2008年7月 7日

『蟹工船』に若者が共感労働者は必ず団結し勝利できる 青年座談会 “私の職場でストやりたい” “仲間を信じ階級に生きる”

週刊『前進』08頁(2350号4面1)(2008/07/07)

『蟹工船』に若者が共感労働者は必ず団結し勝利できる
 青年座談会 “私の職場でストやりたい”
 “仲間を信じ階級に生きる”


 《出席者》
 辰巳若葉 派遣労働者
 熊井美緒 医療労働者
 藤代辰也 派遣労働者
 倉内直輝 大学生
 鷹野悟郎 自治体労働者
 上妻裕一 福祉労働者

 小林多喜二『蟹工船』がブームだ。多くの若者が手にしている。6・29デモを闘った青年労働者・学生に『蟹工船』を読んだ感想を語ってもらった。(編集局)

 第1章 『蟹工船』を読んで思う うちの職場とそっくり同じ

 ——若者を中心に『蟹工船』がブームとなっています。『蟹工船』を読んだ感想を。
 辰巳 蟹工船のようなストライキを自分の職場でやりたいと思いました。ストライキをやったからこそ、人間として生きることができるんだと思った。これを職場でやったら気持ちがいいだろうな。
 上妻 うちの職場の役員と蟹工船の現場監督・浅川はびっくりするぐらい同じ。ひたすら労働者の悪口。具体的に職場でどうやって闘おうかというイメージもわかりやすい。職場の仲間に漫画版を渡したら、すごいよかった、という反応が返ってきた。みんなに漫画を渡して『蟹工船』みたいなことをやろうぜと呼びかけることができると思った。
 倉内 法政大学もリアル蟹工船。浅川は、学生弾圧部隊・ジャージ軍団そのもの。ジャージ軍団を学生はぶち破らなければ、キャンパスに自由はないと誰もがわかっている。最初のストライキで9人の労働者が逮捕されていく場面は、まさに5・29法大決起と同じ。法大では残った学生がハンストや集会で闘うわけだけど、「蟹工船で2回目にストライキに立ち上がったようにできたらいいですね」って。
 藤代 派遣労働者のおかれている状況そのものですね。こき使われて、死ぬまで相部屋。いつ終わるかわからない長時間労働。キヤノンで働いていた時、12時間労働を強いられた。蟹工船では1回目のストは失敗するんですよね。でも失敗が元となって、2回目は成功して、労働者は勝利をつかむ。あのあたりはすごい。私の解雇撤回の闘いも、最後はああいうふうに勝てたらなと、あこがれというか、展望を見いだした。私みたいに小さい労働組合でもやっぱり闘いぬけば勝てるんだな、と実感した。
 熊井 私がこの本で大好きなのは、労働者が周りの労働者を敵に思ったりとか、仲間を売らないよと言ったり、一つひとつが自分の周りにあふれている現実の話。みんな失敗とか苦悩とかあると思うけど、自分の実践の中で、仲間との団結の中で、「ああわかる」というのがある。多喜二が信じてやまない「敵は資本家」「労働者は団結したら勝てる」 ただこれだけをアジテーションしたかったんじゃないのかな。
 多喜二は拷問で殺されてしまうけれども、ものすごい勝利感だったんだろう。自分が死んでも、労働者の中には自分が残した火が燃え盛る時が来ることを信じていた。もし私が闘いの中で死ぬことがあっても、「防衛に走るな! 革命に転化しろ!」という言葉を残したい。「階級に生きる」——自分の人生が個じゃない。労働者は闘いの中でいっぱい死んでいる。多喜二は、悔しいと思いながら、死一般をかわいそうと描いていない。すごい階級的なアジテーション。
 うちの職場では、怒ってないと思っていた人が、方針を出したら一緒に闘いだしています。蟹工船ほど職場環境はひどくないけれど、職場のひどさの状況に比例してということだけでもない。こっちが徹底的に闘い出せば、多喜二のように敵がなんなのかとはっきりさせ続ければ、必ず労働者は何かをきっかけに立ち上がる。そういう勇気をもらった。絶対に団結はつくれる。

