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トルコ自動車産業スト 工場委員会つくり要求を貫徹 エルドアン政権は対応不能に

週刊『前進』06頁(2684号03面04)(2015/06/08)


トルコ自動車産業スト
 工場委員会つくり要求を貫徹
 エルドアン政権は対応不能に





(写真 ストに突入したブルサ市のオヤク・ルノー工場の労働者たち)


 エルドアン政権の新自由主義政策と暴力的な労働者支配に反撃する巨大な闘いが、トルコ自動車産業の労働者によってついに開始された。自動車産業の資本家たちとエルドアン政権は労働者たちの大ストライキによる反撃に驚き、対応不能に陥っている。

国内生産4割の2社で生産停止

 5月14日夕方、「トルコのデトロイト」といわれるトルコ北西部のブルサ市で、オヤク・ルノー社(フランスのルノーとトルコ軍の年金基金との合弁会社)の労働者5400人が賃上げと労働条件の改善を要求してストライキに突入した。
 賃上げを強く要求していた労働者たちは、資本や政府と一体化した金属労組タークメタル(自動車産業の労組)のファシスト幹部が低賃金を維持する3年間の労働協約を締結してしまったことに怒りを爆発させたのだ。
 彼らはタークメタルのファシスト幹部の制止を振り払って次々と工場の建物から飛び出し、構内デモを行い、集会を開いてストライキを宣言した。そして、工場敷地内に泊まりこみ、翌朝からのシフトに入っている労働者を次々とストライキに参加させた。
 要求は、@ルノーと金属労組の間で結ばれた協約を改定して賃上げを行うこと、A労働者の闘いを抑圧するタークメタルのファシスト幹部の追放と労働者自身の代表を選出する権利を認めること、Bストライキに参加した労働者を処分しないこと――であった。

部品工場に拡大1万5千人スト

 このストライキはブルサ市にあるほかの自動車工場と部品工場にまたたく間に波及した。
 18日からはトファシュ社(イタリアのフィアット社とトルコのコチ財閥との合弁会社)の労働者6500人がストライキに入った。ルノーとトファシュの2社で国内自動車生産の43%を占めている。2社でのストはトルコの自動車生産に重大な打撃を与えた。
 闘いはさらに発展し、20日には、イズミット市のフォード・オトサン社(米フォード社とコチ財閥との合弁会社)とトルコ・トラクター社でも労働者がストに突入した。
 それだけではなく、闘いは自動車部品会社にも拡大した。オヤク・ルノーと同じブルサ県で、同じように低賃金と劣悪な労働条件という課題を抱えるコシュクノズ社、マコ社、オトトリム社などの労働者が連帯ストに突入したのである。このことでトルコの自動車産業全体への部品の供給が重大な打撃を受けた。
 こうして、1万5千人もの労働者がストライキに突入する中で、トルコの輸出額の3分の1を占め最大の輸出産業である自動車産業は重大な危機に直面した。
 しかし、DISK(革新的労組連盟)に属する金属労組の1月のストライキに禁止法を発動した政府も、今回は暴力的に弾圧することができなかった。もしそんなことをすれば、労働者のさらなる決起とゼネスト情勢を誘発することは不可避であり、6月7日に予定されている国会議員選挙で政権党である公正発展党が大打撃をこうむる可能性があったからだ。

ファシスト幹部の支配破り勝利

 この自動車産業労働者の闘いは、タークメタルのファシスト幹部の支配を無力化させる偉大な闘いでもあった。
 ファシスト幹部は、1980年の軍のクーデター以降、基幹産業である自動車産業の労働者の闘いを抑え込むために政府と資本家によって送り込まれた。彼らは80年以来35年にわたって賃金、労働条件をめぐる労働者の闘いを抑え込みストライキを圧殺してきた。しかし、今回は、ストライキに突入した労働者を襲撃して職場に引き戻そうとしたが失敗した。
 労働者たちはタークメタルから続々と脱退し、その数はわずか数日間で1万人に達した。労働者たちは新たな団結組織である工場委員会を立ち上げ、それぞれの工場委員会同士の連携を強化して資本家との闘いを貫徹した。ファシスト幹部によるタークメタルの支配を打倒し、労働者自身の力で新たな闘う労働組合を立ち上げる闘いが劇的な形で開始されたのである。
 この闘いの主軸を担ったオヤク・ルノーの労働者たちは、5月27日まで一切の妥協をすることなく13日間のストライキを貫き、ついに勝利をもぎ取った。@当面一時金として1000トルコ・リラ(約4万6千円)の支給と年末まで毎月600トルコ・リラの追加ボーナスを支給する、A賃上げを1カ月以内に決定して実施する、Bストライキへの参加を理由とした処分はしない――という内容で、会社側と合意し、職場に復帰した。
 ほかの自動車工場や部品労働者たちも3〜5日のストライキを打ち抜いて同様の内容で会社側と合意した。労働者たちの闘いは圧倒的に勝利したのだ。
 これは自動車産業労働者の歴史的勝利であるとともに、新自由主義攻撃をさらに激化させようとするエルドアン政権に対し反撃するための重要な拠点が建設されたことを意味する。この闘いの勝利をもって、トルコの労働者階級の歴史的反撃の突破口が切り開かれたと言える。
〔丹沢 望〕

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〈解説〉トルコの自動車産業

 トルコの自動車産業は、EU、日本(トヨタ・ホンダ・いすゞ・三菱など)、アメリカ、韓国などの自動車資本が進出して発展してきた。とりわけEUの自動車資本は関税がゼロになる関税同盟をトルコ政府と結んで、地理的にも近接し低賃金労働力が豊富なトルコに積極的に進出し、多大な利益を上げてきた。
 自動車産業はトルコにとっても新自由主義政策の目玉として位置づけられ、重工業化と輸出産業の発展を促進する基幹産業として重視されてきた。自動車産業での労働者の反乱はトルコだけでなく、帝国主義の新自由主義的経済侵略にとっても重大な打撃を与えるものとなる。