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社会保障解体を許すなA 保育 命を奪う「子育て新制度」来春実施に突き進む安倍

週刊『前進』06頁(2640号03面04)(2014/07/14)


社会保障解体を許すなA 保育
 命を奪う「子育て新制度」来春実施に突き進む安倍


 安倍政権が「子ども・子育て支援新制度」の来年4月実施へ、がむしゃらに突き進んでいます。「待機児童解消」の触れこみで、保育基準を緩和し「こども園」として民営化・企業参入を促し、金もうけの手段に変えようというのです。そうなったら、今以上に事故の多発が避けられません。
 現に、東京都の「子ども・子育て会議」は7月4日、新制度こども園について、「保育室等は1階に設置」としたこれまでの基準を緩和し、耐火建築物で避難・転落防止設備があれば2階に、警報装置などがあれば3階以上にも設置可としました。激しい反対意見を押し切っての強行です。
 「1階設置」は絶対的基準です。火事や地震になったら少ない人数の保育士でいったい何人の子どもたちを避難させることができるのでしょうか。考えただけでも恐ろしいことです。

■上尾保育所死亡事故

 05年8月に埼玉県上尾市の市立上尾保育所で、4歳児の死亡事故が発生しました。狭い戸棚の中に入り込んでしまい、誰も見つけられずに熱中症で死亡した事故です。
 事故後、上尾市長は「多額の税金を投入してきた公立で事故が起こり、民間では起こっていないので、指定管理者化(=民営化)を進める」と議会で答弁。事故の責任をとらないばかりか、痛ましい事故を民営化の口実にさえしました。
 事故の背景には、市当局による経費削減がありました。保育労働者の非正規職化を進め、残業代を削るために職員会議の時間は月1回、2時間以内に制限し、非正規職員は不参加。保育所を大規模化し長時間保育にしたにもかかわらず、それに見合った人員配置をしなかったために交代勤務シフトが複雑化し、職員全員が子どもの状況や保育の問題点を共有することさえできなくなっていたのです。そうした中で事故は起こりました。
 事故の責任はすべて当局にあります。しかし当局は原因究明すら禁止して、所長と担任2人に停職1カ月、他の保育士にも懲戒処分を出して現場に責任を押しつけました。重処分を受けた3人は同月付けで依願退職に追いやられました。当局は事故のもみ消しに躍起となり、4月には代替の所長と2人の主任、6人の保育士も異動させられました。事故現場にはプレートがはめられ、「安全の誓い」という儀式だけが行われています。
 労働組合は「市民サービス」に応えることを最優先して当局に協力を申し入れ、関係者のケアをしただけ。子どもを失った保護者とともに当局の責任を追及することも、処分や強制配転と闘うこともしませんでした。
 同年4月に起きたJR尼崎事故(乗員乗客107人が死亡)でのJR資本や体制内労組本部の対応と同じです。

■命より金の成長戦略

 上尾保育所だけではなく、01年の小泉「待機児童ゼロ作戦」による規制緩和以降、認可保育所でも死亡事故が激増しました。「待機児童解消」がすべてに優先され、子どもを押し込めるだけ押し込み、非正規職化と人員不足で事故が続発してきたのです。
 ところが当局は、人員削減方針は変えず「呼吸チェックを5分ごとに」などというすさまじい労働強化を押し付けるのみ。現場からは「やっていられない」という怒りが噴出しています。
 安倍政権は、昨年4月に「待機児童解消加速化プラン」を打ち出し、今年6月24日に閣議決定した新成長戦略でも「女性の活躍促進と働き方改革」を掲げました。女性を超低賃金・非正規の労働者として労働市場に根こそぎ駆り出すことが、企業の「稼ぐ力を取り戻す」最大の柱だというのです。「保育支援員」という無資格の「主婦の活用」まで言い出しました。すべてが「命よりカネ」の新自由主義です。

■労働組合の闘いで

 集団的自衛権行使容認の7・1閣議決定と同じです。一握りの資本家のもうけのためには、戦争も辞さず、子どもたちの命もかえりみない。すべての職場から絶対反対の闘いを巻き起こし、労働組合の力で安倍を倒す時です。
(大迫達志)