ZENSHIN 2007/06/04(No2297 p08)

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第2297号の目次

(写真 自治労中央委“本部は総退陣を”と訴え 全国労組交流センター自治体労働者部会が5月29〜30日京都市で開かれた自治労第34回中央委員会に集まる組合員に「改憲・民営化攻撃絶対反対」「裏切り本部は総退陣せよ」と呼びかけた=記事次号)

1面の画像
(1面)
安倍内閣の暴走に断を   怒りの6・9大デモへ
労働者・学生は団結し革命に立て  革共同中央学生組織委員会
記事を読む  
教育労働者は6・9へ  現場の怒りを解き放ち闘わぬ日教組本部倒せ 記事を読む  
自治労中央委 “本部は総退陣を”と訴え(5月29〜30日) 記事を読む  
日程 6・16三里塚緊急現地闘争 記事を読む  
(2面)
“腐りきった安倍政権倒せ”   終日の国会座り込み貫く
教育4法の改悪阻止へ熱気
記事を読む  
今週 全力で国会へ  屈服する日教組本部打倒を 記事を読む  
東京「日の丸・君が代」不起立  入学式も昨年上回る決起
都教委の不当処分に怒り  “処分されても信念変えない”(5月25日)
根津公子さんの「停職出勤」報告
記事を読む  
朝鮮侵略戦争の体制づくり  米軍再編法の成立弾劾 記事を読む  
絶大な夏期カンパを訴えます
わが手で世界を変える時が来た!青年労働者・学生を先頭に革命を 
記事を読む  
日程 ■教育4法改悪阻止国会闘争 記事を読む  
(3面)
道州制導入叫ぶ日本経団連
地方自治制度の解体が狙い  9条改憲と一体の攻撃阻もう
記事を読む  
軍需物資の輸送を阻止  アメリカ・オークランド港で(5月19日) 記事を読む  
〈焦点〉 不明年金問題と労働者の怒り 今こそ安倍政権打倒の時 記事を読む  
〈焦点〉 賃金上げれば失業が増える?!  奇弁重ねる規制改革会議 記事を読む  
(4面)
革命が労働者の生きる道だ  6・9ワーカーズアクションin渋谷に大結集しよう
資本と連合・全労連指導部に青年労働者の怒りの大反乱を
記事を読む  
これこそ若者の労働実態 
現代の奴隷労働 風間直樹著『雇用融解』
記事を読む  
(5面)
改憲阻止の大闘争へ  労働者は安倍に怒っている 記事を読む  
新刊紹介 コミューン 7月号  ロシアの現状分析 記事を読む  
(6面)
改憲と一体の三里塚破壊を労農同盟の力で粉砕しよう
6月〜夏の攻防に絶対勝利を(斉田 猛)
記事を読む  
米とイランが公式協議  米帝のイラク「新戦略」破産(5月28日) 記事を読む  
2007年日誌 5月23日〜29日
米軍再編特別措置法案が成立  安倍内閣支持率、最低の36%に
記事を読む  
(7面)
裁判員制度うち砕く大運動を  戦時司法への大転換許すな
改憲阻止と一体で闘おう  保科俊介
記事を読む  
陪審制と愛国心  サッコ・ヴァンセッティ事件 記事を読む  
激動の世界 ロシアと米欧の対立激化(上)
米が東欧にMD配備計画  ロシアが軍事的対抗を宣言(藤沢明彦)
記事を読む  
(8面)
団結ひろば 投稿コーナー
東京西部許さない会 羽廣被告囲んで集会 東京・西部 内村喜美男
「3年後の改憲」攻撃に真っ向から対決! 東京・北部 飯沢和久
裏切り者に断を下し北島当選かちとった 東京 飯塚義夫
人事委審理を傍聴し不起立闘争に確信 東京・東部 美浜あゆ
理由もなく1年2カ月以上も強制入院 兵庫 吉村隆生
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人権賞ダブル受賞を記念し 救援センターが集会
“改憲と司法改悪阻む砦に”(5月26日)
記事を読む  
命を守る会 金城祐治さんを追悼する
仁王立ちして新基地阻んだ金城さんの闘いを引き継ぐ  革共同沖縄県委員会
記事を読む  
訂正 記事を読む  

週刊『前進』(2297号1面1)(2007/06/04 )

 安倍内閣の暴走に断を

 怒りの6・9大デモへ

 労働者・学生は団結し革命に立て

 革共同中央学生組織委員会

“今こそ安倍打倒の時だ!” 教育関連4法改悪案の採決阻止、腐りきった安倍政権打倒へ終日国会闘争を展開(5月31日 衆院第2議員会館前)=記事2面

 安倍政権は今や八方ふさがりの危機に陥り、腐敗し混乱した姿をさらけ出している。その危機を乗り切るために、ますます凶暴な改憲と戦争国家体制づくりにのめり込んでいる。この安倍の「暴走」に対し、怒りの声は日に日に広まり高まっている。労働者を搾取・収奪し、失業と貧困をもたらし、戦争に駆りたてる帝国主義体制に終止符を打て! 安倍政権に断を下そう! 今やそのときが訪れたのだ。革命勢力の登場は時代の要請だ。全国の労働者人民は6・9代々木公園に結集し、渋谷の街を席巻する大デモを闘おう。その先頭に青年労働者と学生が立とう。

 6・9の大爆発で法大生2人の仲間奪還しよう

 6・9渋谷への学生・青年労働者の怒りの大結集で、不当極まりない起訴攻撃と闘う法大生2人の仲間をただちにとりもどそう! まず私たちはこのことを何よりも訴えたい。
 なぜなら2学生への起訴こそ「労働運動の力で革命をやろう」という青年労働者・学生の闘いの爆発、それをひきつぐ大学キャンパスでの革命の主張の席巻、そして「法大は革命の学校」という闘いの大発展に対する当局・権力の恐怖に満ちた反動だからだ。だから6・9の大爆発にこそ2人をとりもどす力がある。
 もはや法大は「真理の探究」の場ではない。ひとたび学生が集会を呼びかけるや、キャンパスの至る所を封鎖し、それで大学の機能が破綻(はたん)しようが停止しようが、集会を圧殺しようとする。大学の中に入るや、「今なら公務員になるチャンス」「資格をとって差をつけよう」と仲間を蹴落とせと大学をあげて扇動する。これに加担し、また黙認し、大学の自治圧殺に屈している教員たちがやっている「学問」に一体なんの意味があるというのだろうか。
 大学は、「2人に1人が一生フリーター」という破産しきった資本主義に、どこまでもニセの「希望」や「展望」をぶら下げて学生をその鎖につなぐ階級支配の機関になりさがった。学生の団結に対しては恥も外聞もかなぐりすて、学生部長を先頭に国家権力とグルになって平然と学生を売り渡す。
 2人の学生は、この腐りきった大学と資本主義社会の現実に怒り、その打倒を呼びかけて立ち上がったのだ。逮捕・起訴は全学生・全労働者階級が彼らに続くことに恐怖した見せしめであり、分断だ。しかしこんなものに誰もひるまない。「起訴は大学の敗北であり、われわれの勝利」という新たな学生が次々と闘いに合流してきている。もはや階級支配の機関と化した大学、そして青年労働者を食わしていくこともできない資本家階級と資本主義を根本から爆砕する以外に私たちが生きる道はない。
 彼らと全世界の労働者・学生は強固な団結でひとつにつながっている。彼らを縛る手錠は、われわれを資本主義に縛りつけるものだ。団結のハンマーでこれをぶち壊して彼らをとりもどそう。絶対にひとつになろう。それが団結だ。

 <競争〉の押しつけに<団結〉たたきつけろ

 6・9に向けて、安倍・御手洗(日本経団連会長)への怒りを爆発させよう。そして団結をとことん訴えて闘おう。「資本家階級に本気で挑んだとき、本物の団結が生まれる」(動労千葉・田中委員長)のだ。
 「学生は団結しよう! 労働者とともに革命やろう」は全国300万学生の決起への檄(げき)であり、闘いのスローガンだ。続々と学生が革命家へと飛躍してきている。このスローガンとアジテーションでキャンパスを解放し、6・9に全国から新入生を先頭にして総決起しよう。
 資本主義とは競争を原理とする。これに対して「団結」とは競争の拒否であり、資本主義を否定する革命のスローガンそのものだ。そしてこの団結とは、自分にこの社会を変える力があることをつかむこと、そして隣の仲間にもその力があることを信頼してともに闘うことを呼びかけることだ。とりわけ大学は、今や資本家以上に競争をあおり、国家や資本への忠誠を誓わせる場になっている。だが、学生が競争を拒否して団結すれば、大学は「革命の砦(とりで)」となる。それが300万学生ゼネストだ。
 安倍政権はとてつもない危機だ。前代未聞の現役閣僚の自殺である松岡問題は、改憲攻撃へと凶暴に突進するがゆえの腐敗の極みであり、かつその土台の脆弱(ぜいじゃく)性を突き出している。労働者階級人民を食い物にした恐るべき腐敗は、松岡一人にかぶせても終息などできない。安倍を串刺しにして、安倍打倒――帝国主義打倒の絶好の情勢が到来したのだ。今この時も、どれだけの労働者階級人民が安倍によって殺され続けていることか。「消えた年金」問題も大問題だ。幹事長・中川は恥ずかしげもなく「社保庁の自治労国費協議会の国民不在の反合理化闘争の徹底検証をすべき」と居直る。はらわたが煮えくりかえる思いだ。「消えた年金」5000万件という事態は、青年労働者からは年金や福祉を奪いつくし、その上これまでの年金すら真面目に支払う気などさらさらなかったということだ。
 安倍が最大の政策とする「戦後レジームからの脱却」――改憲攻撃は、支配階級自身が、これまでの労働者階級の支配に行き詰まり、戦争と労組破壊・権利破壊で、クーデター的に階級支配の転換をはかろうというものだ。これは階級支配の破産の表明じゃないか。われわれがたたきつける闘いは、よりよい支配を求めるのではなく、搾取・収奪なしには成立しない資本主義という支配体制そのものの打倒であり革命だ。そして、青年労働者の職場での体制内労働運動の壁を打ち破る闘いとひとつになって、大学キャンパスで非和解に闘い、団結をつくりだすことが、安倍政権の改憲攻撃との対決の核心だ。

 資本主義の末期的危機見すえて革命的反撃を

 「生きさせろ」――このことが青年労働者・学生の切実な要求になっている。青年労働者の中で生きる道を求めて「戦争か革命か」の激しいせめぎあいが始まっている。『論座』1月号では、青年労働者が「希望は戦争」として「戦争は悲惨だ。しかし、その悲惨さは『持つ者が何かを失う』から悲惨なのであって、『何も持っていない』私からすれば、戦争は悲惨でも何でもなく、むしろチャンスとなる」と言う。
 しかし彼の言う「持つ者」も「持たざる者」も労働者階級だ。私たちは声を大にして訴える。敵は資本家階級だ! 労働者階級に戦争で死ぬか、働きつめて死ぬかの選択しか示せない資本主義こそ終わっている。安倍や御手洗は、労働契約法、ホワイトカラー・エグゼンプションなどで全労働者階級から極限的に搾取する社会を本気でつくろうとしているのだ。改憲は、労働者を分断し、競いあわせたあげく、資本家のための戦争で死ねということだ。いい加減にしろ! 奴隷の分け前をめぐる競争はもうやめよう、奴隷そのものの地位こそ廃止しよう。労働者階級が団結してゼネストをやれば、安倍も御手洗も一発でぶっ飛ばせる! 「労働運動の力で革命をやろう!」はすべての青年労働者の生きるための叫びだ。 
 とりわけ今、4大産別の闘いに、正規・非正規を問わず階級がひとつになり、労働者階級、学生、すべての人民がプロレタリア革命に向けて前進する道があることをはっきりさせよう。
 何が「公務員バッシング」だ。ふざけるんじゃない! これが自治労を壊滅し「公務員200万人をワーキングプアにする」ことだと支配階級はあけすけに述べている。95年の日経連報告から10年が過ぎ、資本家階級は3人に1人が非正規雇用の社会をつくりだした。5・23日本経団連総会で御手洗は、1年間の破産を開き直りつつ、@グローバル化のもとでの「国際競争力の強化」と「成長戦略」、A「聖域なき構造改革」、社会保障制度解体と民営化攻撃、B「究極の構造改革」である道州制導入の反動宣言を行った。しかしこれでも絶対に延命などできない。結局は資本家階級が生き残るためには9割の労働者を非正規雇用にするということだ。そのために労働者階級の反撃の拠点をつぶす必要がある。それほど労働者階級と労働組合を恐れている。だから改憲攻撃と一体で4大産別の労働組合を壊滅しようとしている。そうしない限り、すべての労働者を非正規雇用にたたき込むことも、戦争にかりたてることもできないからだ。改憲=4大産別決戦をとおしてこそ、労働者階級がひとつになり、プロレタリア革命に向けて前進できる。

 体制内労働運動打倒こそ労働者解放の道

 支配階級が労働組合の闘いに心底恐怖しその壊滅を宣言しているときに、既成労組指導部は何をやっているのか! 連合幹部は「24時間ストというドスを突きつけてこれ以下の回答は認めないというやり方がいいのか。グローバル化の時代、成熟した労使関係を持っている組合にふさわしい戦術ではない」などと言っている。自治労中央は、「平和基本法」制定による改憲容認と、ついには自治労解散――新組織「地域公共サービス労働組合連合会」の立ち上げに踏み出そうとしている。「公共サービス」とは当局・資本の言葉だ! 日教組本部は教育労働者版の分割・民営化攻撃である教員免許更新制に対して、驚くべきことに「さまざまな勤務形態の教職員に対応できる更新制になっていません」と更新制そのものを容認している。全労連も「働くルールを確立する」とぬかす。どれもこれも本当にふざけるな! 資本や国家のお先棒を担いだり、よりよい支配をお願いするのが労働組合なのか。労働者階級が生きられないこの時、こんな無様な姿でいいのか! 断じて違うはずだ! 
 改憲=4大産別攻防とは、この腐りきった体制内労働運動を打倒し、革命を掲げた労働運動をつくる闘いだ。そうでない限り、労働組合の名で労働者階級を抑圧する存在に転落する。峻厳(しゅんげん)な分岐点に今ある。

 世界革命の勝利めざし改憲阻止・日帝打倒へ

 なぜ生きることさえできない現実があるのか。今日の労働組合破壊・民営化、リストラや非正規雇用の拡大、超低賃金は80年代のレーガン、サッチャー、中曽根による「新保守主義(新自由主義)」以来のものだ。1975年世界同時恐慌によって戦後発展が行き詰まった帝国主義は、労働組合を破壊し、労働者階級から社会福祉を奪い、資本が利潤を極限的に追求する社会をつくりだした。
 しかし、帝国主義は本質的に行き詰まっているがゆえに、労働者階級を労働地獄にたたきこみながら、一方で米帝を軸に経済のバブル化で「成長」と「発展」の形をとり続けるしかなかった。これが「格差社会」の背景だ。しかしこれもついに破綻(はたん)した。2・27〜3月上旬の全世界同時株安と米住宅バブルの崩壊だ。住宅価格は下落し、「逆資産効果」による消費の減退、とりわけ自動車産業への影響が出始めている。90年代以来、株式・不動産バブル、ITバブル、住宅バブルと力づくでつくってきた景気浮揚が行き詰まり、いまや金融市場がヘッジファンドの食い物になる末期的事態だ。ドル暴落と世界的大金融恐慌と背中合わせの危機だ。
 他方で帝国主義は、世界の資源・市場そして勢力圏をめぐって争闘戦をはてしなく激化させ、その矛盾の爆発として侵略戦争に進んだ。「格差」と「戦争」が一体で登場してきた背景だ。しかしイラクで、アフガニスタンで、またパレスチナで、帝国主義の侵略戦争は敗北と敗勢に陥っている。とりわけ2万1000人の増派を決めた米帝ブッシュの「イラク新戦略」は、イラク人民の命がけの民族解放・革命戦争を生み出し、大破産している。米兵の死者は増えるばかりだ。日帝・安倍も「日米枢軸」路線のもとで、どれだけ絶望的であろうとイラク特措法2年延長、集団的自衛権の行使容認など、イラク侵略戦争から朝鮮・中国侵略戦争へ進んでいる。
 世界に搾取・収奪、貧困・失業・飢餓、そして戦争をまき散らしながら延命しようとする帝国主義者や資本家連中。奴らはけっして強大ではない。万策尽きて世界支配の大崩壊の危機に追いつめられているのが真の姿だ。

 世界の歴史動かす力は君の決断と行動だ

 帝国主義支配の最大の破産は、帝国主義打倒をめざす労働者・学生を一挙に大量に生み出しつつあることだ。
 80年代の中曽根による「国鉄分割・民営化」攻撃を2波のストライキで打ち破った動労千葉が、国際労働運動の結集軸になっている。11月労働者集会、3労組共闘と3国連帯の発展に対して国家権力・JR当局は、拠点職場つぶしを狙う大攻撃をかけてきた。これ対し、動労千葉は07春闘ストライキなど渾身(こんしん)の闘いで団結を固く守り抜く大勝利をかちとった。
 「社会のあり方が根本的に間違っている。だがこうした現状を生みだした責任の一端は闘いを忘れた労働組合にある。こんな現状にストップをかけ、社会の変革を実現するために、今何よりも求められているのは闘う労働組合の復権である。労働者が団結と誇りをとりもどすことだ」(『日刊動労千葉』)。ここに勝利の路線の核心がつまっている。
 さらに動労千葉とひとつになって、青年労働者・学生が「労働運動の力で革命をやろう」と全世界のイラク反戦闘争を牽引した。そして全国の職場・大学で資本・当局と体制内労働運動に対する闘いを開始した。沖縄では辺野古の新基地建設の「事前調査」に自衛隊が投入されたことに怒りが拡大し、海上での実力阻止行動が爆発している。三里塚では農地強奪、農業つぶしの「暫定滑走路」北延伸攻撃に対し、反対同盟が労農連帯のきずなも固く闘いに立ち上がっている。日本で、そして全世界で労働者階級が人間的階級的怒りを爆発させ、社会の主人公であるという誇り高き自覚で闘いを開始している。ここに革命の現実性がある。
 マル青労同1000人、マル学同1000人の団結をつくりだし、その力で11月1万人結集を実現することに、日本革命の道がある。歴史を動かすのは君の決断と行動だ。6月9日、渋谷―首都を「改憲阻止! 倒せ安倍 倒せ御手洗! 労働者の力で革命やろう」の怒りの大デモで席巻しよう!

