ZENSHIN 2010/08/30(No2453 p06)

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自治労徳島大会 「正規の賃下げで非正規賃上げ」 徳永委員長発言に怒り 労組交流センターなど大宣伝活動(写真は会場のアスティとくしま前)

週刊『前進』(2453号1面1)(2010/08/30 )

 民主党=菅と小沢を打倒しよう

 大恐慌と戦争・大失業攻撃を労働者の国際連帯で迎え撃て

 軍事空港粉砕! 10・10三里塚へ

 2010年11・7労働者総決起集会の呼びかけが発せられた。今年の11月集会に1万人大結集を実現するための、三つの具体的実践方針は、@資本との非和解性を明確にした職場闘争への決起、Aこの職場での生きた攻防と結合し、全産別・全職場で動労千葉物販闘争に取り組むこと、Bそしてそれを水路に「動労千葉を支援する会」を始めとした国鉄闘争支援組織を職場に組織することだ。国鉄全国運動の発展、会員拡大こそ11・7大成功の最大の環である。

 国鉄全国運動を全職場で

 11・7労働者集会は、大恐慌下の今年最大の階級決戦、政治決戦だ。その成功をかちとるための戦略的な課題と内容は何か。
 第一に、「すべての労働者の権利と未来をかけ、労働運動復権に向けた最大の課題として、国鉄闘争全国運動を全国の職場・地域に組織する」(11・7集会の呼びかけ文)ことだ。
 2010年の11月労働者集会の呼びかけと主催は、これまでの3労組(関西生コン支部、港合同、動労千葉)に、国鉄闘争全国運動が加わった4団体である。メインスローガンには〈職場・地域に「国鉄闘争全国運動」を広げよう!>が入った。国鉄闘争全国運動を全国の職場・地域に猛然と組織することこそが、労働者階級の未来と労働運動復権の最大の課題である。呼びかけ4団体はこのことを第一に訴えている。まさにここに今年の11・7の大成功がかかっている。
 「4・9政治和解」の攻撃こそ、日本労働運動の終焉(しゅうえん)を企図した大反革命であった。6・13大集会と国鉄全国運動の立ち上げで、その恐るべき姿が暴き出されてきた。この夏に開催された産別大会の驚くべき現実は4・9が何であったかを示している。
 まず7月国労大会は、「雇用ゼロ」で闘争団を切り捨てることを決定した。組合費を取らず、代議員の選挙資格も被選挙資格もない「特別組合員」とは、切り捨て以外の何ものでもない。そして7億円のスト基金の取り崩しである。全国各地で4・9の「報告集会」と称するパーティーを行い、スト基金をも飲み食いで使ってしまおうというのだ。
 さらに各地本の資産も取り崩し、職種別協議会も解散。全国単一組織としての国労の完全な解体と連合への合流に踏み切るのだ。しかも菅民主党・連合政権の「強い経済、強い財政、強い社会保障」を、「国民的課題」として国労の路線にすると表明し、「戦後行政の大掃除」と「新成長戦略」貫徹の手先になることを国労は宣言したのだ。
 続く8月自治労大会は、「持続可能な日本社会のグランドデザイン構想」という日帝救済路線を基本路線として決定した。自治労は「強い経済、強い財政、強い社会保障」と「基本的方向性において一致する」と表明し、菅政権や経団連と連携しつつ〈戦争と首切りと大増税>の攻撃、360万公務員の大量解雇の推進を宣言した。
 「多様な雇用形態」「労働市場の弾力化」「ワークシェアリング」「解雇・離職に手厚い手当」「セーフティーネット」などは、まさに首切り、賃下げ、非正規化の推進宣言だ。その上に自治労は消費税引き上げや「納得感のある総人件費の削減」まで提言した。
 国労も自治労も、国鉄分割・民営化攻撃と今後一切闘わず、青年労働者の未来も、戦争の危機も一切関係ないとばかりに、日帝ブルジョアジーの救済に走り出した。これこそ4・9政治和解がもたらした現実なのだ。
 今こそ11月労働者総決起に向かって、全力で〈国鉄1047名解雇撤回・動労千葉支援>の国鉄全国運動を組織化し発展させよう。

