ZENSHIN 2000/01/01(No1939 p16)

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週刊『前進』(1939号9面1)

 新春対談 長谷川英憲/西村綾子

 全国の力で長谷川さんを国会へ

 自自公政権と石原都政にノーを

 労働者人民の未来かけた衆院選

 日共や民主党ではダメだ

 二〇〇〇年の冒頭にあたり、衆院選に東京八区(杉並区)から出馬する長谷川英憲元都議会議員と、西村綾子相模原市議会議員に、自自公政権と石原都政、それを支える既成野党に対する徹底批判と闘いの決意、政策、展望を大いに語ってもらった。(編集局)

 プロフイール
 1938年、長野県軽井沢生まれ。
 都政を革新する会代表。18歳のとき会計検査院に就職。働きながら早大第二政経学部で学び、労働組合の青年部副部長、書記長として職場闘争、60年安保闘争を闘う。67年、労働運動出身の議員として初当選以来、杉並区議18年。89年、消費税反対運動の高まりの中で都議に初当選。昨年4月の都議補選では、当選こそ果たせなかったものの、2万3762票を獲得した。

 第1章 闘う沖縄と結んで東京で労働者階級の反撃を実現

 西村 いよいよ二〇〇〇年、長谷川さんの国政へのチャレンジに、私たちは大きな期待をしています。激しく動いた一九九九年を振り返ってみていかがですか。
 長谷川 一九九九年の激動を闘い、われわれが歴史的な時代を生きていることを感じました。そこで自分の人生をかけた挑戦として、次期衆議院選挙への出馬を決意しました。
 特に今、沖縄は大きな決戦を迎えています。十一月二十二日に普天間基地県内移設の移設先として、稲嶺県知事が「名護市辺野古沿岸域」を打ち出した。それに対してただちに命を守る会など県民の闘いが起こっています。この沖縄の闘いとどう結び合い、連帯するのか。ここに戦争への道を阻んでいく一番の課題があると思います。そして、今年七月に開かれようとしている沖縄サミットは沖縄圧殺のための攻撃であり、怒りをもって対決しなければなりません。
 さらに、三里塚では「暫定滑走路」着工が十二月三日に強行されました。これまたガイドライン下の反戦運動、軍事空港建設を阻む闘いに対する攻撃です。三里塚反対同盟の北原鉱治事務局長は、暫定滑走路粉砕闘争の二年間決戦を宣言し、跳ね返している。北富士忍草母の会を始めとする北富士農民は、十二月連日の国会座り込みに立ち、小渕政権に真っ向から対決しています。

 第1節 名護の座り込み闘争に駆けつけ

 西村 日本政府もアメリカ政府も、沖縄に新たな基地を建設して、より重要な出撃基地にしようと狙っている。沖縄を犠牲にしてきたという歴史を繰り返さない、今度はなんとしても沖縄に新鋭の侵略基地を造らせないことが大事ですね。
 長谷川 日本の労働者民衆にとって重要な課題が、アジアとの連帯、沖縄との連帯です。私は、昨年十月二十三日の一万二千人が決起した県民大会に参加しました。非常に暑い日でしたが、村々からバスを連ねて結集し、宜野湾市海浜公園野外劇場がいっぱいになった。そこで県内移設反対が高らかに宣言されました。
 稲嶺が移設先として辺野古を決定した時も、即座に県庁前に座り込んだり、名護でも岸本市長に市民投票を裏切るなと申し入れ、座り込みに入った。私も座り込みテントに激励に駆けつけました。ああいう粘り強さ、平和を求めるエネルギーを、沖縄闘争と結んで、東京で実現しなければならない、やれるという勇気や自信を沖縄からもらいました。
 私の主張を知ってもらうために『介護は全額公費負担で』を十二月に出版しました。この本では、反戦地主・読谷村議の知花昌一さんとの対談をとおして沖縄問題を打ち出しています。

 第2節 石原を直撃した都労連のスト

 長谷川 私たちは介護保険反対を掲げて四月統一地方選挙を闘い、九月東大阪の瀬川博(部落解放同盟全国連)委員長の選挙を闘いました。大失業のあらしが吹き荒れ、労働者に対するリストラ・首切り攻撃、福祉切り捨ての大衆的収奪、それに反撃する闘いという構図で、ものごとがわかりやすくなった。攻撃は激しくなるんだけれど、労働者民衆の闘いも激しく巻き起こり始めている。
 動労千葉を先頭とした国鉄労働運動の決戦的な展開があって、関西生コン、港合同、動労千葉の三労組の呼びかけで、労働者階級の団結の力が十一・七労働者集会に結実した。闘う労働組合の新しいネットワークという、連合や全労連をのりこえていく全国的な結集が大きく進みました。
 それが都労連の闘いに結びついたことが、労働者の闘いの前進という上で大きかった。十万の労働組合が本格的にストライキを打ちぬき、団結して、反動的でファシスト的な石原都政に対してすごいパンチを加えた。労働者の闘いとしては非常に勝利感をもって二〇〇〇年の闘いに入っている。
 西村 絶対負けていないと確信しました。
 長谷川 そうですね。石原知事が選挙に圧勝して出てきた直後は、石原都政を打倒しようと言うのは僕らだけだった。それが石原が、都の公務員労働者の年間四十三万円もの賃金カット、五千人の首切りを発表。同時に都民に対する福祉の全面的な切り捨て攻撃に対しても都労連は、真っ正面から立ち上がっていった。
 都労連は、ビラや集会などで「独裁者・石原を倒そう。この社会のあり方を問うストライキだ」と訴えました。石原都政が力ずくで来ることに対して、都政を私物化するな、労働者の権利を守り、福祉切り捨てから都民の生活を守るということをかけた闘いなんだと全面的に打ち出して闘った。
 都労連はずっと国労闘争団を支援してきました。十月の国労団結まつりで、国労に五百万円のカンパをしました。見ていて本当に感動しました。その国労を支える東京都最大の労働組合が、労働者としての連帯をかけて、新しい労働運動への希望を担ってストライキに入った。これは、労働運動、労働者の闘いにとどまらない非常に大きな、闘う民衆に対する激励であり、勇気を与えた。
 西村 今度の都労連の闘いと前進を受けて、自治体労働者の闘いは広範に広がると思います。どこの地方自治体でも同じようなリストラ・賃下げ攻撃が吹き荒れていて、労働者の怒りは同じです。都労連の闘いに時代の夜明けを見る思いです。長谷川さんが都議だった時はどうでしたか。
 長谷川 私が都議会議員になった八九年は、ちょうど消費税反対運動が大きなうねりをつくり出した時です。当時、国鉄の分割・民営化、労働者の清算事業団送りに対して、これは国家的な不当労働行為なんだと都議会で追及しました。本会議でこの問題を取り上げたのは私一人でした。
 西村 国鉄分割・民営化も、国会議員が労働運動と結んだ議員活動をしていたら力関係がだいぶ違ったんじゃないか。私も、議会内だけで物事を解決しようとする、ああいう共産党のやり方のだめさかげんを痛感しています。
 長谷川 自自公連立政権のもとで翼賛体制が進行している。この翼賛体制というのは結局、自自公が衆院七割という大きな力をもっているだけではなく、共産党や民主党という国会内政党が、自自公と有無相通じているという変節をしたという問題です。
 民主党は、「自分たちこそ保守本流だ」、「改憲論は小沢自由党より民主党の方がまさっている」と主張する有事立法・改憲推進勢力です。
 共産党は、「憲法改正をいう民主党とも、その問題を棚上げして一致できる」と、安保・自衛隊容認、「日の丸・君が代」法制化に続く転向を深めた。自自公プラス民主・共産の協力、まさにこれが翼賛体制です。
 西村 公明党も「福祉の公明」なんて言って選挙に立ったのに。
 長谷川 一年前の公明党のポスターは「反自民」「介護は国の責任で」だった。今や自自公体制の一角を担って、福祉切り捨て、介護保険制度推進の立役者です。
 西村 昨年の統一地方選挙は、他政党がガイドラインに一切触れない中、相模原では“基地の街から反戦の街へ”“国の悪政にノーを”と訴えて闘い、前回を上回る得票で当選しました。ですから、その直後の五月二十一日に明治公園を埋め尽くした五万人の熱気には本当に感動しました。参加しましたか。
 長谷川 ええ。沖縄では九五年十・二一の十万人の決起がありましたが、本土で五万の人が集まった。たとえ国会で法律が通ろうとも、労働者が現場で反対すれば戦争はできない、ここから沖縄と連帯する、アジアの人びとと連帯できる闘いの高揚が開けていくと確信しました。政党や連合の指導部は安保を容認し、どんどん変質しているけれど、広範な労働者や市民、学生は翼賛体制にノーと言って立ち上がっている。さらに立ち上がる可能性を秘めている。
 西村 これを恐れて組対法や新破防法(団体規制法)などを強行している。しかし逆にそれを跳ね返せば、闘いは前進しますね。

 第2章 ファシスト石原は自自公体制の先導役、労働者の敵だ

 長谷川 人民が屈していないからこそ、石原のファシスト的登場がある。彼は民衆の閉塞(へいそく)感、危機感、自民党への反感、そういうものをつかんで、そしてペテン的なやり方で「変革」「実行」「スピード」を掲げ、強引に自自公体制、翼賛体制を右に引っ張る、そういう役割を果たしている。自自公体制の先導役です。
 西村 石原の攻撃のやり方として、都民と労働者を対立させようとしています。長谷川さんは都労連を支援してきたわけですが。
 長谷川 都民と労働者の利害が対立しているかのように押し出すのは、石原の手口です。
 石原は、労働者に「ホームレスになるよりはまし」「都の役人はぬるま湯につかっている。民間ではもう自殺者もでている」と言う。そして、「公務員はいい給料もらっている」などと、都民の反感をかき立てるやり方をしている。
 石原は、当初の賃金の四%カット、一時金の一〇・五%カットという案とともに、人勧制度を完全に無視する態度に出てきた。石原は、労働者に憎しみをもって賃下げを打ち出している。
 都労連本部や都庁の組合を支援に回った時に聞きましたが、ストライキについてかかってくる電話の十本のうち九本は非難する内容。しかしアンケート用紙をつけたビラを百万枚以上まいて、返ってきたアンケートでは「頑張ってくれ」と組合を激励するものが六割だそうです。石原都政が都民に対して、どういう福祉切り捨てをしようとしているかがきちんと明らかにされれば、都労連に頑張ってほしいという声があがる。
 立ち上がった労働者を包んで、中小企業とか住民とか全体がひとつになって闘う構図をつくることは絶対に可能です。これは労働者と都民の団結論です。
 西村 団結して、ひるまず石原と闘うことですね。

 第1節 首都圏の軍事化狙う「防災訓練」

 西村 私は、相模原市議会で基地対策委員会にいますが、昨秋に横須賀沖合にある「メガフロート」という実験海上滑走路を視察しました。同じようなものが、ジュゴンがいる美しい海、貴重な魚や貝がいて、漁民が生活している沖縄の辺野古の海に造られようとしています。
 九月の「防災訓練」にはメガフロートも「浮かぶ避難所」として参加し、大型ヘリなどが振動なくメガフロートに垂直離着陸できるという訓練も行いました。これは夜間騒音で大変な被害を受けている厚木基地のNLP(夜間離着陸)訓練の代替基地に使おうという狙いです。
 地元の基地強化や周辺事態法第九条による自治体や民間の戦争協力に対して、沖縄とともに反対していくことが求められています。
 長谷川 その「防災訓練」ですが、東京が中心になって埼玉、千葉、神奈川県を含む七都県市合同訓練として実施されました。これは、横須賀や横田など首都圏の基地を連ねて、首都圏の軍事化、軍事都市化を狙うものです。
 石原は、今年九月の「防災訓練」を自衛隊三軍統合演習として東京のど真ん中でやると打ち出した。そのために自衛隊や自民党サイドからも“クーデターを起こしかねない危険人物”と言われている志方俊之を、あえて都庁の役人として招請した。
 ガイドライン体制の一番先端を担わされるのが沖縄なら、それに続くのは首都圏です。自治体労働者や住民の動員、これに対決する闘いを沖縄と連帯して貫けるかどうかが問われています。
 西村 十一月に警視庁を視察した石原が、またも許せない発言をしましたね。
 長谷川 野田警視総監が「外国人犯罪が急増している」と在日外国人に対する敵視をあおった。石原も相づちを打って、「関東大震災では朝鮮の人たちがひどいめにあって亡くなった人たちもいたが、今度は大地震が起こると逆に、ロサンゼルスの震災の時のように、不法に入っている外国人がとんでもないことをする可能性がある」と。実に許しがたい排外主義の扇動です。石原自身が在日朝鮮人・中国人やアジア人労働者の鎮圧者になるという宣言です。この石原を打倒することなしに、アジアの人たちとの連帯は実現できません。
 西村 西村真悟が、「日本も核武装すべき」「集団的自衛権は強かんされている女を男が助けることだ」などと得意になって発言した。絶対に許せません。石原は、その西村真悟と一緒に釣魚台(尖閣列島)に行ったわけでしょ。アジア侵略を当然だと居直る石原知事の本性を、もっともっと暴露しなければなりませんね。
 長谷川 逆に言えば、この際、闘う側から石原の言動をとらえて暴露し、排外主義との闘いを全面的に分かりやすく問題提起していくことができるし、またどしどしやっていかなくてはならない。
 西村 アジアから見れば、あんな侵略的な発言を日本の民衆は黙って見過ごすのかということですからね。
 長谷川 石原は天皇主義者です。たとえば、彼は「首都機能移転反対論」を展開していますが、それは天皇をどうするかという視点です。「日の丸・君が代」問題でも、都功労者表彰式の時に、「君が代」の斉唱を拒否して退席した人がいた。石原は「非常に不愉快だ。日の丸・君が代をやるのは当然だ」と言い放った。
 だから十一・一二天皇在位十周年式典のその朝に、都労連がストライキに突入し、石原のひざ元の都庁で赤旗が揚げられたのはほんとに痛快でした。労働者階級の闘いとは本来こういうものなんです。
 石原都政は、「心の東京革命」なんて言って、藤岡信勝や小林よしのりなど、ファシスト的なイデオローグと一体化している。「東京を考える懇談会」の主要なメンバーが自由主義史観研究会です。

 第2節 闘うアジア人民との連帯を貫く

 長谷川 石原は首都圏を軍事都市に再編すると同時に、東京をいわば、アジアの首都としてつくりあげようと、本気で考えている節がある。「大東亜宣言」を都政の中で実現しようとしている。この点でも、ものすごくファシスト的な、侵略的な思想で都政を引っ張っていこうとしている。
 西村 相模原市議会に毎回、朝鮮総連に対する「補助金をやめろ」とか、非常に排外主義的な陳情や要望書が出されています。
 長谷川 杉並でも、建て替えになる朝鮮総連の初級学校に対する私学助成、補助金問題で、都革新の結柴区議、新城区議の二人以外は全員一致で否決しました。否決、つまり援助しないと。
 西村 激突している火点で闘うことと同時に、地域住民とともに、あるいは労働組合と団結して、反撃していく、この双方が絶対に必要です。
 私も戦争を体験しました。戦争によって平和は来ない、他民族を抑圧して自由はないと、しっかり学んだ歴史が私たちにはあります。日本軍軍隊慰安婦とされた人たちの告発を受け、南京大虐殺のフィルムもあり証言者もいます。この侵略の歴史を抹殺することなど言語道断です。
 石原がどんなに押しつけてこようと、これをくつがえす力が民衆の側に絶対にあります。
 社会問題に対して、家庭のしつけが悪い、女性の責任だとか父親が強くあればいいなどの石原の言い方は、侵略の思想、戦争の思想です。そもそも家族制度は、天皇制を支えるひとつの経済単位です。一切の矛盾が家庭に押しつけられ、その中で女性が二重に抑圧されています。女性差別を糾(ただ)し、人間解放に向かう闘いの歴史の一切を石原は否定します。女性の敵です。
 長谷川 府中療育園での「障害者」差別発言に、「誰でもまずいとわかるのに」と疑問符を付けていた人がいましたが、僕はそうじゃないと思う。「ああいう人たちに人格があるのかね」「安楽死」という発想は、石原の本音なんです。軍隊慰安婦問題に対して「売春という職業は昔からあるんだ、当時は体を売って、今はプライドを売って金を得ようとしている」と言っていますが、これも根っからの石原の信念です。
 この石原を倒していく力、闘う力は絶対にある。それが労働者階級の大衆的怒りの発露としてあった都労連のストライキです。
 16面につづく

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週刊『前進』(1939号10面1)

 2000年三里塚決戦勝利へ決意

 新ガイドライン巨大空港許すな

 暫定滑走路を必ず破産に追い込む

 三里塚芝山連合空港反対同盟は、二〇〇〇年暫定滑走路建設攻撃粉砕決戦の真っただ中で新年を迎えた。昨年十二月三日の着工に対して二年間の決戦突入を宣言した反対同盟から二〇〇〇年決戦への決意を寄せていただいた。三里塚とともに闘う北富士忍草母の会の天野美恵事務局長、全関西実行委員会の永井満代表世話人からの年頭アピールを11面に紹介します。(編集局)

 二年間決戦に突入

 事務局長 北原鉱治さん 

 政府・運輸省、空港公団は、昨年十二月三日、暫定滑走路建設工事を始めました。公団の起工式は、まるでお葬式のようでした。反対同盟は、この日を起点に二年間の決戦に突入し、暫定滑走路を必ず破産に追い込むことを宣言しました。
 昨年一年間を振り返ってみても、政府・運輸省が画策した「二〇〇〇年平行滑走路完成」計画を反対同盟は完全に破産させ、政府・運輸省は憂き目を見たのです。そのことを反省するどころか、国はめんつにかけて暫定滑走路案を出してきたのです。
 しかし、この暫定案もまた破産は必至です。そもそも暫定滑走路の長さは二千百八十bしかありません。ローカル空港の滑走路としても十分ではない長さなのです。もちろん現在主流になっているジャンボ機が飛ぶことのできないしろものです。暫定滑走路をつくったはいいが、使用に堪えない無用の長物となることがあらかじめはっきりしているのです。
 成田空港の完成などは絶対にあり得ません。反対同盟は三十四年間の闘いの中で、その確信をつかんでいます。では、何のための暫定滑走路なのでしょうか。
 それは、新ガイドラインのためです。日本の戦争準備のためです。昨年、新ガイドライン法が強行成立させられました。それに続いて、「日の丸・君が代」法などの戦争準備の法律が次々と成立しました。
 わたしの青春時代は軍国調一色でした。日の丸を押し立て、君が代を歌い、そのあとに進軍ラッパが続いたのでした。それは、天皇の名による侵略と虐殺の時代だったのです。二度と繰り返してはならないことです。その時代が再び目の前に到来しつつあると断言しないわけにはいきません。
 小渕政権、自自公体制は「何でもやってしまった政権」として後に語られるでしょう。新ガイドライン、沖縄、三里塚、そして有事立法と改憲の攻撃を次から次へ繰り出しています。
 だが、三里塚は必ず勝利します。普天間基地の県内移設攻撃と闘う沖縄と強い連帯をつくりながら、沖縄とともに反戦の砦(とりで)として闘い勝利します。追いつめられているのは政府です。新たな年を一人ひとりが真剣に闘う年にしましょう。

 土地は闘いの武器

 本部役員 鈴木幸司さん 

 堀越の裏切り問題は、権力の攻撃の仕方をはっきり見せつけました。三・八分裂による反対同盟の破壊攻撃、シンポジウム・円卓会議という「話し合い」攻撃の本性をあらわにしたのです。堀越は、「自分は、石橋より、小川嘉吉より、加藤清よりもよい条件で」とずっと思っていた。そこのところを敵にとっくに見抜かれていたのです。
 反対同盟にとって土地は闘いの武器です。条件の手段ではありません。長い闘いの中で、砦や鉄塔を壊されましたが、闘う思想は磨かれ、豊かになりました。
 今、日本はアメリカ帝国主義といっしょに侵略戦争をやろうとしています。新ガイドラインは軍事立法そのものです。政府は、戦争の準備を積み重ねていますが、本当に戦争に突っ込むまでは「戦争の準備をしている」とは言いません。
 今、一番大事なことは全国の闘う人びとの心を一つにすることです。今年も、ともに闘いましょう。