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週刊『前進』(2297号1面2)(2007/06/04 )

 教育労働者は6・9へ

 現場の怒りを解き放ち闘わぬ日教組本部倒せ

 全国の教育労働者のみなさんに6・9集会への総結集を訴えます。
 青年労働者のネットカフェ難民や偽装請負で使い捨てにされている現実が知られるところとなっています。しかしなぜこうした現代の奴隷制度のような現実が悪化の一途をたどっているのか?
 不当労働行為が無数に積み重ねられ、毎日悔しい思いを続け、たまりにたまったこの怒りを、本来一切合切資本家にたたきつけて闘うはずの労働組合が、資本家の手先によって牛耳られ、「闘っても無駄、時代遅れ」と全力で鎮圧する側に回っているからです。連合・全労連中央こそ最悪の敵対物です。私たちは連合・全労連をぶっ飛ばし、自分たちの職場から闘う労働運動をつくりだせばいいのだという真理をつかみ、青年が先頭に立って実践を開始しました。労働者が権力をとり革命をやるためにこそ労働運動がある。この本来の道筋を6・9で全国いや全世界の労働者に示します。
 ここで教育労働者の決起が決定的なのです。なぜなら資本家どもは「教員は優遇された特権層」「日教組のゴネ得を許すな」と扇動し、非正規雇用労働者の不満をあなた方に振り向け、分断支配を狙っているからです。
 しかし教育現場の現実について怒りを無数に聞きました。業績評価が厳しくなり報告書を山のように書かされ、教育労働者の過労自殺・過労死・うつ病が激増しています。さらに学力テストが導入されて学校のランク付けも始まった。特に東京の現場は深刻です。03年10・23都教委通達以来、命令に従わなければ処分、職員会議で批判さえ言えない。しかも教員免許更新制を始めとする教育4法改悪が今、襲いかかろうとしている。特権どころか最も過酷な現場に立たされているではないですか。私たちは青年の当然の怒りを分断支配にねじ曲げることを絶対に許せない。すべての労働者が団結して闘う必要が今絶対にあるのです。そのために6・9の先頭に立ってください。
 教育現場の危機感と憤りに日教組本部は何をしているのか! 10・23通達にも、4法改悪にも、過酷な労働条件も、口先の反対もなく「慎重審議を要求する」「名称の変更を求める」とふざけた提案をしている。まさしく安倍政権の現場担当者の姿です! 国会前で「写真を撮るな!」「ビラをまくな!」といいがかりをつけるのは警察を除けば日教組本部と都高教本部だけです。
 これだけの攻撃と敵対をはねのけ、不起立闘争が営々と闘われていることに敬意を表します。いかなる処分恫喝も法律さえも、現場で決起したならばなんの効力もない。現場を握っているのは労働者であり、支配者は実に無力です。そのことを不起立闘争は教えてくれました。全国津々浦々30万人もの教育労働者が決起したとき革命の展望が切り開かれる。教育労働者は革命の現実性を握る存在です。だから資本家どもが日教組解体に必死になるのです。
 安倍政権打倒の絶好機が到来しています。今こそ労働者が敵のあらゆる分断支配をうち破って総団結して闘う時です。そして私たちの怒りは同質であり必ず団結できます。6・9で敵のもくろみを完璧(かんぺき)に打ち崩す闘いをたたきつけ、社会の主人公として登場しましょう。(WK)

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週刊『前進』(2297号1面4)(2007/06/04 )

自治労中央委 “本部は総退陣を”と訴え

 全国労組交流センター自治体労働者部会が5月29〜30日京都市で開かれた自治労第34回中央委員会に集まる組合員に「改憲・民営化攻撃絶対反対」「裏切り本部は総退陣せよ」と呼びかけた=記事次号

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週刊『前進』(2297号1面5)(2007/06/04 )

 日程 6・16三里塚緊急現地闘争

 「東峰の森」伐採弾劾! 新誘導路建設阻止
 6・16三里塚緊急現地闘争
 6月16日(土)午後1時30分成田市東峰・萩原進さん方畑
 主催 三里塚芝山連合空港反対同盟
 集会終了後に現地情勢報告会(3時から天神峰・市東さん方)

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週刊『前進』(2297号2面1)(2007/06/04 )

 “腐りきった安倍政権倒せ”

 終日の国会座り込み貫く

 教育4法の改悪阻止へ熱気

 参院文教科学委員会で教育関連4法改悪案をめぐる参考人質疑が行われた5月31日、国会前では座り込み、リレーアピールなどの抗議行動が終日展開された。参加者は「今こそ腐りきった安倍政権打倒の時だ!」と力強くアピールした。
 夕方5時からは、都教委包囲首都圏ネットワークが悪天候をついて座り込みと抗議集会を行った。この日から東京教組も行動に合流し、仕事を終えた教育労働者が国会前に駆けつけた。
 都教委包囲ネットの代表は、「教育関連法の改悪は、国家による教育の統制・支配に道を開くものだ」と4法改悪案を弾劾し、「反対の声を全国に発信していこう」と訴えた。都高教の「日の丸・君が代」被処分者は「改悪教基法下での現場での闘い、国会での法案阻止の闘い――この両面が問われている。現場では闘いを求める声があがっている」と、教育現場での怒りの高まりについて報告した。
 さらに「日の丸・君が代」被解雇者の会、多摩教組、世田谷教組など、力のこもった発言が続いた。5月27日に京都で開かれた「改悪教育基本法の具体化を許さない全国集会」に750人が集まり、伊吹文科相の事務所に抗議をたたきつけたことも報告された。
 反戦共同行動委員会は午前10時から座り込みとリレーアピールを続け、この日の闘いを戦闘的に牽引(けんいん)した。
 6月4日から北海道教組が国会行動に入る。国会の会期末まで残り3週間。国会情勢は、教育関連4法改悪案の採決阻止、そして危機を深める安倍政権打倒への巨大な流れを切り開くかどうかをかけた正念場に入った。6・9ワーカーズアクションは、いよいよ重要な闘いになった。
(写真 都教委包囲ネットの集会に仕事を終えた教育労働者らが多数駆けつけた。集中して発言に耳を傾ける参加者【5月31日 国会前】)

 危機にある安倍を直撃

 松岡農水相の自死は、安倍政権の底なしの腐敗をあらためて自己暴露した。金権腐敗、不明年金問題の噴出をも大きなきっかけにして、安倍政権は今や発足後最大の危機にある。
 こんな腐り果てた連中にわれわれの未来を決められてたまるか。教育労働者の全員首切り=選別再雇用を10年ごとに強行する教員免許更新制の導入など許せるか。
 こうした怒りを燃え立たせ、この日の闘いは意気高く打ち抜かれた。

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週刊『前進』(2297号2面2)(2007/06/04 )

 今週 全力で国会へ

 屈服する日教組本部打倒を

 教育4法改悪案の参院審議は野党の総屈服の中で強行され、今週にも委員会採決―本会議採決が狙われる重大情勢だ。
 改悪教基法の具体化である教育4法改悪は、その全体をとおして教育労働者の闘いと団結を解体し、戦争教育を労働者と児童・生徒に強制するものだ。まさに改憲攻撃と一体の攻撃であり、〈外への侵略戦争>〈内への階級戦争>の一環なのである。
 具体的には、次のような攻撃だ。
(1)教員免許法の改悪
 10年ごとの「教員免許更新制」を導入し、講習を義務づける。
(2)教育公務員特例法の改悪
 「指導が不適切な教員」を認定し、研修を受けさせる。研修終了時に「不適切」と認定されたら免職にし、教員免許も剥奪(はくだつ)する。10年ごとの免許更新を待たず、いつでも免職にされることになる。
(3)学校教育法の改悪
 義務教育の目標に「郷土や国を愛する態度」 「公共の精神」「伝統文化の尊重」などを盛りこみ、戦争教育、天皇制教育を狙う。また副校長、主幹教諭、指導教諭を新設し、校長を頂点とする上意下達の職場支配体制を確立して、現場労働者から職場支配権を奪おうとしている。
(4)地方教育行政法の改悪
 「日の丸・君が代」を指導しない、全国一斉学力テストに参加しないなどの教育委員会に、国が「是正要求」「指示」を出せるようにする。これにより、国家が自治体の教育行政に直接介入する道を開く。
 こんな改悪は絶対に阻止しなければならない。
 何よりも教育現場には、闘いを求める組合員の声があふれている。多忙化と管理強化、分断と競争の人事・賃金制度、組合活動への締めつけなど、日教組本部が屈服していることによって、労働者は極限的なストレスを強いられている。改悪教基法と教育4法改悪は、この上さらに労働者に一層の奴隷的屈服を強いるものだ。多くの教育労働者が、現状を根本からひっくり返すような闘いを望んでいる。
 ところが日教組本部は「免許更新制」そのものは完全に認めた上で「さまざまな勤務形態の教職員に対応できる更新制になっていません」とか「画一的な『研修』を増やすにすぎません」などと注文を付けているありさまだ(5・14付「ニュースフラッシュ」)。一切の反対闘争を放棄しただけでなく、組合員の闘いを必死になって妨害しているのだ。
 いま全国の教育労働者がすべての産別の労働者と連帯して反撃に立つならば、4法改悪を阻止し、さらに、危機をさらけ出している安倍政権を打倒することができる情勢である。
 日帝への屈服を深める日教組本部を現場組合員の闘いで打倒し、闘う日教組を再生しよう。職場から闘いを巻き起こし、今週の国会闘争に全力で結集し、なんとしても成立を阻もう。
 6・9ワーカーズアクションに結集しよう。

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週刊『前進』(2297号2面3)(2007/06/04 )

 東京「日の丸・君が代」不起立

 入学式も昨年上回る決起

 都教委の不当処分に怒り

 “処分されても信念変えない”

 東京都教育委員会は5月25日、4月の入学式での不起立を理由に、都立高の教育労働者6人、都立養護学校1人の計7人に処分を発令した。
 内訳は、減給(10分の1)6カ月2人(3回目の不起立)/減給(10分の1)1カ月2人(2回目の不起立)/戒告3人(初めての不起立)。卒業式に続き、入学式でも昨年を上回る不起立闘争が闘いぬかれたのだ。
 処分発令当日、会場の東京都教職員研修センターには、約80人の教育労働者・市民が駆けつけた。「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会を先頭に、雨に負けず力強くシュプレヒコールを繰り返した。
 3回目の不起立で減給6カ月の処分を受けた男性は、「経済的には厳しい。精神的にも『この先どうなるんだろう』という思いはある。しかし、都教委にどんなに不当な処分を受けても、自分の信念は変えられません。これからも変わらずに闘い続けていきます」ときっぱり述べた。
 今回初めての不起立で戒告を受けた女性労働者は「私の勤務している定時制高校には、外国籍の生徒やいろんな考えの生徒がいる。『君が代』強制には反対。都教委は定時制高校を半減させようとしているが、不合格者を出さざるをえないほどに定時制を受ける生徒は増えている。『日の丸・君が代』だけでなく、都教委の教育政策に強い憤りを持っているので、不起立した」と述べた。
 今年3月の卒業式での不起立を理由に6カ月の停職処分を受け、「停職出勤」闘争を続けている根津公子さんも駆けつけて発言した(別掲)。
 処分を受けた労働者はみな、堂々と、どんな処分にも揺らぐことのない強さを見せていた。
 03年「10・23都教委通達」から4年目、そして改悪教基法が施行されて初めての卒・入学式。東京の教育労働者は、卒業式・入学式ともに、昨年を上回る「日の丸・君が代」不起立・ピアノ伴奏拒否をたたきつけた。この4年間で、「日の丸・君が代」処分は、累計で388人になった。石原・都教委にも安倍にも、戦争協力拒否を貫く教育労働者の闘いは、けっしてつぶすことはできない。
 この力で、「日の丸・君が代」被処分者を先頭に、「闘う日教組」の再生へ闘いぬこう。改悪教基法を具体化するための教育4法改悪阻止へ突き進もう。改憲投票法と対決して改憲阻止闘争の先頭に立とう。そして、根津公子さんの解雇を絶対に許さない大運動をつくり出そう。
(写真 教育労働者を先頭に80人が集まり、「都教委は処分をやめろ」と抗議の声を上げた【5月25日 水道橋】)
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 根津公子さんの「停職出勤」報告

 私は3月に停職6カ月の処分を受けました。都教委は「停職は6カ月まで」と言っていますから、あとはない。10カ月後には免職ということです。どうしても食い止めなければなりません。
 停職3カ月の処分を受けた河原井純子さんとともに、免職を止めるために裁判をしています。みなさん、都教委に「免職にするな」の声を上げてください。私も河原井さんも、免職の攻撃をかけられても自分たちの気持ちは曲げません。都教委と徹底的に闘います。
 私は4月から都立南大沢学園養護学校に異動させられました。市立中学校勤務だと市教委が間に立つので、都教委直轄の都立校にしたのです。 「停職出勤」で門前に通っていますが、「トイレを使わせて欲しい」と言うと「緊急でなければ貸せない」。事務室に質問に行こうとしたら、事務の人を呼んできて外で話をさせる。停職が終わる9月30日までは一歩も入れないと言うのです。人権侵害も甚だしい。
 幸いにも、生徒の通学に付き添ってくる保護者たちが励ましの声をかけてくれます。そういう人たちに、今都教委が行っていることをしっかり伝えていきます。一緒に頑張りましょう。

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週刊『前進』(2297号2面4)(2007/06/04 )

 朝鮮侵略戦争の体制づくり

 米軍再編法の成立弾劾

 米軍再編推進法(駐留軍等再編円滑実施特別措置法)が5月23日の参院本会議で可決・成立した。この法律は、在日米軍再編への協力の度合いに応じて地方自治体への交付金の支給に差を付け、米軍再編に「アメとムチ」の政策で協力させようとするもので、日帝・安倍政権が米帝とともに朝鮮侵略戦争に突入していこうとするきわめて重大な攻撃である。
 今国会で安倍政権は、改憲に向けた国民投票法を強行成立させ、改憲で戦後体制をクーデター的に転覆し、戦争に突入していこうとしている。さらに改憲を待たずに侵略戦争に突入していくために、集団的自衛権の行使を容認するための有識者懇談会を発足させた。戦争のできる帝国主義への飛躍を一気に推し進めようとしているのだ。
 米軍再編推進法は、防衛相が関係自治体を「再編関連特定周辺市町村」に指定し、@再編計画の受け入れ、A環境影響評価の着手、B施設整備の着工、C工事完了・運用開始―の4段階で「再編交付金」を上積みしていく仕組みになっている。特に負担が重い市町村には、公共事業での国の補助率もかさ上げする。政府はこうした仕組みで、米軍再編をとにかく強制的に進めようと狙っているのだ。
 同時に、これは政府の戦争政策に自治体と自治体労働者を屈服させ、人民の反対運動を暴力的に押しつぶして、戦争国家体制を築こうとするものである。道州制によって戦後の地方自治制度を解体し、戦争国家体制をつくろうとする攻撃の先駆けでもあるのだ。
 特に重大なのは、この5月に、沖縄・辺野古の新基地建設のために海上自衛隊が出動したことである。「請負業者の作業を手伝う」という装いをとってはいるが、住民の反対運動によって建設計画が破産してきた辺野古に自衛隊が出動して、沖縄の人民に対して銃口を向けたのである。〈外に向かっての侵略戦争>は、同時に〈内に向かっての階級戦争>でもあるのだ。
 米軍再編は、イラク侵略戦争によって石油・資源の略奪と中東・世界支配体制の再編をかけた侵略戦争―帝国主義間戦争の過程に突入した米帝が、朝鮮―中国侵略戦争に向けた戦争体制を構築する攻撃である。安倍政権は、戦争のできる帝国主義への飛躍をかけて、この戦争に参戦しようとしている。米軍再編への協力は、中央即応集団の形成やミサイル防衛(MD)体制の構築など、自衛隊自身の再編と一体なのである。中央即応集団という名の侵略突撃部隊を形成することによって、自衛隊は本格的に侵略軍隊へと変ぼうしようとしている。
 安倍政権が戦争突入に向けた凶暴な攻撃に出てきたのは、帝国主義が抜きさしならない危機に追い詰められているからである。帝国主義間争闘戦が戦争として爆発していく時代に、日帝は最弱の帝国主義に陥った現実に追い詰められている。労働者階級の大反乱を巻き起こして、安倍政権を打倒する好機が到来している。
 6・9ワーカーズアクションに総決起しよう。

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週刊『前進』(2297号2面5)(2007/06/04 )

 絶大な夏期カンパを訴えます

 わが手で世界を変える時が来た!青年労働者・学生を先頭に革命を 

 すべての同志、支持者、『前進』読者の皆さんに、歴史を決する圧倒的なカンパの集中を訴えます。

 「戦争か革命か」の時代に

 皆さん、安倍が国会でやっている改憲国民投票法強行採決、年金の扱い、沖縄の米軍基地強化、クラスター爆弾の居直りを見て下さい。
 職場ではどうですか? 毎年賃金は下がり、税金や諸料金は上がる一方。サービス残業や交代勤務での深夜労働が当然のようになり、睡眠不足で起きた事故は労働者の責任にされる。有給休暇申請も無視。それを改善要求として口にしたら、春闘集会もやらなかった御用組合が突然「組合破壊の分裂策動だ」と攻撃して職場集会をやり始める。本当にもうふざけるんじゃない!
 この根本にあるのは、安倍の「戦後レジーム(体制)からの脱却」です。それは戦後史をすべてひっくり返して、戦争・改憲に全社会を総動員する大攻撃であり、支配階級の断末魔の悲鳴でもあります。
 戦争・改憲攻撃とは何か? それは、体制内労働運動―御用組合の職場支配を通じて、労働者階級の決起を防ぐことを核心としています。
 改憲そのものと、もう一方での民営化や労組破壊、低賃金と長時間労働、非正規雇用と無権利化や労働法制改悪などの攻撃は、政治・経済二つにして一つの構造にあります。職場で労働者に反抗させない攻撃と、戦争にいく労働者をつくることも二つにして一つです。
 この中で「戦争でも起きない限り、今の状況は変わらない」と言う青年も出てきました。こうして現代は、支配階級においても労働者階級においても「戦争か、革命か」が問題になっている時代であり、「改良政治」の余地はありません。現に「ワーキングプア」や「ネット日雇い」の現実が知られるようになった途端、安倍が行ったのは「犯罪の温床」と言いなして弾圧する「ネットカフェ狩り」ではありませんか。

 革命をめざす決起の開始

 06年から始まった「党の革命」の前進の中で、今、全党が格闘しながら巨大なエネルギーを解放し始めています。「革共同に結集した全員がいま一度、自分の今までの一切を洗い出し、自己切開して、革命路線として労働運動・労働組合の再生をかちとって安倍・御手洗との正面戦に入る」(『共産主義者』152号 木崎冴子論文)実践の始まりです。
 こうして今春、動労千葉の館山運転区・木更津支区廃止攻撃阻止ストライキと一体で、「労働運動の力で革命をやろう」のスローガンを掲げた3・18日比谷野音集会とデモが2070人の結集で闘いとられました。またこの力で、4月統一地方選に闘う候補を擁立し、杉並区・相模原市・高槻市・八尾市などで勝利をもぎりとりました。改憲投票法案をめぐる国会闘争に連日決起し、5月14日、参院強行採決には1000人の労働者・学生が国会を包囲して闘い抜きました。
 さらに「闘うアジア人民との連帯」が、韓国・民主労総ソウル地域本部20万労働者との日常的合流として発展しています。「日の丸・君が代」不起立で執行部選挙を闘う教育労働者が、ILWU(国際港湾倉庫労組)を始めとしたアメリカの階級的潮流と結合しようとしています。
 発展の核心は、3・18集会で群がる右翼を追いつめて権力もろとも粉砕した、数百人の青年労働者・学生の、団結を固めた、自信にあふれた隊列の形成にあります。

