週刊『前進』(1878号4面1)
同和住宅家賃値上げ絶対反対! 日帝の解放運動つぶし許すな
解同本部派の転向粉砕し反対闘争の爆発的拡大を
全国部落青年戦闘同志会
第1章 侵略戦争、大失業攻撃と一体の最大級の部落差別
政府は昨年五月、市営住宅、県営住宅など公営住宅にかかわる法律(公営住宅法)を改悪した。そして、今年度から全国の自治体で応能応益制に基づく家賃値上げが一斉に開始された。
戦後、「低所得者に住宅を供給する」目的で建設され、そのために家賃も自治体が上限を定めて比較的低額に抑えてきたものを全面的にとっ払い、民間マンションなどの相場を基準に、世帯収入の約一五%を家賃として取り上げる仕組みに転換したのである。仮に、世帯年収(個人ではなく、世帯全員の合計)が六百万円として、年間九十万円(月額七・五万円)が家賃ということになる。
これは、単に家賃のつり上げにとどまらない、国の住宅政策の大転換である。もはや、公営住宅の名に値しないしろものである。労働者人民全体への大攻撃であり、職場における労働法制改悪と並んで、労働者人民の住む権利を奪い、市場原理の全面的導入によってあくなき資本の収奪に労働者人民を供する断じて許しがたい攻撃である。
ところで、関西、東海、西日本の都市部落を中心に全国に約十二万五千戸といわれる同和住宅が存在する。この同和住宅に対しても、政府・自治体は、改悪公住法に基づき応能応益制を導入し、今年度から一斉に値上げを開始した。部落に対しては、数年後にはこれまでの家賃に比べ、最高数十倍にも及ぶとてつもない大攻撃である。
そればかりではない。同和住宅は、戦後解放運動がかちとった「最大の大衆的獲得物」「戦後解放運動そのもの」といわれる。部落大衆の血と汗で闘いとった共有財産である。応能応益制の導入は、これを部落から取り上げて、家賃の決定も、そこに住む住まないも、行政の一存で決めることを意味する。つまり、部落解放運動をその土台からひっくり返し、国家のもとに組み敷くおそるべき大攻撃なのである。(多くの都市部落は、村の住居の大半が同和住宅で構成されている。だから、同和住宅に住めるかどうかは、部落に生まれ育った人にとって、イコール部落に住み続けることができるかどうかの死活問題である)
したがって、同和住宅の家賃値上げ=応能応益制の導入は、無実の石川一雄さんに対する狭山第二次再審請求棄却策動と並ぶ、政府・国家権力による最大級の部落差別攻撃にほかならない。部落解放運動解体のための゛上からの宣戦布告”に等しい。新安保ガイドライン関連法制定を軸とする朝鮮侵略戦争参戦策動と大失業攻撃の重大な一環である。
これに対して、部落大衆は、燎原(りょうげん)の火のごとく反対運動に立ち上がり始めた。部落解放同盟全国連合会の闘いと呼びかけにこたえ、各地で値上げ反対組合が結成され、供託(旧来家賃を法務局に預けること)に突入した。この闘いはまたたくまに全国闘争化し、日帝を揺るがす大衆的反乱に発展しつつある。
労働者人民は、この闘争を、けっして他人ごととして見過ごしてはならない。この闘争は、部落解放運動の存亡をかけた闘いであるとともに、日帝の戦争、大失業攻撃に対する一個の内乱の始まりであり、階級決戦の一翼である。直接にも同和住宅をめぐる攻防は、労働者階級のもう一面の生活と権利に多大な影響をもたらさずにおかない。大注目し、部落大衆とともに闘うべき重要テーマなのである。
第2章 供託・反対署名を軸に拡大する闘いの現段階と課題
全国連は、本年三月の第七回全国大会で住宅家賃値上げ反対の特別決議をあげ、供託闘争、対政府・建設省闘争を柱とした闘争方針を確立した。この方針は、砂地に水がしみいるように、各地の部落大衆の中に浸透していった。
行政側の四月からの家賃値上げの一方的強行に対して、住民側はまず、旧来家賃の受け取れ行動に立ち上がった。その場は、どこも数時間に及ぶ大衆的な対行政闘争として闘われた。兵庫県西宮市では、同対局長が「百人おったら百人反対するだろうが、国が決めたことなのでやらしてもらう」「(反対住民に対して)あんたら税金払っているのか」と聞くに耐えない差別暴言を吐き、怒りの差別糾弾闘争に転化した。
行政が旧家賃の受け取りを拒否したことに対して、住民側は続々と供託闘争に突入していった。供託は現在、大阪、兵庫、奈良、広島、山口の五県九地区に及び、その数は一千世帯を超えている。その背後には数倍、数十倍の「滞納」が存在している。
