ZENSHIN 2011/03/07(No2478 p08)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

週刊『前進』(2478号1面1)(2011/03/07 )

 戦争・大失業の菅打倒! エジプト革命連帯!

 全国結集で3・20反戦デモを

 3月国鉄ストと全国運動の力でJR外注化・新賃金制度粉砕へ

 郵政雇い止めに労働組合の反撃を

 3・27三里塚全国集会へ 反対同盟アピール(8面)

 エジプト、チュニジアを先頭に、「大恐慌をプロレタリア革命へ」の闘いが全世界で始まった。「もう我慢できない」という青年労働者を先頭とした根底的怒りが爆発している。今こそエジプト革命に連帯し、この日本の地で階級闘争の革命的転換をかちとろう。米帝は革命の嵐を圧殺するために、リビアの内乱に軍事介入しようとしている。また二つの米韓(日)合同演習で朝鮮侵略戦争を発動しようとしている。今や東京・渋谷での3・20反戦大デモが決定的だ。エジプト革命連帯、菅政権打倒、朝鮮侵略戦争阻止へ、全国から総結集して闘おう。この力で3月国鉄決戦と4月選挙戦の勝利を開こう。

 米帝の革命圧殺の軍事介入を許すな

 エジプト2月革命は大恐慌のもとで、青年労働者を先頭に、労働組合をめぐる激闘を通して切り開かれた。エジプトの労働者や学生は幾多の犠牲を払ってタハリール広場を守り抜き、百万人のデモ拠点と化して闘った。
 スエズ運河や鉄鋼、電機、ガスなどの基幹産業の労働者、そして公務員労働者が、官製労組の制動をぶち破ってストライキに決起した。弁護士や医者も革命に合流し、まさに全人民的闘いとなることによって、軍も手出しできない力関係をつくり出した。このエジプト革命は、瞬く間に北アフリカ・中東全体に広がり、さらに中国やアメリカ、さらにはロシアへも波及し、日々拡大している。
 特筆すべきことは、エジプトを始めとした滞日・在日外国人労働者の戦闘的な流動と決起が、中東・北アフリカの革命的激動の中で起こっていることだ。
 彼らとの連帯・合流は、日本の闘いの前進の重要な力である。今こそ韓国・民主労総を始めとする日韓米3国連帯のこれまでの地平を打ち固めさらに発展させよう。
 エジプト革命はなぜこれほどすさまじい波及力をもっているのか。それは、労働者階級が自らの力に目覚め、労働組合を労働者自身の解放のための武器として奪還するならば、30年間続いた独裁政権だろうが、帝国主義の中枢国だろうが、根底的に打倒し、自らの社会をつくり出せるのだという確信を、心の底から持ったからに他ならない。
 これに対して、エジプトを先頭に爆発するこの世界革命の闘いに震え上がり、革命の激浪を圧殺しようと、米帝オバマは今や、朝鮮侵略戦争を強引にやろうとしている。
 米韓連合軍は2月28日から、韓国全土で増援演習「キー・リゾルブ」(3月10日まで)と、野外機動演習「フォール・イーグル」(4月30日まで)の二つの軍事演習を始めた。米軍2万人と予備役を含めた韓国軍20万人を投入し、金正日体制の崩壊への介入と北朝鮮の制圧、北朝鮮の核やミサイルの除去=空爆も狙うすさまじい戦争挑発行為である。
 米韓軍は「北朝鮮のウラン核実験施設が3月中にも完成する」「北朝鮮はすでに弾道ミサイルを発射する準備を整えている」と北朝鮮脅威論をあおり、「キー・リゾルブの終了後に(北朝鮮の)挑発が起こる可能性がある」(韓国国防相の国会答弁)などと挑発している。体制崩壊が切迫する北朝鮮に戦争重圧を加え、「暴発」を誘い、それを合図に全面侵略戦争に突入しようとしているのだ。
 さらに米帝はスエズ運河に原子力空母エンタープライズを待機させ、リビア沖に強襲揚陸艦、輸送揚陸艦と海兵隊400人を派兵し配置した。米(欧)軍はリビア上空に飛行禁止空域を設け、「カダフィ掃討」を口実にしてリビア内戦に軍事介入することをも狙っている。
 何のためか。大恐慌がプロレタリア世界革命の勝利に転化するのを阻止するためだ。今やエジプト革命は米国内にも波及し、財政破綻した州政府がすべての犠牲を労働者に押しつけていることに対し、教育労働者を先頭にスト、デモ、議会占拠が闘われ、ウィスコンシン州から各州へと決起が拡大している。
 米帝オバマは、戦争発動による排外主義・愛国主義でこの労働者の闘いを分断し、圧殺しようとしているのだ。今こそ3・20反戦大デモの大爆発が決定的に重要である。