 徹底非妥協で命の限り闘う

 小川徳太郎さん 

 堀越昭平は、私利私欲で公団に土地を提供した。そのくせ、「子どもの将来、地域の将来を考えて土地を手放す」と言った。これはおかしい。子どもたちの将来や地域の将来のことを考えれば考えるほど、空港をつくらせないこと以上に大切なことはないはずだ。
 自分は、空港反対闘争を始める前は、警察と新聞、テレビの報道は正しいと思っていた。だけど、闘争をやっていると警察と報道は絶対に本当のことを言わないということを知った。だまされてはならない。
 昨年は、絶対に二期工事はさせない、つくらせないという気持ちで闘った。暫定滑走路計画の発表以後の連月闘争には何度も出かけた。暫定滑走路は、いい加減な滑走路だ。どんなにあくどいことをしてつくっても、危ない、うるさい滑走路しかできない。
 反対同盟は農地を武器にして闘う。徹底非妥協で、命ある限り闘う。敷地内の萩原さん、市東さんを支え守って闘う決意だ。

 反対同盟は絶対負けない

 鈴木謙太郎さん 

 農家の屋根の上四十bを飛ばすという滑走路なんて殺人未遂で訴えることもできると思う。運輸省の正体が見えた暫定滑走路だ。
 しかしこれで脅して反対同盟をつぶせると思ったら大間違い。俺らは三十年もやってきてアメもムチも知りつくしている。敷地内で市東孝雄さんももうじき農業を始める。オヤジさん(故東市さん)の遺志をつぐのは大変な決断だ。全力で支えていきたい。
 脱落派のいう「話し合い」のダメさ加減も明らかになった。運輸省は謝罪したというけど、謝罪したらむこうが引き下がるのが当然だ。謝罪するから滑走路作らせろ、土地を渡せというのは話が転倒している。これを導いたのが脱落派なんだ。石毛(博道)やカド(秋葉義光)を見てみろ。口ばっかりで、裏切るきっかけをさがしていた。
 俺ら反対同盟は暫定滑走路との闘いで負ける要素が何もない。団結を守って、ふだん着で闘えば、権力といえども三里塚闘争をつぶすことはできない。そういう自信が俺らにはある。滑走路は結局、店晒(たなざら)しだよ。

 体を張る闘いが人を動かす

 木内秀次さん

 暫定案の杜撰(ずさん)さは、本当に使える空港をつくろうとしているとは思えない。なんでつくるかというと、本音は反対同盟をつぶしたい、だから脅す、そのためにつくるだけだ。反対同盟の闘いの力がそこまで追い込んだ。
 反対同盟の闘いの強さは実力闘争にある。権力との妥協や取引は絶対にしない。権力が力ずくでくるのに「話し合い」が成立するはずがない。
 反対同盟の闘いというのは、まずは体を張る。体を張るわけだから、打算がない。それが人の心を動かすことになる。それができない人は、屈服して長いものに巻かれ、結局敗北する。
 もう一つは、戦争反対。労働者や学生、すべての人民に共通の問題。反対同盟が全国の人と手を結んで闘う理由もここにある。反対同盟は百年戦争でも引き受けて必ず勝利してみせる。

 脅しやみせしめは通じない

 小林一夫さん 

 暫定滑走路じゃつくっても使えないよ。使い道ないけど、これをつくれば敷地内はなんとかなる、そうすれば完全空港にできる、そういう狙いだ。これは、敷地内を見せしめにする脅しそのものだ。やつらは昔のやり方とまったく同じだ。絶対に許せない。
 滑走路をつくっちゃってから「話し合い」もへったくれもない。おかしいよ。人のものを盗んじゃってから、返すかどうか話し合おうという、ふざけた話だ。
 反対同盟はもう三十年以上闘って結論は出ているんだ。この空港はだめ、絶対にできない。反対同盟は強いよ。驚くほど強い。まだまだ、二十年でも三十年でも大丈夫だ。今年も、いっしょに闘いましょう。

 33年間の闘いこれから真価

 伊藤信晴さん 

 暫定滑走路は、敵の焦りが表に出てきている。反対同盟が原則的に闘えば勝てることを示している。そうした意味で、暫定滑走路というのは、廃港への第一歩だ。三十三年間の蓄積を生かす闘いもこれから本当に真価を発揮する。
 空港反対闘争は、戦争との闘い、その準備との闘いでもある。反対同盟は全国の闘う仲間とともに闘う。最後は必ず敵が崩れる。今、その兆候がはっきりと見えてきている。
 反対同盟は、どんなに金を積んでもてこでも動かない。これに運輸省は音を上げている。運輸省は、利益誘導をすれば必ず転ぶと思っている。反対同盟の一切の話し合い拒否、実力闘争が分かっていない。
 三里塚闘争は、生活が闘争、闘争が生活で三十三年間闘ってきた。脱落派は生活だけを考えていたんだ。ここを敵は理解できない。
 暫定滑走路を粉砕するこれから二年間の決戦には必ず勝利する。ともに決起することを訴えます。

 人民の先陣を担い

 事務局次長 萩原進さん 

 昨年は、まず政府・運輸省、空港公団が打ち出した「平行滑走路二〇〇〇年完成」計画をもののみごとに粉砕した。五月の運輸省の計画断念は、今日の情勢の中で明確な上にも明確な勝利だった。日本階級闘争の拠点、三里塚でこうした情勢をつくったことは決定的と言っていい。
 だからこそ、敵は暫定滑走路案などという、およそ常識的には考えられない、強権発動に向かわざるを得なかった。今まで敵が言ってきた「話し合い」というものがいかにペテンであるのかがこのうえなく明らかとなった。
 人の家の上空、それも野球のボールを投げれば届くようなところに、ジェット機を飛ばして、現に生活している農民を追い出す手段とした。敵は三十四年前と同じ手段に回帰したということだ。このことの中に、昨年の勝利が照らし出されている。
 そうであるならば、二〇〇〇年を勝利の大道を原則的に貫いて闘い抜けば、暫定滑走路など絶対に粉砕することができる。反対同盟は、まず敵が打ち出した二〇〇一年十一月三十日の暫定滑走路完成を木っ端みじんに粉砕することを宣言する。さらに、二〇〇二年五月滑走路供用を絶対に阻止する。
 この闘いに本当に勝利するには、戦争政策を進め、あらゆる反戦の砦を破壊しようとする支配者の狙いを逆手にとって、それらの攻撃をことごとく粉砕する攻勢的闘いが必要だ。とりわけ、戦争のための新たな軍事基地を「県内移設」という形で進める、沖縄攻撃と闘う沖縄人民とより一層の絆(きずな)を強め、人民の共同闘争を発展させなければならない。
 同時に、日本のプロレタリアート、労働者の決起を促し、大きな労働者人民の潮流をつくりだすことのできるのが三里塚闘争だ。それをつくりだすことができれば、大きな勝利をかちとることができる。
 反対同盟は、自自公連立政権の新ガイドライン、有事立法や改憲による戦争政策、その一環としての暫定滑走路建設を必ず粉砕する。労働者人民の先陣を担って立ち上がる。二〇〇〇年から始まる暫定滑走路粉砕決戦にともに勝利することを訴える。

 父を引き継ぎ闘う

 敷地内・天神峰 市東孝雄さん 

 天神峰に帰ってきて、反対同盟に学んで、これから一生懸命やっていこうと思っています。全国の闘う皆さんのご支援よろしくお願いします。十年ぐらい前から、天神峰に戻って空港反対闘争を、父を引き継いでやろうと思っていました。
本当は、全国集会で「父と一緒にやります」と二人で言いたかった。それが、突然亡くなってしまい、できなくなってしまいました。
 「一番大変な時期に戻ってくる」と言う人がいますが、親父が一生懸命やっている姿を見ていて、自分もという気持ちで、自然な気持ちで帰ってきました。人が何と言おうと関係ありません。
 父は天神峰で最後まで頑張り抜きました。口数は少なかったですが、意志の固い責任感の強い人でした。『追悼集』で自分の知らないことも発見しました。家族を思い、「二度と戦争は許さない」という気持ちが最後まで支えになっていたと思います。
 反対同盟は、一つの目標に向かって明るく意気高く生きています。戻って一緒にやっていけそうだなという安心感があります。今年は、暫定滑走路という七一年の代執行以来の闘いの年になりそうです。一生懸命頑張ります。

 闘いの堅持こそ

 三里塚教会信徒代表 戸村 義弘さん

 反対同盟は、一九六六年から三十三年間という長丁場を、農民を中核として闘い続けてきた。これは驚異に値する。今日暫定滑走路建設という形で、政府権力の側から軍事空港建設の正体を明らかにしてきた。
 新ガイドライン法から一連の人民弾圧法の強行突破という状況の中で、軍事空港だから着工するという直線的な攻撃がかけられてきた。沖縄の普天間基地の県内移設による基地拡張と一つの線につながって見えてくる。
 こうした状況は、戸村一作の言葉でいう“悪霊の支配”です。これに対して怒りを持ち続け、自分に覚醒を促すものとして立ち上がった、と全国集会で申し上げました。
 聖書を読み返すと、悪霊と闘い、実践をもってキリストに従う、行為で示す以外にないと勧めています。三里塚の軍事空港建設がむき出しになり、目の前に反対運動があります。これを見過ごして、何に携わることがあるでしょうか。これに携わることのない正義や正論はありえません。
 三里塚闘争は、初期のような広さからすると、限られたものになって寄りにくくなったという見方があります。しかし、それは違うと思います。
 シンポジウム、円卓会議のあたりから明確になってきています。一方で、闘いをやめるための口実として話し合いという交渉に入った人、他方では、闘いを堅持することが正義を貫くことになるという反対同盟の立場、この違いは明瞭(めいりょう)です。
 少なくなったことが、いいことだということではありませんが、雑多なものが洗い落とされて、旗幟(きし)鮮明な核というものが見えてきたということでもあります。そこから敵を倒し、正義を獲得して多数になっていくのです。人間の究極の行き先を考えて、今の行動を決定し、目指すべきところを明らかにする作業こそ大切です。

 堀越の裏切り弾劾

 本部役員 三浦 五郎さん

 堀越昭平の裏切り、反対同盟の一坪共有地を売り渡すことをきっかけにして、暫滑走路着工が行われたことに、憤りでいっぱいです。敷地内外の反対同盟つぃて絶対に許せません。東峰部落全体に対する転向強要ということからすれば、東峰部落全体としても許すべきではありません。
 公団は、暫定滑走路着工に向けて、世間に言い訳だ立つようにしようとしたのです。堀越のようにな裏切りを誘い出すことが、「話し合い」だというのです。こんなものが「話し合い」だというのは、とんでもなことです。滑走路をつくることを先に決定しておいて話し合いは成立しません。
 反対同盟は、こうしたたくらみを見抜いています。絶対に妥協はしません。反対同盟は、農地死守、実力闘争、話し合い絶対拒否で最後まで闘います。

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週刊『前進』(1939号11面1)

 2000年三里塚決戦勝利へ決意

 新ガイドライン巨大空港許すな

 暫定滑走路を必ず破産に追い込む

 今年も沖縄と連帯

 婦人行動隊長 郡司とめさん

 全国の皆さん、反対同盟は健在です。新しい年を迎えますが、これまでどおりに命ある限り頑張ります。
 三里塚闘争は、最初から軍事空港建設反対の闘いです。「土地を高く売るための闘い」や「ものを取るための闘い」ではありません。反対同盟は、戸村精神、市東精神を引き継いで闘います。
 それに比べて、堀越昭平の裏切りは絶対に許せません。堀越は、一坪共有地を売り渡しました。あれは反対同盟の土地です。人の土地を公団に売ったのです。それを引き金にして、公団は暫定滑走路の工事を強引に始めたのです。
 堀越は、反対同盟を二回裏切ったことになります。初めは三・八分裂で。今度は、東峰部落で空港反対派のような顔をして、小川国彦(成田市長)といっしょに部落まるごと切り崩そうとしていたのです。私利私欲のために、空港反対闘争と反対同盟を利用したことは、絶対に許せません。本当に腐った縄でつながった連中です。
 自分の心に汚れがなければ、正々堂々と生きていけます。人を裏切って心に傷を負えば、人間長生きできません。それは、三里塚闘争の歴史が証明しているのです。
 暫定滑走路は、本当は戦争のためにつくるんです。沖縄と三里塚が、政府の戦争への道を止めている二大拠点です。今年も、沖縄と連帯して、三里塚に勝利しましょう。

 戦争準備許さない

 婦人行動隊副隊長 小林なつさん 

 反対同盟は、今年から二年間、暫定滑走路を粉砕する新たな闘いに入ります。敷地内の萩原進さん、市東孝雄さんの農地、一坪共有地を全国の支援の皆さんとともに守り抜いて、闘います。反対同盟の勝利に終わることは確実です。
 暫定滑走路は、普通の航空機は飛べません。本当の狙いは、滑走路をつくるぞと言って用地内の地権者を脅し、追い出して、最後には四千bの滑走路をつくろうとするものです。こんなでたらめな話がどこにあるというのですか。
 国会では、自自公によって悪い法律が全部通っています。これは、戦争の準備です。昭和の初めに戻ったような気がします。
 沖縄では、新たな基地をつくろうとしています。それを押しつけるためにサミットを沖縄でやることをたくらんでいます。これに対して沖縄では新たな闘いが始まっています。北富士も国会で座り込みをやりました。
 暫定滑走路を阻止しましょう。三里塚闘争に勝利して、新ガイドラインを粉砕しましょう。戦争準備のたくらみを許さずに闘いましょう。

 最後はこっちが勝つんだ!

 会田芳枝さん

 去年、敵は突然、暫定滑走路をつくると言い出した。敵が空港をつくることをあきらめないのなら、反対同盟だって負けちゃいないよ。
 空港反対闘争を最初からやってるんだ。三十三年間も毎日毎日、権力とけんかしてきたんだ。最後まで闘って、絶対に空港はつくらせない。
 敵は空港つくってまた戦争をやるつもりだ。私の弟も戦争でマラリアにかかって死んだ。その仇(あだ)をとらなくちゃならない。
 全学連が久しぶりに三里塚で集会、デモをやった。本当に熱くなった。敵がどんなに頑張ったって、最後はこっちが勝つんだ。今年八十二歳になるが、もっともっと長生きして、勝つところを見たい。

 平行滑走路を葬る二年間に

 宮本麻子さん

 今年は、暫定滑走路を粉砕して、平行滑走路を最後的に葬る二年間の闘いの出発の年にしなければなりません。
 思えば、昨年、市東東市さんが亡くなりましたが、孝雄さんが勇気をもって後を引き継ぐ決意を表明されました。大変元気づけられました。
 戦争に向かって、沖縄への攻撃、国会での反動法案の連続、有事立法や改憲の動きが強まっていますが、絶対に許せません。
 介護保険制度も、今より悪くなることははっきりしています。すでに介護の現場で働いている者に、利益を上げろ、効率を上げろと押しつけてきています。
 今年も、全国の皆さんとともに闘います。

 空港も警備も絶対いらない

 鈴木加代子さん

 私たちが農業を続けるのに空港はいりません。もちろん、空港のための警備もいりません。
 暫定案が出てから、公団は野菜の出荷の日に行事をぶつけてくるようになりました。父ちゃんが闘争に出ると、一人で野菜の出荷をやらなければならないから大変。消費者が待っているからやらないわけにいきません。出荷しなければ生活ができないですから。家が落ち着いていなければ闘争もできないわけです。
 それにしても、堀越の裏切りは許せません。一人で落ちるならまだしも、反対同盟を敵に売り渡すなんて言語道断です。怒りを燃やして頑張ります。今年もともに闘いましょう。

 新しい三里塚闘争をつくる

 木内敦子さん

 暫定滑走路着工は形を変えた強制収用にほかなりません。航空法違反の空港でもとにかく作ってしまって農民を追い出し、飛行機が飛んだらそれを既成事実にして世論操作する。これが権力のやり方です。
 今年は、若い人が主力になって新しい三里塚闘争を作り出す年にしましょう。オーソドックスな闘いと斬新(ざんしん)な闘いを織り交ぜた闘いをやりましょう。もっともっとできるはずです。オーソドックスな闘いこそ、今の若い人には新鮮です。
 自自公になって、すごい反動が連続しています。うちの子どもも「僕たちの未来はないかもわからない」というぐらい危機感がすごい。新しい、若々しい闘いを作り出しましょう。

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週刊『前進』(1939号11面2)

 入会権を武器に

 北富士忍草母の会事務局長 天野美恵さん
 全国のみなさん。昨年一年間変わらぬご支援をいただきありがとうございました。
 九九年の北富士闘争は、母の会の闘争拠点である檜丸尾(ひのきまるび)入会小屋の撤去を許すのかどうかが焦点でした。権力は九八年のうちに、最高裁の反動判決と第二組合を使っての檜丸尾入会林の山梨県への売り渡しをおこなって、撤去のチャンスをうかがっていたのです。踏みきれなかったのは、私たちが支援のみなさんの協力を得て、七・一一と十・二四の二度の集会で対決の陣形を強化して闘ってきたからです。
 新安保ガイドラインの攻撃、沖縄闘争、三里塚闘争つぶし、労働者へのリストラ・首切りの攻撃がかけられてきています。北富士でも今年春には沖縄米軍の長距離砲実弾演習が予定されています。そのため入会小屋をめぐる情勢も緊迫してくると思います。私たちは入会小屋撤去を許さず、この実弾演習を必ず粉砕します。
 十・二四集会で宣言したように、権力に屈服した入会組合にかわって真の入会団体である「忍草村入会集団」を結成しました。今年は、現地の闘いを強化するとともに、国会に座りこんで、小渕首相に、入会権を盾に梨ケ原の返還、演習場の撤去を求める闘いにうって出る決意です。その第一波として年末十二月二日から十五日まで国会での座りこみを実施しました。
 私たちは、三里塚、沖縄、動労千葉を始めすべての労働者のみなさんと連帯して勝利の日まで闘いぬく決意です。ご支援をどうかよろしくお願いいたします。

 戦争国家化と闘う

 全関西実行委員会代表世話人 永井 満さん

 一九九九年という年は、わが国が平和国家の仮面を脱ぎ捨て、戦争国家へと大きく舵(かじ)を切った年として、歴史に記録されることであろう。
 日米新安保ガイドラインとそれに基づく周辺事態法、盗聴法、国旗国歌法、等々国民を戦争へと総動員する法律が自自公による翼賛体制のもと矢継ぎ早に制定された。
 沖縄においてはサミットを口実に、多くの住民の反対を押しきって普天間基地の名護市辺野古のキャンプシュワブ周辺への「移転」が強行されようとしている。
 三里塚においては「地権者の理解を得てやる」とした約束をほごにして、今「暫定滑走路」建設が強行されている。ワールドカップサッカーを口実にしているが、その狙いは四千b級滑走路を建設し、ガイドラインによる兵站(へいたん)基地、米軍基地として使用するためであることは誰の目にも明らかである。
 関西においては、将来の航空需要を口実に外国航空会社の撤退が相次ぎ、国内便もまた減便が続く中、新たに四千b滑走路を建設する二期工事が開始された。九月には市民の大多数の反対の声を押し切って神戸空港が着工された。このようにハードとソフトの両面から、戦争への体制づくりが着々と形作られていったのが一九九九年である。
 十二月三日に成立したいわゆる「オウム法」は国民のオウムへの不安感を利用し、政府の政策に異議を唱える住民運動や労働組合などに事実上破防法的弾圧を加えることを目的としていることは明白である。
 自自公による翼賛体制のもと、本年は「有事」法制や改憲問題が正面に出てくるのは必至である。
 大失業と戦争の危機が現実のものとなりつつある。これと対決し、平和と人権、民主主義を守り抜く闘いに全力で取り組むことが、今われわれに求められている。その責任を負っていることを改めて自覚し、闘い抜くことを年頭にあたり決意する。

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週刊『前進』(1939号11面3)

 獄中同志 新年アピール(1)

 獄中同志の新年アピールを紹介します。東京拘置所在監の須賀、十亀、板垣、福嶋同志は八七年の迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧と闘っています。星野文昭、鎌田雅志、片山武夫同志のアピールが13面に続きます。革共同の闘いを最深部で支え、超長期の獄中闘争を不屈に貫く同志たちと連帯し、奪還するために闘おう。(編集局)

