ZENSHIN 2001/04/16(No2001 p06)

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週刊『前進』(2001号1面1)

歴史偽造、侵略・天皇制賛美の

教科書の「検定合格」弾劾する

  (1)
 四月三日、日帝・文部科学省は極右ファシスト団体、「新しい歴史教科書をつくる会」の中学用歴史・公民教科書の検定合格を発表した。
 われわれは、この検定合格を徹底的に弾劾する。必ず撤回させ、この「つくる会」教科書を絶対に使わせない。東京・杉並を始めとする各自治体での採択を阻止し、全人民の総力で葬り去ることを宣言する。「つくる会」教科書粉砕を軸とする教育決戦=改憲阻止決戦を都議選決戦と一体のものとして闘い、都議選決戦をまさに教育決戦として闘う決意である。
 「つくる会」教科書は戦前の日帝のアジア侵略と植民地支配の歴史を賛美し、天皇制的暴圧と侵略戦争がアジア人民にもたらした残虐きわまりない幾多の歴史的事実を抹殺している。残虐な侵略の事実を歪曲し、抹殺し、居直り、正当化している。第二次世界大戦に行き着いた〈大日本帝国の歴史的大罪〉への反省の言葉は一かけらもない。日本の労働者人民が天皇制と治安維持法の暗黒政治によってどんなに苦しめられたかという歴史を隠蔽(いんぺい)している。戦後、日本人民の中に巻き起こった「再び戦争を繰り返すまい」という反省と決意も圧殺している。しかも全編が皇国史観で貫かれている。
 まさに新たな朝鮮・中国−アジアへの再侵略宣言であり、天皇制強権国家の復活宣言である。それを認めることは、日本の労働者人民の階級性と国際主義を自ら絞め殺すことになる。
 アジア人民は徹底的な怒りを爆発させている。それは侵略を受けた人民としてやぬにやまれぬ正義の憤激であり、日本の労働者人民への共同闘争と連帯の呼びかけである。
 三月十一日、「つくる会」教科書を弾劾する朝鮮の南北労働者の共同声明が出された。韓国労働組合総連盟、全国民主労働組合総連盟、朝鮮職業総同盟中央委員会が、日本軍国主義者の歴史歪曲を糾弾するとともに日本と世界の労組に共同行動を呼びかけている。この呼びかけにこたえ、連帯して闘いぬこう。
 教科書闘争を、日本の労働者人民の階級的生命線を守るか否かの切迫した自己解放的決起として、かつ国際的共同行動として発展させよう。この闘いを、杉並を最大の戦場にして、石原都知事を中心とするファシスト勢力との真っ向からの対決として闘い抜こう。
  (2)
 @「つくる会」歴史教科書は、第一に、もともと冒頭で「歴史は科学ではない」と記していた。その意図は日本の近現代史への批判を封じ込めることにある。そして日帝の侵略戦争・植民地支配と天皇制テロルの残虐な歴史という日本近現代史の根本問題に疑問を持たせることなく、天皇制を軸とする日本近代化を素晴らしい、美しい歴史と描きあげようとしている。そのために歴史の歪曲を恥知らずに行っている。
 第二に、アジアの民族解放闘争の歴史を無視・抹殺し、帝国主義の道を歩んだ日帝を美化し、日清・日露戦争を正当化し、侵略されたアジア人民の苦しみと生み出された創造的な民族解放闘争を無視し、日帝をアジアの「成功者」とたたえ、侵略されたアジア諸国を不当に見下している。
 第三に、日帝の侵略戦争と植民地支配の歴史と実態を隠蔽し、逆に「アジア解放戦争」などと賛美している。韓国併合を正当化し、朝鮮・台湾および中国東北部植民地支配において朝鮮・中国人民から国土を奪い、言葉を奪い、姓名を奪い、皇国臣民化を強制し、強制連行・徴用を行ったことや、残虐な戦争犯罪である日本軍軍隊慰安婦制度を強制した歴史的事実を抹消している。