 朝鮮侵略戦争参戦と労組破壊狙う菅

 米帝(米日韓軍事体制)による朝鮮侵略戦争の最大の出撃基地は沖縄だ。3月1日には、嘉手納基地から米原子力空母ジョージ・ワシントンの艦載機が爆音をとどろかせて飛び立ち、高校の卒業式を踏みにじった。抗議に対し米軍は「有事即応訓練中」と居直った。すでに沖縄は臨戦態勢に突入している。
 日米両政府は、外務、防衛担当閣僚による日米安保協(2+2)を5月連休中に開催し、そこで中国との対峙・対決政策や朝鮮侵略戦争参戦を日米同盟の「共通戦略目標」として確認する。たとえ菅の6月訪米が吹っ飛ぼうとも、侵略戦争体制は築くということだ。
 菅政権は予算関連法案成立の展望もなく(6月にも財政が尽きて「政府閉鎖」の危機に陥る)、民主党は内部分裂し、解散・総選挙にも打って出られない。この八方ふさがりの危機の中で、その突破を今や朝鮮侵略戦争参戦と労組破壊の攻撃に託そうとしている。
 菅、仙谷、枝野らがこれまでの自民党や鳩山などと決定的に違う点は、革命のリアリズムを権力の中で最も知っているということにある。だから彼らは帝国主義者として、革命を圧殺するためならば、戦争でも、どんな理不尽なことでも、平気でやってくる。その典型が、「国鉄方式」による「いったん全員解雇・選別再雇用」の攻撃だ。
 さらに、3月中旬にも国会に提出される公務員制度改革関連法案を絶対に許すな。これは、@スト権の代償措置として「強制仲裁」制度を導入する、A人事院勧告制度と人事院を廃止し公務員庁を新設する、Bこれを窓口にして給与交渉などを労組と進める(団体協約権の付与)、C労使交渉が決裂し中央労働委員会のあっせんもうまくいかない場合、中労委が示した裁定を団体協約締結と見なす(労使はこれに従う義務がある)といった、まったくとんでもない内容である。
 公務員賃金の大幅カット、360万人の大量解雇・選別再採用、民営化・外注化・非正規化の攻撃を本格的にやるということだ。
 日本経団連などブルジョアジーは、どんなに絶望的であろうが菅を支えるしかない。菅の後には誰もいない。また一方では亀井静香らの「挙国一致内閣」「救国内閣」論がすさまじい危機感を伴って出てきている。
 菅政権打倒は、エジプト革命に連帯し、朝鮮侵略戦争を阻止し、プロレタリア革命(日本革命)をたぐり寄せる決定的闘いだ。3・20反戦大デモを全国総結集で闘おう。

 「国鉄方式」の解雇に徹底対決しよう

 1〜2月闘争は、まさに始まった世界革命の闘いのただ中での、激しい攻防、動と反動の連続だった。だがすべての労働者がそれぞれの産別・職場において、資本や体制内との激烈な攻防を、革命前夜における避けることのできない激突としてとらえ、先制的・攻勢的に闘い抜き、団結を維持・強化して3月決戦に突入している。これは決定的である。
 とりわけ動労千葉は、検修・構内業務外注化、北嶋君へのライフサイクル発動、貨物の新小岩派出廃止、新賃金制度などの攻撃とひるむことなく闘い抜き、産廃絶対反対で勝浦市長選を勝利的に展開し、「闘えば絶対に勝てる」という強烈な信念を持った活動家を膨大に生み出した。そして今や、2・27定期委員会で4・1外注化阻止、新賃金制度粉砕、大幅賃上げへ、3月決戦ストを配置して闘う方針を確立し、意気高く前進している。
 JRでは平成採の青年労働者の怒りが沸点に達し、新賃金制度推進の先兵になっている東労組カクマルから一挙に離反する可能性が生み出されている。国労共闘の労働者が職場で、新賃金制度・総合労働協約絶対反対、外注化阻止へ全身全霊を傾けて闘うなら、JRの青年労働者を圧倒的に獲得し、国労本部を打倒して、国労を階級的に再生させる突破口は絶対に開かれる。4月1日の闘争団の組合員籍はく奪の攻撃に怒りを爆発させ、国労本部打倒・JR体制打倒へ突き進もう。
 郵政職場では、非正規労働者の大量雇い止め通告が始まっている。まったく不当な通告を受けた郵政労働者が、労組交流センターのビラを見て連絡を取り、「何とか一矢報いたい」「自分のような青年を二度とつくらないため闘う」と、続々と決起し始めている。
 日本航空の整理解雇(指名解雇)された労働者の怒りは、日共スターリン主義の制動をぶち破って発展している。幼保一体化攻撃の本質は、保育を金もうけの道具とするために、保育の公務員労働者の首を切り、非正規職化し、低賃金化することだ。保育労働者と、保護者でもある青年労働者は、日本共産党が振りまく「より良い保育」論など粉砕して、民主党政権との激突に必ず立ち上がっていく。
 問題は「多数派へ」の変革と飛躍をかけた、われわれの構えと実践だ。国鉄闘争全国運動を職場・地域に打ち立て、「国鉄方式」の首切り阻止へ、団結を総括軸に闘い抜こう。
 学生を最先頭に3・20反戦大デモへ全国から総結集しよう。春闘行動を闘う青年労働者は3・20闘争を牽引(けんいん)し、日本階級闘争の革命的転換をやり抜こう。そこから3・27三里塚全国闘争に大結集し、菅政権打倒へ攻め上ろう。
 3・20闘争と、動労千葉を先頭とした3月国鉄決戦を断固打ち抜き、菅政権打倒・4月統一地方選勝利へ突き進もう。

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週刊『前進』(2478号1面2)(2011/03/07 )

 全学連 渋谷で“安保粉砕”訴え

 怒りの大デモへ闘い進む

 

(写真 全学連の3・20反戦デモ参加へのアピールで渋谷の街が闘いの息吹に満たされた【3月3日】)

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週刊『前進』(2478号1面3)(2011/03/07 )

前進速報版から 前進速報版から

▼東京各地区で春闘集会を開催▼ウィスコンシン州から全米へ公務員労働者の闘い拡大▼三里塚団結街道裁判▼東北で春闘集会・デモ

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週刊『前進』(2478号1面4)(2011/03/07 )

 日程 3・27三里塚集会、3・20渋谷反戦デモ

 第3誘導路建設阻止! TPP反対!
 現闘本部の破壊を阻止し、市東さんの農地を守ろう!
 軍事空港建設粉砕・改憲阻止!
 3・27三里塚全国総決起集会
 3月27日(日)正午
 成田市天神峰 反対同盟員所有畑
 【主催】三里塚芝山連合空港反対同盟
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 イラク開戦8年 全世界一斉行動
 3・20渋谷反戦デモ
 3月20日(日)午後1時集会(3時30分デモ出発)
 代々木公園B地区野外ステージ
 主催/3・20集会実行委員会
 ★朝鮮侵略戦争を阻止しよう! 沖縄新基地建設を阻止し、日米安保を粉砕しよう!
 ★戦争・大失業の菅政権を倒そう!
 ★法政大学の監獄体制をぶっとばそう!