 体制を根底から倒す千載一遇の決戦の時

 須賀 武敏  

 二九年型世界恐慌が目前に急接近する二〇〇〇年は、戦後最大級の反動の嵐が襲いかかってくる受難の年になるであろう。
 だが、階級闘争の主戦場がすべて敵権力の力でねじ伏せられた「超暗黒の冬の時代」の到来では決してない。
 逆に、沖縄、三里塚、狭山、国鉄、教育などの階級闘争の主戦場で敵権力と反革命の攻撃と弾圧をぶち破る巨大な人民反乱で、自自公連合政権を破産に追い込む新たな体制的変革期の到来を告げる壮大な決戦の幕開けになるであろう。
 そして、自自公連合政権の大政翼賛政治の一翼を担うすべての政党や組合指導部、宗教団体は、労働者階級人民の信認を急速に失い没落の坂道をころげ落ちる敗残者のらく印を押されることになるであろう。
 だがしかし、これからの激動期は、労働者階級人民にとって、日々、その生存と生活と尊厳が脅かされ、企業と国家ぐるみのリストラ首切り、生活・老後破壊にさらされるかつてない厳しい苦難の時代にちがいない。
 しかし同時に、労働者階級人民は、こうした敵階級の攻撃と弾圧の前にひれ伏し、奴隷的にはいつくばって、一切の抵抗と反撃を放棄し座して死を待つ腐りきった既成の政党や組合指導部をあらゆる階級闘争の主戦場から放逐する闘いに陸続と決起するであろう。
 時代は、新たなファシズムの台頭をのぞむ反動的大政翼賛体制を支える元凶の政党・官僚・財界・組合指導部・宗教団体を根底からうち倒す革命的力をひめた労働者階級人民の明日の生存と生活と尊厳を守る革命的党派と運動の強力な登場を心底から求めているのだ。体制的変革を求めるこの労働者階級人民の歴史的要請に真にこたえきるかどうかの千載一遇の決戦が、いま訪れているのだ。
 そのすべての決戦の主戦場でしっかりと戦略的足場を固めて、労働者階級人民の信認を得た者だけが、次なる大きな飛躍と勝利のチャンスを手にすることのできる革命的チャレンジャーたりうるのだ。
 その意味で、一人の革命的議員・長谷川さんを国会に送り出す闘いは、天の利、地の利にかなった千載一遇のチャンスをものにする真剣勝負のかかった決戦です。この勝利の号砲は、まちがいなく首都東京をゆるがす数十万、数百万の人民決起を創出する偉大な起爆剤になる。
 そして、沖縄、三里塚、狭山、国鉄、教育などの決戦の主戦場にかちぬく闘いは、必ず、反動的大政翼賛体制の屋台骨をひっくりかえし、ガイドライン発動の新たな戦争の道を実力で阻止する巨大な人民の反戦闘争の力を生み落とす如意棒になるであろう。
 いざ、すべての決戦の主戦場に、勝利の旗をかかげて、万難を排してはせさんじよう。ともに、勝利のために渾身(こんしん)の力をふりしぼらん。
 二〇〇〇年一月一日
     (獄中十四年)

 動乱と革命は思いがけない間近さにある

 十亀 弘史  

 二〇〇〇年からの時代は、原則こそが圧倒的な現実となる時代だ。どの課題でも改良ではなく革命こそが問われる時代。
 労働者の切り捨てに対しては資本の廃絶を対置し、戦争には内乱を対置する外にない。「会社がつぶれ、国がつぶれたらどうするのか」と問われたら、真剣に、誠実に「いいではないか」と答えよう。労働者は自分自身で、新しい真に人間的な社会を創出する、人間のほんものの底力を持っている。
 資本そのものはたかだかモノと法則の集積にすぎない。利潤だけはむさぼり食らうとしても死物の堆積だ。そんなものとそんなもののための国家に、人間の未来がどうして託せよう。労働者とその家族は人間であり、血の通う生命なのだ。資本が自由にし得る部品なのではない。「日の丸」の旗竿でも、「君が代」の五線紙でもない。ましてや、戦争に駆り出される弾丸なのではない。労働者の間に、だから憤怒(ふんぬ)は満ちみちている。
 マルクス、レーニンの原則は、最も大衆的な、豊かな生きた原則だ。革命党も、最も大衆的に豊かに生きていなければならない。今こそ、我々の党の質を党の量へと転化し、そしてまたその量を質へと返そう。
 オルグ対象を、現場の労働者を、そのとっておきの魂を徹底して大事にしよう。党が自己の殻を破れば、労働者もまた必ず自己の殻を突き破る。党における民主と集中を相互に決定的に強化しよう。普遍を目指し、狭い紋切り型の態度や文体は捨て去ろう。何よりも言行の一致を。二〇〇〇年のダイナミズムを実践の中でこそ深く大きく息づかせよう。
 動乱と革命はいつでも思いがけない間近さにある。二〇〇〇年は、端的に〈我等の時代〉の朝焼けの年だ。そしてそう例えれば、革命的な国会議員の登場こそが、その大いなる曙光(しょこう)であるにちがいない。一切は、そこにかかっている。必ず、必ず、衆議院に革命の一議席を!        
     (獄中十四年)

 自自公の暴走を止め極反動体制を倒そう

 板垣 宏

 大失業、侵略戦争、天皇制翼賛体制、治安弾圧の自自公連合政権をたおそう!この体制は私たちに生活破壊と生命の危機・危険しかもたらさない絶望的な暗黒体制です。
 長谷川英憲氏の衆議院選当選勝利をかちとり、この極反動体制に風穴をあけ打倒しましょう。そして闘う者こそが職場、地域、学園で多数派を形成しよう。やれば必ずできます。倒産、リストラ、首切り、賃下げ攻撃、福祉切り捨て、介護保険、大増税、差別・排外主義、ガイドライン戦争法、日の丸・君が代強制、沖縄普天間基地の名護移設強行決定、有事立法、改憲攻撃。おまけに反対するなら組対法に新破防法(団体規制法)……ざっと数え上げただけでも、まるでJCOの臨界事故(核暴走)にも似た反動政策の大暴走の大嵐です。
 これらが示すものはすべて「資本と日帝のために労働者・人民は死すべきだ」ということです。座していれば突如として中性子線(放射能)をあびせられて死に送りやられる死の臨界状態が政治・経済・社会のあらゆる所で一度に起こっているということです。
 実際、うちつづく巨大事故は日帝の誇る「科学技術」を地に落とし、その反人民性をさらけ出し、ちまたにはダイオキシンをはじめ毒物があふれ、新幹線にも恐ろしくて乗れず、経済はボロボロの大失業。警察はあらゆる犯罪のデパートと化し、その腐敗は全人民の怒りをあびています。こんな日帝に未来はないのです。打倒できないわけがありません。
 全人民の怒りの決起は不可避であり、おびえているのは日帝権力です。だからこそ日帝はなおいっそう一切を腐敗せる警察権力にたより、治安弾圧の極限的強化をもって突破しようとしているのです。
 だが、いかなる治安弾圧も恐れることなく真っ向から立ちむかえば無力です。
獄中十四年目の私たち迎賓館・横田爆取デッチ上げ被告はそのことを身をもって示してきました。追いつめられた検察と裁判所は結託して、偽証と押収立証抜きのメモ類の違法な「証拠」化に走るという裁判制度を根底からくつがえす卑劣な大犯罪を重ねるしかなくなっています。とことん闘いぬけば、敵の理不尽な攻撃の本質はバクロされ、その反人民性が敵の弱点に転化し、全労働者・全人民の怒りをよびおこし、その反乱・反撃の突破口となり水路となっていくのです。そうした非妥協的な闘いをいたる所で起こそうではありませんか。
 爆取デッチあげ粉砕! 保釈即時戦取! 共に闘わん。
 (獄中十四年)

 デッチあげ筆跡鑑定粉砕し無罪戦取する

 福嶋 昌男  

 日本帝国主義は侵略戦争をやるんだと、戦争を決断した。二〇〇〇年、我々はこの日帝の戦争発動攻撃と徹底的に闘うことをはっきりさせねばならない。今日、日帝は自前の軍事力行使なくしてアジア市場を失う情勢に追い込まれているのです。
 一九九九年三月、朝鮮民主主義人民共和国の不審船への軍事力行使、核兵器保有体制の臨界事故、日帝の核武装発言、排外主義攻撃そして新破防法攻撃と、日帝は軍事力行使への道を現実化してきた。
 だが革命的情勢下、百万人署名運動−五万人の決起、沖縄人民の陸続とした戦闘的決起そして三里塚軍事空港粉砕三十四年の陣形は日帝の戦争攻撃を粉砕する力です。十一・七全国労働者総決起集会三千五十人の結集力こそは戦争動員を粉砕する歴史的潮流です。
 国鉄千葉動力車労働組合、全国金属機械労働組合港合同、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部を始めとする三千五十人の闘う質的な力は警察=カクマル連合の妨害・敵対を粉砕し、労働者人民の巨万の決起をつくりだす決定的な結集力です。この力は職場・生産点の実力闘争を指し示しています。
 衆議院選勝利の陣形は十一・七集会の地平からつくられると確信します。
 福嶋裁判は国家総動員体制粉砕の闘いと連帯する中で、デッチあげ筆跡鑑定を何としても粉砕し、無罪を戦取するものです。
 国家権力は六年余もの立証のもとで、迎賓館・横田基地戦闘の「共謀の上」を明らかにしていない。権力は「間接事実の集積」と称し、次から次へと関係ない押収物をこじつけてきた。長期の不当勾留を目的としたのだ。徹底的に弾劾する。
 日帝の核武装政策はついに臨界事故を不可避とした。核と人類は共存できない。労働者階級と資本家階級の利害は非和解である。帝国主義を打倒せよ! 二〇〇〇年、労働者の団結でガイドライン発動を阻止しよう。 (獄中七年)

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週刊『前進』(1939号11面4)

 暫定滑走路の着工に反撃 12・13成田

 軍報速報

 革命軍は以下の軍報を発表した。
 革命軍は、一二月一三日午前四時一〇分、政府・運輸省、空港公団による一二月三日の暫定滑走路建設着工という歴史的大罪に対して、怒りの報復戦闘を敢行した。裏切り者・堀越昭平の一坪共有地売り渡しを引き金に、ついに着工に手を染めたこの暴挙を断じて許すわけにはいかない。
 一二・一三報復戦闘第一弾を叩きつけたのは、千葉県成田市松崎にある自民党千葉県議会議員の湯浅伸一の自宅兼店舗である。
 湯浅は、自民党千葉県連空港対策特別委員会副委員長を務め、成田空港完成を呼号し、反対同盟解体、敷地内切り崩しを先頭に立って推進してきた、農地強奪=農民殺しの張本人だ。一〇月一八日に行われた公聴会では公述人として「平行滑走路の完成を急げ」と三里塚闘争圧殺を反革命的に扇動した輩である。三里塚闘争の不倶戴天の敵として憎しみのまとであった。
 この火炎戦闘によって、湯浅が経営する日本料理店兼自宅を怒りの炎が包んだ。また、建物に隣接する車庫内のマイクロバスも炎上する戦果を勝ち取った。
 日帝・運輸省、公団の暴力的な暫定滑走路着工は必ずや大破産するであろう。日帝・自自公連立政権の人を人とも思わぬ三里塚暫定滑走路攻撃を巨大な内乱に転化せよ。
 革命軍は、暫定滑走路実力粉砕の二年間決戦を宣言し、すでに決戦に突入した反対同盟との血盟を貫き、革命的武装闘争への爆発的決起を勝ち取ることを宣言する。
 一九九九年一二月一三日
 革命軍

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週刊『前進』(1939号12面1)

 ★各界の戦闘的人士・議員から

 新年のメッセージ

 20世紀最後の「天下大乱の年」

 闘う人民の大躍進を切り開け

 二十世紀最後の二〇〇〇年、世界大恐慌過程が一層深まり、戦争と大失業のあらしが吹き荒れようとしている。小渕・自自公連立政権の有事立法・改憲の攻撃、沖縄サミット・基地県内移設の攻撃に反撃する闘いの先頭に立つ各界の人士、革命的議会主義を実践する議員から連帯の新年メッセージが寄せられた。(編集局)

 唯一、闘いだけが人間解放の道開く

 反戦共同行動委員会代表 全国労組交流センター代表 佐藤 芳夫さん

 新年の冒頭にあたり、私が尊敬してやまない革共同中核派の皆さんに、連帯のあいさつを送ります。
 私は今年、満七十二歳になります。体に「障害」を持っているため、同じ戦列に立って思うように動けないことは残念です。
 私が皆さんを尊敬するわけは、国家権力に対し、すべての人間の平等を理想に掲げ、「敵の鉄火のもとで、必然的に最も革命的で、自己犠牲の精神に富んだ」(レーニン)人びとだからです。
 反対に、最も憎み軽蔑(けいべつ)すべき連中もたくさんおります。例えば、私がかつて尊敬していた元“左翼弁護士”仙石由人(現民主党所属国会議員)は、昨年七月の「国旗・国歌法案」の採決で、なんと賛成したのです。
 また、元石播重工名古屋造船労組委員長の草川昭三(現公明党国会対策委員長)は昔、社会党左派系の闘士であり、この私と親交厚い男だったのです。なぜ彼が公明党に走ったのか不明ですが、まさに自自公大政翼賛会路線の中心人物になっているのです。これはほんの一例です。仲間を裏切り、労働者を裏切る人物を憎みます。
 さて、一九九九一年「ソ連邦」が消滅し、「冷戦体制の終えん、階級対立の消滅、全世界規模の国際協調」などと言われ、社会主義が敗れ資本主義が勝利したというデマゴギーが流されていますが、日本帝国主義の底知れぬ構造的不況を始め、米帝の転落も時間の問題です。また「社会主義中国」は市場経済方式を大胆に取り入れました。「国家経済体制改革委員会」の発表によると、二十一世紀初頭まで、千八百万人の失業者が出ると言われます。
 一方、一日一j以下の収入しかない「貧困層」は、世界で十五億人、就学できないため、自分の名前も書けない人びとが十億人(その三分の二が女性)、途上国の妊産婦死亡率は先進国に比べ五十倍……まだ挙げれば無数にあります。これが「資本主義の実相」と言えましょう。
 日本とて同じです。「障害者」の解雇四割増(九九年七月)。山谷、釜ケ崎、寿などの寄せ場に行けばすぐ分かりますが、暴力手配師すら数少なくなり、年寄りの仕事はまったくなく、この寒いのに路上で寝るしか方法がありません。
 人間は自分の考えを自由に述べ、信念に従って行動し、誰からも搾取されることなく生きる権利を持っているのです。
 そのために、非難しているだけではなく、革共同の皆さんの指導と不屈な闘争心が必要なのです。闘いです、闘いです。唯一、闘いだけが人間解放の道を開くのです。ともに闘おう。

 連合の屈服とJR総連の転向粉砕へ

 反戦共同行動委員会事務局長 滝口 誠さん

 二十世紀最後の年である本年は、まちがいなく「天下大乱の年」である。時代の様相は、二九年恐慌から第二次大戦へ、「昭和恐慌」からアジア・太平洋戦争へと突き進んでいった過程とあまりにも酷似している。「二度と歴史の過ちを繰り返さない」ことをあらためて決意する。
 昨年五月二十四日のガイドライン関連法の強行成立、世界・日本の経済の完全な行き詰まりは、資本主義体制が崩壊し、終わりゆく時代が始まっていることを示している。この時、反戦共同行動委員会の歴史的責務は、戦争と大失業の攻撃と真っ向から対決し、現代世界の根底的変革を軸に据え、第三次安保・沖縄闘争を職場・学園・地域からがっちりとつくり上げることである。
 こうした観点からまず、ガイドラインとガイドライン法の具体化・実体化阻止のために全力で闘わなければならない。特に二〇〇〇年沖縄サミット粉砕、普天間基地の県内移設阻止、三里塚決戦は、本年初頭からの最大の決戦であり、なんとしても勝利しなければならない。自自公政権は、有事立法・改憲攻撃と一体のものとして反戦闘争拠点の圧殺に乗り出している。こうした情勢の中で差し迫る衆議院選挙は自自公政権・総翼賛体制を打ち破る一大政治決戦である。一方、労働者人民の怒りの声は確実に高鳴り始めている。
 このような中で、われわれは、九九年を「前哨戦」として総力で闘い抜く中から、くみつくせない教訓と勝利への偉大な橋頭保を築き上げてきた。この地平に立って日帝国家権力の弾圧を粉砕し、連合の屈服と侵略戦争への協力を宣言した革マル・JR総連の大転向を粉砕し、帝国主義打倒、新たな反戦闘争の創造に挑戦しよう。決意も新たに戦列を打ち固め、ともに闘い抜こう。

 階級の底力を解き放つ希望の年へ

 東京労組交流センター代表 三一書房労組委員長 三角 忠さん

 二十世紀最後の年二〇〇〇年が明けた。
 昨年、わが労組交流センターは、新しい闘う労働運動の潮流を建設することをとおして、朝鮮侵略戦争突入を不可避とする日本帝国主義の戦争と大失業の攻撃を真正面から受け止め、百万人署名運動と、闘う全国の労働組合のネットワークづくりに全面的に協力し、その原動力となって奮闘してきた。
 しかし、その闘いはけっして平坦(へいたん)な道ではなかった。第一には、組織的犯罪対策三法案の成立、さらに、第二破防法のスピード成立に示される戦争遂行と一体となった治安弾圧の飛躍的強化であり、第二には、陸海空二十労組・団体の呼びかけた五・二一ガイドライン反対集会、六・二四組織的犯罪対策三法案反対集会の圧倒的成功のために粘り強く闘い抜いてきた、わが労組交流センターを始めとする闘う仲間への革マルの暴力的襲撃であった。
 これら権力と反動の一体となった攻撃は、本年も変わらず、むしろ激化するだろう。だが、われわれは、こうした攻撃が指し示すもうひとつの本質をけっして見失ってはならない。
 それは、戦争突入と治安弾圧の強化の中に日本帝国主義の危機の深さと凶暴な攻撃があり、たとえ戦争法と治安法が成立したとしても、労働者階級の基底からそれをはね返す団結を組織することができるということである。
 十一月七日の労働者集会で「全労働者の団結で」という一見単純な枕詞(まくらことば)が三本のメインスローガンに冠せられた。たとえ、連合が帝国主義の水先案内人として急速に産業報国会の道へ走ろうとも、また、「安保廃棄凍結、日の丸・君が代法制化賛成」の日本共産党が主導する全労連が傘下労組の支配を強めようとも、それらを貫いて労働者階級の団結強化が可能であることを示した卓抜なスローガンであった。
 わが三一書房闘争においても、ロックアウト以降一年の苦闘を経て、経営の不統一に惑わされず、「解雇撤回、組合排除の業務再開粉砕」を掲げ、職場確保の道義性と正当性に根ざした闘いを基軸に「敵よりも一日長く」闘う団結を打ち固めつつある。十一・七労働者集会への組合員全員参加は、その原因と結果である。その地平に立って闘いを進め、出版・地域への闘いの支援を押し広げ、労働組合の階級的底力の爆発に一役買うことをひそかに決意している。
 二〇〇〇年を闘いの確信にあふれた希望の年へ!

