ZENSHIN 2013/02/04(No2570 p08)

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週刊『前進』(2570号1面1)(2013/02/04 )

 国鉄を基軸に3月大闘争を

 放漫財政、賃下げ・解雇、改憲、原発推進の安倍所信表明弾劾

 3・1ビキニ集会-3・11福島闘争へ

 1月27日、オスプレイ沖縄配備反対と普天間基地撤去を要求する大集会とデモが、140人の沖縄行動団と本土の労働者・労働組合を軸にした4千人を超える結集で闘われ、自民党安倍政権に沖縄の根底的怒りがたたきつけられた。日帝・安倍への沖縄の怒り、大失業と戦争、外注化・非正規職化と闘う労働者階級の怒りは非和解である。沖縄闘争の勝利も、労働者と労働組合の決起にかかっている。動労千葉・動労水戸を先頭とした昨年の10・1外注化阻止決戦の勝利の地平が、現在の全階級闘争の基底にある。2・17国鉄大集会の成功を突破口に、3月決戦の爆発で極右超反動の安倍を打倒しよう。

 安倍の無期限の金融緩和は大争闘戦を激化させる

 1月28日、第183通常国会が召集され、安倍は衆院本会議で第2次安倍内閣としての初の所信表明演説を行った。さらに29日には13年度予算案が閣議決定された。
 大恐慌の本格的激化と大争闘戦時代への突入、そして3・11情勢に根底から規定された安倍政権は、とんでもない極右で超反動だ。それと同時に脱落日帝の絶望的で危機的な政権である。
 30日の国会答弁で安倍は、維新の会・平沼赳夫の質問を呼び水に、「まずは96条の改正に取り組む」と表明し(改憲条項の緩和)、憲法改悪の野望を露骨に示した。「原発ゼロ」も見直すと答弁し、原発推進・再稼働の立場も公然と表明した。大恐慌・大争闘戦と3・11情勢に追い詰められ、日帝・安倍はこのままではもたない、間に合わないという危機感で動き出した。福島と沖縄の怒り、労働者階級人民の怒りに包囲され、危機感にかられて極右超反動の正体をあらわにしている。
 所信表明と代表質問・国会答弁で、打ち倒すべき敵の姿がはっきりと見えてきている。2・17労働者集会を突破口に、国鉄、反原発、三里塚を軸とする3月決戦で安倍は絶対に打倒できる。確信と執念をもって闘おう。
 安倍は所信表明の冒頭、アルジェリア人質事件について触れ、「国際社会と連携しテロと闘い続ける」と反動的な「決意」を述べた。安倍はこの前日の毎日新聞インタビューでも「アルジェリアは『自分の国は自分でマネージする』という強い意志をもっていた」と答え、人質も含めて無差別に虐殺したアルジェリア政府の行為を賞賛し、海外派兵=武器使用と改憲志向を表明している。
 そして日帝の「危機的な状況」を列挙し、「経済再生」「震災復興」「危機管理」に内閣一丸で取り組んで、「強い日本をつくる」のだと叫んでいる。だがここにこそ脱落日帝の最大の破綻点、危機点があるのだ。
 その上で、「最大かつ喫緊の課題は、経済の再生」と言って安倍がやろうとしているのは、ゼネコンなど大資本救済のための10兆円もの公共事業(放漫財政!)であり、さらに「2%の物価目標」=インフレターゲット政策と無期限の金融緩和である。そして日銀法の「改正」を狙い、日銀=中央銀行の「独立性」もぶち壊し、政府が求めるままに国債を買わせ、無制限に紙幣を刷り続けて暴力的にインフレへと持ち込もうとしている。
 労働者には大幅賃下げと3月大量解雇を強制し、生活保護費を3年間で670億円も削減しながら、防衛費は11年ぶりに増額し、軍拡と戦争・改憲、大増税へのフリーハンドを手にしようとしているのが安倍政権だ。

 大失業と非正規職化に青年労働者の怒りは爆発

 他方では、これまで原発を造り続け3・11の大惨事を生み出した張本人の自民党と安倍が、ぬけぬけと「震災復興」を語っている。だがそれを語れば語るほど、何の責任も取らずに、あくまで原発推進と再稼働に走る「福島圧殺内閣」の姿がいよいよ露呈する。
 安保防衛政策では「抜本的な立て直しが急務だ」とし、2月の日米首脳会談で「緊密な日米同盟の復活を内外に示す」「領土・領海・領空は断固として守り抜く」などと表明している。だがオスプレイや普天間基地問題は完全なデッドロックであり、沖縄の根底的怒りの爆発と日米争闘戦の激化が安倍を痛撃している。それは足元から反乱が起きているTPP(環太平洋経済連携協定)参加問題と並んで、安倍の最大のアキレス腱だ。
 所信表明の結びの「戦後の焼け野原の中で『将来はどうなるだろうか』と思い悩む若者たちを諭して」云々(うんぬん)のくだりは、今まさに「思い悩む」青年労働者や学生への新自由主義的な「自己責任」の説教だ。民営化・外注化と非正規職化攻撃は、大量の「マクド難民」や「追い出し部屋」を生み出している。「正規職」として若者を大量採用し、「代わりはいくらでもいる」と競争させ、ボロぞうきんのように使い捨てる「ブラック企業」をはびこらせている。
 これが最末期帝国主義と新自由主義の現実だ。これらの大量の失業者や非正規職の青年層は、今まさに「生きさせろ!」の怒りを爆発させ、決起し始めている。動労千葉や動労水戸を先頭とした外注化阻止決戦の第2ラウンドは、JR平成採を始めとする青年労働者の反乱を組織する壮大な闘いである。
 安倍の所信表明に青年を先頭とした労働者階級の怒りをたたきつけ、3月決戦の爆発で7月参院選を待たずに安倍を打倒しよう。

