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知る・考える 用語解説 国家緊急権−革命の圧殺と戦争国家化の手段

週刊『前進』02頁(2982号02面04)(2018/10/18)


知る・考える 用語解説
 国家緊急権−革命の圧殺と戦争国家化の手段


 日本の戦後憲法は、「戦争放棄」をうたった9条の存在とともに、いわゆる国家緊急権に相当する規定を持たないことが最大の特徴となっている。自民党が狙う緊急事態条項の導入は9条改憲と表裏一体であり、改憲阻止闘争の最も中心的なテーマである。
 国家緊急権とは、戦争や内乱といった緊急事態に際して憲法を停止し、国会の議決を経ずに法律と同等の効力を持つ「政令」を出せるようにするなど、政府が独裁的な権限を行使できるようにするものである。軍隊の出動を伴う戒厳令もその一種である。
 国家緊急権の本質は、平時には許されないような国家暴力の無制限の発動を「緊急事態」を口実に合法化することにある。基本的人権の著しい制限、デモやストライキの禁止、土地・家屋の強制収用、令状なしでの逮捕や捜索・差し押さえ、裁判なしでの処罰など、あらゆる国家暴力で階級闘争と革命を圧殺し、戦争国家体制の確立を図るのだ。
 戦前の日本では、天皇の勅令による戒厳令が1923年の関東大震災や36年の2・26事件などに際して発令され、軍部による政治支配の確立と戦争へ道を開いた。
 ドイツではワイマール憲法48条「大統領緊急令」で、大統領は「公共の安全と秩序の回復」のために憲法上の基本権の「全部または一部を停止できる」とされ、これが労働組合などへの弾圧に用いられた。ヒトラーはこの緊急令を永続化する「全権委任法」でナチス独裁を樹立した。