危機を極限的に爆発させるものとならずにはおかない。
 これに対して、米帝は巨大市場としての中国にリアルに対応しつつ、基底的には体制的転覆を基本的国家政策として推進している。米帝の対ユーゴ侵略戦争の遂行とその中で計画的に実行された中国大使館爆撃事件こそは、米帝の対中国政策が本質的に体制転覆政策であることを、戦争戦略的裏付けをもって衝撃的に実証したのである。
 この米帝の動向は、米帝が明らかに、現実に中国・朝鮮への侵略戦争の戦略を確立したことを示している。米帝は中国をめぐる巨大な大乱情勢の醸成を前に、危機と矛盾の大爆発を収拾するために必死で対応しつつ、対中国スターリン主義の大戦争を構えることなしには中国情勢をコントロールできないという判断に立ったのだ。
 このことを最もよく実証したのが日米安保ガイドラインの現実化である。これは明らかに米帝の中台紛争への介入戦略であり、中国の内政的混乱への介入宣言そのものである。米帝は、中国をとりまく内外情勢の進展次第では、中国への世界大戦級の大侵略戦争に踏み切るとみて間違いないのである。
 第三に、米帝の朝鮮政策は二重の意義をもっている。まず第一は、朝鮮半島の南北分断の帝国主義的突破の問題であり、それは対日帝の視野のもとに朝鮮半島を米帝が全面的に掌握・再掌握することである。第二は、いうまでもなく対中国戦略への突破口、土台形成としての意義である。
 米帝は、九月十二日の米朝合意、九月十七日の対北朝鮮「経済制裁緩和」決定とペリー報告書の公表と、立て続けに朝鮮政策にかかわる重大発表を行った。ここで明らかとなったことは、第一に、米帝は基本的には強大な軍事力、米韓合同軍、日米安保同盟とガイドライン体制をもって北朝鮮を戦争的に圧殺する体制を継続・強化する、第二に、この戦争重圧を背景に、北朝鮮に対して核開発、さらにはミサイル開発の断念を迫り、危機に立つ北朝鮮スターリン主義の国家的土台を揺るがす要求を突きつける、第三に、この北朝鮮の核開発・ミサイル開発の封殺と米朝関係の「改善」の一定の進展とを組み合わせることによって、北朝鮮への関与を強め、北朝鮮に対する帝国主義的新植民地主義政策をますます強める、ということである。
 明らかに米帝は、米帝にとって最も都合のよいタイミングと最も都合のよい形態で、北朝鮮の体制的転覆や対北朝鮮侵略戦争を遂行しようとしているのだ。
 これを対日争闘戦的な観点からとらえればどうか。日帝は、北朝鮮の核開発やミサイル開発を口実にして日帝自身の核・ミサイル開発、軍事大国化、侵略国家体制化を急速に推進しようとしている。日帝のこうした軍事大国化の動きに対して、米帝は日帝の軍事大国化を抑止する観点から北朝鮮のコントロールを行い、対日的に最もよい構図をつくろうとしているということである。
 日米安保ガイドラインは、こうした情勢の中で、日帝が日帝の側から対米対抗的に中国、朝鮮(さらにはロシア)を全面的ににらみ、朝鮮侵略戦争を突破口に中国、アジアで一大侵略戦争を展開しようとする戦略と、そのための協定として締結されたものである。ガイドラインで想定する「周辺事態」の六つの事例が実際に示すように、日米帝国主義はこのガイドライン体制の確立をとおして、現実的世界戦略として対中国、対朝鮮への侵略戦争の戦略を打ち立てたということである。

 第5項 日帝の絶望的飛躍への攻撃

 米帝のアジア支配のヘゲモニーをめぐる対日帝争闘戦の激烈な展開は、日帝にとって、帝国主義としての存亡のかかった戦争と戦争準備の問題を死活的に突き出している。それは日帝の絶望的飛躍という問題である。
 実際、米帝が兵員五十万から百万人の規模で対朝鮮・中国侵略戦争を開始した場合、日本全土が前線基地として総動員と戒厳令下に置かれるだけでなく、日帝には、この世界大戦規模の対朝鮮・中国侵略戦争にいかに対応するのかということが〈九一年一・一七〉の数百万倍の大きさで突きつけられる。米帝に対抗し、帝国主義的利害を守りぬくために、独自の朝鮮・中国侵略戦争の政策を形成、実行しなければ、米帝に帝国主義として軍事的にもたたきつぶされてしまう。ここから今まさに、日米安保、新ガイドラインの形式のもとで日帝の侵略戦争国家への突進が開始されているのだ。
 自自公政権の登場は、日帝が安保・ガイドライン体制のもと、アジアの侵略戦争の主体として登場するという帝国主義的な階級意志の確立を土台としている。しかも日帝は、有事立法・改憲攻撃にもついに踏み切った。
 自自公政権は本質的に大政翼賛会的政治の始まりである。しかし、この大政翼賛会的政治体制は、ブルジョアジーの反革命的結束の力で公明党を屈服させ、吸引し、さらには民主党−連合の挙国一致主義への屈服、日本共産党の大転向を引き出すことによってかろうじて成り立っているにすぎない。実際には、この政権は階級関係の反動的転覆の上に成立している政権ではなく、むしろ戦後的階級関係の反動的転覆の未完遂が生み出す支配の危機、政治危機ゆえに登場した政権であり、労働者階級人民の闘いが本格的に爆発すれば(実際にも沖縄を始め闘いは爆発している)一挙に決定的危機に陥るしかない政権なのである。
 さらに今日の日帝の根底的な危機は、米帝との対立が激化し非和解化しつつあるのに、それに対応する政治体制・政治路線の確立への試みが、即座に対米矛盾の極限化を引き起こさざるをえないところにある。ここに自自公体制の極反動的性格と絶望的危機的性格の併存という問題が横たわっているのだ。
 今日のファシスト石原の登場の歴史的意味がここにある。日帝が新ガイドライン法を成立させ、戦争国家化に突き進もうとする中で、首都の首長の座を極右ファシストが占めることの政治的意味はきわめて重大だ。
 石原の政治思想は、反米主義と反中国主義に貫かれた戦争政治であり、アジア侵略の政治である。自民党政治への「批判」は、じつはファシスト反革命の対米対抗的立場から、自民党を始めとした戦後政治を右から破壊しようとしているにすぎない。狙いは、日帝が帝国主義として生き残るために、対米戦争への決断と、朝鮮・中国への大侵略戦争を遂行できる戦争国家づくりである。
 石原はナチスと同じく労働者階級の存在と闘いへの憎悪、労働組合運動への敵視を思想とした極右ファシストである。都の労働者に対する大幅賃下げ攻撃は、都労連に対する大反動攻撃であるだけでなく、すべての労働者への攻撃であり、全国政治情勢そのものである。
 ファシスト石原は、このように自自公の大政翼賛会的政治体制の突撃隊としての役割を果たし、朝鮮・中国侵略戦争と対米争闘戦に向かっての日帝の絶望的飛躍の反革命的先兵として、帝国主義の諸勢力を激しくファシスト的に牽引(けんいん)しているのである。
 朝鮮・中国―アジアをめぐる世界大戦級の戦争の歴史的切迫と、日帝の戦争国家への絶望的飛躍、階級情勢の激変という巨大な歴史的動きに真っ向から対決しプロレタリア革命に勝利できるのは「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」という革共同の戦略的総路線だけである。今こそ五月テーゼ・一九全総、二〇全総の全面的物質化をかけて闘いぬこうではないか。

 第3章 闘うアジア人民と連帯し、2000年政治決戦の爆発で日本帝国主義打倒へ

 第1節 (1)衆院選決戦勝利でファシスト石原を先兵とする自自公翼賛体制を打倒せよ

 二〇〇〇年決戦の政治闘争の第一の柱は、衆院選の勝利をめざして全力決起することである。来るべき衆議院議員選挙は、自自公体制を基軸とした大政翼賛会的政治の時代への突入を許すのか否かの一大政治決戦である。
 わが党は、このような重大な政治的結節環となった衆院選に、都政を革新する会の皆さんとともに長谷川英憲氏を候補に立てて闘うことを決断した。
 衆院選決戦でまず第一に要求されていることは、強烈な勝利の決意である。
 今や既成の野党に自自公体制を根底から揺るがす力はない。民主党、社民党はもちろん日本共産党を含めた全勢力が、戦争と恐慌の危機に直面して屈服し、変質し、翼賛化した。だが、そうであればあるほど、情勢を根底から打破する要求、自自公翼賛体制と真っ向から対決する真の野党を求める人民の声は高まり、出口を求めて流動化している。ここで立たずしていつ立つのかという情勢が訪れているのだ。
 われわれは、衆院選への挑戦が、革共同の生死存亡にかかわる課題だと厳粛に確認している。区議選や都議選とはスケールが決定的に異なることを認識しなければならない。衆院選は一個の政党として承認されるか、問題外の存在に転落するかの戦場であり、ここで勝利をめざさない者に挑戦権はないのだ。立つ以上絶対に勝たなければならない。われわれは、石にかじりついても衆院選決戦に勝利する決意である。そのために激しい変革や身がすくむような飛躍が求められるのならば、断固やりぬくのみである。
 衆院選決戦にとって第二に必要なことは、われわれの選挙綱領は実践の鉄火の中で練り上げられるならば、巨大な大衆を突き動かす力となるという勝利の確信である。
 その核心のひとつは、自自公の票のすべてを土台にし、ファシスト都知事・石原慎太郎の支援を受け、一見、「当選確実」かにみえる石原伸晃(のぶてる)と真っ向から互角に対決することである。
 自自公政権は、ガイドライン法強行などでの二重三重のペテン的やりかたをかなぐり捨て、三党合意でついに公然と有事立法・改憲攻撃に踏み切った。だが逆に、労働者人民の自自公翼賛体制への危機感と怒り、不信と不安は、ガイドライン法やかさにかかった反動諸立法の連続的強行以降、日増しに強まり、広範に浸透し、自自公体制はグラグラなのだ。自自公体制は、一方では体制的危機に待ったなしに突き動かされて大反動攻勢に打って出ながら、他方ではその支配の階級的基礎のなさとのはざまで危機と矛盾と分裂を激化させる以外ない。
 この階級支配の危機のファシスト的あるいはボナパルティズム的打開の衝動が、一方ではJR総連の戦争協力の大転向を先兵とする連合の帝国主義的翼賛労働運動化として、他方でファシスト石原の都政を使った策動として現れている。だが、実はここに敵のもろさと破綻点が最も集中しているのだ。石原都政を自自公翼賛体制の先兵として真っ向から暴露し対決するならば、勝機を決定的につかむことができる。また、われわれが真っ向からこの闘いに決起するやいなや、日本共産党のエセ「野党」性の幻想などもふっ飛ばすことができるのだ。
 核心のいまひとつは、都民の生活と権利をかけた広範な怒りと危機感に立脚して、都民の主体的決起を促し、それと結合した政治情勢をつくりだすことである。介護保険制度とその実施を始めとする戦後社会保障制度の解体と大増税への労働者人民の真剣な怒りを体現し、その国家的詐欺行為にも等しいカラクリを暴いて杉並区を介護保険制度そのものの転覆を求める政治的怒りのるつぼと化すことである。しかも石原は、福祉政策で都民に犠牲を転嫁することと一体で、都労連傘下の労働者への賃下げと首切り攻撃を開始し、労組解体すら策動して、都で働く労働者との対決にのりだしており、石原都政との対決は全労働者階級の利害をかけた闘いとなっている。
 それだけではない。日帝・自自公体制と石原都政は、大資本の救済や一部のベンチャー企業の育成とひきかえに、中小・零細企業の倒産と零落をよしとする政策的大転換に踏み切っており、真剣に中小・零細企業を守り、街を守る闘いが今や決定的になっているのだ。
 われわれが掲げた「平和・くらし・福祉・教育・いのち」の選挙綱領の本格的な実践は、政治的・イデオロギー的地殻変動を呼びおこし、自自公翼賛体制とその先兵・石原都政を打倒する巨大なうねりをつくりだすことはまったく可能である。闘う国会議員の実現へ、勝利の執念をかけて総決起しよう。

 第2節 (2)2000年沖縄サミット粉砕・普天間基地県内移設阻止へ

 二〇〇〇年決戦の政治闘争の第二の柱は、二〇〇〇年沖縄サミット粉砕・SACO粉砕―普天間基地の名護移設阻止の闘いである。
 七月サミットの沖縄開催の強行は、絶対に許すことのできない歴史的な一大反革命攻撃である。それは何よりも沖縄闘争の暴力的圧殺、沖縄人民への差別・抑圧の徹底的貫徹の反革命である。
 日帝・小渕政権は、「サミット前決着」を叫びつつ、SACO(基地の県内移設)貫徹、普天間基地の名護移設=新基地建設、那覇軍港の浦添移設の強行を図ってきている。それは、安保問題と沖縄問題を分断し、本土と沖縄を分断し、新安保ガイドライン体制との対決の最大の砦を解体しようとするものである。
 しかも、警察権力二万人の動員による戒厳体制を全島および全海域に敷いて、沖縄人民を有無をいわせず鎮圧しようというのだ。
 われわれは、沖縄人民の必死の闘いに全存在をかけて連帯し、沖縄人民のSACO(基地の県内移設)反対・基地撤去の闘いの勝利のためにともに決起しなければならない。沖縄人民は、日帝の一貫した沖縄差別・抑圧政策との永続的闘いを貫いている。「琉球処分」に始まり、沖縄戦、米帝への売り渡し、五・一五体制という日本−沖縄関係の歴史的関係の総体を告発しつつ闘い続けている。とりわけ九五年九・四事件―十・二一県民大会以来の闘いは、第三次安保・沖縄闘争の歴史的発展を切り開く原動力であり、本土の労働者階級人民を決定的に励まし、牽引してきているのである。そして今、沖縄人民は、県内移設―サミット強行に対して、沖縄の心をまたしても踏みつけにするのか、琉球処分を何度やろうというのだと、心底からの怒りを爆発させているではないか。
 今問われているのは、本土人民の闘いであり、革共同の闘いである。日帝による沖縄差別・抑圧政策を許し、日米安保の矛盾を沖縄人民に押しつけてきた歴史と現実を今こそ打破するために、革共同は沖縄奪還綱領の革命的真価をかけて、沖縄サミット粉砕・普天間基地の名護移設=新基地建設粉砕決戦に総決起するものである。

 第3節 (3)有事立法・改憲阻止の歴史的大闘争に直ちに突入せよ

 二〇〇〇年決戦の政治闘争の第三の柱は、有事立法・改憲攻撃粉砕の歴史的大闘争に直ちに突入することである。
 日帝・自自公体制が昨年来、歴史的な有事立法・改憲攻撃に打って出てきた背景には、新安保ガイドライン体制をもって侵略戦争に主体的に参戦するという歴史的決断がある。
 「周辺事態」への対処とは、朝鮮、中国、アジアへの侵略戦争であり、その時に日本国内が平時などということはありえない。日本有事となるのは必定である。自衛隊が、国内で有事に対応する形で無制限に行動できなければ対外戦争などできるはずがないのである。
 より端的に言えば、戦争指揮の最高責任者である首相が全権を掌握し、非常事態を宣言し、労働者人民を統制に従わせる強制力をもたなければならない。つまり、政治、経済、社会、イデオロギーのすべての領域で、戦争優先・軍事統制、国益第一・私権制限を貫くことのできる「法的根拠」を与えるものこそ、有事立法、つまり戦時立法なのである。それは戦時の憲法停止を伴うものなのだ。
 新安保ガイドラインの発動のためには、憲法第九条〈戦争の放棄〉と〈戦力不保持〉の規定をどうしても破棄しなければならない。そこから、日帝の中のさまざまな改憲論はすべて、改憲というよりもむしろ第九条の破棄を軸とする現憲法停止=新憲法制定として策動されているのである。まさに有事立法と改憲は一体の攻撃なのである。
 それゆえ、有事立法・改憲決戦は、戦後政治史を根底から塗り替える攻撃との歴史的大決戦となる。階級闘争の一切合財をかけた決戦に必ず発展する。有事立法・改憲決戦を日本階級闘争の当面の最大の政治決戦として、全党と全労働者人民の総力をあげて闘いぬこう。

