ZENSHIN 2013/01/28(No2569 p06)

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週刊『前進』(2569号1面1)(2013/01/28 )

 2・17国鉄集会から3月ストへ

 インフレ・賃下げ・大量解雇と改憲・海外派兵の安倍を倒そう

 3・11反原発福島現地大闘争へ

 2013年の闘いが未曽有の激動情勢と切り結んで、いよいよ力強く始まった。まず何よりも、昨年10・1決戦の歴史的地平を引き継いで、外注化阻止決戦の第2ラウンドを2・17国鉄集会の大結集・大成功で切り開こう。そして動労千葉を先頭に、2月JRライフサイクル攻撃、3月ダイヤ改定に立ち向かい、3月ストライキの爆発をかちとろう。駅業務を軸とする4・1全面外注化阻止の国鉄決戦を基軸に、3月大量解雇を粉砕する13春闘本番に労働者の生きるための闘いとして決起しよう。3月決戦の爆発でインフレ・賃下げ・大量解雇と改憲・海外派兵の極右超反動=安倍自民党政権を打倒しよう!

 労働者の勝利は不可避だ

世界大恐慌の本格的爆発と帝国主義間・大国間の大争闘戦時代への突入のもとで、2013年の冒頭から日本でも世界でも労働者階級の根底的怒りが噴き出し、自己解放を求める叫びと闘いが巻き起こっている。
 最末期帝国主義の絶望的延命形態である新自由主義の破産が、社会全体の毛穴をふさぎ窒息させ、体制自身を崩壊させる中で、資本家どもはなおうそと欺瞞(ぎまん)と真実の隠蔽(いんぺい)により、日々労働者への搾取・収奪と分断・団結破壊の攻撃を強めている。
 外注化・非正規職化との闘いは、今や全世界的に労働者の死活的テーマとなり、自分たちが生きるために団結して闘う直接の命題になってきている。21世紀初頭の歴史はマルクスの『共産党宣言』が言う、「プロレタリアートのブルジョアジーに対する闘争は、その存在とともに始まる」「ブルジョアジーはなによりも、自分たち自身の墓掘り人を生みだす」という歴史の絶対的真理を貫く現実が世界的規模で新たに拡大している。
 いよいよ「ブルジョアジーの没落とプロレタリアートの勝利は、いずれも不可避である」ことを証明する時が来た。大恐慌と争闘戦の激化にあえぎ危機を深める極右超反動の安倍を、1〜3月決戦の階級的高揚で絶対にぶっ飛ばそう! この闘いのただ中で青年労働者と学生を先頭に、革命勝利へ労働者党と労働組合の一体的建設をかちとろう。2・17国鉄集会から2〜3月決戦、3月ストライキへ断固として躍り込もう。

 危機を深める新自由主義

 大恐慌と争闘戦時代への突入は、同時に国際的な労働者階級の資本・国家への階級的大反乱と革命情勢を生んでいる。
 北西アフリカのアルジェリアやマリで起こっていることは、英仏を先頭とした帝国主義の古典的とも言える侵略・侵略戦争と資源略奪と争闘戦の爆発である。今回の事態の本質は「イスラム過激派による人質事件」にあるのではなく、フランスのマリ侵略戦争を先頭とした帝国主義と資本による現地の反動的な強権政府と結託しての資源、権益、領土の略奪戦であり、同時にヨーロッパの労働者と北西アフリカの労働者人民の闘う連帯・結合への分断と圧殺である。「人質事件」はマリ侵略戦争の停止を要求して引き起こされた。
 日帝・安倍は、アルジェリアでの伝統的な侵略企業=日揮の「企業戦士の犠牲」に深刻な打撃を受けながら、それを反動的に利用して自衛隊法改悪を狙い、集団的自衛権と改憲・戦争への突破口にしようとしている。さらにはインドや東南アジアなどへの新幹線、原発、高速道路、上下水道などインフラの侵略的パッケージ輸出に全力を挙げている。安倍の金融・財政政策は破滅的なインフレと放漫財政をもたらすと同時に、労働者階級に対する賃下げと大量解雇、外注化・非正規職化という階級戦争そのものである。
 他方でボーイング787型機の事故問題は、米日など最末期帝国主義と資本の致命的な危機を突き出している。昨年来の十数回の故障と事故は、重大惨事につながるレベルであり、故障箇所は操縦室、車輪、燃料漏れ、バッテリー、ブレーキ、エンジンと全面的だ。設計・開発・製造・監督のすべてが崩壊したその核心は、業務の外注化・フルアウトソーシングにある。軽量化の徹底追求で、燃費は2割減、「夢の飛行機」と言われてきたが、それは安全無視のコストダウンと利益最優先の丸投げ外注化・非正規職化・労組破壊によるものである。
 これが没落する米帝の、しかも軍事と最先端技術の集中する航空機産業の現実だ。日帝もこれに深々と関係している。787型機は、部品の35%を三菱重工など日本企業が作っている「準国産機」である。787型機を大量に発注・保有して社運をこれにかけてきた日航・全日空は壊滅的打撃を受けている。
 新自由主義の破綻がここでもあらわとなっている。