 派遣法・非正規職撤廃を

 11・7労働者集会の課題は、第二に、「正規・ 非正規、官・民の分断を打破して職場から闘いを組織する」ことだ。これは大恐慌の激化のもとでの民営化・労組破壊、すさまじい首切りと賃下げ、分社化、外注化、非正規化の攻撃に総反撃する闘いである。
 日本の15〜24歳の青年労働者の完全失業率は10・7%(6月)で、全世代の平均の2倍超。今春卒業した大学生の就職率は60・8%で、4人に1人は失業状態か留年だ。高校生の就職も同じように厳しい。300万人を超える完全失業者の3分の1以上が、1年以上の長期失業者だ。しかも非正規雇用が当たり前になり、正規雇用の道はほとんど閉ざされている。非正規労働者は超低賃金の上「首切り自由」で、保険も年金もない。
 この非正規化は、国鉄分割・民営化攻撃の全社会化による民営化、アウトソーシング、分社化攻撃によってもたらされた。それが4大産別の全体に拡大している。非正規職撤廃こそ、今や4大産別での正面課題であり、第2次国鉄決戦の最大の激突点でもある。
 今こそ派遣法・非正規職の「見直し」ではなく撤廃を訴え、青年労働者の団結と闘いを組織しよう。体制内労働運動は、非正規労働者を生み出す根源との闘いを放棄し、「見直し」や救済運動に走る。だが非正規職・派遣労働そのものをなくし、派遣法を撤廃することが問題の核心である。
 労働組合をつくり、青年部を組織しよう。今こそ青年部運動をよみがえらせよう。

 戦争・改憲・安保への怒り

 11・7労働者集会の課題は、第三に、大恐慌が「改憲と戦争の危機として、労働者階級に襲いかかっている現実に対し」「改憲・安保・沖縄・政治反動に反対する怒りの声を結集」するために闘うことだ。
 今年の11月に向かう過程は、東アジアにおける米日韓による北朝鮮侵略戦争の切迫情勢、侵略最前線基地=沖縄と日米安保をめぐる戦争的緊迫、さらにAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議情勢と完全に重なる。
 横浜市の「みなとみらい」で開催するAPECを「防衛」するために、日帝権力はあらゆる治安弾圧体制と超厳戒態勢を敷き、11・7集会の破壊に出てくる。11・7はこの攻撃との激突であり、これ自体がまさに大恐慌下の改憲・戦争の攻撃との闘いそのものだ。
 8月7〜8日、大分県別府市でAPEC閣僚級会合「成長戦略ハイレベル会合」が開かれた。これを受け、11月の首脳会議で2015年までの域内21カ国・地域が取り組むべき成長戦略と行動計画の素案を正式に決定する(来年から実行に着手)。菅政権が6月に閣議決定した「新成長戦略」は、これに合わせて作った日帝のAPEC戦略、すなわち「東アジア共同体」構想をベースとする侵略と戦争、大失業=非正規化と公務員制度改革、道州制・民営化の攻撃そのものである。
 非核3原則・武器輸出3原則・PKO参加5原則の「見直し」を打ち出した新安保懇報告も、米韓合同軍事演習への自衛官の参加も、沖縄・先島諸島(中国との国境に近接)への自衛隊配備も、すべてこれと一体だ。
 帝国主義の侵略戦争は、労働者の階級的団結を破壊し、労働組合を資本家階級の行う戦争に率先協力する機関に変質させることによって、初めて可能になる。労働者階級が戦争動員を拒否し、国境を越えて団結し決起するなら、侵略戦争を阻止できるのだ。まさに労働組合と労働運動が死活的なのだ。
 資本主義の救済か打倒かをめぐる労働運動の一大分岐と激突は、最後は必ず、資本家階級の行う戦争を支持し協力するのか、絶対反対を貫いて闘うのかの選択に行き着く。4者4団体など体制内派が「解雇撤回」を投げ捨てた次の瞬間には、日帝・菅政権の政策スローガンを自ら叫ぶに至った。大恐慌がこうした激しい分岐を促進している。4・9反革命に国鉄全国運動を立ち上げ、戦後労働運動の階級的転換をかけた挑戦を開始したことは決定的だった。
 米帝を先頭にして世界大恐慌と大失業・戦争の危機にあえぐ帝国主義を、今こそ労働者階級の国際的団結と決起で打倒し、プロレタリア世界革命に転化しよう。