 沖縄の米軍基地の県内移設に反対して闘う知花昌一さんから全国の支持者、支援団体に寄せられたメッセージを紹介します。(編集部)

 サミットに正面から対置したい

 沖縄反戦地主 読谷村議会議員 知花 昌一さん

 新しい年を迎えると、今年は沖縄にとって、私たち民衆にとって、人間らしく生きる社会実現へ前進するようにと、ささやかな思いで、家族そろって初日の出を迎えに行くのです。
 去年も、一昨年も、その前の年も、沖縄が変われる希望をもって新年を迎えました。ところが、今年は正直なところ複雑な気持ちです。
 稲嶺沖縄県知事は日米政府(サミットまでに県内移設)の言いなりになって「普天間」の移設先を「辺野古」に指定しました。現地名護では必死の闘いが続けられています。
 政治、経済、文化までもサミットに絡めようとしています。経済も基地との引き換えに振興策の金にすがりつき、平和祈念資料館も日本政府の意向を気にし、「反日的にならないように」と加害被害の関係、戦争の原因、責任をあいまいにし、歴史の改ざんがなされようとしました。
 今年は民衆の側も、権力の側も、サミットをめぐって動きます。沖縄の平和運動がサミットを乗り越えられるか、つぶされるか、正念場です。
 沖縄の将来をめぐって民衆の力と権力の力ががっぷりぶつかっています。
 今の時代に生きる私たち沖縄民衆の責任として、悔いを残さないために、サミットに正面から対置したいと思っています。

 「革新の主流派」に挑戦する総選挙戦

 杉並区議会議員 結柴 誠一さん

 明けましておめでとうございます。
 全国の同志諸君、『前進』読者の皆さん。
 昨年は、私たちの区議選・都議補欠選挙への熱いご支援ありがとうございました。
 統一地方選挙勝利から五・二一ガイドライン反対集会、七月沖縄、八・六反戦大集会、十一月労働者集会と、全国の皆さんとともにつないできた輪の確かさと、新たな時代の期待に胸膨らませて新年を迎えました。
 この一年の前進の手ごたえをいたるところで感じます。都労連ストと連帯した人勧完全実施を求める議会質疑の後、庁舎ですれ違う労働者からの思いがけない激励。大型店反対で商店街から仲間として迎えられ、老人会で介護保険反対十万人署名が話題となる。働く人びとの暮らしに本当に責任を取る本物の政党になってほしい――その期待を痛いほど実感し、新たな決意に燃えています。
 都政を革新する会は、迫り来る総選挙で自自公連立政権への追認をねらう大反動に、長谷川英憲代表を推し立て全力で立ち向かう準備を整えました。杉並で自民党現職、石原都知事の息子を打ち倒し、共産党・民主党に代わる民衆の政党として鮮やかに台頭することは、労働者階級とすべての勤労大衆に新しい時代の扉を開ける力を示すことです。
 三里塚にはぐくまれ、沖縄に学びつつ、既成政党をのりこえてきた政治勢力が、革新の主流派に挑戦するときが来ました。大失業と恐慌の始まりにおびえながら朝鮮・中国―アジアに戦火をもたらす自自公路線を、アジアとの連帯にかけて阻む、勝負のときです。
 あらためてご支援をお願いし、新年のごあいさつといたします。

 既成政党打ち破り長谷川勝利を手に

 杉並区議会議員 新城 節子さん

  全国の皆さん。二〇〇〇年の幕開け、おめでとうございます。
 大失業と戦争の時代が、いよいよ私たちの生活の隅々までしのびよる中で、昨年はこれと立ち向かう闘いの幕が開かれました。既成政党の枠を越え、労働組合の呼びかけで集うガイドライン反対の五万人集会、八・六〜九広島・長崎の闘い、都労連のストライキ支持を真っ先に表明した十一月労働者集会、戦争を阻むために闘い続ける三里塚や北富士とともに、普天間基地県内移設・名護への基地建設に反対し、名護市民を先頭に沖縄県民はやむにやまれぬ行動へとのぼりつめてきました。
 今や労働者民衆は、生活・権利がギリギリの瀬戸際に立たされた切実さと、闘いの教訓の中から、どこが本物の闘う勢力であるかを正しくも見抜き始めています。これにこたえるためには、何よりも私たち自身の飛躍が問われていると感じています。
 本年冒頭から、私たちは長谷川代表の衆院選出馬を決断し、闘いにうってでる好機を得ました。今ほど国政の場に長谷川さんの登場が期待される時はありません。介護保険制度と福祉切り捨てに憤る高齢者、「障害者」、労働者、中小事業者の切実な願いなど、寄せられる期待に全力でこたえなければならないと思っています。
 昨年一回り大きな力と自信を獲得した全国の力が、今ひとつになれば、既成政党を打ち破り、長谷川勝利を手にすることは可能です。アジア、沖縄との連帯をかけて、なんとしても勝ちたいものです。昨年をはるかに上回る闘いで、新しい時代を開こうではありませんか。ともに頑張りましょう。

 今年こそ女性の力を一つに紡ぐ年に

 相模原市議会議員 婦民全国協代表  西村 綾子さん

 二〇〇〇年という文字どおり歴史の節目を迎えて、あらためて侵略戦争絶対阻止!を誓わずにいられません。
 私たち労働者市民の生活を踏みにじる諸攻撃に憤然と反撃して、生きる権利を守らなければならないと思います。介護保険制度の導入や年金制度、医療制度の改悪、さらに消費税引き上げが追い打ちをかけて来るならば、民衆の怒りはこれまでの比ではない大きなマグマの爆発を起こすはずです。
 政府と資本は、帝国主義社会の危機を戦争と大失業と差別や排外主義をあおることで生き延びようと必死です。リストラ、首切り、賃下げ、産業再生法などで国家的不当労働行為を強行してきますが、自自公連合政府のもとで翼賛化した政党や連合の屈服腐敗をのりこえて立ち上がる労働者のたくましい力があることを、昨年は確かに実感できました。
 沖縄では、普天間基地の名護への移設という新たな基地建設を許さない闘いが火ぶたを切っています。沖縄を戦場にし、捨て石にし、基地の島にして犠牲を押しつけてきた歴史責任にかけて連帯していきましょう。
 戦争を不可避とする帝国主義の社会から、本当に人間の解放を実現することのできる新しい社会への変革の歴史がこれから始まるのだと思います。
 戦前の女性たちは、参政権さえない二重の抑圧の中で、戦争の協力者になることで社会的位置を占めることに抵抗できず、結局愛する家族を戦地に送り出し、率先して国防婦人会に組織されていきました。
 ガイドライン情勢は再び私たちを国防婦人会の道へ組みこもうとしています。男女共同参画基本法の狙いはまさにここにあります。
 女性労働者の権利を奪い、安上がりで首切り自由な不安定労働に駆り立てています。
 介護保険制度は「家族介護の美風」などと言って、ますます高齢者介護や家事・育児労働を女性の負担に押しつけます。
 さらに西村真悟元防衛政務次官が核武装推進、排外主義と女性差別にまみれた暴言を平然と語ったり、軍隊慰安婦として非道のかぎりをつくした日本帝国陸軍の悪行をまた繰り返すことなど、断じて許すことはできません。
 「いなぐ(女)や いくさぬ さちばい(女性こそが反戦運動の先頭に!)」と故古波津英興さんがよく私たちを励まして言われました。今年こそ広範な女性の反戦の声と力をひとつに紡ぐ年にしたいと思います。
 国の悪政が地方行政に押し寄せています。再びの朝鮮侵略戦争を許さず、労働者市民の立場を貫く国会議員の登場がぜひ必要です。長谷川英憲さんの衆院選必勝を期して闘いましょう。

 サミットを許さず辺野古移設阻止へ

 全国沖縄青年委員会委員長 新城 峯子さん

 SACO(日米特別行動委員会)合意から三年。その中心的内容として打ち出された普天間基地の県内移設は、名護市辺野古への移設としてあった。「基地とサミットはリンクしない」と言い続けてきた日本政府と稲嶺県政のうそは、「普天間基地問題が決着していなければ沖縄には行かない」と発言したアメリカ大統領クリントンの言葉によって暴かれてしまった。
 今年七月の沖縄サミットを力ずくで実行しようという小渕政権の動きに拍車がかかった。全国から警察権力を総動員し沖縄に配備した。さらに、普天間基地の県内移設問題の九九年度中決着を掲げて、沖縄人民の反基地・反戦の思いと闘いの圧殺の攻撃をかけてきた。そのダーティーなやり方のお先棒を担いでいるのが、稲嶺知事と県政、岸本市長である。
 昨年十二月三日、名護市民会館で行われた稲嶺知事と岸本市長の会談を県民は忘れもしない。住民の怒りと声を無視して、政府の奴隷となって沖縄県民を裏切り、沖縄を三たび売り渡した稲嶺知事と岸本市長。
 昨年のこのような動きはすべて、小渕政権と沖縄県当局がSACO合意=基地の県内移設を強行実施するために作成されたシナリオに沿って行われた。県内に新しい基地をつくってほしいと要求した県民はどこにもいない。普天間基地を直ちに撤去せよ、すべての基地を撤去せよ、というのが沖縄の切実な要求なのだ。
 基地と安保のもとに差別的にしばりつけられてきた沖縄の歴史を根本から覆し、そこから脱却すること。沖縄人民の自己解放をかけた闘いなのである。だから絶対に負けるわけにはいかないのだ。政府と稲嶺県政、岸本市長らの卑劣で姑息(こそく)なやり方を県民は絶対に許さない。
 稲嶺が名護に行った同じ十二月三日、参議院本会議で、自自公・民主党などの賛成多数で新破防法が可決された。政府のたくらんでいることは朝鮮・中国―アジアへの侵略戦争しかないということである。そのためのSACO合意の早期実現であり、沖縄圧殺なのだ。行き着くところは「第二の沖縄戦」である。
 郷里・沖縄の闘いと呼応して、本土にいる沖縄出身者のあり方はもとより、本土の労働者民衆も問われている。二〇〇〇年決戦の火ぶたはすでに切られたのだ。侵略戦争のための国際会議=沖縄サミットを阻もう! 普天間基地の辺野古移設を断固阻止しよう! 沖縄サミット厳戒態勢を打ち破ってともに闘おう!

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週刊『前進』(1939号12面2)

 沖縄人民の日帝との決戦勝利へ闘い抜く

 革共同沖縄県委員会

 全国の同志諸君! 「前進」読者のみなさん! 革共同・沖縄県委員会から熱い決意をこめて年頭のあいさつを送ります。
 人類史に「戦争と革命の時代」を刻印した二十世紀から、新しい世紀へ突入するはざまにあって、わき上がってくる決意はただひとつ、帝国主義を打倒し世界革命を実現することのみである。それもわれわれの生きてある時代にこれをなし遂げなければならない。この百年に二度もの世界戦争を行い、その間にも大小の戦争を間断なく続けてきた帝国主義が、世界のプロレタリアートの手によって打ち倒されるしかない歴史的命脈の尽きた存在であることは歴然としている。
 二十世紀が人民に突き付けた結論、戦争か革命か! 生きるために闘うか、闘わずして殺されるか! 勝利して生き抜くか、敗北して死ぬか! その中間項はない! 一九九九年を自らの全存在を賭(と)して闘い抜き、今二〇〇〇年の幕開けに立つわれわれは、この歴史の真理を一切の妥協とあいまいさを排して見据え、真っ向から受け止め、勝利の二文字に向かって闘い抜かなければならない。今の沖縄の現実が意味するものは、まさにそういうものである。
 二〇〇〇年サミットの沖縄開催こそ、日帝の帝国主義としての国家的存亡をかけた、侵略戦争体制構築と戦争突入への大攻撃である。アジアの覇者への志向の強烈なアピール、猛烈な対米対抗性をはらんだ日米安保政策の強化の現実的政治、それらの一切をかけて一九九五年以来の沖縄人民の新たな歴史的決起の鎮圧に乗り出してきている。
 沖縄の闘いは歴史的な大決戦に入った。一九九五年以来の沖縄人民の歴史的決起は、一九七二年の沖縄返還政策とその後の五・一五体制に対する怒りの爆発であるとともに、その根底に戦後五十年の日帝の基本政策・日米安保体制、さらには沖縄戦をも貫いて琉球処分以来の日本―沖縄関係を撃つものをも根底にはらんでいた。それゆえに日帝(日米安保体制)を根底から揺さぶったのである。
 これに対して日帝は、四年間の経緯を経て二〇〇〇年サミット沖縄開催、その基軸政治としての基地の県内移設をもって、沖縄人民の要求の全面圧殺の回答とした。それだけではない。「二度と歯向かうことを許さぬ日本―沖縄関係」の形成までも目的としている。普天間基地の名護・辺野古への移設をめぐる攻防は、日米帝国主義の朝鮮侵略戦争への具体的軍事的準備であるとともに、人民との攻防の中においてはそのようなものをかけているのだ。
 サミットまでの普天間基地の移設を強引に押しつける今の日帝・小渕の政治の差別性・非人間性を沖縄の側からみれば、ある意味で今日までの歴史の中のどの時代よりも激しい。その政治的手法は限りなく「植民地の経営」のそれになってきている。琉球処分、「そてつ地獄」的戦前の社会状況、沖縄戦、米軍占領と専制支配、これら帝国主義の沖縄支配がもたらしたすべての本質を凝縮し具体化して、沖縄人民の頭上に振り降ろしている。
 辺野古「命を守る会」が言ってきた「Xデー」、十一・二二「稲嶺の普天間基地の辺野古への移設表明」をもって、沖縄人民にとって生きるか死ぬかの決戦、戦闘の火ぶたが切られた。
 物事は誰にもわかりやすくなってきた。すなわち二十世紀・百年の日本―沖縄関係、それが沖縄人民の頭上にもたらしたものを、二十一世紀の百年間にも引き継ぐことを許すのかどうかが問われているのである。わが県委員会はこの決戦を全存在をかけ、生死をかけて闘い抜く決意である。そして必ずや帝国主義の攻撃を打ち砕き勝利する。
 人民にとっての勝利のかぎは何か。この決戦を日帝対沖縄人民の決戦として闘い抜くことである。それは沖縄人民内部の階級的分岐と内乱的死闘を不可避とする。「島ぐるみ闘争」とは、この階級的分岐をくぐり抜けて現実化するのだ。さらに、カクマルの全面的敵対と破壊を全人民的な怒りで「返り討ち」にし、沖縄カクマルを完全打倒することを絶対的条件とする。
 二〇〇〇年サミットは必ず全人民の怒りと闘いで粉砕される。時間に追い詰められているのは帝国主義の方なのだ。
 革共同の「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」の路線は、沖縄人民の歴史的自己解放と、日本プロレタリアートの階級的解放の闘いを、日帝打倒の大事業の中で統一し勝利する路線である。二十一世紀の沖縄人民の運命と日本プロレタリアートの運命は一体である。この階級的認識を真に全人民のものとするとき、何ものも押しとどめることのできない、サミットもろとも帝国主義を打ち倒すマグマのごとき人民のエネギーは噴出する。一切はわれわれの双肩にかかっている。勝利の二文字をめざして闘い抜こう。

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週刊『前進』(1939号13面1)

 ★各界の戦闘的人士・議員から

 新年のメッセージ

 20世紀最後の「天下大乱の年」

 闘う人民の大躍進を切り開け

 専横の限り尽くす野合の政権の打倒を

 日本基督教団靖国・天皇制問題情報センター 小田原 紀雄さん

 一九九九年という年が戦後の決定的転換点であったであろうことは、その時間を闘って並走していた者にとっては生々しいまでの実感であったし、五年もたたないうちに政治史家だけでなく、諸領域の人たちによって断定的に語られるに相違ない。
 何よりも日米安保条約の新ガイドラインに基づく関連二法が制定され、日本は「戦争体制」構築に向けて大きく踏み出した。また組織的犯罪対策法と、われわれが第二破防法と呼んだ「オウム対策」に名を借りた「団体狩り」法の制定という、立法事実さえない治安法の強化は、「戦争体制」構築と無縁ではあり得ないものである。
 また、一九九八年の男性の平均寿命がわずかではあるにしても短縮してしまったという事実は、近代国家においては、かつて「戦争」以外の理由ではあり得ないと考えられていたことが「平時」に生じてしまったことによって衝撃的である。ひとえに四十〜五十代の男性の自殺者の大量輩出による結果である。理由は簡単である。みぞうの長期的不況が、労働者にのみしわ寄せされていることによる。日本資本主義は、二〇〇〇年にはさらに労働者の大量解雇によって延命しようとあがいている。
 回復の可能性もかいま見ることができない不況を、戦争によって突破しようとし、そのために国内秩序を強権的に締め上げていくという、ほとんどでき過ぎの構図にはまってしまった。
 座してこの状況を耐えることはできない。専横の限りを尽くす自自公野合政権打倒を正面から掲げて、二〇〇〇年という年を走りぬきたい。

 石川さんと心ひとつに異議審勝利へ

 部落解放同盟全国連合会委員長 東大阪市議会議員 瀬川 博さん

 全国の闘う仲間のみなさんに、慎んで新年のあいさつをいたします。
 私の五期目の東大阪市議会選挙に対する、全国の仲間の応援に心から感謝いたします。おかげをもちまして、自自公、そして共産党との大激戦に勝利することができました。私は、この勝利をバネに「戦争絶対反対」「部落解放」へ、全力で闘っていきます。
 何よりも、長谷川英憲さんを是非、国会に送り出しましょう。
 長谷川さんは、新安保ガイドラインとの闘い、三里塚、沖縄闘争などあらゆる反戦闘争の先頭に立ち、多忙な中で狭山要請行動にも毎回のように参加してくれています。こういう人こそ、労働者人民と弱者の味方です。
 また、アジアへの侵略戦争のための反戦運動つぶしを狙う新破防法、国鉄や都労連に対する攻撃、介護保険の導入による生活破壊。この自自公の戦争政治のもとで、都知事の石原や、その盟友の西村真悟らによって核武装や、部落民やアジア人民・「障害者」・女性へ、あらゆる差別が公然とあおられています。この自自公体制、石原の戦争と大失業と差別の大攻撃のすべてと闘う人民の新しいリーダーが必要です。そうでないと、絶対に勝てません。
 国会において、一対五百の闘いをつくりだすことは、たいへん大きな意味があります。私も議会内で一対四九で闘っていますが、そのことによって多くの人びとが立ち上がり、実際に汚職市長をやめさせ、また国民健康保険証の取り上げをやめさせました。国会のなかに、一人でも闘う議員がいれば絶対に政治の流れを変えられるのです。
 杉並区民だけでなく、全国の闘う力を総結集して、長谷川さんを国会に押し上げましょう。
 さらに、今年は狭山再審勝利へ、重大な決戦の年です。
 全国連は、高木決定を徹底糾弾します。高木裁判長は数多くの石川=無実の証拠、そして何よりも国家権力の差別犯罪を糾弾する全国連の要請行動に追いつめられながらも、「部落民に裁判は必要ない」と差別犯罪を貫いたのです。こんな高木決定は、絶対に無効です。私たち全国連は、石川一雄さんと心をひとつにして異議審闘争に命をかけて立ち上がります。全国連は「差別裁判の一切を取り消せ! 百万人署名」を始めました。この百万人署名に、全国連は組織の総力をあげ、必ず勝利します。
 最後に、全国連は三月五日〜六日、奈良で第九回全国大会を開催します。皆さんの参加をお願いします。

 学生人民の総決起でサミット粉砕に立て

 全学連委員長 大山 尚行さん

 全学連は何千何万の学生を組織して、沖縄と杉並と三里塚で、二〇〇〇年決戦を最先頭で闘う。最初の勝負は一〜二月沖縄現地決戦だ。日帝・自自公政権の沖縄圧殺攻撃に打ち勝ち、二〇〇〇年決戦の大爆発をこじあけるのだ。求められているのは、さしあたりどんなに少数であろうとも、歴史的激動の大きさにつりあう闘いを断固やるということだ。学生大衆とガンガン討論を行い、沖縄現地行動隊への決起をかちとれ。沖縄から日本帝国主義を打倒するまで絶対にやむことのない、五年〜十年にわたる革命的内乱の時代をこじあけよう。
 世界大恐慌は不可避であり、日米争闘戦の激化を原動力にして朝鮮・中国―アジア侵略戦争が引き起こされようとしている。しかも日帝・自自公の大反動攻撃のとてつもない激しさのなかに、帝国主義の危機の深さと破産がある。日帝・自自公政権の大政翼賛会政治とそのやり方のどこに正義があるか。説得力があるか。まったくない。労働者人民をペテンにかけ、問題の所在をすりかえ、だまし討ちで攻撃を強行するようなやり方がいつまでもまかり通るはずがない。
 労働者人民は行動方針と結集軸を求めている。大政翼賛会政治の確立をかけた衆院解散・総選挙に対して長谷川英憲氏の当選勝利を絶対かちとろう。沖縄サミットに対して米帝クリントンが来れないような空前の大規模デモを沖縄と本土で爆発させよう。三里塚暫定滑走路建設強行を大破産に追い込む闘いに、反対同盟とともに総決起しよう。
 二〇〇〇年決戦において核心的に問われているのは、沖縄人民と連帯する本土の労働者学生人民の怒りの総決起だ。日帝の国家総がかりの大ペテンと強権による沖縄圧殺の大攻撃に対して、満身の怒りを爆発させて沖縄決戦に総決起することだ。
 沖縄人民が名護・辺野古住民を先頭に、日帝・国家権力と徹底的に闘っている。九五年十・二一の闘いの原点を貫き通すために、文字どおりの命懸けの闘いに決起している。沖縄人民は、日帝国家の根本的問題性を告発しているのだ。沖縄をどこまでも抑圧しつづけ、戦争をやる以外に道のない国家など、つぶしてしまった方がいいのだ。
 沖縄人民の闘いに、学生は真摯(しんし)に学んで、ともに自らの生き方をかけた闘いに立ちあがろう。その対極で、戦争協力に公然と踏み切り、デマと脅迫で闘いはつぶせると思い込んでいるファシスト・カクマルに、人民の怒りの何たるかを思い知らせてやろう。カクマルを全国大学から一掃しよう。