 ベア拒否と定昇凍結の経労委報告に反撃しよう

 「2013年版経労委報告」は、「戦後最大の難局」(日本経団連・米倉弘昌会長の序文)に際し、これまで以上に「労使一体となって危機に立ち向かう」ことを訴え、13春闘で「ベースアップを実施する余地はない」「定期昇給の延期や凍結を協議せざるをえない」と結論する、労働者への階級戦争宣言だ。
 報告はまず、「悪化を続ける経営環境」のもとで労使が協力して、@円高是正、ATPPなど経済連携の推進、B法人税の軽減、C社会保障負担の軽減、Dエネルギー・環境政策の転換=原発再稼働・増設、E労働規制の見直し−労働法制「改正」を、「一気呵成(かせい)に実施すべき」であると表明している。
 そして結論的に、「民主導による経済活性化、雇用創出の推進」を叫び、民営化・外注化・非正規職化の徹底的推進を打ち出している。この「報告」の責任者である経団連副会長(経営労働政策委員長)の日本郵船会長・宮原耕治は、「解雇規制は、経営としては、ほかの規制も含めて緩和し、最大限の自由度を持ちたい」と、露骨に「首切り自由」を要求してきた極悪の反労働者的人物である。
 さらに報告は「新興国においては、成長基盤を強化する観点から、水・発電・鉄道分野をはじめとするインフラ建設に対するニーズは大きい」と「パッケージ型インフラ輸出を官民挙げてさらに推進する」とぶち上げている。これはJR東の「グループ経営構想X」の中身と完全に重なっているものだ。また定期昇給凍結と一体で、成果主義賃金導入、総額人件費削減を打ち出している。
 こうした中で連合は、極右超反動の安倍にすり寄り、「民主党との連携を維持」しつつも「自公と政策協議を通じ連携を強化していく必要がある」との衆院選総括を組織決定した。同時に「連合政治方針」で、これまで改憲論議は「時期尚早」としていたものを、改憲論議の容認へと転換した。連合は安倍や日本経団連の完全な先兵に転落した。
 本当に階級決戦期が到来している。闘う労働組合をめぐる攻防がすべてを決める。革命的共産主義運動と階級的労働運動の一大飛躍をかけて2〜3月決戦を闘おう。

 2・17を突破口に外注化阻止の第2ラウンドへ!

 外注化は合理化の究極形態だ。それは新自由主義の核心をなす攻撃である。合理化は労働者と労働組合が絶対反対で非和解的に闘わないことで、また労働者の団結が解体されていることで、はじめて貫徹されるのだ。
 動労千葉は、新自由主義と闘う外注化阻止決戦の中心軸に反合・運転保安闘争を新たに打ち立てた。資本と非和解的に闘うことが階級的団結の強化・拡大になる。労働者の自己解放の思想=マルクス主義がそこには貫かれている。
 JR東日本の「グループ経営構想X」は徹底した外注化・非正規職化攻撃であり、究極の安全破壊である。外注化・非正規職化は、笹子トンネル事故やボーイング787機の事故を引き起こした。全面外注化に突き進むJR資本は今や最悪のブラック企業だ。
 昨年の10・1外注化阻止決戦の地平の上に、動労千葉と動労水戸は2月ライフサイクル強制配転攻撃を打ち砕いている。そして動労千葉を先頭に3・16ダイ改と対決し3月ストへ突き進んでいる。2・17国鉄集会の大結集を突破口に、4・1外注化阻止へ総決起しよう。全産別、あらゆる職場で、外注化阻止・非正規職撤廃の闘いに立ち、国鉄決戦の第2ラウンドの勝利を切り開こう。
 3・1ビキニデー杉並集会の成功をかちとり、3・11反原発福島現地闘争に全国から決起しよう。8・6ヒロシマ−8・9ナガサキ、3・11フクシマとともに、3・1ビキニは反核反原発闘争の歴史的原点だ。
 「星野さんは無実だ」の学習会を組織し、全証拠開示運動を発展させよう。市東孝雄さんの農地死守へ2〜3月三里塚決戦に立とう。全人民に総決起を訴えよう。

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週刊『前進』(2570号1面2)(2013/02/04 )

 沖縄の怒り安倍を撃つ

 オスプレイ反対普天間基地撤去 労働者など4000人

 

(8面に関連記事)

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週刊『前進』(2570号1面3)(2013/02/04 )

前進速報版から 前進速報版から

▼自治労臨大で橋下打倒・大幅賃下げ反対を訴え▼法大入試情宣禁止の仮処分に怒りの審尋▼広州の日系東海ゴム工業で2000人のスト

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週刊『前進』(2570号1面4)(2013/02/04 )

【要項】三里塚裁判

 市東さんの農地強奪許すな!
 2・4-18三里塚裁判 千葉地裁包囲闘争
 2月4日(月)
 ◎千葉市内デモ
 午前11時30分 千葉市中央公園で集会/正午 デモ(千葉市中央区中央1-12 千葉パルコ前)
 傍聴券抽選のため12時50分までに千葉地裁傍聴券交付所に集合

 2月18日(月)
 ◎千葉地裁包囲闘争
 午前10時 千葉市中央公園で集会/10時30分 デモ
 12時10分 裁判所包囲行動
 ◎市東さん行政訴訟・農地法裁判
 午後1時30分開廷(市東孝雄さんの本人尋問)
 ★傍聴以外の人は、午後2時30分 デモ/3時30分 リレートーク/5時20分 報告会

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週刊『前進』(2570号3面1)(2013/02/04 )

 橋下打倒!2・24大阪闘争へ(上)

 市職・市従労働者を先頭に全面民営化との決戦突入を

 

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【要項】2・24橋下打倒集会

 橋下による処分攻撃に反撃し、今こそ闘う労働組合をつくりだそう!
 民営化・外注化絶対反対!すべての非正規職を撤廃しよう!
 2・24橋下打倒集会
 2月24日(日)午後1時
 大阪中之島公園女神像前(市役所南側) 集会後、難波までデモ行進
 主催 橋下打倒集会実行委員会

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週刊『前進』(2570号4面1)(2013/02/04 )

 3・1ビキニ集会-3・11福島闘争へ

 大事故と放射能汚染の責任徹底追及し全原発を廃炉に

 福島の闘う人たちから、3・11反原発福島行動が呼びかけられた(呼びかけ文と要項を左に掲載)。これに応え、原発事故責任の徹底追及、再稼働阻止・安倍政権打倒、全原発廃炉を掲げ、全国から3・11福島に総結集しよう。これと一体で「3・1ビキニデー」集会を闘いとろう(要項別掲)。ビキニ事件こそ、今にいたる核と原発をめぐる闘いと攻防の原点であり、現在の福島で勝ち抜き反原発闘争の展望を切り開くための教訓としなければならない。3・1−3・11闘争を、8・6広島−8・9長崎と並ぶような年間最大の連続闘争として闘おう。その激闘の中から、NAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議=な全)を、反原発の全人民的運動体として拡大・発展させよう。