 「三光作戦」「七三一部隊」など中国侵略戦争の残虐な事実を否定し、中国東北部における資源略奪、農地強奪、農民虐殺の事実を否定している。何よりも南京大虐殺を否定している。
 第四に、天皇制と大日本帝国憲法を近代日本の民主主義と美化し、教育勅語や軍人勅諭を称揚し、その一方、治安維持法体制下での特高および憲兵による労働者人民への過酷な弾圧と部落差別の数々、その天皇制テロルの暗黒支配を塗り隠し、天皇の戦争責任・植民地支配責任・沖縄売り渡し責任を全面擁護している。
 しかも、戦後に全面否定された神国イデオロギー=皇国史観を公然と復活させ、神武天皇から書き起こし、天皇制権力を正当化する神話を日本の正統な歴史であると偽る記述を満展開しているのである。
 第五に、対米戦争を「自存自衛」の戦争と美化し、特攻隊や日本軍の「玉砕」戦術を賛美している。
 Aさらに、公民教科書は巻頭のグラビアに「国境と周辺有事」なる項目を立て、中国漁船への警告や、「北方領土」問題での扇動、北朝鮮の「テポドン」と不審船事件を取り上げての「北朝鮮脅威論」、中国領・釣魚台への右翼の上陸事件、ペルー大使館事件、自衛隊の日本人救出作戦などの記述をもって排外主義テロル、戦争挑発をあおりたてるものになっている。
 しかも、公民の本文では、憲法九条は「自衛権の行使を認めている」と解釈変えし、自衛隊を賛美し、同時に戦後憲法の理念である国民の権利尊重を否定し、「国家への義務」「国家への忠誠」を強調している。改憲・徴兵制を露骨に肯定しているのだ。
  (3)
 「つくる会」教科書は、深刻な没落の淵(ふち)でもがく日帝の絶望的延命路線として、「国防」を柱に「愛国心」「天皇への忠誠」「アジアの盟主」を前面に押し出して、青少年を再度アジア侵略戦争と対米戦争に駆り立てようとするものであり、改憲=教育改革の狙いが込められている。
 まさに、「日の丸・君が代」の強制と戦闘的・良心的教育労働者への処分・排除攻撃と「つくる会」教科書攻撃は一体のものだ。
 今日、その攻撃の先兵になっているのが自民党の右翼反動(KSD汚職の村上や小山、中曽根、森など)であり、石原都知事と山田杉並区長であり、自由主義史観グループ、産経新聞などの右翼反動マスコミ、勝共連合などの反共右翼である。広島や国立で「日の丸・君が代」攻撃を展開している右翼反動が教科書攻撃の先兵でもあるのだ。
 「日の丸・君が代」法制化以降、今春の「日の丸・君が代」闘争は各地の教育委員会や校長の職務命令、処分恫喝にもかかわらず、全国で昨年をはるかに上回る規模で闘われた。闘争は教育労働者と中学生・高校生を先頭に、労組、在日朝鮮・中国・アジア人民、アイヌ民族、沖縄人民、部落大衆、「障害者」、宗教者、知識人、保護者、地域住民など全人民的な地域共同闘争として闘われている。この激闘の中から教育労働運動再生の道が切り開かれつつあり、教育決戦の本来の姿が登場している。
 「つくる会」教科書粉砕の闘争は、国際連帯のもとに幾百万人民の巨大な階級決戦になる展望がある。再び侵略と戦争を許すのか否か、天皇制的圧制を許すのか否か。検定合格を弾劾し、東京・杉並を天王山としてあらゆる手段をもって採択阻止するまで闘い抜こう。都議選勝利=けしば誠一氏当選を切り開こう。
 この闘いと一体のものとして、四月一日に南中国海上空で起きた米軍スパイ機EP3による中国への戦争挑発行動を徹底弾劾せよ。米日帝の中国、朝鮮への侵略戦争攻撃粉砕へ闘おう。

 

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