 西紀「二千年元旦の「温故知新」

 在日台湾人元日本兵 林 歳徳さん

 一八六八年天皇制日本帝国が誕生。翌年からアイヌの国「蝦夷(えぞ)」を侵略、北海道に改称して呑食(どんしょく)した。以来琉球王国を侵略、一八七九年沖縄県に改称して呑食した。
 一八七四年台湾を侵略、米帝の援助で清国から現金五十万両の和解金を強奪した。
 一八七五年朝鮮王国を侵略、一八九七年大韓国に改称、一九一〇年「日韓併合条約」で呑食した。
 特に一八九四年朝鮮問題で「日清戦争」を起こし、一八九五年「下関条約」で台湾・琉球・朝鮮等を強奪して植民地化した。更に数千万の中国人を殺し、清国から当時清国の十カ年国家収入額に相当の現金賠償を強奪、膨大な中国資源を奪い、その資金源で近代的天皇制日本帝国を建設した。
 この七十一年間、日帝の中国侵略手段は、右手に「日英同盟」、左手に「日露協商」を結んで連続中国を侵略して成長した。特に台湾を日帝の「三光」(殺尽・奪尽・焼尽)政策と「植民地経営法」・「皇民化」等の実験場にされた。
 日帝は一九一四年の「第一次世界大戦」(同盟国側巨頭英国と連合国側巨頭独逸との帝国主義戦争)で大もうけした。更に一九三九年「第二次世界大戦」を起こし、一九四一年「真珠湾奇襲」で日米が開戦した。その「因果応報」で一九四五年米帝の原爆洗礼を受けた日帝が敗戦した。
 戦後の米ソ冷戦と中国支配争奪戦に勝つため米国は、殺してもなお足りない(罪不容誅−ツミチュウヲイレズ)重大戦犯裕仁天皇・皇族侵華将軍・特務機関員・毒ガスや細菌戦の七三一部隊等の戦犯裁判を拒み、「日米単独講和」と「日米同盟」を結び、日帝を「米帝の強力猟犬」に育成した。
 現在の新日帝巨頭明仁天皇は、明治・大正・昭和の侵略衣鉢(いはつ)を受け継ぎ、過去の夢をもう一度と願望している。かつ日米両帝で世界支配の夢を見たら、まず中国包囲網「日米ガイドライン」を作り、日帝顕揚のため、去る十一月十二日「明仁天皇在位十周年式典」をガイドライン関連法、国旗・国歌法と結びつけ侵略立国を国是とした侵略魔天皇制日本帝国の「再生と死への儀式」で一大イベントを敢行した。
 それに抗して断じてそれを許さない闘う日本人民とアジア人民は、一層団結し、勇敢に日米両帝の侵略・弾圧の敵砲火に向けて突進し、日米両帝を殲滅(せんめつ)して平和を守る「闘う人民の二十一世紀」を確立する!
 立て! 敵の砲火に向けて前進! 更に前進しよう!
 西暦二千(庚辰)年元旦

 革命的議員と大衆決起が結合する時

 泉佐野市議会議員 泉州住民の会事務局長 国賀 祥司さん

 九九年、われわれは中央政治闘争はじめあらゆる戦線で素晴らしい成果をかちとりました。われわれが中心となって、これまでの枠をのりこえて多くの労働者、民衆がともに立ち上がり、日帝の激しい戦争攻撃に対して必死に闘い重大な打撃を与えてきました。
 特に、九九年選挙闘争の勝利は革命的議会主義の有効性を示した画期的な前進をかちとりました。私自身全選挙戦に決起し、革命的議員の闘いと大衆の決起が結合した時、ものすごい力を発揮することを身体で感じ取りました。革命的議員が先頭に立ち、民衆の怒りを体現し、大衆闘争を爆発させ、日帝権力、他党派、カクマル反革命などの妨害をものともせずに闘った時、労働者、大衆が無限の信頼を寄せて立ち上がってくることを確信しました。
 これからの激動期はわれわれこそが主役に躍り出ていくことが労働者、大衆から決定的に求められています。九九年の勝利は、われわれの目標からするとほんのささやかな勝利であることも確認しなければなりません。
 今年は革命的議会主義を大発展させる年です。長谷川英憲さんを押し立て、人民とともに自自公連立政権を打倒するために、国会へ送り出していく決定的な年になります。
 自自公連立政権は、戦争国家に向かう総翼賛体制づくりの政権であることがだんだん明らかになり、民衆の怒りが大きくなり、支持率は低下の一途をたどっています。これまで培ってきた革命的議会主義の力を基礎に、幾倍にも発展させれば勝利することはまったく可能です。
 つぎに関西新空港闘争の大高揚をかちとることも今年の重大な課題です。三里塚闘争とともに、新ガイドライン闘争の最前線です。民間空港の軍事空港化を阻止する闘いは、日帝の朝鮮・中国−アジア侵略を阻止していく決定的な闘争になりました。関空二期事業阻止、成田空港暫定滑走路阻止闘争に総決起することを訴えます。
 さらに最大の決戦を迎えた沖縄闘争、労働者階級に対する大失業攻撃との闘いなど、二〇〇〇年は文字どおり戦後最大級の決戦の年になるでしょう。世界恐慌の危機にあえぐ日帝との大決戦です。二〇〇〇年決戦の大勝利に向けて断固決起していきましょう。

 自自公の独走許せば再び戦争への道

 反戦被爆者の会会長 大槻 泰生さん

 「過ちはくりかえしません」という爆心地(平和記念)公園の碑は、亡き死者に対する鎮魂であり、反戦への誓いであります。
 しかし、今や、あの自自公・小渕政権は、「戦争を繰り返すな!」という労働者民衆の叫びを平然と踏みにじり、ガイドライン法強行以来、組対法から団体規制法による治安維持法再来の動き、「日の丸・君が代」国旗・国歌化から介護保険にいたるまで、社会の戦後的在り方を次々と破壊して、有事立法・改憲にいたる新たな戦争国家への道をまっしぐらに突き進んでいます。「国軍を創設し、『八紘一宇』を世界へ。日本も核武装を」と叫んだ西村の主張は、小渕政権の本音です。このまま自自公の独走を許せば、再び、アジア侵略、ヒロシマ・ナガサキの道です。
 私は、心ならずも侵略戦争に加担し、そのあげくに被爆させられた者として、自自公・小渕政権を絶対許すことはできません。戦争で犠牲となるのは結局私たち労働者民衆です。それは東海村JCOの臨界事故ひとつをとってみても明らかです。
 闘う仲間の皆さん! 今年、二〇〇〇年こそ自自公体制打倒の天王山です。闘う者の心をひとつにして立ち上がりましょう。
 社共はもとよりすべての既成野党が総翼賛化している中で、この現状を打破するために、都政を革新する会を代表し次期衆院選に名乗りを上げた長谷川英憲さんの決意を、私は断固支持し、衆院選必勝のためにともに闘います。
 また、今年は沖縄、三里塚にとっても正念場の年です。私は沖縄の人びと、反対同盟の皆さんとの血盟にかけて闘争勝利まで闘う決意です。そして、「戦争協力」を宣言し、闘う者の団結を破壊することに血道をあげている革マル派とJR総連を、闘う戦線から一掃しましょう。
 最後に、昨年三月、志半ばで斃(たお)れた妻(幸慧)の遺志を引き継いで闘っていくことを申し上げて、私の連帯のごあいさつといたします。

 自国軍隊の出兵を阻止する反戦闘争

 反戦自衛官 小田 基実夫さん

 昨年五・二四をもって日本はまったく新しい時代に入った。西村政務次官(当時)の問題も、新安保ガイドライン−周辺事態体制に対応したものである。
 陸上自衛隊第一空挺団から選抜した百人による「誘導隊」と銘打った侵略突撃部隊が八月に編成され、十一月には海上自衛隊と共同で「在外邦人等輸送訓練」と称する「周辺事態」演習が強行された。本年二月には「周辺事態(朝鮮半島有事)」のための日米共同図上演習が本番さながらに予定されている。文字どおり朝鮮侵略戦争5027作戦計画の全面的発動のための総仕上げの演習である。
 この切迫せる事態に、われわれは朝鮮・中国人民との連帯をかけて、全力で闘わなければならない。自国の出兵部隊に対して、体を張ってでも阻止する闘いが今こそ問われている。
 敵、日帝の側はこのような本格的な侵略と内乱の時代に対応する攻撃として、各種の治安法体制を整えるとともに、それと結合して自衛隊の治安出動態勢を準備している。本年九月の首都圏大防災訓練こそその最先端の攻撃である。
 自衛隊内で、侵略戦争情勢の切迫と不況による就職難につけこんで、兵士に対するしめつけの強化、侵略演習の激化が一挙に強まっている。この侵略出兵を前にした兵士たちの不安、怒り、恐怖の高まりが、自衛隊にその半世紀の歴史上かつてなかった根底的で全面的な動揺を引き起こしつつあり、日を追うごとにそれが激しくなってきている。
 われわれは、兵士の動向に注目し、反戦反軍闘争の一環として、たとえどのような自然発生的、萌芽的な闘い、抵抗であろうとも、兵士たちの「侵略戦争への動員に抗して、生きかつ闘う権利」の問題としてとらえきり、命令拒否権、団結権、集会の権利、言論・表現の自由、外出・有給休暇の権利など、普遍的な隊内民主化の闘いに高めていく観点から、この闘いを全面的に支援していかなければならない。
 新ガイドラインのもとでの反戦反軍運動を本格的に切り開く年にしていこうではありませんか。
 二十八年目に入る私の四・二七決起反軍裁判も、昨十一月二十九日の意見陳述をもって東京高裁での審理が始まりました。戦争の時代に「兵士が労働者とともに自衛隊を裁く裁判」として、片岡反軍裁判を引き継ぎ、吉本三曹・藤尾士長の掃海艇派兵違憲裁判とともに、本年も支援・傍聴してともに闘ってくださるよう訴えます。

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週刊『前進』(1939号13面2)

 獄中同志 新年アピール(2)

 自らと人民の根源的自己解放的力を信頼

 徳島刑務所在監 星野 文昭
 今日、帝国主義の矛盾が一九二九年大恐慌−第二次大戦をはるかに超えた規模と悲惨さで爆発しようとしている。
 戦後五十年に蓄積した矛盾(過剰資本・生産力)の巨大さがスターリン主義崩壊によって、旧・残存スターリン主義を巻き込みつつ、二九年型大恐慌・大不況とブロック化を激化させ、市場・資源・勢力圏の独占的支配をめぐる帝国主義間のつぶし合い的争闘戦を激化させ、中東・バルカン・朝鮮・中国−アジア侵略戦争から世界戦争の地獄へ、国内の大失業、賃下げ、生活破壊−反動と一体に、全世界の労働者人民をたたき込もうとしている。
 スターリン主義の崩壊は、一方で、社、共、カクマルはじめ資本主義の美化と屈服を生むと同時に、全世界の労働者人民をスターリン主義の抑圧から解き放ち、資本主義が歴史的存在としての矛盾から自由でなく、結局全人民に地獄を強制するものであることに対して、根源的怒り・自己解放的力を解き放ち、あらゆる帝国主義的分断をのりこえ、結合した力で帝国主義を覆して、労働者人民が社会の主人公として、人間的力を解き放ち、補い助け合って創造的に生きる、その世界史的展望を大きく開示している。
 日帝が対米対抗的内外政策によるアジア侵略戦争の道を、新ガイドラインによって敷き、沖縄・三里塚・国鉄・都労連などを圧殺し、翼賛体制をもって一挙に諸反動を強めようとしていることに対する春以降の闘いの高揚は、その展望を確信させるのだ。
 問われているのは、闘うアジア人民との連帯を強め、ガイドライン・沖縄・三里塚・国鉄・都労連などの拠点的闘いを強め広め侵略戦争阻止(拒否)の内乱的決起を、一つの巨大な蜂起に結実させることだ。
 そのために、呼吸し合いともに闘い勝利することに責任をとりきる運動と党を、自己変革を通して創造することに今こそ全面的に挑戦しよう。それは、六〇年、七〇年をもって開始した闘いを、この間の制約性・途上性を自覚的に克服し、本格的・全面的に創造・発展することだ。
 そして、それは、七〇年と今日の闘いを圧殺する星野無期弾圧、その極限的国家暴力と分断に対して、獄中と家族を先頭に、身を置き合い心一つに闘うこと、自らと全人民の根源的自己解放的力を信頼し、そこにトコトン依拠し、解き放ち、結集すれば人間解放を実現できる、という深い確信と闘いを創造している星野(=暁子)闘争・再審闘争を党的・階級的課題として取り組むことを通して、根底的な創造的飛躍を手にするのだ。共に星野弾圧−全弾圧を粉砕し、新たな世界史を開く闘いに全力を投入し闘い、勝利しよう。
(七一年十一・一四渋谷暴動闘争戦士=殺人罪デッチあげによる無期攻撃と闘い、九六年四月再審請求。七一年七月・九月三里塚決戦戦士、獄中二十五年)

 革命と反革命が大衆を奪いあう内乱過程

 府中刑務所在監 鎌田 雅志

 九九年は、年頭から十週間で七件も派手にケンカが続き、工場崩壊かと思った矢先に出入り業者が倒産。春と秋、親子共倒れだった。だが、わが「仲間」達には、シャバの大失業は「他人事」だ。社会の腐敗と監獄(犯罪の学校)が、彼らの温床なのだ。闘う労働者が監獄に満ちる時、この温床にも劇的な革命的変化が生じ、日帝の腸を中から食い破るのだ。そういう時代を切り開こう。
 第三次世界大戦の導火線=世界の火薬庫に、帝国主義が侵略戦争と争闘戦の火を点じ、日帝は、対米対抗的なアジア勢力圏化と朝鮮・中国侵略戦争を決断し、戦争翼賛・総動員体制作りに踏み出した。ファシスト・石原が首都の知事になった。これが、日帝を糾弾する日本軍軍隊慰安婦らアジア人民への、日帝の回答なのだ。
 国家総動員=総力戦体制は、帝国主義労働運動の柱を立て、抵抗拠点を制圧し、革命党と運動を壊滅させて、労働者階級丸ごと「戦争国民」に思想改造してできる。これは革命と反革命が大衆を大規模に奪い合う、内乱の過程だ。
 この戦争と恐慌、大失業の嵐と闘うには、帝国主義=資本制社会を根底から転覆する革命の立場に立つ以外にない。搾取の原因−生産手段の私的=資本家的所有と労働力の商品化の廃絶! 帝国主義・独占は、共産主義の物質的条件を成熟させている。世界大恐慌と世界戦争を引き起こすほど過剰な資本・設備と生産力は、労働者階級が奪取する以外にない。そして、プロレタリア世界革命の主体的担い手が、帝国主義と新植民地主義体制の足元から力強く立ち現れている。労働者階級は、階級闘争の溶鉱炉で、プロレタリア的な革命性、暴力性と国際主義に目覚めて、必ず立ち上がる。
 沖縄・三里塚・狭山、国鉄・都労連、そして衆院選の二〇〇〇年決戦に蜂起せよ。
 闘うアジア人民と連帯するために、怒りに燃えて総決起しよう。
 「組織と扇動」の能力を全力で強化し、猛然と労働者の中に入り、職場、地域、学園そして兵営に、革共同の細胞の網を作り上げよう。白井朗の転向と反革命策動は、「佐野・鍋山」を作り出そうとする日帝・権力の革命党破壊策動だ。これをはね返し、われわれは力強く前進している。三〇年代型の階級攻防に勝利し、非合法・非公然の労働者党を建設しよう。星野同志への再審棄却策動を粉砕し、「迎賓館・横田」四同志を奪還せよ。元気にやっていこう。(元全学連委員長、八五年十・二〇三里塚蜂起戦戦士、八五年十一・二九浅草橋戦闘戦士、獄中十五年)

 弾圧・逮捕・投獄と流血の鉄火をこえて

 横浜刑務所在監 片山 武夫

 戦後帝国主義体制下の歴史的、構造的な過剰資本・過剰生産力状態のかつてない深刻化に規定された今日の帝国主義世界経済の危機は、二九年型世界恐慌と帝国主義諸国そのもののいくつかを解体するむきだしの帝国主義間争闘戦を激化させつつブロック化・勢力圏化の全面激突−世界戦争として不可避に発展する。周知のとおり、その烽火はすでにユーゴで東ティモールで上がっている。国内的には、金融独占資本の解体と再編の激烈な資本整理・資本破壊として進行している。したがって、この世界危機の進展は、帝国主義の世界的な大失業と戦争に向けた帝国主義国の反動的反革命的な活力を極点にまで高め、凶暴に噴出させる。
 まさに日本帝国主義の朝鮮・中国−アジア侵略戦争への決断、戦後史を画する小渕自自公連立政権の超反動的体制翼賛会政治の歴史的登場、戦争国家体制化と「国民づくり」攻撃の激化、大失業・諸権利剥奪・団結破壊攻撃の激しさなどはその噴出の絶望的現れであり、これらの激烈さが日本階級闘争の様相を根底から一変させようとしている。
 他方、これらに対する革命派の実践的結論の核心も明快である。革共同が工場、労働組合・諸組織、地域、学園などあらゆる機関、組織の中に武装した権力を堅実かつ速やかに打ち立てることである。そもそも革命派は歴史的にも現実的も人民大衆内部では潜在的多数派である。労働者階級人民はすでに退路を断つ決起を余儀無くされ、しかも、全既成政党と連合の総翼賛化・産業報国会化は人民大衆が革共同に結集せざるをえない構造をつくりあげている。核心はファシズムとの激突に勝利し、何としても労働者階級人民大衆を革共同が階級的に獲得することだ。
 前衛党と階級が一体となり弾圧・逮捕・投獄・流血の鉄火をこえて決起したとき、戦争法と有事法制、新たな治安弾圧法と団結破壊法などはすべて無力と化し、日本プロレタリア革命の現実性は確実に切り開かれる。敵支配階級の戦後史を画する現下の恐るべき超反動と凶暴な反革命化は、まさに、革命前夜情勢への突入をはっきりと示しているではないか!
 戦略的総路線のもと全力を振り絞って大胆に決起しよう! 帝国主義は必ず打倒できる。すでに始まっているように労働者階級は必ず決起する。新たな人類史の発展の強烈な確信をもって突き進もう! そのために革命家はおのれのなにものをも犠牲にし、いかなる苦痛にも耐えうる。共に進撃せん!(九一年五・一銃撃弾劾裁判を闘い下獄、獄中九年)

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週刊『前進』(1939号14面1)

 米帝経済のバブルの崩壊が切迫本格化する大恐慌とブロック化

 戦争へと突き進む帝国主義打倒を

 島田 隆二

 世界経済は二九年型世界大恐慌過程の本格的段階に突入しようとしている。米帝経済のバブルがいよいよ崩壊寸前のところにきているのだ。米帝はバブルの崩壊を恐れて、なんとか「ソフトランディング」しようと昨年十一月十六日にフェデラルファンド金利の誘導目標と公定歩合をそれぞれ〇・二五%引き上げて五・五%と五・〇%としたが、そうした小手先の政策で大崩壊を防ぐことはできない。すでに九七年アジア経済危機、日帝経済危機をもって世界経済は二九年恐慌をはるかに上回る大恐慌の過程に突入しており、米帝のバブルも、その崩壊も、そうした大恐慌爆発の深化の過程にほかならない。こうした中で十一月三十日から十二月三日にかけて米シアトルで開かれた世界貿易機関(WTO)閣僚会議は、米国内での保護主義の強まりを背景に大統領選をもにらんだ米帝の反ダンピング措置見直し拒否を振りかざした強硬な姿勢によって合意が不可能となり、ついには交渉そのものが決裂した。日米欧の帝国主義間争闘戦が決定的な段階にきており、戦後帝国主義世界体制の一つの軸であるWTOが崩壊の危機にぶち当たっているのだ。本稿では、世界恐慌の爆発という点で現在焦点となっている米帝経済のバブル崩壊の不可避性を明らかにしたい。同時に、危機を脱出したといわれている日本、アジアなどの経済の現状が、必死の景気浮揚策でなんとかしのいでいるにすぎず、米帝のバブル崩壊とともにさらに本格的な大恐慌へと突入することは不可避であることを明らかにしていきたい。

