2008年4月14日

“住宅は権利、絶対動かない” アメリカで住宅闘争

週刊『前進』06頁(2339号1面3)(2008/04/14)

“住宅は権利、絶対動かない”
 アメリカで住宅闘争
 

 第1章 住宅占拠で立ち退き命令に反撃

 サブプライムローンの返済不能で100万の住宅が差し押さえられている。また、賃貸住宅からも大量の労働者が追い出されている。ほとんど大恐慌の現実だ。
 これに対して、全米で大反撃が始まっている。
 ボストンの一例を見よう。今年1月23日、サブプライムローンで住宅を差し押さえられ、退去を求められた母親、メロニー・グリフィス・エバンズさんと子ども3人の家族が、ベランダに「差し押さえ止めろ!」の横断幕を掲げて実力で抵抗した。近隣の住民、労組活動家などが支援にかけつけた。
 メロニーさんは、近くのコミュニティー・センターで働いていたが賃金が安く、ローンは組めないと考えていた。だが、2004年に、住宅ローン会社が、「2カ月後には、借り換えをさせて、返済額を下げさせるから大丈夫」といって、彼女にローンを借りさせた。だが、約束は守られず、結局、06年には、ローンの返済ができなくなってしまう。この会社はマサチューセッツ州から業務停止処分を受けたが、ローンの債権はUS銀行に渡り、07年、彼女の家は銀行に差し押さえられ、12月31日に裁判所が立ち退き命令を出した。
 メロニーさんは、ボストンの借家人会(借家人とローンで家を買った人の住宅闘争団体)に加わって闘うようになった。1月23日の闘いでメロニーさん家族の退去執行は中止されたが、ボストンの1500家族の差し押さえ、追い出しとの闘いがこれから続いていく。
 このような実力闘争が全米各地で起こっているのだ。

 第2章 公営団地再開発との実力闘争

 ニューオーリンズでは、ハリケーン・カトリーナ災害からの復興に名を借りた大規模な都市再開発が行われ、多数の労働者、特にアフリカ系アメリカ人が住宅から追い出されている。
 昨年12月には市議会が3カ所の公営団地の取り壊しを可決した。市議会がごく少数の公営住宅住民しか議会に入れなかったことに対して、議場の内外で激しい弾劾行動がたたきつけられた。
 また公営団地では、警官隊と重機が迫る中、住民や支援者が窓枠や非常階段の手すりに体を鎖で縛りつけて闘っている。
 全米各地の住宅闘争をを闘っている70以上の団体が、4月16日に首都ワシントンでMBA(住宅ローン・銀行協会)を弾劾し、差し押さえ、退去強制中止を求める行動をおこす。
 住む権利、生きる権利を求める闘いは、資本主義の息の根を止めるまで止まない。