 第4節 (4)臨検新法粉砕、PKF凍結解除阻止、「日の丸・君が代」闘争勝利へ

 二〇〇〇年決戦の政治闘争の第四の柱は、九九年のガイドライン闘争を引き続き発展させ、ガイドライン体制の実体的確立をめぐる闘争を全面的に激化させる闘いである。
 日帝は「周辺事態イコール日本有事」の論理を使い、米帝の朝鮮・中国侵略戦争の政策を共同で貫く形で自衛隊の海外出兵と武力行使に道を開こうとしている。とくに、「北朝鮮のゲリラ部隊による攻撃とミサイル攻撃に備えることが日本の平和と安全にとって最大の問題である」と押し出して、日帝の新安保ガイドライン体制=侵略戦争体制構築を正当化しようとしているのである。
 それに対し、一つは、自自公三党合意文書(昨年九月)で挙げられた臨検新法案(船舶検査法案)、領域警備法案、PKF凍結解除=PKO法改悪案、多国籍軍参加法案などの国会提出を阻止し、国会決戦を断固闘うことである。必ず有事立法そのものが具体的に打ち出されてくることをはっきりさせ、すべての戦争法案阻止闘争を同時に有事立法阻止・改憲阻止闘争として闘うことである。
 二つは、ガイドライン体制の最大の実体をなす沖縄の侵略出撃基地化・新基地建設、三里塚の兵站(へいたん)基地化とそのための暫定滑走路建設を阻止する闘いを爆発させ、それを先頭に民間・自治体へのガイドライン貫徹=戦争協力強制を拒否・粉砕する闘いをくりひろげ、さらにすべての全国基地闘争を激化させることである。
 三つは、自衛隊の実際のアジア出兵、数々の演習、治安出動の激化・エスカレーションを許さず闘うことである。とりわけ東ティモール出兵―インドネシア軍事侵略を絶対に許してはならない。また石原が指揮して行う九月防災訓練とそこでの自衛隊三軍治安出動=首都戒厳体制化を阻止する闘いを全力で打ちぬくことである。この闘いを、都労連決戦と並んで石原打倒をかちとる闘いの重大な環に押し上げよう。
 自衛隊は昨年の新ガイドライン法成立以降、陸自に誘導隊、海自に特別警備隊を創設し、海外侵略突撃軍隊化を強めている。自衛隊がかつて植民地支配した朝鮮、台湾、さらに中国大陸で再び残虐な侵略戦争をくりひろげることなど絶対に許してはならない。自衛隊が文字どおりアジア侵略戦争と内乱鎮圧の軍隊へと急速に変貌(へんぼう)していることを暴露し、ガイドライン決戦を反戦反軍闘争として発展させていこう。
 四つは、日帝の帝国主義戦争への国家総動員の要をなす「日の丸・君が代」強制攻撃に対して、教育現場での卒業式・入学式闘争を全力で闘い、それを先頭に全産別の職場や地域で「日の丸・君が代」闘争を決戦的に展開することである。この闘いを昨年の八・六闘争を引き継いで重視して取り組もう。
 侵略の旗、天皇の歌を国家的に強制することは、そのまま天皇の名で他民族を虐殺せよ、天皇のために命を投げ出せという攻撃なのだ。戦争のできる軍隊とは、教育労働者が帝国主義国家と天皇制に総屈服し、子どもたちが思想教育され、若者が徴兵制で駆り出され、企業や地域社会が密告制度でつくりあげられることをとおして生み出される。教育基本法改悪と「日の丸・君が代」強制は、その決定的な環をなす攻撃だ。今こそ「日の丸・君が代」闘争を大爆発させよう。
 五つは、昨年の臨時国会で成立した戦争遂行のための新破防法(団体規制法)の発動・適用攻撃を断固として粉砕することである。日帝は朝鮮・中国侵略戦争遂行とそこから生じかねない内乱的政治危機ののりきりのためには、従来から革共同や朝鮮総連、戦闘的労組への破防法全面発動=団体解散をあらかじめ計画化している。そして特殊的には七月サミット戒厳体制の一環として攻撃を準備しているのだ。
 日帝が、成立するや否や新破防法をオウム真理教に強引に適用しようとしているのは、この団体規制法をどこまでも拡大適用可能な武器にするためである。どしどし活用することによって、現行破防法の限界を突破し、破防法を補うものとするとともに、特高警察の復活を狙っているのだ。組対法の発動阻止・廃案を求める闘争と結合して、新たな弾圧攻撃との闘いを強めよう。
 帝国主義侵略戦争のための超法規的悪法、治安維持法と特高警察の復活である新破防法を怒りを込めて暴露し弾劾し、粉砕闘争に総決起しようではないか。

 第5節 (5)三里塚暫定滑走路建設阻止 決戦の爆発を

 二〇〇〇年決戦の政治闘争の第五の柱は、三里塚暫定滑走路建設阻止決戦に総決起することである。
 三里塚暫定滑走路建設の攻撃は、新安保ガイドライン体制の実体的確立をめざす攻撃である。米帝の朝鮮侵略戦争作戦である「5027計画」によって増派される米軍兵士五十万人は、米本土から空輸され、成田空港に降り立つ。この五十万人分の装備と食糧・宿泊施設・輸送手段の確保など、膨大な兵站支援体制が確立できるか否かが、朝鮮侵略戦争を実際に発動できるかどうかのかぎを握っているのだ。そのため、成田にもう一本の四千b級滑走路を造ろうというのである。
 暫定滑走路建設攻撃はまた、労働者階級人民の砦として存在し続けてきた三里塚闘争を解体し、反対同盟および全国の三里塚闘争勢力を圧殺しようとする攻撃である。日帝・国家権力の戦争国家体制づくり―治安攻撃の最大の柱である。
 昨年十二月に強行された暫定滑走路計画の一方的着工は、農民の生活条件を破壊して、たたき出す攻撃だ。全国動員の警察機動隊で包囲し、むきだしの暴力行使=軒先工事を強行しようとしているのだ。
 反対同盟農民は、このむきだしの権力の農民殺しと対決し、戦前型の地域反動の反革命的組織化にも抗して闘いぬいている。平行滑走路用地内に今なお強力な闘争拠点を有し、権力の総力を挙げた農地強奪をはね返し、軍事空港の存在そのものを根底から揺るがし続けている。
 三里塚闘争の勝利は「連帯し侵略を内乱へ」の闘いの実現そのものである。革共同は反対同盟農民との血盟をあらためて明確にし、革命党としての責務にかけて勝利まで闘いぬく決意である。革命軍は昨年の五波のゲリラ・パルチザン戦争をひきつぎ、三里塚決戦に革命的武装闘争の戦略的エスカレーションをかちとることを宣言する。「成田から朝鮮半島へ爆撃機を飛ばすな」を全労働者人民のスローガンとして、全国の労農学人民が三里塚への圧倒的な結集のために再び総力で闘いぬこう。暫定滑走路攻撃を粉砕し、軍事空港廃港への歴史的勝利の道を切り開くことは絶対に可能である。

 第1項 北富士、日本原、関西新空港闘争勝利を

 この三里塚闘争を先頭にして、自治体・民間への戦争協力強制を拒否・粉砕する闘いを大きくつくりだしていこう。新安保ガイドライン体制が、自治体や民間を動員しなければ成立しないものであることは明らかである。昨年五・二一陸海空港湾の労働組合が呼びかけた五万人決起をひきつぎ、空港や港湾の使用、輸送や補給、医療、通信、整備など国家的総動員体制をずたずたに引き裂こう。
 さらに日本に降りたって戦場へ送り出される米軍兵士の訓練基地として北富士演習場が強化されようとしている。そのために政府・山梨県は北富士の入会権剥奪(はくだつ)・入会小屋撤去、北富士闘争圧殺にのりだしている。入会小屋強制撤去を阻止し、春にも予想される沖縄米海兵隊の実弾砲撃演習を粉砕しよう。入会権を武器に、梨ケ原奪還へ闘おう。
 演習場全面使用、長距離実弾射撃演習を二十八年間にわたって阻止し続けてきた日本原闘争が重大な決戦を迎えている。日本原反対派農民とともに闘い、勝利しよう。
 関西新空港の二期事業は、朝鮮・中国侵略戦争の一大出撃兵站基地としての本格的な軍事空港の建設のためである。空港島を中心とした陸上・海上の輸送網、物資集積場としてのりんくうタウンの広大な空き地、完全に戦時対応的に建設された病院の併設など、現状のままですでに数十万人規模の米軍の受け入れが可能なのだ。泉州住民の会、大阪湾岸住民と連帯し、関西軍事空港絶対反対を闘おう。
 日帝の朝鮮・中国侵略戦争がぎりぎりと切迫していることへの危機感を燃やし、闘うアジア人民と連帯し、あらゆる課題を貫いてガイドライン決戦を新たに爆発させよう。

 第4章 国鉄決戦・都労連決戦「日の丸・君が代」決戦を先頭に労働階級の総決起を

 第1節 (1)大失業・一大資本攻勢と闘う 戦闘的労働運動の前進かちとれ

 大恐慌過程への現実的突入、帝国主義間争闘戦の激化、大失業と戦争の時代の本格的到来は、帝国主義と独占ブルジョアジーにとってまさに存亡の危機である。こうした情勢においては、政治面での一大反動攻勢と表裏をなす一大資本攻勢が激化する。これは日帝ブルジョアジーにとっても、労働者階級にとっても、まさに階級決戦の到来そのものを意味する。
 この階級決戦において、労働戦線をめぐる攻防こそは、階級的力関係を基礎的、基盤的に決定するものとしてあり、決戦中の決戦としての意義を有しているといって過言ではない。
 革共同が一九全総以来、「いまひとつの階級決戦」と規定してきたことのより一層立ち入った内容はこのようなものである。われわれは、五月テーゼにおいて、労働戦線に全重心を据え、そこに強大な細胞を建設することを当面する中心課題として設定したことをあらためて強烈に確認しよう。
 「戦争と大失業」の本格化する時代の労働運動、労働組合運動の課題は、ひとつには帝国主義と資本の延命のために打ち下ろされる一大資本攻勢、リストラ、首切り、賃金引き下げなど労働者の職場、生活、権利、健康等々への攻撃、そして何よりも労働法制改悪攻撃をテコとして労働組合の団結そのものを破壊し変質させる一大攻勢と、全力をあげて闘うことである。
 いまひとつには、労働組合(運動)を帝国主義的労働運動に完全に変質させ、大政翼賛勢力化させ、帝国主義の戦争と戦争準備に屈服・協力させようとする攻撃との闘い、すなわち労働者階級と労働組合の「政治路線」をかけた一大決戦を戦闘的に闘いぬくことである。

 第1項 動労千葉の階級的で原則的闘いに学ぼう

 戦争と大失業時代における階級的労働運動の道筋はどう切り開いていけばいいのだろうか。それは端的に言って、動労千葉・動労総連合(以下、動労千葉と表記する場合は動労総連合を含むものと解されたい)の階級的原則的闘いから徹底的に学び、その革命的戦闘的要素をすべて継承していくことから出発することであると考える。
 今日ほとんどの労働者が語るように、動労千葉は、国鉄労働運動の戦闘性の結晶であると同時に、日本労働運動の精華でもある。動労千葉がその営々たる苦闘をとおして培ってきた階級性、戦闘性とたぐいまれな原則性は、今日の戦争と大失業時代下の労働運動の方向を照らしだす羅針盤の役割を果たしている。動労千葉の闘いは、連合「新政治方針」とJR総連の「対案」にみられるような労働運動の雪崩うつ転向の動きの中で、権力、資本、ファシスト労働運動などと不屈・非妥協に闘う戦闘的労働運動の道筋をはっきりと指し示しているのである。
 動労千葉の闘いの歴史は、そのままカクマル反革命、動労カクマル、JR総連との激烈な闘いの歴史である。言い換えれば、七○年決戦に向かう過程、七○年代、八○年代、九○年代をとおしてつくりだされたことは、一方での動労千葉の路線的圧勝であり、他方でのファシスト・カクマルとそのファシスト労働運動=JR総連の徹底的大破産である。
 JR総連が動労時代以来の、分割・民営化推進以来の数限りない反労働者的策動の果てに行きついたところは何であったか。「労働組合」「左翼」の仮面がすべてはがれ、正真正銘のファシスト労働運動として公然化した姿である。国鉄・JRは、黒田・松崎ら階級闘争史上未曽有の現代のファシストが勝手気ままにかつ暴力的・テロル的に牛耳るところではなく、ましてそこを反革命の根城にして日本労働運動総体をファシスト的に制するところではなく、まさに逆に彼らの墓場となりつつあることは今や明らかな上にも明らかではないか。
 それは、動労千葉の階級的原則的闘いがファシストにいや応なしに強制した歴史的現実にほかならない。これは戦闘的労働運動の歴史をふり返り、二○○○年とそれ以後を展望する時、真に偉大な地平なのである。
 だがそれは、動労千葉および家族の皆さんの言語に絶する苦闘、血と犠牲の英雄的決起、それらを貫くファシスト・カクマルへの階級的憎しみ、負けじ魂、そして階級的=組合的団結に一人ひとりの最高の人生観を据える真の労働者性によって生み出された情勢であり、それ以外ではけっしてないのである。
 動労千葉は、危機と反動の日帝・国家権力総体を相手に回して闘う階級決戦論を打ち立て、その大きさの中に自己を位置づけ、労働組合運動の中での裏切りと敵を明確にさせ、つねに階級的原則に立脚し、何よりも組合員をとことん信頼し、団結の力にこそ反革命の嵐や苦難を打開する活路を見いだしつつ闘ってきた。マルクス主義の生きた思想と実践を体現してきたのだ。
 このように動労千葉を先頭とする戦闘的労働者の闘いは、日帝権力の最大の国策である国鉄分割・民営化攻撃をその核心部で打ち砕き、国労を守りぬいただけでなく、黒田・松崎らカクマルの牛耳る動労の反革命的本性を暴き立ててきた。
 言い換えれば、革共同が先制的内戦戦略の第一・第二段階を懸命に闘い重大な勝利的地平をつくりあげた一方で、これと結合する形で、動労千葉を先頭とした国鉄労働者の闘いが分割・民営化をめぐる攻防をとおしてカクマルのファシスト的本質を決定的に暴き出し、ファシスト労働運動として公然化するしかないところに追いつめたのである。これが九〇年代をとおしたカクマルとJR総連の歴史的大破産と敗北の出発点となったということである。
 九〇年代における五月テーゼ路線のもとでの新たな革命的挑戦は、こうした七〇年代から八〇年代の動労千葉の闘いが母体となって開始された。すなわち、一方では先制的内戦戦略の第一・第二段階の血みどろの闘いの勝利性が、また他方ではこれと平行的に発展を遂げてきた動労千葉の戦闘的労働運動の存在と闘いがあり、この両者が結合することによって五月テーゼ路線が打ち立てられたのである。先制的内戦戦略の偉大な勝利と動労千葉の不屈かつ階級的原則的な闘いこそが、革共同の五月テーゼ路線の源泉なのである。
 一九全総では、それまでの五月テーゼ路線に基づく悪戦苦闘の数年の党的実践を全面的に総括すると同時に、戦闘的労働運動の防衛と発展の闘いを、動労千葉の防衛の闘いからさらに国労獲得、カクマル=JR総連打倒の闘いへと大飛躍させ、それを革命的政治闘争と並ぶ「いまひとつの階級決戦」として闘う大路線を打ち立てたのであった。
 この国鉄決戦を基軸とした「いまひとつの階級決戦」の闘いは、第三次安保・沖縄闘争、ガイドライン闘争とないまぜとなって力強く発展し、一方で政治闘争の全人民的発展を支える土台を形成したばかりでなく、他方では吹き荒れる戦争と大失業攻撃のもとにおける全労働者階級の結集の砦となって発展している。関生、港合同、そして動労千葉の三組合共闘を基盤とした労働運動の新たな全国的潮流のうねりは、まさしくこうした「いまひとつの階級決戦」の営々たる苦闘の積み上げの上についに到達した日本階級闘争の精華にほかならない。
 ここにおいて、組合運動への不当な刑事弾圧に屈せず組織的団結を不屈に守りぬいてきた関生、そして資本の倒産攻撃のもとで労働者の地域的団結で運動を守り発展させてきた港合同の闘いの地平と教訓は、動労千葉のそれと並んで、日本労働運動の戦闘性と階級性を真に体現しているのである。
 戦争と大失業攻撃が強まり、既成政党がつぎつぎと大転向を遂げていく中で、今や労働運動の既成指導部である連合の労働貴族どもやカクマル=JR総連らはぶざまな反革命的転向に走った。しかし、こうした情勢下でも、資本主義の危機、帝国主義の危機に対して階級的原則を堅持して戦闘的労働運動の火を守り、強化・発展させることで労働運動の全国的潮流を広めていこうという新たな運動が巻き起こった階級的意義は、きわめて大きなものがある。革共同は、この先進的運動から貪欲に学び、この運動を全産別のすべての闘う労働者たちの運動として発展させていかなければならない。全力でこの運動の先頭に立って闘おう。

 第2項 戦略的天王山の国鉄決戦に勝利しよう

 大失業と戦争、翼賛攻撃が一方で国鉄分割・民営化型の首切り、合理化として全産業、全産別に拡大し、他方では闘う労働運動のすべての拠点の解体・絶滅攻撃として襲いかかっている時、国鉄決戦は、労働組合運動がどのような路線と団結をもって闘うべきかを示す戦略的天王山の位置をますます高めている。
 国鉄決戦の第一の課題は、千四十七人問題の「年度内決着」路線を打ち破り、千四十七人の解雇撤回・原職復帰をかちとるためさらに奮闘すること、高橋―宮坂執行部を打倒し、闘う国労の階級的再生・強化・発展を闘いとることである。
 高橋―宮坂執行部とチャレンジ、革同上村派などは、一昨年の五・二八反動判決以降の日帝権力やJR資本、JR総連などによる闘争団圧殺・国労解体攻撃に完全に屈服するとともに、反動的な「早期政治解決」路線にのめり込み、三・一八臨時大会をもって希代の首切り法である国鉄改革法の承認を始めとした歴史的暴挙に次々と突き進んでいった。
 だが、三・一八臨大、八月国労大会での国労共闘の決起を始め、闘争団の不撓(ふとう)不屈の闘い、JR本体の職場からの決起などは、どんな密集した大反動や屈服と裏切りにも負けない国労の不抜の隊列を示した。三万組合員の怒りの声を背景に、チャレンジによる反動的決着を阻止し、帝国主義的労働運動による国労支配の野望を粉砕した。その結果、改革法承認の撤回を求める声は、新たに高まっている。高橋―宮坂執行部への責任追及とチャレンジ、革同上村派への弾劾もさらに激しくなっている。そして闘争団を先頭とする解雇撤回・JR復帰、国家的不当労働行為糾弾の闘う陣形も圧倒的に強化されているのである。
 国労共闘が掲げた「改革法承認撤回」「闘争団切り捨て許すな」「高橋―宮坂執行部は退陣せよ」の三つのスローガンは、国労組合員に浸透し、国労の階級的再生ヘの展望を示す不抜の指針となっているのである。日本労働運動の階級的砦というべき国労を宮坂・チャレンジの帝国主義的労働運動に明け渡すな。闘争団を守りぬき、国労を階級的労働運動として再生させよう。
 国鉄決戦の第二の課題は、第二の分割・民営化攻撃ともいうべき大合理化攻撃と徹底的に闘いぬくことである。JR資本は「国鉄改革の完遂」を掲げ、国労解体攻撃を強めつつ、JR東の保守部門の外注化、JR西での能力給制度の導入というリストラ・合理化攻撃を極限的に強めている。同時にこの間、JR西日本での新幹線トンネル壁落下事故など安全問題が続発し、列車をまともに走らせることができない異常な事態となっている。鉄道会社の根幹が揺らぐこの破産的事態をつくりだしたものこそ、JR資本=JR総連結託体制なのである。
 これは明らかに分割・民営化体制の破産を証明するものであり、国鉄改革法と対決し、千四十七人の解雇撤回を不屈に闘い続けてきた国鉄闘争の正しさを示しているのだ。確信も固く、国労中央の屈服をのりこえ、闘う国労の階級的戦闘的原則のもと、JR資本の大合理化攻撃を職場からの大衆的反撃で粉砕しよう。
 国鉄決戦の第三の課題は、連合「新政治方針」に対するJR総連「対案」の反階級性、反人民性を全国鉄労働者の前に暴き出し、この闘いをとおしてJR総連=カクマルの解体を断固推進していくことである。JR総連のファシスト労働運動との対決は、労働運動における戦争協力の拒否か、祖国防衛主義への転落かの歴史的分岐をなす全階級的テーマである。全国鉄労働者は動労千葉の戦争協力拒否宣言(昨年十月四日第二七回定期大会)に続いて全職場から総決起しよう。
 国鉄決戦の第四の課題は、今こそ協会派、革同をのりこえて闘う国労共闘の強大な建設をともにかちとることである。
 闘う国労の再生の道は、大失業と戦争の時代が深まっているからこそ、明々と照らし出されているのだ。国労は今、その階級的陣形を広大に打ち固め、その強化・発展をかちとる決定的チャンスを迎えている。国労の階級的獲得と防衛の闘いを強め、国労内に新潮流運動をつくり出そう。