 反合・運転保安を基軸に

2・17国鉄集会への総結集を訴える。青年労働者はJR・郵政を先頭に外注化・非正規職化と非和解的に対決している。今やJRは脱落日帝の戦略資本として、「経営構想X」で外注化・非正規職化と新幹線のパッケージ輸出に突進している。だがそれは展望のない絶望的攻撃だ。なぜなら平成採を先頭としたJR労働者の大規模な怒りと反乱が、動労千葉・動労水戸を先頭とした外注化阻止決戦と職場で強力に結びつきつつあるからだ。
 JR資本は、階級的労働運動が分割・民営化への根底的批判を解雇撤回・JR復帰の闘いとして貫きながら、外注化・非正規職化と闘う青年労働者の決起と結びつくことに心底恐怖している。動労千葉は新たな反合理化・運転保安闘争路線のもとに、外注化阻止決戦の第2ラウンドに今まさに総決起している。
 検修・構内業務外注化が強行されたJRの現場では、その後毎日「脱法行為」が続いており、ぼろぼろの状態だ。これとの闘いを不屈に続ける組合への信頼と希望は、職場に深く染みわたりつつある。労働者は時代を見抜いて闘う者がいれば必ず応え決起する。今こそ動労千葉の26年間の解雇撤回闘争と12年間の外注化阻止闘争が、大恐慌下ですべての労働者と大規模に合流する時だ。
 すでに年末年始の郵政ビラまきに対し、多くの青年が闘いを求め結集してきている。あらゆる職場で、外注化・非正規職化による労働と労働者そのものを破壊してやまない攻撃への怒りが満ちあふれている。この怒りで2月ライフサイクル、3月ダイ改攻撃と外注化は絶対に止められる。
 2・17国鉄集会は、さらに13春闘を闘う総決起闘争だ。2013年版「経営労働政策委員会報告」で日本経団連は、「労使が企業の置かれている状況の厳しさについて認識を共有するとともに、労使一体となって明るい未来の礎を築くための議論をするべき」「悪化を続ける経営環境」「本格的な産業空洞化の進行」「危ぶまれる『貿易立国』の地位」などと絶望的悲鳴を上げている。そして資本救済が一切だ、労組も企業と一体になれ、インフラのパッケージ輸出に賭けろ、賃上げなど論外だ、定昇も見直せとわめいている。
 その根底にあるのは何か。総選挙で野田を倒したのが自民党ではなく労働者階級の怒りであり、それが今度は安倍と資本家に向かうことへの恐怖であり、資本家と「情勢認識で一致してくれ」という悲鳴だ。しかし経団連の「労使一体」の相手である連合も、今や現場の怒りで崩壊寸前の危機だ。資本と体制内労組幹部を串刺しにし、職場から反合・運転保安闘争と13春闘に決起しよう。

 階級的真実が武器となる

 革命的共産主義運動と階級的労働運動の一体的な発展、党と労働組合の一体的建設の展望を今こそこじ開けよう。あるブラック企業の顧問弁護士が「真実はカネにならない」とうそぶいた。しかし階級的な真実を武器に資本と国家権力を徹底追及できるのは「時代認識と路線」があるからだ。国鉄決戦も、反原発決戦も、星野全証拠開示運動もしかりだ。
 3・11後の大量の意識変革は、これまでやられてきたことが実は「すべてずっとうそだった」ことがはっきりしたことによってもたらされた。階級的真実を暴露し行動を呼びかけよう。なぜ「先端技術」の集中する原発で3・11のような大事故に至ったのか。なぜ青年たちが生きていくのも困難なのか。民営化・外注化・非正規職化による労働の寸断、労働と労働者の分断、そして労組破壊――資本主義のこうしたあり方が3・11を生み出したのだ。真実の認識は必ずや団結と労働組合につながる。
 安倍がやっていること、やろうとしていることは放漫財政とインフレ政策であり、賃下げと3月大量解雇、原発再稼働と新増設・輸出、生活保護切り捨てや消費大増税である。そして集団的自衛権行使と改憲、自衛隊法改悪・海外派兵の策動である。これら一切の根底にJRをはじめとした民営化・外注化・非正規職化と労組破壊がある。
 2・17国鉄集会を突破口とする3月スト、3・1ビキニデー集会と3・11反原発福島大行動、そして3・24三里塚大闘争を軸とする3月決戦の巨大な爆発・高揚で、早くも絶望的危機にあえぐ安倍政権を倒そう!
 『前進』こそ闘いと勝利の武器だ。『前進』を読み、配り、紙代を納めよう。職場、地域、街頭で膨大な怒れる労働者人民大衆の中に『前進』を持ち込み拡大しよう。

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週刊『前進』(2569号1面2)(2013/01/28 )

 アルジェリア人質事件の本質

 仏軍のマリ侵略の停止を要求

 資源巡る帝間争闘戦が根底に

 16日に起きたアルジェリア人質事件は、現代世界の危機と激動をまざまざと示した。イナメナス天然ガスプラントは、軍事要塞(ようさい)さながらの施設にされていた。「フランス軍のマリ作戦の停止」を要求して人質を取った勢力はもともと、隣接するマリ、ニジェール、リビア、アルジェリアで国境の区別なく生活してきた民族の出身だと言われる。今回の事態は、チュニジア革命から始まった革命的激動、さらにNATO(北大西洋条約機構)によるリビア侵略戦争と一体のものだ。

 アルジェリア労働者の決起

 今回の日本人人質の中には日揮の新谷正法最高顧問(前副社長)ら最高幹部級が含まれていた。現場は広大な砂漠に囲まれ、武装勢力が脱出できる見込みはゼロだった。だがアルジェリア政府は、状況の詳細を把握することなく空爆するなど武装勢力も人質も無差別に殺害し制圧を急ぐ方針をとった。時間をかける余裕はなかったのだ。
 アルジェリアでは、いわゆる「アラブの春」の前から巨大な労働運動の決起が始まっていた。2010年に駐アルジェリア米大使が本国に送った公電(ウィキリークスが暴露)によると、毎週のようにさまざまな労働組合によるストが起きていた。食料価格暴騰に対するデモは毎日起き、全国の地方都市の官庁は包囲されていたという。
 これが2010年秋からのチュニジア労働者の決起を契機に爆発的に発展した。軍と治安警察の暴力的弾圧と食料補助金政策の発動(価格半減と大量の小麦供給)で労働者反乱を抑え込んだ。以後、現在に至るまでかろうじて均衡状態を保っているにすぎない。
 アルジェリアは、91年総選挙で勝利した勢力を軍がクーデターで弾圧して以降、10年に及ぶ内戦が続き、死者は15万人以上と言われている。

