2008年9月 1日

〈特集〉世界は革命情勢! 全世界をおおうストライキの大波 11.2労働者集会

週刊『前進』08頁(2357号4面1)(2008/09/01)

〈特集〉世界は革命情勢! 全世界をおおうストライキの大波
 労働者の力が荒々しくよみがえり始めた
 11.2労働者集会 大幅賃上げが闘いの軸

 第1章 鉄道スト転機に「スト共和国」 ドイツ

 全世界でものすごいストライキが闘われている。世界の労働者は完全に闘う力を覚醒(かくせい)させつつある。全世界の労働者が「生きさせろ」の叫びを上げている。革命の要求だ。今日の世界的スト情勢は、文字どおり資本家階級が生き延びるか、労働者階級が生きていくかをかけた非和解の激突だ。資本主義の根底的な危機が背景にある。
◎西ヨーロッパ
 ドイツでは、機関士労組(3万人)が30%賃上げを要求して昨年夏から半年に渡り大規模な波状的ストを貫徹、11%の賃上げをかちとった。
 ドイツ経団連は「自動車工場の生産がストップし、国際競争力が損なわれる」と悲鳴をあげ、激しく非難した。ナショナルセンターの労働総同盟と他の二つの鉄道労組は屈服し、スト破りを策動した。
 だが、機関士労組は「長年の賃金カットと労働強化にはもう我慢できない」「打撃を与えてこそストだ」とストを貫徹。公共部門の労働者が大合流し、統一サービス産業労働組合(230万人)が組織する近距離交通・空港・病院・保育園・清掃などの労働者が大幅賃上げを要求して、繰り返しストに入った。
 新聞は「ドイツはスト共和国と化した」と書いた。ついに4月中旬には無期限ゼネストが計画されたが、中央指導部が裏切って回避。各所で山猫ストが起きた。
 郵政労働者が大規模な物ダメに入った。約3千万通の郵便物が止まった。フランクフルト国際空港の空港郵便局の労働者は1日で百万通の郵便物を止めた。5月29日には、首都ベルリンで公共部門数千人がスト、官庁や自治体の窓口は一日完全に閉鎖された。
 公共部門の闘いはついに自動車産業に飛び火した。6月上旬、ダイムラーやアウディなどの自動車や自動車部品を製造する150の工場で9万人がストに入った。
 フランスでは、ル・モンド紙が4月、ストによって創刊以来初めて休刊になった。4月23日には、マルセイユやボルドーなどフランスの主要港で港湾労働者が政府の港湾民営化計画に反対して24時間ストを闘った。
 6月10日には、国鉄・教育・その他の公務員が民営化反対でスト。国鉄は62%を組織する3つの労組が24時間ストに突入し、特急の半分が止まった。サルコジ政権は公務員や教員を大幅に削減する攻撃をかけている。
 イギリスでは、4月下旬に70年ぶりの精油所ストでパイプラインが稼働を休止した。わずか1200人の48時間ストで全英の石油・ガスの4割の供給が止まった。6月にはタンクローリー労働者がスト。全英のガソリンスタンドの4分の1が供給ストップとなり、空港でも相当数が欠航になった。
 4月24日、教育労働者4万人が21年ぶりの全国ストに突入。全英の学校の3分の1(8000校)が閉鎖になった。同日、公共部門40万人の労働者が24時間スト。公共部門数百万人が低賃金にすさまじい不満と怒りを持つ。
 7月16日、公共部門50万人が再び全英で48時間のゼネスト。学校・社会福祉事務所など地方官庁、図書館や博物館などが全面閉鎖、ゴミ収集もストップした。大幅賃上げを要求するストだ。
 ベルギーでは5月14日、鉄道労働者が全国24時間ストに突入。全国の鉄道が完全にストップした。イタリアでも7月6日、24時間の全国スト。地下鉄・バスなども一斉に続き、首都ローマを始め、イタリア全土で公共交通のすべてがストップした。

 第2章 医療労働者が8週間のスト デンマーク

◎北欧
 4月に始まったデンマークの看護師・ヘルパー・保育士らの無期限ストは、全国10万人に拡大した。約8週間のストでキャンセルされた検査や手術は40万件に及ぶ。賃上げ額はわずかだったが1万人近い若い組合員を獲得した。「福祉国家」と宣伝されるデンマークでは看護師の賃金が非常に低く、他の公共部門で働く労働者より3割も低い。スウェーデンでも看護師ら数千人が4月にストに入り、その数は倍増した。
◎東欧
 ギリシアでは5月以来、タンクローリー1700台以上が13%の賃上げを要求し、ストに突入。ガソリンスタンドの9割が供給不可能になった。5月15日には通信・銀行・運輸・自治体・病院・港湾・航空などを網羅する民営化反対のゼネストに発展した。ギリシアでは国営通信企業の株の4分の1をドイツ企業が買い占めている。「通信をもとどおり百%公共部門に戻せ」のスローガン。
 チェコでは、プラハなど主要都市で百万人が1時間のゼネスト。チェコの人口は約1025万人。医療労働者が牽引(けんいん)し、建設・土木・鉱山、鉄道・交通、郵便・教育労働者などが参加。医療は朝6時から全日のストを貫徹した。
 ハンガリーでも7月14日、10%の賃上げと約20万円の一時金を要求して鉄道スト。首都ブダペストの交通稼働率はわずか2%になった。ロシアでは鉱山労働者が決死の長期ストに立つ。稼働率は半分になった。鉄道運転士の独立労組は4月28日、24時間スト。数百本の列車が運休した。
◎中東・アジア
 インドの首都ニューデリーでは4月24日から24時間のゼネスト。公共・民間部門や未組織労働者も参加し、都市機能が停止した。7月2日からはトラック運転手400万人が無期限スト。8月11日にはプランテーション労働者30万人が賃金2倍化を要求してストに。8月20日、インド全土で数百万人の労働者が再び12時間のスト。大幅賃上げ要求と政府の経済政策に抗議した。国営銀行を始め銀行員だけで90万人が参加。空港・鉄道・通信・自治体・大学、バスやトラックの運転手など、きわめて広範な産別・職種の労働者がストに参加した。
 韓国では、軍事独裁政権を打倒した1987年の民主化闘争から21年目の6月10日、イミョンバク政権打倒の百万人デモが全土を覆った。民主労総傘下の貨物連帯は6月13日、燃料価格高騰による生存の危機突破の要求を掲げて無期限ストに入った。鉄道・港湾・空港の労働者も貨物の代替輸送拒否を決定。プサン港を始め全港湾の機能が停止した。
 6月16日からは建設機械労組(7千人)も無期限ストに入った。韓国労総も合流し、全土の物流がガタガタになった。7月2日から金属労組12万人がストに突入した。
◎アメリカ
 ILWU(国際港湾倉庫労組)の2万6千人の港湾労働者が5月1日のメーデーで西海岸の全港湾29港を止めた。シリコンバレーの清掃労働者やアメリカン・アクスルやGMなどUAW(全米自動車労組)の労働者などがストに決起し闘いは広がっている。