 青年・学生が時代を開く

 彼らは何を訴えているのか? 国会前で織田陽介全学連委員長がマイクを握り、「労働者が立ち上がった時に歴史は動く。労働者とともに学生は立ち上がる時だ。私たちが生まれたこの時代は絶望の時代などではない。自分のこの手で世界を変えることのできる最高に胸躍る時代だ。隣の仲間がともに資本主義を打ち倒すかけがえのない仲間だと気づいた時、自分の本当の力が解き放たれる。仲間と団結して立ち上がれば、それが革命の開始だ!」と呼びかけました。
 こうして国会前での連合・全労連傘下の労働者との交流や、地域での実践が広がり、体制内労働運動を打ち破る決起が始まっています。青年労働者が既成の壁を打ち破って「生きさせろ」「住む場所をよこせ」と闘うために団結し、労働組合をつくり、陸続と決起しつつあります。この動きは「3・18闘争は本当に決定的で先進的だったのだ!」と確信を深めさせます。
 皆さん! 改憲投票法の強行から「3年間」の大決戦をいかに勝利していくのか? それは、今日の闘いを職場で、大学で、沖縄で、部落でこじ開けている青年労働者・学生の決起を軸に、1000人のマル青労同と1000人のマル学同建設を水路に、11月労働者集会への1万人結集を今秋実現することです。
 なぜか? 連合・全労連指導のあまりのひどさに、2000万人の青年労働者を始めとする労働者階級の大反乱は不可避だからです。自治労中央はついに、大会で「自治労」の名前も捨てることを提案しようとしています。日教組も全教も改悪教基法に屈して改憲勢力に転落しています。しかし、昨秋の教基法闘争に連日数千人が決起した教育労働者、「21世紀宣言」を全国大会で一度粉砕した自治体労働者の決起は、既成指導部を踏みしだいて発展しています。また、国労、全逓、民間職場の労働者の階級性と底力は赤々と燃えています。カギを握るのは、青年労働者の決起であり組織化です。

 革命の時代担うカンパを

 日本の労働者階級は、戦前・戦中にあれだけの天皇制教育を受けながら、敗戦から1カ月もたっていない9月13日には読売大争議を爆発させました。現代は1945〜47年の戦後革命期以上の革命の時代です。革共同は皆さんとともに必ずそれを実現します。そして今年こそ、獄中32年の星野文昭同志の奪還を決定的に引き寄せましょう。これらのための闘いの資金の集中を、心の底からお願いいたします。
 夏季一時金支給時にあたり、4大産別と民間基幹産業など10万円単位のカンパが可能な人はそれ以上に、そしてすべての皆さんが革命の時代をともに担うために、カンパ闘争に立ち上がることを訴えます。
 最後に。60年代以来の激動を歩んでこんにち「退職」する労働者の皆さん。本当にご苦労様でした。皆さんの意志と闘いは確実に青年労働者・学生の人生をかけた決起として受け継がれています。これを支える巨額のカンパへのご決断をぜひともお願いいたします。

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週刊『前進』(2297号2面6)(2007/06/04 )

日程 ■教育4法改悪阻止国会闘争

■教育4法改悪阻止国会闘争
 6月5日(火)/6月7日(木)
 (毎週火、木が参院文教科学委の定例審議日)
 5、7日 午前10時〜午後5時
  反戦共同行動委員会の国会前座り込み
 7日 午後5時〜7時
  都教委包囲・首都圏ネットの国会前行動
■参院文教科学委員会の採決日および本会議採決日の緊急闘争
 行動方針は前記と同じ

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週刊『前進』(2297号3面1)(2007/06/04 )

 道州制導入叫ぶ日本経団連

 地方自治制度の解体が狙い

 9条改憲と一体の攻撃阻もう

 安倍政権は道州制導入に向けて本格的に走り出した。内閣府に設置された地方分権推進委員会や、渡辺喜美道州制担当相のもとでの「道州制ビジョン懇談会」、自民党の道州制調査会など、支配階級は総力を挙げて道州制導入に向けての具体的プランづくりに入っている。とりわけ、日本経団連が3月末に打ち出した「道州制の導入に向けた第1次提言」は重大だ。まさにこれは9条改憲と一対をなす攻撃だ。地方自治制度は9条と一体となって戦後体制の骨格を形づくってきた。日帝は、改憲への具体的な道筋をこじ開け、それを実質的に貫徹するものとして、道州制導入に本格的に踏み込み始めたのだ。

 国の役割は戦争遂行に純化

 地方分権推進委員会の初会合で安倍は、「『美しい国、日本』をつくるためには、わが国の戦後の基本的枠組みを大胆に見直す必要があり、国と地方の関係も思い切って変えていかなければならない」と言い放った。安倍の言う「戦後レジームからの脱却」にとって、道州制導入は9条改憲と並ぶかなめに位置づけられている。
 それはまさに、戦後体制の柱の一つが地方自治制度にあったからだ。9条解体を核心とする改憲は、地方自治の解体によって実質化されるし、道州制導入に向けてのプロセスが改憲攻撃を促すものになっていく。
 日本経団連が3月28日に打ち出した「道州制の導入に向けた第1次提言」は、道州制導入の時期を「2015年度」と明記し、そのための関連法案を2013年度に成立させるとしている。これは、御手洗ビジョンが「2010年代初頭の改憲をめざす」と呼号したことと軌を一にする。事実、安倍政権はブルジョアジーの意向に沿って改憲投票法を成立させ、2010年をめどとする改憲原案の策定に向かって突っ走り始めた。
 道州制が導入されれば、国の役割は資本の支配の貫徹と戦争(侵略戦争)の遂行へと徹底的に純化される。日本経団連提言は、「国の役割は、外交、防衛など国家としての存立にかかわるものや、司法、通貨政策やマクロ的な経済政策、国家の競争力を左右する科学技術政策、資源・エネルギー政策など、必要最小限のものに限定すべきである」と述べている。つまり、社会保障や雇用政策はもとより、中小企業政策や農業政策にも、もはや国家は責任を取らないということだ。
 これは、戦後体制を根本的に転換させるものになる。戦後革命を圧殺することによって支配体制を確立した日帝国家は、その代償として労働者階級に一定の譲歩をした。その中でブルジョアジーは「福祉国家」を掲げ、経済成長の成果をある程度は労働者階級にも配分し、また退職後の労働者の生存も最低限度で成り立たせる体制をつくってきた。それによってプロレタリア革命を未然に防いできたのが戦後体制だったのだ。
 その「福祉国家」の現場における担い手が自治体労働者だ。自治体労働者の職務の大半は、社会保障や住民福祉にかかわるものだと言っても過言ではない。道州制の導入とは、「住民の生活保障」を統治機構の基本的な役割の一つにさせてきた階級関係を、自治体を解体することをとおして覆そうとする攻撃だ。
 侵略戦争への労働者の動員も、それなしには貫徹しえない。憲法9条と一体のものとしてある地方自治制度は、戦争をしないことを前提につくられたものであるとともに、国家が戦争に突き進むことへの制度的な歯止めをなすものでもあるからだ。実際、人民を戦争に動員する「国民保護法」にしても、地方自治体が協力を拒否することも制度上は可能だ。そもそも、生存権保障など取っ払わなければ、労働者を戦場に駆り立てることはできない。
 国家の役割が「外交・防衛」に純化すれば、国会のあり方も根本から変わる。日本経団連提言は、「(道州制導入により)国会議員は……外交・国防などわが国の国益に直結する政策に注力することができるようになる」とうそぶいている。国会や国政選挙は、もはや「国民生活」をめぐる議論の場ではなく、いかに侵略戦争を展開するかをめぐる議論の場になるというのである。

 「究極の構造改革」唱え暴走

 日本経団連提言はサブタイトルに「究極の構造改革を目指して」を掲げた。「道州制の導入は、いわばわが国が直面する内外の様々な課題の解決に向けた『究極の構造改革』」だというのだ。
 小泉登場以来の「構造改革」が労働者にもたらしたものは何か。徹底した不安定雇用と低賃金、貧困化こそがその結果だった。複数の仕事をかけ持ちしても年収200万円に満たない労働者や、派遣や請負という雇用形態に縛り付けられた労働者。人間的尊厳をかけてささやかな権利を主張すれば直ちに解雇が襲いかかる許し難い現実。こんな資本の専横をとことんまではびこらせようとするのが道州制の導入だ。
 経団連は、その意図を次のようにあけすけに述べている。「アジアなど新興国が台頭しグローバル競争が激化する中で、コンペティティブ・エッジ(競争力格差)を確立することによりわが国全体の国際競争力を強化する」「グローバルな視点から成長戦略を練り、道州自体が国際的な競争に挑み、それを通じて経済発展を実現する」
 つまり、国際的レベルで死闘戦を展開する資本の利害に沿って、統治のあり方を根本的に再編せよということだ。しかもそれを、道州相互の競争をつうじて貫徹するというのである。道州は、いかに法人税が安いか、誘致した企業への補助金がどれだけ高いか、労働者の権利をどれだけ踏みにじったかをめぐる激烈な競争にたたき込まれる。
 ここでは、国はもとより道州も住民生活に責任を負うものではなくなる。だから経団連は、「少子化・高齢化が進む中で、住民がもっぱら自らの利益のみを求めて行動する『権利要求型の社会』は、今後成り立たないことは自明」と平然と言ってのけている。
 地方分権推進委員会の議論の中でも、「ナショナルミニマムの極小化」が繰り返し唱えられている。ナショナルミニマムとは、住民生活にかかわる最低基準を国が決め、どの地域に住んでいてもそのラインは保障される仕組みのことだ。ところがこれは「自治体に対する国の介入」として描き出され、「地方分権」とはそうした国の関与を極力排除することだとされている。そうなれば、生活保護も社会福祉も教育も、自治体の財力に応じてやってもやらなくてもいいものに変えられてしまうことになる。

 自治体労働者先頭に反撃を

 日帝が戦後体制の支柱をなす地方自治制度の解体に踏み込んできたのは、帝国主義の体制的危機に促されてのことだ。
 とりわけ、日帝の財政危機は深刻だ。「三位一体改革」の名で強行された補助金・交付金の削減により、国から地方自治体に回る金は1・7兆円も減らされた。
 夕張市の財政破綻(はたん)が表面化し、再建管理団体に転落したのも、地方交付税交付金の大幅な削減が直接の引き金となった。国の管理下に置かれた夕張市では、「全国最高の負担と最低のサービス」と言われるように、住民と自治体労働者に徹底して犠牲が押しつけられている。市職員の賃金は3割カット、市民税や上下水道使用料は大幅アップ、ゴミ収集は有料化、市立総合病院は診療所に変えられ、指定管理者制度によって民間の運営となった。
 この事態は、けっして炭産地であった夕張市の固有の事情だけが原因なのではない。地方交付税交付金の減額は、全国至る所の自治体を危機に追いつめている。日帝は、そこにつけ込み、地方自治を解体して道州制に道を開こうと策している。
 衆院を通過した「地方自治体の財政健全化法案」は、財政的に立ちゆかなくなった自治体を早期に国家管理のもとに置くとするものだ。この法案には盛り込まれなかったが、日帝の意図が「自治体破産法制」にあることも明白だ。これは、民間企業の破産手続きと同じように、財政の悪化した自治体を破産財団として扱うというものだ。そうなれば、自治体は資金を貸し出した金融資本の管理下に置かれる。
 今日、多くの自治体が「夕張のようにならないために」と言いながら、福祉切り捨て、職員の賃金切り下げ、住民への負担転嫁に走っている。それは、結果としては「夕張と同じ」事態を住民や自治体労働者に強制するものになる。
 こうした攻撃の最大のテコとなっているのが、指定管理者制度などを用いた民営化だ。そして、その最先端を突き進んでいるのが、杉並区の「丸ごと民営化」計画だ。
 夕張市では市職員の半数が退職に追い込まれた。これを恫喝材料に、経団連は「自治体労働者200万人首切り」の大攻撃にのりだそうとしている。経団連提言は「(道州制導入で)公務員数および人件費の削減もあわせて達成することが可能となろう。その結果……多くの優秀な人材が労働市場に流入……労働力人口の新たな供給源となろう」と叫んでいる。
 だが、道州制導入に対して最大の障壁をなしているのは、まさに300万人自治体労働者の存在そのものだ。戦後体制のもとで形成された自治体労働者のあり方をたたきつぶさない限り、単なる機構の再編だけでは道州制は完成しない。だから日帝は、自治労に攻撃を集中し、自治労を解体するために自治体そのものをたたきつぶす攻撃に踏み込んできたのだ。これを貫徹できなければ、道州制は支配階級の虫のいい夢想にとどまる。
 道州制導入を叫び立てているのは、「工場法以前に戻せ」とわめく御手洗や、杉並区・山田区長のブレーンでもある道州制ビジョン懇談会座長の江口克彦ら、復古主義的国家主義・天皇主義の権化のような連中だ。こうしたイデオロギーを動員しなければ、道州制に向けた凶暴な攻撃は推進できない。だが、そこに敵階級の破産もある。
 統治機構の中に存在する自治体労働者が激しい攻撃にさらされているのは、帝国主義の支配が成り立たなくなっているからだ。青年労働者を先頭に革命を掲げた新たな労働者の闘いが始まった。自治体労働者がプロレタリア革命に向けて立ち上がってこそ、すべての苦難を突破できる。自治体労働者を先頭に、全労働者が改憲阻止−道州制阻止の大闘争に立とう。

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週刊『前進』(2297号3面2)(2007/06/04 )

 軍需物資の輸送を阻止

 アメリカ・オークランド港で

 教職員組合がピケを組織化

 5月19日早朝からオークランド港の港湾荷役会社SSA社のふ頭で、軍需物資輸送阻止を呼びかけるピケが張られた。ピケはサンフランシスコ湾岸の諸団体の統一行動で、主力は執行部を先頭に決起したオークランド教組(OEA)だ。
 港湾労働者はピケを越えず、就労しなかった。港湾労働者は、ILWUローカル10(国際港湾倉庫労組第10支部)の組合員だ。就労拒否は、ILWUと経営者団体の間の労働協約の「衛生・安全問題がある場合には就労の義務はない」という条項で認められている。03年のイラク開戦直後、反戦団体のピケとデモを警察が襲撃し、港湾労働者も負傷したので、今回も危険だということだ。
 ILWUと経営者団体PMA(太平洋海事協会)の仲裁人は、ピケ開始の2時間後に、このピケは協約の「衛生・安全の事由にはあたらない」という裁定を出した。だが、労働者たちは不就労の姿勢を変えなかった。
 SSA社は結局、「この日の賃金は払わない」としただけで、労働者を帰宅させた。この日、結局、昼夜完全に荷動きが停止した。
 SSA社は、03年3月20日の開戦直後の24日、イラク唯一の本格港湾であるウムカスル港の運営を請け負った。イギリスのP&O社などが入札を要求したが、ブッシュ政権はにべもなく拒否し、入札なしでSSAと契約した。
 SSAは、軍需物資の荷役で戦争を推進しただけでなく、国営港湾ウムカスルを民営化してイラクの資産を略奪し、労組への破壊攻撃を行った。
 02年のILWUの労働協約更改闘争に対するロックアウトを最先頭で行い、ブッシュ政権にタフトハートレー法発動を要求したのもSSAだ。
 この戦争と民営化・労組破壊への怒りが今回のピケとなったのだ。
(写真 オークランドのピケ。横断幕は「戦争輸送を止めろ! 港の収益を地域に」「港の収益をオークランドの公立学校へ。ウォールマートやチャータースクールではなく【OEA)」(5月19日】)

 港湾会社栄え学校は荒廃

 オークランド港は、巨大な利益を上げている。米企業の国内生産拠点が次々に海外移転し、アメリカ西海岸の港湾が扱う貨物量は特に増えているからだ。イラクの戦場に送る軍需物資も多い。
 港湾会社の巨利とは対照的に、オークランドの学校は破産状態になっている。資金が回されないからだ。
 だが、この学校破産に対して、市教委の「経営が悪い」という攻撃がされ、州当局が直接にオークランドの教育を管轄することになった。
 そして当局は、OEAがこれまでかちとってきた労働協約を破壊する攻撃に出てきた。03年には賃金4%カット、06年には従来全額雇用者負担だった医療保険に被用者負担の導入を求めてきた。
 学校設備はさらに老朽化し、荒廃した。学校の閉鎖、チャータースクール(公設民営校)化が相次いだ。
 06年、このような労働協約を結んだOEAの執行部に対して、闘う勢力が6月の役員選挙に挑戦し、勝利した。
 そして、戦争との闘いと、労働条件、教育を獲得する闘いがともに闘われるようになっていった。今回のピケで示された港湾労働者との固い団結は、その基軸なのだ。

 闘うILWU守る08年決戦

 ILWUは、アメリカで最も戦闘的・階級的な組合だ。しかも、帝国主義の物流の根幹を握っている。だからこそイラク戦争突入過程の02年、米帝は全体重をかけてILWUを壊滅させようとしてきたのだ。ILWU本部は「争議はテロリストを利する」という恫喝に屈し、就労は必ず組合をとおして行うというILWUの団結の根本にかかわる協約条項を破壊する道を開いてしまった。
 だが、ローカル10を先頭とする現場の労働者は、08年の協約更改時決戦でILWUを守り、再生させようとしている。
 ILWUの団結が守られるか否かに労働者階級全体の命運がかかっている。だからこそOEAの教育労働者は、全力で港湾ピケに決起したのだ。

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週刊『前進』(2297号3面3)(2007/06/04 )

焦点 不明年金問題と労働者の怒り

 今こそ安倍政権打倒の時

 終盤国会に年金問題が急浮上した。不明年金問題である。
 払い主が不明になったままの国民年金・厚生年金の記録件数が5095万件あるという衝撃的事実が明らかになったのだ。97年に1人に一つの基礎年金番号を導入する際、社会保険庁は複数の年金制度に入ったことがある人に氏名や住所など必要事項を記入したはがきの返送を求め、基礎年金番号への統合を進めた。その際、返送がなかった分はそのまま「宙に浮いた年金記録」になった。不明年金というより基礎年金番号に統合されず「放置」された記録だ。
 さらに社会保険庁に納付記録そのものが存在しないものがある。これは84年ころに年金事務が全面コンピューター化された際に、入力作業をアルバイトや外注に任せたため大量の入力ミスが生じたと指摘されている。
 社会保険庁の調べでも、昨年8月から今年3月の8カ月間だけでも年金相談窓口に寄せられた相談件数は215万件に達し、うち年金記録が訂正されたケースが28万件、却下されたケースが2万件、社会保険庁や自治体には記録がなかったが、本人が当時の領収書などを持ち訂正したケースが55件であった。年金納付の事実をめぐって多くのトラブルが発生しており、2万件が無慈悲に却下されているとんでもない現実がある。
 社会保険庁解体法案審議の渦中で不明年金問題が明らかにされ、労働者人民の怒りが爆発した。5月26、27日に毎日新聞が行った世論調査で安倍内閣の支持率が一気に11ポイント低下(43%→32%)した。参院選で最も重視するものは年金問題が最高で28%だった。安倍は改憲を参院選の最大争点にしようとしている。だが改憲への怒りと結合して不明年金問題が噴出、さらに疑惑まみれの松岡農相の自殺が追い討ちをかけ、政権は一気に危機に突入した。
 追い詰められた安倍と自民党は焦りにかられ、あわてて「年金救済法案」なるものをデッチあげ、議員立法で衆院に提出、ろくに審議もせず成立へとつっ走った。
 狙いは、不明年金問題を政治的に決着させ、労働者人民の怒りをそらし、年金問題を参院選の争点から外すことにある。自民党と安倍は、3年前の参院選で年金問題が最大の争点になり、自民党が惨敗した悪夢に恐怖している。
 この中で安倍は社会保険庁解体法案を押し通そうとしている。これにより安倍は、社会保険庁の職員を選別・再雇用し、業務の大幅な民託化を進めようとしているが、それで年金運営がうまくいくなどということはありえない。社会保険庁の村瀬長官は損保ジャパンの出身だが、その損保業界は約47万件、349億円もの保険金不払いをしていたではないか。
 日帝は、これまで年金制度を労働者人民からの巨大な収奪機構として利用し、給付は徹底的に削減してきた。そして今や「少子高齢化」で納付が減り給付が増大する中で、年金制度そのものの解体を狙っている。
 もはや日帝と資本は労働者を食わせることも、定年後を保障することもできなくなった。日帝打倒の革命をやる以外にないのだ。

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週刊『前進』(2297号3面4)(2007/06/04 )

焦点 賃金上げれば失業が増える?!