五月三十日、全国十七地区七十人の住民代表が集まり、同和住宅家賃値上げ反対全国連絡協議会(略称同住連)の準備会が結成された。そこで供託闘争の防衛と拡大とともに、政府・建設省に対して値上げ白紙撤回を求める十万人署名運動が決定された。署名は、二カ月たらずのうちに、供託突入地区だけで二万人を突破した。奈良県下のある地区では、他部落の親類縁者、知人友人にもかたっぱしから署名を持ち込み、九千を超える署名を集めた。
同住連は、この成果のうえに、七月末に建設省交渉を申し入れた。この勢いにおそれをなした日帝・国家権力は、建設省、西宮市などの自治体、警視庁、解同本部派の総がかりで卑劣な妨害を加え、交渉はいったん見送りとなった。
だが、同住連はこの重圧をはねとばし、逆に大同住連建設のバネに転化して、さらなる団結をうち固めることに成功した。そして当面の課題、方針を鮮明に確立した。@対行政攻防に勝利し供託を守り拡大すること、A十万人署名の達成、Bそうして同住連を徹底して横に拡大し、数倍化すること、C十一月に総力で建設省交渉をかちとること。
これに対して、西宮市、広島市など各自治体は、当初予想された九月地方議会での提訴(新家賃の支払いなどを求め供託者を裁判にかける)を、軒並み見送った。これは、同住連運動の重大な勝利性を示している。各地の闘いが、「群れから離れた小羊」ではなく、集団で団結し全国的結束をはかることで、日帝・行政は安易な裁判にうって出られないということである。住民が各地で供託に立ち上がり、同住連に結集して団結を拡大すること自体が、敵にとって最大の脅威であり、この闘争の勝利の方向性を示しているのである。
この点に、この闘争の重要な特質がある。供託、対行政攻防を軸とした地域からの実力決起、同住連を徹底して横に広げ新たな団結を創造すること、そしてみなぎる力があふれでるように対政府闘争を組織すること。いわば、労働者の職場ストライキと、街頭闘争の組織化のような関係があるのであり、われわれは経済闘争を政治闘争として闘う場合のこうした性格の問題に習熟し、訓練を積んでいく必要が大いにある。
他方で今日、行政はなりふり構わず供託者一人ひとりの切り崩しに出てきている。西宮市では、課長級以上の行政幹部でチームを組み、老人や弱い立場の人を狙いうちし、「裁判にかけるぞ」「住宅から出てもらわねばならなくなる」「反対したって負けるぞ」など、卑劣極まりない恫喝をして回っている。この攻防に、最も重要な焦点がある。ここでの毎日のやりあいこそが、家賃闘争の最も鋭いきっ先である。
行政が何をほざくか。裁判にかけられるものならかけてみろ。いつでも受けて立つ。準備は万端だ。裁判を日和っているのはお前たちのほうではないか。追い出しなど絶対にできない。これこそペテンだ。逆に、黙って応能応益制に従ったら最後、それこそ「三カ月の滞納」「高額所得者」のレッテルを張られ、追い出されるのだ。
第3章 応能応益制の導入は解放運動の主導性を奪う攻撃
応能応益制とはどんな制度なのか。
@家賃は、毎年世帯全員の総収入を申告させ、その収入に応じて行政が一方的に決定する。数年後には、その額は世帯収入の一五〜一八%になる。つまり同じ築年数、同じ広さの住宅でも家賃は一軒一軒バラバラとなり、家計に占める家賃の割合は平均数倍にもはね上がる。A年収が五百十万円を超える者は、近傍のマンション並みの家賃をとられ、さらに七百九十万円を超える「高額所得者」は追い出しの対象となる。B三カ月以上の家賃滞納も、追い出しの対象となる。
一見して明らかなように税金以上にえげつない収奪の仕組みである。非課税のパート収入も、ここでは情け容赦なく収奪に供せられる。また、これによって、全国でおよそ三百戸もの住民(労働者人民)が入居資格を奪われ、追い出しの対象となる。まさに膨大な労働者人民が「住むも地獄」「去るも地獄」という状態に追いやられるのである。
政府・行政は、この応能応益制を同和住宅にも適用し、導入を開始したのである。それは、「同和住宅の家賃は安すぎる」「不況の時代、同和地区も痛みを分かち合うべきである」「収入に応じた家賃は公平性を確保するもの」といった、きわめてイデオロギッシュな攻撃として進行している。これらはことごとく部落解放運動解体のためにする、とんでもない帝国主義の差別イデオロギーそのものである。
