ZENSHIN 2003/09/29(No2119 p06)

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週刊『前進』(2119号2面1)

「21世紀宣言」再提案は絶対認められない 9・28自治労続開大会へ訴える
 大会決定ふみにじる執行部を打倒しよう

 執行部の強引な居座りを許すな

 自治労第74回定期大会は「一票投票」により新綱領「自治労21世紀宣言」を否決した。本来なら執行部は総退陣すべきだ。だが執行部は居座りと大会休会を決め、9月28日の続開大会で巻き返しを策動している。
 綱領とは自治労の憲法である。綱領改定とは自治労の改憲である。大会で全国の代議員・組合員は「『21世紀宣言』否決=改憲反対による自治労の再生」を選択した。われわれは「『21世紀宣言』は『労使共同宣言』であり、自治労の死である。自治労を大政翼賛団体へ転落させるな!」と訴え、採択阻止を呼びかけてきた責任ある立場から、北岡執行部の居直り、ごり押しを断じて許さない。
 9月8日、中央本部は地連議長・事務局長会議で、「21世紀宣言」をほとんど修正を加えることなく「第14号議案」と名を変えて続開大会で再提案するという方針を提起した。否決された議案と同じものを同じ大会に再提案することは許されない。9月10日の全国県本部代表者会議では当然にも、「民主主義のルールである一事不再議の原則に反する」との批判が相次いだ。さらに議事運営委員会から「議運は続開大会は決めたが、『21世紀宣言』再提案については了承していない」と指摘され、北岡執行部の暴走が暴露された。
 中央本部は「まったく一致したものではなく、提案の中身が変わったものと理解している」と答弁し、強行突破の姿勢を崩していない。ここに「21世紀宣言」の凶暴な本質、絶体絶命に陥った中央本部の執念が表されている。けっして甘く見てはならない。

 「21世紀宣言」は労使共同宣言だ

 公務員制度改革、市町村合併、現業を始めとする自治体の大リストラ・民営化の攻撃が始まっている。「21世紀宣言」は、自治労が当局と資本家に完全屈服して協力することを約束する「労使共同宣言」である。自治労中央は「21世紀宣言」で「労使協働で有効な政府をつくる」と言って、首切り・合理化の犠牲になることを組合員に強制しようとしている。このような「21世紀宣言」は、大会で「『闘う』という言葉がひとつもない。『闘うな』と言っているのだ」と批判を浴びた。当然だ。現場では激しい行革・リストラで血が流れている。この攻撃にあらかじめ屈服し、当局への全面協力を宣言する「21世紀宣言」を認めるわけにはいかないのだ。
 だが、中央本部は10月2日の連合定期大会までに「21世紀宣言」を採択し、産別統合の共同綱領としようとしている。昨年の全競労との統合に続き、全国一般、全水道、都市交などとの統合が予定されている。この右翼的大再編・統合の共同綱領が「労使協働」の「21世紀宣言」なのだ。

 「労使の協働」で民営化推進狙う

 ここで再提案されようとしている修正案について批判しておこう。
 第一の修正は、第2号議案として提案した「21世紀宣言」の「基本目標」の部分だけを現綱領にとって代わる新綱領として続開大会で提案・採択し、「歴史的経過と到達点」と「自治労の挑戦」の部分を「付属文書」として採択の対象からはずすということだ。第2号議案の付属文書だった「新綱領委員会報告/公共サービスと労働組合の21世紀戦略」の扱いについては触れられていない。
 新綱領委員会報告は、グローバリズム論、階級関係の否定、改憲論など、反動的な意図を最も露骨に表していた。これに基づく「21世紀宣言」は断じて認められないという反対派の流れが形成された。そこで、これをこっそり付属文書からはずしたのだ。
 第二の修正は、「21世紀宣言」の「基本目標」部分の一部改訂である。
【第2号議案】
 1.わたしたちは、対等な労使関係を確立して組合員の生活と権利の向上をはかり(A)、市民と労使の協働で、有効で信頼される政府を確立する(B)。
 1.わたしたちは、公共サービスを担うすべての労働者・労働組合を結集し(C)、 市民生活の質を保障する公共サービスを擁護・充実する(D)。
【第14号議案】
 1.わたしたちは、公共サービスを担うすべての労働者・労働組合を結集し(C) 、対等な労使関係を確立して組合員の生活と権利の向上をはかる(A)。
 1.わたしたちは、市民と労使の協働で、有効で信頼される政府を確立し(B)、 市民生活の質を保障する公共サービスを擁護・充実する(D)。
 (A、B、C、Dは引用者)
 第14号議案は、第2号議案の〈A+BとC+D>を〈C+AとB+D>に組み換えただけである。君島書記長は「提案にあたって、誤解を解くために整理した」と答弁したが、「誤解」とは何かを具体的に説明しなかった。この修正個所は「21世紀宣言」の核心部分である。
 「21世紀宣言」は、内外(資本と当局と連合)に向けて「自治労は闘わない」ことを宣言する文書だ。
 現場では、行革リストラ、市町村合併などをめぐって労使が対決し、非和解的関係にある。ところが「21世紀宣言」は「市民と労使の協働で有効な政府を確立する」と言っている。
 これは絶対的な矛盾だ。一方で対立、他方で「協働」、これを「協働」でまとめようとしたのが「21世紀宣言」なのだ。
 今回の修正は、労使「交渉」関係と労使「協働」関係とを別条項に整理したことで、かえって労使一体で闘争放棄し、民営化を推進する「労使共同宣言」の意図をはっきりさせた。
 君島書記長は「両者は次元が違う」として押し通そうとしているが、ここに最大の弱点がある。現に闘っている現場、闘わなければ生き残れない職場では、闘わない綱領である「21世紀宣言」は通用しない。労働者を切り捨て、闘わないことによって「地域公共サービス産別を形成しよう」という「21世紀宣言」を葬り去らなければならない。

 裏切り中央打倒し階級的再生を

 いったん否決した「21世紀宣言」を再提案することは、中央本部による100万自治労の私物化であり、中央執行委員会の反動的独走である。
 こうした情勢を主導してきたわれわれに対して、絶大な期待と反響が寄せられている。一部県本部や単組執行部は、生起した事態をひた隠しに隠し、できることなら組合員に詳細を伝えず強行突破を果たしたいと考えていた。そこへ、直ちに全国一斉にまかれた職場ビラによって事実が暴露され、顔面蒼白(そうはく)になり、組合員から激しい突き上げにあっている。
 93人という最大の代議員数を抱える東京都本部単組代表者会議では、「今朝まかれた全国労組交流センターのビラの内容は本当なのか、と組合員に詰め寄られている」「再提案したら執行委員会は維持できないという職場の雰囲気だ」「都本部として再提案に反対してほしい」など、都本部に対して激しい反発が始まった。山梨県本部は「『21世紀宣言(案)』再提出断念を求める要請書」を中央本部にたたきつけている。「県本部は、賛成の態度で臨んできた。しかし執行部がこの続開大会に第14号議案として再提案することは、日ごろから民主主義を標榜(ひょうぼう)している労働組合、とりわけ自治労が行うことではない」
 「21世紀宣言」再提案そのものが不当である。もし採択を強行するならば、すべての組合員・代議員に中央本部打倒を呼びかけ、新しい闘う執行部をつくり出すことを訴える。
 28日の続開大会まで1週間、いよいよ中央本部との力勝負となった。大義はわれにあり。100万人組合員の心をわれわれは完全にとらえている。われわれは自治労100万人組織の階級的再生に向けて、この力勝負に挑戦する。