 奇弁重ねる規制改革会議

 「労働者の権利を強めれば、その労働者の保護が図られるという考え方は誤っている」。なんという言いぐさか。労働者の権利をこれ以上奪うことが、どうして労働者の保護になるのか。こんな白を黒と言いくるめる奇弁をろうし、労働者階級に真っ向から挑戦する発言が政府中枢から出てきた。
 総理大臣の諮問機関である規制改革会議(議長、草刈隆郎日本郵船会長)に設置された「再チャレンジワーキンググループ・労働タスクフォース」が5月21日に発表した「脱格差社会と活力をもたらす労働市場へ―労働法制の抜本的見直しを」と題する提言は絶対に許せない代物だ。
 「不用意に最低賃金を引き上げることは、その賃金に見合う生産性を発揮出来ない労働者の失業をもたらし、そのような人々の生活をかえって困窮させる」。最低賃金を引き上げたら失業が増えるなど完全なうそだ。賃金引き上げを阻むためのペテンだ。いくら働いても生活保護費以下の賃金しか得られないワーキングプアの現実を放置すると開き直っているのだ。
 「過度に女性労働者の権利を強化すると、かえって最初から雇用を手控える結果となる」。なんと、”女性労働者が権利など主張するから就職差別を受ける”というのだ。女性労働者の無権利状態をさらに強めようということだ。
 「正社員の解雇を厳しく規制することは、非正規雇用へのシフトを企業に誘発し、労働者の地位を全体としてより脆弱(ぜいじゃく)にする」。労働者の9割を非正規雇用にしようとしている連中が、非正規雇用の増大を心配しているかのように言うペテンを許せるか。逆だ。正規雇用労働者の解雇を自由にし、非正規雇用化をさらに促進しようということだ。
 「一定期間派遣労働を継続したら雇用の申し込みを使用者に義務づけることは……派遣労働者の期限前の派遣取りやめを誘発し、派遣労働者の地位を危うくする」。だったら期限前の派遣取りやめを禁止しろ。こんな発言を労働者は絶対に許さない。タコ部屋に閉じ込め、社会保険もない、夜勤専門の12時間労働を強制し、労基法違反のオンパレード。明日に希望を持てない働き方を強いながら、資本はさらに雇用の申し込み義務を撤廃しようとしているのだ。
 「長時間労働に問題があるからといって、画一的な労働時間上限規制を導入することは、脱法行為を誘発する」。これに至っては何をかいわんやだ。違法行為をやっている張本人が「脱法行為を誘発」とはなんだ。「法律を現実に合わせろ」と放言した御手洗の傲慢(ごうまん)さそのものだ。
 これが安倍・御手洗の本音であり、「労働ビッグバン」の中身である。まさにそこには帝国主義間の争闘戦に追い詰められ、労働者を徹底的に搾取するしか延命できない日帝・支配階級の凶悪な姿がある。こんな攻撃をやれるものならやってみろ。労働者階級は怒りの総反撃に立ち上がり、日帝そのものを吹っ飛ばすであろう。労働者が生きるには資本主義打倒の革命しかないということだ。

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週刊『前進』(2297号4面1)(2007/06/04 )

 革命が労働者の生きる道だ

 6・9ワーカーズアクションin渋谷に大結集しよう

 資本と連合・全労連指導部に青年労働者の怒りの大反乱を

 6・9ワーカーズアクションin渋谷に大結集し、〈改憲阻止、安倍・御手洗倒せ〉のデモをやろう。安倍や御手洗に労働者の積年の怒りを思い知らせてやろう。資本、連合・全労連指導部に対する第反乱を開始しよう。(本紙/片瀬涼、畑田治)

 空前の利益と労働者の貧困化

 トヨタ自動車の営業利益が日本企業で初めて2兆円を超えた。1兆円突破からわずか5年での倍増だ。東証上場企業の経常利益の総額は4期連続で過去最高を更新。電機大手の東芝、富士通、シャープは過去最高益、松下や三菱電機もバブル期並の好業績だ。自動車メーカーも大手8社のうち4社が過去最高益を記録した……。
 もはや憎しみの感情なしには言及できない。われわれ労働者の奴隷状態の直接の原因がここにある。空前の利益を謳歌(おうか)する大企業。その対極にある労働者階級の過酷な現実。ワーキングプア、ネットカフェ難民、偽装請負、過労死・過労自殺、格差社会……。労働者から希望も未来も奪い、過労死するほどの超長時間の奴隷労働を強いる張本人がこの連中である。
 右記事にもあるように、過去最高益をあげる名だたる大企業こそ、90年代以降、徹底的に解雇と賃下げ、不安定雇用化を強行し、若者の2人に1人を非正規雇用に追い込み、偽装請負や不払い残業などの脱法・違法行為に手を染めてきた連中である。
 ブルジョアジーの空前の利益はすべて労働者の労働がつくり出したものである。キヤノンやトヨタの工場で働く労働者の半数は、正社員の3分の1の賃金の派遣や請負労働者だ。過酷な夜勤や危険な作業。資本家は労働者の健康や安全、生活をまったく顧みない。正社員も同様に心身ともにボロボロになるほどの競争や超長時間労働、サービス残業を強いられている。労働者の生き血を吸って肥え太る資本家!
 厚生労働省が発表した05年度のサービス残業で是正指導を受けて支払われた割増賃金の総額は232億円。東京電力69億円、スタッフサービス53億円、日本郵政公社32億円……。もちろん氷山の一角でしかない。労働者が百円でも盗めば警察に捕まる。だが資本家が10億円単位で労働者から盗んでも大して問題にもならない。
 06年の労災死者は約1500人。非正規の若年労働者の労災が激増している。過労死や過労自殺の急増は社会問題となっている。労災として認められた過労死は過去最高を記録した。労働者が憤りのあまり資本家を殺せば刑務所行きだ。だが資本家によって毎年何千、何万人もの労働者が殺されているのである。
 日本の資本家階級の繁栄は、6千万人の労働者の奴隷労働と犠牲の上に成り立っている。これは特殊なものの見方ではなく、事実の問題である。要するに労働者の賃金が下がり、貧困になり、そして労働者の労働がますます苦しく、長くなるほど資本の側は豊かになるのである。これが資本主義という歴史的な社会の仕組みなのだ。資本家の繁栄は労働者からの略奪、賃金奴隷制から成り立っているのだ。
 これは特殊な職場の実態だろうか? いや、われわれの職場で日々起きていることだ。毎日、新聞やテレビで報道されていることである。資本家による悪辣(あくらつ)な搾取、横暴、抑圧、そして労働者の奴隷状態、生活苦……労働者はこうした実例をたくさん知っている。
 今日の資本主義は、労働者階級にとってひとつの”圧制”である。労働者階級はこの社会では生きていけない。資本主義の矛盾と抑圧は、職場、個人、家庭を問わず、労働者の労働と生活のあらゆる分野に現れている。
 では、空前の利益をあげる資本家階級は磐石(ばんじゃく)なのか。逆だ。支配階級こそ、果てしない国際競争と世界分割の侵略戦争に追い立てられている。巨大な矛盾を生み出し、明日なき自転車操業で破局に向かって行進を続けているのだ。実は、空前の利益と労働者階級の奴隷状態こそ支配階級の危機の証明なのである。
 イラク・中東侵略戦争では、イラク人民の英雄的な民族解放戦争が帝国主義軍隊を包囲し、戦争は長期化・泥沼化している。
 イギリスのブレアは首相の座を追われた。ブッシュと安倍の支持率は最低で政治的危機は底なしだ。帝国主義の屋台骨は明らかに揺らいでいる。政治家や官僚、資本家の腐敗はきわまり(松岡農相の自殺を見よ!)、年金その他の社会保障は破たん寸前。社会的緊張は高まるばかりである。
 マルクスとエンゲルスは『共産党宣言』で、ひとつの階級を抑圧することができるためには、その階級に少なくとも奴隷的な生存ぐらいは保っていけるだけの条件が保障されていなければならないと指摘した。
 安倍首相や財界総理と呼ばれる日本経団連の御手洗会長が目指すものは何か。労働者の9割を非正規雇用にし、年金も医療も奪おうとしている。改憲と侵略戦争の道を突き進み、労働者を戦争に動員して戦前の歴史を繰り返そうとしている。この連中のもとではもう労働者は生きていけない。われわれは奴隷じゃない!
 安倍よ、何が「戦後レジームからの脱却」だ。寝言は夢の中だけにしろ。革命こそが問題なのだ。もはやお前たちに支配する力はない。われわれ労働者には幻想はない。ささやかな施(ほどこ)しやエセ改革、愛国主義や排外主義にはごまかされない。革命こそが労働者の生きる道である。
 ロシア革命を指導したレーニンは、革命的情勢の到来について次の3点を指摘した。
 (1)支配階級がいままでどおりの形で支配を維持することが不可能なこと。革命は通常、下層だけでなく上層がこれまでどおりに生活していくことができないことが必要。
 (2)被抑圧階級の欠乏と困窮が普通以上に激化すること。
 (3)右の諸原因によって、大衆の活動性が著しく高まること。大衆は嵐の時代には自主的な歴史的行動に引き入れられる。
 そう、革命の時代が来たのだ。
(写真 イラク反戦4周年3・18全世界一斉デモ【07年 日比谷野音】)

 社会動かすのは労働者

 われわれ労働者階級は、いつまでも一片のパンのために奴隷のままではいない。資本家階級の所有する生産手段に労働を加えて、新たな富を生み出しているのはすべて労働者だ。労働者がいない限り、資本家にはなんの利益ももたらされない。
 工場で商品を製造し、鉄道やトラックを動かし、清掃や事務、学校や役所で働くのはすべて労働者である。労働者が働くことを拒絶すれば、この社会は停止するのだ。資本家連中は「自分たちこそがこの社会の主人だ」と偉そうな態度を取る。だが、資本主義が生み出したこの巨大な生産力は、別に資本家階級が存在しなくても回すことができる。
 資本主義社会は、人口の圧倒的多数を占める労働者が生産手段を使い、労働することによってこそ存在し、発展することができる。これこそが労働者の社会的=階級的力である。労働者階級は、資本家階級を打倒し、革命をやって、新たな社会を建設し、運営する能力を持った階級なのだ。
 マルクスが起草した国際労働者協会(世界最初の労働者の国際組織)の創立宣言は「成功の一つの要素を彼ら(労働者階級)は持っている。それは数である。だが、数は団結によって結合され、知識によって導き出される場合だけ、重きをなす」と宣言している。
 労働者は人数が多くても、団結しなければ「力」にはならない。労働者は団結して闘うことを学ばない限り、無力な奴隷のままである。集積された社会的力である資本家階級の力に対抗できるのは、唯一団結した労働者階級の力である。労働者が団結し、共同して資本家階級と闘う時、事態は変わるのだ。
 すべての労働者のみなさん。革命こそ労働者解放の唯一の道だ。労働者の状態はけっして絶望的ではない。どっちが社会の主人なのか思い知らせてやろうでないか。労働者の団結した闘いで、われわれ労働者の怒りと憤りを資本家階級にいやと言うほど思い知らせてやろうではないか。
 労働者は、資本に対する闘いの中で資本主義的搾取の方法を見抜き、労働者階級の隷属状態の根本原因をつかむことができる。闘いは労働者に、資本家階級全体と労働者階級全体のことを考えさせ、労働者間の差異は些細(ささい)なことを気付かせる。
 革命運動はすばらしい。労働者は闘うことで自らの社会的力を自覚する。労働者は救済の対象ではなく、自らの力で革命を遂行できる階級なのだ。6・9ワーカーズアクションでそのことをハッキリさせようではないか。

 組合こそは革命組織化の中心

 資本主義社会の生み出す巨大な生産力や国家暴力を握る資本家階級の社会的力に対抗できるのは、実際に生産を担う労働者階級の団結だけだ。
 マルクスは『労働組合――その過去、現在、未来』で労働組合について次のように書いている。労働組合は、資本の絶えざる侵害に対し賃金や労働時間といった日常の経済的利益のために闘う組織的手段として必要なだけではない。賃労働制度そのものと資本の支配を廃止するための組織された力としてよりいっそう重要である。
 マルクス主義の核心は、労働者自己解放だ。労働者は救済の対象ではない。労働者階級は、自らの力で資本主義社会を打倒し、新たな社会を建設し運営する力を持っている。この労働者階級の革命の能力と労働組合の意義をめぐって、マルクスやレーニンの革命家としての闘いは貫かれている。
 「無政府主義の父」と言われるプルードンは「財産、それは盗みである」と労働者の貧困を語り、社会変革を訴えた。だが、労働組合の賃上げ闘争は無意味だと主張し、労働者階級による資本家階級の打倒、すなわち革命による社会変革を否定した。そして、協同組合や人民銀行による財産平等の理想による社会変革を夢想した。
 これに対して、マルクスは『哲学の貧困』を執筆し、労働組合は「労働者たちと企業家たちとの闘争において労働者たちの城砦(じょうさい)として役立つ恒久的団結」だと激しく反論した。そして「共産党宣言」で共産主義者の党の役割を据え、労働組合と革命党の有機的関係を位置づけた。
 世界最初の労働者の国際組織である国際労働者協会(第1インターナショナル)は、マルクス派と様々な潮流(プルードン派、ラサール派)との党派闘争の舞台となった。バクーニンは、労働組合やストライキを容認したが、暴動闘争以外の労働者・労働組合の闘いを否定した。暴動の土台としてのみ労働組合を評価した。プルードンもバクーニンも賃労働と資本の対立を闘いの根本に据えなかった。マルクスは、労働組合を否定する考えを徹底的に論駁(ろんばく)し、「労働組合は、労働者階級の完全な解放(革命のことだ)という広大な目的のために、労働者階級の組織化の中心として意識的に行動することを学ばなければならない」と強調した。
 世界最初のプロレタリア革命を指導したレーニンも、労働組合こそ、労働者階級を賃金奴隷制の廃止という「来るべき戦い」に向けて訓練する学校であると訴え続けた。そして、共産主義者の任務を「労働者の階級的自覚を発達させ、彼らの組織化に助力し、闘争の任務と目標とを指示することによって、ロシアの労働者階級のこの闘争を援助する」とした。
 レーニンとボルシェビキは、何よりも労働組合を舞台に、日和見主義的指導者や社会排外主義的な指導者と闘うことに革命運動の情熱を傾注した。労働組合を経済闘争だけに限定しようとする経済主義・組合主義の傾向と徹底的に闘い、同時に労働者の闘いと切り離された政治的暗殺などを自己目的化する潮流とも断固として闘った。レーニンは、労働者階級にその歴史的使命を自覚させ、資本家階級を打倒して新たな社会を建設する労働者階級の力を形成することを総括軸に労働運動を指導した。労働者が団結し、一つの階級として結合し、支配階級を打倒して労働者権力を打ち立てる中軸に労働組合を位置付けて闘った。
 まさしく「労働運動の力で革命をやろう」を実践していたのだ。
 第1次世界大戦が始まると、日和見主義者たちは帝国主義戦争を支持する祖国防衛主義に転落した。レーニンは、労働運動の帝国主義的傾向と社会主義的傾向への分裂を明らかにし、祖国防衛主義との「全線にわたる、断固たる、容赦のない闘争」を呼びかけた。
 また反動的な労働組合の中で活動しないことは、多くの労働者を反動的な指導者、ブルジョアジーの手先、労働貴族の影響下に残すことを意味し、ブルジョアジーに対する最大の奉仕になる、と指摘している。資本家や警察と結びついた反動的「指導者」の迫害を恐れず大衆のいる場で活動し、どんな犠牲を払ってでも打ち勝たなければならないと強調した。反動的指導者を打倒して、労働者を革命に組織するために反動的組合にとどまるよう指示したのだ。

