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世界階級闘争の前面に立つ米労働者 労組破壊の新自由主義に大反撃

週刊『前進』12頁(2614号05面01)(2014/01/01)


 世界階級闘争の前面に立つ米労働者
 労組破壊の新自由主義に大反撃
 30年代以来の政治危機・階級激動

(写真 「VOTE NO 【反対票を入れよう!】」のTシャツを着て、ボーイング機械工組合の組合員が協約案反対集会【11月11日 ワシントン州】)
 2013年は、アメリカ帝国主義の階級支配の破綻が白日のもとにさらされた歴史的な年となった。長年の労働者抑圧装置だった2大政党制と体制内労働運動がついに大破綻を開始した。基軸国アメリカの「財政の崖」、政府機関閉鎖は、資本主義そのものの生命力が尽きたことを全米全世界の労働者に告げ知らせた。国家安全保障局(NSA)の毎日数十億件の盗聴・スパイ活動の居直りは、他国と戦争をし99%を敵視する国家が1%のものだということの告白にほかならない。「共同利益」のウソは崩壊し、広範な人民の怒りの反撃のターゲットになったのだ。

 体制内指導部の脅しに屈せずボーイング労働者が協約拒否

 「工場移転」の恫喝に屈せず67%が反対票

 米西海岸ワシントン州シアトル市の北隣、エベレットのボーイング工場は、同社の航空機の大部分を製造している主力工場だ。
 ここで機械工組合(IAM)の支部執行部は労働協約の改悪に合意した。その内容は、@「16年まで」の労働協約有効期限を「24年まで」に延長、A24年までスト権を放棄、B確定給付年金を確定拠出年金(401k)に変更(実質、年金切り捨て)、Cオバマ政権の「健康保険改革」に便乗した医療保険大幅切り下げ、D賃金の大幅引き下げだ。IAM執行部は「777X機の生産をエベレットに残すための選択だった。777X製造が南部の工場に移転されれば、ここでの雇用が守れなくなる」と言い、組合員に賛成投票を求めた。
 しかし、エベレット工場のランク&ファイル(一般組合員)運動は猛然と反対票の組織化を行った。11月13日、3万1千人の支部組合員のうち、67%が反対票を投じた。
 工場移転=解雇の恫喝を、3万人を超える大工場ではねのけ闘い続けるという決断は、歴史的な事態だ。投票結果の発表とともに、大歓声がこだました。集会に参加していた一般組合員が地元紙のインタビューに答えている。「生産が移転されるから、解雇されるからといって、あんな譲歩するなんてとんでもない」
 身に迫る解雇の危機は皆感じている。だが譲歩しても解雇される。いや、譲歩すればするほど、会社はかさにかかって解雇してくる。それは、これまでいやというほど味わってきたのだ。ならば、闘って団結して生活を守り抜くしかない。
 現在、このIAMのランク&ファイル運動に重大な圧力がかけられている。一方で民主党と米労働総同盟・産業別組合会議(AFL−CIO)が総がかりで、「支部段階での組合員投票はやるべきでなかった」「投票は無効だ」「再投票せよ」などと猛烈な圧力をかけている。あるいは、ランク&ファイル運動のリーダーたちを会社との交渉の場に引き入れ、取り込もうという動きも始まっている。
 この闘いの展開は予断を許さない。だが、労働者階級の中に既成労働運動への怒りが満ちあふれていることが、これほど大衆的に、大規模に示されたことを消し去ることはできない。既成幹部の統制力は急激に減退しているのだ。これからいたる所からランク&ファイルの闘いが噴出してくることは止められない。

 航空宇宙産業労働者の反乱は革命に直結

 ボーイングの労組破壊攻撃は、人件費削減のためだけに行われているのではない。
 ボーイングはロッキード・マーチンに次ぐアメリカの巨大軍需産業だ。世界の他国を全部合わせたものより多い超巨額の軍事予算で生きてきたのであって、きわめて政治的な企業なのだ。また、製造業が全般的に衰退しつづけてきたアメリカで、軍需・航空宇宙産業は唯一国際競争力がある部門として残っている。ここからの労働者の反乱は、アメリカの国家そのものを倒す革命に直結する重大なものとなる。
 エベレットも隣のシアトルも20世紀初頭から戦闘的労働運動の拠点で、1934年のサンフランシスコ・ゼネストと連動した5月9日から7月17日までの港湾労働者の大ストライキの拠点となった。ストでは、あらゆる産業の労働者がともに闘い、それ以来、人びとはシアトルを「労働組合の街」として誇りにしてきた。
 ボーイングでは2000年、航空技術者組合(SPEEA)が40日間スト、08〜09年には大恐慌情勢の中でIAMが57日間ストを行い、全米に衝撃を与えた。また、08年に国際港湾倉庫労組(ILWU)がイラク侵略戦争に反対して西海岸の港湾を封鎖した際も、12年のオキュパイ運動の港湾封鎖でも、シアトルは拠点となった。
 こうした労働運動の砦(とりで)を突き崩すための攻撃が外注化だ。
 2000年のスト後、ボーイングは次期旅客機787型機の大規模外注化を決定した。
 たとえば胴体は五つのブロックに分け、それぞれを別々の国の別々の会社に外注化する。そこで多くの部品、モジュールを組み立てる。翼その他も同様に丸ごと外注化だ。しかも設計まで外注化した。そうしてあらかじめ組み立てられたブロックを最後にエベレット工場で合体させる。
 設計段階から別々だから各ブロック間のすり合せは不十分で、最後に合体させて何が起こるか誰にも予想がつかない。何よりも重大なことは、現実に787の事故が続出していることだ。原因は今も解明されていない。
 技術的に見れば外注は不合理だ。だが資本は労組破壊を優先させた。実際、エベレットでは2000年代に4万人以上の社員が解雇されている。
 そして、資本のこの攻撃に呼応し、IAM本部や支部役員は、「雇用を守るため」と称して、ランク&ファイルの闘いを売り渡してきたのだ。
 外注化や工場移転・閉鎖の攻撃は、航空宇宙産業だけでなく、全産業部門にわたる新自由主義の核心である。30年を超える新自由主義、外注化への屈服・協力の歴史をのりこえ、積もりに積もった怒りを解き放すときがきた。