 11月集会の成功から連合打倒へ

 連合は「衰退の一途をたどり、存亡の危機にある」などと言われて定期大会を迎える。この中で連合傘下の最大労組が定期大会で新綱領「21世紀宣言」採択を否決したことは、電光石火のごとく伝わり、闘う労働組合を鼓舞激励した。89年総評解散―連合結成以来の右翼的「枠組み」が崩れ始めた。全労連傘下の自治労連の連動した流動化も不可避である。
 今ほど闘う労働運動のナショナルセンターが求められている時はない。続開大会で「21世紀宣言」を完膚なきまでに葬ろう!
 新たな闘う労働運動の潮流をつくり出し、11月労働者集会の成功に向けて驀進(ばくしん)しよう。

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週刊『前進』(2119号1面1)

国労大会 闘争団処分強行に怒り 極反動の酒田新執行部打倒へ
 警察労働運動は許さない 書記配転・スト基金運用を弾劾
 自衛隊イラク派兵阻止・小泉打倒を

 9月13〜14日、国労第71回定期全国大会が東京・社会文化会館で開かれた。またも機動隊が導入された厳戒体制下で、闘争団員22人に「組合員権3年の権利停止」の処分が強行された。断じて許せない重処分である。しかも、中央執行委員長に酒田(東京地本委員長)、書記長に吉田(長野地本書記長)、中央執行委員に芝崎(東京地本執行委員)という極悪の新執行部が形成された。闘争団処分と5・27臨大闘争弾圧の二つにして一つの攻撃の上に成り立った、国労史上最悪の体制だ。闘う国労組合員は、この大反動と対決して2日間の激闘を貫いた。酒田体制を打倒し、国労の革命的再生と1047名闘争の発展をかちとる新たな闘いが始まったのだ。直ちに、日本労働運動の再生をかけて、9・28自治労続開大会の勝利へ攻め上ろう(2面にアピール)。11月労働者集会の大成功のために全力で闘おう。

 機動隊導入と強権的な議事運営に大反撃

 戦後最大の激動情勢が到来している。この中で、戦後労働運動の中軸を担ってきた国労が自己解体の道を突き進むのか、それとも革命的再生の道を切り開くのか。そうした歴史的な位置を持つ国労大会に対して、過去のいずれの大会にも増して反動が密集した。
 まず、またも機動隊が永田町―三宅坂一帯を制圧した。400人もの「警備」の組合員が動員され、一方で、闘争団員の傍聴枠が半減し、傍聴は全体でも200人に制限された。盛岡や長野から動員された「警備」が演壇下、代議員席と一般傍聴席の間、通路などに配置され、問答無用の議事運営が強行されたのだ。
 息詰まるような厳戒状態の中で議事が始まった。
 高嶋委員長は、あいさつで「一部闘争団員の反組織的行為は組織の団結上からも許されず、猛省を求める」と、統制処分の意志をむき出しにした。
 経過報告をめぐる討論では、特に書記・職員に対する本人同意なき強制配転について「JR資本がやっていることと同じだ」「労働組合による首切りだ」との批判が相次いだ。賛成派の代議員や寺内書記長の答弁は、これについて「厳しい財政事情だからやむをえない」と開き直った。
 議長は、経過について拍手承認を求めた。だが代議員はほとんど拍手しない。「警備」が一斉に拍手した。「まるでJR東日本株主総会のようだ。社員株主のカクマルと同じだ!」と怒りの声。
 1日目の夕方から運動方針案の討論に移った。2日目の討論の冒頭、議事運営委員会は、反対派が提出した5本の修正動議のうち1本は不受理とし、4本の趣旨説明を求めた。
 これに対して高崎の代議員が「今朝の北海道新聞で『反対派30人処分』と、高嶋委員長のコメント付きで報道されている。査問委の答申が出る前に中身が出るとはどういうことか」と迫った。議場は騒然となった。
 議長はこれを無視して強引に議事を進めた。修正動議の趣旨説明で、@仙台の代議員は、国労本部役員の諸会議費用などの支出の厳正化、A千葉の代議員は、ILO勧告の「反組合的差別行為はなかった」とする事実誤認の是正、B水戸の代議員は、闘争団に対して「規約に基づいた対応を行う」という文言の削除と、査問委の解散、C東京の代議員は、鉄建公団訴訟と全動労、動労千葉との共闘――を求めた。
 討論を受けた寺内書記長の集約は、これらをすべて退け、あらためて闘争団への処分の意志をあらわにした。さらに最高裁の訴訟取り下げを含め、次期執行部での闘争終結を示唆する、許しがたいものだった。

 闘争団22人に組合員権停止3年の重処分

 修正動議の否決、運動方針案の可決が強行された後に、「査問委員会答申」を査問委議長の田中副委員長が読み上げた。
 鉄建公団訴訟の原告や最高裁第三者参加申立人で闘争団長や機関役員に就いている闘争団員22人を、「組合員権3年の権利停止」とするというものだ。除名に次ぐ重処分である。「最高決議機関である全国大会で確認された方針を逸脱し、○○闘争団団長でありながら、自らが鉄建公団訴訟の原告として参加し、闘争団員を指導すべき義務を果たさず、組織内に混乱と不団結を作り出した行為は許されるものではない」と一人ひとりの「処分事由」を書き連ねた文面は怒りなしには読めない。しかも今回は処分に至らなかった260人の氏名を明記し、査問委を継続設置するというのだ。
 北海道の闘争団員の代議員が「北海道新聞の記事は真実だった。答申前に外部に発表することは規則違反であり、査問委は解散しなければならない。採決する場合でも記名投票にすべきだ」と訴えた。
 これに対して、近畿の代議員が「答申を支持する」と発言。怒号に包まれる中で、「方針に従わないなら国労を出ていけばいいじゃないか」と暴言を吐いた。
 東京の代議員は、「1047名闘争勝利のために、それぞれの組合方針を尊重しつつ、7月に西部団結まつりを成功させた。この原動力となった闘争団員も処分対象になっている。撤回を求める」と訴えた。
 議長が「無記名1票投票で採決する」と述べると、代議員が立ち上がって抗議。退場しようとする代議員を「警備」が阻んだ。闘争団員を始めとする傍聴者も激しい肉弾戦を繰り広げた。その激突の中で投票が強行された。102人の代議員のうち、賛成64、反対13、白票7、棄権18(抗議のボイコット)で、過半数で承認された。
 被解雇者が闘いを継続していることを理由にして労働組合が処分するという、断じて許せない暴挙だ。しかも、執行部はこの「3年」の間にも国労を解体しようとしているのだ。賛成した一人ひとりの罪は万死に値する。彼らこそ団結の破壊者であり、その責任を未来永劫(えいごう)追及しなければならない。
 鉄建公団訴訟原告団と国鉄闘争共闘会議は、「不当な査問委員会答申と、憲法を無視する愚かな処分を撤回させ、汚された組合員としての誇りと尊厳を回復するために、『法的措置を含む対抗手段』をとり、闘う決意である」とする抗議声明を9月16日付で発した。
 大会ではさらに、ストライキ基金運用規則改正案の可決が強行され、書記の「退職基金」などに運用することが決定された。
 役員改選では、三役と会計監査に「国労に人権と民主主義を取り戻す会」の共同代表らの対立候補を立てて闘った。だが結果は酒田委員長、田中副委員長(再任)、吉田書記長らの極悪執行部の選出となった。
 酒田委員長の就任あいさつに対して「警察労働運動にするのか!」と痛烈な怒りのヤジが浴びせられた。

