1995年1722号      

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1995年6月5日付『前進』1722号掲載の
「読売、朝日の5・3提言弾劾 大新聞が競いあい戦争国家体制づくりを扇動」

 改憲と朝鮮侵略戦争への参戦唱える読売

 「憲法記念日」の五月三日、読売新聞社が「総合安全保障・政策大綱を提言する」として、紙上にこの「提言」を発表した。すでに読売新聞は昨年十一月三日に、憲法九条を放棄し戦争発動と自衛隊の海外派兵、徴兵制導入をもくろむ「読売憲法改正試案」を発表している。さらに同じ五月三日、朝日新聞社も「戦後五十年、朝日新聞は提言します」と「国際協力と憲法」と題した社説を発表した。
 この二つの「提言」は、巨大マスコミが率先して、アメリカ帝国主義の世界支配を前提としてきた日本帝国主義の軍事外交政策、とりわけ自衛隊政策の歴史的転換をなしとげようとするものだ。戦争国家体制づくりを、読売は「改憲」を、朝日は「護憲」を主張しながら主導しようとする超反動的なものである。
 反動性の第一は、米帝の朝鮮侵略戦争の歴史的切迫情勢に、“日帝は帝国主義国家として戦後的制約を突破してこれに身構えよ”と主張していることだ。
 読売は、「超大国による世界の秩序維持は望むべくもない」から「最後は自力で自己を管理する能力を持たねばならない」と言う。そして、「集団的自衛権を保持し、行使できる」とし、その部分の解説で集団的自衛権の行使の承認により、「わが国周辺で活動する米艦艇への支援が可能になる」と朝鮮侵略戦争への参戦の道を唱える。
 朝日は、「冷戦後と湾岸戦争後という『二つの戦後』が、今後ますます世界を激変させる、と確信する」と述べ、「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の閉鎖的な軍事偏重政策は、深刻な懸念の材料」とし、「北朝鮮の核疑惑解決に向けて、日米韓三国が朝鮮半島エネルギー機構を設立」したことは「地域安全保障の新たな試み」と、米日帝の朝鮮侵略戦争=北朝鮮の体制転覆の策動を積極的に支持している。

 「自衛戦争」容認しPKО推進うたう朝日

 反動性の第二は、国家には自衛権があると唱え、自衛戦争は正義とするのみならず、国連PKOに積極的に参加せよと、侵略戦争を称揚していることである。
 朝日は、「第三の提言」の中で、「自衛権に基づく自衛組織の保有を憲法は禁じていない」とし、自衛隊合憲の立場を鮮明にした。さらに「軍事力行使をためらわぬ国が存在している以上、残念ながら、自衛のための実力は否定することはできない」とし、自衛戦争は正しいと主張するにいたった。これこそ、帝国主義の侵略戦争容認にいきつくものだ。また、「『国際協力法』を制定」し、「『平和支援隊』の創設」をもって、「国連の平和維持活動(PKO)への参加を積極的に進めていくべきだ」と公言している。
 読売は、昨年八月の防衛問題懇談会報告書とそれにもとづく「防衛計画の大綱」の見直し=新大綱づくりを先取りし、先導している。「統合幕僚会議の機能強化」と銘うって、@「陸上、海上、航空の各自衛隊の統合運用体制を強化」して実戦態勢を強め、A「現行の安全保障会議設置法では形骸化している統幕議長の出席頻度を高め、平常時から軍事的助言を活用」するために、「統合幕僚会議議長は、内閣総理大臣の要請に応じ、総合安全保障会議で意見を述べる」ようにせよと提言し、自衛隊制服組の政治的登場を積極的に推し進めようとしている。
 PKO自衛隊派兵については、「国際平和協力業務の遂行を任務とする」と、自衛隊法三条にPKO任務を位置づけ、PKF(国連平和維持軍)にも積極的に参加することを提唱している。
 さらに読売は、日米安保体制に「能動的に対応するよう提言」し、「日米物品役務相互融通協定(ACSA)の早期締結、米軍駐留経費分担などにより、米軍の活動を支援する体制の強化、戦域ミサイル防衛(TMD)構想などへの積極的な対応を」と、米軍補完戦力から脱却して、日帝の戦後的制約を打ち破る帝国主義国家としての軍事力の形成を露骨に主張している。
 国連安保理常任理事国入りについては、読売も朝日も「国連改革の実現」「安保理の全面的再編」を主張し、「常任理事国入りすべき」だとしている。

 政府の権限の強化と有事体制づくり主張

 反動性の第三は、緊急事態への対応が必要と言い、有事立法体制が必要だと叫び、戦争国家づくりを主張していることである。
 読売は、緊急事態が発生したときには「全国又は一部の地域を対象として緊急事態を宣言」し、「『緊急安全保障会議』を設置」し、「緊急措置に関する法律に基づいて、交通、通信、居住・移転の自由、財産権を必要最小限の範囲で制限することができる」とする。そのために、「現行の安全保障会議を改編・強化した『総合安全保障会議』を設置」し、「内閣総理大臣の指導力が効果的に発揮できる体制を」つくり、緊急事態への政府の対応を強化せよと述べ、政府の独裁的権限を保障することを提案しているのだ。
 このように朝日新聞と読売新聞という巨大マスコミが、米帝の朝鮮侵略戦争策動を積極的に支持しつつ、日帝の対米対抗的な参戦態勢づくりの先導役をつとめ、戦争国家体制づくりのお先棒をかついでいるのだ。実に重大な情勢の到来と言わなければならない。労働者階級人民へのこの反動的挑戦を断じて許すな。
 「阪神大震災」を政治的に利用した戦争国家体制づくり、オウム真理教を手先とし口実とした超治安国家体制づくりの攻撃は、日米帝国主義間対立の激化とその中で体制的危機を深める日帝の必死のあがきだ。米日帝の朝鮮侵略戦争絶対阻止・「戦後五十年」攻撃粉砕、戦闘的労働運動創造の闘いの爆発を今こそ実現しよう。
 闘う朝鮮・中国―アジア人民の決起と連帯した、戦闘的大衆闘争こそが求められている。それが情勢を変える力だ。四月統一地方選挙で示された労働者階級人民の怒りに依拠して闘いぬこう。今こそ全国の職場、地域、大学で反戦反侵略の総決起を訴えよう。六・二五明治公園に労働者階級人民の怒りを総結集しよう。

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