 ウランを巡る略奪戦と戦争

 この大虐殺を強行している軍事政権のもとで日揮は企業活動を続行してきた。仏トタル、英BPなども同様だ。それだけ執着すべき戦略的な地域とされてきたのだ。
 今回の人質事件の直接のきっかけはフランスのマリ侵略戦争だ。今年1月11日、フランス軍はマリ北部空爆を開始し、地上軍も展開した。
 マリにはウラン鉱山がある。日本の動燃(現日本原子力研究開発機構)はフランスと協力して、1975年からマリでのウラン探鉱活動をしており、日本はマリ産のウラン購入の独占契約をしている。さらに、マリ人の生活圏であるニジェールには世界第2位といわれる巨大なウラン鉱床がある。深さ100bを超え、直径が何`にも及ぶ巨大な穴を掘ってウランを採掘するため、放射性の微粉末が風に飛ばされ鉱山労働者と地域を汚染する。砂漠地帯の数少ない井戸やオアシスの水も汚染されている。
 そして、IMF(国際通貨基金)と世界銀行が80年代にアフリカ全体で強行した構造調整計画によって、サバンナ地帯の砂漠化、オアシスの枯渇が急速に進んだ。マリ南隣のコートジボアールなど沿岸部全体の非森林化がマリのような内陸部にも大きな影響を与えた。巨大商社による欧州農産物のダンピング輸出も地元農牧畜業を破壊した。
 またウラン鉱山による放射能汚染、構造調整計画=飢餓と大失業への怒りで広範な人民が決起した。一昨年のNATOのリビア侵略戦争は、それに一層拍車をかけた。
 これに対しアメリカ帝国主義とNATOはリビアで、チュニジア、エジプト革命に始まる労働者階級の自己解放の闘いを抑え込むために「不安定化戦略」を展開した。諸軍閥に大量の資金と武器を供与し、近隣諸国からも大量の雇い兵を動員した。階級闘争を軍閥間の戦争にすりかえることを狙ったのだ。だがそれは近隣の反動的かいらい政権をも不安定化させた。

 マリ労働者の闘い軍が圧殺

 マリでは、05〜06年の西アフリカ数カ国にまたがる鉄道民営化反対ストや金鉱山スト、10年の綿実油工場のストなどの労働者の闘いを背景に国政選挙が実施された。ここでもチュニジア、エジプト革命と同様の過程が進行しつつあった。
 その中で選出された大統領に対して、米軍に訓練されたマリ軍人が、昨年3月にクーデターを起こした。しかし、この軍事政権はきわめて不安定だった。リビア内戦で大量の武器を入手したマリ北部の反政府諸勢力は、政府の拠点を次々に奪い、全域を制圧した。
 この事態に対してフランスのオランド社会党政権は、「フランスの縄張り」(社会党のミッテラン元大統領)であるアフリカの旧仏領植民地を守るために戦争に踏み切った。特に国策会社アレバのウラン鉱山利権を守ることが最大目的だった。
 クリントン米国務長官は昨年10月、アルジェリアを訪問し、仏、米、アルジェリアがマリで共同軍事作戦を展開することを働きかけた。そして今回、アメリカは兵站(へいたん)輸送、情報提供でフランスに協力し、無人偵察機をマリに派遣している。1月13日に仏本土を出撃したミラージュ戦闘爆撃機はアルジェリア上空で米空軍から空中給油を受けてマリ北部を爆撃した。
 大恐慌の本格化と争闘戦時代への突入のもとで、国際帝国主義はこうした自らの重大な犯罪に強引にふたをして居直り、資源、領土、勢力圏化をめぐるヘゲモニー争いを強めているのだ。フランス帝国主義は、1945年にアレバ社の前身を発足させ、米帝に対して極秘のうちに核開発プロジェクトを始めた。常に原発・核戦略を対米対抗の軸にしてきた。これに対して米帝は、一方で共同でマリ侵略戦争を推進しつつ、英仏の「縄張り」だったアフリカに食い込もうとしている。
 マリを始めアフリカ・中東の労働者人民と連帯し、自らの職場・地域を組織し、帝国主義・新自由主義の侵略と戦争、原発推進、外注化・非正規職化と闘おう。

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週刊『前進』(2569号1面3)(2013/01/28 )

前進速報版から 前進速報版から

▼法大当局の情宣禁止仮処分申し立て弾劾する▼婦民全国協関東ブロックが旗開き▼国労5・27臨大闘争弾圧裁判の上告棄却決定弾劾

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週刊『前進』(2569号2面1)(2013/01/28 )

 “究極の安全破壊”に進むJR

 車両故障は私鉄の約13倍も外注化強行は大事故を招く

 JR東「経営構想X」と対決を B

  JR東日本の「グループ経営構想X〜限りない前進〜」は、「究極の安全」などという言葉を至るところに散りばめ、「当社に起因する車両や設備の故障に伴う輸送障害件数を現在の3分の1まで減少させることをめざす」と言う。しかし、経営構想Xが打ち出した徹底した外注化・非正規職化の攻撃は、鉄道の安全をとことん解体する。JRはまさに「究極の安全破壊」に走っている。団結して闘わなければ、労働者の命は守れない。資本と闘い、経営構想Xを打ち砕こう。

(図 JR【在来線】での事故件数の推移)

 05年尼崎事故時と同等の危険水準に

  JR各社、特にJR東日本は第2の尼崎事故・羽越線事故(05年)がいつ起きてもおかしくない事故多発状態に入っている。国土交通省が発表した「鉄軌道の安全にかかわる情報」の統計でさえ、JR7社全体の在来線での事故件数は、尼崎事故当時と並ぶ水準になっていることを示している(下のグラフ)。
 国鉄分割・民営化以来、事故は右肩上がりで増えきた。尼崎事故が起きた05年がピークで、その後4年間は減少した。ところが、この2年で事故は急増し、尼崎事故時の水準に並んだのだ。12年度の4〜9月も11年度とほぼ同数だ。
 1件の重大事故の背後には29件の中小の事故が、さらにその背後には300件の危険な事象があると言われるが、表に出ない事故は無数にあると見て間違いない。
 05年には、4月の尼崎事故の後、12月に羽越線事故が起き、翌年1月には伯備線事故が起きた。今またJRは、これと同様の、きわめて危険な水準に入ったのだ。
 国交省が発表した統計では、11年度に発生した「輸送障害事故」(30分以上の列車遅延、運休)の発生率(列車100万`走行当たりの事故件数)はJR東日本が1・69で大手私鉄15社合計は0・19。JR東日本の事故発生率は私鉄の8・9倍にもなる(下の表)。
 また、「輸送障害事故」のうち車両故障の発生率は、JR東日本の場合、大手私鉄15社合計の12・6倍だ。
 遅延が30分以下の事故、重大事故でも運行に影響のなかったもの、報告されていない事故などは、国交省の統計には反映されていない。こうした事故も数限りなく起きている。
 大手私鉄とJRとの事故発生率の差は拡大する一方だ。JRが私鉄以上に安全を極端に破壊してきたことは、動かしようがない事実だ。
 JRの経営陣は「国鉄時代より事故は減った」「JRは私鉄とは規模が違う」とうそぶいている。しかし、誰が見ても国鉄時代より事故が増えていることは明らかだ。また、列車走行距離はJR東日本の在来線が2億1656万`に対して大手私鉄15社合計は3億1633万`で、JRの方が私鉄より規模が大きいとも言えない。
 11年度のJR東日本全体の事故総数は1593件だが、そのうち約720件が首都・関東圏で起きている。
 首都圏の主な路線が交差する東京駅、新宿駅、上野駅などは、事故が起きれば戦場さながらの状態となる。ラッシュ時なら数分のうちにホームに人があふれ、放置すれば転落などの危険がある。乗客の罵声(ばせい)が容赦なく駅員に向かう中での階段規制、入場規制などの業務は命がけだ。しかも、事故対応を総出で必死に担っているのはグリーンスタッフなどの青年労働者だ。駅長や助役は前面には出ず、隠れている。
 事故が起きれば矛盾は駅に集中する。駅は安全の要であり、駅員は全員が安全要員だ。駅の要員削減、外注化・非正規職化は安全面からも絶対に許されない。まして5年の経験を積んだグリーンスタッフの雇い止め解雇など、もってのほかだ。