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週刊『前進』(2478号2面2)(2011/03/07 )

 郵政雇い止め 「支店長の野郎許せねえ」

 全国の職場で大反撃始まる

 「全国で非常勤職員への『雇い止め通告』が始まっています。本当に怒りに堪えない首切りですが、絶対に自分から『やめる』と言ったり退職届を出してはいけません。面談では『生活があるから辞めるわけにはいきません。引き続き仕事を続けたい』と答えよう。雇い止め通告や退職強要を受けたら、私たちに連絡を! (賃下げ通告などで)不安な人も連絡してください。雇い止め解雇絶対阻止で団結して闘おう! 職場の仲間の首切りをみんなの力で阻止しよう!」(H局の職場ビラより)
 郵政当局が、3月末を期限に全国で数千人規模の非常勤職員に雇い止めを通告していることに対して、職場の怒りが爆発的に広がっている。「通告」を受けた多くの現場労働者が労組交流センターの窓口に駆け込み、不当な雇い止めや賃下げの実態を怒りもあらわに語り、自分に降りかかった攻撃が、郵政はもとより全国あらゆる産業で起こっている無数の首切りやリストラ、賃下げと同じ問題だと知り、労働組合による団結の大切さを知り、闘いを始める仲間が相次いでいる。
 あらためて明らかになったことは、郵政民営化の失敗のつけを現場労働者に一方的に押しつける郵政当局の怒りに堪えないやり口だ。ゆうメイトへの一方的な雇い止めを「無効」とする広島高裁判決(2月17日、本紙前号既報)の地平に照らしても現在当局が進めている大量雇い止め攻撃のすべてが違法行為なのだ。

 一方的に賃下げ“嫌ならやめろ”

 東京D局で雇い止め通告を受けた非常勤労働者は、「現場の小包部門で2年間、週休2日の1日を廃休にして正月休みもなく出勤した。(人減らしの影響で)休日に突発的応援を頼まれても応えてきた」と雇い止めの理不尽さを語った。仲間同士の業務上の問題解決にもリーダーシップをとってきたという。
 一方の現場管理者は無責任を絵に描いたような存在だ。新人に仕事をキチンと教えない。ゆえにミスや事故も多いが、彼らは誰も責任を取らない。こういう現場を実際に動かしてきた労働者が、一方的に「郵政破綻」の責任を押しつけられたのだ。
 雇い止めの「理由」はJPEX計画(小包部門の子会社化と日通ペリカン便との統合)の破綻、すなわち民営化の破綻そのものだ。当局が「赤字は小包の現場がつくった」というデマを局内で組織し、「小包職員のエレベーター使用禁止」なる信じられない分断行為で雇い止めの正当化を図っている局もある。
 また、勤務時間「短縮」を使った賃下げや健康保険からの除外、スキル評価の意図的ダウンによる時給切り下げなども全国で行われている。年収で正社員の3分の1の非常勤職員が、生活自体が成り立たない水準の賃下げを突然提示され、「応じないなら雇い止め」という手口だ。
 東京J局では、6年も内務を勤めたスキル評価「A」の非常勤職員が突然「C」評価に下げられ、月収で3万円を超える減収を通告され途方に暮れた。これも「自主退職」に追い込む手口だ。この労働者は「テンキーを打ち込む作業で6年も実績を積んだ。検定資格も取った。突然、新人と同じ評価に下がるなんてあり得ない」と、怒りもあらわに語った。
 東北地方のK局では、賃下げなど労働条件変更の「同意書」について、具体的内容は何も記載されていない白紙のまま「署名・捺印」を強いる、むき出しの不当労働行為が強行された。

 「郵政危機」は百%経営の責任

 「支店長の野郎、許せねえ!」――現場の怒りは爆発寸前だ。「郵便が潰れる」(週刊朝日3月4日号)などの報道があふれるほどの「郵政危機」の実態は、マスコミですら「宅配便事業の統合で重大な経営ミスが二つも続いたからだ(JPEX計画の失敗と再統合の失敗)」(同)と報道するように、現場労働者には1ミリの責任もない問題だ。政府も総務省もこの事実を公式に認めてしまった。現場の8割を低賃金の非正規職に置き換えるために「民営化の戦略事業」とまで銘打ったJPEX計画を現場労働者の猛反対を押し切って強行したあげくの”郵政崩壊”なのである。
 経営責任をブルジョア的にごまかす(経営陣の総退陣など)こともせず、最も弱い立場の非常勤「数千人」を路頭に放り出して帳尻を合わせようとする悪らつな郵政資本を絶対に許してはならない。JR資本が鉄道の安全を破壊してしまったように、郵政資本は郵便事業そのものを崩壊させつつあるのだ。
 これほどの事態にスト一本も打てないJP労組本部の屈服にもかかわらず、多くの職場で創意あふれる反撃が始まっている。労働組合としてどう対応するかが問題だと、圧倒的な現場労働者が再認識し、大流動を生み出している。「どう闘えばいいか?」という労組交流センターへの問い合わせも急増している。
 不当な雇い止めに反撃し、これを跳ね返すことはまったく可能だ。郵政資本に打撃を与える具体的な闘争手段を駆使して、国鉄闘争全国運動とともに、30万JP労組を闘う労働組合によみがえらせる闘いの一大突破口を切り開こう!