 第3項 全産別で新潮流運動の全国的大発展を

▼全逓 郵政事業民営化攻撃との闘いは、二〇〇〇年に新たな決戦段階を迎える。日帝の行革・省庁再編攻撃の中で、郵政民営化攻撃が最大の焦点となっている。すでに民営化に向けた「人事交流」=強制配転や郵便課五千人削減の大攻勢に対して全国の職場で怒りの反撃がたたきつけられ、新たな団結をつくりだしている。
 こうした中で、郵政事業の「立ち枯れ」阻止の口実で民営化容認から推進へと突き進んでいるのが連合全逓中央だ。連合全逓は、「抵抗から、参加へ」という連合路線を最先頭で推進し、二〇〇一年ニュー・ユニオンに向けて、一層の翼賛的変質と労働組合としての自己解体を進めようとしている。連合全逓中央への怒りをもつ全逓労働者の圧倒的多数を組織し、連合全逓中央を打倒する全逓労働運動の新しい潮流を形成する闘いを強力に進めよう。
▼教労 広教組・広高教組の闘いは、パートナー路線を撤回させ、闘う日教組運動の魂をよみがえらせている。「日の丸・君が代」闘争は、職務命令と処分攻撃との激突をとおして、永続的反乱を切り開くものとなると同時に、侵略戦争国家づくりの攻撃、天皇制・天皇制イデオロギー攻撃をめぐる階級決戦的大テーマに押し上げられた。
 日帝は、有事法制、改憲攻撃と一体で教育基本法の改悪を打ち出し、そのために教育現場の管理強化と組合つぶしを強めている。とりわけ東京の「教員用人事考課制度」=新勤評は、職場の自由を奪い、徹底的な分断をもちこむ。教育労働者は階級的団結をうちたて、新潮流運動の最先頭に立とう。
▼自治体労働運動 自治体労働運動の現在の最大の決戦は都労連決戦である。ファシスト石原知事は都財政の危機を口実に、職員賃金の本給四%減、一時金八・六%減の全国で最も激しい賃下げ攻撃を開始し、さらに今後四年間で五千人の定数削減攻撃をかけてきた。自治体労働運動の戦闘性を支えてきた現業部門を切り捨てた上で公務員労働者を「官吏」化する攻撃が、成績主義導入、「職員の意識改革」=階級意識解体攻撃と結合してかけられている。日帝は、首都における闘う労働運動の拠点として国労と一体となって闘い続けてきた都労連の闘いを、ファシスト石原を先兵として解体しようとしている。都労連の十数万人の労働者はこれとストライキで対決している。都労連決戦に勝利し、ファシスト石原を打倒しよう。
 また自治体労働者に対するリストラ・首切り、賃下げの嵐にたいし、自治労中央は、戦争協力の連合「新政治方針」を積極的に推進し、マイナス人勧を称揚して度しがたい屈服を深めている。自治労中央の屈服と破産をのりこえ、階級的労働運動の路線と指導をうちたてよう。
▼電通 昨年七月のNTTの四分割を前に、連合全電通はその綱領・組合旗・名称・歴史を清算し、NTT労組への名称変更を強行し、NTT資本への屈服を深めている。全国の闘う電通労働者はこれに屈せず、NTT二万人リストラ・十万人体制攻撃粉砕を真っ向から掲げて闘おう。
▼医療・福祉 介護保険制度導入と医療の改悪は、医療・福祉労働者の職場に激しい再編攻撃として襲いかかっている。医労連などの裏切りをのりこえ、職場での闘う労働組合の確立が焦眉(しょうび)の課題である。公務員ヘルパーを始め福祉労働者の切り捨てを許さず闘おう。
▼民間=鉄鋼・電機・自動車・金属・中小産別 日本の基幹産業に大リストラの嵐が襲いかかっている。日産の五工場閉鎖、二万一千人の首切りをはじめ大型リストラ・首切りが次々と始まった。これらの下請け関連企業の倒産続出は不可避である。あらゆる業種の民間産別労働者に嵐のような攻撃が襲いかかってきているのである。港合同の、一人ひとりの労働者の生活権を団結を武器に闘いとり、「企業はなくなっても、労働組合は残る」という闘いに学び、闘いぬこう。
 連合は春闘を解体し、「産業再生法推進・雇用創出」の運動を日経連と一体で進めている。鉄鋼は「隔年交渉」で春闘を消滅させた。電機連合は「賃金は労働協約交渉の一部分」とし、しかも「隔年化」しようとしている。金属機械の昨年のJAMへの移行は、労働組合から一切の闘いを奪うものである。合同労組の組織化を積極的に推進し、中小未組織労働者の闘いを前進させよう。
 三十年目を迎えた全金本山闘争は、労働組合としての原則と団結の力、それを支えてきた全国の支援がある限り、労働者は生きていけることを示している。倒産、リストラの攻撃が吹き荒れる中で、全金本山闘争に学び、職場、地域に闘う団結をつくりだそう。二人の解雇撤回、全員の原職奪還へ、全金本山闘争の完全勝利をかちとろう。
 三一書房労組は資本のロックアウト、首切り、賃金未払い、資産整理・売却や刑事弾圧導入策動などの攻撃と懸命に対決して組合員の団結を固めつつ闘っている。三一書房争議を全力で支援し、不当労働行為撤回まで不屈に闘いぬこう。
▼阪神被災地の闘い 阪神大震災被災地での闘いは、失業対策を絶対拒否するという行政の厚い壁の前で苦闘を強いられながらも、「仕事をよこせ」「おれたちを食わせられないのなら、生産手段とこの国をおれたちに返せ」という根底的要求をもって立ち上がっている。戦争と大失業・恐慌の時代の到来の中で、労働権の最後的保障である失業対策事業の再開をなんとしても実現させようと闘っている被災地労働者と連帯して、ともに闘おう。
▼女性労働者 これらの闘いにおいて、女性労働者の決起は、青年労働者の決起と並んでとりわけ重要な位置をもっている。労働法制改悪攻撃との闘いを始め、全国労組交流センター女性部を先頭に切り開かれてきた闘いのさらなる発展をかちとろう。

 第4項 闘う労組の大結集へ

 労働運動の戦闘的再生をかけた新潮流の全国的発展をめざす闘いは今や、日帝権力、資本、連合、全労連、JR総連=カクマルなどのあらゆる抑圧、弾圧、転向をはねのけ、資本攻勢と死活をかけて闘う労働組合、労働組合活動家、労働組合員、労働者にとってなくてはならない一大運動となってきている。
 「ガイドライン下の労働運動」「ガイドライン下の階級闘争」にとって、あくまでも階級的戦闘的に闘いぬくあり方、労働者階級、労働組合員の利益にあくまでも忠実に闘いぬくあり方、すなわち帝国主義との対決、その打倒を〔直接間接に〕根底にすえたところに成り立つあり方、本来の労働組合を貫きとおすあり方が不可欠である。こうした立場に立って苦闘するすべての労働組合、組合活動家、闘う組合員は、やはりバラバラのままでは本当の力にはならない。逆にこうした闘う勢力が大きく結集すればするほど、階級的戦闘的本質が相互に磨きあげられ、より鮮明なものになり、力強さと結集力を増大させていく。
 九九年の十一・七の圧倒的な感動それ自体が、二〇〇〇年の十一月労働者集会の革命的爆発的発展の闘いを引き寄せていると言える。二〇〇〇年を、戦闘的労働組合の総結集で新潮流運動の全国的大発展の年としよう。その闘いの環として、労組交流センター運動の新たな発展を切り開こう。

 第2節(2)連合=JR総連の大転向と対決し「政治路線」めぐる決戦に勝利しよう

 労働戦線におけるいまひとつの決戦課題は「政治路線」をめぐる闘いである。
 米・日帝国主義の朝鮮・中国侵略戦争の歴史的切迫という情勢のもとで、階級的労働運動を発展させるためには、産業報国会化への大転向のかじを切った連合およびJR総連=カクマルとの「政治路線」をめぐる激闘に勝ちぬき、帝国主義の手先となった労働貴族やファシストどもを労働戦線から放逐するために闘わなければならない。

 第1項 「戦争協力宣言」をうち出した連合

 まずはじめに、連合が九九年十月大会においてうち出した新政治方針、すなわち「戦争協力宣言」の内容と本質をしっかりとおさえていこう。すでに周知のことでもあるが、新「連合の政治方針」の骨子となる部分を列挙してみよう。
 @「いま、世界は東西冷戦終結以降、経済的グローバル化が進展、特にアジア・北米・欧州地域を基軸とする経済圏が形成されつつあり、二一世紀に向けての新世界秩序の構築が模索されている。一方、九一年の湾岸戦争以来、コソボ紛争に至る地域戦争、宗教対立や領土問題、民族紛争等が多発しており、世界の平和維持が共通課題になっている」
 A「防衛議論は、従来のあいまいで具体性のない防衛論議から、国民の権利と義務との関係および民主主義のルール遵守(じゅんしゅ)を前提に、平時対応・周辺事態対応・有事体制の区分のなかで、国民的論議を行えるよう努める」
 B「われわれは、憲法論議を否定するものではない」「わが国の国民世論動向の現状は、グローバル化の進展や国際情勢の変化、環境問題、情報公開等の理由から、憲法論議への関心は高まってきている。しかし、まだ議論自体が国民的な広がりを見せておらず未成熟のため、現状では憲法改正をそ上に乗せることは、時期尚早と判断する」
 C「新しい世界秩序形成は、国連をはじめとする国際機関を軸として構想すべきであり、わが国は国連等にいままで以上に積極的に協力する」
 D「日米関係については、長年培ってきた相互信頼関係にもとづき、今後も相互受益をめざし、維持強化する。特に、日米安保条約における軍事的側面にとどまらず、日米経済関係に着目した日米経済安全保障の強化をはかる」「日米安保条約がこれまで果たしてきた役割を評価しつつ、日米関係を重視する立場から、今後も維持する」
 E「国際ルールとして、自衛権は独立国家の固有の権利であることを確認する。自衛隊は、専守防衛、徹底したシビリアンコントロール、非核三原則、を前提としてこれを認め、今後のあり方として、縮小の方向を指向する」
 F「基本姿勢として日米安保の役割を評価し、日米安保を基軸としたうえで『日本の米軍基地』の整理・縮小をめざしていく」
 G「特殊事情にある沖縄の状況を十分に踏まえ、日本全体での沖縄の痛みの分かちあい……米軍基地問題の解消をめざし、基地の整理・縮小、日米地位協定の見直しについての具体的履行とそれにともなう跡地利用策と、雇用対策の確保を政府に求めていく。とりわけ……『国際都市形成構想』等、産業振興策の推進とその確保を政府に求めていく」
 以上、あえて長い引用をしたのは、このようにきちんと全面的に引用すること自体が、連合新政治方針の最も的確な本質的暴露となると考えたからである。
 まさに驚くべきものである。今や連合は、帝国主義国間の争闘戦の激化、ブロック化の進展の中でユーゴ戦争など帝国主義侵略戦争の時代が始まっていることを、帝国主義または帝国主義的労働運動の言葉で強力に確認し〔引用の@をみよ〕、ガイドラインとその関連法を積極的に認め、有事立法の必要性さえうち出すに至ったのだ〔引用Aをみよ〕。
 また、連合は憲法改正の必要性を積極的に強調し、改憲に向かって世論を盛り上げていくことさえ確認している〔引用Bをみよ〕。
 しかし、今回の連合新政治方針の中で最も恐るべき内容は、引用のDEFGの部分であろう。ここでは、日米安保条約、日米軍事同盟、自衛隊、在日米軍基地、沖縄基地の一切が全面的に積極的に承認され、その全面的展開が確認されているのだ。
 ガイドライン関連法の成立を受けて、連合はついに祖国防衛主義の立場にはっきりと立つことを表明したのである。これは許すことのできない情勢である。すべての闘う労働者はこの連合の新政治方針を拒否し、粉砕するために総決起しなければならない。

 第2項 JR総連=カクマルの「対案」の本質

 しかしながら、この連合の新政治方針が昨年の連合十月大会において決定された背景には、JR総連=カクマルがまさに反革命的ファシスト的積極性をもってこの連合の新政治方針に賛成し、推進した事実が存在していることをはっきりさせなければならない。
 JR総連=カクマルは、この連合新政治方針の受け入れ、承認、推進という自己の反革命的本質を少しでもごまかそうとして、こそくにもJR総連の「対案」なるものを提出したのである。
 第一に、JR総連=カクマルは連合新政治方針の先の引用のBの部分に対して、「国民的論議を欠いたまま、数をたのんで重要法案が次々と成立する現状で、憲法改正を俎上(そじょう)に乗せることはきわめて危険であり、不適当です」としている。
 いったい、これが「対案」と言えるのか? 「時期尚早」であるに対して「不適当である」というのが対案なのか。これでは憲法改正そのものが、何ひとつ拒否されていないのだ。そもそも、憲法改正を論ずることは大いにけっこうという連合案の部分に、JR総連は「対案」さえ出さず賛成しているのだ。「論憲」が隠れ改憲であることは周知の事実ではないか。JR総連は今や改憲派そのものである! このことをきっぱりと確認しなければならない。
 第二に、JR総連=カクマルは連合新政治方針の先の引用のCに対応して、「新しい世界秩序形成は、日本国憲法の平和主義を基礎とし、国連をはじめとする国際機関を軸として構想すべきであり、わが国は国連等にいままで以上に積極的に協力する。国連決議によらない軍事行動に反対し、国連においては平和的な紛争処理を積極的に主張する」という「対案」を出している。
 この「対案」は重大である。まず「新世界秩序」の形成という点で、連合案と完全に一致している。つまり、これはJR総連が先に連合新政治方針の引用の@Aの部分を全面的に承認していることを示している。「新世界秩序」なるものは、現実には国際帝国主義の「新世界秩序」以外には存在しないのだ。ブロック化をめざして帝国主義が侵略戦争とその準備を推し進めること、これが「新世界秩序」の形成の階級的中身なのだ。
 ここで最も許しがたいことは、「国連決議によらない軍事行動に反対し」と言っていることである。つまりはっきり言えば、国連決議による軍事行動には賛成するということだ。しかし、国連決議とは広い概念であり、五〇年朝鮮戦争も九一年湾岸戦争もすべて国連決議によって遂行されたのである。しかも、連合の新政治方針では「国連決議による軍事行動」には何も直接言及していないのだ。つまり、JR総連の「対案」の方がはるかに反革命的に飛躍しているのである。
 第三に、JR総連=カクマルはついに日米安保条約を公然と承認する立場をうち出した。JR総連=カクマルは、先の引用Dの「対案」として、「日米安保条約はアメリカの核軍事力の存在を前提とするものであり、軍縮、核兵器廃絶をめざす立場からは望ましいものではない。したがって、その性格を軍事的側面から経済・社会・文化的側面へと比重を移す努力を重ねる」と言っている。
 JR総連のこの「対案」はペテン的な言い方をしているが、これは社会党などが安保を認める立場へと移行する際に用いた論法と同じで、帝国主義の厳然たる現実のもとでは現行安保条約の完全な承認・肯定と同義語でしかない。ここで重要なことは、安保条約=日米安保軍事同盟は帝国主義間の軍事同盟であって、「比重を移す努力」がどうのこうのと言っても、一定の情勢が発生すれば軍事同盟として発動されるのである。
 今やJR総連は安保を全面的に承認し、その担い手へと転落したのだ。ファシスト労働運動の本質をむきだしにしてきたのだ。