 組合を巡る流血の歴史

 労働組合こそ帝国主義を打倒する革命に向かって、労働者を一つの階級として形成する中心的組織だ。労働者は、労働組合のもとで闘う時、自らの解放をかちとる唯一の手段が資本家階級との闘争にあることを理解する。労働者の利害は同一であり、一つの階級であることを知る。
 日本の戦後60年余の階級闘争の歴史を、こうした視座で見ていくことが必要だ。本紙2293号坂本論文にあるように日本の労働者階級は敗戦直後、労働組合のもとに結集し、ゼネストや生産管理闘争に立ち、日本帝国主義打倒に迫る戦後革命を闘った。戦後の歴史とは、この労働組合をめぐる階級戦争の歴史だ。支配階級は、戦後革命の中心を担った労働組合を破壊することにすさまじいエネルギーを投じてきた。
 戦後革命期以後も、あらゆる産別で労働組合をめぐる血みどろの闘争が展開された。世界で初めて電源ストや停電ストを敢行した電産は、電力会社の9分割や86日間に及ぶストの敗北を経て、第2組合である現在の電力労連が主導権を握った。自動車では、百日間の無期限ストが闘われた53年の日産争議の敗北を経て労使協調派が主流になった。鉄鋼では、第2組合と流血の衝突を繰り返した54年の日鋼室蘭争議。炭労では60年の三井三池闘争……。
 民間・官公労を問わずどの産別でも、労働組合をめぐる血みどろの歴史がある。いま連合で、資本の同盟者になっている電機や自動車、鉄鋼などの産別も、簡単に労使協調主義になったのではない。敵階級は労働組合を破壊し、支配することで革命を「阻止」してきたのだ。
 この血みどろの歴史の中で〈国鉄・教労・全逓・自治労>の4大産別は、ブルジョアジーの総力をあげた労働組合破壊の攻撃を受けながら、基本的に敵階級の支配を許さず存在してきた産別だ。
 日教組は50年代、日教組の解体・弱体化を狙う勤務評定導入に対し、愛媛を始め全国でストライキを含む実力闘争で闘い、逮捕者が続出する闘いをやった。その後も学力テスト反対闘争などを闘い、近年の「日の丸・君が代」闘争にみられるように中央の裏切りにもかかわらず現場では戦闘性が保持されている。
 全逓では70年代、郵政省(当時)が第2組合=全郵政を育成、全逓の組織破壊を狙った(マル生攻撃)。両組合は暴力事件で逮捕者が出るほど激しくぶつかり、78年の反マル生闘争では4億3千万通の年賀状をストップさせる空前の物ダメ闘争を実現。全逓4・28処分粉砕闘争を始め、現場組合員は流血の闘いで全逓を守ってきた。どうして全郵政との組織統合など許せようか!
 国鉄労働者も70年代、国労と動労の組織破壊を狙ったマル生攻撃を完全に打ち破った。国鉄労働運動をめぐる攻防は結局、80年代の国鉄分割・民営化攻撃にまで至る。動労革マルはこれに屈服して分割・民営化に賛成、動労千葉と国労を攻撃し、自ら動労を解散して史上最悪の御用組合=JR総連になった。
 当時の首相・中曽根が「戦後政治の総決算」と位置付け、国家の総力をあげたこの労組破壊攻撃を、2波にわたる実力ストライキで打ち破ったのが動労千葉だ。動労千葉の存在と闘いは、戦後労働運動をめぐる血みどろの攻防における労働者階級の勝利性を示す金字塔なのだ。
 なぜ政府・自民党が、執拗(しつよう)に日教組や自治労、国鉄闘争の壊滅を公言するのか。ここに日本階級闘争の核心があるからだ。敵階級は労働者階級の革命の能力、労働組合の意義を本能的に知っている。逆に敵の弱点、恐怖がここにある。民間産別の労働者支配も永久には続かない。
 しかし日教組本部は、国鉄分割・民営化と同じ攻撃である教員免許更新制とまったく対決しない。全逓中央は、御用組合=全郵政に吸収されようとしている。200万公務員のクビ切りに直面する自治労本部は、名称変更で自己解体しようとしている。
 「労働運動の力で革命やろう」の実践とは、何よりも連合・全労連の中で、こうした労使協調主義の指導部と闘い打倒することだ。労働者階級の力を信用せず、敵階級に屈し、労働組合をブルジョアジーに売り渡す連中と徹底的に闘おう。請負・派遣を容認してきたのは電機連合や自動車総連だ。組合のない職場は、新たに組合をつくろう。革命を公然と掲げ、職場で資本と連合・全労連指導部に対する大反乱を巻き起こそう。
(写真 日産争議。強力な職場支配権を保持していた全自動車日産分会と会社側が1953年の賃金闘争を契機に激突。「日産100日間闘争」と呼ばれる大争議に発展した【1953年8月11日】)

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週刊『前進』(2297号4面2)(2007/06/04 )

 これこそ若者の労働実態 

 現代の奴隷労働 風間直樹著『雇用融解』

 「心の病で労災最多/4割が30代」「派遣で労災/5割急増/『日雇い』仕事不慣れ」――最近の新聞記事のタイトルだ。低賃金、貧困、長時間労働、労働災害……青年労働者に襲い掛かる現実だ。
(写真 上)
 最近出た『これが新しい「日本型雇用」なのか/雇用融解』(風間直樹著/東洋経済新報社)が青年労働者の労働実態をルポしている。
●夜勤専属の請負
 トヨタ自動車系の部品会社。夜勤専属の請負労働者として働く20代、30代の女性。基本給は日給6500円。日給制のため盆や正月など休日が多い月は、手取りで8万円台まで落ちる。
 業務の縮小で突然「明日から来なくていい」と仕事を奪われ、寮も追い出される。日々の生活が精一杯で貯金など到底できず、退職金もなく、路頭に迷いかねない。
 激減する正規雇用を代替しているのが請負労働者の存在である。
●シャープ亀山工場
 女優の吉永小百合のCMで知られるシャープ亀山工場(写真)。請負労働者が重傷を負う労災が発生した。だが請負会社は、別の場所で事故が起きたと虚偽の報告書を労基署に提出した。いわゆる労災飛ばし。「命綱は作業効率が悪くなるので使用するな」と指導していた。自分の国民健康保険で治療を余儀なくされる。
 別の請負労働者は3人で運ぶ規定を2人で運搬して転倒、腰痛に。時給1千円前後の連日の深夜労働だった。静養していると「もう仕事に来なくていい」と解雇通知書。理由は「休みすぎ」。
 亀山工場で働く正社員は約2200人、非正規雇用は1800人。24時間フル稼働の工場は昼勤と夜勤の2直体制。請負労働者は1日12時間拘束勤務が基本だ。昼勤を6日連続でこなし、1日休んで夜勤を6日。これで年収は正社員の半分以下の約300万円。雇用期間は1カ月から半年単位の有期契約。生産が減れば、その時点で契約終了となる。
●日本最大の請負会社
 「ムダな時間を過ごした」と遺書を残して命を絶った23歳の請負労働者。体重は就職時の65`から52`まで激減していた。その会社クリスタルは、過労自殺裁判や偽装請負の告発で「異形の帝国」と形容される日本最大の業務請負企業だ。売上げ5千億円、グループ従業員は7万人とも8万人とも言われる。キヤノン、ソニー、シャープ、三洋電機、富士通、松下電器産業、東芝……名だたる大企業が得意先だ。
 賃金は正社員の約3分の1。いつでも解雇ができる。社会保険もない。ニッポン製造業は青年労働者の犠牲の上に成り立っている。
●正社員化拒むキヤノン
 キヤノンはグループ製造部門で派遣労働者約1万3千人、請負労働者8400人を抱える。偽装請負が発覚しても、非正規の正社員化を阻止しようと汚い画策を続ける。
 日本経団連の会長でもあるキヤノンの御手洗会長は「請負法制、労働者派遣法を見直してもらいたい」と派遣先企業の直接雇用申し込み義務の撤廃を要求している。
 ここで働く請負労働者は、昼夜2交代で手取り月収は月13万円程度。3DKの借り上げマンションで見知らぬ同士3人で住み、寮費は3万8千円。テレビ、冷蔵庫から布団、エアコンに至るまでリース料が引かれる。
●日雇い派遣労働者
 拡大する日雇い派遣。きっかけは99年の労働者派遣法の大改悪。派遣が原則自由化された。04年に製造現場も解禁した。
 日雇いで集められ、ほとんど作業の説明もなく現場に投入される。ラインを止めると叱責(しっせき)が飛ぶ。できる喜びはゼロだ。アスベストの粉塵が舞う解体現場でマスクさえ支給されず作業。労災保険さえ適用してもらえない。労災急増の実像だ。
 厚労省の調査では、05年度の派遣労働者数は255万人。市場規模も4兆円を超える。契約期間は3カ月未満が7割。
●労働法が適用されず
 委託契約社員、業務委託契約、名称はさまざまだがすべて個人請負のことだ。身分は自営業者なので労働法が適用されない。労働時間規制も解雇規制も一切ない。労災も一部を除き労働保険給付はない。年金、健康保険は全額自己負担だ。
 個人請負は近年急増し、一説には全国で50万人とも70万人と言われる。バイク便、ヤクルトレディーが典型だ。
●労働時間規制の撤廃
 総務省の調査によれば、週60時間以上働く労働者は20代後半で23%、30代前半で26%、40代前半で25%。4人に1人は過労死認定の目安とされる月80時間以上の残業を強いられている。
 過労死による労災請求は05年度で869件、うつ病など精神障害による労災請求件数は656件で右肩上がりだ。
 企業には週40時間の法定労働時間を超える残業をした労働者に割増賃金を支払う義務がある。この規制を撤廃するのがホワイトカラー・エグゼンプションだ。労働時間規制がなくなれば、どんなに長時間のサービス残業を強いられても労基署に告発する法的根拠も消える。
●「本末転倒」の社会
 02年2月から続く景気拡大は、戦後最長のいざなぎ景気を超えたと言われる。だがこの10年、大企業は正規雇用を減らし、非正規雇用は1600万人を超え、労働者3人に1人を占める。1週間の労働時間が50時間を超える労働者の割合は、2位の米国を大きく引き離し世界一だ。
 筆者は「あとがき」で、非正規雇用の若者が低賃金で不安定な立場に固定されたり、過労死水準の働きを余儀なくされている正社員にさらなる負担を強いる政府の政策や企業の施策が、企業の経営や国際競争力のために正当化されるのは本末転倒だ、と指摘する。

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週刊『前進』(2297号5面1)(2007/06/04 )

 改憲阻止の大闘争へ

 労働者は安倍に怒っている

 改憲投票法の成立で、改憲阻止決戦はいよいよ重大な決戦に突入した。安倍は「憲法改正を私の在任中に政治的スケジュールに乗せたい」と公言し、「改憲を7月参院選の争点にする」と凶暴性をむきだしにしている。参院選後の臨時国会で衆参両院に「憲法審査会」を設置し改憲原案の大綱づくりに入り、早ければ3年後の2010年に改憲案の国会提出、11年夏に衆参各院3分の2の賛成をもって発議し、秋に国民投票に持ち込むことを狙っている。
 自民党幹部は「自治労、日教組に自由に改憲反対運動をやらせるわけにはいかない」と公言して労組や市民団体の改憲反対運動を弾圧し、一方で財界やマスコミ、右翼団体を総動員して「改憲」キャンペーンを大々的に繰り広げ、改憲に持ち込もうとしているのだ。
 だが、この日帝の延命をかけた凶暴な改憲攻撃も、労働者階級が総決起して闘えば絶対に粉砕することができる。そしてプロレタリア革命の道を切り開くことができる。
 なぜならば、日帝・安倍政権はものすごい危機を深め、一方、労働者階級のあいだには「もうこんな社会はごめんだ」という怒りと、闘いの気運が日増しに高まっているからだ。格差社会、ワーキングプア、年金や健康保険の取り上げ、労働者を人間として扱わない資本家どもの仕打ち、それと完全に一体で労働者階級に襲いかかる安倍政権に、全国の労働者・農民・人民の怒りは日増しに高まっている。
 こんな社会がこのまま続くなら自分たちに未来はないと、社会が根底からひっくり返ることを望む若者たちがどんどん増えている。彼らに「ひっくり返すのは自分自身だ」という闘いの道を示す労働運動が待望されている。資本家に屈服する連合中央などの体制内労働運動をうち破り、動労千葉のような闘う労働運動が大きく登場したら、安倍を打倒できる情勢が到来しているのだ。だからこそ日帝・安倍政権は労働運動の高揚に恐怖し、全力で労働運動つぶしに出てきている。労組をめぐる攻防と改憲・戦争阻止の闘いは、完全に重なり合う決戦となったのだ。

 根底には日帝の絶望的危機

 現憲法とりわけ9条は、戦後革命の嵐の中で、労働者の闘いが日帝支配階級に強制したものだ。戦争で荒廃し疲弊した支配階級は、労働者階級に妥協することなしに延命することができなかった。
 いま安倍が「戦後レジームからの脱却」を叫んで改憲攻撃に突き進むのは、戦後憲法下の今までの支配のあり方では、もうやっていけなくなっているからだ。それだけ日帝の危機が深いからだ。国と地方の借金1000兆円、夕張市を始めとする自治体財政の破綻など、日帝の国家体制の危機は絶望的に深刻だ。さらに世界の帝国主義が一挙に危機を深め、帝国主義間の生き残りをかけた争闘戦が激化している。この中で日帝は、帝国主義間争闘戦にかちぬき、プロレタリア革命をおさえつけるために、〈外へ向けての侵略戦争>と〈内に向けての階級戦争>をやりぬける強権的な国家体制をつくりあげることに全力をあげている。それが改憲攻撃だ。
 9条改憲はその中心的な攻撃である。自民党新憲法草案では、現憲法の「第2章/戦争の放棄」を「第2章/安全保障」に変え、9条2項「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」を破棄して、「自衛軍を保持する」と、真正面から軍隊の保持をうたっている。
 すでに現憲法下で自衛隊の海外派兵が強行され「防衛省」までつくられているとはいえ、改憲によって「軍隊と交戦権」が真っ向から押し出されることは、決定的攻撃である。それは、国内では軍隊の治安出動と、外に向かっては軍隊による勢力圏づくり―侵略戦争に踏み出すことを意味するからだ。それは各国帝国主義の資源と植民地・勢力圏をめぐる争奪戦を激化させ、やがては侵略戦争−世界戦争に行き着くものである。
 日本経団連は今年1月に政府に提出した意見書「優先政策事項」で、「わが国の繁栄と世界の平和に向け……戦略的な外交・安全保障政策を推進(せよ)」「2010年代初頭までに憲法を改正(せよ)」と言っている。安倍政権と日本経団連は、資本家階級の利益のために改憲を強行しようとしているのだ。
 労働運動の中で改憲を主張し、労働者を戦争の泥沼に引き入れようとする帝国主義の手先を打倒しなければならない。それは連合中央だ。

 改憲推進する連合中央倒せ

 彼らは何と言っているか。05年7月の「国の基本政策に関する連合の見解」で、違憲の自衛隊を「独立国家の固有の権利」として容認し、日米安保条約を全面賛美した。さらに「憲法9条の改正」を「安全保障」の選択肢として提唱したのである。これは連合中央が労働者階級の立場をかなぐり捨て、政府・資本家階級と同じ立場に立っていることの証拠だ。
 第1次世界大戦、第2次世界大戦で、腐りきった労働運動幹部どもが戦争賛成に回ったことで、労働者階級がいかに国際連帯を破壊され、苦難の歴史を強いられたことか。逆にロシアの労働者は、労働運動を激しく爆発させ、ストライキ、街頭デモで帝政を打倒し、武装蜂起でプロレタリア革命をなし遂げた。そして帝国主義戦争を終わらせたのだ。安倍政権の改憲と戦争の道を阻止するために、こうした闘いが今こそ求められている。日本の労働者階級にもその力は絶対にある。
 帝国主義に屈服を深める連合中央、全労連中央の体制内労働運動を打倒し、職場闘争で仲間の団結を打ち固め、それを基礎に改憲阻止を闘う労働運動を大きくつくり上げよう。6・9闘争を新たな出発点に、学習会、署名運動、街頭宣伝、デモなどを無数に展開し、全国に改憲反対・安倍打倒の声を広げよう。

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週刊『前進』(2297号5面2)(2007/06/04 )

 コミューン 7月号

 ロシアの現状分析

 今号の特集はロシア・プーチン体制の現状と基本動向を分析している。
 第1章では、米帝を始めとする帝国主義による旧ソ連圏諸国の激しい再分割戦の展開に対抗し、対米協調主義から全面的に転換したプーチン政権の動向を分析する。第2章では、ロシアと米・EU間の緊張が、東欧諸国へのMD配備とNATO拡大をめぐって激化している点について明らかにしている。第3章では、ロシアと東欧・バルト諸国との緊張の激化と独仏英伊などの西欧諸国の接近政策の現状について分析している。第4章では、ロシア・プーチン体制の成立から今日までの歴史を概観するプーチン体制論を展開するとともに、今日のKGB的強権体制の強化と経済利権の国家的掌握を推進するプーチン政権のあり方を分析する。
 以上の分析を通じて、帝国主義の基本矛盾の爆発情勢の下で、スターリン主義崩壊後、資本主義化政策を推進するロシアの国内外にわたる矛盾が爆発し、世界戦争情勢を急速に促進するものとなっていることを明らかにしている。
 翻訳資料はアーミテージ報告改訂版(下)。今後の日米関係やアジアにおける安全保障問題に関する具体的提言を提示したものとして、日帝のアジア侵略戦争体制形成の方向性を分析するためには必読の文献だ。

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週刊『前進』(2297号6面1)(2007/06/04 )

 改憲と一体の三里塚破壊を労農同盟の力で粉砕しよう

 6月〜夏の攻防に絶対勝利を

 日帝・安倍政権による改憲攻撃と農業・農民切り捨て政策のただ中で、三里塚闘争は新たな決戦に突入している。反対同盟・市東孝雄さんへの農地強奪攻撃に対し、反対同盟はこれと全力で闘いながら、階級的労働運動と結合し、日本革命へ向けた労農連帯のきずなを強めている。米軍再編のもとでの成田空港の軍事基地化を絶対に許してはならない。「農地死守・軍事空港粉砕」の旗を今こそ高く掲げ、三里塚から安倍改憲政権打倒へと攻めのぼろう。6月闘争に総決起しよう。
(写真 東峰の森伐採の本格化に緊急抗議闘争【5月12日】)

 三里塚に集中する一大反革命攻撃

 「戦後レジームからの脱却」をかかげた日帝・安倍政権による反動攻撃が襲いかかっている。
 改憲投票法の成立、教育4法改悪案の衆議院通過と労働法制改悪=労組破壊の攻撃、米軍再編法の成立、「集団的自衛権解禁」にむけた「首相の私的懇談会」の開始。そして安倍は7月参院選では9条改憲そのものを「国民に問う」と言い放った。
 日帝・支配階級は1995年の日経連報告以来、体制の延命をかけて戦争国家づくり、改憲・民営化への道を突き進んでいるのだ。それは、戦後革命期以来労働者人民がかちとってきた一切の諸権利を奪い、「戦後民主主義」を根本から覆す反革命クーデターである。
 この一大反革命の切っ先は、動労千葉の拠点職場つぶし、法政大学の闘う学生への逮捕・弾圧と「退学」「停学」処分の乱発、そして三里塚闘争への暴力的な破壊攻撃となって襲いかかってきている。とりわけ41年以上にわたって帝国主義との激突の最前線であった三里塚闘争への攻撃は、ブルジョア法体系も踏みにじる異様な激しさでかけられている。とりわけ反対同盟・市東孝雄さんへの農地強奪攻撃だ。
 空港公団、そしてそれを引き継いだ空港会社(NAA)が自ら無理と矛盾を重ねてつくったいびつな「へ」の字誘導路を直線化するために、祖父の代から耕してきた農地を放棄して出ていけと市東さんに迫り、しかも農地法第20条を使って市東さんの耕作権をはく奪するというのだ。こんなデタラメがあるか!
 昨年7月3日に出されたNAAによる「耕作権解約」の申請は、成田市農業委員会、千葉県農業会議を通過し、9月21日に堂本千葉県知事がこれを許可、今年1月29日に松岡農水相が最終的にこれを決定した。
 不正かつ秘密裏に旧地主から市東さんの耕作地を買収したNAAは、市東さんに「金を受け取り、農業をやめて出ていけ」と迫り、農民の利益を保護すべき法律や機関が総がかりでろくな審議も行わずに農地取り上げにお墨付きを与えたのである。絶対に許せない。(松岡農水相は官製談合事件など数々の不正を追及されるさなか5月28日に自殺した。こんな腐敗したやからが市東さんの農地取り上げを命じていたのだ!)
 すでに土地収用法による事業認定は告示から20年たった89年12月をもって失効している。空港用地に関して空港会社は、任意の買収以外に用地を取得する手段を失っているのだ。「農地法を使って農地を奪い取る」とは単なる脱法や法の抜け穴探しではない。「三里塚をつぶす」という国家意志のむき出しのあらわれだ。
 さらに三里塚関連の全裁判でも、法を無視した攻撃がかけられている。
 4月23日、市東さんの耕作権裁判の第2回口頭弁論で千葉地裁・菅原崇裁判長は、市東さん側の求釈明要求に対して禁圧する態度に出てきた。
 5月7日、東京高裁で行われた一坪共有地裁判の控訴審で小林克己裁判長は、弁論わずか3回目で結審を強行した。
 5月10日の現闘本部裁判の第16回口頭弁論において、仲戸川隆人裁判長は、反対同盟側が要求している本部建物の検証要求をはねつける姿勢を露骨に打ち出した。
 司法権力は国交省・NAAの意を受けて、法廷の場を使った三里塚破壊に出てきているのだ。
 これらの攻撃と一体で三里塚現地における空港反対農民への横暴極まりないたたき出し攻撃が激化している。2月に開始された「東峰の森」破壊攻撃は重大だ。地元民の営農と生活に不可欠の入会の森を、しかも3度にわたって「残す」とした確約を踏みにじり、誘導路をつくるために森の木々を今次々と伐採している。部落を分断し、フェンスで囲って息のつまる堪えがたい環境を強制している。東峰の農民の頭上40bにジェット機を飛ばす国家犯罪は、今も連日続いている。
 そして5月11日、成田空港関連企業で構成する「成田空港の機能拡充と地域経済の活性化を実現する会」が、成田市で平行滑走路の3500b化を求めて「決起大会」を開いた。ここでNAAの黒野社長も歓迎のあいさつを行った。3500b化とは「北延伸」だけでなく、南に1000b延ばして、そこに住む東峰部落を滑走路でつぶしてしまえということだ。
 反対同盟との血盟にかけて、これらの攻撃一つひとつに対し、怒りを燃やして反撃の闘いを組織しよう。