 組合員の売り渡しを居直る酒田・芝崎ら

 東京地本から本部に上がった酒田と芝崎は、警視庁公安と結託して5・27臨大闘争弾圧を仕掛けた警察労働運動の張本人である。
 彼らは9月10付『国労東京』(発行責任者・酒田、編集責任者・芝崎)で、「国労と暴力集団は無縁」「暴力行為を弾圧にすり替える中核派」などという恥知らずな言辞を吐いている。何が「暴力行為」だ! 逮捕されているのは闘争団員を始めとする国労組合員であり、やったことはまったく正当な組合活動である。しかも組合員を警察に売り渡しておきながら、「中核派のプロパー(職業活動家)が暴力行為を働いた」というウソを平然と書き連ねている。このような卑劣漢、警察の手先どもが国労本部執行部に座ったのだ。
 これによって、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いの意義がいよいよ明らかになった。5・27臨大闘争弾圧と今回の闘争団への権利停止処分は、ともに4党合意粉砕に対する反動である。これらを一体のものとして粉砕することが、酒田新体制打倒と国労の階級的再生につながるのだ。
 国労内の「学校政治」の崩壊は新たな段階に入った。旧社会党党員協は、さらに分裂を深め、チャレンジ一派は瓦解(がかい)を開始した。九州ではJR連合傘下のJR九州労組委員長の船津が7月の定期大会で「(国労は)組織をJR各社ごとに再編すべきだ。国労九州は『やるべきことはやる』との姿勢だ」と述べた。また、北海道鉄産労が10月末に解散大会を開き、国労との統一大会とする案が浮上していると言われる。こういう連中が、国労の単一体を自ら解体し、会社ごとの組織にし、JR連合に合流しようと画策しているのだ。
 今回の委員長人事で、当初下馬評に上がっていた佐藤(東日本本部書記長)から、酒田に代わったのは、佐藤のように露骨にJR連合への合流を狙う真正チャレンジでは、もはや国労を丸ごと変質させることができないからだ。それゆえ、真正チャレンジではない長野の吉田が、なりふり構わず警察労働運動の元凶である酒田と結託したのだ。
 その上で許せないのは革同だ。運動方針案などの採決は75票前後の賛成だったが、これは「反対派」と言われた革同がすべて賛成票を投じたからだ。査問委答申も「除名には反対だが、組合員権停止ならよい」という革同の裏切りによって強行されたのだ。だが、この査問委答申の採決では、反動革同の一部も反対か白票に回った。革同の日共指導部の反動化の中で、革同内の新たな流動化が進んでいくということである。解雇撤回・JR復帰をあくまで掲げ、分割・民営化反対を貫いて闘うなら、彼ら裏切り指導部の崩壊は不可避である。
 動労千葉のようにあくまでも1047名闘争の旗を掲げて闘うことが、権力とJR資本による国労解体攻撃と分割・民営化攻撃の総決算=第2の分割・民営化攻撃を破産に追い込む。JR総連カクマルの松崎支配の崩壊と分裂を一層促進する。そうして権力・資本との力関係を変える中にこそ勝利の展望があるのだ。
 JR本体の闘いと結合し、5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いと鉄建公団訴訟を両輪にして、国労の革命的再生をかちとろう。

 9・28自治労続開大会で「21世紀宣言」を葬り去れ

 この国労大会の激闘は、8月の自治労大会で「自治労21世紀宣言」を否決した大勝利に続いて、日本労働運動の存亡をかけた決戦として闘われた。
 国労をめぐっては、なおもその解体か再生かをかけた攻防が続く。その動と反動のギリギリとしたせめぎ合いは、国労内の攻防にとどまらず、1047名闘争の支援陣形を軸に、連合、全労連などの枠組みを越えた労働運動の流動化・再編情勢を推し進める。11月労働者集会こそ、反動を打ち破って国労と日本労働運動の階級的再生をかちとる決定的に重要な闘いである。
 この情勢の中で、9・28自治労続開大会の決戦がある。これを全力で闘おう。
 自治労大会での「21世紀宣言」否決は、自治労内外に電撃のように伝わり、10・2〜3連合定期大会を前にして連合指導部を震撼(しんかん)させ、闘う労働者を鼓舞激励している。
 自治労中央は、いったん否決された「自治労21世紀宣言」を、ごく形式的に「修正」した上で再提案し、押し通そうとしている。一層の怒りが高まり、続開大会に向けて激烈な攻防となっている。「21世紀宣言」は、自治体や公営企業のリストラ―民営化攻撃を「労使協働」で推し進めるための自治労版「労使共同宣言」である。「21世紀宣言」の再提案を断じて許さず、必ず葬り去ろう。
 全逓や日教組、民間産別での闘いを推し進めよう。
 今こそ動労千葉とともに、戦争、民営化、弾圧に抗して闘う世界の労働者階級と固く団結し、国際連帯闘争を発展させる時だ。自民党総裁選(小泉再選)から内閣改造、臨時国会、民主党・自由党の合併、総選挙に至る新たな激動の中で、戦争・改憲攻撃と対決し、対テロ特措法延長とイラク派兵を阻止する反戦政治闘争に立ち上がろう。
 日帝資本と小泉政権による倒産、解雇、賃下げ、不安定雇用化と労働法制改悪、社会保障制度解体攻撃と闘おう。司法制度改悪―共謀罪新設攻撃と治安弾圧と対決しよう。
 労働運動の大流動情勢に切り込み、職場・地域で団結をつくり出し、闘う労働運動の新潮流を発展させよう。すべての闘いを11月労働者集会の大成功へと結実させるために奮闘しよう。

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週刊『前進』(2119号1面2)