 第3項 自衛権・自衛隊をついに正式に承認

 第四に、JR総連=カクマルは自衛権と自衛隊を全面的に承認し、肯定し、推進する立場に立ったということである。
 今回の一連の「対案」の中で最も重大な思想的・政治的・運動的転向を示すものがこのテーマでの「対案」である。
 「国際ルールとして、自衛権は独立国家の固有の権利であることを確認する。同時に、これまでの歴史の中で『自衛のため』と称した軍備強化や軍事同盟が戦争を準備するものであったことに留意し、戦争放棄をうたった憲法九条の意義を確認する」(α)
 「自衛隊には専守防衛、徹底したシビリアンコントロール、非核三原則の遵守を厳格に求め、今後のあり方として、縮小の方向を指向する」(β)
 以上の(α)(β)の対案の説明としてさらに「『自衛(権)』という主張にはらまれている危険を十分認識すべきです。また『安全保障基本法』を制定することは、自衛隊を交戦権をもった武力へと転換させるワンステップとなりかねません」とつけ加えている。
 このJR総連の「対案」の反革命性ははかりしれないものがある。
 「国際ルールとして」などと言っているが、いったいこれは誰が決めたどんな本質をもつルールなのだ。階級社会の中に「厳正中立な国際ルール」が宙に浮かんであるのか! これは帝国主義のルールであり、帝国主義の世界支配のルール以外の何ものでもない。日本共産党の「国連憲章」のまつりあげとまったく同じ体のものである。また「独立国家として」などと言っているが、レーニンがすでに鋭く指摘しているように、これはまったくの抽象でしかない。現実に存在するのは帝国主義国家であり、政治的・金融的従属国家であり、半植民地や植民地である。だから、自衛隊はけっして単なる独立国家の軍隊ではない。日本帝国主義の軍隊である。
 だいたい「自衛権は独立国家の固有の権利」というのは、歴史的にみて、日帝政府が憲法第九条に歴然と違反する自衛隊を合法化し、あわよくばさらに憲法をも改悪しようとして、一貫してうち出してきた帝国主義のイデオロギーである。
 したがって、自衛権と自衛隊を認めることは、日帝の帝国主義軍隊を承認すること以外にどんな意味もない。労働者人民にとっては、抽象的な独立国家や抽象的な自衛権などこの世に存在しないのだ。存在するのは日帝であり、敗戦帝国主義としての日帝が憲法を踏みにじって軍隊=自衛隊をもつということである。そしてそれは不可避的に一定の情勢の中で、アジア・世界への侵略戦争をする以外にないものとしてあるのだ。
 日本の労働者人民、そして何よりもアジア諸国人民が日帝・自衛隊とその増強に反対してきたのは、それがほかならぬ帝国主義の軍隊であったからである。したがって、こんな軍隊など弱体であればあるほどよいし、そもそも粉砕し、消滅させてしまうことが最もよいこととしてあったのである。ここには祖国敗北主義の思想が脈々と流れていたのである。
 今日、JR総連=カクマルが正式に自衛権・自衛隊を承認したことは、まさにこの祖国敗北主義を一切踏みにじり、帝国主義的な祖国防衛主義の立場に移行するものにほかならない。
 ここではっきりおさえておくべきことは、JR総連=カクマルはこの自衛権・自衛隊の承認の裏切りの巨大さを完全に自覚して、それを強行しているということである。
 自衛(権)の主張にはらまれている危険性をうんぬんしたり、歴史的に「自衛のために」と言って戦争準備が行われたなどと言っていることがこのことをよく示している。しかし、これは労働者人民をあざむくペテン的言辞以外の何ものでもない。そもそも、帝国主義国での「自衛権の承認」とは帝国主義国軍隊の承認以外の何ものでもない。つまり、はっきり言えば、帝国主義の自衛権・自衛隊に害毒でないものは何ひとつないのだ。自衛権の正しい発動などを帝国主義に求めるのは空論以外の何ものでもない。
 次にわれわれは、自衛隊の承認とは、その武力行動の承認以外の何ものでもないことをはっきりさせなければならない。「専守防衛」などというが、それは何もしないことではない。それは戦争をすることなのだ。
 したがって、自衛権・自衛隊を承認することは、有事立法の承認へと直結していくのだ。専守防衛であろうが何であろうが、自衛隊が全土を駆使して戦争する以上、有事立法は必要となる。JR総連=カクマルは自衛隊を正式に承認することによって、有事立法、とりわけ「国内有事に際して」という今次の有事立法攻撃に屈服し、賛成することになるのである。だから、彼らの有事立法反対などというのはペテンでしかないのだ。
 さらに、自衛権・自衛隊の承認は、どこをどうひねってみても憲法第九条に完全に違反するのである。したがって、JR総連は今や公然と憲法第九条を踏みにじったのである。今やJR総連は改憲派そのものである。
 さらに、われわれは、この自衛権の承認は思想的全面的大転向であるがゆえに、ここを軸点として、JR総連=カクマルは帝国主義のすべての安保・防衛政策に屈服し、加担していくことになることをはっきりさせなければならない。
 帝国主義にとって、「自衛」とはおのずと周辺の安保なしに自衛はないということになり、周辺事態法の合理化へと直結する。さらにはそれは生命線論にもつながっていく。たしかに帝国主義者にとってみれば、帝国主義の存否にかかわるとはすべて、「自衛の問題」ということになるのである。
 また、自衛権は集団的自衛権に必ず発展する。安保の承認はすでにその完全な始まりだ。
 第五に、JR総連=カクマルは在日米軍基地についても、完全に承認していることを暴露しなければならない。
 JR総連の「対案」は先の引用FGに対して、「日米安保条約の性格を軍事的なものから経済・社会・文化的なものに変えていくために、日本の米軍基地の縮小をめざしていく」としている。つまりこれは現状は肯定するということだ。
 さて、ここでまったく怒りに堪えないことは、先の引用のGで言っている内容、つまり沖縄基地に関する問題で、JR総連はなんら対案を出さず、連合の方針と一体化しているということだ。このことは彼らが日帝の沖縄政策に屈服し、沖縄を基地の島として固定化すること、普天間基地の県内移設を強行して沖縄基地を永久化することに屈服し、加担していることを示す。
 最後につけ加えれば、連合の新政治方針がその全体の実践的結論として、民主党支持を基軸とし、自自公諸党とも連携していくことをうたいあげていることの重要性である。改憲を真っ向からうち出している鳩山民主党や自自公にすり寄ることの反革命性は大きい。しかも、JR総連はこの連合の方針に全面的に賛成しているのだ。
 JR総連の「対案」のもつ意義は、連合新政治方針にファシスト労働運動として、積極的に強力にゴーサインを与えたことを意味している。このJR総連の特別の反革命的役割を断じて過小評価することは許されない。
 今や日本の労働者階級は、戦争に反対し、反戦・反核・平和の政治闘争を進めていくためには、このような帝国主義的労働運動やファシスト労働運動の帝国主義戦争への協力・加担の裏切り・転向と徹底的に闘うことが必要となっている。
 しかし、こうした彼らの立場はけっして強大なものではない。労働者階級と帝国主義侵略戦争とは絶対に相入れない。労働者人民の反戦平和・反侵略の闘いは必ず燃え上がる。われわれは労働戦線の攻防において、この政治路線をめぐる闘争を重視していかなければならない。
 この闘いは、「日の丸・君が代」闘争の強力な推進とも完全に一体のものである。有事立法・改憲・ガイドラインに屈服し、加担し、協力する裏切り者どもを打倒して前進しよう! 戦争協力拒否宣言をした動労千葉の闘いに続いて、全労働者の決起をかちとっていこう!

 第5章 民族排外主義と差別主義の大洪水と対決せよ

 日帝が再び朝鮮・中国侵略戦争を決断した中で、帝国主義的民族排外主義と差別主義の攻撃が画歴史的に激化している。闘うアジア人民との連帯を貫き、排外主義攻撃を真っ向から粉砕することは、戦争攻撃との闘いにおいて決定的位置をもっている。
★入管闘争
 昨年通常国会での入管法・外登法同時改悪の攻撃に対し、われわれはこれをガイドライン関連法として暴露し、その粉砕のために全力で闘い、反外登法闘争の永続化の道筋をつくりだした。坂中路線による日帝・法務省の在日朝鮮人・中国人への同化・融和攻撃と真っ向から対決する入管闘争を構築し、日帝の戦争政策と対決する共同闘争を推進した。
 こうした中央政治闘争と同時に、外登法闘争での対行政闘争、入管収容所をめぐる闘い、戦争責任追及・戦後補償のための闘いなど、地域での運動を強化し、両者を両輪的にさらに発展させていくことが求められている。
 とりわけ日帝が、在日外国人の参政権問題をもテコに、在日朝鮮人・中国人の日帝への同化・融和を一層激烈に進行させようとしていることは重大だ。対決して闘おう。
★部落解放闘争
 日帝・東京高裁は、昨年七月八日、狭山第二次再審請求棄却の大反革命を強行した。この棄却決定を軸として、狭山闘争と部落解放同盟全国連合会への権力・カクマル一体となった解体攻撃が強まっている。さらに、広島での「日の丸・君が代」攻撃と一体となった戦闘的部落解放運動への破壊攻撃が激化している。
 だが、こうした攻撃や、部落大衆への同和事業全廃・首切り・生活破壊など、帝国主義の危機と戦争突入情勢下で吹き荒れる攻撃の激化は同時に、部落大衆の激しい怒りを呼び起こさずにはおかない。その最大の攻防軸こそ、狭山闘争の不屈の発展である。
 石川一雄さんとの血盟にかけて「狭山差別裁判の一切を取り消せ」の百万人署名運動を推進し、狭山異議審闘争の勝利のために今こそ総力で立ち上がろう。
★在本土沖縄出身者の闘い
 日帝の危機と沖縄への差別・抑圧政策の新たな強まりの中で、在本土沖縄出身者の生活と雇用はもろに大失業攻撃の風圧を受け、社会の底辺に押し下げられてきわめて厳しい状況を強制されている。
 全国沖縄青年委員会は昨年の総会で、在本土沖縄出身者の政治闘争への決起・組織化の課題とともに、その生活と権利の防衛という切実な課題を闘いの柱として据えた。この闘いを沖縄奪還闘争の不可欠の一環として、その勝利のために闘おう。
★「障害者」解放闘争
 介護保険制度の導入など、「障害者」の生きる権利を根こそぎ奪い去る戦後社会保障制度の解体攻撃が激化する中で、これと一体で一九三〇年代的な「障害者」抹殺をあおる極悪の攻撃が始まっている。「障害者に人格はあるのか」という都知事・石原の差別発言はその最たるものだ。さらに「脳死」―臓器移植攻撃や、精神保健福祉法改悪に基づく「精神障害者」への保安処分攻撃などが激化している。全力で対決し、都の「障害者」施設の民営化など福祉切り捨て攻撃に反対する闘いを始め、「障害者」解放闘争の大前進をかちとろう。
★被爆者解放闘争/反原発・反核燃闘争
 昨年の八・六広島は、戦争翼賛勢力に転落した既成の原水禁運動に代わって、反戦・反核運動の新潮流の登場が求められていることを告げ知らせた。全国被爆者青年同盟と反戦被爆者の会の闘いはその牽引力だ。西村発言に示された日帝の核武装化攻撃と対決し、八・六広島―八・九長崎反戦闘争の昨年をも超える大爆発を闘いとろう。
 東海村臨界事故を徹底弾劾し、反原発・反核燃闘争の爆発をかちとろう。
★女性解放闘争
 女性労働者・労働者家族、女性大衆への攻撃は今日、雇用・賃金を始め生活の全領域にわたって「二重の抑圧」として耐えがたいまでに激化している。男女共同参画社会基本法の成立はこの攻撃を一層分断的、差別的に推し進めるものでしかなく、他方で家族制度・家族イデオロギー攻撃が強まっている。既成婦人運動の屈服と混迷を突破し、婦人民主クラブ全国協議会と全国労組交流センター女性部を先頭に、充満する女性の怒りを総結集して闘おう。
★アイヌ民族解放闘争
 アイヌ民族への差別・抑圧の激化と対決し、アイヌ民族との連帯を強めよう。
★反軍闘争
 軍服を着た労働者・農民である自衛隊兵士の獲得のための闘いは今日、きわめて重要な位置をもつに至っている。自衛隊の侵略出兵を前に、隊内では兵士への締めつけが強まり、大きな動揺が引き起こされている。侵略戦争への動員に抗し、生きかつ闘う権利を求める自衛隊兵士の隊内からの決起は不可避である。このことをみすえ、労働者階級の正面課題として反軍闘争の前進を切り開こう。反軍裁判闘争への支援を強めよう。
●農民戦線
 昨年七月の新農業基本法の成立と「食糧安保論」の前面化は、戦後農政の大転換を画す攻撃である。既成の農業団体の総翼賛化に抗し、闘う農民戦線の構築をかちとろう。

 第6章 大衆闘争爆発を切り開く学生運動の強力な発展かちとれ

 学生戦線は、九九年という歴史の転換点にあって、最も鋭く「連帯し侵略を内乱へ」の総路線を体現して闘った。国会や沖縄や三里塚で、中央政治闘争で、対カクマル武装自衛戦争で、自らの闘いが情勢を揺り動かすという確信をつかんできたことは決定的だった。
 とりわけ全学生総体を対象化し、大衆の反帝国主義の自己解放的な決起の力を引き出す扇動をマルクス主義の力で一からつくりだす苦闘の中で、大衆運動の発展のために奮闘してきたことは全党・全戦線を牽引するものとなった。
 今まさに、階級闘争の要請する全任務を引き受け、重層的な決戦を貫徹し、なおかつ大衆闘争の強力な発展を指導して階級情勢の革命的内乱的発展をたぐり寄せる力をもった、強固な学生共産主義者群と大学細胞−拠点建設が戦略的に準備されつつあるのだ。
 学生戦線の第一の任務は、労働戦線の闘いの苦闘を共有し、階級的労働運動と連帯しつつ、本論文第三章で展開された政治決戦方針の最先頭で闘い、強大な情勢打開力として登場することだ。
 第二の任務は、大学の帝国主義的大改造の攻撃、とくに国立大学の独立行政法人化と断固対決することである。日米争闘戦の激化にのたうちまわる日帝は、国家財政の危機で恫喝し、大学、研究内容、教員、学生を競争にたたき込み、ふるいにかけ、切り捨てるものは切り捨てる攻撃に出ている。この貫徹のために、学生団体や自治寮に対する予算の削減・廃止攻撃など、学生自治、学生運動への破壊攻撃が全国の大学を襲っている。
 とりわけ全学連拠点校において、警察権力にけしかけられた当局内極反動派が台頭し、治安弾圧と一体となった破壊攻撃が一挙に激化している。
 これに対して、戦闘的大衆闘争の力で真っ向から反撃して勝利の環をつかみつつある法政大決戦に続き、東北大、大阪市大でも大衆的反撃が開始された。全国の大学で闘争が激発する情勢に入っている。大学ごとの闘いの強化と大学間の共闘の促進で攻撃を一個一個粉砕しつつ、全国政治闘争化の展望をもって闘うことが重要である。
 この闘いと政治闘争の爆発とを相互に促進させ、日共=民青、学生カクマルとの党派闘争、戦争に勝ちぬきつつ、自治会運動のオーソドックスな建設から全学連運動の本格的再興の展望を切り開くことである。
 第三の任務は、大衆運動の真っただ中から学生共産主義者の大量の輩出をかちとり、強大なマルクス主義学生同盟を建設することだ。その一環として、帝国主義の危機、戦後的な価値観の最後的解体という中で、二十一世紀を切り開く革命的価値観の創造と深化の闘いを、党派闘争、イデオロギー闘争として貫徹し、切り開こう。マルクス主義復権の闘いの先頭に立とう。
★高校生
 高校生を反スターリン主義・革命的共産主義のもとに組織化する闘いは、今日ますます重要になっている。現在、小林よしのりの『戦争論』を始め、歴史の改ざんと侵略戦争賛美のイデオロギーが若者の間にまき散らされている。学校では「日の丸・君が代」強制の攻撃がいよいよ激化している。
 帝国主義や反動・反革命諸潮流との熾烈(しれつ)な獲得戦に勝ちぬいて、未来を担う高校生男女を革命的共産主義の旗のもとに組織しよう。

