2008年4月21日

〈焦点〉 米金融恐慌−景気後退へ突入 全業界で大リストラの嵐

週刊『前進』06頁(2340号3面6)(2008/04/21)

〈焦点〉 米金融恐慌−景気後退へ突入
 全業界で大リストラの嵐

 サブプライムローン危機の爆発を引き金とした信用収縮により、米経済は金融恐慌に突入した。1929年恐慌をも超える世界金融大恐慌がいよいよ現実化してきている。この中で米経済は実体的にも景気後退過程へと突入し、個人消費や設備投資が実質ゼロからマイナスとなり、金融業界を始めとする全産業でリストラ・首切りの嵐が吹き荒れ始めている。
 金融部門では07年に15万人強のリストラが強行されたが、今年はさらに20万人超の削減が予想されて、今やウォール街は「解雇予備軍」であふれかえっている。
 3月に資金繰り悪化で事実上倒産した証券大手ベアー・スターンズは、JPモルガン・チェースに吸収合併されたが、元ベアー・スターンズの従業員は1万4000人で、JPモルガン側と合わせ1万3000人がリストラされる可能性がある。また米金融最大手シティグループも今後1年〜1年半の間に、海外拠点も含めた従業員約37万人のうち、3万人超の削減を検討していると言われる。
 製造業も例外ではない。自動車業界を中心にリストラ攻撃が強まり、クライスラーは11月初めに、従業員を2年間で11万2千人も削減すると発表した。同社は昨年2月に3年間で1万3千人を削減する計画を発表したばかりであり、これと合わせると全従業員の3分の1を削減する大リストラ計画だ。GMやフォードでも、早期退職制度が相次ぎを導入された。
 航空業界でも燃料高騰の中で業界3位のデルタ航空は2000人の希望退職を募集、ハイテク分野でも半導体大手のモトローラは2600人、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は全従業員の約10%に当たる1700人をリストラすると発表している。
 こうしたリストラの結果、米就業者数は今年1月を境目にはっきりと減少に転じ、この1〜3月は予想を上回って合計23万人以上も減少した。そして失業率は昨年末の4・7%から一気に0・4ポイントも上昇して5・1%となった。まさに労働者が大量に職を失い、住宅からもたたき出され、路頭をさまよったりテント村生活を余儀なくされた1930年代さながらの光景が、今や現出している。これ自体がすでに革命情勢である。
 これに対してアメリカの労働者階級は、体制内労働運動指導部であるAFL—CIO(米労働総同盟・産別会議)をのりこえて、怒りの決起を開始しつつある。住宅闘争も戦闘的に爆発している。
 AFL—CIO傘下のUAW(全米自動車労組)に加盟しているGMから分社した自動車部品工場であるアメリカン・アクスル社の労働者3600人は、2月26日に会社側の協約違反に対抗してストライキに突入した。このストの結果、GMは全米の工場の操業停止または閉鎖に追い込まれるなど、影響は全米に拡大している。
 特に今年のメーデーはアメリカ労働者階級の巨大な反撃の開始となるに違いない。ILWU(国際港湾倉庫労働組合)は西海岸で港湾封鎖の闘いに立ち上がる。万国の労働者は団結して闘おう!