 第1章 米経済崩落の危機に戦慄する全世界の帝国主義者

 第1節 株高バブルに支えられた経済の超過熱化とその限界

 帝国主義世界経済の危機を明らかにする上でまずはっきりさせなければならないことは、米帝経済が完全に崩壊寸前のところに来ていることである。アメリカ経済がどうなるのか、今やこの一点に全世界の関心が集中している。米帝経済の現状がバブルであることは、誰もが認めるところである。だが、単にそれだけでなく、今やバブルが完全に瀬戸際にきており、崩壊が不可避なのである。
 日帝自身が経済企画庁の世界経済白書(九九年十一月発表)で現在の米株価は「二〇―五五%も割高」と警告し、「バブル崩壊」の懸念を表明している。それだけでなく、日帝・小渕はひそかに経済学者を集めてバブルが崩壊した場合にどのような事態になるのかをシミュレーションし、対応策の検討を進めている。そこでは二九年型世界大恐慌の再現を完全に想定し、対応策として「大恐慌のもう一つの教訓は、国際協調の破綻(はたん)、保護主義の台頭……によって、世界貿易の急激な萎縮(いしゅく)が生じ、経済損失を拡大しただけでなく、ひいては先鋭な国際対立を引き起こしたことである」と、完全に帝国主義間争闘戦の激化が戦争的対立へ発展することを想定しているのだ。
 二九年型世界恐慌の過程は、九七年アジア経済危機を発端として日本発・アジア発の世界恐慌としてすでに始まっている。九八年の世界貿易は、前年より一・八%少ない五兆四千三百八十億jで、十五年ぶりのマイナスとなり、世界経済の収縮を示している。こうした中での米帝バブルの崩壊は、帝国主義世界経済全体を奈落の底に突き落とすものとなる。二九年恐慌をはるかに上回る深刻な大恐慌となることは明白である。
 この事態に驚きあわてた帝国主義各国が必死の景気浮揚策をとることによって恐慌の一挙的爆発をなんとか緩和しているが、それがまた米帝のバブルを一層進行させてきた。そして、米帝経済のバブルによる景気上昇が続き、それが世界の買い手役として貿易赤字を拡大してきたことで世界経済の全面崩壊がなんとかくい止められてきたのだ。だが、今やその米帝経済が巨大な矛盾を蓄積し、完全に崩壊不可避のところに来ているのだ。
 この間、米帝経済が好景気であると言われているが、それは基本的に株高バブルによるものであって、根本的には日欧からの投機資金の流入によって成り立っているものである。
 米帝経済が抱える深刻な矛盾は、経常赤字の異常な拡大にはっきりと示されている。九九年の米経常赤字は三千億jに達する見通しである。これまでも九四年以来一千億jを超える経常赤字が続いてきており、九七年には千五百五十二億j、九八年二千三百三十四億jと赤字が大幅に拡大している。この中で累積債務は九八年末段階で一兆二千三百九十一億jにのぼっている。九九年末では一兆五千億j規模に達すると予想される。
 これほど巨額の経常赤字、累積債務を抱えて一国の経済が成り立つはずがない。ところがそうなっていないのは、ドルに代わる基軸通貨が存在しないことに加えて、流出を上回る海外からの資金流入があったからだ。日欧からの投機資金の流入が唯一この巨額の赤字をファイナンス(資金繰り)してきた。アメリカへの資金流入は、九六年には五千億jを上回り、九七年には七千億jを上回った。九八年も五千億jを超えている。アメリカからの対外資金流出額を差し引いた純流入額でもおよそ二千億jの資金がここ数年流入している(九六年千八百八十四億j、九七年二千五百六十一億j)。
 アメリカへの資金流入は九三年後半段階から急増している。その中の欧州からの対米投資も、そのかなりの部分は日帝のバブル崩壊によって日本から逃げ出したジャパンマネーがロンドンなどのユーロダラー市場に流れ込み、それがユーロダラー市場からアメリカに投資される形になっている。
 こうした巨額の資金の流入があり、他方で国内的にも確定拠出型年金401kに象徴される個人資金が株式投資信託に流入し、それがさらに米株価を押し上げた。しかもこの個人の株式投資信託は、米株価が急速に値上がりしたことによって年金を元手にした個人資金が、株を担保に借金をして株を買うという投機にのめり込んでいる。まさに投機が投機を呼ぶという現象が典型的に現れている。
 アメリカの個人貯蓄率は、すでにマイナス一・二%程度まで落ち込んでいる。可処分所得を上回って消費しているのだ。所得を上回って消費を拡大し続けるということがなぜ起こっているのかというと、株価が値上がりしていることによって、資産が借金を大きく上回っている形になっているからである。だが、株価が大きく下落すれば、あると思っていた資産はなくなり、多額の借金だけが残るきわめて危うい構図になっている。
 アメリカの株高がバブルであることは、例えば株高を牽引(けんいん)しているインターネット関連のアマゾンドットコムの株が、収益は一億j以上の赤字であるにもかかわらず、株の時価総額が三百億jにも達していることに典型的に示されている。さらに株価収益率からみて五〇%割高、六〇%割高などということが言われているが、それは危機が爆発して企業収益が落ちれば、あるいは収益が赤字に転落すればもっともっと割高なのである。

 第2節 「強いドル」政策を武器にした争闘戦政策の行きづまり

 米帝政府が、このバブルの過程を積極的に推し進めた。九五年にはルービン米財務長官が「強いドルはアメリカの国益」と発言し、積極的にドル高政策をとることによって日欧の資金を米国内に引き入れた。また日帝がバブルの崩壊によって経済危機にあえいでいることを利用して、日帝に超低金利政策をとらせて日帝との金利差を大きくし、それによって、ジャパンマネーやヨーロッパの資金を米市場に呼び込んだ。
 米帝のこうしたドル高政策は、単に米国内に日欧の資金を引き入れるというだけでなく、それによって米帝の金融を強化し、金融の力によって日欧帝に対して帝国主義間争闘戦を全力で展開しようとする激しい争闘戦政策である。その一方では米帝がスターリン主義との軍事的な対峙・対決の中で蓄積してきた軍事技術を民間に提供することによってエレクトロニクスや情報通信産業における圧倒的な優位をつくりだし、産業という面でも資本間の競争に打ち勝ち、他帝国主義をたたき落とそうとする激しい争闘戦政策をとってきた。
 米帝は戦後一貫してドルが基軸通貨であることを使って(七一年米帝ニクソンの金・ドル交換停止以降も)、ドルを大量に増発して経済拡大をはかる政策をとってきた。一方、日欧帝は、米帝生産力に追いつこうとして強力な政策展開をはかってきた。そうした中で米資本の、とりわけ産業資本における他帝国主義との関係での相対的な弱体化をもたらし、経済的にも圧倒的な強さを持っていた米帝が、徐々に貿易赤字に転落し、さらには八五年以来純債務国に転落するという事態となったのである。これに対して米帝は、通商摩擦や為替戦争的手段によって基幹産業の防衛をはかり、野放図なドル散布政策の矛盾を他帝国主義に押しつけるというやり方をとってきた。
 また、米市場に日欧を始めとした国際的な資金の流入が続いたことの中には、ドルが基軸通貨であるということだけでなく、経済的地位が相対的に低下しながらも米帝こそが帝国主義戦後世界体制の基軸帝国主義であるということがある。米帝はそうした点でも、対スターリン主義の対峙・対決を激しい帝国主義間争闘戦政策として貫き、八〇年代末からソ連、東欧のスターリン主義体制の崩壊という事態をつくりだしたこと、さらに九一年イラク・中東侵略戦争で米帝こそが中東・石油を支配している帝国主義であることを帝間争闘戦そのものとして突き出して、九〇年代の米帝への資金の流入をつくりだしていったのである。
 だが、こうした日欧から米へという資金の流れが今や完全に変わって来ている。九九年半ばからアメリカへの資金流入が減少傾向をはっきりと示している。米市場への資金の流入という点で一番額の大きいヨーロッパからアメリカへの資金流入をみると、九九年前半の資金の移動は年率に換算して千五百億jと減少している。九六年はほぼ三千億jであり、九七、九八年は四千五百億jを超えており、著しい減少である。九六年以降は、米からヨーロッパへの資金流出を差し引いた純流入額でも二千億jを超えていたのである。こうした中で資金不足に陥った米帝資本が逆にユーロ市場から資金を引き揚げているのである。
 また、米株式市場に流れ込む資金も減少傾向を見せており、四月の二百五十八億jをピークに七月は百二十四億j、八月は九十二億jとなっている。
 日本からの資金流出という面からみても流れは完全に変わっている。九八年後半からの円高への反転で米市場に投資してきた機関投資家と呼ばれる金融機関などの資金が為替差損を抱えている。これ以上海外の証券市場に投資することは難しい状態になっているのだ。また、ジャパンプレミアムの中で日本の銀行が海外の支店に送金する資金が大量にあったが、その送金もほぼ完了している。
 こうした中で米株価も夏以来動揺を開始しており、瞬間的には一万jの大台を割るなど頭打ち傾向をはっきり示している。米株価の大幅な下落は時間の問題なのである。
 他方で、米証券市場への資金の流れが減少していることは、ドルの下落が避けられなくなっていることを意味している。九九年七月以降で一j=一二〇円から一〇一円へ、およそ二〇円の円高ドル安が進行している。一昨年の夏秋のロシア・中南米危機以降、ドルの信認は確実に揺らぎ始めているのである。ドル高政策によって日欧の資金を米国内に引き入れてきた米帝の政策が今や完全に行き詰まっているのだ。
 今のところ円の独歩高と言われているが、ジャパンマネーの米欧への資金の流れ、欧州から米市場への資金の流れ、という国際的な資金循環の構造が、今や大きく崩れつつある。今後ドルの全面安が明らかになれば、通貨をめぐるかつてない激しい動揺と混乱が避けられない。
 こうした中で、唯一日帝の貿易黒字還流の役割を果たしているのが日銀による為替介入である。日銀による為替介入は、六月は二百二十七億jに上った。七月は百四十億jでその後も多額の規模で続いている。十一月二十九日には一日だけで数十億jの介入がなされた。
 ドルの下落は、ドル資産離れが始まっていることを示しており、米国債の下落、米株価の下落となることは避けられない。要するに、バブル崩壊が今こうして進行しているのである。
 何よりも米国内では労働力の不足によって生産財の供給が間に合わないで輸入が増加するという事態も見られており、労働力不足による賃金の上昇圧力がインフレ化の根本要因である。また原油価格が九八年末に一バレル=九・一三jまで下落していたのが、今や一バレル=二七jという九一年湾岸戦争時以来の高値に急騰していることもインフレの爆発をもたらすものとなる。この原油価格高騰は、基本的にはOPECを始めとした産油国の減産によるものであるが、その一方でドルの価値下落を示している。また金相場が昨年八月以来、三〇%以上も上昇している。こうした中でバブルも極限にきており、ドルの下落でドルで資金を運用しても為替差損になる状況になれば、米国内に流れ込んでいた資金が一斉に逃げ出すことは避けられない。アメリカのニューエコノミー論がいうような米経済の体質が変わり、インフレなき経済成長の持続が可能になったなどというのは完全な幻想にすぎないのである。

 第3節 29年型世界恐慌の深まりの中で対日争闘戦強める米帝

 米帝は、アジア通貨危機爆発後もそれを日帝の問題として景気浮揚策を要求すると同時に、アジア勢力圏化を進めている日帝をこの機にたたこうとする政策を展開してきた。だが、九八年夏に危機がロシア、中南米危機として爆発し、アメリカのヘッジファンドが破綻の危機に直面する中でなんとかして危機を押さえつけようとする政策を全面的に展開してきた。その中心が九八年秋の三回にわたる金利の引き下げと、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融市場への潤沢な資金の供給=通貨増発である。
 九八年秋の米帝の通貨供給量は、十、十一、十二月と一〇%台を超えており(前年同月比)、その後も基本的に五%以上の高水準が続いている。当初はアジアを始めとした各国の通貨下落で輸入物価が下がっており、インフレは表に現れなかったとはいえ、通貨供給量の増加でインフレ化は避けられなくなっているのである。
 FRBの九九年十一月十六日の金利引き上げは、インフレの爆発を防ごうとするものだが、通貨そのものが大量に増発されている以上、それは避けられない。米帝は、インフレを防ごうとしてさらに金利を引き上げれば、それが引き金となってバブルが崩壊して景気が急落し、インフレを防げなければドルの価値が急落し、それによって米市場に流れ込んできている資金が逃げ出し、危機が爆発する。どっちに転んでも恐慌の爆発は避けられないというジレンマに立たされているのである。
 米帝はこの間、日帝に対して野放図な景気浮揚策とそのための通貨増発を要求してきた。単に「内需拡大を」と要求するだけでなく、明確に通貨増発を要求してきたのである。日帝の国債発行に対しては国債の日銀引き受けを要求した。これは法律によって禁止されており、日銀が拒否したが、実際には日帝自身の景気浮揚策として既発国債の買い切りオペレーションを拡大することによって通貨増発が行われている。
 さらに米帝は、九九年秋の日銀によるドル買い円売りの為替介入に対しては、 不胎化政策をとらないように要求した。
 不胎化政策というのは、たとえば円高阻止のために日銀が百億jのドル買い円売り介入を行った場合には、ドルを買った分だけ市場に円を放出したことであり、今のレートでは一兆円強の通貨(円)が増えたことになる。その場合、政策的意図とは異なる通貨増発を避けるためには日銀が保有する国債などを売りに出してその分の円を市場から引き揚げるのである。これを不胎化政策という。非不胎化政策すなわち不胎化政策をとらないということは、日銀が国債の売りオペを行わず、為替介入で市場に増えた分の円をそのままにしておくことを言う。
 不胎化政策をやめることは、法律上は禁止されていなくても国債の日銀引き受けと同じ“禁じ手”なのである。日帝・日銀は今のところ“資金はすでに潤沢に供給されている”として米帝の要求を直接受け入れているわけではない。しかし、実際にはゼロ金利政策のために絶えず市場が必要とする額よりも一兆円以上余分に供給するようにしており、かなりの額で通貨増発が続いているのである。
 こうした日帝の政策の狙いが単に内需拡大による景気浮揚策だけにあるのではなく、最大の狙いが輸出の拡大による危機突破にあることは為替介入を見れば明白である。日帝は、貿易輸出の拡大で恐慌の突破を図るために円高を阻止しようと、必死の為替介入を続けている。だが、現在の円高の進行に対して日銀単独の介入では完全に限界にきている。
 米帝の日帝に対する通貨増発の要求は、輸出拡大によってではなく、内需拡大による景気浮揚政策をとれという要求である。その裏には日帝の大量の通貨増発によって世界経済危機を突破し、同時に日帝が大インフレとなり、円の価値を下落させることによってドル危機、ドルの暴落を防ごうというドル防衛の狙いがある。ここには日米帝の熾烈(しれつ)な争闘戦がある。
 また米帝経済は、すでに景気という点でも個人消費や住宅投資、企業収益にかげりが見え始めており、危機の爆発は時間の問題というところまで来ている。

 第1項 ドル体制崩壊の危機

 米帝は、ドルが基軸通貨であることをいいことに、膨大なドルを垂れ流しつつ経済の拡大政策を続け、その矛盾を他帝国主義や新植民地主義体制諸国に押しつける政策を強引に進めてきた。ドルが基軸通貨でありえたのは、単に経済的に米帝が最も大きいというだけではなく、米帝が戦後世界体制における支配的位置を占めており、特にソ連、東欧のスターリン主義体制崩壊以後は単独で対抗できるものがいないということの上に成立していたものである。強大な軍事力、政治力がドルを支えているのである。このことによって初めて一千億jを超え三千億jに迫る巨額の経常赤字を続けながら、ドルが基軸通貨であり続け、米帝経済が成り立ってくることが可能だったのである。
 だが、とはいっても野放図に経常赤字を続けられるものではない。すでに述べたようにドルの大暴落を不可避とする根本的諸関係が、構造的に巨大な規模で蓄積されているのだ。このドル体制が最後的に崩壊するということは、国際的な決済や為替などが大混乱に突入し、世界経済体制が崩壊することを意味している。
 米帝バブルの崩壊は、世界経済全体を二九年を上回る大恐慌の中にたたき込むことは明白である。激しい経済の収縮、出口の見えない大不況の中で帝国主義各国が保護主義を強め、世界経済が分裂化・ブロック化に突入することによって一層深刻な不況の中に突入していくのである。帝国主義は保護主義化すると同時に、世界市場の争奪をめぐって争闘戦がいよいよ抜き差しならないものとなり、結局は帝国主義同士のつぶし合いの世界戦争へと突入していく。今まさにそうした過程が始まっているのだ。

 第2章 日米争闘戦激化と日帝のアジア勢力圏化への策動

 第1節 「ゆるやかな改善」の実態は膨大な財政出動による小康

 日帝経済は、野放図な財政支出による景気浮揚策によって小康を保っているが、依然として深刻な危機を脱してはいない。経済企画庁が十二月六日に発表した七―九月期のGDP(国内総生産)は、年率に換算して三・八%の減である。「緩やかな改善が続いている」とか「底を打った」とか言っていたが、公共投資が息切れしたとたんに大幅なマイナスとなったのである。日帝経済が「自立的な回復に向かっている」などという現実はどこにもない。
 ここで明確にしておかなければならないことは、日帝経済は巨額の財政出動によってかろうじて支えられているが、それがなければ恐慌の一層の爆発が不可避な深刻な危機にあるということだ。しかもすでに国債発行残高が三百三十四兆円にものぼる(借入金と政府短期証券も含めた国の借金は今年度末には五百兆円を超える)中で財政的には完全に破綻しており、次に大きな危機があってもこれ以上の財政出動が困難な状況にある。
 この間の政府による恐慌対策は補正予算や銀行への公的資金による資本注入など、百二十兆円を超えている。これは年間の当初予算の一・五倍にもなる巨大な額である。十二月九日に九九年度第二次補正予算が成立した。これによって九九年度一般会計予算は八十九兆円余りとなり、今年度の国債発行額は三十八兆六千百六十億円で国債依存度は四三・四%となった。補正予算の予算規模としては六兆八千億円弱だが、総事業規模としては十八兆円程度になる。
 具体的に見ても、この間日帝経済をかろうじて支えてきたものは公共投資と住宅投資である。住宅投資については、それを支えてきたものは減税である。住宅減税は、九九年一月から二〇〇〇年十二月までの入居を条件に十五年間にわたって住宅ローンの額に応じて所得税を控除するというもので、さらに住宅金融公庫の金利上昇が抑えられたこともあり、四―六月期は前期比一六・一%という大幅な伸びを示した。この住宅着工の伸びは二〇〇〇年末までの入居に向けた駆け込み着工という面があり、完全に政策によってもたらされた一時的なものである。これが全体としての二期連続プラスを支えたのである。しかし九七年消費税率引き上げの時と同じように、駆け込み需要には必ず反動があり、税控除が切れたときにその反動が来る。すでに十月の住宅着工戸数は前年同月比マイナス〇・六%となっている。
 それ以外に経済の実体を見て、景気が良くなっているという現実はほとんどない。経済企画庁の九九年十一月の月例経済報告でも九月の実質消費支出は前月比マイナス一・九%と大きく落ち込んでいる。金持ち優遇の減税政策がなければもっと落ち込んでいることは明白である。この月例経済報告では、「アジア経済の回復もあって緩やかな改善が続いている」としているが、その輸出増加の実態はアジアの日本企業の子会社向けであり、基本的にはアジアからのアメリカ市場向け輸出に頼ったものである。
 九九年度上期(四〜九月)の工作機械受注は二七・五%という大幅な落ち込みである。日本興業銀行が昨年九月に実施した企業の設備投資計画の調査では三・一%の減少であり、政府の全力をあげた景気浮揚策にもかかわらず、先行きの景気落ち込みを示している。
 信用収縮も激しく進行している。九九年後半からは金融機関の貸出残高が六%以上減少している。九七年十一月の北海道拓殖銀行、山一証券の破綻によって日帝経済は金融恐慌に突入し、その後も日本長期信用銀行や日債銀などの金融破綻が相次いだ。現在では公的資金の投入で金融の全面的破綻は一応回避されているが、信用収縮は続いているのである。
 さらに今年二〇〇〇年は、資本によるリストラ・首切りが九九年以上に全面的に襲いかかって来ようとしている。昨年通常国会での産業再生法の成立で、設備廃棄のための優遇税制がとられ、損金処理の償却期間も五年から七年に延ばした。さらに臨時国会では産業再生法と一体でリストラ・首切りを進めるための民事再生法が審議されている。
 銀行など金融関係では、政府の資本注入によって体力を強化し、いよいよ不良債権を実際に売却して処理(損切り)する過程に突入する。これまでは基本的に不良債権の額に応じた貸し倒れ引当金を積み立ててきたにすぎなかったものを、担保不動産などを売却して処理する過程が本格的に始まるのである。これによって中小企業を始めとして借り手企業側の倒産が続出することが予想される。それがまた不良債権をさらに膨れ上がらせるのだ。また、銀行自身が巨大な合併と同時に店舗数を削減し、人員削減を強行するリストラの過程に突入する。
 こうしたリストラの過程で新たに一千万人近く失業者が出ると予想されているのだ。資本が生き残るためにその一切の犠牲を労働者に転嫁し、まさに日経連が公言していた二千万人失業時代を現出させようとしているのである。
 リストラによって企業収益は改善してもそれによって景気が良くなるわけではない。企業間のつぶし合いに生き残れたとしても、過剰資本の重圧から逃れることはできない。大量の労働者が失業することによって消費はさらに冷え込むからである。経済収縮の悪循環の中に突入するのである。
 次期通常国会に二〇〇二年の実施を目指してデノミ法案が出されようとしている。その本当の狙いは、一切の矛盾を労働者人民に押しつけるためのものである。デノミの目的は、円の国際化にあるといわれているが、それは表向きの目的であって、裏の狙いは、日帝の財政危機を突破するために超インフレ政策に踏み込もうとするものである。
 今日三百三十四兆円にもなる国債残高を均等に税金で取り上げるとすると一人
 15面につづく

