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世界戦争を狙う米「新安保戦略」 抑止に限定せず核兵器使用 全世界労働者の国際連帯の力で朝鮮半島めぐる核戦争とめよう

週刊『前進』02頁(2908号02面01)(2018/01/18)


世界戦争を狙う米「新安保戦略」
 抑止に限定せず核兵器使用
 全世界労働者の国際連帯の力で朝鮮半島めぐる核戦争とめよう


 米トランプ政権は昨年12月18日、軍事・外交政策の指針となる「国家安全保障戦略」を公表した。続いて今年1月、「核戦略見直し」(NPR)の内容がリークされた。トランプが核兵器を実際に使用することを本気で考え、朝鮮半島や中東に新たな核戦争の火を放とうとしている驚くべき事実が明らかとなった。

米国第一掲げ中ロに対抗

 トランプの国家安保戦略は、その序文で「米国第一」を安保政策の柱に据えることを公言し、軍事力を前面に押し出した対外政策をアメリカ一国の利益と延命のために展開していくことを打ち出した。まさにトランプの世界戦争宣言と言っても過言ではない。
 その最も顕著な特徴は、「強国同士の競争の時代が再び戻ってきた」という時代認識を基調に据え、特に中国とロシアを「競争勢力」「(米基軸の世界秩序に対する)修正主義勢力」と位置づけて敵意と対抗心をむき出しにしたことだ。
 そして「力による平和」を掲げ、@「中ロのような修正主義国家」A「イランや北朝鮮といったならず者国家」B「国際的なテロリスト」という「3種類の脅威」に対抗するため、国防予算の大幅な増額などを通じて「米軍の力を再建する」と明記した。加えて「競争国と信頼関係を築こうとする過去20年の政策は見直しが必要」「軍縮(軍事予算の削減)を進めてきたのは誤りだった」として、前政権からの転換性を強調した。
 この国家安保戦略に基づく国防予算案や個別の戦略が今後作成されることになるが、その一環として8年ぶりに改定される「核戦略の見直し」(NPR)の草案が今年1月、一部の政府関係者により米ネットメディアにリークされ、その概要が明らかにされた。
 核戦力の優位性を確保するため「核兵器の役割を拡大する」「核攻撃の抑止や反撃に限定せず、通常兵器で攻撃を受けた場合も核で反撃することを検討する」として、核兵器の使用基準の大幅な緩和を盛り込む。さらに北朝鮮の核・ミサイル施設への攻撃を具体的に想定し、「弾道ミサイルに搭載する低爆発力の小型核兵器の開発・配備」や「新型核巡航ミサイルの開発」を進めることまで明記するというものだ。
 このNPR草案の恐るべき内容は、米政府内部やオバマ前政権の関係者などからも「非常に危険だ」と反発の声があがるほどだが、もともと1兆jもの予算を投じて核兵器を小型化・高性能化する一大核軍拡・核戦争戦略は、オバマ政権下で推進されてきたものだ。それを「米国第一」を掲げるトランプ政権が、いよいよ最後の留め金を外そうとしているのだ。