(表 「輸送障害事故」の件数と発生率)

 下請け労働者の命を奪い続けるJR

 列車運行の安全は、保線や電力、信号通信などの保守部門での作業の安全がないと成り立たない。しかし、保守部門では触車、待避遅延、感電、墜落などの労災事故が多発し、死亡に至るケースも後を絶たない。
 JRの労災死亡事故は昨年1年だけでも、次のように立て続けに起きた。4月9日には総合車両製作所和歌山事業所でクレーン作業中に重量物が落下し、労働者がその下敷きとなった。4月16日には京葉線での防風柵(さく)設置工事中に労働者が橋から転落した。7月24日には東静岡駅構内で電力設備工事中に見張り員が特急列車にひかれた。12月5日には金沢駅付近での北陸新幹線工事中、切断していた鋼材が跳ねて労働者が体を挟まれた。
 このうち2件はJR東日本またはその関連会社で起きている。また、総合車両製作所での事故を除いて、命を奪われたのは全員が下請け・孫請け会社の労働者だ。
 死亡事故などが相次いだ09年、JR東日本は自ら「非常事態」を宣言した(あくまで内部向けだが)。労災事故はその当時と同等の水準に達している。
 重層的な下請け構造の中で、多くの事故は闇から闇に葬られている。JRは下請け会社と労働者にすべての責任を押しつけ、自らはなんの責任もとらない。これへの怨嗟(えんさ)の声は渦巻いている。
 また、人身事故も増え続けている。その多くはホームでの触車だ。JR東日本の人身事故件数は06年度には57件だったが、11年度には107件となり、ほぼ倍増した。他方、大手私鉄15社合計の人身事故総数は、06年度の111件に対し11年度は138件だ。JRの人身事故件数の増え方は、私鉄をはるかにしのぐ異様な状態だ。

 反合理化・運転保安闘争こそ勝利の鍵

 事故多発の原因は、合理化・人員削減、外注化・非正規職化の強行にある。JRや子会社の現場労働者の働きや技術水準が悪いのではない。一切の責任はJR資本にあるのだ。
 そもそもJRは、国鉄分割・民営化で20万人もの労働者を職場からたたき出し、1047名の首を切って発足した企業だ。発足後も労働組合つぶしに躍起となり、不当労働行為をほしいままにした。労働者を分断し、ベテランを職場から排除して大合理化・要員削減を続けてきた。
 揚げ句の果てに昨年10月1日、検査・修繕部門の外注化を強行した。職場をJR本体と子会社とに分断し、職場の団結を破壊するとともに、技術継承も寸断した。許し難いことにJRは「検修はバイトで十分」などとうそぶいている。
 その極致が「グループ経営構想X〜限りなき前進〜」だ。JR東日本はそこで「究極の安全」という言葉を繰り返しているが、経営構想Xが打ち出した施策が強行されれば、安全は根本的に崩壊する。すでに事故は激増し、労働者の尊い命が危険にさらされ、奪われ続けている。JR資本は、労働者の命をこれまで以上に踏みにじって生き延びようとしているのだ。経営構想Xがもたらすのは、大事故に向けての「限りなき前進」にほかならない。
 鉄道はどの職種も「一歩間違えば命を失う」仕事だ。しかし資本は、「命よりも金もうけ」で危険個所を放置し、危険な仕事を労働者に強いている。JRが強行する外注化・非正規職化は、今以上の事故多発をもたらし、ついには大事故に行き着く。それを承知で、安全よりも労組破壊を優先しているのがJRだ。これこそ、新自由主義攻撃の行き着いた先だ。

 “闘いなくして安全なし。貫き

 動労千葉・動労水戸(動労総連合)は、昨年10月1日の検修外注化に対し、絶対阻止を掲げてストライキや職場抵抗闘争、出向無効確認訴訟などの闘いを果敢に貫いてきた。船橋事故闘争以来の動労千葉の反合理化・運転保安闘争は、「事故は労働運動の課題ではない」とされてきた戦後労働運動の壁を突破し、事故問題を資本との決定的対決点に押し上げた。この闘いを貫く中で動労千葉は強固な階級的団結を打ち固めてきた。
 他方、東労組カクマルは「責任追及よりも原因究明」を掲げて資本の責任を免罪し、一切を現場労働者に押しつけてきた。国労本部も、尼崎事故に際して「労使安全委員会」に参加してJRの責任追及を放棄し、01年からJR東日本が手を着けた設備部門外注化以来、全部門での外注化を認めてきた。昨年の検修外注化に際しては、「総合労働協約」を資本と締結して、外注化を率先推進すると表明するに至っている。もはや彼らは資本の最悪の手先となったのだ。事故多発の責任は、現場労働者が資本との闘いに立つことを抑圧する、腐敗した労組幹部にもある。
 他方で現場の労働者は、尼崎事故、羽越線事故、伯備線事故に対し、毎年地元で「事故弾劾・外注化反対」の闘いに立ち上がってきた。偽装請負を必ず伴う外注化に対して、各地の職場で偽装請負告発の闘いも取り組まれている。
 労働者・労働組合が資本と闘わなければ、事故は増え、大惨事は避けられない。事故と無縁な労働者はいない。誰もが「明日はわが身」であり、「闘いなくして安全なし」は労働運動・労働組合の普遍的なスローガンだ。
 外注化・非正規職化による労働者の分断、労働そのものの分断は、事故の危険を増大させる。これへの怒りはあらゆる職場に満ちている。その怒りを束ね、資本との闘いに転じるのが、反合・運転保安闘争だ。全職場から闘いに立ち上がり、JR資本を追い詰めよう。
 2月には「ライフサイクル」による運転士の駅への強制配転が狙われている。4月には、検修部門のさらなる外注化や、駅業務の丸ごと委託・別会社化がたくらまれている。分断をのりこえて外注化阻止・非正規職撤廃へ闘おう。青年を先頭とする怒りの反乱を再び職場から巻き起こそう。国鉄闘争全国運動の2・17労働者集会に総結集し、13春闘の決戦に突き進もう。
 (佐賀秀也)