 第7章 総翼賛体制に組み込まれた転向日共を打倒せよ

 来るべき総選挙闘争において、われわれは日本共産党の転向と戦争翼賛勢力への転落を徹底的に暴露し、彼らの仮面をはぎとり、打倒しなければならない。今や日本共産党は、安保条約にも自衛隊にも、「日の丸・君が代」にも天皇制にも反対しない、とんでもない反人民的政党に成り下がっている。このことは昨年のガイドライン法=戦争法の成立によって一層明白になった。
 日共は昨年六月の第四回中央委員会総会で「『周辺事態』なるものが起こった場合、戦争法を発動するかどうかは、そのときの政府の判断による」「このしくみのもとでは、憲法をまもり、戦争法の発動をゆるさない民主的な政府を樹立するかどうかという問題が、日本とアジアの平和にとって、いよいよ緊迫した意義をもってくる」と言い、かつ「自主的な判断ができる政府が樹立されるならば、安保条約と戦争法が存続するもとでも、アメリカの要請を拒否して、憲法にしたがった日本の立場をまもることができる」(不破・幹部会報告)と述べて大裏切りを宣言した。
 この宣言によれば、日本共産党は安保条約にもガイドライン法=戦争法にもそれ自体反対しない。いやその存在と効力を認めるのである。日共は、「民主的な政府」が樹立されればそれらの条約や法律の発動は阻止できるなどと言っているが、ここにとんでもないまやかしがある。それでは日共のいう民主的政府がまだできない時はどうなるというのか。自自公やそれに類似した勢力が国会の多数を占めていれば、安保条約や戦争法の発動は合法だし、許されるということになるのだ!
 この日共の立場からは、日帝支配階級による侵略戦争に対して、日本の労働者人民が大規模な革命的大衆行動に立ち上がって阻止するという方針も路線もけっして出てこない。それどころか、それは合法政府の合法活動への反乱であって、違法・無法の行動だということになる。つまり日共は、反戦闘争の戦闘的発展を権力と一体となって圧殺するということでしかない。日共が参加する民主的政府ができるまでは、戦争になっても反対闘争もしない、できないことになる。これは日共が、完全に戦争容認の政党に成り下がったということ以外の何ものをも意味しない。
 では次に日共のいう「民主的な政府」のイメージとは何かと問うてみよう。彼らは、実際には民主党との連合を夢想している。労働者人民の真の利益を守らず、国会議員の数を増やすことしか考えていないような日共は、いくら伸びても多数派などにはなれないからだ。しかし、連合しようとする民主党とはどんな政党か。改憲を主張し、帝国主義戦争をやる立場に立つ保守政党なのだ。
 日共はこの民主党と、安保も自衛隊も認めて連合すると三中総では言っている。逆に民主党は、万が一にも日共と連合する時には、自己の政綱が縛られてしまうことまで認めるわけがない。したがって日共は連合政権のため、その維持のためと言って、この戦争は日本のためになるから正しいなどとペテンを弄して参戦するに決まっているのだ。
 日共が安保を認め、自衛隊を認め、ガイドライン法を認めるということは、こういうことをしか意味しない。転向日共はもはやあらゆる意味で人民の党とは絶対に言えない。
 日共は、九四年の第二〇回大会で、ソ連スターリン主義崩壊以後、自らのスターリン主義としての大破産が突きつけられ、それを開き直って必死に延命するために、資本主義・帝国主義の民主的改良と日共の議会主義的膨張という政治綱領を打ち出した。これは宮本体制をひきつぐ不破・志位体制が掲げた新綱領という意味をももっていた。
 その内容は、「社会主義をめざす」とペテン的に唱えることは維持しつつ、社会主義革命を「民主主義革命」なるもの、つまり帝国主義・資本主義の枠内での部分的改良・民主的改革にすりかえ、「帝国主義の民主化」や「民主的帝国主義」がありうるかのような幻想をまき散らし、しかもその「民主的改革」を「長期的・根本的な政権目標」(不破)にまつりあげるものである。
 このことは実はこれにとどまらない意味をもつ。日共は、日共のこの帝国主義の民主化という空論的で反人民的な政治路線を進めていくために、逆に危機にあえぐ帝国主義を打倒する真の人民運動に絶対反対し、議会制民主主義を守れ、法律を守れ、私有財産を守れなどと言って、革命的闘争を圧殺するため全力をあげるということだ。日共はこの意味でスターリニストの本質をもっているのだ。
 反スターリン主義・革命的共産主義運動の戦略的前進をかけ、日帝・自自公体制の最後の番兵=日共スターリン主義を来るべき総選挙と二〇〇〇年決戦の大爆発、大勝利をもって打倒しよう。

 第8章 JR総連の防衛のため改憲・安保・自衛隊を承認したカクマルを打倒せよ

 日帝の朝鮮・中国侵略戦争の決断、戦争と大失業攻撃、小渕・自自公体制を基軸とする大政翼賛会的政治の始まり、野党諸勢力のあいつぐ転向という中で、ついにカクマル=JR総連は歴史的な転向を開始した。まずJR総連が、連合新政治方針への「対案」という形式をとって日帝の侵略戦争への全面的協力宣言を行ったのに続いて、カクマル自身が反革命通信紙上でこれを全面的に称揚する見解を明らかにしたのである。
 カクマルは、反革命通信『解放』の九九年九月十三日号で、JR総連の「対案」について次のような見解を表明した。それは、「『護憲』の運動を展開してきたJR総連は、『日本国憲法の平和主義の精神をより鮮明にすべきだ』という観点に立った対案を――だが自衛隊や日米安保条約の存在そのものは“容認”したうえで――すでに提出している」というものである。
 すでに第四章で見てきたように、JR総連は「対案」の形をとっているが、実は連合の方針に全面的に追随したばかりでなく、それ以上に連合の大転向をさらに促進するという犯罪的役割を果たした。ところがカクマルは、JR総連のこの「対案」を、「『日本国憲法の平和主義の精神をより鮮明にすべきだ』という観点に立った対案」と大いに称揚しているのである。カクマルはこのように言うことによって、JR総連が自衛権・自衛隊と日米安保を容認したとしても、JR総連はなお支持され、称揚されるべき存在だとしているのである。
 ということは、カクマル自身が自衛隊や日米安保の容認について、それが決定的な大転向であり、帝国主義の立場そのものへの階級的移行であるとは考えていないということである。つまり、カクマル自身が結局、自衛権・自衛隊と日米安保を承認し、そして国連の名による侵略戦争に賛成し、ガイドラインに賛成し、改憲に賛成する立場に決定的に移行したということにほかならないのだ。
 ところで、このJR総連の反革命的方針は、カクマルのJR総連政策の結果であり、カクマルの労働運動の基本路線そのものである。つまりカクマルの「党」としての基本政策として、JR総連の大転向を全面的に承認したのである。これは、カクマルの一層の真性ファシスト化を確証する以外の何ものでもない。
 こうしたカクマル=JR総連の公然たる転向の主体的根拠は何か。
 それは、カクマルの階級的本質そのものにある。彼らは、帝国主義が危機と戦争の時代に突入しつつあるとき、自国帝国主義の安保・防衛政策にペテン的にせよ「反対」のポーズをとることが、日帝支配階級との激突に発展することを恐れたのである。また同じことだが、この間の帝国主義権力とファシスト分子との間の一定のあつれきの激化におびえ、帝国主義のために、連合の大転向の最先頭に立つことによって、日帝権力に党派としてのカクマルとJR総連の存在を容認してもらおうとしているのである。
 そして、自らこういう立場をとることを合理化し、他者が戦闘的に闘うことが自己の本質を暴露するものになることを恐れて、闘う者を圧殺する行動を強めているのだ。

 第1項 反戦闘争への敵対深めるカクマル

 九九年はカクマルがガイドライン闘争の爆発に恐れおののいた一年であった。
 第一に、現代の反革命ファシストであるカクマルの原点は、七〇年安保・沖縄闘争の爆発への敵対にある。このカクマルにとって、九九年の新安保ガイドライン闘争の大衆的発展が七〇年の悪夢の再来として映ったのは必然であった。このために、カクマルはガイドライン闘争に介入し、内部から崩壊させることを試みたのである。
 第二に、カクマルは、カクマル自体とJR総連のファシスト性のゆえに発生する権力とファシストの一定のあつれきの激化におびえて、ガイドライン闘争の放棄と抑圧をもって権力の許しを乞うたのだということである。
 しかし、反戦共同行動委と百万人結集の大衆運動の力強い発展は、カクマルの反革命的狙いを完全に粉砕した。とくに、五・二一のガイドライン反対五万人集会と六・二四組対法反対集会でカクマルの敵対を粉砕したことは、カクマルの路線的危機をより一層深化させたのである。JR総連は六・二四組対法反対集会では、集会場から大衆的にたたき出され、労働運動におけるJR総連の絶望的孤立はいよいよ決定的となった。
 こういう情勢下でJR総連は、ガイドライン法が通過したから「戦時下である」という反革命的ロジックを使って、帝国主義戦争への協力という大反革命に踏み切り、連合大会での改憲賛成と安保、自衛隊、米軍基地の承認という侵略戦争協力宣言を行ったのである。もはやカクマルの一切の弁明は通用しない。カクマル=JR総連が安保・自衛隊・有事立法・改憲に賛成している事実は全人民のまえに明々白々となったのである。
 カクマルの組織的危機の進行のいまひとつの原因は、「謀略論」の全面的破産にある。「神戸謀略論」デマのデッチあげは完全に破産した。
 JR総連の組織的危機も決定的に進んでいる。JR体制=分割・民営化体制の破綻が顕著になってきている。このためJR資本は合理化、リストラ、賃下げ攻撃を全面的に開始している。この資本の攻勢をJR総連は全面承認しているのである。また、ガイドライン下で、「私たちJRも自衛隊法一〇一条によって、武器、弾薬、兵員の輸送を担わされることになりました」(連合大会でのJR総連書記長・カクマル小田の発言)と軍事輸送に賛成している。
 だからこそJR総連は、労働運動、反戦政治闘争の爆発を絶対に容認できず、一方では連合大会での「対案」の提出を行い、もう一方では大衆闘争の破壊にのりだしているのである。しかし、こうした反労働者的行動は、自らの墓穴を掘っていることにほかならない。
 第三に、カクマルは、現代世界の情勢をまったく階級的に認識できない。九九年の冒頭では、かつての容帝反共主義―ソ連脅威論を復活させて、「中ロ脅威論」「新東西冷戦論」を唱えていた。現在の帝国主義は経済的に争闘しても軍事的には対立しない、帝国主義の軍事はあくまでも対中、対ロの対抗的・防衛的なものだと言って、帝国主義の戦争政策を完全に擁護していたのである。
 しかし、昨年春の米帝・NATOのユーゴスラビア侵略戦争のむきだしの展開の中で、カクマルの「新東西冷戦論」は全面的に崩壊した。九九年秋におけるカクマルの基本路線はこのため、ほとんど体をなさないものとなった。中国脅威論をストレートに出せず、二十一世紀における「潜在的脅威」などと言ってみたり、逆に米帝の戦争放火・戦争準備が「起動力」となって「新東西冷戦」が発生していると言ってみたり、あるいは同じ論文で新東西冷戦論と帝間争闘戦激化論とをごた混ぜにしている有様である。原理的世界観はどういうものか、理論的にもはや構築できないのである。
 そして、こうした路線的混迷の中から、黒田の日本=従属国規定を基底にして反米民族主義がはびこり始め、「ヤンキー帝国主義・アングロサクソン帝国主義の世界支配反対」とか、断じて許すことのできない帝国主義的民族排外主義へと思想的にのめり込みつつあるのだ。
 反革命カクマルは、以上の破産の中で、大衆運動への解体策動をますます決定的に強めている。百万人署名運動、部落解放同盟全国連、労働運動の新潮流運動、沖縄現地闘争、杉並選挙闘争などに対する敵対・破壊策動である。沖縄においては、SACO合意に基づく基地の県内移設攻撃への沖縄人民の怒りの爆発に敵対し、「県内移設反対に反対」として、名護や浦添の闘争を攻撃し、まさに日帝の侵略戦争と沖縄差別攻撃の先兵となっている。
 カクマルは、そのためにニセ「白井パンフ」(青パンフ)をねつ造し、これをネタにして敵対・妨害策動を行ってきたのである。さらに百万人署名運動のニセ「通信」をもデッチあげているのだ。
 だが、ニセパンフ、ニセビラ、ニセ「通信」は、完全にカクマルの墓穴を掘った。人民大衆はそのファシスト的手口を見破っている。そして、大衆的なカクマル弾劾、追放一掃の戦闘的決起が起こっている。沖縄における名護ヘリ基地反対協のカクマルと「一線を画する」決議、都労連でのカクマルに対する怒りの爆発、労働戦線での青パンフへの怒りと弾劾など、大衆的運動の中でカクマルの反革命性、ファシスト性が全面的に暴露されてきたのである。
 五月テーゼ下の対カクマル戦争は、大衆闘争と労働者階級の闘いを基盤にして闘いとられ、勝利してきた。この中で、カクマルの反革命イデオロギーと闘争方針の大衆への敵対性を全面的に暴露し、追いつめていく闘いが重要である。五月テーゼ路線のもとでのこの闘いの発展を基礎に、九九年の対カクマル戦争は全面的に爆発したのである。
 二〇〇〇年決戦において革共同は、五月テーゼ下の対カクマル戦争を徹底的に、より一層全面的に発展させていく決意である。反革命カクマルの運動的敵対と大衆的に対決・粉砕し、とりわけ接近戦的闘いに勝利し、革命的武装自衛闘争の強化をかちとろう。
 三・一四復讐戦貫徹=総反攻完遂、カクマル完全打倒、三頭目処刑!
 二〇〇〇年を反革命カクマル打倒の決定的年とせよ!

 第9章 衆院選挙決起をバネに党建設の新たな段階へ

 五月テーゼ・一九全総、二〇全総が提起した党建設上の基軸的任務は、労働者細胞建設の闘いである。党全体と労働者細胞をとおして全プロレタリアートを組織し、その決起をかちとっていくこと、このことを革命運動の中心課題に据えるということである。
 この立場からわれわれは労働者細胞を建設するために、以下の点を徹底的に重視して闘い、そして前進してきた。
 第一に、労働者階級自己解放としての共産主義運動の本質を主体化し、その精神をもって、労働者階級の中に共産主義的政治の全体性を断固として提起し、獲得していくこと。この二〇全総の成果をさらに決定的に確認しよう。
 第二に、労働組合運動をとことん重視して闘いぬくこと。政治闘争を政治闘争として実現するとともに、リストラ、首切り、賃下げなど激化する資本攻勢と対決し、経済闘争を決定的に重視して取り組むこと。
 第三に、党中央、中央労働者組織委員会、地方委員会、地区委員会、産別委員会の決定的強化とその変革、何よりも党中央指導部の本格的建設のために闘うこと。
 こうした闘いは、大恐慌情勢と新ガイドライン体制下で、階級矛盾、階級対立が激烈に深まっている今日、ますます強められなければならない。
◆細胞活動の原則的確立
 五月テ−ゼ以来、一九全総、二〇全総を経て、革共同が全党をあげて必死になって取り組んできたものは細胞活動の原則的確立ということであった。党の細胞活動の中にあって、党の基本的な考え方、路線と方針をめぐって生き生きとした討議を組織し、組織的一致を闘いとる、その組織的一致に基づいて実践し、それを総括する――こういったサイクルを確立していく闘いが、細胞活動の作風として、党中央を先頭として目的意識的に追求されつつある。このことは、党における方針形成と貫徹の闘いを、細胞の脈動をとおして推進していくという党の本来的なあり方(ボルシェビキ的なあり方)が、全党的に確立されつつあるということである。
◆「労働者階級の中へ」の闘い
 革共同の大衆運動指導の能力、労働運動指導の能力をさらに圧倒的に強化するために、一層本格的に取り組んでいくことである。
 一九全総において強く確認したように、われわれは六〇年代、七〇年代と同じように大衆運動、労働運動の指導能力をあらかじめもっているわけではない。
 しかしわれわれは、全党をあげた五月テーゼ路線の実践的苦闘をとおして、労働運動、労働組合運動の内部で闘いつつ学び、学びつつ闘う実践的活動を身につけ、「労働者階級の中へ」の闘いを一歩一歩前進させてきた。労働運動、労働組合運動だけでなく、革命的政治闘争、革命的議会主義の領域でも指導上の豊かな経験を積み重ね、三全総的挑戦が力強く始まった。
 とくに国鉄決戦への党の総力をあげた取り組みの中で、政府、権力、資本と闘い、カクマル=JR総連のファシスト労働運動や帝国主義的労働運動の諸潮流との激烈な党派闘争を貫きつつ、戦闘的労働者の気分と緊密に結合し、労働者階級の中に党を建設していく力、細胞を建設していく力を獲得できるようになってきた。
 もちろん、本来あるべき地平からいえばまだまだ限界はある。しかし、われわれが細胞的な原則的討論、組織的一致、組織的実践、そして総括という組織原則に従って闘いぬくならば、労働者階級の中で労働運動(大衆運動)と党建設を一体的平行的に発展させる党的指導性は必ず獲得できるのである。この点を明確にさせ、中央委員会、中央労働者組織委員会の指導をさらに飛躍させ、地区党、産別組織での原則的組織的討議と実践を積み重ねていこう。
◆機関紙・誌活動
 全党の機関紙・誌活動の改革と前進は大きな成果を上げつつある。意識性をもった指導力が党的に集積され、全党に物質化され始めている。この粘り強い継続の中から、党建設の新たな革命的展望が切り開かれつつある。
 機関紙・誌活動は、細胞建設上絶対不可欠なものであり、党発展のかぎをなす。機関紙・誌の全党的な学習活動が強化され、理論活動の武器が豊富になっているから、党の思想的理論的な内面的開発を強力に推し進める条件は充分に整っている。同じ人でも理論学習を媒介にすれば、二倍、三倍の力を発揮できるようになる。まさに機関紙・誌活動は、党建設と大衆運動の最大の原動力なのである。衆院選決戦への挑戦は、それをさらに死活的なものとする。
 編集局と出版部は、機関紙・誌の内容の豊富化と宣伝・扇動の改革をさらに推進し、国政への挑戦に応じた飛躍を闘いとろうとしている。印刷局は、党の路線で強固に武装し、たぐいまれな献身性を持った「党の印刷工場」として、衆院選決戦を始めとする二〇〇〇年の激動的任務にこたえる体制を整えた。
 編集局・経営局・出版部・印刷局は、一体となった闘いによって必要な一切の要請にこたえていくであろう。
◆非合法・非公然活動
 今日、新ガイドライン体制下で日帝支配階級が組対法三法、新破防法などあらゆる方法で党と階級の圧殺攻撃を強めている時、革命党は強固な非合法・非公然体制をもたなければ、階級闘争の革命的発展を主導することはできない。いや、身動きすらできなくなってしまう。革共同のみが一切の転向攻撃をはねのけて意気高く闘いぬけているのは、ほかならぬこの非合法・非公然のための党的闘いが根底で貫徹されているからである。このことを肝に銘じて、非合法・非公然体制の一層の強化のために闘おう。
 また、革命軍を先頭とする革命的武装闘争の必須不可欠性をしっかりと確認し、革命軍の防衛と強化のために全力で闘おう。
 不当なデッチあげにより全国指名手配の攻撃を受けながら、不屈に闘いぬき、革共同の闘いを最深部において支えているすべての同志を全力で守りぬこう。
◆救援戦線
 救援戦線は昨年、反戦闘争の爆発、労働運動の高揚に対して加えられた不当逮捕・不当捜索の弾圧を、同志たちの完黙・非転向の貫徹およびそれと結合した大衆的な反弾圧闘争で完全に粉砕した。
 戦争と大失業の時代のもとで激化する日帝権力の戦時治安体制への転換攻撃と対決するうえで、大衆的な反弾圧闘争、救援運動の発展はとくに重要な位置をもっている。
 とりわけ本年を、獄中十四年の須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志、獄中七年の福嶋昌男同志をとり戻す年にしよう。無実の四同志と弁護団の不屈の闘いと一体となってデッチあげ弾圧を粉砕し、四同志の保釈奪還と無罪判決を絶対にかちとろう。
 無期懲役攻撃と不屈に闘う星野文昭同志の闘いと、星野救援・奪還運動に追いつめられた日帝・東京高裁は、再審棄却策動を強めている。全人民的な星野奪還運動と沖縄闘争の爆発で、この攻撃を粉砕しよう。
 デッチあげ弾圧と不屈に闘う富山再審闘争の再審開始・再審無罪を絶対にかちとろう。一審無罪をかちとった橋本利昭同志に対する検事控訴棄却・無罪確定をかちとろう。神藤猛雄同志に対する高裁の逆転有罪判決粉砕をかけて上告審闘争に勝利しよう。
 革共同は、先制的内戦戦略の第一・第二段階の死闘を党の最先頭で担いぬき、今日下獄して闘う星野同志、鎌田雅志同志、倉持嘉之同志、片山武夫同志、浦山正博同志、さらに不当未決勾留と闘うすべての獄中同志とその家族の闘いに学び、連帯し、同志たちを必ず奪還することを誓う。