”国労弾圧粉砕を” 炎暑の会場前、闘い貫く

 会場内の闘いと呼応して2日間、機動隊と対峙し会場前闘争が闘われた。
 国労共闘は、1日目の早朝から代議員宿舎へのビラまきに決起した。ビラはほとんどの大会参加者に渡った。会場前には2日間で延べ500人の組合員・支援者らが結集し、炎暑の中で次々と抗議の声を上げた。
 国鉄闘争共闘会議の二瓶久勝議長は「鉄建公団訴訟を闘い、全動労、千葉動労を含む1047名の闘いを構築し、共闘会議に多くの仲間を結集することが勝利につながる」と訴えた。
 5・27臨大闘争の被弾圧者の家族は、「夫はいつもここに来て闘争団の皆さんとともに闘っていた。拘置所にいる夫に代わって私が来た。仲間の除名に反対した夫の考えは間違っていない」「夫は、独房の中で皆さんと同じ気持ちでいると思う」「国労は仲間を守るために闘ってきたはず。それなのに仲間を売り、家族を苦しめている。元の国労に戻って下さい」と訴えた。涙と感銘の拍手の中で、参加者の間に保釈要求署名が回された。
 佐藤昭夫弁護士が、弾圧の不当性を説き明かし、被告の早期保釈のために参加者の協力を訴えた。
 国労に人権と民主主義を取り戻す会の共同代表は、「ビラまきをした人が国労から訴えられて拘置所に入っている。あってはならないことだ。組合幹部がするべきことは、裏取引ではなく組合員に真実を語ることだ」と本部を弾劾した。
 2日目、闘争団への統制処分が伝えられると、闘う闘争団の内田泰博共同代表が、「くじけず、ひるまず、たゆまずに前進する。職場闘争、反合闘争、資本と対決する階級闘争を確立しなければ労働組合の価値はない」と決意を語った。
 大会を前にした9月11日、国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会は、被告の保釈を裁判所に要請するよう国労本部に申し入れた。

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週刊『前進』(2119号2面3)

国労弾圧公判 検察、証言を中途で放棄 次回は鈴木証人の尋問に

 9月17日、東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で、国労5・27臨大闘争弾圧の第12回公判が開かれた。前回に続き、警視庁公安一課の貞山明警部補の証人尋問が行われた。

 弁護団が主尋問打ち切りを要求

 今回で貞山証人の尋問は終了し、次回公判(10月6日)は、国労東京地本の鈴木勉法対部長の証人調べが行われる。公判闘争は、かつてない山場に突入した。
 冒頭、葉山岳夫弁護人と橘日出夫被告が、早期保釈を求める意見を述べた。橘被告は、先の国労全国大会で闘争団員への組合員権停止処分が強行されたことに怒りをぶつけ、「重大な大会に参加できなかったことは本当に悔しい。私は、大会代議員選に獄中から立候補したが、はらわたが煮えくり返る思いだ」と勾留を続ける裁判長を弾劾した。
 萱野一樹弁護人が、貞山証人の主尋問を打ち切るべきだと申し立てた。
 もともと貞山は、杉並で押収されたビデオの押収手続きに関して採用された証人だ。ところが検察側は、前々回公判の直前に貞山証人の立証趣旨の拡張を突然請求し、裁判長は不当にもこれを認めていた。この日の公判で検察側が、拡張した立証項目のうち、@支援者の向山和光被告が杉並共同購入会館(正しくは都革新上高井戸事務所)に個室を保有していること、A犯行直後の現場の状況、の2点を証言させようとしていることは明らかだった。
 萱野弁護人は、@向山被告の個室の問題は本件と関係がない、A「犯行直後の現場の状況」というが、事件後に現場に駆けつけたにすぎない貞山証人にそのような証言をさせるのは、裁判所に「中核派の組織的犯行」という予断を与えることだけが目的だ、と指摘し、主尋問の打ち切りを訴えた。しかし、青柳裁判長は申し立てを退けた。
 貞山証人が入廷した。検事が「現場に臨場したのはいつか」と聞く。貞山の答えは「7時30分」。事件はとうに終わっている。
 貞山は、「向山被告が当日のリーダーだったと認識した」と言い張った。だがその根拠は、向山被告が他の支援者と話をしていたこと、貞山が向山被告に「お前が頭(あたま)か」と声をかけたら向山被告が「困った表情を浮かべた」こと、の二つしか挙げることができない。
 被告を呼び捨てにする牧島聡検事と貞山証人に、向山被告が抗議した。しかし彼らは態度を改めない。大口昭彦弁護人が立ち上がり、「検事を牧島と呼び捨てにすることを許可していただきたい」と語気を強めた。怒りに押された裁判長が、「何々被告と呼ぶのが法廷の慣行だ」と検事と証人をたしなめた。
 その後、貞山証人は、向山被告が中核派の政治集会で基調報告をしたこと、杉並共同購入会館に個室を持っていることなどを挙げて、「だから中核派の幹部だ」とまくし立てた。
 一瀬敬一郎主任弁護人が、すかさず「本件といかなる関連があるのか」と異議をたたきつけた。裁判長が、「それ以上聞く必要はない」と異議を認めた。度を失った牧島検事は、「向山被告の幹部性は十分立証できたということか」と裁判長の心証をただすという訴訟当事者にあるまじき言辞を吐いた。「中核派だから有罪」というでたらめな証言に踏み込もうとした矢先に出はなをくじかれ、大打撃を受けたのだ。検察側は「向山被告の個室」に関する尋問を放棄し、主尋問はそこで唐突に終了した。
 萱野弁護人が反対尋問に立った。主尋問で貞山は「向山被告は杉並共同購入会館に個室を有している」と繰り返したが、その根拠は何も示されていない。弁護団はこの点を問いただした。貞山は、「部屋の中に向山と書かれた札が張られた段ボール箱があった。だから、そこが向山被告の個室だ」と言い張った。
 弁護団は、警察自身が作成した10月7日の捜索差押調書を示して、「あなたが向山被告の個室と言っている部屋は、この調書には何と記載されているか」と質問した。長い沈黙の後、貞山は聞き取れないような小さな声で「北側更衣室です」と返答した。「向山被告の個室」は、貞山の思い込みの産物であり、実際には物置部屋なのである。
 さらに貞山は、「向山被告の荷物」は、物置部屋の中に置かれた多数の荷物のごく一部にすぎないことも認めざるをえなかった。
 向山被告本人が、5・27当日、貞山が向山被告に声をかけたという証言のうそを暴いて弾劾した。
 「中核派組織犯行論」に頼る以外にない検察側に、被告・弁護団は徹底的な反撃をたたきつけた。次回公判は鈴木法対部長の尋問だ。公判闘争は、警視庁公安部と国労本部派が結託しての弾圧という、この事件の真相に迫る攻防に入る。
 公判に先立ち、14地域・職場の「許さない会」が東京地裁に被告の早期保釈を申し入れ、約8千筆の署名を提出した。

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週刊『前進』(2119号4面1)