 国際連帯を発展させよう

 11・7労働者集会の課題は、第四に、「労働者の国際連帯闘争を大きく発展させること」に全力をあげることだ。
 日帝は国際帝国主義の「最弱の環」だ。その日本の革命の勝利は、南北分断打破・革命的統一を目指す韓国・朝鮮労働者階級の闘い、中国スターリン主義打倒をめざす中国労働者階級の闘いと固く連帯してかちとられる。そしてこの勝利は、帝国主義の総本山=アメリカ帝国主義の打倒へ向けた米労働者階級の歴史的決起と結合して、今日の大恐慌をプロレタリア世界革命に転化する巨大な突破口となる。
 11月労働者集会の国際連帯闘争が切り開いてきたのは、まさにこれだ。日韓米の国際連帯がさらにブラジル、ドイツ、中国へ、全世界へと、拡大・発展しつつある。この感動的で画期的な地平をさらに推し進めよう。
 以上、11・7労働者集会の四つの戦略的課題と三つの具体的方針で固く武装し、猛然と実践して、「組織! 組織! また組織!」の闘いに画然と打って出よう。この9月以降、11月までの全過程を同時に組織建設闘争として貫き、闘う労働者党を築きあげよう。
 9月全学連大会の歴史的成功をかちとり、10・10三里塚闘争を全国大結集で圧倒的に爆発させよう。北朝鮮侵略戦争切迫下で、三里塚軍事空港粉砕・農地死守の原点に立ち、反対同盟との固い血盟、労農同盟の真価をかけて、10・10全国集会に全力で総決起しよう。
 民主党は9月14日の代表選に、菅と小沢が立候補し、大恐慌情勢下で、日帝救済=資本主義救済をかけて、党を二分する争いに突入している。どちらが勝っても労働者階級にとっては最悪だ。非正規化=大失業と戦争、道州制と民営化・外注化、公務員制度改革、消費大増税攻撃の民主党を、菅と小沢を、労働者階級の怒りと団結で打倒しよう。そして11月総決起へと進撃しよう。

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週刊『前進』(2453号1面2)(2010/08/30 )

 11・7全国労働者集会へ

 闘う3労組と国鉄全国運動が呼びかけ

  「11・7全国労働者総決起集会への賛同と参加のお願い」が3労組と国鉄全国運動から発せられた。呼びかけ文の全文は以下の通り。これに全力でこたえて職場、学園、街頭で奮闘し、日比谷野音を1万人の大結集で埋め尽くそう。(編集局)

全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部
全国金属機械労働組合港合同
国鉄千葉動力車労働組合
国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動(国鉄闘争全国運動)