(写真 10月4日、レイオフと賃金カットに抗議して政府職員連合などの組合員がワシントンDCの議会前でデモ)

 AFL―CIOと2大政党制による労働者支配を打ち破る

 再選1年目でオバマはすでに末期政権化

 13年はオバマ再選後1年目にすぎないが、すでに政権末期状態になっている。政権の求心力は低下し、あらゆる政策がことごとく挫折している。
 1月の再就任前から、政治焦点は「財政の崖」問題だった。この危機を理由にして生活関連予算を大幅カットし、特に公務員労働者の賃金・医療・年金への攻撃を集中した。
 それは、地方とも連動した。それは連邦予算のカットが地方に波及しただけではない。直接に、オバマ政権自身が深く関与して、地方のカット攻撃が行われたのだ。

 デトロイト市政乗っ取り資本には補助金

 その切っ先が、自動車産業の本拠地であるミシガン州デトロイト市の市政そのものの破産申請だ。
 これは07、08年に始まった大恐慌、ゼネラルモーターズ(GM)、クライスラーの破産と密接に結びついている。オバマは、30年代以来の戦闘的労働運動の伝統を持つ全米自動車労組(UAW)を破壊するために、09年のGMの破産申請のために全力を挙げた。
 デトロイトの非常事態管理人となった人物は、オバマ自身が推進したGM破産過程で破産管財人になったケビン・オアその人である。まったく同じ法律事務所、同じ銀行が債務回収をしている。市当局の労働債務(賃金、退職年金、医療給付など)を優先順位から下ろし、巨大銀行への「返済」を優先する大攻撃をかけてきた。それは、州知事に任命された非常事態管理人が市政を乗っ取り、専制支配体制に転換するクーデターだった。
 GMの場合と違ってデトロイト市は、自治体だから、破産過程にあるとはいえ補助金を出すことができる。市は、一方で労働者の賃金・年金や住宅を奪いながら、他方で資本家のためにスタジアムの新設や都市の再開発に莫大(ばくだい)な補助金を出したのだ。
 07、08年、オバマが最初に登場したときは多くのメディアがこぞってオバマへの幻想をあおった。「草の根の市民運動家」「初の黒人大統領」などと。だが、デトロイト市の破産は、労働者から奪った金を資本家に与えたことに起因している。単純明快すぎて幻想の持ちようがない。
 そして、労働者人民のオバマへの怒りの高まり以上に重大なことは、民主、共和両党の擬似対立に人民の怒りを吸収して、体制を延命させる2大政党制が機能しなくなっていることだ。共和党も同時に怒りの的となり、ついに第3党の待望論が6割を超えた。
 アメリカの労働組合ナショナルセンターAFL−CIOは、民主党支持の選挙運動を最大の活動にして成り立ってきた。「激しい闘いをすると民主党の票が減る」「利敵行為だ」として抑え込んできた。また、AFL−CIO本部を批判する多くの「左派」勢力も「民主党も悪だが、共和党を勝たせるわけにはいかない」として、実際上は民主党支持運動を優先してきた。
 この構図は、30年代の世界大恐慌下、革命的な階級闘争を抑えるために登場した民主党ルーズベルト政権のニューディール政策をアメリカ共産党が支持し、さらには第2次大戦を「民主主義とファシズムの戦い」と規定して支持したことから定着してきたのだ。さらに米共産党は「戦時にはストライキをしない誓い」まで行って闘いを抑え込んでいった。当時のAFLやCIOの体制内幹部たちは、「共産党だって支持しているではないか」という免罪符を振りかざし、戦闘的なランク&ファイルの闘いに襲いかかってきたのだ。
 80年代からの新自由主義は、ニューディール体制の否定だった。だが、2大政党制とAFL−CIOによる抑圧だけは根深く残存してきた。今、それが根本から揺らいでいる。

