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焦点 トランプがINF条約破棄宣言 世界核戦争もたらす暴挙

週刊『前進』02頁(2986号02面05)(2018/11/01)


焦点
 トランプがINF条約破棄宣言
 世界核戦争もたらす暴挙


 米大統領トランプは20日、ロシアと結んでいた中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄する方針を表明した。ロシアとの間で一切の協議や調整を行わない一方的な宣言であり、近くロシア政府に対して通告する見通しだ。条約で禁止されてきた核弾頭搭載可能な地上発射型中距離ミサイルについても、「われわれはこれらの兵器を開発しなければならない」と明言した。
 トランプはその理由としてロシアの条約違反を挙げているが、実際には対ロシア戦略というより中国への恫喝を狙った措置にほかならない。さらにトランプはこれを契機に、核兵器を実際に使用することも視野に入れ、一切の歯止めを取り払って無制限の核軍拡へ突き進もうとしている。
●沖縄に核ミサイル配備も
 INFは1987年に米帝と旧ソ連との間で調印され88年に発効、以降3年以内に射程距離500〜5500`の短・中距離ミサイルを全廃することを定めた。続いて2次にわたる戦略兵器削減条約(START)が91年と93年に調印されたが、米ロともに本気で核兵器を手放すつもりなどなかったことは言うまでもない。特に米帝は、冷戦時代に大量に開発・製造し老朽化が進んだ大型核兵器を「核軍縮」と称して一定程度廃棄しつつ、あくまでも核兵器の大量保有と開発は継続し、小型化・近代化した新型核兵器への核戦力の転換を図ってきた。とりわけそれは、表向きは「核なき世界」を掲げたオバマ政権時代に巨額の予算をつぎ込んで推進された。
 今回のトランプによるINF条約の一方的破棄宣言は、もはや「核軍縮」のポーズすらもかなぐり捨てるものであり、ロシアや中国との間で果てしない核軍拡競争をもたらすばかりか、全世界を巻き込んだ核戦争へと歴史の歯車を急回転させかねない暴挙である。
 トランプが明言した通り中距離核ミサイルの開発・配備が進められるとすれば、ロシア・中国を射程内におさめる在日米軍基地、とりわけ沖縄の米軍基地への実戦配備がただちに問題となる。東アジア全域を焦土と化す核戦争が、沖縄を出撃拠点として準備されることになるのだ。断じて許すことはできない。
●昨年12月に臨界前核実験
 「米国第一」を掲げ、没落・衰退を深める米帝の延命と起死回生を狙うトランプは、核兵器に依拠した対中国軍事戦略を急激にエスカレートさせている。
 昨年12月発表の国家安保戦略(NSS)では、中国とロシアを「修正主義勢力」と位置づけた。続いて今年2月に公表した核戦略見直し(NPR)で、中ロへの対抗を念頭に「核攻撃の抑止や反撃に限らず、通常兵器の脅威に対しても核で反撃することを検討する」として核先制使用を宣言し、新たな小型核兵器や潜水艦発射核巡航ミサイルの開発を表明した。
 今月9日には、米西部ネバダ州で昨年12月に臨界前核実験が行われていたことが、米エネルギー省国家核安全保障局の報告書で明らかにされた。臨界前核実験は5年ぶり28回目、トランプ政権では初となる。
 トランプは北朝鮮に対して「完全な非核化」を要求する一方で、自らは中国との軍事対決を念頭に核兵器の開発と実戦配備を進め、新たな核戦争の引き金を引こうとしているのだ。これに対し日帝・安倍は、トランプのNPRにもろ手を挙げて賛成し、改憲と一体で自らも核兵器保有国へのし上がろうとあがいている。
 国境を越えて団結した労働者人民の反戦・反核の闘いこそ実際に核戦争を阻止し、世界から核兵器を廃絶しうる唯一の力だ。11・4労働者集会と1万人大行進を、核戦争阻止の国際連帯闘争としてかちとろう。