 安倍の再稼働絶対とめよう

 「2周年目の3月11日を福島で闘おう」という声が、労働者人民の中で日ましに高まっている。全国から8月6日に広島に、8月9日に長崎に集まるように、3月11日は福島に集まって怒りの行動に立とう。2周年を福島で闘い、「ノーモア・フクシマ」を日本と全世界の原発廃炉の不退転の出発点にしよう。
 私たちは、「3・11とフクシマ」を一日も忘れたことはない。忘れられるはずがない。福島第一原発が爆発したあの映像。膨大な放射性物質の流出とその隠蔽(いんぺい)という恐るべき事実。子どもたちを被曝させて「被験者」にしようとする山下俊一らの悪行の数々。「除染」と称して放射能汚染地域への帰還を強制する”意図的な殺人行為”。福島第一原発の収束作業と除染作業に当たる労働者への非人間的な扱いと被曝労働。どれをとっても、私たちの怒りはますます募る。
 何よりもがまんならないのは、政府・東電を始め誰も原発事故の責任をとっていないことだ。私たちは3・11以来、〈事故責任の追及〉を第一に掲げて闘ってきた。「責任」とは「人が引き受けてなすべき任務」(『広辞苑』)のことだ。「追及」とは「責任などを、どこまでも追い責めること」(同上)。では、政府・東電を「追い責め」、「なすべき任務」をやらせられてきたか? 逆に福島の生活のすべてを奪い破壊しながら、「復興」キャンペーンだけをしているのが現実ではないか。
 「未来のために立ち上がろう」と呼びかける福島の人々とともに、事故責任を取らせる本格的運動にしていくのはこれからだ。原発事故と放射能汚染に対する無念さ、悔しさ、怒りを晴らさないで、自分の人生もありえない。これが反原発・脱原発で立ち上がった人々すべての思いだ。その思いを2周年目の福島現地に持ち集め、責任追及の大運動を誓いなおす場にしよう。
 日本の人民は、第2次大戦後に「戦争責任の追及」「戦争犯罪者の追放」を掲げて闘った歴史を持っている。この戦後革命期の責任追及は、1947年2・1ゼネスト寸前にまで上りつめた巨大で激烈な闘いだった。しかし、日本共産党の裏切りによって敗北させられ、責任追及を果たしえないまま終わってしまった。福島原発事故・放射能汚染に対し、この戦後革命期を上回る責任追及の闘いを発展させよう。「ノーモア・フクシマ」を心に決めた人すべてが、そうした運動を巻き起こし、必ず勝つことをともに決意しよう。

 被曝強制する国家許さない

 日本政府は事故責任を取るどころか逆に居直りつづけ、安倍政権のもとで原発の再稼働と新増設、原発輸出の方針をむきだしにしはじめている。今や反原発闘争は、原発54基建設の張本人である自民党政権との正面激突に入った。昨年来の〈再稼働阻止! 100万人デモを起こそう!〉という運動を実現する時がやってきたのだ。3・11福島を、再稼働阻止・安倍政権打倒を掲げ、100万人デモに向かう全国的大闘争として闘おう。
 安倍政権の原発再稼働策動の最大の矛先もフクシマ圧殺にある。昨年12月の「原子力安全に関する福島閣僚会議」は、内部被曝の事実を隠し、「除染・安全」を掲げてフクシマの怒りを抑えこむのが狙いだ。しかし、この攻撃は破綻し、逆に弱点と化している。
 明らかになった「手抜き除染」の最大の原因は、政府・環境省自身が「除染できない」と知っていることにある。さらに、事故後に役場機能を移転した9町村のうち、7町村が避難先で小学校を再開したものの、12年度の入学児童数は本来の数の約13%、13年度17%にすぎない(朝日新聞1・14付)。福島県民の側からも「除染できない」と判定されているのだ。ところが政府はなおも、「除染・帰還」と称して「復興」の柱にしようとしている。
 これは、「原発は安全」といううそ以上の最悪のうそであり、被曝を強制する人類史上の大犯罪だ。チェルノブイリ事故でもこういう大うそが振りまかれた。しかしソ連人民の体制への怒りと反原発運動は、被曝強制の大元であるスターリン主義体制の打倒をもって応えた。
 3・11以来2年間の闘いをへて多くの人々が、人間を被曝させ自然を破壊する現状を変えるには国家体制をくつがえすしかないのではないかと思いはじめている。「除染・安全」の大うそによるフクシマ圧殺と再稼働策動に対し、3・11福島で猛然と反撃しよう。

 体制の根本的変革問われる

 私たちが闘っている相手は、こういう大うそを平気でつく確信犯の連中である。これが今の原子力ムラであり、日本の国家・体制そのものだ。日本の資本家階級は、大恐慌と帝国主義間・大国間争闘戦の中で、核武装の偽装形態である原発の推進と輸出に死活をかけてしがみついている。
 全原発廃炉という究極目標は、こうした国家・体制のあり方を根本から変えることを抜きにはなしえない。3・11以来、多くの人が感じ取ったように、原発をめぐって根本的に問題となっているのは、「命より金」の資本主義社会だ。特に、資本の利益を一切とする今の新自由主義だ。「放射能から命を守ろう」という人間として当たりまえのことを貫きたい。全原発廃炉という共通の思いを実現したい。そのためなら恐れることなく、これに立ちはだかる資本主義という枠を、新自由主義という壁を突き破ろう。3・11から2周年の福島で、全原発廃炉のためにどんな困難も打ち破る団結した運動を登場させよう。