 第1節 労働者は変わる

 辰巳 私も、自分の職場の労働者も絶対に怒っていることをつかんだ。青年労働者は、本当に人間的な扱いをされず、人間性を奪われている。この怒りが充満しているからこそ、『蟹工船』も売れる。秋葉原事件の加藤君も誰に怒りをぶつければいいのかわからなかったのだろう。敵は資本家で、私たちは仲間なんだ、労働者が団結すれば勝てるんだと職場で私たちが訴えていこうと思った。
 上妻 本当はみんな怒りをぶつける先はわかっていると思う。でも一人だと、クビになるから言えないだけで、「そうじゃない。みんなで言いましょう」という話になったら、「すぐ言おう」となる。「家族がいるから闘えない」と言っている人にも、「一緒にやろうぜ。クビなんてこっちは認めないよ」って。サミット粉砕6・29デモで、仲間が逮捕されそうになっても、みんなでしがみついて絶対に逮捕させないっていうのと同じ。隣の仲間と一緒に生きたいというのがあるから、団結が生まれる。
 鷹野 単にひどい労働条件を言っている本だったら何十万部も売れないよね。やっぱりストライキで団結して闘うという内容が鮮明になっている。サミット粉砕6・29集会で田中委員長は基調報告で「昨日までおとなしかった労働者が明日はガーンと変わるんだ」と言った。ここと蟹工船が一体になることがすごく重要だと思う。6・29デモみたいな闘いで5万、10万の人たちと合流をかちとっていくというのが、実践的な話だと思います。

 第2章 6・29デモで団結に確信 社会を変えられると勝利感

 ——6・29(関連記事=1、2、3面)を闘いぬいてどうでしたか?
 辰巳 機動隊を労働者の団結でぶっ倒し、みんなで団結してやりきったという勝利感でいっぱいです。スクラムを組んで団結の強さを武器にしていることが本当に体現された。この仲間がいれば絶対にこの社会は変えられるし、まだ仲間になっていない『蟹工船』を読んでいる青年労働者・学生と本当につながりたい。この団結、この人間関係こそが自分が人間らしく生きていけるすばらしい生き方だと実感しました。
 上妻 階級的団結に確信が持てるから、逮捕されても全然問題ない。全世界の労働者と団結して、労働者はひとつなんだって確信を持ったから、俺も6・29やれた。
 辰巳 私も全国・全世界の仲間、民主労総のみんなと一体となって闘っているなと感じた。自分が「生きてる!」って思った。
 藤代 秋葉原の事件をみた時、僕もまかり間違えば紙一重だと感じた。僕ならおそらく派遣会社に突っ込んだ。あれは本当に彼だけの問題だけじゃなくて、社会全体の問題なんだと考え直しました。組合とか闘うすべを知っていれば、少なくともああいう事件は起きなかったと思う。本当にああいう人たちをオルグできなかったというのは、悔しい。6・29デモでは、そういう自分の思いを伝えることができた。
 倉内 6・29は団結力で圧勝した。法大弾圧での38人逮捕、15人起訴に対して、われわれはこういう闘いをやるぞと見せつけることができた。国家権力は、韓国みたいに機動隊の装甲車で道路を封鎖した。そうしないと渋谷はどうなるかわからないという恐怖。労働者は職場の人に自分は逮捕されるかもしれないと言って参加していたけれども、突き抜けてやっていることがすごい勝利。
 鷹野 渋谷駅頭を目指し労働者階級と合流していくというわれわれの目的に対して、権力は絶対にそれをさせないという構図だよね。われわれが渋谷の駅に登場したら何が起こるかまったくわからないというその権力の恐怖だけが、デモ規制にあらわれていた。あの戒厳体制の中で意気軒高と実力デモを目指すという中に、閉塞(へいそく)感じゃなく、ものすごい解放感があった。法政の闘いに続いて渋谷であれだけの闘いをやった。サミット決戦を含めて08年階級闘争が大きく変わってくる。
 学生がキャンパスで闘って、青年労働者が職場で徹底的に闘いぬいていることがあのデモを可能にしている。体制内派のデモでは、一人逮捕されたらびびっちゃう。クビになったらどうしようと。本末転倒の話。なんのための労働組合のデモなのか。職場で徹底的に闘いきり新たな団結が形成できるという中で、弾圧をぶち破るデモを展開できるということが非常に大きいとあらためて認識しました。

 第1節 職場の闘いを体現

 熊井 みんなで団結してやりきった。今までにない権力の弾圧に対して、誰一人として引かなかったというのが本当に勝利的です。職場での闘いが激しくなっていることが、向こうの弾圧に対しても引かないデモをやりとげた力じゃないかと思います。「資本と非和解で闘い、労働者が団結したら勝てる」「社会の主人公は労働者だ」と、動労千葉派として職場で登場して徹底的に資本・体制内派と闘ってきた。もし職場で闘っていなければ、逮捕で突然休むことになるから、やばいということになる。けれども、職場で動労千葉派として闘っているがゆえに、逮捕されたらよりいっそう団結が拡大する大チャンスになる。職場での実践の結果が、6・29での一人も引かないデモに結びついた。
 辰巳 職場で闘ってきた結集体がデモに体現されている。私が逮捕されても、みんながそれをバネに職場闘争を絶対にやってくれる。そこでまた、団結が強まっていく。弾圧なんか怖くないし、効果ない。6・29集会に来る過程で、職場の同僚に「今日私が逮捕された時に、会社側はクビにしてくるだろう。その時に合同労組の仲間も決起して闘う。けれども、私が一番一緒に闘いたいのはあなた。あなたと一緒に不当解雇に対してふざけるなと怒りの闘いをやっていきたい。一緒に闘う仲間になりたい。自分の職場に組合を作りたい。絶対にあなたとつながれる。団結できるんだ。ということを胸において今日は闘ってくる」とメールを送って参加した。自分の立場を初めて明らかにできた。6・29から本当の意味でも職場闘争のスタート。職場に行けば始めは一人。壁にぶちあたるけど、弾圧の壁をぶち破った仲間がいるから、資本家なんかぶっ倒せると確信している。
 熊井 逮捕されてもいいような職場闘争だよね。
 上妻 むしろ逮捕された方がいい職場闘争!
 辰巳 向こうも逮捕したら、こいつら何するかわからないってびびりながらの弾圧だよね。
 上妻 本当に団結がどんどん広がっていくというのがすごいわかる。