まず、こうした上からのキャンペーン自体が、国家ぐるみの差別扇動としてあり、断じて許しがたい。今日、全国いたるところで悪質な差別事件が激発している。差別落書きは、駅のトイレから、最近は部落の中にまで及び、ついには解放会館の玄関にまで書きなぐられるという事態が起きている。学校では、部落の児童の下駄箱や机の中に、見るに耐えない差別文書が投げ込まれている。部落民が働く職場では、「身元をばらされたくなかったら、金をよこせ」などという脅迫事件が続発している。企業による興信所を使った就職差別は近年激増している。いつ何どき、第二の世良田村事件(一九二五年、群馬県で起こった反動的民衆による部落襲撃事件)が起こっても不思議ではない差別の洪水に直面しているのである。
この情勢は、長期不況にのたうつ日帝の体制的危機から噴き出したものというだけでなく、日帝による上からの差別扇動そのものが生み出したものである。その最たるものが、「同和住宅は安すぎる」論であり、「部落だけがいいめをしている」論にほかならない。
さらに、応能応益制の同和住宅への導入は、部落解放運動をその土台から解体し、部落総体を国家権力の直接支配のもとに組み敷く大攻撃である。
同和住宅は、戦後関西を中心とした生活要求闘争の大衆的爆発でかちとった最大の成果である。それは、部落解放運動の大衆的基盤、その戦後的ありかたを象徴している。家賃の決定はもとより、入居、維持・管理にいたるまで、運動の主導性が色濃く貫かれて成り立ってきた。また、そのことを拠点として、教育、仕事保障など部落の生活全般にわたる運動の主導性が貫かれてきた。「同和住宅の家賃が安い」のは、建設の経過、目的が一般とはまったく異なるという理由だけでなく、こうした力関係の反映いがいのなにものでもない。
したがって、「同和住宅は安すぎる」論、「一般との公平性確保」論は、けっして比較論一般に帰する問題ではなく、まさに部落解放運動をめぐる生きた力関係の問題であり、その点での反動的転覆の論理にほかならない。日帝の同和対策事業全廃攻撃は、種々の個人給付の打ち切りに始まり、ついにこの本丸に向かって砲撃を開始したのである。部落大衆の死活をかけた反撃もまた、ついに堰(せき)を切って開始されたのである。
こうした見地から、まさに同和住宅への応能応益制の導入は、日帝による最大級の部落差別攻撃である。したがってまた、それとの闘争は壮大な差別糾弾闘争であり、非和解的な内乱的闘争に不可避に発展するいがいにないのである。
第4章 差別糾弾闘争を軸にして新たな団結を形成しよう
以上からも明らかなように、部落問題をめぐる日帝の出方は一変した。同和住宅家賃値上げ問題は、狭山第二次再審闘争と並ぶ、一個の階級決戦のテーマそのものである。
この事態の前に、解同本部派は、全面的転向の姿をさらしている。応能応益制を「一般並みの家賃を払ってこそ部落は解放される」という、転向の論理そのものをもって受け入れ、値上げ攻撃の先兵として登場している。
それは同時にまた、彼ら自身の急速な衰退をもたらし、部落大衆の大量の離反を生み出す。逆に、全国連を先頭にした大同住連運動は、これまでの解同本部派を軸にした部落の団結にとって代わる、新たな団結の萌芽(ほうが)として登場しつつある。
このことは、部落解放運動の大変革と根本的再生をかけた問題である。法依存、行政依存の時代は終わったのだ。差別糾弾の復権を軸にした部落民自己解放闘争としての部落解放運動いがいに成り立たない。全国連の狭山闘争基軸の三大闘争路線(差別糾弾・生活要求・階級的共同闘争)はその指針であり、その路線の全面的実践こそが、家賃闘争を勝利に導くことができる。家賃闘争は、三大闘争路線とがっちりとかみ合い、部落差別と闘う新たな村ぐるみの団結の礎として発展するのである。
このような内容をもった住宅家賃値上げ反対闘争は日帝・小渕政権に対する階級的反撃の重要な一翼である。日帝・小渕政権の侵略戦争と階級絶滅・大失業の政治こそが、部落解放運動解体攻撃の根源である。部落大衆を差別と貧乏のどん底にほうりこみ、労働者の魂を腐らせ、侵略戦争に総動員するためにこそ、あえて同和住宅に手をつけたのである。
したがって部落大衆は、労働者階級とともに手をとり合って、九・二三新ガイドライン関連法案粉砕、日帝・小渕政権打倒に総決起しなければならない。わが全国部落青年戦闘同志会は、その先頭に立つ名誉を断固として担う。
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