 ビキニは反核反原発の原点

 さらに、今年の3・11闘争を、「3・1ビキニデー」集会とひとつの闘いとして取り組もう。1954年のビキニ事件こそ、核と原発の容認か反対かをめぐる攻防の原点である。しかも、ビキニ事件で争われた問題は、今の福島で起こっている全問題とまったく同じだ。「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ」に加え「ノーモア・ビキニ」と「ノーモア・フクシマ」のすべてをひとつにしよう。それを日本の労働運動の原則、市民運動の”常識”になるまでにしよう。そうしてこそ、反原発闘争の飛躍と展望も切り開ける。
 ビキニ事件については水爆実験で被爆した第五福竜丸元乗組員の大石又七さんが書かれた『矛盾』(11年9月、武蔵野書房)を読むだけで、ほとんどのことが分かる。
 ビキニ事件が原点であるのは、@広島・長崎に続く第三の被爆であり、しかも度重なる水爆実験で現地と日本の全体が内部被曝した。Aこの事件を機に、東京・杉並から原水爆禁止運動が始まり、今日にまで続く運動となった。B報道規制で隠されてきた広島・長崎の原爆被害が、これを機に初めて公然となった。ヒロシマ・ナガサキという形で敗戦を迎えたことへの怒りが沸騰した。
 Cしかし、日米政府はわずか7億円強の「見舞金」でビキニ事件を政治決着させ、その裏で米国が日本に原子力技術・原子炉を供与する取引をし、日本の原発推進が始まった。D「毒をもって毒を制す」(正力松太郎の懐刀=柴田秀利)と称し、原水爆禁止運動の発展をつぶすために「原子力の平和利用=原発推進」の政策が実施され、社会党・共産党は屈服した。
 このように、ビキニは反戦反核運動の出発点でありながら、同時に「平和利用」論による日本の核・原発政策の始まりの契機ともなり、それを許した原水禁運動の限界性を刻印するものでもあった。このすべての結果として福島原発事故に至ったのだ。今、私たちが闘っている反原発闘争は、ビキニで始まった運動を真に引き継ぎ、核・原発をめぐる長年の攻防に決着をつける歴史的意義を持つ。
 しかも、ビキニ事件での人民に対する政府の政策は、福島で現在やっているのとまったく同じだ。典型例を二つあげる。第五福竜丸が日本に帰還した時にはあった「航海日誌」「漁労日誌」「海図」「無線日誌」のことごとくが消失した。日米政府による証拠隠滅だ。もうひとつは、同じ乗組員や仲間・理解者に対する卑劣きわまる分断だ。事件直後に亡くなった久保山愛吉さんの妻、第五福竜丸の漁労長(船頭)だった見崎さん、事件を機につくられた放射線医学研究所の医師たち。当時は水爆実験と被爆を厳しく批判していたこれらの人たちは、のちに政府側の圧力で寝返り、大石さんへの敵対者に転じた。事件から半世紀以上たっても、政府はそういう分断を必死になってやるのだ。こんなことを福島で繰り返させてはならない。
 大石さんが長い沈黙を破ってビキニ事件を告発するようになったきっかけは、東京都内の中学生が元乗組員の話を直接に聞きたいと切に願ったことにあるという。その大石さんの思いと人生は今、「子どもを守れ」とコールする巨万の反原発・脱原発行動の中に引き継がれている。もっとビキニ事件と大石さんの決起に学んで闘おう。
 大石さんはNAZENの呼びかけ人である。NAZENは大石さんの闘いと人生をともにする団体として結成された。今こそ「ノーモア・ビキニ」を全人民的に復権して、NAZENの運動を発展させよう。

 NAZENの拡大・発展を

 3・11から2周年を迎え、反原発闘争は一段の飛躍が求められている。再稼働を阻止し、全原発廃炉に向かうためにどういう運動をつくりだせばいいのか。
 何よりも、フクシマの怒りを共有してどこまでも闘う運動である。フクシマの苦悩と困難、分断と孤立、闘いと希望などあらゆるものに真に向き合う時、中途半端なものは通用しない。原発に絶対反対を貫き、被曝から命を守るために徹底的に闘い、その中から本来の人間性と社会性を取り戻すのだ。12月に開院した「ふくしま共同診療所」を発展させることも、運動の不可欠の事業だ。
 さらに、原発を「今すぐなくそう」という絶対反対の立場で、全原発廃炉まで粘り強く進める運動が必要だ。絶対反対という点では、攻撃の激しさにたじろいだり、攻撃をかわしたりするのではなく、真っ向から対決して突き破る運動でなければならない。粘り強くという点では、政府やその手先による懐柔や分断を一切寄せつけない、団結した運動でありたい。
 何よりも、階級的な労働運動の発展と一体となる運動こそが求められている。原子力ムラと資本家階級と真に対決して勝利する運動は、労働者階級の闘いを抜きにありえない。特に、動労水戸のように、労働組合として被曝労働を拒否する運動を広げることが必須の課題だ。反原発100万人デモの実現のためには、労働組合をよみがえらせて立ち上がるしかない。全原発廃炉の展望も、本来は社会の主人公である労働者階級が決起して初めて切り開かれる。
 こうした運動をNAZENとしてつくり出そう。反原発で立ち上がっている人々は、NAZENの運動をともに担ってほしい。3・1ビキニ−3・11福島を闘う中から、NAZENを拡大し発展させよう。
 〔島崎 光晴〕

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週刊『前進』(2570号4面2)(2013/02/04 )