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週刊『前進』(2569号2面5)(2013/01/28 )

2・9富山再審集会

 2月9日(土)午後6時30分
 きゅりあん第4講習室(5階)
 (JR京浜東北線・東急大井町線・りんかい線/大井町駅下車)
 主催 無実の富山保信さんの再審無罪をかちとる会

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週刊『前進』(2569号3面1)(2013/01/28 )

 2・24橋下打倒闘争へ

 自治労臨時大会に向け訴える

 全面民営化・大量解雇許さず労組再生の火の手を上げよう

 1月31日〜2月1日、自治労臨時全国大会が東京で開催される。JR外注化阻止決戦と一体で、自治体丸ごと民営化・外注化、公務員全員解雇・非正規職化との全面的な激突が全国で始まっている。JR東日本「グループ経営構想」との対決と同じく、2〜3年先の問題ではない。今現在が全自治体労働者の雇用と賃金破壊、労組解体攻撃をめぐる大決戦だ。もはや自治労本部の裏切りは一刻たりとも許されない。ただちに組織をあげた決戦に突入すべきだ。青年部を先頭に労働組合をよみがえらせ、民営化・外注化阻止、非正規職撤廃、解雇絶対反対で闘おう。2・24橋下打倒闘争に総結集しよう。
(表 大阪市交通局基本方針【素案】)

 大阪市丸ごと民営化を狙う

 自治労臨時大会は、13春闘方針とともに、都市交(日本都市交通労働組合)との統合を主要議題としている。都市交の主要単組のひとつである大交(大阪交通労働組合、組合員約6300人)に対して、橋下徹大阪市長は大阪市営地下鉄・バス全面民営化をこの3月にも市議会で決定し、13〜14年度での全職員解雇と選別採用の大攻撃に突き進もうとしている。猪瀬直樹東京都知事もまた、都営地下鉄の東京メトロとの民営・一元化を声高に叫び、都市交の最大単組である東交(東京交通労働組合)解体攻撃を本格化させている。
 さらに橋下は4月から上下水道、保育所・幼稚園、学校、病院、清掃などの丸ごと民営化で市職員の半数約2万人の削減を進めるとしている。社会保険庁解体、呉交通民間譲渡、各地の公立病院民営化として始まった公務員解雇・労組解体の次元を画する大攻撃だ。
 しかしこの重大時に大交の中村義男委員長は、「雇用確保が前提なら経営形態にこだわらない。いたずらに反対するのではなく民営化に向かって労使協議を進めていく」として受け入れを表明した。何が雇用確保だ。当局は年間150億円以上の人件費削減を計画している。地下鉄だけで800人の人員削減を行い、残りの職員を大阪市が100%出資する株式会社のグループ子会社に転籍し、バス事業にいたっては民間事業者に譲渡し「不採算」を理由に3分の1の路線を廃止して職員を大量解雇することが明らかとなっている。労働組合として民営化に協力し首切りを進めることなど絶対に許されない。

 団結を総括軸に闘えば勝てる

 新自由主義攻撃は、労働組合の屈服・変質と団結破壊を前提とし目的としてかけられている。労働者が団結して絶対反対で闘い抜くなら直ちに行き詰まる、破産的で絶望的なものでしかない。
 国鉄分割・民営化以来の最大事故件数を記録したJR東や高速道トンネル崩落事故、最新鋭航空機とされるボーイング787の事故多発を見よ。外注化・非正規職化は労働と安全の崩壊を極限にまで至らせる。そこには一片の整合性も正当性もない。動労千葉の反合理化・運転保安闘争は、攻撃の矛盾をついて青年労働者を始めとする職場全体の反乱を巻き起こし、組織拡大の闘いをもってJRの外注化・労組解体攻撃を根底から破綻させている。昨秋、橋下の処分攻撃を打ち破り、大阪市庁舎前で9・16橋下打倒集会をかちとった大阪市職・市教組の闘う労働者の決起に続こう。
 被災地「復興特区」とともに、橋下、猪瀬を先兵とする階級戦争との決戦が始まった。体制的危機を深める日本帝国主義の道州制=公務員360万人首切りとの激突であり、JR外注化阻止決戦を基軸とする新自由主義打倒の闘い、6千万労働者の未来をかけた階級決戦だ。追いつめられているのは敵の側だ。自治体労働者は、資本主義擁護に走る自治労本部を倒し、総力をあげて決戦に立ち上がろう。大阪市丸ごと民営化・全員解雇を許さず、2・24橋下打倒闘争に総結集しよう。