全学連大会 10・25に全国で学生数万人の大デモを
イラク派兵絶対阻止へ大方針 キャンパス丸ごと決起へ
 1、2年生中心に徹底討論

 9月13〜15日、全学連弟63回定期全国大会が東京都内で行われ、イラクへの自衛隊派兵絶対阻止の今秋決戦方針をうち立てた。1、2年生が発言の中心に立ち、新たな全学連運動の本格的な登場が始まったことを確信させる画期的な大会になった。

 基地を包囲し侵略出兵阻め

 まず大山尚行委員長が03年前半決戦の総括議案を提起した。冒頭、「今秋、全学連は自衛隊のイラク侵略派兵を絶対に阻止する大闘争を爆発させる」と宣言した。そして「今年1〜3月の国際反戦闘争の空前の高揚は、帝国主義の世界戦争と対決する歴史的決戦の始まりである。全学連はこの大衆決起のうねりをつかみ、ワールドアクション型の大衆運動を支持し、イラク・北朝鮮侵略戦争と対決する大衆闘争を切り開いてきた。クラス討論と扇動の変革をもってキャンパス丸ごと決起の手ごたえをつかんだ」と総括した。
 国際情勢は松尾純一副委員長が提起した。「帝国主義の分裂と抗争が世界戦争となって爆発する時代がついに始まった。日本共産党は『国連無視のアメリカが悪い』と言い、カクマルは『ブッシュが戦争好きだから戦争が起きている』と言うが、まったくのペテンだ。問題の根源は帝国主義にある。そして帝国主義打倒に向かって労働者階級の巨大なうねりが始まっている」と述べ、国際階級闘争の歴史的胎動が始まったことを明らかにした。
 続いて倉岡靖子書記次長が国内情勢を提起した。「イラク派兵と北朝鮮侵略戦争に向かって、日帝の政治体制を反動的に再編する攻撃が始まっている。それに対して労働者階級の側は新たな陣形のもとで歴史的反撃を開始している。この秋、巨大な階級決戦の爆発は不可避だ。今こそ『戦争突入内閣=小泉政権打倒』を全労働者階級のスローガンにしよう」と訴えた。
 任務方針提起は井上亮副委員長が行った。「米ANSWER連合と連帯し、10・25国際反戦統一行動をひとつの頂点に、イラク侵略派兵反対の数千、数万人のデモを全国主要都市で実現しよう。全国各地で自衛隊基地への直接行動を大衆運動として展開しよう。北朝鮮侵略戦争の切迫と対決し、国民保護法制阻止へ大闘争をつくり出そう。何よりもキャンパスで大衆運動を爆発させよう。法政大学生会館をめぐる攻防と東北大有朋寮廃寮阻止決戦に勝利しよう」と訴えた。

 法大・有朋寮決戦に勝利を

 議案提起に続いて大学報告が行われた。東北大学は1年生が「自衛隊のイラク派兵反対の緊急署名を2876筆集めて、9月5日には40人で仙台の苦竹基地包囲行動を行った。デモ中、トラックの中から自衛隊員が手を振ってきた」と発言した。また有朋寮の学生が廃寮阻止闘争を報告した。
 山形大学の女子学生は「クラス討論を重ね、学内で1千筆を超える有事立法反対の署名を集めた。今秋の大衆運動爆発の展望を開いた」と発言した。
 法政大学は「有事立法反対とイラク派兵阻止のクラス決議を計51クラスであげて、キャンパス集会、防衛庁デモを行うというオーソドックスな大衆闘争を行ってきた」と報告した。また学生会館をめぐる攻防に数百人の学生が決起していることを報告した。
 富山大学の女子学生は「1年生を中心に有事立法阻止の国会闘争、新潟での万景峰号、富山での貨物船への入港規制に反対する現地闘争に取り組んだ」と報告した。
 京都大学。「アンケートに有事立法に対する賛成・反対の意見を書いてもらい、集めてくれる人を募って、クラス討論を大衆運動として成功させた。論議の中で有事立法賛成から反対への転換を実現した」
 大阪市立大学。「サークルBOXをめぐる対当局攻防で200〜300人の学生が決起している。こうした闘いを促進し、反戦政治闘争へと発展させていく」
 広島大学。「新たな若者の運動団体を立ち上げ、3月23日には200人のデモを行った。権力のスパイ化攻撃、破壊工作を打ち破って、団結を強化してきた」
 九州大学。「九大自治会弾圧を粉砕して新歓を成功させた。6・21には青年学生が中心になって100人の福岡市内デモを行った」

 全大学で派兵阻止の闘いを

 自由討論では、まず松尾副委員長が「自衛隊のイラク派兵を実際に止めるために、10・25に東京で5千人は集めたい。アメリカでは、10・25の先頭に米兵や退役軍人、その家族が立っている。50万、100万人の労働者人民で自衛隊を包囲し、隊内から出兵拒否の声があがっていく状況をつくり出そう」と訴えた。 
 これに各大学からの決意表明が続いた。
 法政大学。「10・25渋谷の宮下公園に5千人、法政大学1千人の決起を実現する。イラク派兵阻止の行動をめぐるクラス決議運動を行い、500人の決起をかちとる。学生会館をめぐる対当局闘争への500人決起を実現する」
 富山大学。「富山大は全学生6千人の決起をかちとりたい。それはまったく可能であり、必要だと思う。イラクの現実を知った時、怒らない人はいない。行動への壁は帝国主義によってつくられたものだ。1年生中心に大衆運動をつくっていきたい」
 東北大学。「東北大は1千人のイラク反戦デモの実現を決めた。傷害罪のデッチあげ、寮生の大量処分などの弾圧を反撃の機会ととらえて、有朋寮廃寮化阻止・独立行政法人化阻止の闘争を爆発させる」
 京都大学。「京都ではこの秋1400人の大衆行動を実現したい。10・25は全世界が闘う特別の日で、デモをするのが当たり前なんだということを全キャンパス生に広めていきたい」
 大阪市立大学。「大阪では市大生を軸に300人の決起を実現したい。労働者階級に『国のために死ね』と強要する奥田ビジョンへの怒りを組織したい」
 広島大学。「広大で1千人決起、呉では『おおすみ』出兵阻止の1万人大行動を闘いたい」
 九州大学。「10・25に福岡で500人の決起を実現したい。巨大な大衆闘争をつくり、自衛官が堂々と出兵拒否する状況をつくる」