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週刊『前進』(1939号15面1)

 米帝経済のバブルの崩壊が切迫本格化する大恐慌とブロック化

 戦争へと突き進む帝国主義打倒を

 島田 隆二

 14面からつづく

あたり二百七十万円を超える計算になる。それを、超インフレによって国債残高を実質的に何十分の一かにし、逆に労働者人民の賃金や退職金、なけなしの預金などを大きく目減りさせる形で一挙に「解決」しようとしているのだ。消費税率の引き上げなど、直接的に負担を強いる政策が激しい怒りを引き起こしていることを恐れ、先行的にデノミを決めておいて、究極的なインフレ政策で労働者人民に一切の犠牲を転嫁する政策を陰謀的に行おうとしているのだ。
 今、米帝のバブル崩壊が起これば日帝経済はひとたまりもない。その時の財政出動のためには、結局のところ国債の日銀引き受けに踏み込む以外にない。米帝バブルの崩壊が間違いないという中で、日帝はこの政策に踏み切る決断をしたということなのである。野放図な赤字財政と天文学的な借金の累積が行き着く先は、大増税とインフレ政策と戦時財政以外にないのだ。

 第2節 円の国際通貨化図りアジア侵略を強める日帝の絶望性

 さらにはっきりさせなければならないことは、大恐慌とブロック化の深まりの中で、日帝がアジア勢力圏化の策動を絶望的に展開していることである。
 日帝は、米帝が帝国主義世界支配体制のためにスターリン主義との対峙・対決による負担を抱えている間に資本間の競争力において優位を図ると同時に、アジアへの直接投資を拡大しアジアを勢力圏化する策動を展開してきた。
 日帝資本による海外直接投資は、米帝からの八五年プラザ合意以降の円高攻勢と貿易摩擦が激化した八〇年代半ばから急激に増加している。その中でも、金額及び件数という点では米欧向けが大きくなっているが、比率としては下がっていてもアジア地域への投資も急増している。この比率も、製造業と非製造業を分けて、製造業についてみればアジア地域の割合が一層高まる。しかも米欧への直接投資が貿易摩擦を回避するために輸出から現地生産に切り替える動きであるのに対して、アジア地域への直接投資は、円高でのコスト高を避けるために労賃の安いアジアに生産拠点を移し、米欧市場へ輸出しようとするものであった。
 こうした動きは、八九年のバブル崩壊以降はいったん減少するが、米帝からの第二次円高攻勢によって一j=一六〇円から一j=七九円になるという急激な円高の中で、再びアジアへの直接投資が急増した。しかもこの段階では、一企業の生産工程の一部がアジアに移転されるという水準ではなく、自動車や電機産業を始めとして下請けから関連企業まで含めて移転するという劇的なものとして進行した。米帝からの円高攻勢は為替戦争というべき激しい争闘戦であったが、日帝はこれに対してアジア侵略・アジア勢力圏化によって帝間争闘戦に勝ち抜こうとする道をはっきりと据えたのである。
 だが、これだけでは決定的に不十分であることを突き出したのが、九七年アジア経済危機と米帝からの金融を武器とした攻勢であった。
 日帝は九七年アジア経済危機の爆発に対して、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国が提案したアジア通貨基金(AMF)構想を積極的に進めようとし、当時の三塚蔵相が「円の基軸通貨化を目指す」と発言した。米帝は、「IMF(国際通貨基金)の役割を弱くする」として反対し、この構想をつぶした。
 この段階から日帝は、円を国際通貨としてアジアのブロック化を目指す策動に完全に踏み込んだのである。九八年十一月のG7(七カ国蔵相・中央銀行総裁会議)で新宮沢構想を表明し、三百億jの枠で融資を行うことを明らかにした。その後九九年五月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)蔵相会議でこの新宮沢構想に新しい手法を取り入れ、アジア各国が発行する国債二兆円相当を部分保証する構想を打ち出した。
 そのために日本輸出入銀行と海外経済協力基金を統合した国際協力銀行を設立し、設立にともなう新法で外国の政府や関連機関が発行する債券の保証ができるようにした。その第一弾としてフィリピンに三億j程度の円建て外債(サムライ債)を決めようとしている。日帝・大蔵省は、円建て外債が円の国際化にもつながるとして他のアジア諸国に呼びかけて推進しようとしている。また、アジアの中小企業支援の名目でタイなどに対して国際協力銀行が各国政府などとともに出資する形で投資基金を作り、各国の中小企業の株式や劣後債に投資する仕組みを作ろうとしている。アジアの資本市場での日帝の支配力を強めるために下請け企業を維持しようとしているのである。
 さらに日帝は九九年四月のIMF暫定委員会や五月のAPEC蔵相会議で宮沢蔵相が、アジア諸国に対して通貨のバスケット制の導入を呼びかけた。通貨バスケット制は、その国の通貨をドルや円、ユーロなどの複数の通貨と連動させるというもので、貿易や資本取引の比率に応じて加重平均した値と自国通貨を連動させようとするものである。これまでのドルペッグ制、ドル連動性から、ドル、円、ユーロなどの通貨との連動性になる。これは、通貨・為替の安定を図るということで提案されているが、その狙いは円の国際通貨化にある。
 日帝は、アジア勢力圏化に向けて円をアジアの国際通貨とし、円圏を形成しようと策動しているのである。アジア通貨危機によって、敗戦帝国主義としての日帝が、その戦後的制約を突破し切れていない中で、アジア勢力圏化を実体的に進めていくためには円を軸とした通貨ブロックの形成こそが必要であるとしてこれを推進している。日帝のアジア侵略は新たな段階に入ろうとしているのだ。
 十一月二十八日、ASEANと日中韓の十三カ国がフィリピンのマニラで首脳会議を開き、経済と安保で協力を強化するという共同宣言を発した。この十三カ国はかつて行おうとしたEAEC(東アジア経済協議体)そのものである。EAECは、当初はEAEB(ブロック)だったものをEAEC(コーカス=協議体)に変えたが、結局米帝のAPECを軸にすべきであるという介入によってつぶされたという経緯がある。日帝は会議名を明確にしないで実質的にEAECを推進し、ブロック化への基礎を形成しようとしているのである。
 しかし日帝がどんなに円圏化を策したとしても、政治的・軍事的な裏付けなしに円が地域的なものとしても、基軸的な国際通貨となることはない。日帝の円の国際通貨化、円を軸とした通貨ブロック形成の策動は、日帝の軍事的衝動、帝国主義軍事力の形成の衝動を一挙に強めるものである。しかしこれは、日米争闘戦を決定的に激化させるものとならずにはおかないのだ。日帝のアジア侵略、アジア勢力圏化の道は絶望的であり、破滅的である。それゆえに最後は凶暴に突進することになるのである。
 第項 ユーロ登場の衝撃性
 九九年一月一日、欧州連合(EU)加盟国のうちの十一カ国が単一通貨としてユーロを導入した。ユーロ誕生の意味はきわめて重大である。その核心は、ドルに対抗する、あるいは対抗しうる可能性のある国際通貨が登場したというところにある。当面のユーロの為替相場がどうであれ、ドル危機が不可避となっている中でドルに対抗しうる通貨が登場したことは、基軸通貨としての絶対的な地位に安住してきたドルの暴落への留め金を外す意味を持っているのである。(ユーロ誕生の意味とEU経済の現状については本紙一九三六号西塚論文参照)

 第3節 帝国主義資本の支配下でのアジアの自立的発展は幻想

 アジア経済についてはどうか。現在、アジア各国の経済が回復しつつあるといわれているが、基本的に米帝市場への輸出に頼ったものであり、アジア経済危機の爆発にみられた本質的な問題は何も解決していない。今回の深刻な恐慌の中で示されたものは、外資依存の輸出志向型工業化の歴史的な行き詰まりである。「アジアの自立的な発展」なるものが幻想でしかなく、根底にある帝国主義と新植民地主義体制という関係はより決定的に強められているのである。
 一時期、アジア経済が自立的な発展の過程に入っており、世界経済発展の牽引役になるなどとブルジョアジャーナリズムでよく言われた。だが、本質的には日帝を始めとした帝国主義諸国が争闘戦に勝ち抜くために、労賃の安いアジア諸国に生産拠点をつくるということがあって、アジアの工業化が大規模に行われたのである。
 帝国主義大企業の系列下で独自の企業が起こってきたとしても、基本的には下請け、系列企業であって、帝国主義資本の支配が貫かれている。また、商品の輸出という点でも帝国主義諸国への輸出を主要な目的としたものであり、アジア市場だけではとうてい吸収しきれない巨大な生産力が形成されているのである。アジア諸国の域内貿易が増えているが、全体を構造的にみれば、やはり米、日、欧の帝国主義諸国向けの輸出のために生産力が形成されているのである。
 だが、帝国主義各国からの直接投資が続くことによって高成長が続き、そのことによってアジア各国の独自的な発展が開始されたかのように現出し、さらには短期の投機的な資金もかなりの規模で流れ込み、バブルを発生させるに至った。しかし、やはりアジアの自立的な経済発展が開始されたのではなく、アジア諸国の経済構造そのものがIMFを媒介とした統制・支配も含めて基本的に帝国主義資本による支配という構造を持つものであることはなんら変わっていない。
 なぜこの点を強調しなければならないのか。それは、帝国主義の新植民地主義体制諸国に対する支配のもとにおいてはそれらの諸国に本質的な意味で自立的な経済的発展があるわけではなく、結局帝国主義支配を打倒してプロレタリア世界革命の中で共産主義社会を建設する以外にないということを、今こそ明らかにしなければならないからである。恐慌の爆発の中で日帝を始めとして帝国主義各国がアジア諸国の低賃金を利用してアジアの生産で帝国主義市場に輸出することを追求している。さらにアジアの資本市場の支配を狙って企業買収が続いている。しかし、それによってアジアの発展があるわけではなく、労働者に対する強搾取の中で帝国主義が超過利潤をむしり取っていくだけなのである。

 第1項 中国WTO加盟合意の米中の狙いは何か

 こうした中で米帝と中国スターリン主義が中国のWTO加盟をめぐって合意したことはきわめて重大である。米帝は、対日争闘戦を基底に据えながら、朝鮮・中国―アジア侵略戦争を構えており、北朝鮮スターリン主義への戦争策動を強めている。北朝鮮に対して侵略戦争を強行し、スターリン主義体制を転覆することは、中国のスターリン主義体制の転覆という問題を本質的に突きつける。米帝の対中国政策には体制転覆と侵略戦争の強行ということが貫かれているのだ。
 米帝のユーゴスラビア侵略戦争における中国大使館の意図的な「誤爆」は、中国スターリン主義に対して米帝軍事力の強大さを突きつけるものとして強行された。WTOをめぐる米中交渉は、この事態をどう「処理」するのかということを含めて米中関係がどうなるのかという問題としてあったのである。
 WTOの米中合意それ自身は、米帝が中国の大幅関税引き下げ、農産物輸出補助金の廃止、外資規制の大幅緩和などを認めさせたが、ある意味ではそれ以上に米帝(NATO軍)の中国大使館爆撃事件がありながら、中国スターリン主義に対して対米関係修復を承認させたことの意味が大きい。米帝は中国スターリン主義に対して侵略戦争の恫喝を加えながら米帝支配への屈服を迫っているのだ。
 今回のWTO中国加盟の米中合意は、中国スターリン主義にとって、中国市場全体を帝国主義資本に明け渡し、中国全土を「経済特区」と化すという点で決定的な踏み切りである。それは国有企業を始めとした中国の国内産業が次々と倒産し、膨大な失業者があふれ出し、体制崩壊につながる危機をはらんでいる。だが中国スターリン主義は現在の中国経済が抱える危機を突破するために、あえて帝国主義資本を呼び込もうとWTOという帝国主義(米帝)支配のための世界貿易ルールへの加盟と外国資本への大幅な規制緩和に踏み込んだのである。
 中国経済は、対米輸出の一定の拡大が見られるが危機の深刻さはまったく変わっていない。九九年前半期の輸出は、前年同期比四・六%減と大きく減少した。九〇年代半ばには二〇%以上の伸びを示していたことからすれば、きわめて深刻な落ち込みである。さらに、外資の直接投資は広東国際信託投資公司の破綻などもあり、前半期は一九・九%減と激しく落ち込んでいる。中国政府が財政支出による固定資産投資を前年同期比二二・七%増と大きく増やして何とか危機をしのごうとしているものの、他のアジア諸国の通貨が切り下げられたことによって輸出競争力が失われており、経済危機の爆発は避けられないのである。

 第3章 市場争奪戦の激化と保護主義−ブロック化の画期

 第1節 WTO閣僚交渉の決裂に示された保護主義の強まり

 WTO閣僚交渉の決裂は、戦後史の歴史の歯車が大きく一回転したことを意味する決定的な事態である。
 WTOは、ガット(関税と貿易に関する一般協定)を格上げする形で九五年に発足した。IMFと並んで帝国主義世界経済体制の軸をなすものである。今回の交渉は、WTOが発足して初めての次期多角的貿易交渉の枠組みづくりのためにもたれた。だがその交渉が、「反ダンピング(不当廉売)措置」「貿易と労働基準」「農業分野」をめぐって交渉がまとまらず、ついに決裂するに至ったのである。
 反ダンピング措置の乱用防止問題とは、輸入国政府によるダンピング課税の乱用を防止するためにWTO協定の改定を求め、米帝のスーパー三〇一条発動に歯止めをかけようとするものである。これに対して米帝が対抗的に出してきたものが貿易と労働基準の問題であり、新植民地主義体制諸国から低賃金による安価な商品が輸入されることに対して、そうした国の労働基準を問題としてその国に対して制裁を加え、商品を排除しようとするものである。
 米帝は、鉄鋼などの国内の基幹産業を守り抜こうと保護主義を強め、スーパー三〇一条に続いて「労働基準」を持ち出して他国の商品を排除しようとする一方で、自らが比較的優位にある農業やサービス分野(金融や運輸、情報通信など)については強固に自由化を要求している。特に労働基準の問題については日帝がアジア諸国に生産拠点を置き、対米輸出してくることに対して日本製品を閉め出すだけでは完全に不十分な状況となったことに対応して対抗的に持ち出してきたものである。
 一方日帝は、鉄鋼をめぐる米帝のダンピング認定に対してWTOに提訴するなどしてきたが、今回の交渉では、反ダンピング措置見直し問題を宣言案から削除するよう、クリントンが小渕に直接電話で要求したにもかかわらず拒否した。また欧州連合(EU)は、農産物の輸出補助金削除問題について米帝の要求を拒否して農業分野での合意を阻止した。
 今回のWTO閣僚交渉では米帝は完全に孤立に追い込まれていた。新植民地主義体制諸国は、これまで米帝のダンピング提訴によって輸出削減を強制されており、さらに「労働基準」を口実に制裁を加えようとする米帝の提案、さらには帝国主義間で交渉をまとめて新植民地主義体制諸国に押しつけるという一貫したやり方に怒りを深めていたのである。これに対して米帝は各個撃破的に屈服を要求したが、それが困難とみてついに交渉を決裂させたのである。
 新ラウンドをめぐる交渉は時間をおいて再開するとしているが、事態はそう簡単ではない。米帝バブルが崩壊すれば交渉が完全に困難となり、WTOそのものが崩壊する可能性が強い。WTOが崩壊するということは、帝国主義世界経済が米帝を軸とした統一性を最終的に失い、日帝、欧州帝を対抗軸とした分裂化・ブロック化に完全に突入するということである。すでに米帝が激しく保護主義を強める中で、WTO交渉が決裂したこと自身の中に、歴史が完全に次元を画し、分裂化・ブロック化に向かって分水嶺(ぶんすいれい)を越えたことが示されたのである。
 保護主義とブロック化への突入が世界恐慌を決定的に深刻なものとしていくのである。

 第2節 巨大な過剰資本・過剰生産力の重圧と強まる大失業攻撃

 今日、帝国主義世界経済は二九年型世界大恐慌の本格的な爆発の危機に直面しているが、その根底に解決不可能な過剰資本・過剰生産力の問題があることをはっきりとさせなければならない。
 すでに帝国主義世界経済は七四、五年恐慌をとおして過剰資本・過剰生産力の矛盾にぶちあたっていた。だが、そうした中でも帝国主義各国は資本間の競争に向けてアジアや中南米に生産拠点を移す過程を進めてきた。特に日帝については、八五年以来の米帝による為替戦争ともいうべき円高局面に対して、アジアに生産拠点を移して対応してきた。米帝との通商摩擦の中で多くの産業が直接北米に生産拠点をつくったが、その一方では労働賃金の安いアジア諸国に生産拠点を形成していったのである。一方、米欧帝もアジアや中南米に生産拠点を建設している。これらが過剰生産力として上積みされる形で形成されているのである。
 具体例をいくつか挙げれば、自動車については、米自動車業界の調査機関による調査では、世界の自動車生産能力が七千二十五万台なのに対し、実際に販売された台数は、四千九百四十万台にとどまっている。二千万台以上が過剰な生産能力となっているのだ。
 鉄鋼については、通産省が九九年六月にまとめた「素材産業構造問題研究会中間報告」では、「現在の生産設備の見直しが行われなければ、二〇一〇年にはまだ千七百二十三万dの生産能力が余剰として残る」と予想している。全産業でこうした過剰生産力になっているのだ。
 だがこれすらも現在の需要と供給の間にどれだけのギャップがあるかを示すものにすぎず、実際には恐慌が一層深刻化すれば需要の落ち込みはさらに激烈になる。こうした数字の比ではなく、現在の生産力の大半が過剰生産力なのである。
 現在、日帝資本は過剰設備の廃棄を進めようとしているが、それは資本間の競争にうち勝つためのリストラ・大失業攻撃であって、それ自身が過剰資本の問題を解決するものではない。不可避に資本間の競争、帝国主義国家間の死闘戦へと発展していくものなのである。