 実行委員会 3・11反原発福島行動'13へ

 賛同と参加を呼びかけ

 3・11反原発福島行動,13への賛同と参加の呼びかけが、同実行委員会から発せられました。この福島の訴えに応え、3・11二周年の福島行動を全国の仲間の力で成功させよう。福島圧殺の安倍政権を許さず、ともに未来を切り開こう。(編集局)
 「再稼働阻止! 未来のために立ち上がろう!
 3・11反原発福島行動'13」への賛同と参加を呼びかけます。
 雪化粧する冬山だけが、まるでなにごとも無かったかのように、気高く、美しくそびえ立つ福島です。
 しかし、3・11原発事故は、何ひとつ収束していません。4号機の使用済み燃料が収められているプールが余震で転倒したら、福島県どころか東日本が壊滅する危機さえ現実のものとしてあります。ヨウ素131による初期被曝の深刻さが解明されつつあるなかで、福島県の甲状腺検査では、のう胞の数も形状も知らされず、親たちの不安は増えるばかりです。被曝労働の実態とは向き合わずに、ゼネコンだけが儲(もう)けを得る仕組みの名ばかりの除染が、「手抜き」作業を生み出すのは当然です。避難補助の打ち切りの一方で、復興予算にのみ税金がじゃぶじゃぶと注ぎ込まれる有り様は、経済優先、利権構造で原発を推進してきた自民党の体質がそのままです。安倍内閣は、新たな原発の建設さえ唱え始めました。IAEAと福島県が建設する三春・南相馬の「県環境創造センター」は、いよいよ福島のいのちを圧殺する策を練るのでしょうか。
 このような厳しい現実を踏まえて、2年目の3・11に、福島に立つものとしてどう向き合って行くか、市民、農民、漁民、労働者、等しく問われていると思います。いまこそ、毅然として声を挙げなければ、すべてがなかったことにされてしまいます。子どもたちのいのちが、刻々と損われようとしています。未来を描けない青年たち、生きるすべを根こそぎ奪われた生産者、被曝を強いられている労働者、そうした現実の真っ只中にいる私たち自らが声を挙げましょう。福島は、許さない! 諦(あきら)めない! 第二の福島をくりかえさせない!と。
 福島はどうのぞむのか? 原発立地県や、官邸前などで再稼働阻止の闘いを続けてきた人々、世界の視線も熱くあります。県民の声は、「県内全基廃炉75・4%」(福島民報1・6付)。この思いとともに、3・11二周年の福島行動にたちあがりましょう。福島の”怒りののぼり旗”をはためかせ、全国・全世界の反原発の思いと一つになって、流れを変えましょう! それぞれの独自性を大切にしながら、ともに手をつなぎ合いましょう。社会を変える力、未来を切り拓(ひら)く力は、私たちにこそある! まき返しましょう! 行動しましょう!
 2013年1月

【呼びかけ人】会田恵(陶芸家・伊達市)/阿部一子(阿部農園・福島市)/市川潤子(ふくしま合
同労組委員長・福島市)/井上利男(ふくしま集団疎開裁判の会・郡山市)/川俣辰彦(動労水戸平支部・いわき市)/黒田節子(原発いらない福島の女たち所属・郡山市)/佐々木信夫(桜の聖母短期大学名誉教授・福島市)/佐藤幸子(川俣町)/椎名千恵子(福島市)/島明美(伊達市)/鈴木光一郎(全国農民会議共同代表、酪農家・本宮市)/関久雄(NPO職員・二本松市)/丹治博志(福島バッジプロジェクト・福島市)/橋本光一(国労郡山工場支部・郡山市)/長谷川健一(飯舘村前田区長・酪農家)/吉沢正巳(希望の牧場・浪江町)/渡辺馨(福島診療所建設委員会事務局長・伊達市)/渡辺ミヨ子(原発いらない福島の女たち所属・田村市)
(1月27日現在)

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週刊『前進』(2570号4面4)(2013/02/04 )

 吉祥寺デモ 3・11福島へ決起を誓う

 

1月27日、NAZEN吉祥寺は極右・原発推進の安倍政権への怒りに燃えて8回目の反原発・反失業吉祥寺デモを闘った。デモ後、ビキニ事件の学習会を開催し、3・11福島への総決起を誓った。

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週刊『前進』(2570号4面5)(2013/02/04 )

【要項】3・1原発いらない杉並集会

 ビキニ水爆実験・被ばくから59年
3・1原発いらない杉並集会
 3月1日(金)午後6時30分〜 高円寺・セシオン杉並ホール(東京都杉並区梅里1―22―32)
 □福島県郡山市からの報告
  井上利男さん(ふくしま集団疎開裁判の会・代表)
  「原発被災地をおおう『国際原子力ロビー』の影」
 □VTR上映(山本太郎さんによるインタビュー)
  大石又七さん(第五福竜丸元乗組員)
 主催/3・1原発いらない杉並集会実行委員会
 呼びかけ/すべての原発いますぐなくそう!全国会議-NAZEN杉並

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週刊『前進』(2570号4面6)(2013/02/04 )

【要項】3・11反原発福島行動'13

 再稼働阻止! 未来のために立ち上がろう!
 3・11反原発福島行動'13
 3月11日(月)正午開場
 福島県教育会館大ホール(福島市上浜町10-38)
 JR福島駅東口バス2番のりば「競馬場方面」行き「豊田町」下車徒歩5分、または3番のりば「東堀河町」行き「上浜町」下車徒歩2分
 12時30分プレイベント/午後1時コンサート
 1時30分集会/3時15分デモ出発(→県庁前→福島駅)
 主催/3・11反原発福島行動実行委員会 

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週刊『前進』(2570号5面1)(2013/02/04 )

 経労委報告と対決し13春闘へ

 “ベアの余地なし”“定昇凍結” 大幅賃下げと大量解雇を狙う

 外注化・非正規職化と闘おう

 経団連は1月22日、2013年版「経営労働政策委員会報告」を公表した。「活力ある未来に向けて−労使一体となって危機に立ち向かう」というサブタイトルが付された今年の経労委報告は、ますます深まる大恐慌と、激化の一途をたどる帝国主義間・大国間の争闘戦のただ中で、大量首切りと外注化・非正規職化、賃金切り下げの攻撃で生き残りを図る資本の基本戦略を示したものだ。これと徹底対決し、13春闘の決戦に立とう。

 「最大の難局」と絶望的悲鳴

 13年版経労委報告には冒頭の経団連会長・米倉弘昌の序文から「グローバル競争が一段と激しさを増す中、日本企業は長引く円高とデフレ、税・社会保険料などの重い負担、経済連携の遅れ、行き過ぎた温暖化対策、電力の供給不安とコスト上昇など、非常に厳しい事業環境に直面している」「戦後最大とも言える難局を乗り越えていく」などの言葉が並んでいる。
 「一段と厳しさを増す国内事業活動と現状打開への道」と題された第1章には、資本家階級の“時代認識”が示されている。「悪化を続ける経営環境」「日本経済の縮小と立地競争力のさらなる低下」「本格的な産業空洞化の進行」「危ぶまれる『貿易立国』の地位」――これはまさに日帝の絶望的危機に直面する資本家の悲鳴だ。
 この間、経団連は、日本企業を取り巻く「6重苦」と称して、@円高、A重い法人税・社会保険料負担、B経済連携協定の遅れ、C柔軟性に欠ける労働市場、D行き過ぎた温暖化対策、E電力供給不足・コスト増――を挙げ、その打開を声高に唱えてきた。この6点に危機の原因を求める認識自体、徹頭徹尾でたらめだ。ブルジョアジーは、資本主義自身がつくり出し、新自由主義によってさらに深まった大恐慌の現実をけっして見据えられない。だから、大恐慌からの突破の道がより徹底した新自由主義攻撃の貫徹にあるかのように放言できるのだ。
 経労委報告は、この「6重苦」なるものに対応して、「@円高の是正、A経済連携の推進、B法人の税負担の軽減、C一層の社会保障制度改革、Dエネルギー・環境政策の転換、E労働規制の見直しを一気呵成(いっきかせい)に実施すべきである」と言う。それは、大量首切り・非正規職化、一層の賃下げを強行するということなのだ。