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週刊『前進』(2478号3面2)(2011/03/07 )

 新刊紹介 戦後労働運動と反合・運転保安闘争

 ――国鉄闘争全国運動を広げよう――
 労働者学習センター編。伊藤晃さん「戦後労働運動史の中の船橋事故闘争」/布施宇一さん/田中康宏さんほか。問い合わせはDC会館(TEL:043-222-7207)

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週刊『前進』(2478号4面1)(2011/03/07 )

 エジプト革命と連帯し菅政権打倒へ 3・20反戦大デモを

 エジプト2月革命 労働組合の力で旧政権倒す

 大恐慌下の現実に怒りが噴出プロレタリア革命が始まった

 エジプト革命は労働者階級の総決起の時代が来たことを世界に告げ知らせた。たまりにたまっていた労働者の怒りがあらゆる抑圧を吹き飛ばしたのだ。エジプトは中東石油支配の戦略的な要として帝国主義の全重圧を受けてきた。全世界の労働者が、エジプトの労働者がこれまでの闘いがどれほど困難だったか、受けてきた抑圧がいかに大きかったかを知っている。だからこそ蜂起の解放感をともに感じ、最後の勝利までともに闘おうとしている。エジプトの労働者階級と連帯し、大恐慌を世界革命へ転化する闘いの前進をかけて、全国から3・20渋谷デモに総決起しよう。

 1 革命で今までの力関係逆転 労働者権力樹立が次の課題

 元与党幹事長のエズを逮捕

 エジプトでは今、国有のエジプト航空や石油・ガス会社、最大の新聞社アルアハラムを始め、大小の官庁、企業で腐敗や権力乱用で追及され、追放されるトップが続出している。
 2月11日のムバラク大統領の辞任後、軍最高評議会は元与党幹事長のエズ(中東最大の鉄鋼資本家)を不正蓄財容疑で逮捕した。もちろん、軍最高幹部自身が最大の利権集団であり腐敗しきった存在だ。彼らが革命圧殺の策動をしていることは明らかだ。しかし彼らは、エズの逮捕をしなければ自分たち自身が労働者階級の怒りの的となると恐怖して、逮捕に及んだのだ。
 2月11日のムバラク打倒はまさに全社会的な革命だった。社会全体の力関係が逆転したのだ。それまで大きな顔をしていた者がみな、小さくなった。

 革命が全人民の正義になる

 こうした状況の中で、「革命」という言葉の意味が一変している。それまでは、「革命」とはごく一部の人間が最先端で切り開くものというニュアンスで使われていた。しかし今、「革命」は全エジプト人の言葉だ。反動的な軍最高評議会でさえ「革命を尊重する」と言う。つまり「革命に反対する」ことは「人民全体の意思や業績に反対する」ことと同義語になったのだ。あえて言えば革命が「国民的正義」になったのだ。
 これは、この革命が階級の違いをこえた「国民革命」であるということではない。逆に、徹底的に労働者階級が主体となった革命であるからこそ、諸階層をも吸引し、全人民的な正義になったのだ。
 ムバラク打倒まで上り詰めたエジプト革命は、1917年のロシア革命で言えば「2月革命」だ。ロシア2月革命と同じように、労働者階級の力で旧体制の政権を打倒したのだ。プロレタリア革命が始まったのだ。

 2月革命からさらに前進へ

 支配階級の国家権力を打倒して労働者権力を樹立するのはこれからの課題である。だが、プロレタリア革命の完遂へ偉大な突破口は切り開かれたのだ。革命の第一幕は大勝利した。
 確かに、労働者階級が全国的な組織として自分たちを組織し、ヘゲモニーを取りきることはまだできていない。支配階級の国家権力を打倒し、労働者の権力を樹立すると宣言しているわけでもない。だから「まだ2月革命」だということだ。
 体制内諸勢力は現在、「ネット革命」などと言ってプロレタリア革命であることを隠そうとして必死になっている。だがインターネットは道具であって主体ではない。労働者階級こそエジプト革命の主体なのだ。

 2 「違法スト」が革命準備した 国営マハラ繊維工場の闘い

 スト・争議で革命の力養う

 エジプトでは04〜08年に140万人の労働者がストライキなどの争議に決起してきた。こうした巨万の労働者の闘いが登場したこと自体、一つの「革命」だった。これまでの軍事独裁体制のエジプトでは、資本や国家権力へのわずかな要求を口にすることさえ逮捕・投獄や拷問の覚悟が必要であり、少人数の集会さえ困難だったからだ。
 しかし労働運動だけが、長い間の地道な秘密の組織化を積み重ね、大規模なストライキができるほどの強力な団結体を形成してきた。この時期のエジプトで、こんな大規模な闘いを実現した運動が、労働運動以外のどこにあっただろうか。
 これは、単に国家権力が社会全体を支配しているということだけではなく、資本と労働者の最も根本的な対決の場所=生産点を権力の手先、資本と官製労組が支配している状態をいかに打ち破るかということだった。官製労組と闘って、独自の労組(ないしそれに準じた組織)をつくることこそ最大のテーマだった。
 過酷な軍事独裁政権の弾圧のもとで、それを突破して労働組合をめぐる組織戦に勝ち抜いた労働運動だけが、公然とストライキやデモ、座り込みを行える力関係を実力でもぎ取ってきたのだ。
 エジプトではストライキは「違法」だ。だが、現実に「違法」ストライキを労働者の団結で決行し、弾圧したくてもできない力関係をつくってしまったのだ。この力関係がつくられたことが、労働者以外の諸階級・諸階層をも限りなく励まし、新たな運動への決起を促したのだ。
(写真 ストライキに立ち上がった石油・天然ガス労組の組合員【2月14日】)