 一人でも大運動はつくれる

 さらに活発な討論が続いた。首都圏の女子大学の学生は「昨年5月に有事法制の存在を知って、自分一人で行動を始めた。一人でクラス討論に入って学習会に組織してきた。この秋には行動への参加をかちとっていきたい」と発言した。
 富山大学の学生は「石原都知事による右翼の排外主義テロを賛美する暴言を許さない。闘う朝鮮人民・在日朝鮮人民と連帯し、北朝鮮排外主義と対決しよう」と朝鮮侵略戦争阻止を訴えた。
 京都大学の学生は「『有事法制を完成させない、発動させない、従わない』という20労組の闘いに連帯して闘うことが重要だ」と述べて、「この戦争をくいとめ続けるならば、帝国主義を必ず打倒することができる」と訴えた。
 広島大学の学生が教育基本法改悪阻止・改憲粉砕の闘いを、続いて東北大学の学生が国民保護法制の04年通常国会提出の阻止を訴えた。法政大学と大阪市立大学の学生からは、部落解放闘争の報告が行われた。
 沖縄の学生は「名護新基地建設阻止は、日本の労働者人民がその階級的責務を果たし、日帝の支配を打ち破って行くための闘い。全国から名護現地調査団を派遣しよう」と呼びかけた。
 内山書記長が活発な自由討論のまとめを5点にわたって提起した(別掲)。
 議案と2つの特別決議、「帝国主義の治安弾圧攻撃をうち破り、星野文昭さんを取り戻すために総決起しよう」「東北大学有朋寮廃寮阻止決戦の勝利に向けた特別決議」が大きな拍手で採択された。
 初参加者が演壇に並び決意表明を行った。
 最後に新役員が選出され、大山委員長のもと10・17ブッシュ訪日阻止闘争から10・25国際連帯闘争の爆発へ、直ちに決起することを確認した。
 全学連大会には、三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長、部落解放同盟全国連・狭山現地対策本部、北富士忍草母の会の天野美恵事務局長らが連帯のあいさつを行った。
 革命的共産主義者同盟の水谷保孝同志は「9・11から2周年、新しい階級的大激動が始まっている。今こそ帝国主義打倒・資本主義転覆の思想をすべての人びとに訴えていく時だ。自分にとって戦争反対とは何か、革命とは何かということにとどまらずに、革命にとって自分は何か、戦争をなくすために自分は何をすべきかと考えてほしい。中核派に結集して闘おう」と熱烈にアピールした。

 全学連執行部
委員長  大山尚行(東北大・経済)
副委員長 松尾純一(法政大・経営)
同     宮城啓 (大阪市大・文)
同     井上亮 (広島大・総合科学)
書記長  内山佳久(法政大・二法)
書記次長 新井拓 (東北大・理)
同     倉岡靖子(京都大・農)

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週刊『前進』(2119号5面1)

空港民営化による闘争破壊を許すな 10・12三里塚に全国から大結集を
 暫定滑走路の北延伸阻み成田軍事空港を廃案に!
 斉田 猛

 戦争法(=有事3法)の制定、自衛隊のイラク派兵法の制定と自衛隊の本格的な海外派兵、米帝による朝鮮侵略戦争の攻撃と日帝の参戦。58年の戦後史を根底から塗り替える戦争国家への国家改造攻撃が今、激しく行われている。それは、戦前の再来ともいうべき警察治安国家化と労働監獄の全面化でもある。38年間にわたって反対同盟と戦闘的労働者人民が築き上げてきた不抜の闘いの砦(とりで)=三里塚に対しては、成田空港民営化にともなう激しい破壊攻撃が始まった。それは欠陥施設である暫定滑走路(2180b)を2500bに延長し、その過程で三里塚闘争の根絶を狙い、「有事における出撃基地への転用」が法制化された成田空港を、空港反対闘争のない軍事空港にするためだ。
 三里塚は今秋、来年4月の成田空港民営化にともなう攻撃に対し、新たな激戦に突入する。この闘いは、破綻(はたん)を重ねてきた成田空港建設に対し「ついに未完成のまま終わる」という“引導”を渡し、廃港に追いこむのか、それとも、戦争国家づくりを阻む人民の決定的な闘争拠点の破壊を許すのか、をかけた重大な決戦である。三里塚芝山連合空港反対同盟は、「動労千葉、沖縄や関西などの仲間とともに戦争国家への流れに対して身をなげうって阻止する」(北原鉱治事務局長)と、この新たな闘いへの決起を全国に呼びかけている(招請状別掲)。3週間後に迫った10・12三里塚全国集会は、新たな闘いを勝利的に推進するための全人民的な総決起集会である。また米反戦団体ANSWERが呼びかける10・25世界反戦闘争に連帯する闘いである。全国津々浦々に呼びかけて大結集を必ず実現しよう。そして、そこからさらに、11月労働者総決起を大成功させる闘いへと進もう。