 「雇用流動化」は「使い捨て」

 この中でも特に、経労委報告が「労働規制の見直し」を絶叫していることは見過ごせない。資本家どもは、民主党政権下で行われた労働者派遣法、労働契約法、高齢者雇用安定法の改定を「規制強化」と言いなしている。しかし、これらが外注化・非正規職化をさらに推進するために行われたことは明らかだ(2面参照)。にもかかわらず経労委報告は、「規制強化色の強い労働政策が継続されれば、雇用創出どころか、国内における雇用の場そのものが失われかねない」と労働者を恫 喝している。
 資本がもくろんでいるのは、文字通り労働者の9割を非正規職にすることだ。経労委報告は「“非正規雇用”の増加を問題視する向きも多いが……“正規”か“非正規”かという二項対立的に捉(とら)えること自体が、現状に合致しているとは言い難い」「非正規雇用という呼称自体……こうした用語を用いることも適切ではない」と言い放っている。労働者のほとんどを非正規職にしてしまえば「非正規」という概念もなくなる。そこまで徹底して非正規職化を強行するというのである。
 経労委報告はまた「雇用の維持・創出を図るためには……『雇用の源泉である企業の事業活動の柔軟性確保』や『多様な就業機会の創出』の観点を重視」すべきだとする。これはもはや、非正規職でなければ雇用しないと言うに等しい。
 さらに経労委報告は、「外部労働市場の育成、活用を図ることが重要である」として一層の外注化強行を押し出し、労働者派遣の期間制限の緩和などを求めている。また、正規雇用労働者についても、「企業内余剰人員」が増加しているとして、年度末を前に大量解雇を強行する意思をあらわにした。
 また、賃下げを始めとした労働条件不利益変更に対する規制の撤廃を要求し、事務職労働者に対する労働時間規制の解除(ホワイトカラー・イグゼンプションの導入)も叫び立てている。
 これら「労働市場における流動化促進」策の行き着く先は、“ブラック企業”といわれる楽天やユニクロなどで行われている「大量採用、大量解雇」方式に示される青年労働者の使い捨てだ。その極限を行くものこそ、JRの契約社員制度(JR東日本のグリーンスタッフ制度)である。

 デフレ口実に賃下げ居直り

 経労委報告は13春闘に向けた資本の方針として、「ベースアップを実施する余地はない」と言い切った。さらに、定期昇給制度の解体にも踏み込んでいる。今次経労委報告の原案には「定期昇給制度の見直しを聖域にすべきではない」という一文があったとも言われるが、公表された経労委報告にそうした露骨な表現がないことは、本質的な問題ではない。公表された報告にも「深刻かつ危機的な経営状況にある企業においては、定期昇給の実施時期の延期や凍結について協議せざるを得ない」「制度自体の今日的意義や将来的な持続可能性などについて労使で議論を尽くし」と書かれている。既成労組幹部の裏切りを取り付けた上で、より周到に、より徹底的に定期昇給制度を解体するという意味だ。
 これに加え経労委報告は、連合が形ばかり打ち出した非正規労働者の時給引き上げ要求さえ拒否し去り、「賃金カーブという概念がそもそも成立しない非正規労働者」とまで言っている。非正規職は一生、賃上げなしの低賃金でこき使われて当然だというのだ。
 許し難いのは、経労委報告が「デフレの進行によって実質賃金は大幅に上昇」としていることだ。厚生労働省の毎月勤労統計調査でさえ、労働者の1人平均月間現金給与総額は97年の37万1670円から11年の31万6792円へと、14年間で5万円以上も下落したという数値を示している。こうした平均賃金の低下の裏には、非正規職の拡大という事態があった。それでも「実質賃金は大幅に上昇」と言い張ることで、経団連は非正規職化をさらに推し進めると再び宣言しているのだ。
 しかも経団連は、安倍の思惑どおりインフレが進んだとしても、賃上げをするつもりなどまったくない。
 さらに経労委報告は、最低賃金の引き上げも全面的に拒否している。 安倍政権の登場を背景に、資本はその強欲をますますむき出しにしつつある。

 原発再稼働の願望むき出し

 今次の経労委報告の特徴は、原発再稼働をあからさまに要求していることだ。報告は「電力の供給不安と価格上昇懸念も、国内の事業活動を一層困難にしている」「国内事業を継続していくためには……原子力を含む多様なエネルギーの選択肢を維持することが不可欠である」と叫んでいる。人間の生命を踏みにじり、労働者階級を絶滅に追いやる結果になろうとも利潤を追い求める資本の本質を、経団連はもはや隠そうともしない。
 こうした資本の要求を全面的に受け入れているのが安倍政権だ。法人税の一層の引き下げを迫る資本に応じ、安倍は1月24日に決定した13年度税制改革大綱で、研究開発減税の拡大や自動車取得税の廃止など、企業への大幅減税を打ち出した。
 また、社会保険料の企業負担が重すぎると叫ぶ資本に応えて、安倍は社会保障制度の全面的な解体に手を着けようとしている。その切っ先に位置するのが、生活保護費の大幅削減だ。
 さらに経労委報告は、「一刻も早くTPP(環太平洋経済連携協定)交渉に入る必要がある」とし、「道州制の実現」も求めている。社会が社会として成り立たなくなっても、資本だけは生き残るというのである。