 第3章 ともにマル青労同で 絶対裏切らない本物の仲間

 第1節 労働学校で学んで

 ——敵は誰か、どう闘うのか、どうやってつかんできたんですか?
 上妻 僕は世の中が悪いとは思っていたけど、どうしたらいいのかわからなかった。それが労働学校に行ってから変わった。ちょうどその時に動労千葉が幕張事故で組合員のクビを阻止した闘いを知って、絶望から希望に変わった。
 藤代 以前は、警察が誰かを逮捕したら「悪いことをやったから逮捕されるんだ」と思っていた。だけど労働学校で勉強して、「そうじゃない、国家なんて信用できないんだ」ってことが初めてわかった。今じゃ「逮捕されても大したことない。逮捕してみろ」と思ってる。
 労働学校に行ってから「職場で仲間を組織しよう」と思うようになった。自分の首が切られた時も、学校で習った意味を実感した。勉強途中で争議が始まって、実技が先にきた感じだけど、そっちの方が机の上の勉強よりもよく身につきますね。
 熊井 私はイラク反戦運動に関わったころ、「軍需工場の労働者が戦争に加担したくないと思っても、一人で拒むだけでは軍事物資は作られてしまうし、拒んだ人はクビにされる。どうしたらいいのか」と思って、すごく閉塞感があった。
 でも「全員で『こんなものは作らない』という団結をつくれば軍事物資はできない。全員でストライキをやったら誰もクビにできない。これが労働者の強さだ」とわかった時に、感動してわんわん泣いてしまった。マルクス主義を学んだからつかめたことなんです。
 上妻 動労千葉の現実の闘い、マルクス主義、マル青労同や組合の仲間との団結、この三つ。勉強だけでもない。ただの友達でもない、闘う仲間がいる。生きていくには、その仲間がいればいいじゃん、って。
 辰巳 どこに怒りをぶつければいいのかわからず苦しかった時に、労働学校に誘ってもらった。勉強した後の懇親会で「ここにいる人はみんな仲間だよ」と言われた。ここで闘っているマル青労同の人たちとつながりたいと思いましたよね。

 第2節 マル青労同の団結

 ——仲間との団結が力ですね。
 辰巳 マル青労同は、自分がぶつかった壁を乗り越えるため一緒に闘ってくれる仲間。「この仲間がいるから、職場でも一人じゃない。闘っていける」と確信した。「労働者は絶対に団結できる」と言い切れるからこそ、6・29みたいに機動隊と激突して一歩も引かない闘いもできるし、人間的に生きられる。
 熊井 藤代君も明るいよね。闘っているからだよね。
 藤代 「僕一人の存在で、こんなにあわてふためくのか」って思うもんね。一人でこうなら、仲間が集まったら全然大したことないな、と。派遣会社の前でビラを配るたびに労働者がニコニコ「ビラを下さい」とスキップを踏んで持って行く。組合の加入用紙を持っていったら喜んでくれそうな雰囲気。毎回のビラ配布が楽しみです。労働運動を始めて、労働者を信じられるようになった。
 鷹野 労働者って常に「自分たちはこんな程度だ」と思いこまされている。だけど闘いの中で「俺たちの力はそんなもんじゃない。労働者はすごい力を持っている」と確信した時に、ものすごい力を発揮する。
 熊井 職場では苦闘の連続だけど、闘い続けたから本物の仲間もできたし、仲間ができた時に「労働者を信じよう」と心の底から思えるようになった。仲間を裏切らない階級性と団結が本当の意味でわかった。それが「団結に生きる」ってこと。
 ——最後に一言、青年労働者に呼びかけをお願いします。
 熊井 一緒に闘おう。私と団結しよう。この仲間と団結しよう。
 辰巳 あなたと一緒に闘いたい。闘う仲間になりたい。
 藤代 団結して派遣システムをなくし、資本家にとどめをさそう。
 上妻 マル青労同に希望がある。
 倉内 『蟹工船』みたいにストライキをやろう!
 鷹野 革命やろうぜ!(了)