 帝国主義と非和解で対立する三里塚

 なぜこれほどの攻撃が三里塚に対して襲いかかるのか。
 三里塚は71年の2度の強制代執行と逮捕・流血を辞さず闘い、78年滑走路1本での1期開港にはゲリラ闘争をたたきつけ、2期着工攻撃にも一切の妥協・屈服を排して不屈に闘いぬき、ついに事業認定の失効にまで追いつめた。この激戦激闘の中で星野文昭同志を先頭とする数多くの獄中で闘う「三里塚戦士」を生み出してきた。
 三里塚闘争は、労働者・学生と農民の共同闘争として発展し、国家権力に対する不屈の抵抗のとりでとしてそびえ立ってきた。ジェット燃料貨車輸送阻止闘争を闘った動労千葉との労農連帯の地平なしに、今日の三里塚闘争は存在しない。「農地死守」「軍事空港反対」を掲げた三里塚農民の闘いは、全人民的広がりと深さを持った闘いとして存在し続け、こんにち日帝・安倍政権の憲法改悪・戦争国家化攻撃と真っ向から激突する闘いの拠点となっている。

 朝鮮有事の際の米軍基地に

 三里塚闘争に包囲された成田空港が、朝鮮有事における米軍の戦略的空輸基地に指定され、具体的な準備が始まった。
 日米防衛当局による「概念計画5055(日米共同作戦)」の実戦化の中で成田空港、新関西空港など空港・港湾30施設が米軍の軍事基地となることが決まった。
 今年3月31日に発効した成田市国民保護計画では、自衛隊習志野基地の第1空挺団が、成田市と成田空港の防衛(制圧)にあたることが予定されている。沖縄基地の強化と並び、成田空港の軍事基地化の推進は安倍の改憲攻撃にとって不可欠の一環をなしている。
 この成田空港が恒常的に労働者農民の怒りと闘いによって包囲されている事態は日帝にとって今や一日たりとも放置できない現実なのである。

 農業・農民圧殺に走る日帝への怒り

 アジア侵略と帝国主義間争闘戦=市場争奪戦のための農業破壊が、すさまじい勢いで進行している。これは、農業を破壊し農民を切り捨てる以外に延命できなくなった日帝支配階級の絶望的あがきである。「農地法をつかって農地を取り上げる」という市東さんへの攻撃も、この農民切り捨て政策と一体のものとしてかけられており、戦後農地法そのものの廃止も動き出しているのだ。
(写真 細い黒線が東峰の森伐採のための工事中のフェンス。太い黒線が建設予定の誘導路。3月15日、写真中央にある萩原さんの畑は四方をフェンスで囲まれた)
 5月9日に発表された経済財政諮問会議の提言は、「戦後レジームからの脱却のカギは農地改革だ」と明言した。その前日公表の同会議グローバル化改革専門調査会の「グローバル化改革専門調査会第一次報告」は、「所有と利用を分離し、利用についての経営形態は原則自由」とし、“零細農から農地をすべてはく奪する”、「我が国の食料自給率の引き上げには限度がある」「輸入による安定的な食料供給をEPA(経済連携協定)で確保」と述べ、“食料自給率目標を放棄し、アジアを日本の食料基地にする”というすさまじい内容だ。
 こうした農業・農民切り捨ては、EPAなど帝国主義間の再分割戦に勝ち抜くための必須の政策だが、これは労働者に対する極限的搾取と一体だ。日本の農業市場をアジア諸国に明け渡すことで、トヨタ、キヤノンなどの工業製品の輸出攻勢に道を開く一方、超安価の農産物を輸入することで「労働力の生産費」の軸をなす食料費を抑え、さらなる低賃金を強制しようとの戦略だ。
 零細農民からの農地はく奪という「右からの農地改革」は、戦後革命期の労働者の闘いと農民の自己解放的決起で実現した戦後農地改革の地平を解体するものだ。農地を売買自由の商品に変え、戦後革命の嵐の中で農民に分配した農地を、支配階級が全面的に奪い取ろうという攻撃だ。「農地の集約化」は61年農業基本法以来40年の日帝の農業政策の柱だが、すべて失敗してきた。農地制度そのものに手をつけることができなかったからだ。追いつめられた日帝支配階級は、この最もハードルの高い課題についに手をつけることを決断したのだ。
 しかし、これらの農業・農民切り捨ては逆に、日帝支配階級の統治の破たんを意味している。農水省の試算でも、これらの政策が強行されれば、「食料自給率は12%にまで低下する」とされている。この農民圧殺の暴挙に300万戸の日本農民の反乱は不可避だ。オーストラリアとのFTA(自由貿易協定)によって農業を始めとした経済全体が壊滅するといわれる北海道では、農民のデモが闘われている。肉牛などが深刻な打撃を受ける鹿児島でも決起が起こっている。
 反対同盟は全国農民の名において、日帝の農業切り捨て政策と正面から闘うとの決意を明らかにしている。

 東峰の森伐採弾劾市東さんの農地守れ

 改憲攻撃と一体となった「三里塚つぶし」をはね返すために、三里塚現地への結集運動を組織しよう。従来の規模を数倍する闘いがなんとしても必要だ。連月の現地闘争・現地攻防を反対同盟とともに担いつつ、全国各地での小集会・交流会を組織しよう。ビデオ「三里塚/大地の乱」を活用しよう。「市東さんの農地取り上げに反対する会」「天神峰現闘本部裁判を支援する会」をねばり強く支援しよう。
 三里塚を訪れる人は異口同音に「人生観が変わった」と感想を語る。三里塚はもうひとつの「革命の学校」(故戸村一作委員長)だ。現地調査、援農に取り組もう。
 昨秋、大挙して現地を訪れた韓国民主労総の労働者たちは、その歴史と闘いに直接触れた感激と興奮を隠さなかった。今年の3・25現地集会に参加した民主労総ソウル地域本部前本部長のコジョンファン氏は、反対同盟との交流の中で、自らの曽祖父が東学農民戦争における闘士であったことを語り、三里塚闘争との熱い連帯を表明した。
 反対同盟は昨年の11・5労働者総決起集会に総力で決起し、階級的労働運動、革命を目指す労働運動との大合流・結合こそが三里塚闘争の勝利の保証であることをはっきりとつかみ取った。3・18イラク反戦全世界一斉デモにおいて青年労働者・学生の「労働運動の力で革命をやろう」の叫びを真っ向から受けとめた反対同盟は、3・25三里塚全国総決起集会の画期的成功へと突き進んだ。この労農連帯・国際連帯の地平を、今年の10・7三里塚全国総決起集会から11月労働者1万人決起に向けてますます発展させよう。
 6・9渋谷ワーカーズアクションに総力で結集しよう。それと一体で「東峰の森」伐採弾劾の6・16現地緊急闘争(要項1面)、6・18市東裁判傍聴に取り組もう。追いつめられた敵の農地強奪攻撃を粉砕し、反対同盟を先頭に三里塚闘争の歴史的勝利へと進撃しよう。
 (斉田 猛)

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週刊『前進』(2297号6面2)(2007/06/04 )

 米とイランが公式協議

 米帝のイラク「新戦略」破産

 5月28日、イラクの首都バグダッドで米帝とイランの直接協議が行われた。米帝ブッシュが「悪の枢軸」と名指しして戦争による体制転覆を狙っていたイランと79年イラン革命以来初めて公式協議を持ったことは、米帝のイラク「新戦略」破産の現れである。これは米帝のイラク占領=侵略戦争が抜き差しならない泥沼に突入している中での、新たな絶望的なあがきである。
 闘うイラク人民、ムスリム人民と連帯し、米英日を先頭とする帝国主義を打倒して世界革命に向け闘うことこそ、労働者階級の歴史的任務だ。
 米帝とイランの協議は、バグダッドの「グリーンゾーン」内のイラク首相府で開かれた。米側がクロッカー、イラン側がカゼミコミの各駐イラク大使が出席した。会談は、両国が積極的に評価しているが、それぞれの思惑はまったく違っており、このまま進展するとは限らない。

 2ヵ月連続で死者100人以上

 重要なことは、米帝ブッシュ政権のイラク「新戦略」=増派作戦が完全に失敗したということである。イラクでの米兵の5月の死者は29日までで116人に上っており、4月に続いて連続して百人を超えるという開戦以来の事態となっている。米軍がバグダッドを制圧するどころか、逆にいっそう米軍の崩壊的危機を深めているにすぎない。
 米帝のイラク新戦略は、3万人規模の米軍を増派し、これを基本的に首都バグダッドに集中し、バグダッドの武装解放勢力を軍事的に制圧し、同時にサドル派のマフディ軍を制圧することを基本としていた。米帝のイラク侵略戦争・軍事占領を根本原因として引き起こされた内戦状況に対して、第2の3・20開戦に突入するような米軍増派でイラク(バグダッド)を軍事制圧しようとしたのである。しかし、バグダッドの制圧を達成するどころか、武装闘争はさらに激しく燃え上がり、米軍の犠牲が大きく増大する結果になった。
 「新戦略」の破産が次第に明らかになる中で米軍はバグダッドのスンニ派地区をコンクリート壁で囲むという作戦にでた。この壁建設に対してイラク人民の激しい怒りが爆発し、マリキ首相すら建設中止を要求した。だが、米軍はアザミヤ地区に続いてアミリヤ地区にも壁建設を開始した。この壁建設は侵略者米帝の不正義性を示しており、イラク人民を軍事監獄に追い込もうというとんでもない暴虐である。
 「新戦略」の破産は、何よりも首都バグダッドを重検問体制で制圧する作戦が、米軍がイラク人民の前に大量に露出するということであり、結局は米軍が路肩爆弾、自動車爆弾などの攻撃の対象となり、犠牲を増やすだけだったことである。さらに言えば、米軍の力は、人民の海に支えられて戦う武装解放戦争という現実の前には完全に無力であり、穴だらけであり、武装勢力の攻撃を何ら抑えることができないということである。
 一方で、米軍自身もこの増派を長期にわたって維持できる状況ではなくなっている。米軍はイラクに派兵されている米軍の派兵期間をこれまでの12カ月から15カ月に延長することを一方的に決定した。3万人の増派それ自身がこのような手段をとらなければ成り立たないところまで米軍の崩壊状況が深まっている。ゲイツ国防長官自身、米軍が「緊張状態」にあることを公然と認め、この政策を発表せざるを得なかった。米軍自身の発表によっても死者、負傷者の合計が5万人を超える事態は、数個師団の壊滅にほかならない。しかもイラク戦争の不正義と占領の泥沼が鮮明になっている中で、新兵の募集も完全に落ち込んでいる。

 占領支配維持狙い凶暴化

 米帝がイランとの交渉を開始したということは、ブッシュ政権がイラク研究グループの勧告を拒否して開始した増派作戦が失敗に帰し、イラク占領維持のための新たな方策を追求し始めたことを示している。その一つがイランを引き込んで米帝のヘゲモニーのもとに協力させようということである。ところが、イランはすでにフセイン政権下でイランに亡命していたシーア派指導者との深い関係を築いており、実質的なところで米帝の利害が貫けるとは限らない。しかし、米軍の軍事力だけで占領支配が貫けないのでシーア派勢力を取り込むためにもイランの取り込みを追求しているのである。
 米帝は一方でイラン取り込みだけでは安心できず、国連を引き込んで、スンニ派の国の関与が必要だと主張して、米帝がすでに取り込んでいるアラブ諸国の軍隊を派兵させようと策動している。だが、米軍さえ制圧できない中で派兵することはきわめて困難であろう。
 こうした中で米帝は、イスラエルを使ってパレスチナ自治政府の政権を握ったイスラム政治勢力ハマスをたたきつぶそうと空爆作戦を強めている。レバノンでのシニオラ政権を使ったファタハイスラム掃討作戦も、その経緯はどうであれ、アラブ人民、ムスリム人民の反帝国主義の民族解放闘争を圧殺しようとする攻撃の一環である。
 米帝は、イラク侵略戦争の破産が国内危機の爆発と帝国主義間争闘戦での敗北的事態に転化することに恐怖し、必死のあがきを始めているのだ。
 米英日帝のイラク侵略戦争と対決するイラク人民の民族解放・革命戦争の決定的重要性を、日本プロレタリアートの革命戦略にしっかりと据えて闘い抜こう。
 民族解放・革命戦争は基本的にプロレタリア世界革命の一環としてプロレタリア独裁を目指して闘う本質を持っている。イラク人民のこの間のすさまじい戦闘を、いっさいわがこととして引き受け、侵略帝国主義国プロレタリアートとして、世界革命に向けて闘うものとして、全力をあげて階級的に連帯していこう。
(写真 分離壁の建設に抗議してデモを行うアザミヤ地区の住民たち【4月23日 バグダッド】)

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週刊『前進』(2297号6面3)(2007/06/04 )

日誌'07 5月23日〜29日

 米軍再編特別措置法案が成立

 安倍内閣支持率、最低の36%に

●米軍再編特措法が成立 米軍再編特別措置法案が参院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決、成立した。同法は昨年5月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)における両政府の合意に基づき、在日米軍再編を円滑に実施するためのもので、2017年までの10年間の時限立法。基地や訓練の負担が増える自治体に対し、再編の進み具合に応じて交付金を配分する「再編交付金」制度を新たに創設する。(23日)
●「(辺野古に海自動員は)雪まつりと同じ」 久間防衛相は衆院安全保障委員会で、米軍普天間飛行場代替施設の環境現況調査への海上自衛隊動員について「自衛隊法のどの条項に基づいているのか」の質問に対して「さっぽろ雪まつりも自衛隊が応援するが、自衛隊法のどの条項に基づいて出るのか問われると非常に難しい」と説明した。(24日)
●アフガン治安維持で陸自ヘリ部隊派遣を打診 タリバン政権崩壊後のアフガニスタンで「治安維持」活動を続ける米英両軍関係者が今年2月、兵員や物資の輸送にあてるため陸上自衛隊の大型輸送用ヘリコプターCH47を中心とする部隊のアフガニスタン派遣を水面下で打診していたことが分かった。(25日)
●米国防総省「中国が先制攻撃戦略」 米国防総省は、中国の軍事動向に関する年次報告書を公表、急速な装備近代化などを背景に「先制攻撃戦略」を持ち始めた可能性や、米本土を射程に入れたミサイル開発に言及し、台湾海峡以外の「他の地域」での資源、領土紛争に対応できる能力を備え始めていると、中国の動きに強い警戒感を示した。(25日)
●少年法を改悪 少年院に収容できる年齢の下限を「14歳」から「おおむね12歳」に引き下げることなどを柱とした改悪少年法が25日の参院本会議で可決、成立した。14歳未満の少年が事件を起こした時に警察が証拠物の押収や家宅捜索といった「調査」をする権限も明記。保護観察中の少年が約束を守らなかった時は少年院に送れるようにする仕組みも導入する。(25日)
●米軍ヘリ墜落、被疑者不詳で送検 04年8月、沖縄県宜野湾市の沖縄国際大学に米海兵隊のCH53D大型輸送ヘリコプターが墜落した事故で、沖縄県警が航空危険行為処罰法違反の容疑で被疑者不詳のまま書類送検する方向で最終調整していることが分かった。地位協定が壁になり、米側からの協力が得られなかったという。(26日)
●内閣支持率、最低の36% 朝日新聞が実施した世論調査によると、安倍内閣の支持率は36%、不支持率は42%で、1週間前の支持44%、不支持36%と比べて支持率が急落した。(26、27日)
●松岡農相が自殺 東京都港区の衆院赤坂議員宿舎の自室で松岡農相が自殺を図り、死亡した。自らの事務所の政治資金問題や、官製談合事件が告発された農水省所管の「緑資源機構」の関連団体からの献金問題で追及され、批判を浴びていた。現職大臣の自殺は現憲法下では初めて。(28日)
●新横田基地訴訟、国の賠償責任確定 米軍横田基地(東京都)の周辺住民が国を相手に軍用機による騒音被害の損害賠償などを求めた「新横田基地公害訴訟」の上告審判決で、最高裁第三小法廷は、「将来の損害分」の一部まで賠償するよう国に命じた二審・東京高裁判決の判断を破棄し、「過去の分」に限定する判断を示した。これにより、住民に対する国の賠償額は二審判決の約32億5千万円から約30億2千万円に減額され、確定した。訴訟は96〜98年に3次にわたって基地周辺の住民約6千人が日米両政府を相手に起こした。(29日)

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週刊『前進』(2297号7面1)(2007/06/04 )

 裁判員制度うち砕く大運動を

 戦時司法への大転換許すな

 改憲阻止と一体で闘おう

 保科俊介

 安倍政権は2009年5月の実施をめざし、裁判員制度を導入しようとしている。04年国会での裁判員法成立を受け「国民の司法への参加」「裁判への理解と信頼を深める」などとキャンペーンしている。その反人民的な狙いを暴き、改憲阻止決戦の重大な一環としてただちに反撃の大運動をまきおこそう。

 裁判員制度のねらいは何か 民衆を国家に強制動員する「現代の赤紙」そのものだ!