 ウォルマート労働者がストから労組結成

 これまで、このAFL−CIOの枠にさえ入れられず、新自由主義の矛盾を一身に受けてきたワーキングプアの巨大な闘いが始まりつつある。
 ウォルマートは140万人を雇用する全米最大の雇用主だ。強搾取で悪名高い。賃金だけでは食えないので、労働者の多数がフードスタンプ(食料補助)に依存せざるをえない。
 組合結成の動きが少しでも察知されれば、暴力的な攻撃か、狙い撃ち解雇か、あるいは店舗丸ごとの閉鎖・全員解雇でつぶされてきた。だが、12年11月のクリスマス前商戦期に、ついに50年の歴史上初めてストライキが行われた。しかも100の都市で一斉にだ。
 アメリカの労働法で認められる組合が結成できていない段階でストライキに入ったのだ。ウォルマートのような会社で法律どおりに過半数を獲得して労組を設立するのは不可能に近い。会社は不当労働行為を承知ですぐに解雇し、仲間との接触を断ってくる。だから、相当の組織をした段階でまずストライキに決起し、その力で労組を組織化する方針に転換したのだ。
 労働組合が違法だった19世紀に確立された労働組合の原点に立ち戻り、実力で組合の権利をもぎとる闘いが始まった。
 折しもこの12年末〜13年の過程は、バングラデシュでの繊維工場火災、工場崩壊の大事故と繊維労組の大闘争と重なった。ウォルマートの米国内店舗・倉庫労働者と国外の最大の繊維産業外注先=バングラデシュの労働者との連帯闘争が始まった。


(写真 ILWUへのロックアウトに対し動労千葉を先頭に東京の丸紅本社前で抗議集会【6月13日】)

 動労千葉とILWU労働者の11月国際連帯が闘いの核心に

 国鉄闘争は、新自由主義の戦略的基軸との闘いであり、全世界の労働者に普遍的に通じる。03年以来、動労千葉とILWUのランク&ファイル運動が固く連帯しているのはそのためだ。
 ILWUは、基軸帝国主義アメリカの世界支配の戦略的要である西海岸港湾を押さえ、国家権力と資本の執拗(しつよう)な労組破壊攻撃をはね返し続けてきた。動労千葉のイラク戦争協力拒否のストライキとほぼ同時期、オークランド港のピケットラインでは、ILWUローカル10の組合員が警察の凶暴な襲撃を受けた。ローカル10は前年、アメリカの最悪の労組破壊法であるタフトハートレー法の適用を受けている。
 「ILWUはランク&ファイルの組合」とは同労組の"10の指導原則"に掲げられている言葉だ。
 ILWUは、20世紀初頭の世界産業労働組合(IWW)の闘いを引き継いでいる。既存のAFLがほぼ白人の熟練労働者のみを職能別に組織していたのに反対し、IWWは、同一産業の労働者を未熟練・熟練・職種、そして人種・民族を差別せず組織化した。「あらゆるものを生産し、運搬する労働者が社会の主人公となる」ことを常に強調して、繊維工場の大ストライキなど数々の闘いを組織した労働組合だった。
 その綱領では、「日々の資本家との闘争のためだけではなく、資本主義を打倒したあかつきに生産を遂行するためにも、生産者の軍勢が組織化されねばならない。産業全体を組織化することによって、古い殻の中で新たな構造を形成していく」と規定した。当時の第2インターナショナルがマルクス主義を歪曲する中で、「労働者階級の解放は労働者自身の事業である」というマルクス主義の核心をよみがえらせる闘いだった。
 ILWUの掲げる「ランク&ファイル主義」とは、こうした職場の労働者自身が社会の本来の主人公であり、組合の主体だという意味をもっている。ILWUは資本主義打倒、社会主義建設を公然と宣言して結成された。このILWUが全米の戦闘的労働運動から絶大な信頼を得ているのだ。
 動労千葉と全国労組交流センターは、12〜13年、環太平洋経済連携協定(TPP)を推進する日本の総合商社が先頭に立ったILWU破壊に対して、ともに闘ってきた。
 07年から動労千葉、全国労組交流センターと交流しているロサンゼルス統一教組(UTLA)の仲間は、オバマ政権の労働者攻撃のトップ課題になっている教育改革攻撃の矢面に立っている。そして、06年のオアハカ蜂起・コミューンを闘ったメキシコの教組やカナダの教組と連帯を深めている。今年は、韓国民主労総の全教組破壊を許さない闘いとの連帯を誓っている。
 また、10年の星野暁子さんの訪米以来、アメリカでは政治犯ムミア・アブ=ジャマル、リン・スチュアート解放闘争との連帯が強固になり、総領事館闘争などが繰り返し行われている。
 アメリカのランク&ファイル運動と結合している国鉄闘争こそ世界革命を切り開く。最高裁への解雇撤回新10万筆署名運動を職場と地域で進めよう。
〔革共同国際労働者組織委員会〕