 闘う労働組合の全国ネットワークをつくろうと訴えてきた11月労働者集会は今年で13回目を迎えます。
 一方、私たちは、国鉄1047名解雇撤回闘争が「政治解決」という重大な局面を迎える中で、「国鉄闘争の火を消してはならない。新自由主義攻撃への対抗軸となる新しい労働運動をつくりあげることを展望し、国鉄分割・民営化反対、1047名解雇撤回に向けた全国的な運動(略称国鉄闘争全国運動)を呼びかける」ことを決意し、6・13集会をもって新たなスタートラインに立ちました。私たちはこの二つの力を固く結合し、10年11月労働者集会を、深刻な危機にたつ日本労働運動の再生に向けた出発点にしたいと願っています。
 国鉄分割・民営化は戦後最大の労働運動解体攻撃でした。ここから今日に至る民営化・規制緩和の大きな流れが始まり、1千万人をこす労働者が非正規職、ワーキングプアに突き落とされました。「国鉄民営化で国労をつぶし、総評・社会党を解体し、立派な憲法を安置する」。これが彼らの「コース」でした。
 この攻撃に30年近くにわたり頑強に抵抗し続けた国鉄労働者の闘いは、新自由主義に対する決定的な対抗力であり、戦後の労働運動の歴史の中で画期的な意味をもつものでした。
 新自由主義政策は、この30年余り、労働者の雇用や賃金、権利、社会保障制度、教育、医療、地方自治、農業を破壊して吹き荒れました。その過程で生み出されたのは「世界の労働人口の6割にあたる18億人が正当な労働契約も、社会保障もない奴隷的労働に従事している」(OECD)という現実です。しかし、民主党・菅政権は、財政危機を口実として、公務員労働者へのさらなる全面攻撃を行なおうとしています。360万人の公務員労働者を一旦解雇し、民営化した事業所等に選別再雇用するという究極の民営化・労組破壊攻撃が始まろうとしています。それと一体で、沖縄米軍基地と日米安保体制の強化、改憲と戦争に向けた政治反動が進み、国家主義や排外主義が煽りたてられています。今、国鉄闘争に終止符を打とうとする背後にあるのは、こうした新たな攻撃です。
 恐慌が世界をのみ込んで進行する中で、失業と貧困が拡大し、巨額の財政投入による国家財政の破綻がさらなる労働者への攻撃となって襲いかかっています。ギリシャをはじめ、吹き荒れる攻撃が全世界で労働者人民を深い眠りから呼び覚まし、世界中にストライキやデモの嵐が轟いています。情勢に負け、展望を失い、変質と屈服を深める既成の労働組合の支配に抗し、現場からの怒りの声が噴出し、労働運動の新しい潮流が生まれ出ようとしています。沖縄では基地撤去に向けた怒りの声が燃え上がっています。労働組合がいかなる役割を果たすことができるのかが問われています。
 歴史は大きな転換点に立っています。今何よりも求められているのは、現場から闘いをつくりあげることです。不一致点は留保し、一致点を拡大してその闘いを全国的なネットワークにつなげることです。労働者の団結した力が時代の最前線に登場しなければいけないときが来ました。労働者の団結した闘いこそが歴史をつくり、社会を変革する力です。団結を取り戻し労働組合を甦らせよう。自らのもつ力と可能性を自覚し、誇りを取り戻そう。
 私たちは11月労働者集会に向けて三つのことを訴えます。第一に、すべての労働者の権利と未来をかけ、労働運動復権に向けた最大の課題として、国鉄闘争全国運動を全国の職場・地域に組織することです。第二に、資本主義の行きづまりが、一方で労働者への首切り、賃下げ、外注化、非正規職化攻撃となり、他方で改憲と戦争の危機となって襲いかかっている現実に対し、正規・非正規、官・民の分断を打破して職場から闘いを組織することです。民営化・労組破壊攻撃粉砕、派遣法・非正規職撤廃、改憲・安保・政治反動に反対する怒りの声を結集しなければなりません。第三に、労働者の国際連帯闘争を大きく発展させることです。今ほど万国の労働者の団結した力が求められているときはありません。
 志を同じくするすべての皆さんの賛同と参加を心よりお願い申し上げます。
 2010年8月

●集会名称「たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう! 国鉄1047名解雇撤回! 職場・地域に『国鉄闘争全国運動』を広げよう! 改憲−戦争と民営化−労組破壊にたち向う労働者の国際的団結を!
11・7 全国労働者総決起集会」
●とき 11月7日(日)正午開会
●ところ 東京・日比谷野外音楽堂

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週刊『前進』(2453号2面3)(2010/08/30 )