 まず裁判員制度の仕組みについて見ていこう。 対象となるのは「死刑や無期懲役に当たる罪」などの刑事事件。裁判官3人に加えて裁判員6人(公訴事実を争わない場合は裁判官1人と裁判員4人)の合議体で裁判を行う。無作為で選ばれた裁判員予定者名簿の中から地方裁判所が候補者名簿を作成し、事件ごとに裁判員を選んで呼び出す。呼び出された人は「やりたくない」という理由では拒否することはできず、裁判長から質問を受け選任決定が行われる。裁判員は有罪、無罪の意見だけでなく、量刑についても意見を述べなければならない。評決は多数決。被告人は裁判員の裁判を受けることを拒否できない。
 2001年6月に出された司法制度審議会(司法審)の最終意見書では、裁判員制度は次のように位置づけられる。
 「刑事手続きに一般の国民の健全な社会常識を直截(ちょくせつ)に反映させうる具体的な仕組みを導入する」
 この「国民の健全な社会常識」とは何か。それは支配階級の「常識」であり、資本家が労働者を搾取して利潤を追求し、他の帝国主義に打ち勝って帝国主義国家として生き残る姿こそ「健全」と言いたいのだ。逆に資本主義社会を転覆する思想、すなわち階級的労働運動や共産主義思想は「不健全」「反社会的」として排斥される。またナチス刑法の核心概念が「健全な民族感情」であったことを想起しても、北朝鮮への排外主義などが「健全な社会常識」とされていくのは明白だ。
 司法審の中間報告では「(国民には)国家への過度の依存体質から脱却し、公共的事柄に対する能動的姿勢を強めていくことが求められる」と説教を垂れている。要するに「お上に面倒を見てもらうばかりでなく、お国の立場に立って義務を果たせ」ということだ。すべての労働者を対象に一切の諸権利・社会保障などを切り捨て、国家総動員体制で危機をのりきろうというのだ。
 これこそ裁判員制度による「司法への国民参加」の本質である。まさに改憲攻撃と一体の、戦時における統治形態の抜本的転換そのものだ。
 ではこの裁判員制度の導入によって裁判の現場はどうなるのか。
(写真 「憲法と人権の日弁連をめざす会」は改憲阻止の国会行動を闘っている【4月11日】)

 被告人の権利は破壊される

 @何より被告人の権利は徹底的に解体される。
 司法審の意見書では「新たな参加制度は、個々の被告人のためというよりは、国民一般にとって、あるいは裁判制度としての重要な意義を有するが故に導入するもの」と言い切っている。“被告人の防御権などは、「国民一般」の利益や裁判の権威という「公」の立場から切り捨てよ”ということだ。(具体的問題点は表を参照)
 アメリカなどの陪審制度は曲がりなりにも「疑わしきは被告人の利益に」という粉飾をこらしているが、裁判員制度はこれとはまったく異なる。被告人の人権など壊滅させられる。
 A「公判前整理手続」で裁判が儀式化され、防御権・弁護権が圧殺され重罰が強制される。
 「裁判員に負担をかけさせたくない」という理由で連日公判が強行され、「7割程度の事件は3日以内に終わるだろう」(最高裁のPR)と言われている。
 この「迅速」裁判のために、裁判官と検察官・弁護人が密室で公判の打ち合わせをする「公判前整理手続」が導入された。ここで証拠や証人尋問の順番まで決めてしまう。争点はここで整理され、黙秘は「争点整理への協力義務違反」として事実上認められなくなる。
 B裁判員候補者に対する裁判長の質問によって、思想・信条など人格のすべてが国家管理のもとにおかれる。
 裁判員制度での質問事項は公表されていないが、アメリカの陪審員制度では、家族構成や学歴は言うに及ばず、信仰・支持政党・死刑問題への意見・習慣、身近な者に刑事事件で逮捕されたものがいないかなどが質問事項とされている。(『裁判員制度はいらない』高山俊吉著より)
 裁判員制度とは「国民の司法参加」の名目で、国家が人民を強制動員する、まさしく「現代の赤紙」である。 

 「司法改革」攻撃の本質とは 帝国主義の危機突破のため統治形態の全面転換を策す

 裁判員制度の導入は、小泉から安倍へと引き継がれてきた「司法制度改革」の柱をなしている。それを貫くものは「国民の一人ひとりが、統治客体意識から脱却し、自律的でかつ社会的責任を負った統治主体として……この国に豊かな創造性とエネルギーを取り戻そうとする志」(司法審最終意見書)というイデオロギーである。
 この「統治客体から統治主体への転換」とは何か。これこそ、戦争と革命の時代における全人民の国家動員、すなわち大政翼賛の基本思想であり、改憲攻撃そのものである。
 この意見書では「(法曹の役割とは)個人や企業等の諸活動……が法的ルールに従って行われるよう助力し、紛争の発生を未然に防止するとともに、更に紛争が発生した場合には、これについて法的ルールの下で適正・迅速かつ実効的な解決・救済を図ること」と明言している。また、「国際社会に対する貢献として、アジア等の発展途上国に対する法整備支援を引き続き推進していく」とも言っている。
 帝国主義は最末期の危機に突入し、もはや労働者を食わせることも生きさせることもできないところにきている。生き残りをかけた帝国主義同士の死闘戦が激化し、軍事をはらんだ激突に発展している。こうした中で、日本帝国主義が国際競争に勝ち抜き、帝国主義国家として生き残るために、資本家が労働者を賃金奴隷としてこき使う体制を防衛し抜き、一切の「紛争」(労働者階級の反乱のことだ)を圧殺することが「法曹の役割」だ、という宣言だ。
 そしてアジアへの新たな侵略と侵略戦争に司法が積極的な役割を演じるべきだ、とまで言っている。この「植民地司法」は日本経団連が唱える「東アジア経済圏構想」とまったく一体だ。「司法の中立性」などかなぐり捨て、司法権力が資本家階級の完全な代弁者として「内への階級戦争、外への侵略戦争」を推進するというのだ。
 さらに次のようにも言及している。
 「その成功なくして21世紀社会の展望を開くことが困難である」
 そこには敗戦帝国主義としての脆弱(ぜいじゃく)性の突破を「司法改革」にかけ、戦争国家づくりの環にする、という意志がある。そしてプロレタリア革命に対する資本家どもの恐怖感が反映されている。
 この攻撃との闘いはまさに労働者階級の課題であり、労働組合の課題であることがはっきりする。共謀罪新設との闘い、そして裁判員制度との闘いで戦時司法の構築をうち砕こう。

 裁判員制度とどう闘うか 推進派の「国家翼賛」粉砕し労働運動の力で反撃しよう

 

戦前、日本でも陪審法によって1928年から43年まで陪審裁判が行われていた。28年と言えば、17年ロシア革命と昭和金融恐慌が直撃し危機にのたうちまわる日本帝国主義が、一方では日本共産党への大弾圧で階級闘争の絶滅に打って出て、他方では山東出兵による本格的なアジア侵略にのり出した年だ。この年に治安維持法が改悪され死刑・無期が追加されたが、これと一体で陪審法が施行された。その精神について、陪審員候補者の全国団体が刊行した『陪審手続』で次のように述べている。
 「国民をして国政の一部に参与せしめられましたのは、全く天皇の大御心の発露に外ならないのであります。素人である一般国民にも、裁判手続の一部に参与せしめたならば、一層裁判に対する国民の信頼も高まり、同時に法律知識の涵養(かんよう)や、裁判に対する理解を増し、裁判制度の運用を一層円滑ならしめやうとする精神から採用されることになった」
 まさに今日の司法審答申とうり二つの主張である。天皇制国家のもとへの「国民」統合の重大な一環として、陪審制度が発動されたのだ。
 ところが裁判員制度を推進する勢力はこの事実を百八十度ねじ曲げ、裁判員制度があたかも「民主主義の理想に近づく」かのように主張する。この攻撃の前にあらゆる既成政党が屈服し、裁判員法は全会一致で国会を通過したのだ。
 とりわけ許せないのが日本共産党であり、裁判員制度の積極的な推進者になり果てている。
 「司法だけがいつまでも『お上のなさること』であっていいはずがありません。……司法に裁判員制度を根付かせるため、政府は、裁判員に指名された人が心おきなく参加できるよう制度の充実に力を尽くすべき」(赤旗06年5月7日)
 この主張は「国民が司法においても『お上』(支配階級)の立場で関われるよう制度を充実させよ」ということだ。だが、日共のこの権力翼賛の立場をのりこえて、多くの労働者や法曹関係者が”裁判員制度反対”を掲げて立ち上がっている。
 連合中央も労働者階級の立場をかなぐり捨て、裁判員制度を全面賛美している。今、問われていることは労働者階級の立場に立って「司法改革」に立ち向かうのか、それとも国家総動員体制を補完する立場に転落するのか、ということだ。
 司法権力が「三権分立」の建前さえかなぐり捨て、支配階級の完全な代弁者として登場していることに対して、労働者階級人民の回答は鮮明だ。吹き荒れる資本攻勢や治安弾圧に真っ向から立ち向かい、資本や国家権力と徹底的に闘って階級的労働運動を実践し、真の団結をつくり出して資本主義社会そのものを根底的に転覆しよう。
 今国会に、被害者の刑事裁判参加制度を盛り込んだ刑事訴訟法の改悪案が提出されている。これは私的復讐を厳禁した近代国家の基本理念を破壊し、「健全な社会常識」を動員して被告人への攻撃を集中するものだ。絶対に阻止しよう。
 裁判員制度との闘いを労働者・労働組合が自らの課題とし、改憲阻止闘争の一環として闘おう。「裁判員制度はいらない!大運動」が6・29集会(午後6時開会/東京・四谷区民ホール)を呼びかけている。ともに闘おう。 

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 裁判員制度の問題点 ―戦時下の国家動員だ―

◆国家奉仕活動の義務化
・裁判員とされれば拒否できず
・裁判員の人格すべてが国家管理
・知り得た情報を漏らせば重罰
◆被告人の防御権を破壊
・評決は全員一致ではなく多数決
→「少数者の疑問」は評決から排除
・評決に裁判官が入っていないと無効
→裁判員の意見は軽視される
・裁判員の素性は非公開
→人を裁く重さがないがしろに
◆即決裁判で重罰化
・連日公判で弁護活動は大幅に制限
・裁判員が量刑判断にも加わる
◆刑事裁判の儀式化
・密室審理ですべてが決められる
・黙秘権の実質的な否定

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週刊『前進』(2297号7面2)(2007/06/04 )

 陪審制と愛国心

 サッコ・ヴァンセッティ事件

 1920年代のアメリカ。イタリア移民の靴職人サッコと魚の行商人ヴァンセッティは、労働者解放をめざすグループで活動していた。17年のロシア革命の勝利はアメリカに波及し、労働者のストライキ闘争はかつてない高まりを示していた。支配階級は革命の恐怖に脅え、激しい反共宣伝と労働運動弾圧を繰り返していた。
 こうした中で20年5月、サッコとヴァンセッティは、まったく身に覚えのない2件の「強盗未遂」「強盗殺人」事件で逮捕された。2人は無実であり事件発生の時に別の所にいたことを多くの証人が証言した。にもかかわらず、21年7月、陪審員は十分な審議も行わず2人に死刑の評決を行った。
 評決にあたって検事は次のように言ったという。「陪審員のみなさん。義務を忘れないでいただきたい。(義務とはむろん伝統ある州法廷を不良外人の害から守る義務である)男らしく義務を果たせ。ともに立ち上がって下さい」
 判事の説示の半分も陪審員の愛国心に訴えるのに費やされた。「州はみなさんに奉仕を要求しています。……忠誠心にまさる英語はないのです」
 全世界的に大きな救援運動が闘われた。にもかかわらず27年4月に死刑判決が最終的に確定し、8月23日、2人は処刑された。
 「今度の事件は私たちに成功と勝利をもたらした。この事件がなかったら、私たちは、寛容、正義、人間の相互理解を促進するために、現在私たちが偶然になし遂げたような仕事を、一生かかってもやり遂げられなかったであろう。……この最後の瞬間こそ私たちのものだ。この苦悩こそ私たちの勝利だ」(処刑直前のヴァンセッティの言葉)
 作家の大岡昇平は評論「サッコとヴァンセッティ」で次のように書いている。
 「陪審員は理想的に働く場合、裁判所の罰しようという衝動を緩和する役目を果たす。しかしもし被告が人民の福祉一般を脅かすと考えられる場合、彼らの集団的防御反応は、裁判所の処罰欲よりも強くなることがある。……政治的事件にあっては、陪審員が極めて暗示にかかりやすいのを認めないわけには行かない」

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週刊『前進』(2297号7面3)(2007/06/04 )

激動の世界 ロシアと米欧の対立激化(上)

 米が東欧にMD配備計画

 ロシアが軍事的対抗を宣言

 ロシアと米欧の関係が1991年のソ連スターリン主義崩壊(「冷戦終結」)以後、最悪の関係となっている。とりわけ米ロ間の溝は「新東西冷戦の再来」と言われるほど深まっている。
 ロシアのプーチン大統領は2月10日、ミュンヘンで開かれた安保政策会議でロシアと欧州の間に「新たな分断線、壁が築かれている」と述べ、米帝の戦争・軍拡路線を批判・牽制(けんせい)した。
 プーチンは@米国による「一極支配」は国際法無視の軍事力行使、単独行動主義であり、破綻(はたん)したと批判、A北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大や東欧諸国への米軍ミサイル防衛(MD)施設配備計画、東欧諸国への米軍部隊配備を、ロシアへの敵対・圧迫として弾劾、B「国連中心主義」「多極化外交」を対置し、中距離核戦力(INF)全廃条約離脱など軍事的対抗措置を示唆したのだ。
 「新たな壁」とは、NATO加盟国が26カ国に増え、その先端がバルト3国などロシア国境まで届き、東欧諸国に米軍が配備され始め、旧ソ連のウクライナやグルジアも来年、NATO加盟候補国となろうとしていることを指す。ロシアは「冷戦終結」後も拡大し続けるNATOに西と南から包囲・圧迫されることに神経をとがらせている。
 ロシアは1990年代、NATOの一方的拡大やコソボ自治州をめぐる旧ユーゴスラビアへのNATO空爆に異議を唱えたが、阻止できなかった。しかし、今やロシアは国内総生産(GDP)がG7に次ぐまで回復、巨額の公的対外債務を昨年完済し、国防予算を2001年の4倍に増やし、新型大陸間弾道弾(ICBM)を次々配備・開発中である。「強大なロシアは国際社会の発展における重要な要素になった」(ロシア外務省外交指針)と自認する。

 ロシアを包囲するMD計画

 米帝は現在、ポーランドとチェコにMD施設を建設する計画を進めている。チェコに建設するレーダー基地には米兵120人が勤務する。建設費は4億j(約660億円)だ。ポーランドに配備する迎撃ミサイル・インターセプターは10基だ。インターセプターは米本土のアラスカに14基、カリフォルニアに2基以上がすでに配備され実働段階にある。チェコに配備が計画されているレーダーは、イギリスにある米早期警戒レーダーの前方展開部分にあたる。米MD局長は、旧ソ連の南カフカス諸国(グルジア、アゼルバイジャンなど)にもMD向け前方展開レーダーを建設する構想があることを明らかにしている。
 米帝は、東欧MD施設はイランや北朝鮮などのミサイルに対する迎撃・防衛網であって、ロシアを仮想敵としたものではないと説明。MDでは能力的にもロシアのICBM迎撃は不可能だと主張し、ロシアを説得しようとしてきた。
 チェコとポーランドの両政府は当初から米帝の計画を原則として受け入れると表明してきた。ただしチェコの議会や国内世論はMD反対が多数派である。5月26日に2千人のMD配備反対デモがプラハで闘われた。
 ロシアは、@イランや北朝鮮が欧米に到達する核ミサイルを近い将来保有することは考えられないA東欧への米国のMDシステム配備はロシアへの脅威である――と指摘し、B米国が東欧に加えロシア周辺国へのMD網の拡大を図っているC米国が5月10日からチェコと、同14日からポーランドと、それぞれ正式交渉を始めた――ことを非難した。

 エスカレートするプーチン

 強硬路線に転じたロシアをなだめてMD計画を実施するために、ゲーツ米国防長官が4月23日にロシアを訪問、「欧州のMDはロシアに向けたものではない」と説明したが、セルジュコフ・ロシア国防相側は「MDは地域と世界の安全保障に本質的な影響を与える深刻な不安定要素だ」と突っぱねた。
 さらにプーチンは4月26日、議会に対する一般教書演説でも米MD施設配備計画を批判、対抗的軍事措置の必要性を示唆し、欧州通常戦力(CFE)条約の一時履行停止を提案した。
 同日のNATO外相会議(オスロ)ではラブロフ・ロシア外相が東欧への米MD配備計画と米軍拠点確保、ウクライナやグルジアのNATO接近をとらえ、「NATOはロシアを包囲している」と批判した。ライス米国務長官はこの批判を「無意味だ」と一蹴し、ロシアに条約履行を求めた。
 最も激しいのはプーチンの5月9日の対独戦勝記念日演説だ。プーチンは「一極支配の野望をあらわにしている」米帝を「今日の新たな脅威」とし、ナチスドイツの「第3帝国」になぞらえ、米欧帝国主義を驚かせた。

 コソボ独立でも全面激突に

 5月、再び米ロの直接対話が試みられたが、米ロの溝は埋まらない。
 5月16日にモスクワ郊外でプーチンとライスが会談した。
 同席したラブロフが会談の内容を明らかにした。@前提的にロシアと米国が言葉を抑制することで一致したA「プーチン大統領はMD反対の立場を確認した」B「コソボ問題については全当事者が受け入れ可能な打開策を探る方針で双方とも一致したが、そのような打開策はまだ見つからない」C米ロ関係の現状は「困難な問題があるが、冷戦状態にはない」――と説明した。
 ライスは会談後、@「米国は自国を防衛する技術を進歩させる必要がある。米国が自国の安全保障に関する問題で他国の拒否権を認めるとはだれも考えていない」と述べ、ロシアの反対があろうが断固MD計画を推進する方針を確認した。Aコソボ問題については「再びコソボがセルビアの一部となることはけっしてない」と述べ、あくまでコソボ独立を支持・推進する姿勢を変えなかった。B米ロ関係については「新たな冷戦との見方には根拠がない」と、米ロの相互理解を目指す考えを強調した。
 会談で「言葉の抑制」を確認し、互いに「冷戦再来」に言及せざるを得ないところにまで米ロの対立は深まり、一致点は何も見いだせなかった。
 米帝と欧州連合(EU)加盟諸国は5月11日、現在国連暫定統治下にあるセルビアのコソボ自治州が国際的な管理体制のもとでセルビアから独立することを承認する決議案を国連安全保障理事会に提示した。コソボ自治州で多数派のアルバニア系住民が独立決議案を支持する一方、少数派のセルビア系住民に加えて、セルビアと拒否権をもつロシアの両国が強く反対している。
 ロシアにとってセルビアは歴史的に結びつきの深い国であるうえ、コソボが独立すればコソボがEUやNATO寄りになる可能性が高く、ロシアのバルカン半島における影響力がますます低下してしまう。米帝にとってコソボ独立はバルカン半島における新たな米帝の橋頭保の確保を意味する。ロシアとEUへのくさびだ。
 ロシアと米帝の対立の激化は、安全保障=軍事と勢力圏にかかわる問題であるだけに簡単には折り合いがつかない。米ロ対立は欧州情勢にとどまらず、中東―イラン核問題、朝鮮半島にも影響する。米ロ危機は世界危機を世界戦争に向かって激成させている。
 (藤沢明彦)