 4月6日ゼネスト呼びかけ

 この過程では、鉄鋼労働者やセメント労働者、鉄道労働者などさまざまな部門の労働者がストライキに立ち上がった。その中でも力関係を決定的に転換する分水嶺(ぶんすいれい)になったのは、06〜08年のマハラの繊維労働者の闘いだ。
 エジプト特産の綿花を使った繊維工業は、戦前から重視されてきた部門であり、50年代からのナセル軍事政権のもとでもますます重点産業とされ、国営化政策が取られてきた。マハラはその最大工場だった。この重点的な工場で大ストライキが起こって、全エジプトに影響を与えたのだ。
 マハラの繊維労働者は、06年のストライキで賃上げに勝利し、また07年でも駄目押し的に勝利している。また「民営化をしない」という確約もかちとった。しかも一人の労働者も逮捕されなかった。「違法ストライキ」であっても、2万7千人が職場を武器に団結して闘えば弾圧を跳ね返せることを証明したのだ。「政府の方が震え上がったんだ!」。この報が全国に感動的に伝わった。この闘いに他地域の繊維労働者を始め全土の闘う労働者から連帯のメッセージが届き、ゼネストの熱が高まった。
 この闘いをとおして運動が勢いづくとともに、労働者の団結が強化され広がった。そして08年にはマハラの繊維労働者は4月6日ゼネストを呼びかけた。
 軍隊は4月6日の前日、奇襲的に工場に突入して労働者の朝の入構を阻み、ストライキ突入を力ずくで封じた。怒った労働者は、巨大な門前集会に立ち上がった。全市の労働者住民は、軍の凶暴な弾圧に反撃して、3日間にわたる食糧暴動に立ち上がった。
 私服の治安警察はこの時、住民を混乱させようとして、市内各所で略奪をした。繊維労働者を中心とする同市の労働者は、この略奪に対して組織的に闘った。

 団結した労働者の組織性

 この闘いの経験は、確実に今回の革命に生かされている。1月25日からの蜂起の過程でも、機動隊が撃破されて市内に登場できなくなった28日以降、私服警官が民間人のふりをして博物館や商店で略奪行為を繰り返して蜂起を混乱させようとした。しかし労働者はこの08年のマハラの事態を知っていたからこそ、各地区に防衛委員会をつくり、混乱の拡大を防ぐことができたのだ。
 また10万人から100万人規模に拡大した集会を反革命の襲撃から防衛し、医療、物資補給、衛生・清掃などあらゆる自治行政的な任務を遂行して18日間にわたって蜂起体制を維持できたのも、労働運動の組織性があったからだ。
 タハリール広場の参加者は、「こんなに連帯感がある世の中は初めて」「女性が誰も、一人も嫌がらせを受けていない。こんなことは初めてだ。みんながみんなを助けている」(米独立放送局デモクラシーナウのインタビュー)と語った。共同の戦闘の中から新しい社会が生まれつつあることを誰もが感じた。
 労働運動は、職場の団結をもとに連帯感あふれる共同体をつくることができ、組織性が高い運動をつくることができる。エジプト革命では大恐慌のもとでその労働運動の真価が存分に発揮された。
(写真 官製労組と激突し闘う独立労組が100万人集会の中軸を担った。1月31日のタハリール広場)

 3 新自由主義下の失業と貧困 国鉄闘争の発展が連帯の道

 革命に決起した大衆の怒りの的は、世界大恐慌の中での物価暴騰と賃金の停滞、失業だった。特に07〜08年の食糧価格の暴騰が労働者の生活を直撃した。4割の労働者が1日2j以下で生活しなければならない現実や、学校を出ても若者が就職できない現実がある。
 これはサブプライムローンの崩壊とリーマン・ショックによって行き場を失った投機資金が石油と食糧を買い占めた結果であり、大恐慌、新自由主義そのものがもたらしたものだ。それをムバラク政権は、投資の自由化・優遇という新自由主義政策で促進した。
 タハリール広場では、ムバラク政権の腐敗、汚職に対する怒りの声があらゆるコールに含まれていた。あらゆるものがコネとワイロで決められることへの怒りだった。
 エジプトの権力者は、甚だしい不正蓄財を重ねてきた。打倒されたムバラク一族の蓄財は700億j、逮捕された元与党幹事長エズは180億jだ。権力を使って人民の資産を略奪した結果だ。それは隅々にまで及び、エジプトの支配階層は権力とのコネの大小に応じて私腹を肥やしてきた。華やかな新築のマンション、リゾート、スポーツ施設などを持つミニ・ムバラクがあちこちに生まれた。
 そうした蓄財が、民営化によってさらに大々的に拡大された。日本の国鉄分割・民営化や郵政民営化の場合と同じく、新自由主義の民営化は、国有財産の分捕り合いと不可分一体なのだ。腐敗の蔓延(まんえん)は単に個々人の強欲の問題ではなく、民営化が必然的にもたらしたものだ。

