週2回月・木発行『前進』
[メニュー][トップ]

危機露呈した中国共産党大会 スト・暴動激発におびえ 強権支配強める習近平

週刊『前進』04頁(2895号04面03)(2017/11/20)


危機露呈した中国共産党大会
 スト・暴動激発におびえ 強権支配強める習近平


 10月18〜24日、北京の人民大会堂で中国共産党第19回党大会が開催された。2期目の習近平・党総書記は権力を自らに集中し、中国が「社会主義大国」として突き進むことを宣言した。中国スターリン主義はどこに向かっているのか。

「社会主義」装い大国主義あおる

 大会には全国8900万人の党員から選出された2287人の代表が参加した。習近平党総書記は冒頭に3時間半の大演説を行い、GDP世界2位を維持し6千万人が貧困から脱却したなどと成果を誇り、「一帯一路」経済圏構想の一層の推進などを訴えた。
 そして2035年までに都市と農村の貧富の差を解消するなどして生活水準を向上させ、50年までに「全人民の共同富裕」を達成すると豪語。49年の中国建国100周年に「現代的な社会主義国家」を実現し、「国力と国際影響力において世界の先頭に立つ国になる」とぶち上げた。特に軍事力においては、米軍に比肩する「世界一流の軍隊」を築くと宣言した。
 また党規約改定では、「マルクス・レーニン主義思想」「毛沢東思想」「ケ小平理論」と並び「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」が明記され、「中華民族の偉大な復興を実現するための行動指針」と位置づけられた。習近平は「68歳定年制」「3選禁止」の慣行を無視し、「後継者指名」もせず、自らが絶対的権力者として無期限に君臨し続ける姿勢を示した。
 この異様なまでの習近平への権力の集中、民族主義と経済・軍事における大国主義的志向の強調は何を表しているか。それはスターリン主義・中国の深刻な体制的危機である。
 日本のマスコミはおしなべて、党内権力闘争での人脈的派閥の分析や利権構造の解明に明け暮れている。無論そうした諸関係を無視はできないが、問題の核心は、むき出しの強権的支配、民族主義イデオロギーの強調をもってしか、支配・統治を維持できない危機の深刻さだ。
 ここに「社会主義」「マルクス・レーニン主義」を掲げつつプロレタリア世界革命と人間解放に敵対する、スターリン主義の反労働者的正体がある。

市場原理導入で腐敗・貧困が拡大

 1978年、ケ小平政権は文化大革命と毛沢東教条主義を否定し、社会主義経済のもとで市場原理を導入≠ニする「改革開放路線」を宣言した。「先富論」(富める者から先に富め)を唱えて金もうけを奨励し、マルクスからの背教と共産党による支配を正当化し理論化するものだ。
 中国全土は帝国主義資本の格好のえじきとなり、国内でも多くの「資本家」が生まれ、農村から流動する大量の労働者が生み出された。89年の天安門での民主化闘争を押しつぶして登場した90年代の江沢民政権はさらに、企業家・資本家の入党を奨励した。その結果としての経済発展は、恐るべき貧富の差や腐敗・汚職の拡大と一体だった。国家や党の官僚が企業と結託して民衆から土地や資源を収奪し、過酷な工場労働を強制し、反抗に対しては容赦ない血の弾圧を加えた。国内に億万長者集団が生まれる一方、毎年全土に労働者・農民のストライキやデモ、暴動が激発している。
 腐敗は軍にも及び、ヘリが民間に売り飛ばされ、軍幹部のナイトクラブ経営が発覚した。江沢民は自らも腐敗にまみれつつ、官僚と利権集団との癒着構造を放置し続けた。
 習近平が総書記に就任した12年以降の5年間で、党中央政治局委員から平党員にいたるまで150万人に上る官僚汚職が摘発されたという。だがその背景には「アラブの春」で爆発した一連の反政府闘争・デモ(10〜12年)への強烈な危機意識があった。
 今回の党大会でも、市内では85万人もの「治安ボランティア」が動員され、北京市公安当局が監視通報のアプリを開発し、通報と密告を奨励し、市内に厳戒態勢が敷かれた。民衆への日常的な言論弾圧・思想弾圧はますます激化している。
 2期目に入った習近平体制の大言壮語と「腐敗撲滅」のかけ声は、自らが打倒される危機におびえるスターリン主義官僚の最後のあがきなのだ。

世界戦争促進の中国スタ打倒を

 11月前半、トランプ米大統領はアジア諸国を歴訪し、9日に北京で習近平と会談した。トランプは、巨額の対中貿易赤字(年間3470億j=39兆円)の解消を求め、「北朝鮮に経済的圧力をかけ続けよ」と要求した。習近平は「対話と協議を通じて解決する」と応じた。双方は表面上は友好関係を誇示しつつ、矛盾の深刻さを確認した。
 11月10日のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)では、トランプのアジア諸国に対する「市場開放」「貿易黒字是正」の主張に対し、習近平は「一帯一路」を掲げつつ自由貿易尊重の建前で応じた。中国はトランプのアジア太平洋政策への対抗性を表しながら、APECでの主導権を強化しようとしている。
 米帝トランプは中国の危機を見透かしつつ、北朝鮮への圧力を最大限強め、戦争=武力攻撃をもってしても金正恩体制を崩壊させる時機をうかがっている。中国は米の軍事力が自らに向けられる予兆をも実感しつつ、スターリン主義国家的な利害だけで米帝との対応を模索し、一方での戦争促進要因に成り果てている。
 戦争を止めるために国際連帯の力を発揮する時は今をおいてない。
 11・5労働者集会には、616中国鉄道労働者連合会が連帯メッセージを寄せた。スターリン主義支配を打ち破って立ち上がる中国労働者人民とともに、世界革命へ向けて闘おう。
(田宮龍一)