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週刊『前進』(2297号8面1)(2007/06/04 )

団結ひろば 投稿コーナー

 東京西部許さない会羽廣被告囲んで集会 東京・西部 内村喜美男

 

5月18日、杉並で開かれた東京西部・国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会の結成3周年の集会に参加した。題して「国鉄闘争と『日の丸・君が代』闘争を結ぶ!/改憲とのたたかいの最前線からの訴え」。
 冒頭に先日闘い半ばで亡くなった国労・留萌闘争団の大谷英貴さんを悼んで、在りし日の闘いの姿を収めたビデオを上映した。大谷さんの遺志を継いで、国鉄闘争の勝利まで闘うことを誓い合った。
 「日の丸・君が代」強制の攻撃と闘う都立高校の教員からこの春の卒業式闘争の報告を受けた。「国労の次は日教組」と言われる攻撃に対して、現場では昨年以上の不起立者が出て反撃していることが報告された。
 5・27裁判の被告で、国労小倉地区闘争団・鉄建公団訴訟原告団の羽廣憲さんは「この裁判の帰すうが国鉄闘争の行く末を決める位置にある」ことを強調した。「自分の組合から警察に売られる。これほどショックなことはない」と語り、労働組合が一線を踏み越えたことの前に、けっしてくじけることはできないと強い決意を示された。あらためて、5・27臨大闘争弾圧との闘いが日本の労働運動の未来がかかった闘いであることを実感した。
 学校で働く現業労働者や国労現場からの発言を受け、「支援ではなく、ともに闘おう」とまとめの提起を受けた。地域の闘いを結びあって、大きな力をつくっていきたい。その中で5・27裁判と国鉄闘争の勝利をかちとっていきたい、と強く思った。

 「3年後の改憲」攻撃に真っ向から対決! 東京・北部 飯沢和久

 5月26日、百万人署名運動の東京北部連絡会結成集会に参加しました。
 国民投票法の強行成立による「3年後の改憲」攻撃に真っ向から対決するスタートラインに、地道に改憲反対署名運動を積み重ねてきた仲間と一緒に立てたことを誇りに思います。
 森川文人弁護士の記念講演がおもしろかったです。ホームレス支援運動をしてきた経験を踏まえて、「格差社会と言われるが貧困社会そのもの」「時代の閉塞(へいそく)感の中で、生活が苦しいからこそ、『アジアよりまだまし』と『長いもの』を求める傾向も生まれている」と。だから「戦争か革命かが迫っている今、貧困と闘う青年たちと一緒にいかに改憲反対運動をつくるか」という問題意識が語られました。
 確かに、ロストジェネレーション世代にとっては、憲法体制は「それが自分たちに何をしてくれたんだ」というようなものでしょう。「憲法を守れ」では現状変革性はないし、また「9条改憲反対」のスローガンだけでもやっぱりいまいちピンとこないと感じます。
 問題の核心は、戦争をしようとしている日本資本主義が、同時に労働者の3人に1人を非正規雇用の使い捨てにし、正規労働者も「過労死」にたたき込んでまでとことん利益をむさぼり、とことん暴走していることです。もはや資本主義は末期の末期に来ていることです。
 だから、憲法の根源にある戦後革命期の荒々しい労働運動を復権すること、つまり「労働運動の力で革命やろう」が今一番フィットする。これががっちりと座って初めて改憲阻止闘争は全面的に爆発していくと思いました。
 まさに今、「生きさせろ!」(雨宮処凛(かりん)さんの本)という青年労働者の根底的な反乱が始まっています。「もはや革命しかない」と闘いを開始した彼らと一緒に、資本主義をひっくり返して労働者の社会をつくる闘いをやりたい。
 6・9ワーカーズアクションは、その最高の場です。約束した年金すらも払おうとしない安倍・御手洗なんてぶっとばそう。首都を揺るがすデモをみんなでやりましょう。

 裏切り者に断を下し北島当選かちとった 東京 飯塚義夫

 区議選のあいだ開設されていた荻窪事務所の当番をやっていた時のことです。ある中年の女性がやってきて次のように話してくれました。
 「この間のビラで結柴さん、新城さんの批判が出ているので、やっとしゃべる気になった。じつは4年前の区議選の時、投票日の直前に結柴さん本人から電話があって、『北島は大丈夫、むしろ厳しいのは自分だから自分に票を回してくれ』と言われたので、結柴さんに入れてしまった。本当に申しわけないことをした」と。
 それから、2〜3日して今度は別の人から団地(旧北島ゾーン)に住むある女性の話を聞きました。それは――「4年前の区議選の時、新城さんから『北島候補は大丈夫、むしろ自分が危ない。団地の票を半分自分に回してくれ』と電話があり、そのようにした。選挙後、落選した北島さんはあいさつに来てくれたのに、当選した新城は来なかった。だから自分はものすごく怒って新城に電話して本人を来させ、土下座させて謝らせた」と。
 同志であり選挙戦をともに闘う仲間の票をかすめ取るなんて、長く都政を革新する会を応援してきたものとして、本当に恥ずかしいし、許せない話です。でも、こんな結柴・新城だからこそ犯罪被害者等支援条例や民営化に平気で賛成することもできたし、それを批判されると勝手に別会派をつくって脱落していくこともできたのだと思います。
 杉並区民は、このような結柴・新城に断を下し、長谷川さんの真の後継者として北島さんを押し上げました。候補・選対・労働者・区民が一体となって感動的な選挙戦を闘えたことは本当に幸せだったと思っています。

 人事委審理を傍聴し不起立闘争に確信 東京・東部 美浜あゆ

 5月25日、03年「10・23通達」から2年目の05年入学式の「日の丸・君が代」被処分者が、処分撤回を求めて闘っている人事委員会審理を傍聴した。07年入学式での不起立者に対する処分発令と同じ時間に行われたが、40席の傍聴席はいっぱい。国会前でよく見かける顔が並んでいる。
 世田谷区にある都立千歳丘高校の入学式で処分を受けた教育労働者本人が、校長に対する尋問を行った。 
 校長が以前「石原から給料をもらっているから、都教委の言うことを聞くのは当たり前」と発言したことに対する追及から始まった。すると校長は「憲法と都教委、その場その場で考える。都教委は正しい。10・23通達は違憲ではない」。10・23通達を違憲・違法と断じた9・21地裁判決について問うと、「地裁は地裁の判断。私は私の判断」と言うのだ。
 校長がいかに都教委の言いなりで、教育者としての資格もない人物であるかが浮き彫りにされた。こんなヤツに教育を牛耳られたくないとの思いは高まる。被処分者は、「都教委に従わなければ自己に不利益があると考えて言いなりになっているのか!」と怒りをぶつけた。
 次に、05年卒・入学式時における3回の警察権力の導入問題を追及。当時の緊迫した状況を思い起こさせる。この校長は世田谷区民の「日の丸・君が代」強制反対の申し入れも「退去」させた。しかも千歳丘高校に赴任してから、なんと11人の教育労働者を異動させた(!)ことが、暴かれた。絶対に許せない。
 人事委員会審理では、被処分者本人が、都教委や校長を引きずり出して彼らの不正義性を暴き、敵を裁くことができる。
 私にとっては闘う元気をもらう場。改悪教育基本法が施行され、教育関連4法改悪案の成立が迫る中、被処分者は負けてはいない。そして何よりも新たな不起立者が生まれている。不起立闘争に込められた怒りに確信を新たにした。

 理由もなく1年2カ月以上も強制入院 兵庫 吉村隆生

 5月17日から19日まで、高知県で精神神経学会総会が行われました。その中の医 療観察法シンポジウムで重要な報告がいくつかなされました。ここではその中のひとつについて報告します。
 それは「人格障害」とされた人が何の理由もなく1年2カ月以上も保安病棟(医療観察法の指定入院機関)に強制入院させられていたのです。「人格障害」というのは、性格が歪んでいるから社会や本人を苦しめるから矯正(きょうせい)すべきという、否定されるべきものです。
 この対象となった人は、さまざまな事件を繰り返して「統合失調症なのではないか」とされ、医療観察法の対象とされたのです。
 医療観察法による鑑定が行われました。結果は「自己愛性と反社会性に類似した特徴を有する混合性人格障害。心神喪失認定には大いに疑問あり」としながら強制入院に期待できるという矛盾したものでした。それを受けて入院決定が出ました。「心神耗弱(こうじゃく)であった」として指定入院機関への入院とされました。
 入院後4カ月で武蔵野病院長からの退院の許可の申し立てがされました。「人格障害の治療は薬物療法による効果は限定的で、同意のもとで行う長期間の心理療法が中心であるが、心理療法への意欲は消極的で改善を期待できない」というものです。医療では対応できないと認めたのです。
 さらに4カ月後に地裁は退院申し立てを棄却しました。病院は抗告を申し立て、2カ月後、高裁は原決定を取り消し、差し戻しの決定を行いました。さら2カ月後、地裁が「医療終了」の決定をしました。
 最初の入院決定からまる1年と7日後のことでした。鑑定入院の2カ月を含め、何の理由もない強制入院でした。
 医療観察法ではこのような事態は防げないのです。この点からも法の撤廃しかないと思います。

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週刊『前進』(2297号8面2)(2007/06/04 )

 人権賞ダブル受賞を記念し 救援センターが集会

 “改憲と司法改悪阻む砦に”

 5月26日、「5・26どうなる日本の刑事裁判・こうしろ救援連絡センター/人権賞ダブル受賞記念集会」が東京で開かれ全国から80人が参加しました。救援連絡センターが多田謡子反権力人権賞と東京弁護士会人権賞をダブル受賞したことを記念し、救援連絡センター再活性化宣言集会として企画されたものです。
 総合司会を三角忠集会実行委員長が務め、主催者を代表して小田原紀雄さんが改憲と司法改革攻撃と闘う砦(とりで)としての救援連絡センターの大飛躍を訴えました。多田謡子反権力人権基金運営委員会の久下格さんが来賓としてあいさつしました。
 メイン企画のシンポジウム「どうなる日本の刑事裁判・こうしろ救援連絡センター」が武内更一弁護士の司会で行われました。パネラーは前田朗さん(東京造形大学・刑法学)、寒竹里江さん(弁護士)、太田昌国さん(編集者・民族問題研究会)です。
 前田さんは現在の司法改革について、御用学者よりもっとウルトラな公安主導の司法制度であると指摘し、「腐ったリンゴは種まで腐る」と弾劾しました。最後に「救援連絡センターは非国民の立場に立って闘い、足腰を強くしなくてはいけない」と激励しました。
 寒竹さんは、去年施行の改悪監獄法について「冤罪と転向強要のための代用監獄が最大の問題」だと弾劾、公判前整理手続きや日本司法支援センターなどの具体的問題を暴露して「官許の弁護制度をつぶさなければならない。ところが、これを弁護士会は推進し、被告の権利を法務省に売り渡している」と批判し、「反対の声を上げて闘えばどこかで火がつく」と訴えました。
 太田さんは、「政府が法的根拠も示さないまま辺野古基地建設に自衛隊を派遣したり、排外主義的ナショナリズムが氾濫(はんらん)するなど社会が壊れてしまっている。この状況を変える必要がある」と訴えました。
 武内さんは「私たちは国家管理の弁護を強いる日本司法支援センターとの契約を拒否している。これは弁護士のストライキです」と語り、改憲阻止の闘いと現場での闘いの2本柱で闘おうと提起しました。
 会場から十亀弘史さん(迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧被告)が、「私たちは未決勾留16年という人質司法を打ち破って一審無罪判決をかちとったが、これをやらせないのが司法改革である」と弾劾しました。
 救援連絡センターの葉山岳夫代表弁護士が、「改憲を阻止し、裁判員制度を始めとする司法改悪を阻止する闘いをともに築いていく」と「救援連絡センター再生宣言」を発しました。
 緊急アピールでは、法政大学の被処分者が「暴行」容疑での2学生起訴に対し怒りの発言、会場からカンパが寄せられました。在日朝鮮人人権協会はこの間の不当逮捕・違法捜索を弾劾し、共闘を呼びかけました。
 公判闘争報告では、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の富田益行被告団長が「闘う国労再生をめざす闘いとして闘いぬく」と決意を述べました。争議団連絡会議は、3月25日の中央大学生協弾圧を報告し、完黙は譲れない闘いだと訴えました。
 特別報告として、星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議から星野暁子さんが星野文昭さんの再審無罪・早期奪還を訴えました。
 集会参加者は、救援連絡センターのダブル受賞を喜び、センターの一層の強化・発展を誓い合いました。    (S)
(写真 救援連絡センターの強化・発展を誓い合った【5月26日 東京・京橋プラザ区民会館】)

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週刊『前進』(2297号8面3)(2007/06/04 )

 命を守る会 金城祐治さんを追悼する

 仁王立ちして新基地阻んだ金城さんの闘いを引き継ぐ

 革共同沖縄県委員会

 「ヘリポート建設阻止協議会・命を守る会」代表・金城祐治さんが5月19日午前6時49分、闘病中の病院で逝去されました。享年72歳でした。
 辺野古住民の最先頭で新基地建設阻止の闘いを牽引(けんいん)しておられた金城さんの突然の訃報に接し、革共同沖縄県委員会は心からの哀悼の意を表します。そして必ずや辺野古新基地建設を粉砕し、金城さんが願った「基地のない、平和な島」に沖縄を奪還するすることを固く誓うものです。
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 忘れられない場面があります。2年前の4月末、遅々として進まないボーリング調査作業に追い詰められた那覇防衛施設局が24時間作業を宣言したころです。
 辺野古現地は作業ヤグラに金網が張り巡らされ緊迫していました。その日、私も1日中雨の降る海上ヤグラの上で阻止行動に参加し、へとへとになって帰宅すると、地元ニュースがテレビで報道中でした。抗議団が那覇防衛施設局に24時間作業の違法性を訴え、ただちに作業の中止と危険な金網の撤去を迫る映像でした。
 傲慢(ごうまん)な表情で「何も問題はない。今後も作業を続ける」と返答する施設局の担当者。その瞬間、後方に座っていた金城さんが、長テーブルやイスを蹴散らして憤怒で声にならない叫びを発しながらその担当者に突進したのです。「あんたたちはどこまで弱い者いじめをすれば気が済むのか! 今この瞬間にも人の命がかかってるんだぞ!」という弾劾だったと思います。いつものおだやかな金城さんからは想像もできない姿でした。
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 金城祐治さんは1935年に大阪・生野区で生まれ育ちました。復帰の年、72年に父親の生まれ故郷である辺野古に帰還し、沖縄バスの交通労働者として22年間勤めました。当時の沖縄の劣悪な差別的低賃金に怒り、労働組合に加盟、執行委員として組合員の先頭で闘ったのです。
 また反基地闘争にも積極的にかかわり、喜瀬武原(きせんばる)闘争では実弾演習の着弾地に労組で実力突入するという闘いにも参加しました。
 バス会社を退職後、辺野古でマンゴー園を経営し、静かな余生を送ろうとした矢先にヘリ基地問題が浮上したのです。97年12月の市民投票から10年、休むことなく奮闘し続けてきました。
 青春時代を在本土沖縄出身者として沖縄差別と闘い、帰沖後は職場で沖縄労働者階級の一員として労働運動を実践し、退職後は基地建設を阻む住民運動の不屈のリーダーとして72年の壮絶な人生を駆け抜けたのです。「貧乏人には貧乏人なりの闘い方がある」という金城さんの言葉は、自らの苦難と闘いの人生に裏打ちされた確信だったに違いありません。
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 金城さんは以前から体調不良を訴えつつも、座り込みのテントの修理や、船舶の牽引、早朝からの海上行動参加者へのお茶の準備や見送り、訪問者へのあいさつ、おばあたちへの気遣い……と働き続けました。「ごちゃごちゃ言うとらんとまず自分が動け。そうすればものごとは見えてくるんや」が彼の口癖でした。
 そして辺野古のテント村を訪れる若者、学生には特に期待を込め、「いつまで年寄りに苦労をかけるつもりや。次の時代は、あんたら若者がつくるんやで! ここで見た沖縄の現実を変えるために本土に帰っても頑張ってくださいよ」と呼びかけ続けたのです。
 また、金城さんは闘う者と闘わない者を厳しく峻別(しゅんべつ)しました。地元の運動と全国の運動との連携を重視し、「新基地建設反対の一点で団結する」という辺野古闘争の原則を大事にしました。
 巨大な国家権力による恫喝、金に心を売ってしまった推進派の地域ボスたちによる狡猾(こうかつ)な地元支配、そして反革命どもの執拗(しつよう)な妨害と組織破壊。これらの恐るべき重圧を「守る会」の代表として一身に浴びながら仁王立ちとなって跳ね返してきました。
 「大事なことはみんなで決めよう。ヘリ基地はいらない」という、市民投票で示した名護市民の10年来変わらない総意を、金城さんはまさにその生きざまで体現し続けてきたのです。
 (4)
 金城さんが亡くなった朝、金城さんが愛した辺野古の海は日帝・防衛省が送り込んだ雲霞(うんか)のような作業船団と軍艦が蹂躙(じゅうりん)している最中でした。私は思います。金城さんは死してなお、この大船団に海上阻止隊とともに闘いを挑んでいたのだと。
 日帝・安倍政権が海上自衛隊投入にかけた本当の目的は「とうとう自衛隊まで出てきた。もう闘っても阻止できない」という敗北主義や絶望を労働者人民に植え付けることではなかったのか。この日帝のもくろみを金城さんが命に代えて吹っ飛ばしたのです。
 なぜなら、金城さんの訃報を聞いた沖縄人民はもとより全国の辺野古を闘う陣形は、「祐治さんの命がけの意志を受け継いでいこう。絶対に新基地を辺野古に造らせない」という決意をしっかり打ち固めたからです。
 祐治さん! 祐治さんが「守る会」小屋から毎日見つめ続け、愛した辺野古の海を受け継ぎ、必ずや守ってみせます。革共同沖縄県委員会は辺野古闘争を担うウチナーの青年労働者・学生の隊列で辺野古の浜を埋め尽くすために全力を注ぎます。これからも天上から「若者はしっかりせい!」と、あの笑顔で叱(しか)り続けてください。

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週刊『前進』(2297号8面4)(2007/06/04 )

訂正

前号6面の狭山闘争の記事で、名張毒ぶどう酒事件で「逆転有罪判決を出した門野博裁判長」とあるのを「再審開始決定を取り消し、第7次再審請求を棄却した門野博裁判長」と訂正します。

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