 山陽新幹線事故 重層的下請け体制が元凶

 全面外注化を強行したJR西に全責任がある

 JR体制の矛盾はますますあらわになっている。そのひとつが、極限的な外注化によって引き起こされた安全の徹底的な崩壊だ。菅政権とJR資本は、国鉄分割・民営化から25年を迎える2012年度を前に、「国鉄改革25年」を叫び、JR会社の再編を含むすさまじいリストラ攻撃を強行しようとしている。1047名闘争の解体をもくろむ4・9政治和解も、この攻撃と一体のものだ。国鉄全国運動をさらに発展させ、職場から反合・運転保安闘争を貫いてJR体制を打倒しよう。
(写真 レール削正車に衝突し脱線、前の車両に乗り上げた保守用車)

 下請け−孫請けに業務を丸投げ委託

 7月22日、山陽新幹線・新神戸−西明石間の須磨トンネル内で起きた保守用車どうしの衝突事故は、JRが強行してきた外注化の破綻をまざまざと示した。この事故は、レールを研磨するレール削正車(停車中)に、トンネル内のすき間にコンクリートを流し込むトンネル保守用車が衝突し、トンネル保守用車が脱線、その運転士が負傷したというものだ。
 事故の原因は何よりも、JRによる重層的な業務の下請け化にある。レール削正車とトンネル保守用車は、それぞれJR西日本のグループ会社であるレールテックと大鉄工業が所有していた。これに加え、トンネル保守用車で実際に作業していたのは、大鉄工業がさらに外部委託した孫請け会社だった。しかも、トンネル保守用車の運転作業はエーエムジー社、コンクリートを流し込む土木作業は清水建設という形で、業務は別々の会社が請け負っていた。
 元請―下請け―孫請けが混然一体となって一つの業務を遂行していながら、指揮命令系統はバラバラで、保守ダイヤの確認もまったくなされていなかった。勝手な解釈や思い込みで保守用車が運行されるという事態が、日常茶飯になっていたのである。
 しかし、その責任は現場の労働者には一切ない。新幹線の夜間保守労働は本来、労働者どうしの連携がなければ行えない。極限的な外注化でこれを根本的に解体したJRにこそ、すべての責任があるのだ。
 新幹線での保守用車の作業には運行ダイヤが組まれる。ダイヤ設定と運行管理の責任は当然にもJRにある。しかし、現場にはJR西日本の社員は一人もいなかった。
 JR社員は、現場に出て設備の変状を自分で確かめることもなく、レールテックという検査会社から上がってくる検査報告をもとに、昼間、パソコンと向き合って機械的に定期保守・随時保守業務の計画とその進捗(しんちょく)状況を管理することだけを強いられている。JR社員が行なっている現場の業務は、せいぜい線路巡回ぐらいしか残ってない。レールの傷を検査することも、分岐器(ポイント)などの細密検査も、レールテックに全面外注化されてしまっている。変状の原因を突き止め、その対策を立てて業務をやりきった時の達成感や喜び、労働者どうしの団結や保守に携わる労働者としての誇りも奪われている。
 逆にJR社員が現場に立ち会い、作業を指揮すれば、それはそれで偽装請負という違法行為になる。同じ線路上での保線作業が複数の子会社・孫請け会社に丸投げされていること自体が、根本的に間違っているのだ。
 今回の事故についてJR西日本やマスコミは、「保守用車が30`の制限速度を守っていなかった」「レール削正作業で発生した粉じんにより赤外線が散乱し、衝突防止装置が作動せず、非常ブレーキがかからなかった」「超音波による車両接近警報装置が鳴動しなかったのは、始めから電源を入れてなかったのではないか」などと叫び、事故の原因を現場労働者の「規程違反」に押しつけている。国鉄分割・民営化と外注化という真の原因を押し隠そうと必死なのだ。
 赤外線による衝突防止装置は、99年に起きた保守用車どうしの衝突事故以降、「安全支援装置」として配備されたものだ。だが、どんなに優れた「安全支援装置」も、どんなに厳格な「規程」も、それを生かす組織体制が外注化により根本から崩壊しているところでは何の役にも立たない。
 重層的下請け体制の中で精神労働と肉体労働は完全に分離され、団結破壊が日常不断に拡大されている。JR社員と下請け労働者は支配−被支配の関係に置かれ、労働者どうしの階級的連携=団結は奪われている。この中で事故は必然的に起きたのだ。