北朝鮮に先制核攻撃狙う

 「(トランプ政権の国家安保戦略は)かつての列強による帝国主義的な領土拡張競争も念頭に『過ぎ去った世紀の現象のように片付けられるが、強国同士の競争が再来している』と危機感をあらわにした」(日経新聞12月20日付)。すなわち、トランプがこれほど凶暴な核戦争―世界戦争戦略を打ち出した背景にあるのは、まさに古典的ともいえる帝国主義間・大国間の争闘戦であり、戦後世界の基軸国=アメリカ帝国主義が今や奈落に落ちるように衰退・没落を深めているという現実である。昨年11月のトランプのアジア歴訪は、中国の台頭を抑え込めない米帝の衰退ぶりを浮き彫りにし、「この地域における1世紀以上にわたる米国の覇権の急速な崩壊が痛々しいほど目に付いた」などとワシントン・ポスト紙にまで書かれたほどだ。
 トランプはこの状況からの巻き返しをかけて戦争を狙っている。その最大の焦点は朝鮮半島だ。この間、韓国と北朝鮮の南北会談をトランプが「歓迎」し、緊張が緩和されたかのように報じられているが、実際にはトランプの戦争衝動は少しも後退していない。
 米帝の対外政策(特にアジア政策)に大きな影響力を持つシンクタンクであるCSIS(戦略国際問題研究所)のシニア・アドバイザーのルトワックは、1月9日付ニューズウィーク誌に「今こそ北朝鮮を爆撃する時だ」と題する論文を寄稿した。論文は、「米政府は先制攻撃を真剣に考慮せよ」「北朝鮮を攻撃すればソウルが『火の海』になると言うが、それはアメリカが攻撃しない理由にはならない。ソウルが無防備なのは防衛努力をしてこなかった韓国の自業自得だ」「韓国に被害が及ぶとしてもアメリカが尻込みする理由にはならない」と激しい調子で戦争発動をあおり立てている。今、こうした残忍かつ身勝手きわまる戦争推進論が、トランプに近い勢力から噴出しているのだ。
 こうした中で、民主労総を先頭とする韓国の民衆は「朝鮮半島を二度と戦場にさせない」と訴え、ムンジェイン政権を揺るがす激しい闘争を続けている。これに応え、日本の労働者階級が戦争絶対反対で立ち上がることが求められている。

トランプと結託する安倍

 トランプは戦争に突き進むことで、全米・全世界で巻き起こる反トランプの闘いを圧殺し、政権崩壊の危機を乗り切ろうと必死になっている。大統領就任から1年、今やトランプに投票した製造業労働者からも「トランプは労働者の味方ではなかった」という声が巻き起こっているのだ(朝日新聞1月14日付)。
 この窮地のトランプを全力で支え、一蓮托生の「盟友」となって北朝鮮への制裁強化と戦争をあおっているのが日帝・安倍政権だ。安倍はこの間、「燃料が必要な冬場に制裁は特に効果的だ」と主張し、北朝鮮の膨大な人民が凍死・餓死することを百も承知で制裁強化を要求した。そして昨年12月に国連安保理が10回目の制裁を決議すると、ただちに海上自衛隊を黄海や日本海に展開して「経済封鎖」活動を担わせた。
 トランプと安倍が現に進めているのは何百万、何千万もの人びとの命と未来を破壊しつくす核戦争―大量虐殺戦争であり、それは世界戦争に直結する破滅の道だ。これに対し、全世界の労働者民衆が絶対反対の声をあげ、陸続と決起を開始している。
 今こそ日本の地から核戦争絶対阻止の大闘争を巻き起こす時だ。8月5日に広島で開催される国際連帯共同行動第1回世界大会(本紙前号に招請状)を、全世界の労働者民衆とともにかちとろう!

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核戦略見直し(NPR) 米議会の要請に基づき、今後5〜10年の核戦略の指針を示す米政府の報告書。国防総省を中心に作成され、大統領が承認する。1994年以来8年ごとに策定され、今回で4回目。

国家安保戦略の骨子

▽強国同士の競争の時代が再来
▽中国とロシアは「競争勢力」であり、米国に挑む「修正主義勢力」
▽北朝鮮とイランは「ならず者国家」
▽競争国と信頼関係を築こうとする過去20年の政策は見直しが必要
▽軍事予算の削減は誤り、米軍の力を再建する

NPR(核戦略見直し)の骨子

▽米国が核兵器を使用する基準を緩和し、通常兵器で攻撃を受けた場合も核での反撃を検討する
▽低爆発力の小型核爆弾の開発促進
▽新型核巡航ミサイルの開発促進
▽ロシア、中国、北朝鮮、イランを脅威と特記