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週刊『前進』(1939号5面1)

 ゛まさに琉球処分″

 東京で講演会 名護移設発表に怒り

 十二月十一日、東京・水道橋の全水道会館で「考えよう、語ろう、沖縄と新ガイドライン−講演学習会」が開かれた。この集会は、米軍普天間基地の名護移設問題を、本土の私たちがともに考え、沖縄との連帯を強めようという趣旨で開かれた。東京の「百万人署名運動」の各地区連絡会が合同で主催したもので、約百人が参加した。沖縄県庁前で座り込み抗議行動を続けてきた西尾市郎さん(うるま伝道所牧師)の講演を中心に、熱気あふれる集会となった。(写真)
 初めにビデオ「海上基地はいらない―ドキュメント名護」が上映された。政府・防衛施設庁の卑劣な妨害を打ち破って、名護市民がはっきりと基地建設反対の意思を示した九七年十二月の市民投票前後の様子が紹介され、今日につながる現地の闘いの息吹が伝えられた。
 西尾さんは約一時間、名護移設攻撃の現状と背景、反対闘争のことなどを講演した。
 西尾さんが最も強調したのは、「沖縄問題と言われるが、本当に沖縄の問題なのか。県民は皆、かやの外に置かれている。それでいてまるで沖縄自らが基地を選んだようにされている」ということだ。
 日本政府は、自らシナリオを作って、県知事や名護市長の「受け入れ表明文書案骨子」まで作成し、年内決着を強行しようとしている。このことを西尾さんは「まさに琉球処分」「沖縄の人びとの尊厳・民意を踏みにじるもの」と厳しく断罪した。
 そして二十一日の県民大会をなんとしても成功させたいと決意を語った。
 集会では名護支援のカンパ運動、県民会議呼びかけの七十万人署名運動への取り組みなど、沖縄との連帯闘争を強化する方針が全体で確認された。
   (投稿 東京・S)

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週刊『前進』(1939号5面2)

 小渕首相に介護保険の実施中止申し入れ

 婦民全国協が呼びかけ

 十二月九日、婦人民主クラブ全国協議会の呼びかけで「ちょっと待って! 介護保険の二〇〇〇年実施−政府への申し入れ行動」が行われた。婦民の各支部、相模原革新市政をひらく会、関東「障害者」解放委員会、都政を革新する会などの代表十六人が、介護保険制度反対の申し入れ書をもって総理府を訪れた。
 面談室で始まった申し入れ行動の冒頭、婦民全国協の西村綾子代表(相模原市議)が、「きょうは、自自公政府、小渕総理に介護保険制度の中止を求めに来ました」ときっぱりと態度表明した。続いて関東「障害者」解放委員会の代表が、「介護保険制度は『障害者』の生死がかかった問題だ」と訴えた。最重度の要介護5と認定された場合さえ「一日二時間」の介護しか受けられないのだ。
 さらに、「自営業で年金がない。介護保険が払えなければ健康保険も止められると聞いて不安」「介護保険は高齢者が幸せに死ねない制度です」「三回も介護保険の説明会に行ったが、わかったのはお金を取られることだけ」などと参加者は口々に訴えた。
 最後に婦民全国協と関東障解委が申し入れ書を読み上げ、一時間にわたる申し入れ行動を終えた。介護保険撤廃、四月実施中止を求めた女性たちの怒りが小渕自自公政権にたたきつけられた。 (投稿 A・T)

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週刊『前進』(1939号5面3)

 機関紙活動 実践の中から

 「闘う農民像」を契機に決起

 マル学同S大支部 O・N 

 秋の三里塚闘争と国会闘争をきっかけにT君が『前進』を定期購読することになりました。
 T君はガイドライン反対署名に応じたり、自治会の学習会に参加していましたが、当初は「自分は闘争に行ったりできない人間だ」「暴力革命には納得できない」と言っていました。そして、三里塚闘争の学習会の時は「国家がこんなことをするなんて信じられない。とても悲しい」と感想を述べていました。
 その学習会の途中、T君は「思い出したんですけど、僕の亡くなった祖母は農民で、“死ぬときは田んぼで死なせてくれ”と言っていたんですよ」とポツリともらしました。そこで討論は「政府の暴虐がいかにすさまじいものであるか」、それに対する「闘う農民の真実の姿」というように発展していきました。
 この討論がT君の心を動かしたのでした。T君は最後には「僕も三里塚農民に連帯したい」と言い、十・一○三里塚現地闘争〜十・一一国会闘争に決起しました。
 その総括会議では、「闘争に参加して良かった。三里塚でのジグザグ・デモは面白かったし、国会闘争での学友の発言には涙が出そうになった。思ったよりも街頭の反応が良かったし、デモをすることは無駄ではないと思った」と感想を述べていました。
 こうして「最後は暴力でカタをつけることは賛成できないが、中核派の主張は正しいと思うし、いろいろ知りたいから読む」と『前進』を定期購読することになったのです。
 現在、「自分も人に訴えていけるようになりたい」と『前進』を一生懸命学習しています。また、朝鮮戦争やベトナム戦争の本やビデオを見たりしています。
 苦学生のT君は、いろいろと困難を抱えていますが「自分のペースで最後まで闘っていきます」と言っています。私も、T君の悩みに向き合い、ともに闘っていきたいと考えています。 

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週刊『前進』(1939号5面4)

 ガイドライン日誌

 1999年12月7日〜14日

 「15年は確約できない」官房長官

 原子力防災特措法が成立

 岸本市長「軍民共用の方が規模が大」

●12月7日 沖縄県議会の十二月定例会で代表質問が行われ、普天間移設問題の論議が始まった。
▼名護市議会の十二月定例会が開会した。
▼自自公の三党安保プロジェクトチームの会合で、船舶検査活動(臨検)の法案骨子を自民党が示した。
●12月8日 沖縄県議会は一般質問に入る予定だったが、野党の社民・護憲、社大、共産、結の会、公明の代表が、普天間飛行場の移設問題で辺野古沿岸域への選定経過の資料を一般質問が始まる前に公表するように求め、議会が空転した。午後十時すぎに一般質問が再開された。
▼青木官房長官が、参院予算委員会での答弁で、普天間移設問題で稲嶺知事の主張する十五年間の使用期限問題について「政府としては今の段階で、十五年を確約することはできない」と述べた。

 第1節 米軍機が不時着

●12月9日 米軍嘉手納弾薬庫地区内の道路に米空軍エアロクラブ所属の軽飛行機が不時着した。軽飛行機は遊覧飛行のため嘉手納基地を離陸したが、エンジントラブルが発生し、引き返そうとしたが機長が戻れないと判断し不時着した。現場は石川市の倉敷ダムの北方約二`。
▼沖縄人権協会が総会と記念講演会を開き、「サミット警備と県民生活」で過剰警備の問題を指摘した。
▼自民党が与党安保プロジェクトチームの会合で国連平和維持軍(PKF)本体業務への参加凍結解除にあたってPKO協力法に「警備任務」を加え武器使用基準を緩和する案を示した。

 第2節 百億円の振興策

●12月11日 政府・自民党が、普天間移設に関する経済振興策について、沖縄北部振興に百億円を二〇〇〇年度当初予算に盛り込むなどの方針を固めた。読売新聞が報じた。

 第3節 小笠原諸島に核

●12月12日 一九六八年に日本に返還された小笠原諸島の父島と硫黄島に、米が五〇年代から返還直前まで、対ソ連、対中国の戦争を想定して核兵器を配備し、返還後も有事の際の再配備を認める日米両政府間の密約があったことが、公開された米政府の機密文書で明らかになった。
●12月13日 原子力災害対策特別措置法と改正原子炉等規制法の原子力二法が参議院本会議で全会一致で可決、成立した。
▼青木官房長官が記者会見で、防衛庁が導入を目指している空中給油機について「この問題は与党三党の合意が前提」と述べた。十四日に予定されていた空中給油機導入経費の追加計上を決めるための安全保障会議の開催が延期された。
▼沖縄県の牧野副知事が青木官房長官を訪ね、沖縄県がまとめた「普天間飛行場移設先および周辺地域の振興に関する要望」を提出した。移設候補地を選定したことを報告するとともに、移設の代償として振興策を講じることを要求するものとなっている。
▼名護市議会の一般質問で、岸本市長が代替基地の規模について、「軍民共用だとボーイング747クラスが離着陸できる滑走路が必要」と述べて、「軍専用よりも軍民共用の方が規模が大きくなると想定される」と答弁した。二年前に政府が示したヘリ基地案より大規模になるとの認識を初めて示した。
●12月14日 大蔵省が、二〇〇〇年度の在日米軍駐留経費負担(いわゆる思いやり予算)を数十億円規模で削減する方針を固めた。「不況と巨額の財政赤字に悩む日本が、好景気・財政黒字の米国のために負担する必要があるのか」という理由。防衛施設庁や外務省との対立要因に。毎日新聞が報じた。

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週刊『前進』(1939号6面1)

 産別労働者座談会

 闘う労組の大結集で新潮流運動の躍進を

 労働者の階級的団結で総反撃へ

 労働者組織し21世紀へジャンプ!

 ガイドライン法の成立により日本階級闘争をとりまく状況は完全に一変している。そうした中で、「ガイドライン体制下の労働運動」への新たな挑戦が開始されている。九九年の闘いは、十一・七全国労働者総決起集会の成功を頂点として大きな高揚をかちとった。
 一方、自自公体制のもとでの大失業・戦争・翼賛の攻撃が激化している。権力・資本・カクマルが一体となった国鉄闘争解体の攻撃や、ファシスト石原都政による都労連への攻撃、さらに産業再生法をテコとした日産大リストラなどが労働者階級を襲っている。二〇〇〇年は、全産別でこれを迎え撃つ決戦となる。
 主要産別で奮闘する労働者の同志に、二〇〇〇年の年頭に当たり、階級的労働運動のさらなる発展と本格的な労働者党建設に向けての決意と方針を語ってもらった。(編集局)

 出席者
 国鉄労働者(国労) 鈴木 義男
 国鉄労働者(動労千葉) 宇野 忠彦
 全逓労働者 吉原 進
 自治体労働者 坪井 信行
 都労連労働者 楠田 晃
 教育労働者 小坂 宗也
 電機労働者 沢崎 敏美
 金属労働者 星加 唯
 医療労働者 川畑 彰子
 司会 本紙編集部
 

 第1章 組合参加ふえた11・7労働者集会

 宇野 3組合が信頼関係持ち
 カクマルに青年が怒り 坪井
 楠田 都労連支援決議に勇気
 司会 まず、十一・七集会の意義ということからどうですか。
 鈴木 大失業と戦争の時代に、労働組合がその時代と闘うことを呼びかける、ほかにはない画期的な集会だったと思います。組合参加が増えたのが特徴的だった。特に動労千葉を始め三組合の大隊列がすごかったですね。
 宇野 本当に多くの労働組合が組織決定して、今までのレベルを超えて合流しました。三組合の呼びかけでは二年目だけれど、「新しい潮流運動」は五年ぐらいで、壁を一つ突き抜けて新しい地平を開いたと思っています。しかも、カクマルの妨害があったにもかかわらず、多くの組合がそれを踏ん切って来た。それがこれまでと画然と違うところです。
 九八年にいろんなきっかけで三組合の共闘が実現したというところから、本当に動労千葉と港合同と関生支部、三つの組合が信頼関係を持って、それぞれが結集も先頭を切って、自分たちの力で成功させる立場で取り組んだことは大きな意味があったと思います。
 それと、情勢が一年前とはガラっと変わった。一四五国会のガイドライン、組対法の問題が起き、歴史が変わろうとしている事態の中で行われた。この中で、自分たちが中心となって、労働運動の否定的な現状を突き破ろうという一歩を踏み出した。
 動労千葉の組合員は、JR総連を解体し、多数に影響を及ぼす力を持たないと勝てないんだなと、みんなが本気で思うような雰囲気が生まれている。そういう中での集会だったので非常に良かったと思うんですね。
 吉原 労働組合にこだわることがすごく鮮明になったことは、党の立場からも重要だと思います。労働者にとって頼るべきは労働組合である。今、頼れなくなっているから労働者が怒っている。頼れる労働組合、労働運動をつくることが大切だ。それが全階級を革命に向かって組織するということだろう。そこに大きな展望がある。
 だからこそ、カクマルが十一・七に向けていわば反革命蜂起をやってきた。労働組合運動にわれわれが本格的に挑戦することに対して、反革命として絶対に許さないということだと思う。
 世の中、厳しい、厳しいと言われるけれど、闘う側の数が増えることは、すごい自信になる。労働者は闘う中で明るくなる。次は五千人を絶対に実現しようと、初めて参加した人も思っている。
 坪井 僕の職場では、春からのガイドラインの闘いの経験が一定あったけど、十一・七に向けては各職場に早朝ビラをまいても、なかなか焦点化するのがむずかしかった。その中で、十月末にカクマルが数カ所にビラまきに来た。職場全体があいつらは許せないという感じになって、これで一気に十一・七が焦点化した。それがポイントになり、若手も含めて十一・七に参加したことが感激でした。
 自治体労働者にとっては、十一・七は今までとは様変わりしている。これまでは動労千葉の闘いとは一定の間があったけど、都労連の闘いを自治体労働者全体の問題として考えたことが大きい。都労連の闘いは、連合下ではなかなか単組から報告されない。交流センターのチラシを見て、「ああ、こういう闘いをやっているんだ」と初めて知るわけです。
 青年部で初めて来た人たちは「いっぱいいるな」と、連合下の集会しか見ていないわけだから、呼びかけ組合の力強いというか、彼の言葉によると「過激な」、戦闘的な息吹に触れたという感想を言っていました。
 楠田 都労連の労働者にとって十一・七は非常にタイムリーでした。十一・一二のストライキを前に支援決議が上げられたことが非常に心強かった。ストをやれば、石原のことだから右翼を使ってスト破りに出てくるみたいな不安が職場にはあった。若い労働者はストの経験がないし、活動家の僕でも不安はあった。決議を聞いて本当に勇気づけられました。
 事前にカクマルが道路使用許可証をとって集会妨害に来るということで、初めて来る若い人もいるので心配したけど、心配するに足らなかった。今回の都労連闘争で都庁前デモをやったけど、ほとんどデモもやったことがない若い労働者が、デモの時に機動隊をこづいていた。止めに入ったけれど、ああいう場では労働者は戦闘化するということを感じました。
 小坂 三組合が決定的に団結を深めたことはすごいことだと思うんです。そういうところに労働者の魂が揺さぶられる。帝国主義の未曽有の危機の時代には労働者階級の闘いの爆発は不可避だ、だから労働者が団結を強めて労働者の社会をかちとる絶好のチャンスだと。集会では、そういう方向性が出されたと思うんです。全国各地で敵の攻撃にさらされ、それをはね返しながら頑張っている。けっして負けていない。国労闘争団を先頭に、教労も広教組が発言し、各産別が今の戦争と大失業の時代に労働者が必ず決起するという姿勢を表明した。それと三組合の戦闘性と階級性、闘いの方向性とが一体化した。新たな潮流の歴史的一ページという感じがします。
 沖縄行動団が、二〇〇〇年サミットで沖縄の闘いを根絶やしにしようという権力の攻撃と闘うことを訴えたことにも感動しました。その後の十一〜十二月の普天間基地の県内移設に反対する名護の闘いを見て、ますます沖縄の労働者の闘いと連帯して闘わなければならないと思っています。
 労働者階級は必ず団結した力で権力と対峙(たいじ)していける。教労でも、必ずや三組合に続く隊列をめざしたいと思います。