 攻撃の先端を担うJR資本

 今次の経労委報告は、「新興国においては、成長基盤を強化する観点から、水・発電・鉄道分野をはじめとするインフラ建設に対するニーズは大きい」「パッケージ型インフラ輸出を官民挙げてさらに推進することが重要である」と唱えている。大争闘戦のただ中で、資本の生き残りを海外侵略に求めるということだ。その先頭に立っているのが、「グループ経営構想X」を打ち出したJR東日本などのJR資本だ。
 JRでの外注化を粉砕する闘いは、経労委報告との最先端の攻防だ。報告は「ミドルマネジャーの育成」「次世代経営幹部の育成」を例年になく強調する。その背後にあるのは、職制層の崩壊という事態だ。労働者の9割を非正規職化しつつ、1割の幹部層を資本のもとにつなぎとめるのは、実際のところ至難の業だ。業務そのものを破壊する外注化は、職制層の資本への忠誠心をも掘り崩してしまった。そうした事態が典型的に現れているのは、検修外注化強行後のJR職場だ。
 資本の手先となってきた既成労組幹部の統制力も崩れつつある。経労委報告が「労使一体」「労使コミュニケーションの強化」をいつになく押し出しているのも、そのことへの危機感から来ている。この情勢も、JR総連傘下の青年労働者の反乱をつくり出した外注化阻止決戦によって切り開かれたのだ。
 資本の攻撃は凶暴だが、そこには必ず破綻点がある。破綻点を見いだし、そこを突いて闘えば資本を追い詰めることはできる。経労委報告には、そうした資本の危機が図らずも表れているのだ。外注化阻止・非正規職撤廃の闘いを軸に13春闘を階級決戦として闘いぬこう。勝利は労働者階級のものだ。
 (岩谷芳之)

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週刊『前進』(2570号5面2)(2013/02/04 )

 生活保護670億円削減

 公共事業10兆円、防衛費も大幅増

 3月決戦で安倍打倒を

 安倍政権は1月29日、生活保護費を今年度よりも670億円も削減する13年度予算案を閣議決定しました。2月下旬にも国会に提出しようとしています。受給世帯の生活はおろか生存をおびやかす削減を許すわけにはいきません。労働者人民の団結した力で安倍政権を打倒しましょう。保護費削減の内容と狙い、その背景を見ていきます。
(図 上、生活扶助基準額の引き下げ【月額】 下、生活保護受給者の年次推移)

 食費などが1割カットに

 安倍政権が13年度から3年かけて引き下げようとしているのは、生活保護費の約35%を占める、食費、被服費、光熱水費などの生活扶助の基準額です。13年度は8月から150億円減らすといい、都市部なら40代夫婦と小、中学生の4人世帯の場合、15年以降、月々2万円、子ども1人の3人世帯なら月1万6千円も減額。母親と子ども1人の母子家庭では月8千円もの減額です(表)。
 さらに、年末に支給される「期末一時扶助金」(1人1万4千円)も70億円カットし、生活扶助費を3年間で総額740億円減額するとしています。削減は04年度以来9年ぶりで、下げ幅は過去最大になります。受給世帯の71%が5%以下の減、25%が5%超〜10%の減。96%の世帯で扶助費が減ることになります。特に子育て中の若い、人数の多い世帯の生活扶助が大幅に減らされようとしているのです。
 また、生活保護費の約半分を占める医療費(医療扶助)を、就労支援も合わせて450億円の削減を見込むとしています。受給者に価格の安い後発薬を使わせる、価格が高い先発薬を処方した場合、医師には説明責任が生じる、特別な理由がないのに後発薬を拒んだら、福祉事務所に指導させるとしています。こんな分断を許してはなりません。警察OBの配置など言語道断です。
 安倍は無謀なインフレ政策を推し進めようとしており、22日には、日銀が物価を2%上げる目標を導入すると決定しました。命をつなぐ最低限の生活費を生活保護世帯から削り取り、さらに物価高にさらそうというのです。しかも消費税率が14年4月には8%に、15年10月には10%に引き上げられようとしています。これでは生きられない! 生活扶助基準の引き下げは「生存可能な基準以下」の状態を強いる、国家による殺人行為です。
 今回の引き下げについて厚労省は、子どものいる世帯などで「保護を受けていない低所得世帯より生活扶助費の方が上回ったからだ」と説明しています。しかし、低所得世帯とは年収が平均およそ120万円の世帯です。生活保護を受けて当然なのに受けていない世帯と比較して、「逆転している」として基準額を引き下げるとは! これは受給世帯の生死にかかわる問題です。それは受給世帯だけではありません。自治体によっては当てはまらない場合もありますが、生活扶助の基準額はほかの制度の物差しでもあります。
 就学援助、生活福祉金の貸し付け、国民健康保険の減免、介護保険料・利用料の減額の制度は、扶助基準が引き下げられることで利用できなくなります。また、引き下げで住民税の非課税限度額が下がるために、新たに課税される人も出てきます。そして、非課税世帯に認められていた免除や減免制度が利用できなくなり、医療や介護の自己負担分が増えることになります。どの制度もギリギリの生活を強いられている世帯には死活的です。

 最低賃金引き下げに連動

 もうひとつ決定的な問題があります。それは、生活扶助基準の引き下げにより、最低賃金を引き上げる理由がなくなり、逆に引き下げる可能性すら出てくることです。
 全国の生活保護受給者は、12年10月時点で214万2580人ですが、95年の88万2229人から増加の一途をたどり、過去最多だった第2次世界大戦後の1951年の月平均204万6646人を抜きました(図)。95年は日経連(02年に経団連に統合)が「労働者の9割を非正規職にする」と提言した年です。
 日経連は97年に製造業の賃金水準について「日本を100としたときアメリカ81、ドイツ95、イギリス83、フランス67、韓国52」という推計を出し、「日本全体の高コスト構造の是正」を叫び立てました。トヨタの人事部長などは、「この10年間で年金・健康保険の負担は2・5倍に拡大し、総額人件費の、実に13%を占める」と悲鳴を上げ、「総額人件費の削減」へ、福利厚生費のかからない労働者、すなわち非正規職への置き換えを進めました。
 同時に、資本の側は業務の外注化と労働者派遣事業を拡大しました。これに屈服した労組幹部の裏切りによって多くの労働者が非正規労働に突き落とされ、97年以降、労働者全体の賃金である「総額人件費」は下降し続けてきました。
 そして、世界大恐慌と3・11東日本大震災―福島原発事故のもとで、解雇や労災による失業者が膨大に生み出され、生活保護世帯が急増しました。年金受給資格のない無年金者、生活扶助基準にも届かない低所得世帯は、あまりにも低い賃金と不安定雇用が生み出したものです。10年の金融広報中央委員会の調査によると、全世帯の3割、単身者は4割近くが貯蓄なしです。
 すでに09年のリーマンショック時を超える大量解雇が始まっています。生活扶助基準の切り下げをめぐる攻防は、賃金・雇用をめぐる資本との攻防と切り離すことはできません。