 全世界的意義もつ国鉄闘争

 新自由主義は米日欧資本の工場の外注化・海外移転で職場の労働者を丸ごと解雇することを労組攻撃の切り札にしてきた。だがそれは世界中に膨大な労働者階級をつくり出した。そして全世界をのみ込んでいる大恐慌の中で、資本の断末魔のあがきはどこでも労働者階級を犠牲にしている。
 だからこそ「エジプト革命に続こう」という巨大なうねりが、中東全域から中国やアメリカまでたちまち広がっているのだ。
 ここにおいて、日本の国鉄闘争は、国際的にも決定的な位置を持っている。なぜなら、工場閉鎖・移転などの新自由主義攻撃は、職場を丸ごとつぶし、全員解雇することを労組破壊の切り札にするものだ。まさしく国鉄分割・民営化攻撃とまったく同じだからだ。
 日本では国鉄分割・民営化以降、国鉄をモデルにして郵政、社保庁の民営化攻撃や民間の大々的な偽装倒産が蔓延してきた。そして米日欧からBRICsなどに移転した資本も、さらにそこから海外移転する動きが活発化している。
 国鉄闘争は、こうした攻撃の元祖である国鉄分割・民営化と闘い続けている。動労千葉はJR東日本の検修部門全面外注化を阻み、組合つぶしの強制配転攻撃と不屈に闘って組織を拡大し、4・9反革命(政治和解による労働運動圧殺)と対決して全労働者を獲得する闘いをしている。
 また03年以来、韓国・民主労総やILWU(米西海岸の国際港湾倉庫労組)が11月労働者集会に合流して日本の労働者との国際連帯闘争を強め、その闘いは現在さらにブラジルやドイツの労働者との国際連帯に発展している。これもまた動労千葉を軸とする国鉄闘争が世界の労働者に展望を与えているからだ。

 沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒

 国鉄闘争陣形はまた、動労千葉を先頭に一貫して安保粉砕を闘う反戦闘争の軸になってきた。
 アメリカ帝国主義は今、必死になってエジプト革命、中東革命の圧殺を策動している。中東革命は、米帝の石油支配の崩壊であり、米帝の死であるからだ。米帝がどんな凶暴な戦争をしてでも中東革命を圧殺しようとすることは間違いない。しかし米軍は、在日米軍基地なしには中東での戦争はできない。日本の労働者階級こそが米軍を止め、朝鮮や中東への侵略戦争を粉砕する力を持っているのだ。
 一切を国鉄闘争全国運動の組織化にかけよう。米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒に決起しよう。3・20渋谷をタハリール広場にしよう。
 〔村上和幸〕

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週刊『前進』(2478号4面2)(2011/03/07 )

 国際労働運動 4月号

 革命準備する選挙戦

 杉並、相模原、八尾を拠点に闘われる4月統一地方選挙は、菅民主党政権打倒の一大政治決戦である。エジプト革命は、日本の階級的労働運動への檄(げき)である。これと連帯し、民主党を始め全党派との党派闘争に勝ち抜き、国鉄闘争全国運動を職場・地域で組織しよう。菅政権を打倒し、勝利しよう。
 第1章では、11・23において帝国主義戦争がついに始まったことを踏まえ、「戦争を内乱へ」の立場から革命を準備する選挙闘争、大恐慌下における革命的議会主義を全面的に提起している。
 第2章では、菅民主党政権打倒論を全面的に提起している。菅が施政方針演説で明らかにしたTPP、新成長戦略、消費大増税、公務員360万人首切りと道州制、日米同盟深化による朝鮮・中国侵略戦争宣言など、大恐慌下の戦争と大失業攻撃を弾劾している。
 第3章では、体制内派との労働組合をめぐる攻防に国鉄闘争全国運動で勝利していくことが選挙闘争に勝利する路線であることを明らかにしている。
 翻訳資料は、ウィキリークスのエジプト版。ムバラクを後押ししていた在エジプト米大使館が、ムバラク軍事独裁政権の暴虐ぶりをつぶさに本国に報告していた公電が暴露されている。エジプト革命への理解を深める重要資料。

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週刊『前進』(2478号5面1)(2011/03/07 )

 エジプト革命と連帯し菅政権打倒へ3・20反戦大デモを

 中東全域で大恐慌が革命に

 決起している主力は労働者階級

 チュニジア、エジプトをはじめ中東・北アフリカ諸国の革命は「世界大恐慌のプロレタリア世界革命へ」の転化の始まりだ。これらの諸国を長期にわたって支配してきた独裁政権は帝国主義と結んで新自由主義政策を導入し、大量の低賃金労働者をつくり出し、搾取してきた。そのなかで世界大恐慌が爆発的に激化し、労働者人民を一層の大失業と貧困にたたき込んだ。しかし労働者階級は戦闘的労働組合をつくって反撃し、力を蓄え、闘う組織を打ち鍛え、ついに独裁体制とブルジョアジーの支配、帝国主義の支配を打倒した。エジプト―中東革命は世界革命の現実性を示す闘いとして世界の労働者を限りなく激励し、勇気を与え、米国、中国、インド、北朝鮮などの労働者の陸続たる決起を引き出している。