 第1節  組合丸ごとの結集


 沢崎 連合下でも闘いは可能
 解放感あふれた集会 川畑
 鈴木 闘争団の決意にこたえ

 沢崎 民間で新しく旗を立てて結集したところが出たことは非常に重要だと思うんです。九五年の日経連の「新時代の日本的経営」路線が出て、電機連合傘下の組合には特に激しい資本の攻撃が出ている。それに電機連合幹部が積極的に協力する中で、このままでは駄目だという機運が出てきた。
 その中で、民間でほぼ組合丸ごと結集するところが出てきた。なぜそれができたのか。長年の反合闘争の蓄積で組合的団結がもともとあり、「百万人署名運動」にこたえて取り組み、新潮流運動にしか組合の団結を強化する道はないと、執行部段階で確認してきた。
 初めて参加した人の感想は、「今まで連合の集会に参加しても競馬談議をやっていた。そういうのじゃなくて、初めて機動隊を見て、緊張感があった」と。「執行委員から毎日毎日確認されて、こんな思いはしたくないから行く」と言っていた人が「自分で新しい人を連れてこれるようにしたい」という結論になっているんです。
 とにかく、連合に対してなんとかしたいという執行部の強い気持ちがあって、三労組の呼びかけに自分たちの労働組合のあり方、闘い方を見いだして結集したということだと思うんです。
 連合下の民間職場でも、指導部の意識的な取り組みによって、そういうことが可能であることを示したのは大きいと思うんですね。
 日本経済の長期不況の中で日産やNTTを始め大リストラ攻撃が吹き荒れ、さらに産業再生法が発動されるならばどうなるのかという危機感や怒りのバネがあったと思います。
 星加 一年前とは情勢がまるで変わっている。五・二四情勢と連動して、金属ではJAMが発足した。港合同はこれと対決する二年間の闘いを経て、金属機械のJAM移行と断固として決別した。港合同は闘う路線を守り抜いて決別したわけですね。本当に勇気づけられました。私たちはこの間、港合同の闘いについて知る機会を持ってきました。この港合同の闘いの質、中身、あり方をもっともっと学んで、われわれの教訓にしなければならないと思っています。
 こういう港合同が全国に、闘う労働組合の全国ネットワーク運動を呼びかけた意義の大きさ、決断の重みをしっかりと受け止めたいと思います。幾多の困難な争議を闘い続けてきて、さらに次々と破産争議に突入している中で、全国結集を呼びかけて実現したことは大変な闘いだと思います。
 集会では、三労組の意気込み、牽引(けんいん)力が昨年よりも格段に強まったと感じました。関生の刑事弾圧や損賠攻撃との闘い、そして港合同も動労千葉も激しい攻撃と闘っている。三労組はこの攻撃と闘い抜くんだ、絶対に勝利するのだという固い決意と実践で結びついていると思います。
 石川一雄さんからのアピール、三里塚闘争のスローガンにも闘いの深化を感じました。さらに国際連帯の中身をもった運動をめざしていきたいと思います。

 第2節  職場闘争との結合

 川畑 やっぱりなかなか大変ですね、日常的な積み上げで底力をつけていくことは。きちんと団結を固める闘いと学習と十一・七のような闘いとが、このガイドライン情勢の中で一気に結びつくことが必要だと思いました。
 今、職場の資本攻勢がすごい。だから何かしなければいけないと、労組として取り組んで、けっこう呼びかけに呼応しました。来た人は新しい人が多い。職場がいつも忙しいから、集会に来て「なんか少し休めた」と言っています。いつも仕事がきついから、楽になれる。つまり解放感がある。それは労働者の空気だと思う。
 私たちが構えを変えたのは、職場闘争の中で十一・七を位置付けたことです。その中からつかんだものを職場の中に返していく。ちょうど職場闘争が重なり合っている。次から次へと攻撃がかかってきますから「これに勝つには日比谷に行こう。日比谷から帰ったらこれでやろう」と。これが良かったと思っています。
 今回は、勤務の都合で駄目な人以外は、参加者がみんなデモに出ました。集会の後に一時金闘争でストをやったら、「病院の周りを練り歩こう」という声が出る。デモのあおりです。
 これからの時代は、一つの職場だけで勝った、負けただけでは非常にきつい。「手を結んでいくことで打ち返せるんだ。労働者が最後に残れば勝つんだ」という話をしました。十一・七で労働組合運動を学び、職場の闘いに生かすという感じでした。大きなネットワークをつくっていく運動と職場での闘いが、総資本対総労働みたいに結びつくことが必要ですね。闘いの経験を交流しあえるネットワークになればいいと思います。
 鈴木 国鉄では九九年はやっと花が開き始めた年になった。学校をつくって物を申しながらやってきて、三月の国労の臨大から全国大会を闘って、ILO勧告まで来た。国労が何度も道を踏みはずそうとしたのを食い止めながらここまで来た。チャレンジ一派と闘って、ついに東京地本でチャレンジが執行部選挙に訴えて負けて、八王子地本でも負けた。ほかでもチャレンジを降ろそうという雰囲気になっている。チャレンジは不正義だから。チャレンジが不正義だというのは僕らが言い出したことです。国労共闘が先頭に立ってここまでやれたということです。
 「国家に不当労働行為を認めさせ職場復帰まで闘う」「こういう集会に国労の旗をたくさん立てたい」と発言した闘争団の決意にこたえることが求められている。
 十一・七集会は、労働者階級の力を信じて、労働者の団結の力で、労働者の首を切るような社会のあり方を変えていく、そういう路線を提起した集会だった。われわれも、闘争団とともに国鉄闘争をそのような闘いとして闘わなければならない局面に来ている。

 第2章 職場の団結を基礎に動員ふやす

 司会 組織化の教訓ということでさらに話してください。
 吉原 郵政省が僕を強制配転したのは間違いだったことを証明し、前の局と今の局で労働者を決起させるのが落とし前の付け方だと腹を固めて、前の年の十一月集会の参加者に呼びかけてフラクションをつくりました。強制配転=人事交流に怒りが充満しているので、「人事交流をつぶそう。そのために新しい団結をつくろう」と訴えて、その話が青年部にも通った。何人か来るようになった。
 勉強会を定期的にやっていると、組合みたいになる。十一・七に何人出したいと言うと、じゃあ誰をオルグするか、あいつに声をかけようとか、組合運動の動員のイメージで動き始めた。だけど勉強会は、マルクス主義と『前進』の読み合わせだから、中身は薄めていない。同時に、労働組合的な動き方にこだわっています。
 一番決定的だったのは、青年部が五・二一の五万人の集会を見て「わーすごい」と、心の底から感動したことです。二十代前半の労働者が、五万人集まるのを見て世界観が変わるという感じですね。
 彼らは、「連合全逓を打倒するには戦争を拒否する支部をつくればいいんだ。そういう全逓中央をつくればいいんだ」と、それが百万人署名運動だし、全逓改革運動だし、十一月集会だと感じとった。今年は有事立法・改憲攻撃との闘いだから、もっと職場から出そうという形になっている。増えればすごいんだと。すごく労働者的な発想だと思うんですよね。
 全逓は今回、組織決定で参加した総分会があるけれど、それに続く分会、総分会、支部レベルの機関を取っていくことが、全逓のほかのメンバーにも問われてきている。そういう思いを込めてオルグしたからこそ、全逓での組織動員が増えている。
 楠田 今まではフラクションのメンバーが全員行くのが目標だった。今回は五千人にするために七割増やそうと、名簿をつくり、チラシを配布したり電話したり、各人が自分たちでオルグする意思一致をして臨んだ。その上で、やはりフラクションレベルの動員では限界がある。機関丸ごと取って動員することが重要だと思う。
 星加 やはり職場で資本や当局の攻撃に対して日常的に闘い、闘いをとおして団結をつくり上げていくことが基本にないと駄目だと思うんです。労働者は敵の攻撃に怒っているし、一緒に共通の敵と闘うことをとおして団結していく。敵の攻撃を見抜き、まず自分が闘う姿勢を持つ。そして労働組合の原理・原則から、一から学んで実践の中で打ち鍛えていく。今、これが必要です。
 港合同から学んだのは「生存権としての団結権」というキーワードです。
 港合同はほとんど中小零細企業ですが、労働条件、権利は非常に高いレベルでかちとってきています。田中機械支部が六〇年代にかちとった労働時間は午前八時から午後三時五十分、休憩一時間です。この時短は組合活動の時間を確保し、団結を強化するためだと聞きました。組合活動やサークル活動の時間が十分にとれる。家事や育児のある女性でも家に帰るまでに活動ができる。まさに団結権のための時短なのですね。
 倒産支部は職場占拠闘争を基礎に、地労委・裁判闘争、対行政闘争などあらゆる戦術を駆使しながら、使用者概念の拡大、上部資本や関連資本に攻め上っていく闘いをやっているとのことですが、こういう闘い方ができるのも、権利闘争によって協定という形でかちとった労働組合の権利があるからです。普段から倒産を想定し、闘える武器として工場占有協定や債権譲渡協定を取ってきているんですね。それがなかったらバーンと門を閉められて、組合が中に入ったら不法占拠になってしまう。
 さらに企業の壁や業種・産別を越えた地域的団結を目的意識的につくってきた。地域も他区・他県にまで及んでいる。産別や企業の業績や雇用形態には関係なく、資本の分断をのりこえて、血の通うような労働者の団結をつくり出してきたんだと思いました。
 労働運動というのは、さまざまな形で分断された労働者を一つの階級として組織していく運動ですよね。港合同の闘いは、自らの条件の中から、経験的・実践的にそれをめざしてきた闘いではないかと思います。
 会社の存廃を資本に勝手に決めさせない。会社がつぶれても団結権は守り抜く。倒産は団結権破壊の不当労働行為だと、すべてを団結権からとらえ、団結権確保を目的にして反撃していく。生存権を守るためには団結権しかないからです。港合同の強さ、階級性と戦闘性の根源はここにあるんだと思いました。
 小坂 敵の攻撃が厳しければ厳しいほど闘いは鋭くなるし団結も強まるという、そういう闘いに教労も固く連帯して合流して闘う。マルクス主義で僕らが武装して労働者をオルグしていくことが今こそ重要じゃないか。もちろん一個一個の攻撃をはね返さないといけないけれど、それだけにとどまっていると労働組合の真の力、労働者の自己解放性は発揮されない。つまり、今の世の中のシステムそのものを変えないと労働者は生きていけないんだ。簡単に言えば共産主義社会の実現ということになる。そういう中身でオルグしなければならないと思います。

 第1節  青年獲得する好機


 吉原 フラクション作り成果
 団結権確保の闘い学 星加
 小坂 マルクス主義で武装し

 坪井 連合の自治労の中にいて感じるけど、既成の役職をもっている人はイデオロギーがぶっ壊れている。以前だったら、社会主義をめぐる論争だったけれど、彼らは今、自分たちの論理をもちえない。民主党を支持するという結論があって、どうやって支持するか論理を後からくっつけようとしても、それを構成できない。逆に、若い人たちとはスッと話せる。僕らの意見がなんら抵抗なく入っていく。これからの大きなポイントになると思います。
 川畑 うちの組合では、組合員が労働組合という意味も分からない人もいる。執行部をやれる組合員を育てるには時間がいる。それが悩みの種です。おそらくそういうところがいっぱいある。
 団結権は生存権だと言われましたが、うちの組合はまさにこれにさらされている。攻防の中で脱退攻撃も加えられている。だから逆に、ここで団結を固めようと思っています。団結権は生存権だとか、労働組合の綱領みたいなものを、かなりイデオロギッシュに労働者の中に入れていくチャンスだと思います。

 第2節  組織化の質豊かに

 司会 動労千葉から、全体の発言を聞いていかがですか。
 宇野 この三組合の関係ができたのは、政治的な主義・主張で一致したことが発端になったわけではない。それぞれの組合が、十年、二十年、三十年と激しい攻撃を受けて、まったく無関係に闘い続けてきた。それが、大きな時代の転換点で出会って何かやろうという形になった。
 僕らは官公労だし、港合同は中小零細の企業を地域で組織してきた労働組合であり、関生支部は生コン産業の中で中小零細を組織してきた。全然経験は違う。だけど、それが集まったのはやっぱり必然性があったと思うんですね。
 ネットワーク運動とは、闘っている労働組合が結びつくことだと思う。資本主義の危機が深刻化して、どの組合も職場で労働者を組織して闘わなければならない課題に毎日ぶつかっているはずです。一年間なり数年間なり一生懸命それに立ち向かってきたところが結集が増えていると思うんですね。
 あくまでも労働組合、労働者の結集にこだわってきたのは、資本と労働者の関係という、この資本主義社会の基本的なところで、労働者は闘いを訴えれば必ず立ち上がるんだ、しかも労働者は社会の主人公だという思いが強烈にあったからです。
 話をうかがって思うのは、単に動員のための組織化ということから、われわれは本気で脱皮しようとしているのではないか。労働者を組織することの質が変わってきたという感じを強く受けました。
 都労連の闘争では、都労連の十万の労働者が、闘いの方針を出されたとたんに職場中に闘いの息吹が伝わったというんですね。確かに途中で闘いをいったんやめているけれども、息吹は残っている。
 今の状況は、労働者を組織する場合、それにこたえる労働者の側の気持ちは成熟している、待っている。その意味で来年こそはもっと集めてやるという自信と確信が出てきたということですね。

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週刊『前進』(1939号7面1)

 6面よりのつづき

 産別労働者座談会

 闘う労組の大結集で新潮流運動の躍進を

 第3章 2000年は全産別で決戦の年

 ILO勧告武器に攻勢 鈴木
 楠田 石原打倒の第二段階へ
 司会 次に、各産別の闘いの報告と二〇〇〇年の課題について。
 鈴木 十一月十八日にILOの勧告が出ました。この勧告は決定的です。勧告は、「千四十七名が採用拒否の結果失業し苦しんでいること」や「救済命令が停止されていること」について「社会正義の否定」だとか「労働組合権が否定される」と、団結権侵害を許さず、五・二八判決を事実上否定する非常に激しい内容で出された。
 このILO勧告を武器にして国鉄闘争の総反撃を開始しなければならない。闘争団を先頭に政府・JR、JR体制に対して首切り責任を追及して闘う時です。ところが、国労本部、特にチャレンジ一派と革同上村派は、三月のILO最終勧告を前に「政労使交渉」で解決してほしい、と反動的決着を策動している。彼らは、「JRには法的責任はない」「新規採用方式で結構です」「紛争案件は先に取り下げるからテーブルに着いて下さい」と言う以外にない。
 しかし、労働省・運輸省、JRは大慌て。カクマルも慌てている。“内政干渉だ。五・二八判決を認めない勧告を出すのは困る”と。だけど、日本の非常識が国際的にも断罪されたのだから、それを武器に使っていく。
 改革法を承認しても何一つ解決しないことをいやと言うほど知らされた一年なんだから、改革法承認を撤回して、その責任をとって執行部は辞めてもらい、新しい執行部をつくり出して、JR結託体制を倒して、力でJRに戻る闘いを真っ向からやることです。リストラによって労働者が犠牲にされるこの社会と国鉄闘争が先頭に立って闘うんだと。
 通常国会では、JR会社法の改定問題が避けられない。その中で闘争団の解雇撤回・地元JR復帰を掲げて、首を切った張本人に向かって闘いを爆発させていく以外にない。この一年闘ってきた道に確信をもって、その責任を果たさなければならない。
 一月二十八日に行われる国労中央委員会は、二〇〇〇年の国鉄決戦の帰すうをかけた決戦です。全力で闘うということですね。

