2008年4月14日

道州制 政財界が2015~2018年導入を提唱

週刊『前進』06頁(2339号3面2)(2008/04/14)

道州制 政財界が2015~2018年導入を提唱
 既成事実化許さず粉砕へ
 

 この3月、「道州制」に向けての「提言」が各界から出された。
 ①3月13日、自民の道州制推進本部(本部長・谷垣禎一政調会長)が「道州制のあり方に関する第3次中間報告の『たたき台』」を示した。全国に10程度の道州を置き、市町村合併をさらに進めて700~1千の基礎自治体に再編し、2016年~2017年に道州制を導入する。
 ②3月18日、日本経団連(御手洗冨士夫会長)が「道州制の導入に向けた第2次提言―中間とりまとめ―」を発表した。
2010年度までに地方で働く国家公務員を21万6千人から12万1千人にし、2010年に道州制基本法を制定、2015年に道州制を導入する。
 ③3月24日、増田寛也道州制担当相の私的懇談会「道州制ビジョン懇談会」(座長=江口克彦PHP総合研究所社長)が「中間報告」をまとめた。「地域主権型道州制」と称し、2011年に道州制基本法を制定、2018年まで道州制に移行することを目指す。 中央に加えて都道府県も道州制導入への動きを強めている。④3月27日、大阪府など13の府県・政令指定都市と経済団体でつくる「関西広域機構」が関西の府県で地方自治法に基づく広域連合を結成することを7月に基本合意すると決めた。
 ⑤民主党は「行政刷新会議」を設立し、全国を300の基礎自治体に再編し、権限を移譲するというマニフェストを昨夏の参院選で示している。
 これらの道州制論に共通していることは、都道府県を廃止してブロック単位の新たな広域自治体である道州に代えることであり、国を「スリム化」し、権限・財源を国から道州へ、都道府県から基礎自治体へと移譲させることだ。国家公務員の地方移管で、国に残る公務員は大幅に減らされる。玉突きで地方公務員も減らされ、総計で200万人が首を切られ、ワーキングプア化する。
 ブルジョアジーは、道州制は明治以来の国家の統治構造(中央集権制。国、都道府県、市町村の3層構造)の大転換、「究極の構造改革」(日本経団連、江口克彦、堺屋太一ら)だと言う。道州制には改憲が伴う。

 第1章 中央権力強め戦争国家狙う

 なぜこのように政府・与野党・財界がそろって盛んに道州制を論議し提言をするのか。それは今日、帝国主義間争闘戦と侵略戦争の激化、世界金融大恐慌の始まり、世界戦争の危機のなかで、日本帝国主義は戦争国家体制を構築し、本格的に侵略戦争を遂行しなければ延命できないからだ。
 帝国主義の盟主・米帝は歴史的没落を深め、帝国主義間争闘戦に訴え、他の帝国主義を蹴落としてでも自らを延命させようと行動している。しかしイラク侵略戦争が泥沼化し、金融大恐慌が始まり、世界戦争に転化しようとしている。世界の労働者階級が闘いに決起する革命情勢だ。
 このなかで日帝が生き残るためには中央集権的な戦争国家、強力な治安国家に移行する必要がある。そのための道州制導入なのだ。道州制導入で国は、地方や労働者人民の生活など顧みず、戦争と外交に特化する。強力な中央国家権力が国力・国民を戦争に総動員する。道州制は、戦後的な地方自治や民主主義の否定であり、「地方分権」「地域主権」などまやかしだ。

 第2章 「国民の理解」獲得へ躍起に

 自民党、政府、大資本はばら色イメージで道州制を描き、導入スケジュールを立てて宣伝している。「世論」が高まらず「国民の理解」が得られていないからだ。道州制とは「国そのものの民営化」「日本株式会社」だと江口克彦は言う。その民営化・規制緩和が首切りと労組破壊、格差と貧困の拡大、「地方の崩壊」しかもたらさないことを労働者人民はいやというほど知っている。
 道州制導入は既成事実ではない。福田政権は統治能力を失い、政策貫徹力を持たない。江口は道州制の成否について「リーダーシップを発揮できる首相が出てくるかどうかだ」と言った。福田政権では攻撃が進まないということだ。
 現に支配階級は動揺と分裂を来している。道州制を射程に入れた地方分権改革に政府省庁は「ゼロ回答」を示した。政府省庁の市場化テスト導入実績は12事業にとどまる。また道州制の前提をなす市町村合併も、第1幕(1999年4月~2007年3月)では3000以上あった自治体を約1800へ大幅に減らしたが、第2幕(2007年4月~2010年3月)は停滞気味だ。合併で住民サービスが低下し、行政の無駄もなくならないという印象を住民は持った。合併への財政優遇措置も減った。
 道州制導入で200万人の首を切られる公務員が黙ってやられているはずがない。自治体労働者、公務員労働者が既成事実化を許さず、「絶対反対」を貫き、団結を固めて職場から闘いに決起するならば、道州制は粉砕できる。政府・財界、民主党と協議し「地方分権」の名で道州制を押しつける体制内労働運動指導部を打倒しよう。戦争と総動員体制のための道州制を自治体労働者の団結の力で阻止しよう。