 暫定のまま民営化では空港経営破綻

 7月11日に「成田国際空港株式会社法」が参院で可決・成立した。07年をめどとする成田空港会社の株式上場、その後の完全民営化へのプロセスが始まることになる。
 すなわち、@来年4月に、現在の空港公団を「成田国際空港株式会社」という、政府が百l出資する特殊会社に移行する、Aその後、07年をめどに東京証券取引所への株式上場をめざす、B上場が実現した後は、2〜3年をかけて政府保有の株式を全面売却し、完全な民営会社にする――というもくろみだ。
 この民営化プロセスが三里塚闘争の破壊攻撃として進められようとしている。
 国土交通省は、昨年、空港公団に対し「暫定滑走路を2500bにしなければ上場と完全民営化は認めない」と通告した。これは「来年4月の民営化、少なくとも07年の株式上場までに東峰・天神峰部落を切り崩して三里塚闘争を破壊しろ」という“最後通告”である。
 これを受け黒野匡彦(まさひこ)公団総裁は昨年7月の就任直後から「空港民営化までに2500b化工事に着工したい」「民営化までに2500bのメドが立っていないことは許されない」との言辞をくり返し、「平行滑走路完成」の意図を公言してきた。
 空港公団にとって、「株式上場前の2500b化」は、完全民営化に絶対に必要な至上命題なのである。その最大の理由は、民営化した後は、未買収地取得が事実上不可能となるため、暫定滑走路の2500b化は永遠にできなくなり、成田空港建設の破綻が最終的に確定するからだ。
 第一に、湯水のような移転補償費で行われてきた空港反対農家への買収攻撃が、民営化後は不可能となる。成田空港が倒産もありうる純営利企業となるため、採算を度外視した札束攻撃はできなくなる。切り崩し工作は、その最大の手段を失うのだ。
 第二に、結局、未買収地の取得工作で最後に頼るのは、従来にも増して強圧的手段になる。しかし、これも不可能だ。民営会社は利潤追求会社となる。「利益」を一切の行動原理とする空港株式会社には「公共性」は、かけらも残らない。威圧的な手段による切り崩し攻撃は、すべてが「金もうけのための農民いじめ」となる。
 これが、社会的批判の十字砲火を浴びることは火を見るよりも明らかだ。要するに民営会社となった後は、暫定滑走路の延長は不可能となり、成田空港建設事業の「破綻」が確定することになるのだ。
 他方で、2500b化を実現できないままでの民営化は、民営化自体を危機に陥れる。
 成田空港を民営化する最大の目的は、株式上場による巨額の売却益取得である。5万円の額面で300万株(1千5百億円)を発行する予定だが、上場時の株価によっては、これが1兆円にも化ければ、1千億円以下の額面割れに陥ることもある。すべては金融機関や機関投資家などの評価にかかっている。
 国土交通省は、この利益をあわよくば1兆円、悪くても5千億〜6千億円と見積もり、その大半を空港整備特別会計にくり入れ、関西国際空港の救済や羽田空港の再拡張予算に使おうとしている。
 ところが、財務内容、将来展望など成田空港に対する投資家の評価はすべて「暫定滑走路の2500b化」を前提にしている。
 2500b化を達成できない民営化は、あらゆる指標でマイナス評価となり、国土交通省の「最低でも5〜6千億円」という「皮算用」も、まったくの水泡に帰す事態に直面しているのである。
 何よりも暫定滑走路のままでは短くてジャンボ機が飛べず、長距離便が運航できない。その結果、「将来展望」にかかわる最重要の指標=便数の安定的増加が不可能となる。
 それどころか欠陥だらけの暫定滑走路がそのまま残るため、民営会社のお荷物になる。その中でも、大事故が不可避(すでに2度も連続している)という問題は、無視できない経営問題となる。投資家に対して意図的に隠されている問題だが、仮に事故が頻発した場合、直接の責任は航空会社にあるが、欠陥滑走路で運用を続ける民営会社自体の責任が問われ、巨額の賠償金で経営が揺らぐ可能性が大きい。
 暫定滑走路が暫定のまま固定することは以上のような重大なリスクをもたらすのだ。
 さらに、羽田空港の再拡張=国際線化が決定的となった結果、「暫定滑走路が2500b化できない」成田空港のままでは、沈没は不可避だ。
 09年に予定されている羽田空港の新滑走路完成と再国際空港化によって、成田発着のアジア便は大半が羽田に移管する。飛行時間の短いアジア便は、国内線のハブ空港である羽田で展開する方が断然合理的だ。
 国土交通省と自治体の間では、09年段階の羽田の国際線枠は年間3万回とされた。しかしこれは、成田の民営化に配慮した数字で、実は国際線として使える発着枠の余裕は09年時点で年間10万回近くに達する。
 結局、成田空港には、ごく一部のアジア線と長距離国際線と貨物便だけが残り、そのほとんどがA滑走路で運航することになる。大型機が使えず近距離便専用の暫定滑走路は、使い道がなくなり負担となる。
 このことは、堅実で安定した増便を一切の前提に事業計画、財務計画を立てる民営会社の存立を大きく揺るがすことになる。
 このほかにも、「資産価値」の指標に関して、成田空港株式会社は1兆円とされるが、すべてが「業務資産」であり、切り売りして利益を出す対象にならない。これもプラス評価にはほど遠い。
 「経営能力」指標に関しても、短縮滑走路を2500bにできない経営陣の能力や反対運動を根絶やしにできない現状が、マイナスの評価を受けることは確実である。
 つまり、暫定滑走路が暫定のままでは、上場時の売却益どころか民営化の展望自体が描けないという危機的事態をもたらすのだ。

 有事法制で成田も「指定公共機関」に

 一方、三里塚闘争の破壊攻撃をめぐる情勢は、今年6月の武力攻撃事態法をはじめとする有事3法の制定で一変した。成田空港は武力攻撃事態法に基づく政令で、日本赤十字、NHK、JR7社、電力7社、NTT10社などの52組織と並んで、指定公共機関として明記された。
 指定公共機関は、「武力攻撃事態への対処に関し、必要な措置を実施する責務を有する」(第6条)とされている。つまり成田空港は、有事となった瞬間、総理大臣の通達ひとつで軍事基地に転用される機関に、法的にも位置づけ直されたということだ。
 扇国交相は、成田空港株式会社法案の審議の中で「成田空港が民営化された場合の軍事使用のいかん」について聞かれ、「成田空港は、武力攻撃事態法の指定公共機関にされているから、民営化されても軍事動員は確保されている」(6月11日、参院本会議)と答弁した。
 反戦の砦=三里塚は、成田の軍事転用を許すか否かをめぐって反基地闘争の一端を担うことになった。軍事基地としての成田の機能は、「朝鮮有事」の際に、米本土から飛来する70万人規模の地上軍(注)を、関西新空港とともに中心的受け入れ基地となって処理し、日本各地の米軍・自衛隊基地を経由して朝鮮半島へ送り出す役割を果たすものとなる。さらに4000b級滑走路を必要とする悪名高いB52戦略爆撃機の離着陸にすら使用されようとしている。
 1950年の朝鮮戦争では日本列島全体が、朝鮮人民虐殺の出撃基地とされた。これと同じことをくり返すのか、成田空港から虐殺部隊を出兵させることを許すのか否かが、きわめて具体的な現実として、労働者人民につきつけられているのだ。
 日本帝国主義にとって、成田空港を包囲する三里塚闘争を破壊しなければ、軍事基地への転用は不可能である。成田空港周辺から空港反対闘争を一掃すること、ここに現在始まった三里塚闘争破壊攻撃の意図のひとつがある。
 そして同時に、日本の帝国主義支配を最先端で突き破っている反権力闘争・内乱的闘いの砦=三里塚を根絶する攻撃でもある。
 日本の社会は、2001年秋の「反テロ」関連国際条約批准を契機として、一気に戦前型の警察治安国家へとつくり変えられようとしている。
 「爆弾テロ防止条約」と爆発物取締罰則や火炎びん取締法などの強化、テロ資金供与防止条約、国際的組織犯罪条約などが次々と批准され、関連国内法の制定攻撃が激しい勢いでかけられている。とりわけ国際的組織犯罪条約にともなう関連法攻撃として現在、共謀罪の新設策動が、破壊活動防止法を上回る治安攻撃としてわれわれに襲いかかっている。
 また「国家権力への抵抗や資本への反撃を一切許さない」とする国労弾圧、部落解放同盟全国連寝屋川支部への弾圧、東北大および全金本山闘争への弾圧、九州大学自治会への弾圧、法政大学への学生運動弾圧など、反政府闘争、反戦闘争総体に対する戦後かつてない攻撃が行われている。
 こうした攻撃は、革命的武装闘争を粘り強く前進させ、千葉県収用委員会解体などの治安体制の破綻を支配階級に強制している三里塚闘争の根絶なしには、十分な効果を発揮させられない。
 だからこそ日帝・警察権力による国内治安戦争の要(かなめ)として今秋、三里塚への破壊攻撃が強まっているのだ。そして04年から07年の民営化プロセスをめぐる三里塚の新たな決戦は、朝鮮侵略戦争の攻撃とも完全に重なる。三里塚闘争破壊攻撃に対して全力で闘う時である。
 (注)作戦計画「5027−00(2000年度)」版で、来援米軍の数が従来の50万人から70万人に増強された。