 第1節 JR総連打倒の時

 宇野 国鉄闘争、特に千四十七名の解雇撤回闘争は今、拮抗(きっこう)状態というか凍結状態で動いていない。この一年間、率直に言って国鉄闘争は大変な危機に立った。しかし、いくら国労の執行部が屈服しても、現場の労働者がふざけんじゃないと言っている以上は、この攻撃を支配階級の側も動かせなくなった。闘争団を始めとした現場の力で押し返したことを自覚して、チャレンジを打倒することが問われている。
 もう一方で、おっ、これで行けるぞと思っているのは、やっぱりカクマル問題です。今、JR総連カクマルは、どんづまりの危機まで行き着いた。「組織内からウミを一滴残らず絞り出す」として、国労の組合員と飲みに行った組合員を「国家権力の意を受けた組織破壊分子」と位置付けて、見せしめにビラに名前を連ねて出す。これはもう末期症状です。
 プラスして、例の電話データを盗み出していたNTTのカクマルは元動労の組合員で、JR総連と密着していた。反革命としても、もう盗聴だけが手段になっている。本当に怒りをもってカクマルを打倒するチャンスですね。
 資本としてもカクマルとの結託を十何年かやってきたけど、列車がまともに動かないとか、もうにっちもさっちも行かない。経営的にも貨物はどんづまりに来た。
 われわれは闘ってきて展望を持っている。しかも援軍が来ている。広教組や都労連の闘いだとか五・二一のガイドライン反対の陣形だとか。闘いを組織すれば大きな勝負になるところに来ました。
 鈴木 東京で、十一月に「平成採」の労働者が東労組を脱退した。彼が脱退届けを東労組の分会長に出して最初に出勤した日に、東労組の若い組合員が拍手した。カクマルはたまんないと思う。国労に入れなかったのは残念だけど、いいチャンスだ。繰り返し挑戦し、それを支えていきたい。
 貨物ではローンを払えない組合員が膨大に出ている。一時金は夏が一・七五カ月で、冬も一・七五五カ月で大幅減です。結局、分割・民営化の矛盾だ。JRを元に戻せという声がJR総連・日貨労の組合員からも起こっている。
 カクマルの組織を守るために組合員を監視し、組合員がものも言えなくなる。戦争への動員とはそういうことだ。それが「唯一の反戦の組合」だというデマは誰にも通じない。「改憲反対」だとか言っても、「連合の新政治方針への対案」は自衛隊にも安保にも賛成し、国連の名による戦争にも賛成だからね。結局、「労使共同宣言」を結んだ組合は、戦争に協力しろと言われたら率先してやるわけだ。カクマルの支配を打ち破っていく闘いが、労働者が労働者としての力を取り戻す過程になる。
 坪井 戦争協力強制を許さぬ
 郵政民営化は国鉄型だ 吉原
 小坂 「日の丸・君が代」と闘う
 楠田 都労連は、今回の賃下げ攻撃との闘いで石原にノーを突きつけた。石原には歯が立たないという雰囲気があったけれど、それを打ち破った。十波に及ぶ集会・デモ、座り込みとか近年にない闘いだった。決定的だったのは十一月十二日の一時間のストです。
 この日は、天皇在位十年式典にぶつかり、夕方、石原が定例記者会見で慌てて「話し合うつもりはあるんだ」と言って顔を歪めていた。天皇式典の日に、朝から夕方まで東京の真ん中で赤旗が翻った。これが決定的に石原を突き動かした。これは、ガイドライン体制下の労働運動を象徴的に示したと思うんです。組合が頑張れば戦争はできないということです。
 あそこまで行って、なぜ十七日のストを中止したんだと、職場の中で怒りが増大しています。
 そういう中で都労連闘争の足を引っ張ったのが日共と連合です。十二日は、都教組が二十九分間の職場集会を決めていたが、やらない職場が多かった。理由は「組合員数が少ないから、やってもしょうがない」と。都教組は日共系です。もう一つ、連合派の東交指導部が乗務ストの要請を頑として受けつけなかった。本音は「民営化攻撃が高まるから、おとなしくしている」ということです。
 日共は、財政赤字の原因が資本主義・帝国主義の危機にあるという本質を無視し、税金の使い道をなんとかすれば解決すると言う。石原が人勧制度を守ったから良かったとも言っている。人勧は〇・二九%のベア、〇・三カ月の一時金削減だ。今年、ベア引き下げが出たらどう闘うのか。だから人勧制度は賃金抑制装置であることをはっきりさせなければならない。
 それと、都労連指導部全体が、財政再建団体に陥らないためには合理化に協力するという企業防衛主義であり、これでは闘えない。
 カクマルは、「都労連幹部は裏切ろうとしている」と、都労連集会に破壊のために来たけれど、そんなことは都労連労働者は分かっている。でも指導部を裏切らせてはいけないという怒りがあそこまでの闘争をつくり出したと思う。ところが、カクマルはそういう労働者全体を敵に回した。都労連自体がカクマル排除を決定し、カクマルが都労連の敵として全体に認識された。カクマルは墓穴を掘ったということです。
 交流センターが二カ月足らずで十八万枚の職場ビラ入れを行い、石原のファシスト性に対する怒りが形成されたことも重要でした。
 民同支配が崩壊し、職場の怒りと闘う機運が高まっている中で一番重要なのは、そういう指導部にわれわれが取って代わることです。都労連闘争の第二段階、新しい段階は、われわれが組合権力に上って切り開こうと思います。そのために職場内の党建設をたゆみなく堅実にやっていきたい。
 坪井 自治体労働運動には三つの環がある。一つは賃金問題で、都労連の方から言われたとおり、労働基本権剥奪(はくだつ)の代わりに人事院勧告があったという人勧体制がすでに完全に崩壊している。石原的に認めないということもそうだし、人事院が能力主義・成績主義を導入しろと言ってきている。それをこちら側から打破する闘いが問われている。
 二番目は、リストラ問題です。自治体労働者が九九年に初めて合理化による「分限免職」で首を切られた。リストラは現業と福祉関係に矛先が向けられている。介護保険の関係でコンピュータ導入でリストラを図っている。それに対して全労連系はまったく闘えない。現業つぶしに加担しているのが日共だということは明白です。
 三つ目に、新ガイドライン法で自治体の戦争協力が大きな焦点となっている。内閣安全保障・危機管理室は「周辺事態法九条への疑問点等への回答」で、「周辺事態法は個別法を上回っていない。個別法と同等のレベルだ」と言わざるをえない。私も「地方自治法とか港湾法とかをつぶしにかかっている周辺事態法」と訴えているけど、闘いが巻き起こる中で、内閣でさえ「あくまでも協力して下さいというお願いだ」と言っていることは押さえなければならない。
 この間、議会が反対したら戦争協力しなくていいのかと言ったら政府は「それは駄目だ」と言ったと報道されているが、実際は「あくまでも自治体の意向いかんだ」と言っている。強制しようとしても、法的にはそうは言えない。
 今後、有事立法が出てくる。陸海空港湾労組連絡会の闘いが大きく焦点化していますが、自治体労働者が全国的に学習を強めて、敵も弱いということを突いて闘う必要がある。組合の中央は民主党支持となっているけれど、大きな闘いにしていく土壌はある。自治体労働者は決意も固く闘っていかなければならないと思います。
 吉原 二〇〇一年郵政事業庁で二〇〇三年に郵政公社になる。全逓本部は、協約とかの権利問題は「現行のまま引き継がれるだろう」と言っている。「だろう」としか言わないのは、全部なくすということ。国鉄と同じです。その中で郵政の民営化攻撃がすごい勢いで始まっている。自殺者が二けた、退職者は三けた、四けた。今、病休と交通事故が全国の職場でまん延している。その原因は人事交流=強制配転です。現職からたたき出し、職場の団結を一掃するのが人事交流です。
 そもそも全逓は、八九年に連合に入る時に、「全郵政とくっついて大きな組合になれば郵政省に物を申せる。豊かになる」と言っていた。ところが今、労働者はへとへとになるまでこき使われている。十年前に比べ作業量は二倍から三倍になっている。
 全逓本部は連合の中でも特に悪い。「事業を衰退させないためには雇用と労働条件の悪化はやむを得ない」という立場で「人事交流は、組合の活性化、事業の活性化にもつながる」「全組合員が従来の価値観と意識を改革しろ」ということを言っている。完全に帝国主義的労働運動になっている。
 しかし現場の労働者が、はいそうですか、というわけではない。労働者の支配の危機が、郵政省にとっても連合全逓本部にとっても深刻な事態になっている。まだ、膨大な現場の怒りを組み伏せることができない。十六万全逓労働者の怒りを誰がどういう理論、思想で獲得するのかが問われている。
 小坂 二〇〇〇年決戦を“教育大決戦”と位置付けて、教育基本法改悪粉砕へ全力で闘います。自自公は総翼賛体制で朝鮮・中国−アジア侵略戦争の発動を戦略にしている。その中で教育基本法改悪、そして改憲を具体的に政治日程に上らせてくる。次期通常国会は「教育国会」だと小渕は言っている。ガイドライン体制下での教育労働者運動が、国鉄闘争と並んで日本の労働運動の命運をかけた闘いになってきた。
 「日の丸・君が代」攻撃は、全国的に広島型か、それに輪をかけた形で来ると思う。東京の人事考課は新たな勤評攻撃です。広島での広域人事異動はただ遠くに飛ばすだけじゃなくて、人事交渉そのものを交渉対象からはずす攻撃だし、全国で教職員を含む公務員のリストラが発表されている。日教組運動を解体し、階級意識とか戦闘的闘いとか反戦意識を解体することを狙っている。
 「日の丸・君が代」に対して全国で闘いが必ず爆発するから、法律をテコに処分が出てくる。処分を辞さず闘い、処分が出たら組合員は処分撤回闘争や支援に必ず立ち上がる。他の労働者との連帯をかけて闘おうと思います。「日の丸・君が代」反対は、教育労働者にとっての「戦争拒否宣言」だ。「二度と侵略の銃をとらない」「教え子を戦場に送らない」という日教組の運動と、「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱へ」「沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」という路線で闘う。
 全労働者が階級的な労働運動を再生するためにも、労働者の決起を牽引し、蜂起を指導する党を確立しなければならない。教労内の党建設に向けて闘っていきます。
 沢崎 電機や自動車、鉄鋼の資本は、すさまじい過剰資本状況の中で売り上げが減っている。今までは利益が上がらなくても売り上げは伸びていた。しかし、九八年度決算とか九九年の中間期決算では売り上げが相当落ちている。だから日立、東芝、NEC、富士通を始めとしてほとんどが赤字という危機に直面し、工場閉鎖や分社化とか数千から数万人規模の人員削減が出ている。賃下げと賃金制度の改悪や、日立では時間外割増率とか労働時間とか、長年にわたって先輩たちの闘いが築いてきたものを一気に奪い取ってしまう攻撃が吹き荒れている。
 電機連合は、日経連路線を受けて、九八年の大会で「新しい日本型雇用・処遇システムの構築に向けて」という方針を決定した。その中で成果主義賃金導入を主張している。富士通、東芝、NECが業績連動型一時金制度を導入したために一時金の統一闘争が崩れた。今まで年間五カ月が最低基準だったが、今年は四カ月を最低にして、あとは業績連動型にする。「日本の労働者の賃金は高くなった。物の豊かさよりも心の豊かさを求めて」という言いぐさで、賃上げ闘争としての春闘はやめて、労働協約改訂闘争として組むという方針を二〇〇〇年の大会で決定すると提案している。また、日経連のセミナーで電機連合の鈴木委員長が率先してワークシェアリング導入について講演している。
 連合の産業報国会化の路線を積極的に推進する電機連合に対する批判を、電機労働者の責任としてやらなければならない。
 電機資本の海外侵略はすさまじい。電機連合の組織人員は約八十万人だが、電機連合傘下の組合で、資本が海外に進出してかかえている労働者が八十数万人です。戦争・ガイドライン問題を考えた時に、軍需産業の中心で働く電機労働者の課題は非常に重大です。
 拠点をしっかり形成して、それを広く電機労働者のネットワークづくりにつなげていきたい。

 第1節 未組織の組織化へ

 星加 産業再生法で過剰資本の整理と独占の再編が進み、中小零細企業への犠牲転嫁が強くなる。民事再生法も成立しました。
 その中で未組織労働者の問題が重要だと思います。その大半は中小零細の労働者と不安定雇用労働者と失業者です。失業・半失業労働者が激増している。これらの労働者の組織化は労働運動の重要な課題です。その時、地域合同労組的な組織形態は非常に有効です。それを交流センターとして積極的につくっていく、あるいは既存の企業内労組でも不安定雇用労働者を組織していく、また地域の未組織労働者のよりどころとなる組合になることが必要だと思います。

 第2節 病院も賃下げ攻撃

 川畑 官公労も民間も、攻撃がほぼ一様だと思います。医療ではタイムラグがあったけれど、九九年から病院でも福祉関係でも軒並み賃下げと給与体系の見直しが出ている。病院の倒産も起きている。東京の病院の半分以上は、給食が民間委託になっている。
 新しい大きい病院は全部、ヘリポートが設置される。戦時医療的な救急の研修が先端的には始まっている。戦傷者を回復させて、もう一回戦場に送り出すということです。そのためにも団結と闘いをつぶし、組合をつぶす。労働協約の破棄だとか権利の問題も出てきている。一握りのエリート、戦時に戦力になる人が残り、「ナイチンゲール精神」が入ってくる。
 これは逆に、私たちも労働者の仲間たちを獲得できる。医療労働者もついに、先行してやられている民間の戦列に加われる。しんどいけど希望があります。この間の闘争も現場からの突き上げがすごいです。「何をやっているんだ」って。一時間のストのところは「もっとやれ」とか「なんで半日のストでやめるのか」と言っています。戦術を立てるのがすごくむずかしい。
 全労働者が同じラインに立って、団結する時代だと思います。

 第4章 職場細胞作り階級牽引する党へ

 社会変える展望示そう 宇野
 星加 労働組合は革命の学校
 司会 各産別の課題が明確になりました。さらに党としていかに闘うかということですね。
 宇野 労働運動全体にとって、国鉄闘争がキャスティングボートを握る位置にあることをもう一度鮮明にさせなければならない。大失業時代の中で国鉄方式の首切りが当たり前になって、労働者の権利が全面的に崩壊させられようとしている。これに対して今、国鉄闘争が闘って勝負になるところに来ている。
 敵は、闘いの拠点をつぶすために、国鉄闘争をつぶそうとしてくる。沖縄のサミットもそういう攻撃です。逆に怒りが噴き出している。都労連がもう我慢ができなくなり、広教組で闘いが起きている。本当に怒りが高原状態になっていく時には、敵の攻撃も簡単には貫徹しない。その可能性も見えてきた。国鉄闘争がここでくじけてしまうのか、国鉄闘争自身の路線的な弱点ものりこえて、本当に戦争と大失業の時代に通用する国鉄闘争に変わっていくのか。ここで勝負することが、何よりも重要だと思っています。
 今の攻撃は単に労働者を屈服させるというだけではなくて、結局は戦争のできる国家体制の中に組み込んでいかなければいけない。それに従わないで、異議申し立てをして闘う勢力をつくることが組織戦だと思う。今年二〇〇〇年は間違いなく有事立法、改憲も具体的に動き出す年になるだろう。党としても国家権力との攻防戦を熾烈(しれつ)に展開してそれに勝てるところへの飛躍が問われている。だから、その中心を担えるような国鉄労働運動をつくっていきたいということです。
 鈴木 国鉄労働運動は、党の問題が最も切実に問われている。結局、協会と革同が国労の権力を握ってきて、その路線が今の情勢の中で通用しなくなっている。われわれが国鉄闘争の先頭に立ち、困難を背負って責任をとる。そういう党をつくることです。そのために職場での闘いを重視してきた。自分の職場、分会を闘いの拠点にしないで、頑張ろうと言っても漫画になる。職場で生き生きと活動を積み上げ、その力で闘っていきたいということですね。
 吉原 全逓委員会としては、まずきちんと路線をつくろうと論議して、帝国主義の危機、大不況・大失業を見据え、そこから郵政をめぐる攻防を解明し、路線を確立してきたのが九八年から九九年です。その路線的確立をもとに組織的な勝利をかちとろうと、自分たちがいる局で絶対に職場細胞をつくろうと、いない局には党の力で職場細胞をつくっていこうと確認できた。マルクス主義で全逓労働者を獲得していく。二〇〇〇年を党建設の本格的な始まりだととらえて頑張っていきたい。
 宇野 マルクス主義だとか路線の問題について最近特に思うことは、確かに怒りはいっぱいあるけれども、敵の方はグローバリズムだ、大競争だ、弱肉強食だという意識を植え付けて、階級意識を解体しようとしている。その中で怒りを組織するということは、展望を示して組織することではないか。本当に社会を変える、ひっくり返すということを、労働者に分かるように明確に提起し、変えられるんだという展望を与えることだと思う。それは誰かではなくて、自分がやるんだと。その科学的な中身と同時に、変えるんだという自己解放の情熱が、マルクス主義の一番のガイストだと思う。そういうことが実感として分かる時がきているのじゃないか。
 やはり労働者は、労働組合の中で闘うことで、解放感を味わうのです。変革の可能性みたいなものを。フラクを組織するのも、路線や理屈だけじゃなくて、団結を組織することだという観点でやる必要がある。団結なしに革命はできない。そのような党としての変革もかちとらなければいけないと思っています。
 星加 先ほど労働組合にこだわることが重要と言われましたが、労働組合は革命の学校だと思うんです。革命は労働者自身の主体的な事業です。それを実現するためには労働者がまず労働組合に組織され、資本や権力と日常的に闘い、その中で訓練されていく、そして階級的に団結していく。
 私たちはこの労働者階級の一員であり、かつ階級を牽引する前衛としての役割がある。この時、どうも私たちは「上から小むずかしく教えを垂れる」という傾向になっているのではないかと自省しています。労働者は自己解放の無限の力と歴史的役割を持っている。「教える」のではなく、この力を引き出し、労働者自らが確信することを促し援助していくことだと思う。そのためには理屈だけでなく、私たち自身が現実の生きた労働者の姿から学び、労働者の階級的本質をつかみ取りながら、労働者に通用するマルクス主義を体得していくことが必要だと思います。
 職場から労働者の団結をつくるには、党の路線に基づく細胞の一致が必要だと思うんです。個々の党員がいくら頑張ってもそれは個人の闘い。細胞が徹底した討論で路線・方針を一致させ一丸となって闘う。そういう会議の中身、指導−被指導関係、同志関係に変革されてきたことによって、大衆との生きた交通関係がつくられ、それがまた党を変革していくという回路がつくられてきました。
 それから自分自身を振り返って、労働者に対するかかわり方、見方がすごく変わりました。この労働者のために、組合のために何ができるのか、どうみんなと一緒に闘っていけるのか、そんな意識がベースにあります。
 この一、二年の間に労働法制が改悪され、労組法まで改悪されようとしている。組対法、新破防法も成立した。労働組合や労働者の闘う武器を根底から破壊していく攻撃です。戦後的条件がなくなった中での闘いとは、原点に立ち返った闘いです。労働者の実力の闘いで既得権剥奪を許さず、奪われたものを奪い返していく闘いです。
 そしてこの資本の大攻勢・大反動、自自公翼賛体制になんとしても風穴を開けたい。衆院選に絶対勝利し、その中で党の飛躍をかちとる。これをやり抜いてこそ労働運動でも頑張れる。そういう闘いとして全力で担い抜きたい。

 第1節 衆院選と沖縄決戦

 宇野 沖縄、三里塚が決戦で、国鉄も決戦で、労働者全体が決戦です。特に沖縄・名護の新基地建設問題が決戦のさなかです。沖縄の闘う労働者と連帯し、本土と沖縄の労働者の団結した力で闘うことが求められています。
 この中で、総選挙は大政治闘争であることは間違いない。敵の側は自自公体制を組んでガイドライン法を通した上で初めての総選挙です。これを認めてしまうのかどうかが全国民的規模で問われる。総選挙は、自自公に対して断を下す大きな政治決戦だと思います。なんとしても勝利しましょう。
 楠田 都労連闘争を真に支援し連帯し、指導する党の存在が本当に求められています。都政を革新する会代表の長谷川英憲さんを国政に送り込んで、都労連闘争の先頭に立ってもらったら、都労連闘争は本格的に爆発し、石原打倒に発展することは間違いない。都労連闘争の勝利もかけて衆院選を闘いたい。
 宇野 労働者を戦争体制に組み込ませないでわれわれの側に組織することを軸に闘い抜きたい。二十世紀最後の年ですからそれにふさわしい、これで二十一世紀にジャンプしていけるぞ、という年にしたいですね。
 司会 どうもありがとうございました。

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(8面)

 写真特集 ’99