週刊『三里塚』
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明日も耕す 農業問題の今 ゲノム編集は審査不要? 遺伝子破壊の実験場に

週刊『三里塚』02頁(1013号02面06)(2019/04/08)


明日も耕す 農業問題の今
 ゲノム編集は審査不要?
 遺伝子破壊の実験場に

(写真 ゲノム編集されたフグ【上】)

 このところゲノム編集をめぐる報道や特集記事をよく目にするようになった。急速に進められようとしているゲノム編集は何が問題なのか。前号で「イノベーション戦略と科学技術立国」として紹介した内容を深めたい。

 厚生労働省は3月18日、ゲノム編集で開発した一部の食品は従来の品種改良と同じであるとして、同省の安全審査を受けなくても届け出だけすれば流通を認める方針を明らかにした。
 ゲノム編集の中でも別の生物の遺伝子を外から導入するタイプは、遺伝子組み換え食品に当たるとして安全性審査を求めている。審査不要とされるのは、遺伝子の一部を切断して破壊し、機能を失わせたりするタイプだ。作物自体の遺伝子を改変するので安全性が高く、得られる結果は従来の品種改良と区別できないというのだ。
 天笠啓祐さんが指摘するのは「生物は必ずバランスとか調和で成り立っている」のに、それを壊すことの問題性だ。
 遺伝子には促進する遺伝子と抑制する遺伝子があって、そのバランスで成り立っている。私たちの背の高さが一定の範囲で収まるのもそのおかげで、抑制する遺伝子を壊せばどんどん背が伸びる。筋肉を制御する遺伝子を壊せば筋肉ムキムキになれるので、「遺伝子ドーピング」なるものが危惧されている。

熾烈な特許争い

 日本では今、ゲノム編集で栄養価が高いトマト、収穫量が多いイネ、肉付きが良いマダイ、毒素が少ないジャガイモ、アレルギー物質が少ない卵などが開発されているが、バランスの一方を壊すことで可能になるものだ。バランスを壊せば、求める結果だけが得られるとは限らない。意図しない改変の発生など、危険性を指摘する声も多い。
 不安や疑問を押し切ってまで、なぜ流通を急ぐのか。天笠さんの言葉を借りよう。
 「安倍政権にとって農業とは、農民のための農業ではなく企業のための農業です。農作物は全部輸入すればいい、だけど国際的な競争力は持たなくちゃいけないという考えです。国際的な競争力とはいわゆる科学技術のことで、特に特許を押さえろということです。例えば、モンサントが世界の種のシェア26%を押さえることができたのは、遺伝子組み換え作物を開発して特許で押さえたからです。種の権利を押さえることが食糧を押さえることを立証したのがモンサントです。
 科学技術を推進して新しい品種をどんどん開発し、特許で押さえて世界の食糧を支配する、これがいわゆる安倍政権の農業における競争力強化≠ナす。そのためにたくさんの予算をつけてやっているイノベーションの柱がゲノム編集なのです」

競争に終止符を

 アメリカでは農務省が2018年3月にゲノム編集食品の栽培を規制しない方針を出し、栽培も始まっている。生物兵器開発など軍事技術に転用も可能で、国防総省が予算をつけて実験をやっているという。中国ではペットとして、マイクロ豚が販売され、ついにはゲノム編集で双子の赤ちゃんが誕生したという話まである。農業・医療などをはじめ、安倍政権にとってこの競争に参入できるかどうかは、次の時代の市場争奪にとって死活問題なのだ。
 こんな競争の犠牲や実験台にされてたまるか。