 3月非正規解雇との大攻防

 13春闘は、外注化阻止・非正規職撤廃、大量解雇・賃下げ粉砕の決戦だ。全国の自治体労働者は先頭で闘おう。
 5年の任用更新限度に達した東京都専務的非常勤職員の3月大量雇い止めが迫っている。東京都はJR東の契約社員(グリーンスタッフ)制度をまねて、07年以来1年更新最高4回までとする非常勤職員を大量に任用してきた。その労働者を一斉に雇い止めにしようとしているのだ。大恐慌下のこの3月、民間、自治体を問わず、正規・非正規職労働者の大量解雇攻撃がけた違いの規模で吹き荒れている。そうした労働者の解雇に対しては絶対反対で闘うのが労働組合であり、労働組合の根幹にかかわる闘いだ。
 自治労本部の徳永秀昭委員長は昨年8月函館大会において「非正規職員は搾取されている」と強調し、「非正規職員の処遇改善が必要」とした。しかし「非正規職の処遇改善」を掲げながら、非正規職員に対する理不尽な雇い止めを黙認し、これと真っ向から闘わないことなど許されない。人件費削減を公然と掲げ、無権利・低賃金化、雇用破壊と団結破壊のために正規職の人員削減・超過重労働と一体で進められる外注化・非正規職導入攻撃に対しては、妥協の余地などない。
 新自由主義が行き着いた大恐慌の本格的爆発の情勢下で、資本の救済と巨大利潤確保のための超金融緩和と国債の日銀引き受け、公共投資乱発によってもたらされる財政赤字の絶望的拡大は、資本主義の終わりを告げるものだ。破綻した国家・資本を救済するために労働者が犠牲にされることなどあってはならない。民営化・外注化阻止、非正規職撤廃、解雇絶対反対こそ唯一の方針だ。
 すでに全国の自治体で、民営化・外注化された職場の労働者が生き抜くために労働組合を結成し、「民営化・外注化絶対反対、直営に戻せ! 非正規職撤廃、大幅賃上げ」を求めて闘いに立ち上がっている。民営化・外注化・非正規職化と退職手当大幅削減を始めとする賃金カット、労働者を分断し成績主義を全面化する人事・賃金制度大改悪の攻撃は一体だ。公務員大量解雇と賃下げ、年金削減と大増税の攻撃に対してゼネストで闘い抜くギリシャ・全欧の労働者の闘いに続き、労働組合として真正面から激突しよう。

 国鉄決戦先頭に安倍打倒へ

 昨秋JR東日本全体で青年労働者を先頭とする歴史的反乱情勢をつくり出した10・1JR外注化阻止決戦の地平の上に、JR東「グループ経営構想」を焦点とする第2ラウンドの闘いが猛然と開始されている。
 いまやJR東日本は、大恐慌と3・11以降の日本帝国主義延命の戦略的企業として、外注化・非正規職化を軸とする国内階級戦争と鉄道輸出、海外侵略・争闘戦の先導役を果たそうとしている。これに立ちはだかるものこそ、動労千葉・動労総連合を先頭とするJR外注化阻止決戦だ。全職場で民営化・外注化阻止、偽装請負弾劾、非正規職撤廃の大闘争を巻き起こそう。公立保育所全廃、保育労働者解雇・非正規職化のために自治労本部が進め民自公三党合意で制定された「子ども・子育て関連法」を現場の闘いで打ち砕こう。国鉄1047名解雇撤回・外注化阻止の2・17国鉄集会に総結集しよう。
 3・11原発事故2周年を迎える福島の怒りは根底的であり、一切の妥協を許さない。「新たな安全基準の策定」「原子力防災体制の確立」「脱原発基本法の成立をめざす」(自治労大会議案、当面の闘争方針)は原発推進・再稼働容認方針でしかない。生き抜くために闘う福島の闘いと固く結び、再稼働阻止・全原発廃炉、被曝労働反対の闘いを全国で巻き起こそう。改憲と戦争、原発再稼働と沖縄新基地建設、国内階級戦争に突き進む安倍政権を倒そう。

 絶対反対で闘う青年部の再生を

 大恐慌と大失業、非正規職化と超低賃金化の現実の中で、青年労働者は団結して闘うことなしに未来はない。すでに青年の怒りを結集して闘う青年部づくりが始まっている。全職場で階級的労働運動を進め、職場闘争とマルクス主義学習の力で青年部を再建し労働組合の再生をかちとろう。
 絶対反対を貫く闘いのみが職場の団結をよみがえらせる。国鉄闘争全国運動、動労千葉を支援する会を結集軸に、全国の職場で反合理化・運転保安の闘いを進めよう。闘う労組拠点を建設しよう。外注化阻止・非正規職撤廃を闘い抜こう。

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週刊『前進』(2569号3面2)(2013/01/28 )

 ボーイング787型機 事故はなぜ起きたか

 安全を破壊しコストダウン 丸投げ外注化が最大の元凶

 トラブル続きだった新鋭機

 1月16日、宇部空港発羽田空港行き全日空692便に就航していた新型航空機ボーイング787型機が、機体から煙を出して高松空港に緊急着陸し、乗員・乗客あわせて137人が脱出スライドで機外に避難するという事故が起こった。原因は前方電気室からの出火であり、バッテリーがどろどろに溶け、発生した煙と異臭が客室ばかりか操縦室にまで充満した。あわや85年御巣鷹山墜落事故以来の大惨事になるところだった。
 米連邦航空局は、この事態を受けて「安全が確認されるまで」同機の出航停止を命令し、現在世界で運航中の49機すべてが欠航している。だが、事故の原因は787型機そのものの構造的な欠陥であり、運航再開など絶対に許されない。今回の事件は、航空業界全体にはびこる利益優先・安全切り捨ての経営と重層的な外注化=アウトソーシングが、どれほど恐るべき安全崩壊をもたらすかを衝撃的に示した。
 事故を起こした787型機は、11年10月にANA(全日空)国内定期便として就航して以来、出火、燃料漏れ、オイル漏れ、エンジン部の亀裂、操縦室の窓ガラスのひび割れ、バッテリーの不具合などが相次ぎ、今年に入ってから6件ものトラブルを続出させていた。同機は、世界大恐慌下の航空産業の低迷と乗客減少の中で、ジャンボ機から中型機への転換をはかるとともに、安全を二の次にコストダウンと軽量化・低燃費化を追求し、米ボーイング社が最新鋭の次世代機として、社運をかけて開発・製造したものである。その最大の特徴は、機体にアルミ合金ではなく炭素繊維複合材を用いたことに加え、従来は油圧で動かしていた翼や舵、ブレーキなど(安全航行の生命線をなす部分だ!)を電気信号によるモーター駆動に置き換えたことにある。その電源となるバッテリーが、今回の事故の直接の原因である。
 ボーイング社は、同機の開発・製造に際して徹底的な外注化をはかった。部品の製造どころか設計まで海外の企業に丸投げした。とくに日本のメーカーは60社以上が部品を供給しており、その製造比率は全体の35%に及ぶ。事故の原因となったバッテリーも日本製(GSユアサ)で「準国産機」でもある。
 この重層的な外注化によって、部品が合わないなどの混乱が多発し、同機の完成は3年も遅延した。ボーイングの民間機部門の代表者は、11年1月の時点で「われわれは、この種の技術が必要な仕事を、実際にはやったことがない人たちに与えてしまった。その上、われわれは本当は必要だった監督を行わなかった」と認めた。バッテリーの不具合による事故も、すでにテスト飛行の段階で発生していた。
 だが、ボーイングは競合するエアバス社などを出し抜くため、こうした致命的な欠陥を抱えたまま、「世界中の航空会社からの絶大なる要望に応える新型航空機、それが高効率性を誇る787ドリームライナーです」(同社HP)などと売り込みを開始した。機体の安全性より低コスト化を追求する日本の航空会社は、同機の受注と実用化で世界に先駆け、現時点でANAが世界最多の17機、JAL(日本航空)が7機を定期便に運用していた(世界で運航中の49機のうち約半数を占める)。さらにANAは66機、JALは45機を発注している。その日本で今回のような事故が起こったことは、787型機の破産を刻印している。
(写真 焼け焦げたバッテリー)