 第1項 独占形成と企業連合

 こうした中で日米欧にわたるかつてない規模での合併と統合、買収などによる巨大独占形成の動きが全産業にわたって全面化している。
 具体例を二、三あげれば、金融をめぐっては九五年に合併でチェース・マンハッタン・コープが成立したのを契機に九七年にスイス・ユニオン銀行(UBS)グループ、九八年米シティグループの再編、さらにはドイツ銀行による米バンカース・トラストの買収による米独をまたぐ巨大銀行の登場と続いた。さらにフランスではパリ国立銀行とパリバの合併、イタリアではバンカ・インテーザがイタリア商業銀行を買収してイタリア最大の銀行となっている。日本でも九九年八月の興銀と富士、第一勧銀の統合発表に続いて十月には住友銀行とさくら銀行が、巨大な不良債権を抱えたままで二〇〇二年四月までに合併すると発表した。
 自動車ではドイツのフォルクスワーゲンがイギリスのロールスロイスを買収し、ドイツのダイムラー・ベンツがアメリカのクライスラーと合併し、米フォード・モーターがボルボの乗用車部門を買収し、ルノーが日産を傘下におさめた(提携)。さらに資本参加による系列化が進んでおり、最終的には世界で五社しか生き残れないといわれている。
 このほかにも石油や電機、鉄鋼、化学など全産業で再編が進んでいるが、ここでは海運業界の例を挙げてみよう。世界の海運業界では、協調配船や相互の船腹スペースの交換を通じてアライアンスと呼ばれる企業連合が形成されている。日本郵船系のザ・グランド・アライアンスと商船三井系のザ・ニューワールド・アライアンス、川崎汽船グループ、マースクグループなどがある。九七年にはアライアンス間で再編が起こった。
 ここでの特徴的な事態として、コンテナの取扱量で世界四位である中国の国営海運会社・中国遠洋運輸公司(COSCO)が、どこかのアライアンスに取り込まれなければ北米航路での運賃下落に歯止めがかからないという懸念の中で川崎汽船グループに入った。アライアンスは市場を支配する力によって競争者を屈服させ、独占価格を実現しようとしているのである。こうしたアライアンスは、航空業界でもつくられており、航空業界の企業連合は米企業が主導している。まだアライアンスに入っていない企業もいずれ入らざるをえないと見られている。
 合併や買収は、自動車のダイムラー・クライスラーにみられるように世界的な生き残りをかけた競争の中で市場制圧力を持つために展開されている。米ゼネラル・モーターズは、独オペルを子会社化し、いすゞや富士重工を傘下におさめることによってヨーロッパやアジアでの展開力を持とうとしている。フォードは英ジャガーを子会社化し、ボルボの乗用車部門を買収し、マツダを傘下におさめることで世界的展開の体制を築こうとしている。全産業で全世界的な巨大独占体制が築かれ、独占による市場支配がつくられようとしているのである。
 だが、その行きつく先はリストラと大失業であり、戦争なのだ。

 第3節 米・日帝国主義による朝鮮・中国侵略戦争の歴史的切迫

 資本による生き残りをかけた激烈な死闘戦が展開される中で、同時に帝国主義各国政府による法改悪を含めた国家的な支援のもとに独占体制を形成していこうとする動きが強められている。
 アメリカでは、十一月十二日に米金融改革法が成立し、銀行と証券の兼業を禁止していたグラススティーガル法が廃止され、銀行と証券、保険業の一体化が全面的に可能となった。これまでも証券収入が銀行収入の二五%以下であれば認められており、すでに八〇年代以来一体化が進行していたが、これが全面的に展開されることになる。
 日帝はすでに金融持ち株会社を合法化しており、世界的に金融の再編が進む中で市場争奪戦をかけた競争力の強化に向かって一層の再編が展開されようとしている。金融の強化は、資本市場をめぐる制圧戦にとってその勝敗を決する資金力の問題であり、そこに向けて日米帝はそれぞれ戦後的な歯止めをはずしたのだ。
 ドイツ政府は、英携帯電話大手ボーダフォンの独複合企業マンネスマンの敵対的買収に介入してこれを阻止しようとした。マンネスマンは監査役会で買収拒否を決定したが、ボーダフォンは株主工作を開始している。一方逆にマンネスマンは英オレンジに買収提案を出している。資本と市場の制圧に向かった熾烈(しれつ)な買収合戦が繰り広げられているのであり、それを国家が露骨にバックアップしているのである。
 最近のユーロ安はこのドイツ政府の政策に対する「ドイツ資本主義売り」ともいわれており、通貨戦争の様相を呈しつつある。
 このように帝国主義は資本市場、商品市場などの制圧に向かって全力を挙げて独占体制を形成しようとしている。特に資本市場という点ではアジアが一つの焦点となっており、さらに全世界の新植民地主義体制諸国が争奪戦の戦場となっているのである。そしてそれが単に資本の動きとしてではなく、帝国主義各国の政府による全面的な支援のもとで資本間の競争が展開されている。しかも帝国主義各国は、米帝の北米ブロック形成の策動、EUのユーロ導入をてことしたブロック化の策動、日帝の円のアジアの国際通貨化とアジア勢力圏化の策動という形で完全にブロック化の策動を開始している。九七年アジア経済危機による二九年型世界恐慌過程への突入の中で帝国主義間争闘戦はいまひとつ新たな段階に突入したのである。
 まさに二九年型世界大恐慌の危機とブロック化の急進展の中で、レーニンが『帝国主義論』で解き明かしたとおりの事態がより大規模に進行している。帝国主義が帝国主義である限り、ロシアや残存スターリン主義の中国を巻き込んだ世界市場の支配と奪い合いをかけた世界戦争は不可避なのである。米帝・NATOによるユーゴスラビア侵略戦争、東ティモールへの多国籍軍派兵は、そうした帝国主義による世界分割をかけた侵略戦争の時代が始まったことを告げ知らせている。その最大の焦点がアジアであり、米日帝の朝鮮・中国侵略戦争の歴史的切迫なのである。
 この帝国主義による侵略と戦争の時代は、世界革命によって帝国主義を打倒しない限りいかなる出口もないものである。今こそプロレタリア世界革命の旗を高々と掲げ、「連帯し侵略を内乱へ」の闘いを実践し、反帝国主義・反スターリン主義世界革命へ闘い抜こう。

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週刊『前進』(1939号16面1)

 9めんからつづく

 長谷川さんを国会へ

 新春対談 長谷川英憲/西村綾子

 国会と国政を変える闘う議員を

 介護は全額公費で!

 第3節 都労連、沖縄に敵対のカクマル

 西村 ガイドライン国会闘争や都労連をめぐって、敵がすごく見えてきましたね。
 長谷川 五・二一の五万人集会の時のカクマルのゼッケンは、胸に「ガイドライン反対」、背中が「国労つぶせ」でしょ。そしてJR総連が、ついに「軍需物資輸送は自衛隊法上JRはやらなくてはならない。自分たちはそれを担う」と、正式に大会で表明した。ガイドライン下で、あらゆる勢力に戦争に賛成するのか反対するのかが問われた時に、彼らは「賛成だ」と言い切った。
 都労連の労働者は、東京の港の軍事使用は基本的に反対ですからね。今年九月の「七都県市防災訓練」で、陸海空三自衛隊を動員し首都圏を軍事化する本格的な三軍統合演習をやるとなったら、都労連は見過ごすわけにはいかない。
 つまり賃金闘争や福祉切り捨てに対する労働組合の闘いが強められれば強められるほど、はっきりと戦争反対になる。するとカクマル=JR総連は、連合の中でも最先頭に立って戦争協力するわけですから、相入れない。
 西村 カクマルは絶対に民衆の決起を信じないですね。沖縄でも怒りの的でした。
 長谷川 沖縄でカクマルは、「『県内移設反対』に反対」でしょ。みんなが怒るのは当然です。
 西村 「大田知事のしり押しナンセンス」とかね。ここには権力で弾圧できるという大衆蔑視(べっし)がある。「負けてたまるか」「見くびるんじゃないよ」という労働者魂、労働者の階級性をとことん信頼したいと思います。
 長谷川 そういう労働者階級としての常識、根本的な立場を、今の既成政党はすべて失っている。共産党は、そもそも石原都政をまったく批判しない。彼らは、「公務員なのに仕事を投げて闘うとみんなから批判される」と、労働者とは逆の立場でストライキを否定している。だから、「労働者が闘って、それに全体が団結して闘えば、敵を押し返すことができる」とは宣伝しない。闘う路線をめぐる共産党との対決が重要です。
 共産党は石原が知事に当選した時、「石原のこれまでの言動は批判しない」と表明した。なぜかと言えば、「選挙で選ばれた知事なんだ」と。これは「日の丸・君が代」につうじている。“法律に定められたなら従います、みんなが選んだ知事だから尊重します”というわけです。石原と対決する姿勢、危機感はまったくない。
 石原の主張と共産党の綱領はそっくりです。アジアで円圏をつくれというのが共産党の主張ですが、石原もまったく同じ。それと対米従属の打破。なんと石原の施政方針演説に対し都議会共産党は正式に「基本的に異論はない。同感である」と言ったのです。
 私たちは既成政党を超えて新しい政党をつくる、新しいうねりをつくらなければなりません。

 第3章 介護保険は戦争のための福祉の切り捨てと大増税

 西村 介護保険制度の問題が、みんなの不安と怒りの頂点ですが、私は、財政問題できちんと反論していく必要があると思う。大企業に税金を湯水のように注ぎ込む一方で、労働者を切り捨てて「受益者負担」というわけです。
 長谷川 介護保険制度では四兆三千億円の半分を税金で、残り半分を保険料で賄う。今まで国の財政で出していた四兆円のうち半分を、新しく保険料として、あるいは自己負担などの名目で取ろうってことなんです。
 杉並で介護保険制度の説明会を区がやった時に、ある会場で、「『高齢化社会のために』とか『老人福祉のために』と消費税をつくっておいて、なんでこの保険料を取るんだ。ちゃんと説明しろ」という声が区民から出た。
 いま消費税は国が四%、地方が一%の割り振りになっていて、国は約十兆円の税収になる。高齢者の医療、介護のための政策に八兆円くらいですから、介護はそのうちの半分の四兆三千億円くらい。
 だから「消費税はどうしたんだ」というのは、まったく正しい大衆的追及だと思うんです。もとより消費税は撤廃あるのみですが、西村さんが前から「人頭税」と弾劾しているように、これはまったく新しい大衆的な税収奪、大増税です。
 西村 私は、なぜ介護保険制度なのかという大もとに、経済的危機を戦争と労働者への大失業攻撃でどうにかのりきっていこうという狙いがはっきりあると思います。憲法二五条も踏みにじる。
 介護保険制度はどう手を入れても、よくなりようがない。介護保険という制度そのものが、結局、受けた介護の量を全額すべての人が担うという逆転した保険料の計算です。共産党は、始まってからよくすればいいと言いますが、よくすればするほど保険料が高くなるわけ。しかも今現在受けている介護のサービスの水準さえも維持されない。じゃあどうなるのかと言ったら、九割の人は掛け捨てです。
 昨年末の臨時国会で六十五歳以上の一号被保険者は保険料を半年間凍結、その後一年間は半額などと言われましたが、こんなあめ玉は選挙対策。労働者民衆の犠牲を百も承知で強行して、選挙に勝てないかもしれないと言うなら、今の国会議員の皆さんには辞めていただきましょう。
 長谷川 今言われた大衆収奪、大増税という点は非常に重要。保険料は将来もっと上がります。もともと介護基盤四割で、それを十割にするためには、単純に計算しても保険料が二・五倍になる。
 昨日もある人に、「保険料は将来上がるんですよ。単純計算で二・五倍になる。今は三千五百円だから、倍の七千円から一万円近い保険料になるかもわかりませんよ」と言うと、「それは困る」という話になった。
 それから今までよりもよくなるのかという点なんですが、絶対に悪くなる。例えばヘルパーさんに家事介護に来てもらっているお年寄りが、五b歩ければ自立だということで介護保険の対象ではなくなる。保険料は取られて、介護は受けられない。それで自分でヘルパーを雇うと一時間千五百円、一日二時間、週三回で月に四万円近い負担になる。
 西村 負担できないですよね。
 長谷川 できないですよ。それで権利はむしり取られる。介護サービスをしようという会社が雨後のたけのこのように出てきていますが、お金のある人はともかく、ない人は大変。
 西村 女性の立場から言っても深刻です。介護保険制度は、家庭で介護している女性の負担を緩和するなどと言いながら、現実にはお金がなければ介護を受けられません。いわゆる施設介護制度は後景化し、ますます家庭での介護、在宅介護中心です。誰がそれを担うのか、女性なんです。
 相模原で福祉講座をやった時に、ある人が、「戦前は福祉がなかった。戦争と福祉は切っても切れない関係で、平和の時にしか福祉はないんです」とおっしゃった。特に日本型福祉論で、亀井静香のように「日本の美風だ」と言って一切合切が女性に押しつけられてくることについては、絶対にとんでもないと思います。少なくともこれまでの高齢者対策事業は、国の義務であることが憲法にうたわれています。その高齢者対策事業を充実させるためには、介護保険絶対中止以外にない。

 第1節 介護保険成立の流れ作った日共

 長谷川 介護保険は何回も国会で流れた経過がある。それが九七年に国会で成立したのは、共産党が「反対はするが、採決することはいいですよ」と態度を変えたことが決定的だった。
 先ほど話に出た「半年間凍結」に、共産党は「自分たちの主張のとおりになった」と賛成した。彼らは介護基盤が充実するまでは保険料凍結を主張していて、その提案に沿ったものだから賛成、と。これは民主党も含めて選挙目当て。今年十月までの衆院議員の任期中は保険料を取らない、批判はかわせる、という見え透いた手口です。
 補正予算がらみで、自自公がガタガタの状況があるわけですが、この介護保険反対を貫いて、これが大衆闘争として爆発するという状況になれば、連立政権をぶっ倒すことは不可能じゃない。
 西村 本当だったら、連日国会を取り巻いて中止を求めるデモがあってもしかるべきですよね。
 長谷川 今、杉並でも相模原でも東大阪でも、介護保険ストップの署名運動が始まっている。これは国会を取り巻く闘いに上り詰めていく運動です。もし中止できなくて始まったとしても、ますます矛盾が現れてくる。本の対談で、桜井善作さんが「必ず一揆(いっき)が起きますよ」と言っているのは、リアリズムがあります。
 西村 婦民が呼びかけて十二月九日に介護保険制度の二〇〇〇年四月実施中止を求める申し入れを小渕首相あてに行いました。一緒に参加した「障害者」が、遅くとも五年後には「障害者」にも適用されようとしている介護保険制度は、施設への隔離を打ち破って闘いとってきた地域自立生活の保障が切り捨てられ、文字どおり生きていけなくなると、切実な現実を訴えました。そもそも高齢者にとってよくない、「障害者」も四十歳以上の人も介護労働者にも、四月実施中止、制度の廃止以外ありません。
 長谷川 女性団体がそういう声を上げるというのは本当に大事です。一気に運動が広がっていく引き金になると思います。労働者の家族の問題ですから、本来労働組合が介護保険反対でストライキをやるべき問題です。介護保険も年金改悪も、福祉の根本的な転換だ。国や大企業の負担を徹底的に切り縮めて、労働者に矛盾を集中するやり方が一斉に出ている。
 今、年金法改悪が国会でも大問題になっていますが、年金問題は介護保険と同じ大問題。今回の改悪案は、支給開始年齢を二〇二五年までに六十五歳に遅らせ、今年四月からは報酬比例部分の支給額が五%減り、賃金スライドも行われないというものです。
 世論調査でも、八割から九割が老後に不安と出ています。労働者はもう生きていけないわけです。
 西村 私たちの世代までは、基礎年金部分の支給年齢引き上げをやった。今度出ているのは報酬部分の年齢引き上げでしょ。
 でも実際には五十五歳とか五十八歳で早期退職、リストラ攻撃です。六十五歳までどう生きろというのか。相模原の場合、その世代の就職率はわずか二%です。
 介護保険の被害者は、なかなか声を届けられない人です。高齢者で介護が必要な人は、自分で抗議を示せるでしょうか。それができないから介護が必要なわけです。
 だけど今、国家が戦争へ進むために、私たち労働者や民衆の生活といのちをないがしろにし、勝手に死ねと言っているわけです。そういう国家は私たちのものじゃない、そんな国はなくなっていい。
 長谷川 では、われわれはどういう社会を求めるのか。私は、「生活と住宅・医療・介護・子育て・教育で苦しむことのない社会、差別のない、ともに生きられる社会、平和な社会をめざします」というスローガンを出しました。今度の選挙で、みんなが力を合わせる内容です。これを実現するには石原都政のやり方を徹底的に批判して、この内容で党派選択を迫っていきます。

 第4章 大失業・戦争・有事立法・改憲と体を張り闘う

 西村 本当に今度の総選挙は、選挙自体が天下分け目の大決戦。私たちに選挙でどういう人を選ぶのかが問われています。最後に、二〇〇〇年決戦、とりわけ衆議院選挙への決意をお願いします。
 長谷川 戦争に向かう国家が、大失業、大リストラ攻撃をかけてきている。これは介護保険制度の導入、年金法改悪攻撃も一体。「平和・くらし・福祉・教育・いのち」を全面的に守るために全力で闘います。特に介護保険反対を中心に今度の衆院選を闘います。ここには労働者民衆のものすごく大きな関心と怒りがある。
 同時に東京八区現職の石原伸晃も、この問題を据えてきている。彼は自民党の中で「介護保険突破議員連盟」を呼びかけて、介護保険を絶対手直ししないでやるべきだという立場で選挙に臨もうとしています。石原伸晃とがっぷりよつに渡り合って、介護保険制度をやられていいのかということが党派選択の内容になる。昨年四月の統一地方選以来練り上げてきた課題で勝負するには、むしろ絶好の闘いだと思います。
 新しい動きが区内で起こっています。四月の都議補選の二万三千七百六十二票を基盤にしながらも、八万票を争う選挙ですから、やりがいがあり、必ず勝てる闘いをやりたい。今までの延長上には勝利はない。ですからぜひ、この『介護は全額公費負担で』を一人でも多くの区民に読んでいただきたいと思います。
 排外主義をまき散らし、大衆を扇動していこうという石原慎太郎と闘うことに、日本の労働者階級人民が進むべき道である沖縄との連帯、アジア人民との連帯がかかっている。ここでやりきることができたら日本帝国主義を打倒できる。リーフレットで打ち出した社会をみんなでつくり出すことができる。この本のすべての内容を持ち込んで勝負します。
 さらには、ついに有事立法・改憲攻撃が噴き出した。この動きに石原も呼応して十二月一日、「間違いの多い前文を改めるためにも国会議員の三分の二の賛成がいる。こんなまだるっこいこと、できっこない。憲法は破棄したらいい」とごうまんにも言い放った。
 次期総選挙が有事立法・改憲をめぐる一大階級激突の場となることは不可避だ。二〇〇〇年決戦そのものとして闘いぬく決意です。
 そして、すべての既成政党と渡り合って闘い、杉並でこの衆院選に勝つことをとおして、本格的な労働者党、本格的な大衆的な基盤をもった党として登場する。
 戦争が近づく中で、北朝鮮に対する排外主義的決議が議会に出されたり、あるいは在日朝鮮人学校に対する援助打ち切りが公然と行われるなど、労働者階級に分断を持ち込む攻撃が起こっています。これを絶対に許さないで闘った時に初めてこの社会を変えていくことができる。それを真っ正面から訴えていく。
 日帝の今の攻撃はすべて、これまでの国家のあり方を変え、戦時体制を築こうとする攻撃です。労働者階級を軸にすべての階層の人たちが団結して闘えば、必ず勝てることをはっきりとさせたい。それは都労連の闘いや沖縄の闘いに示されています。既成の政党をここでのりこえていく。
 私の当選で国会と国政に革命を起こす決意です。
 西村 このままではがまんできないという怒りが噴出していますから、この怒りを票として獲得し、大きな力を生み出しましょう。必勝を期して闘いましょう。

 〈写真〉 長谷川さんの出版記念会
 十二月五日、長谷川英憲さんの『介護は全額公費負担で』の出版記念会が開かれた。「長谷川ひでのり衆院選へゴー! 二〇〇〇年、私たちの出番です 自自公政治と石原都政にノー!」と掲げられた会場は、百二十人の杉並区民で埋め尽くされた。
 桜井善作さんが「長谷川さんが国会に出れば日本は変わる」とあいさつ。長谷川さんは「介護保険は自自公政権の弱点。衆院選に勝利して自自公政権を倒そう」と訴えた。
 区民が次々と「長谷川さんを国会に送り出そう」とあいさつし、衆院選へ熱気あふれる集まりとなった。

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