 労働組合で団結し闘おう

  2年続きの借金超過予算から抜け出さなければ日本は国債暴落の危機に陥りかねません。そこで、13年度予算案は、新規国債の発行額を税収以下に抑えながら、防衛費とゼネコンのための公共事業を大幅に増やしました。防衛費は11年ぶりに増加(400億円増)、公共事業は12年度補正予算を含め10兆円規模になります。その財源を確保するために生活扶助基準の引き下げと地方公務員給与の削減となったのです。
 資本と国家が生き残るためにどうして私たち労働者人民が犠牲にならなければならないのでしょうか! 賃金闘争が労働者階級と資本家階級との倒すか倒されるかの階級決戦の一大テーマになりました。
 国鉄を先頭に外注化阻止・非正規職撤廃・解雇撤回へ闘うとともに、賃金削減に反対し大幅賃上げをかちとる13春闘を闘いましょう。首切りと賃下げ、原発推進、戦争と改憲をたくらむ安倍政権を打倒しましょう。生活扶助基準の引き下げを許さず、生き抜くために労働組合のもとに団結しましょう。
 (今井一実)
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 生活保護制度

 日常生活をまかなう生活扶助が基本。必要に応じて住宅扶助や教育扶助、介護扶助などが加算される。

 生活保護基準

 健康で文化的な最低限度の生活水準の尺度。

 憲法第25条

 @すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。A国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
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 生活扶助基準額の引下げ(月額)

  現在 2015年度以降 削減額
3人世帯(夫婦と子1人) 約17万2千円 約15万6千円 1万6千円
4人世帯(夫婦と子2人) 約22万2千円 約20万2千円 2万円
単身(70代以上) 約7万7千円 約7万4千円 3千円
2人世帯(70代以上夫婦) 約11万4千円 約10万9千円 6千円
単身世帯(20〜40歳) 約8万5千円 約7万8千円 7千円
母子世帯(母親と子1人) 約15万円 約14万1千円 8千円

 *都市部の場合。冬季加算、母子加算、児童養育加算を含む。端数処理で合計・差額が一致しないことがある。

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週刊『前進』(2570号7面4)(2013/02/04 )

新刊紹介 共産主義者175号

 「3・11」二周年闘争へ特別号 13年前半戦の路線が明快に

 『共産主義者』175号は、安倍政権打倒の2013年前半戦、とりわけ「3・11」二周年闘争に向けた特別号として発行されました。7本のすべての論文が書き下ろしの力作です。

 安倍超反動政権を打倒する決意

 巻頭の高城和也論文は、新春首都圏活動者会議で提起された2013年の階級決戦論に加筆した路線論文。外注化阻止・非正規職撤廃を軸に、国鉄・反原発決戦と星野証拠開示大運動の3大決戦の勝利を訴えています。さらに三里塚など4大攻防と、機関紙活動の変革と飛躍など「組織的前進のための五つの任務」を提起しています。「階級的労働運動の登場こそ勝負を決める」からこそ「革命の勝利に向かって労働運動を組織できる党になること、党と労働組合の一体的建設」を着実にやりぬこう。

 福島現地闘争を訴える4論文

 本号は、3・11決起論として4論文を特集として掲載しています。まず@宮城県委員会論文は、仙台市職と郵政新仙台局の二つの拠点建設を軸に被災地における労働運動をつくり出す決意がみなぎっています。現場の労働者の職場闘争の実践が躍動しています。
 A福島県委員会論文は、3・11福島現地闘争の組織化のために必読の内容を訴えています。「五つの拠点建設」が実践的に前進し、その中心に福島県委員会(地区党)の団結が要になっていることが述べられています。苦楽をともにしてきた福島の仲間たちの息吹が伝わります。「福島県委員会は“組織建設の鬼”になる」という決意とともに「3・11」二周年を闘おう。
 B国木田同志の論文は、労農同盟論をより前進させるために提起された意欲作です。福島の農民の怒りと苦悩に肉薄し、TPP問題を明らかにするため、NAFTA(北米自由貿易協定)がもたらした農業破壊の現実などが暴露されています。答えは労農同盟論の深化・発展にあります。その最先頭で闘う市東さんの農地決戦、3・24三里塚大結集へ活用を。
 C河東同志の論文は、反原発闘争の理論的前進のための論考です。12月福島閣僚会議でのIAEAと福島閣僚会議の「覚書」の内容を暴露し、被曝隠蔽(いんぺい)問題を突き出しています。そして米帝による核の世界支配と日帝の独自核武装問題を歴史的・系統的に明らかにしています。NAZEN運動の全国的発展のために活用しよう。

 昨年沖縄闘争が切り開いた地平

 沖縄県委員会論文は、オスプレイ配備に怒る沖縄県民の闘いのただ中で、70年決戦以来の沖縄県党の死闘の歴史を階級的労働運動路線によって総括して出された重要論文です。昨年刊行の『基地も原発もいらない』(前進社ブックレット)で打ち出された「新自由主義と闘う沖縄闘争論」を、歴史総括をさらに路線的に整理・深化して提起しています。“基地労働者が動くとき、沖縄の労働運動が動く”――この確信をもって沖縄闘争を大爆発させよう。
 「大争闘戦時代への突入とプロレタリア革命」と題する巻末の無署名論文は、世界大恐慌の現段階を明らかにした情勢論文です。〈大恐慌は大失業と戦争を生みだす>〈世界はついに歴史的な大争闘戦時代に突入し、革命情勢を日々成熟させている>という結語は、アルジェリア情勢が事実をもって明らかにしています。労働者階級の回答は、国際連帯であり、プロレタリア世界革命です。『前進』新年号1・1アピール第2章とセットで学習しよう。
 革共同の政治機関誌『共産主義者』を労働者人民に大胆に広めよう。

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週刊『前進』(2570号7面5)(2013/02/04 )

【要項】2・9富山再審集会

 2・9富山再審集会
 2月9日(土)午後6時30分
 きゅりあん第4講習室(5階)(JR京浜東北線・東急大井町線・りんかい
   線/大井町駅下車)
主催 無実の富山保信さんの再審無罪をかちとる会

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