 底が抜けたような安全の崩壊が進行

 東京から博多までの新幹線の夜間の線路保守や電気設備保守に携わっている労働者はすべて下請け労働者であり、JR社員はほぼ皆無となっている。1夜あたりで保線関係は3〜4千人、電気関係は千人ほどの下請け・孫請けの労働者が保守作業にあたっている。つまり、数百台の保守用車と4千人以上の労働者がひしめき合って線路や電気設備を修繕していることにより、時速300`の高速走行は支えられているのである。それらの作業は、驚くべき安全崩壊の中でなされている。
 外注化により、安全は「底が抜けた」ように解体された。
 07年3月には天王寺駅構内でケーブル炎焼・損傷事故が起きた。これはガス溶断で切り落とされた鋼材の破片から古枕木に火が燃え移り、仮置きされていた信号ケーブルを焼損させたというものだ。この作業に当たっていたのは、初めてJR現場の仕事を請け負ったひ孫受けの鉄工所だった。
 06年10月には、西明石駅構内で工事用資材を運んでいたトラックが踏切内で下り電車と衝突する事故が起きた。孫請け会社のトラック業者は、この現場の仕事は初めてであり、カーブとなっている踏切を曲がりきれずに立ち往生していたところに、電車が突っ込んだ。
 今年5月25日には、山陽新幹線の六甲トンネル内で、ロングレール交換の作業中、CO(一酸化炭素)中毒で8人が倒れ、うち3人が救急病院に搬送されるという大事故が起きた。ロングレールの交換作業は、短い夜間作業時間の中で25bまたは50bの定尺レールを溶接することが要をなす。当日は作業量自体が過大だった。時間に間に合わなくなり、予備のガソリン発電機もフル稼働させ、トンネル内の無風状態の中でCOを大量に発生させて中毒事故に至ったのだ。しかも、元請会社の大鉄工業は、労働安全衛生法で定められているCO濃度の測定をまったく放棄していた。まさにこれは殺人行為だ。

 青年の怒り組織しJR体制の打倒へ

 JRは、事故が起こればその責任を労働者に転嫁してくる。その攻撃は青年労働者に集中している。今回の事故に遭遇した保守用車の運転者は27歳の青年だ。05年4月に起きた尼崎事故の運転士は23歳、06年1月の伯備線事故で触車死亡した青年労働者は21歳、その責任をとらされて禁固刑を科され解雇された労働者は25歳だった。
 JRは分割・民営化のすべての矛盾を青年労働者に押しつけ、青年の未来を奪い、殺している。他方でJR幹部は関連会社に天下り、尼崎事故の真の原因を押し隠すために事故調査報告書の改ざんを企て、事故調査委員への贈賄という犯罪に手を染めた。そのJR幹部どもが「合理化」「効率化施策」を叫んで安全崩壊の至極をやっている。
 こんなJR体制は絶対にひっくり返さなければならない。動労千葉の反合理化・運転保安闘争路線を、今こそJRの全職場で実践しよう。闘いなくして安全なし!
 今日の大恐慌下、JRは「国鉄改革25年」を叫び立て、87年の分割・民営化をも超える大攻撃に乗り出そうとしている。業務を徹底的に細分化し外注化するとともに、大首切りと大幅賃下げが狙われている。これは尼崎事故級の重大事故を必ずもたらすものになる。
 JR総連やJR連合はもとより、1047名解雇撤回闘争圧殺の4・9和解案に屈服した国労本部も、この攻撃の手先に転じた。だが、国労組合員にはさまざまな職場で意識的創造的闘いを展開してきた伝統がある。こうした闘いを押しつぶすために国鉄分割・民営化は強行され、その攻撃はJR体制下で継続されている。だからこそ「分割・民営化絶対反対、1047名解雇撤回」は絶対に譲ることができないスローガンだ。
 この闘いを貫くものこそ国鉄全国運動だ。これは青年労働者の未来を切り開く闘いだ。JR東日本の検修外注化を阻止した動労千葉の闘いは、労働者には闘う力があることを鮮やかに示した。
 国鉄全国運動を全力で推進し、外注化・非正規職化の攻撃と徹底的に対決して、今こそJR体制打倒へ総決起しよう。