 ソビエト組織が登場 リビア

 リビアのカダフィ独裁体制は、労働者のストライキに弾圧を加えたエジプトのナセル体制を手本にした体制だった。それは対外的にはナセルと同様に、一方でスターリン主義からの援助を引き出しながら、他方で帝国主義、巨大独占資本との癒着を深め、新自由主義政策を導入してきた。国内的には、莫大(ばくだい)な石油収入をカダフィ一族で独占して労働者人民に困窮生活を強制し(リビアの失業率は30%でエジプト以上!)、軍部や治安組織の力に依拠して過酷な労働者支配を敷いてきた腐敗した体制であった。
 労働者人民を「ゴキブリども」と呼んでいたカダフィに対して激しい怒りを抱くリビアの労働者人民は、エジプト革命に鼓舞されて2月15日からカダフィ打倒のデモに決起した。以来、事態は急速に進行した。
 2月25日の段階ですでにリビア東部は反政府派が制圧している。東部では労働者人民が自衛組織をつくり、反政府派についた警察や軍隊とともに各自治体を管理している。2月20日までに労働者・兵士が支配権を確立したリビア第二の都市ベンガジでは、労働者・学生・医師・弁護士らが結集して「市民評議会」(「2月17日革命連合」とも呼ばれている)というソビエト的組織を形成し、市の日常業務を管理し、完全な秩序を生み出している。
 東部はリビアの国家予算の3分の2を占める石油と天然ガスの産出地帯であり、この地域を反政府派が掌握したことは、カダフィ体制に決定的な打撃を与えた。
 これに加えて政府機関の存在する首都トリポリでも、25日にはついに市内で厳戒態勢を打ち破った数千人のカダフィ打倒デモが行われ、カダフィ政権を完全に追い詰めている。
 政権内部の分裂も深刻化し、カダフィ一族の国外亡命の試みも行われた。
 このような状況に対し、カダフィは22日の段階で退陣拒否を声明し、特殊部隊とアフリカ諸国からかき集めた傭兵(ようへい)部隊に依拠してあくまで残虐な武力弾圧策を取り、6千人を超えるといわれる労働者人民を殺害した。だが警察はすでに無力化し、軍の一般兵士も基本的にカダフィ体制から離反している。この現実のもとでは、カダフィは戦闘機やヘリコプターによる空からの攻撃や、狙撃兵による遠方からの狙撃に頼る以外に労働者人民の闘いに対処できなくなっている。
 カダフィ体制の崩壊はもはや不可避である。その後の新体制がいかなるものになるかはまだ不透明だが、リビアでも労働者階級は必ずや、エジプトやチュニジアの労働者階級の闘いに学び、相互に連携して新たな革命的な運動を展開していくであろう。
 石油労働者は2月21日から、油田で働く多くのエジプト人技術者や労働者と連携してストライキに決起し、カダフィ政権に決定的打撃を与えている。この石油労働者や、カダフィ体制との闘いに決起している教育労働者は、リビアの労働運動の軸を担っていくであろう。カダフィ独裁体制による徹底した情報統制にもかかわらず、全国的な蜂起を実現し、軍の反乱まで引き出した組織力の基盤は、こうした労働者たちの組織である。将来も必ずこのような労働者の組織が新自由主義政策のもとで急速に増大した労働者階級を革命的に牽引(けんいん)し、リビアのプロレタリア革命を主導していくであろう。
(写真 2月27日、反カダフィ派が制圧したリビア西部の都市ザウィヤで労働者が軍の戦車を包囲、反乱兵士とともにカダフィ打倒のシュプレヒコール)

 労組が革命の拠点に バーレーン

 2月14日に始まったバーレーンの反政府デモは、完全に「王政打倒」の革命運動へと発展している。18日の首都マナマの「真珠広場」を占拠していたデモ隊数千人への治安部隊による流血の弾圧をはね返して、19日にかちとった真珠広場再占拠の闘いが転換点となった。
 政府側は野党勢力との対話を開始したり、政治犯100人以上の釈放を発表している(2月23日)が、労働者人民は体制内野党を引き込んだペテン的な懐柔策動を許さず、王政打倒の闘いを継続している。
 この闘いでは、ストライキを呼びかけて重要な役割を果たしている労働組合が新たな闘いの拠点となりつつある。弾圧の機会をあくまでうかがう政府に対して、公立学校や一部の病院、工場などで労働者は労働組合の指導下で相次いでストに入り、次第に社会的影響力を増大させている。事の本質はスンニ派対シーア派の宗教対立ではなく、帝国主義・ブルジョアジーとプロレタリアートの階級対立、階級闘争なのだ。
 労働者人民の闘いが産油国のバーレーンとリビア、アルジェリアに波及し、さらにはサウジアラビアにまで波及しようとしている事態に、米帝は激しい危機感を抱いている。バーレーンとサウジアラビアの石油利権の喪失は、米帝の中東支配と中東石油支配の崩壊、石油支配に支えられたドルの暴落をもたらす。それは、米帝の帝国主義戦後世界体制の盟主としての地位の喪失を意味する。また帝国主義諸国が中東の石油を失えば、すでに世界大恐慌下にある帝国主義世界経済は最後的に崩壊せざるをえない。
 さらに米帝にとって重要な問題は、バーレーンには中東全域に(とりわけ対岸のイランに)にらみを利かし、中東の石油支配と軍事制圧を貫徹するために不可欠な米海軍第5艦隊の基地があることだ。それはペルシャ湾の石油輸送とサウジアラビア西部の巨大油田を軍事的に保障する役割も持つ。そのため米軍は最近、5億8千万jを投入して基地を2倍に拡張したばかりだ。
 米帝はこの中東戦略上の要衝をなんとしても護持するためにバーレーンの革命を必死で阻止しようとしている。だがそれは、米帝の反動王政諸国護持の姿勢を鮮明にさせる。産油国を含む全中東諸国における労働者人民の反王政、反米帝の闘いをこれまで以上の勢いをもって爆発させる引き金となることは不可避だ。
(写真 2月19日、真珠広場を奪還【バーレーンの首都マナマ】)

