週刊『三里塚』
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明日も耕す 農業問題の今 食卓に迫る「ゲノム編集」 遺伝子操作で食糧支配

週刊『三里塚』02頁(0998号02面03)(2018/08/27)


明日も耕す 農業問題の今
 食卓に迫る「ゲノム編集」
 遺伝子操作で食糧支配

(写真 ゲノム編集で肥大化した牛)

(写真 1・4倍に肥大化したフグ)


 TPPにEPA、そして今度はFFR。矢継ぎ早に農業を切り捨てる貿易交渉が進められている。これと一体となる遺伝子組み換え作物の動向にも目が離せないが、それ以上に今、注視すべきはゲノム編集だ。

 ゲノム編集とは、標的とする部位の遺伝子を正確に取り除いたり、導入したりする技術だ。「ある機能を持つ」遺伝子を切断し、その働きを封じて望み通りに生物が変わるようにする技術で、医療における難病治療や農業における増産など期待とともに語られることも多い。
 生命体は促進する遺伝子と抑制する遺伝子のバランスで成り立っているが、たとえばその一方を壊すことでマッチョ豚(筋肉の成長を抑える遺伝子を封じる)やペット用のマイクロ豚(成長ホルモン遺伝子を封じる)がつくられている。
 すでに可食部分が通常の1・2倍もある「筋肉マダイ」は量産化目前で、ゲノム編集イネの研究も進んでいるという。

何が問題か?

 こうした例が品種改良として取り組まれている。
 従来は、数え切れないほどの交配実験を繰り返して優良品種を選抜したが、ゲノム編集は狙った遺伝子の働きをコントロールできるので、短期間でコストをかけずに優良品種を生み出せるというのだ。
 遺伝子組み換えのように、全く違う生物の遺伝子を加えるわけではないからいいのか。
 ゲノム編集は、遺伝子の一部を切断することで複雑な生命のしくみ・遺伝子のネットワークを乱す。標的以外の部位を間違って切断する可能性や生態系への影響が心配される例もあり、目的とする結果だけが得られるわけではない危ういものだ。人間の都合で壊していい遺伝子などない。

環境省後押し

 悪名高きモンサント社がゲノム編集に本格的に乗り出し、それを生物特許とすることでさらなる種子支配を企てている。
 アメリカやヨーロッパでは、すでにいくつかのゲノム編集作物の商業栽培が始まり、中国などでもゲノム編集を使った作物育種は急速に進歩している。ゲノム編集は、いまや新自由主義のもとで、金儲けのための競争、食糧戦争・貿易戦争の表舞台に出ようとしているのだ。
 日本でも2017年4月、菅義偉官房長官がゲノム編集について「国として責任ある関与をすべきと考えている」と明言し、安倍政権での取り組みも加速している。
 環境省は8月7日、DNAの一部を切り取って消す技術は、従来の遺伝子組み換え(GM)技術に該当しないとする考え方を示した。そうなるとカルタヘナ法というGM作物を規制する法律は適用されず、ゲノム編集の研究や商業栽培が後押しされる。
 ゲノム編集技術は労働者人民のためのものではない。安倍政権を打倒し、人間らしい農業を取り戻そう。