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週刊『前進』(2453号4面4)(2010/08/30 )

 日程 全学連第71回定期全国大会

9月9日(木)〜10日(金)
東京・文京区民センター
地下鉄大江戸線・三田線春日駅、丸の内線・南北線後楽園駅、JR水道橋駅/文京区本郷4-15-14
参加費/1000円(資料代など。宿泊費は除く)
連絡先/電話 050−3036−6464
mail cn001@zengakuren.jp http://www.zengakuren180.jp

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週刊『前進』(2453号5面3)(2010/08/30 )

焦点 アフガンは敗勢と泥沼化

 「オバマ新戦略」が破綻へ

 01年10月に始まった米帝のアフガニスタン侵略戦争は、今年7月段階で開戦から8年8カ月を超え、ベトナム侵略戦争(1964〜73年)を抜いて、アメリカ史上「最長」の戦争となった。投入兵力の規模は、オバマの大統領就任後の大規模増派によって米軍だけで10万人を超え、ISAF(国連安保理決議に基づく国際治安支援軍)全体で15万にも達しているが、戦況は米軍・ISAF側にとって完全な泥沼となった。6月から鳴り物入りで始まった「タリバンの根拠地」カンダハルへの大規模掃討作戦も開始直後から行きづまり、逆にタリバン側の攻勢で、ISAF軍の死者が1カ月で100人を超えたことが明らかになった。
 タリバン側の反撃はいまや「国土の80%以上の地域に広がっている」(国際シンクタンク「治安と開発の国際審議会」)状態で、イラクに続く「アフガン敗退」もついに現実味を帯びてきた。
 ISAF軍の死者が激増している背景には、農民を始めとしたアフガン人民全体が、米軍への深い敵意をもって対峙するに至った現実がある。その多くがイスラム復興運動のタリバンに加わり、また直接タリバンに加わらない者も、親タリバンの立場を強め、現場の情報がISAF軍には伝わらなくなり、逆に米軍の細かな動向がタリバンに筒抜けとなる状態になっているのだ。
 昨年、米軍はケシ栽培によるアヘン取引がタリバンの資金源になっているとして、収穫前のケシ畑を広範囲に焼き払う作戦を強行した。貧しい小作農民たちにとって、理屈抜きに1年間の収入を奪われた怒りの大きさは計り知れない。また米軍は、敗勢が深まるにつれて無人爆撃機による「過激派が潜む民家」への爆撃作戦を多用するようになり、誤爆による一般市民への虐殺が急増した。その数は今年だけで1300人を超えた。
 米帝は、自らの世界支配と帝国主義的権益を維持するために、ベトナムやイラクで繰り返した無差別爆撃を、いまなおアフガニスタンで続けているのだ。それにもかかわらず、この「世界最強」の米軍が敗勢濃厚となっているのだ。
 イラク戦争に続くアフガン敗退がもたらす米軍の危機は尋常ではない。大規模増派の失敗で戦局打開の展望を失った駐留米軍のマクリスタル司令官は、「政権批判」を公言してオバマ政権中枢と深刻な対立となり、ついに6月30日に解任される危機的事態となった。この事件の背景には、軍そのものの崩壊が始まった問題がある。アフガニスタンでのISAF軍の死者は2000人で、6割が米兵だ。これとは別に自殺する兵士の数も09年1年間で160人を超え、現在も激増している。軍本体が崩壊を始めているのだ。
 オバマが「アフガン新戦略」で公約した「2011年夏からの撤退開始」など、まったく問題にもならない状況だ。米軍敗退が完全に露呈すれば、中東支配全体の破綻となり、米帝の世界支配の根幹が崩れる。それは世界大恐慌の核心部であるドル暴落をも劇的に引き寄せる。世界革命で帝国主義を打倒することが問題になっているのだ。

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週刊『前進』(2453号5面4)(2010/08/30 )