 懐柔粉砕し闘い発展 イエメン

 アラブ最貧国のイエメンではサレハ大統領の辞任を要求するデモが1月中旬から開始された。
 高い失業率(特に若年層は49%に達する)と貧困にあえぎ、政治的自由を奪われている多数の青年・学生がこのデモに参加した。イエメンでは人口の3分の1が必要な食料を確保できず、人口のほぼ半分は1日2j以下の生活を強いられている。
 このような状況は95年以来のIMF(国際通貨基金)と世界銀行による経済構造調整政策の強行と民営化政策の結果であり、それがさらに大恐慌情勢下で一層深刻化した結果だ。人口の70%を占める25歳以下の青年労働者や学生たちは現体制が続く限り生きていくことさえ不可能であり、生きるためには現体制を打倒する以外にないと決意している。
 チュニジアやエジプトでの労働者人民の闘いの爆発にも刺激されて、イエメンでのデモの参加者は日を追うごとに増加し、1月27日には数万人規模のデモとなった。2月2日、サレハ大統領は事態の沈静化を図るために、2013年の大統領選への自身の出馬を可能にする憲法改正を断念し、2年後の退陣を表明したが、労働者人民は即時退陣を要求した。そして2月3日、首都サヌアで大統領の退陣を求める最大規模のデモが行われ、2万人が結集した。
 2月15日、南部のタイズで、サレハ大統領の辞任を求めて2500人の徹夜集会が行われた。警察はすでにこの集会を解散させる能力を失っていた。デモは2月10日以降連日行われ、日ごとに勢いを増した。
 2月24日、サレハは懐柔政策を強化するために、デモ隊との対話を行う委員会の設置を首相に命じた。だが労働者人民は懐柔策に応ずることなく闘いを継続している。
 イエメンには石油資源もあまりなく、外資の進出も多くないため、労働者の数はこの間それほど増加してはいない。だが民営化政策による失業の増大、世界大恐慌の影響で労働者の生活は急激に悪化した。2010年4〜5月、60万人を組織するイエメンの労働組合は、賃上げや非正規職の正規職化などを要求して全国ゼネストを打った。労働組合は今回の労働者人民の闘いの組織化においても重要な役割を果たした。労働者階級が本気で決起すれば全人民を率いて独裁政権を打倒することができるのだ。
 エジプト―中東革命が示すように、大恐慌下の新自由主義攻撃と闘いプロレタリア革命を切り開くことは、世界の労働者に共通の現実の課題となった。今こそ日本の労働者階級も国鉄闘争全国運動の爆発的発展で菅政権を打倒し、この共通の闘いに決起しよう。
 〔丹沢望〕

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週刊『前進』(2478号5面2)(2011/03/07 )

 チュニジア 暫定政府打倒へ前進

 労組活動家が革命を牽引

 チュニジアでは2月19、20日、首都チュニスで暫定政府の退陣を求める4万人の大集会が行われた。そして27日、ついにガンヌーシ首相を辞任に追い込んだ。チュニジア革命もまさにロシア2月革命以後のような情勢に突入している。
 チュニジアでは1986年以降、IMFと世界銀行の「構造調整計画」が実施されてきた。そのもとでの民営化、医療・福祉・教育制度の壊滅的改悪に対する戦闘的労組活動家の闘いが官製労組UGTT(チュニジア労働総同盟)と対決しながら展開されてきた。
 鉱山労組、教員組合、郵便労組などの戦闘的な労働組合活動家は、体制内指導部打倒と階級的労働運動の発展を目指して闘ってきた。
 昨年12月17日、失業した大卒の青年が暴行と屋台没収という圧政に抗議して焼身自殺すると、戦闘的活動家たちは体制内指導部の制動をはね返して全国の支部組合事務所を実力で占拠し、地域の諸産業の労働者や市民と討論を積み重ね、反政府デモを組織した。これらの戦闘的労組活動家が首都での大デモを組織し、ベンアリ大統領を国外逃亡に追い込んだのだ。ベンアリ打倒の闘いを通じて、UGTTの50万人の組合員は急速に戦闘的活動家たちの影響下に獲得されつつある。
 1月14日にベンアリが打倒された後、15日にムバッザア下院議長が暫定大統領に就任し、ガンヌーシを首相とする暫定政府がつくられた。暫定政府は、反テロ法などの反民主主義的法律の廃止や報道基準の緩和、野党の合法化、政治犯の特赦などを発表したが、労働者人民はこのようなのりきり策を許さず、あくまで全面的な体制変革と暫定政府打倒を呼びかけて闘っている。
 ベンアリ政権崩壊後の1週間、政権党の立憲民主連合の解散を求めるデモが各地で展開され、多くの都市でこの与党事務所が労働者人民に占拠された。同党は労働者の実力闘争によって実質的に解散されたが、依然として立憲民主連合の影響力は暫定政府行政機関の中に保持されている。このため暫定政府完全打倒の闘いが開始された。
 1月21日、教員労組は「暫定政府はベンアリ体制の継続だ」として暫定政府を打倒し、労働者人民のための新政府樹立までゼネストで闘おうという呼びかけを発した。
 他方、国営企業や官公庁の労働者は職場占拠闘争を開始し、与党立憲民主連合に属する会社や組合の幹部の追放闘争を展開した。民間企業でも工場委員会のような組織がつくられ、反動的職制の追放、労働者の生産管理闘争も開始されている。民間企業では、ストライキ闘争によって派遣労働者の正社員化もかちとられている。
 戦闘的組合活動家たちは、地方からチュニスにはせ参じた失業中の青年たちの組織化も開始している。また、1月6日に8千人のうち95%がストに突入した弁護士やUGET(チュニジア学生総連合)とも緊密な連携関係が形成されている。
 このような闘いと連動して、労働者を中心として武装した防衛委員会が各地で形成されている。この防衛委員会は、反革命勢力の襲撃や略奪攻撃から労働者人民を守るとともに、地方自治体の業務を行うために与党立憲民主連合の地区事務所を占拠している。労働者人民の革命的な武装と地域支配が開始されているのである。
(写真 2月21日、チュニジアの首都チュニスでガンヌーシ首相の辞任を要求しデモする労働者人民)

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 三里塚裁判傍聴を!
◎鈴木さん一坪裁判
 3月10日(木)午前10時30分 千葉地裁
 ※傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合を

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