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焦点 南北首脳が「敵対関係終結」宣言 この延長に平和は来ない

週刊『前進』02頁(2976号02面04)(2018/09/27)


焦点
 南北首脳が「敵対関係終結」宣言
 この延長に平和は来ない


●平壌での共同宣言発表
 9月18〜20日の3日間、韓国のムンジェイン大統領が北朝鮮を訪問した。平壌(ピョンヤン)でキムジョンウン委員長との2回目の南北首脳会談を行い、4月の板門店宣言に続く「平壌共同宣言」を発表した。南北国防相会談も行われ、軍事分野での緊張緩和の「合意書」に署名した。
 そこでは北朝鮮が東倉里(トンチャンリ)ミサイル実験場の永久廃棄を行い、さらに「米国が相応の措置をとれば」寧辺(ヨンビョン)の核施設の廃棄も行うことが明記された。また軍事合意書では「軍事衝突の根源となる、一切の敵対行為の全面中止」が宣言された。ムンジェイン大統領はこの後、マスゲームの競技場に集まった15万人の平壌市民を前に「戦争のない朝鮮半島が始まった」「70年の敵対を清算し、再び一つになろう」と演説した。
●大国間の争闘戦の中で
 6月12日の米朝首脳会談後、米朝間の交渉は実際には何も進まない状態に陥っていた。米朝会談の本質が、トランプ政権とキムジョンウン政権とのそれぞれの利害をかけた政治的取引(だまし合い)に他ならなかったからである。今回の南北会談はこの状況を、米帝の思惑をもこえて突き破るものとなった。
 トランプ政権は直ちに反応し、米朝首脳の再会談へと動き出した。だがこの南北会談―米朝再会談は、朝鮮半島危機の真の「解決」につながるものにはなりえない。なぜか。朝鮮半島の「非核化」「戦争状態の終結」が焦点化する中で、東北アジアの支配権をめぐる米・日・中国・ロシアなどの大国による激烈な争闘戦がすでに全面的に火を噴いているからだ。
 リーマン・ショックから10年、新たな世界大恐慌の爆発が迫る中で各国の利害対立が非和解化し、世界市場と勢力圏の再分割をかけた際限のない争闘戦に突入している。米帝はその最先頭で、中国(及び日本)を標的にした激しい貿易戦争をしかけている。ここにおいてトランプは経済と安保(軍事)をリンクし、米の利害を貫くのに必要なら核戦争をも辞さないとしている。キムジョンウンの抱き込みもその戦略の一環だ。新たな「米朝合意」が一時的に結ばれたとしても、その破綻を口実に米帝の側が一転して対北朝鮮の戦争・核戦争に訴えてくる危険性は何も去っていない。むしろ高まっている。
●財閥と組んだムン政権
 いま一つの問題は、南北の両政権が平壌宣言を「民族の自主統一・民族自決」への道を開くものと押し出していることだ。だがそこには「自主統一」の真の主体であるはずの労働者人民の姿はまったくない。逆に排除されている。
 ムンジェインは今回、韓国4大財閥のトップを率いて平壌入りし、南北間の鉄道連結をはじめ北へのインフラ投資を約束した。北の豊富な資源と市場、「安価で従順な労働力」は韓国の資本家階級にとって、のどから手が出るほど欲しい対象だ。ムンジェイン政権は今や労働者階級を切り捨てて財閥勢力と再び結託する道を選択し、それを「民族主義」の花で飾り立てようとしているのだ。これに対する闘う韓国労働者の新たな決起は不可避である。
 起きていることは、戦後世界体制の最後の柱であった朝鮮半島の南北分断体制がついに崩壊の時を迎えたこと、それが東アジアにおける1930年代的な大国間の争闘戦に決定的な火をつけ、他方で根底的な社会変革と解放を求める南北朝鮮人民の新たな闘いの扉をも開いたということだ。行き着く先は二つに一つしかない。世界戦争か、世界革命か。労働者階級の国際連帯に一切をかけ、断固として後者の道を突き進もう。