焦点 米軍5万と傭兵部隊残留

 「イラク撤退」演出のウソ

 イラク駐留米軍の「主要な戦闘部隊」が8月19日、イラクから撤退したと報道された。米ブッシュ政権による03年3月のイラク戦争開戦から約7年5カ月。多くのマスコミは「米戦闘部隊の撤退は大きな節目となる」と報道した。だがわずか2日前の8月17日、首都バグダッドの軍施設で自爆攻撃があり、少なくとも57人が死亡した。1回の攻撃による死者数は今年最高となるゲリラ事件だ。
 この間、南部の都市バスラでは6月19日、50度に達する酷暑の中、頻発する停電に怒った3000人の労働者たちがデモ行進して警官隊と衝突し、4人が死亡する事態となった。6月13日にはイラク中央銀行で爆弾の爆発を含む銃撃戦があり、少なくとも12人が死亡したと報道された。まさにこれらが、オバマの「責任ある撤退」なるもののありのままの現実だ。
 そもそも7年を超えるイラク侵略戦争で米英日を軸とした帝国主義がやったことは、15万人以上のイラク軍民の大量虐殺であり、人々の生活に不可欠の電力や水などのインフラの破壊、そしてイラクの石油権益の配分を背景にした宗派間や民族間対立の激化と拡大であった。そして3月の「イラク国民議会選挙」から5カ月が経過しても組閣交渉もまとまらず、いまだ政権は発足できないでいる。
 しかもこの状況下で今、ばく大な利益を上げているのは、7000人へと武装傭兵(ようへい)を倍増しバグダッドで戦闘任務につく米民間軍事会社である。
 実は米軍は、8月末の「戦闘任務終了」後も、イラク国内に5万人の部隊を残す。その実態はほとんど報道されないが、飛行場まで備えた大型基地を含む94個所もの基地を維持し、隣国のアフガニスタンを始めとする中東支配のための軍事拠点として、あくまでイラクを確保しようとしているのだ。オバマはイラクでの敗退をアフガニスタンの制圧で巻き返す「アフガン新戦略」を立て、イラクからの撤退と増派部隊で10万人を超える米軍戦闘部隊の投入に踏み切った。しかしアフガンでも今や決定的敗北が濃厚となりつつある。
 イラク開戦以来の米兵の死者は公表されただけで4419人(国防総省=8月現在)に上る。これが示すように、米帝のイラク・中東支配の破綻と崩壊は決定的である。そもそも米帝は、「大量破壊兵器の保有」をこじつけ、英帝とともにイラク侵略戦争を強行し、大規模な空爆と殺りく戦でサダム・フセイン政権を崩壊に追い込んだ。しかし1カ月を待たずに占領政策の破産は露呈し、7年を超える泥沼的敗勢にあえいできた。
 しかもこの不正義の戦争を日帝と小泉政権は無条件で支持した。在日米軍基地はイラクへの出撃基地としてフル稼働し、自衛隊の大規模派兵にも踏み切った。この血塗られた侵略戦争の上に日帝ブルジョアジーは存在しているのだ。
 菅民主党政権は今、沖縄普天間基地問題で危機を深めつつ、日米安保体制強化と核抑止力の必要を公言し、大恐慌下に侵略と戦争の攻撃を強めようとしている。現在のイラク・アフガン情勢に対するわれわれの回答は、労働者国際連帯の発展をかけ、11月労働者集会を巨大な反戦政治闘争としても大爆発させるために闘うことだ。

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週刊『前進』(2453号6面4)(2010/08/30 )

 日程 三里塚裁判、法大裁判

 三里塚裁判傍聴を!
◎市東さん農地法裁判
 9月10日(金)午前10時30分 千葉地裁
◎鈴木さん一坪共有地裁判
 9月16日(木)午前10時30分 千葉地裁
 傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合を

 法大裁判に集まろう!
★暴処法裁判
 第17回公判 9月16日(木)午後1時30分
★5・28暴行デッチあげ裁判(控訴審)
 第2回公判 9月22日(水)午後1時30分
 いずれも、東京地裁429号法廷 12時30分に傍聴券配布所に集合

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