 08年9月には大ストライキ

 ボーイングは2002年以来、労働者への徹底したリストラと外注化を進めてきた。これに対し、航空整備士など60万人が加盟する労働組合・IAMAW(国際機械整備士・航空宇宙産業労組)の指導部は、組合員の62%が反対票を投じているにもかかわらず、会社と労働協約を結んでリストラ・外注化を承認した。同組合の指導部は、動労千葉が連帯してきたAMFA(航空整備士労組)の444日間にわたる闘い(05〜06年)に対して、許し難いスト破りを指令してきた連中だ。
 だが、現場組合員は指導部の屈服をのりこえ、08年9月には組合員87%の賛成でスト権を確立し「外注化反対、雇用確保、賃上げ、年金と医療保険の充実」を掲げる8週間の大ストライキを敢行した。787型機の開発・製造には、こうした労働組合の闘いを外注化によって圧殺する狙いが秘められていた。その結果が安全の崩壊だった。
 また、10年に経営破綻し、巨額の公的資金注入を受けたJALは、「利益なくして安全なし」(会長・稲盛和夫の発言)を掲げて大量解雇と労働強化を推し進め、「台風を迂回(うかい)すると燃費がかかるから突っ切れ」などという驚くべき安全無視の運航を現場に強いてきた。その挙げ句に、787型機のような欠陥機にANAと競って飛びつき、ろくに安全確認もせず就航させた。それで「業績のV字回復」などともてはやされたが、今やその新自由主義的経営の破綻が、安全崩壊として露呈したのである。
 安全の切り捨てと業務外注化は断じて許し難いものだ。今こそ動労千葉が闘いの原点としてきた「反合・運転保安闘争」を全産別に拡大し、外注化阻止・非正規職撤廃の闘いで労働組合をよみがえらせよう!
 (水樹豊)

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週刊『前進』(2569号3面4)(2013/01/28 )

【要項】2・24橋下打倒集会

 橋下による処分攻撃に反撃し、今こそ闘う労働組合をつくりだそう!
 民営化・外注化絶対反対!すべての非正規職を撤廃しよう!
2・24橋下打倒集会
 2月24日(日)午後1時
 大阪中之島公園女神像前(市役所南側)
  集会後、難波までデモ行進
 主催 橋下打倒集会実行委員会

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週刊『前進』(2569号4面3)(2013/01/28 )

 三里塚反対同盟

 市東さんパンフを発行

 3・24へ農地守る闘いを

 市東孝雄さんの農地を守る決戦に勝利するため、三里塚芝山連合空港反対同盟がパンフレットを発行した。タイトルは「農地は私たちの命、負けるわけにはいかない!――市東さんの農地取り上げを阻もう」。
 内容を見てみよう。
 @「いま、成田で何が起きているのか」として、裁判での争点を中心に市東さんの農地問題が詳しくていねいに解説され、成田空港会社(NAA)の農地明け渡し要求がいかに違法・理不尽・でたらめであるかを暴いている。
 A反対同盟47年の闘いの歴史を跡づけ、農民がなぜ労働者と連帯し成田空港建設に反対して闘い続けてきたかを解説し、その正義性を明らかにしている。また「農地死守・実力闘争」の闘争原則に今日的に光を当て、農民の生き方としての確信を表している。
 B三里塚が、原発と闘う福島、米軍基地と闘う沖縄と固く手を結んで「国策」と対決する陣形をつくる――ここに勝利の展望があることを熱烈に訴えている。
 裏表紙には故戸村一作反対同盟委員長、歴史学者の羽仁五郎、足尾銅山鉱毒反対・谷中村闘争で農民運動の中心にいた田中正造の闘いの言葉が紹介されている。
 全ページフルカラーで写真・図がふんだんに使われ、「市東さんの農地を絶対に守る」との反対同盟の真剣な思いが各ページにあふれている。そして1970年代以来の新たな三里塚闘争の高揚を実現し、農業つぶしのTPP(環太平洋経済連携協定)を許さず、全人民の先頭で安倍政権打倒の闘いに立つ気迫がこもっている。
 1月13日の反対同盟旗開きで事務局次長の萩原進さんは「このパンフレットを千葉全県下はもちろん全国津々浦々に持ち込んで、市東さん問題を社会問題化する」と決意を語った。印刷部数も従来の発想を超える。このパンフを職場、労組、地域、学園はもちろん、農業関係者、住民運動、市民運動、マスコミ、大中小各メディア、文化人に届け、「農地守れ!」の声を全国に広げよう。
 A4判12n、頒価100円。連絡先は反対同盟。前進社でも取り扱います。

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週刊『前進』(2569号6面4)(2013/01/28 )