 北側延伸の目的は反対農家追い出し

 始まった攻撃の第一は、暫定滑走路の北側延伸攻撃である。
 北側延伸計画とは、暫定滑走路を北側にさらに300b延長し、暫定滑走路を2500bにするものだが、空港運用的にはまったく意味のないムダな計画であることが反対同盟によって暴かれた。
 しかし、その意味のない計画を三里塚闘争の破壊のためだけに強行しようというのが北側延伸攻撃である。すでに黒野公団総裁は5月、「民営化前の2500b化は至上命令」との認識に立って、「北側延伸には3年かかる。株式上場予定の07年までに完成するには今秋が決断の時」と述べた。さらに7月11日、成田空港民営化法成立後の記者会見で「北側延伸計画を(脅しの)カードとしてはとっておく」と述べ、反対農家にすごんで見せた。
 上述したように、民営化前の2500b化は、日帝にとって、何がなんでも実現しなければならない最大級の課題だ。もし、失敗すれば暫定滑走路は「暫定」のまま永遠に固定する。
 つまり、「百年に一度の国策」(佐藤栄作元首相)が「失敗」の烙印(らくいん)を押されるのだ。権力が使えるすべての手段を使って攻撃してくることは明白だ。
 追いつめられた公団は、最後には、「反対農家を脅すため」だけにムダな工事に着工するという、前代未聞の攻撃も準備している。それによって「ジャンボ機を飛ばされたら住んではいられなくなる」と空港反対農民を屈服させ、一挙に三里塚闘争を破壊しようとしているのだ。
 攻撃の第二が、東峰神社裁判における和解策動である。東峰神社裁判でも公団は、全面敗訴の危機に追いつめられている。敗訴を免れるために現在、東峰部落に和解策動をもちかけ、部落の団結にクサビを打ち込むことを狙っている。
 第三は、民法による一坪共有地強奪である。公団は昨年12月、反対同盟の一坪共有地8カ所に対して、「民法」をタテに「売却の強要」を求める裁判を起こした。「民法による土地強奪」という手段自体が前代未聞であり、いかに公団がなりふり構わぬ攻撃を行っているかを示している。
 第四は、古典的な札束による地権者買収策動である。民営化まで時間がない中で、東峰部落をまるごと敷地内に囲い込み、金で買収しようという東峰貨物基地構想を使いつつ、「最後の切り崩し攻撃」を激化させている。
 第五は、連日頭上40bにジェット機を飛ばし、ジェットブラストを吹きつけている現状自体が、許しがたいたたき出し攻撃であるということである。
 第六に、警察権力による弾圧策動である。私服警察車両による反対同盟、現地支援の監視体制を強め、新たな弾圧と闘争破壊を狙っている。ガードマンによる農民への威圧も一線を越えている。
 38年間の成田空港建設を「破綻」に追い込めるかどうかをかけた決戦的闘いが始まる。暫定滑走路を廃港に追い込もう。反対同盟を先頭に激しい闘争破壊攻撃を粉砕しよう。10・12全国集会に大結集しよう。そして9・27―10・25世界反戦闘争に連帯しよう。 

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週刊『前進』(2119号5面2)

暫定滑走路延長阻止し軍事空港を廃港へ 10・12三里塚全国総決起集会へ
 反対同盟が招請状で訴え

 三里塚芝山連合空港反対同盟が、10・12全国総決起集会への招請状を発した。反対同盟の呼びかけにこたえ、全国から集まろう。(編集局)
 n招請状
 全国の闘う仲間のみなさん。来年四月の空港公団民営化が迫る中、三里塚闘争は暫定滑走路延長攻撃と闘う決戦に突入しました。この闘いは有事法制による民間空港の軍事基地化を阻止する闘いでもあります。私たち反対同盟は、十月十二日に全国集会を開催し、四月民営化に至る切り崩し攻撃との闘いに総決起する決意です。みなさんの結集を訴えます。
 七月十一日、成田国際空港株式会社法が成立しました。来年四月をもって空港公団は全額政府出資の特殊会社となり、三年後の〇七年に株式上場(完全民営化)を予定しています。羽田国際化は、新D滑走路の建設決定をもって本格的に動き出しました。成田空港は現在、政府の行財政破綻がもたらした公団民営化と、航空政策の全面転換による羽田国際化によって窮地に陥っています。
 周知のように暫定滑走路は短かすぎてジャンボ機が飛べず、国際線は一部のアジア便を除いて就航できません。重大事故が続発する欠陥空港です。しかも羽田国際化でアジア便の大半が羽田に移れば、暫定滑走路は使い物にならず経営上の重荷ともなるのです。黒野総裁は「民営化までに二五〇〇メートルにめどをつける」と発言し、延長強行の衝動をあからさまにしています。
 攻撃はすでに始まっています。東峰地区に対しては、民家上空四十メートル飛行を背景に「買収に応じなければ北側に延伸し二五〇〇メートルにしてジャンボ機を飛ばす」と脅迫しています。その工期を三年としてこの秋にも決断すると言って圧力を加えています。天神峰ではジェットブラストによる追い出し攻撃が続いています。対策フェンスのかさ上げ要求を空港公団は拒否し、成田市はこの住民無視を放置し加担しています。
 東峰神社裁判では、被告・空港公団が東峰区住民に対して和解を申し入れてきました。原告の全面勝訴が立証されつつあることに恐怖した公団の敗訴逃れの動きです。公団の策動をひとつひとつ打ち破り暫定滑走路延長攻撃を粉砕する決意です。
 有事法制とイラク新法で戦後の日本は一変しました。朝鮮半島危機のなかで、民間空港を侵略出撃の基地とする軍事空港化の攻撃が現実のものとなってきました。
 成田空港は指定公共機関とされたことから、有事にあってはいつでも軍事基地に転用されます。新たに発表された朝鮮侵略のための米作戦計画では、来援米軍の規模は五十万から七十万へと拡大修正されました。この基地の安定的供給のために三里塚闘争破壊の治安攻撃が強まることは避けられません。
 バブル崩壊後の不況は深刻さを深め、その矛盾のすべてが首切りと賃下げ、増税と社会保障制度の改悪となって私たちの生活を脅かしています。連合労働運動が右翼的転換に走るなかで、戦闘的な労働者の決起がひろがっています。
 反対同盟は動労千葉を始めとする闘う労働組合と連帯して闘います。全世界で高まる反戦運動と連帯して、アフガニスタン、イラク、パレスチナにおける侵略行為と虐殺を弾劾し、朝鮮侵略のためのあらゆる準備を阻止するためにたちあがります。米反戦団体ANSWERのよびかける十・二五統一行動に総決起しよう。十・一二全国集会は、暫定滑走路延長阻止の決戦であり、侵略戦争阻止のための総決起集会です。十・一二三里塚に全国から総結集されるよう訴えます。
  二〇〇三年九月十日
    記
イラク−朝鮮侵略戦争阻止・有事法制粉砕/暫定滑走路延長阻止し軍事空港を廃港へ
 10・12全国総決起集会
【日時】10月12日(日)
   正午
【会場】成田市東峰 反対同
   盟員所有地
【主催】三里塚芝山連合空港
   反対同盟
(連絡先)事務局長・北原鉱治 成田市三里塚115рO476(35)0062

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