 星野さん無実の学習会を

 星野さんの背広の上着は薄青色

 Krが見たのは上下がきつね色

 全証拠開示の大運動起こし

 星野文昭同志は新年のアピールで、資本主義はすでに全面的に命脈が尽きている、労働者人民の団結した力で打倒し、今年を労働者人民が主人公となる新社会を実現する歴史的な年にしようと呼びかけている。これに断固応えよう。
 無実の星野同志は今、実に38年目の冬を獄中で闘い抜いている。これ以上星野同志に獄中を強いることはできない。2013年の階級決戦の激動の中で、必ず星野同志を奪還しよう。それはまったく可能である。
 社会には、国家権力の不正義と理不尽な攻撃に対する労働者階級人民の怒りが渦巻いている。すべての怒りを解き放ち、闘いの巨大な奔流をつくり出そう。星野同志の闘いは、その結集軸である。今こそ星野同志奪還をすべての労働者階級人民に全力で訴えよう。全証拠開示大運動こそ、その決定的な水路である。
 沖縄闘争を闘い、無実の罪で獄中38年、非転向を貫く星野同志に心を揺さぶられない人はいない。無実の証拠を隠し、38年も獄中を強いている――この人権も正義も踏みにじる国家権力への怒りを覚えぬ人はいない。
 星野同志の無実を腹の底から確信すること、これが一切である。そのための最良のパンフレット『国際労働運動』2月号が発刊された。徹底的に学習し、全労働者人民の中に大胆に飛び込もう。
 星野同志と弁護団は第1次、第2次再審闘争で、星野同志へのデッチあげ攻撃を全面的に暴いてきた。第1次再審闘争で最高裁は、ついに星野同志の服の色が「薄青色」であったことを認めざるを得なかった。
 星野同志は、死亡した機動隊員を殴打した実行犯として無期懲役刑を強いられているが、証拠は 
Krらの供述調書だけだ。そこでは「殴打者はきつね色の服を着ていた。顔は見ていないが、そのような服装は星野さんしかいなかった。だから殴打者は星野さんだと思う」と述べられている。
 服の色が違えば別人ではないか。にもかかわらず最高裁は、「色は見間違いか記憶違いだ。供述者は殴打者が星野だと『声で分かった』『後ろ姿で分かった』」(!)と、第1次再申請求を棄却した。
(写真 『国際労働運動』2013年2月号が「星野文昭さんは無実だ」総特集)

 「誘導で正しい記憶が喚起」?!

 第2次再審請求では、あまりにも詳細な供述は真実の記憶に基づくものではなく、取調官の強制と誘導によるものであることを明らかにした「厳島鑑定書」を突きつけた。ところが東京高裁は、「誘導によって正しい記憶が詳細に喚起されたのだ」(!)と言い放ち、昨年3月30日に第2次再審請求を棄却した。
 この決定は、星野同志への無期攻撃を何がなんでも貫こうとする、むき出しの国家暴力そのものだ。だが、あまりにもボロボロではないか。一ミリの説得力もない、あらかじめ破綻している。
 この裁判闘争の切り開いた勝利の地平に立って、全証拠開示大運動で国家権力を包囲する巨大な陣形をつくりだそう。
 星野同志は、「すべての人間が人間らしく生きられる社会をつくろう」と渾身(こんしん)のメッセージを発し、資本主義社会の根底的変革を訴えている。そして、その闘いの発展の中に自己の解放を位置づけている。フクシマの現実も、沖縄の現実も、非正規職労働者の置かれた現実も、その根底的な変革はプロレタリア革命以外にあり得ない。
 2013年、安倍政権の絶望的な新自由主義攻撃に対し、あらゆるところから闘いが爆発する。全証拠開示大運動を猛然と推進することで、星野同志の闘いがこれらすべての怒りと結合することは不可避である。
 現在、全証拠開示大運動の賛同人は710人を超え、うち弁護士は240人に上っている。星野同志の全証拠開示大運動にすべての人民が巨大な可能性と勝利の展望を見い出しているのだ。
 『国際労働運動』2月号の学習を通して、星野同志の無実と、全証拠開示を訴え、怒りの渦巻く階級の大地に躍り込もう。2013年に、星野同志を必ず奪還しよう。

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週刊『前進』(2569号6面5)(2013/01/28 )

 機関紙活動の手引き発行

 全国的政治新聞『前進』で党と労組の一体的建設を

 機関紙活動とは何か、どんな意義があるのか。今日的な飛躍の環はどこか。このことを明らかにする学習テキストが求められました。本小冊子はそのために計画・発行されました。本紙新年号提起の理解の手助けにもなります。

 レーニンに学ぶ

 「活動の出発点になり、のぞましい組織をつくりだすための実践的な第一歩となり、最後に、われわれがそれをにぎっていれば、この組織をたゆむことなく発展させ、ふかめ、拡大することができるような、そういう導きの糸となるものは、全国的政治新聞の計画でなければならない」「新聞の役割は、ただ思想をひろめることだけに、政治教育をおこない政治的同盟者をひきつけることだけに、かぎられるものではない。新聞は、集団的宣伝者および集団的煽動(せんどう)者であるだけでなく、また集団的組織者でもある」(1901年6月 レーニン全集第5巻)。
 レーニンとボルシェビキは革命運動の根幹に全国的政治新聞(機関紙)をすえて闘い、ロシア革命に勝利しました。
 革共同は1959年の創刊以来、半世紀を超えて、国家権力の破防法弾圧とカクマルの襲撃から『前進』を守りぬいてきました。革共同の歴史は『前進』の歴史です。
 政治局は昨秋、全国機関紙担当者会議を開催し、革命的情勢の急接近に対する党の飛躍が機関紙活動にあることを明らかにしました。党と労働組合の一体的建設の環は機関紙活動にあります。
 第一の柱は、全国機関紙担当者会議報告です。天田三紀夫書記長の基調提起が中心です。われわれが現在、何に直面しており、どのように闘おうとしているのかを、機関紙活動を中心にきわめて具体的に報告しています。A県委員会の教訓も掲載しています。この二つの報告を読むことで機関紙担当者会議と一体化することができます。
 第二の柱は、学習資料です。レーニンの機関紙活動、革共同の機関紙活動、さらに原典の抜粋などです。大半は同志たちの機関紙活動学習レジュメから抜粋させてもらいました。レーニンに学んで『前進』がどのように発展してきたかを学ぶことができます。
 第三は、第一と第二をつなぐために序文的に書かれた「機関紙活動の前進のために」(前進経営局)です。学習資料の解説にもなっています。
 この三つの柱は内容的には一つですが、形式では独立しており、どこからでも読めるようになっています。

 夢をもって活動

 表紙の写真は昨年の6・29の原発再稼働反対の20万決起です。この人びとと『前進』が結びついたらどうなるでしょうか。その結合は始まっています。その開けた先に見えるものは巨大な可能性です。この喜びが、新たな機関紙活動家を生み出します。

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