2008年12月 8日

爆取差し戻し審 検察立証が破産 「遺留品」被告と関連なし

週刊『前進』06頁(2371号6面2)(2008/12/08)

爆取差し戻し審 検察立証が破産
 「発射実験の遺留品」 被告と関連なし

 12月1日、東京地裁刑事第20部(林正彦裁判長)で迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の差し戻し審第10回公判が行われた。
 冒頭、板垣宏同志と十亀弘史同志の意見陳述が行われ、板垣同志は「現在行われている審理は一片の正義もなく、法的根拠も理由もない。今日の証人に関する関之沢林道関係の立証は本件両事件とまったく関連がない。いかに取り調べようとそこから関連性など導き出せない」と弾劾した。十亀同志は裁判員制度を批判し、「これは『裁判に市民の良識を持ち込む』制度ではなく、市民の中にリンチを持ち込む制度であり、国家権力との一体感、治安弾圧の意識を育てるもの。それは戦争準備の一環であり、労働者はだまっていない。制度全体を打ち砕く」と述べた。傍聴席から大きな拍手が起こった。
 今回の古池澄夫、青木幸雄の2証人は、いずれも元警視庁公安部の刑事であり、静岡県井川の関之沢林道終端付近の捜索(山狩り)などを行った人間である。関之沢林道とは、85年冬に迎賓館・横田事件の迫撃砲の発射実験を行った場所だと検事が主張している場所だ。93年3月に福嶋昌男同志がデッチあげ逮捕された後、勾留満期直前に、急きょこの林道終端付近の捜索を行って、発射実験の「遺留品」を「発見」したと言うのだ。経緯からも、時期からみても福嶋同志を無理やり起訴するために権力が「発射実験現場」の存在をデッチあげたことは明らかなものである。
 一審ではこのような立証はあまりにも関連がないとして検事の取り調べ請求が却下されたものだ。それを、控訴審判決が不当にも「審理不尽」であるなどと言いなし、差し戻し審で審理されることになったのだ。
 青木は93年5月に行われた林道終端捜索の責任者である。坂井眞弁護人は橿原借家で押収されたとするメモに記載されている飛翔弾の発射実験場所が、この林道終端と一致するとの主尋問での主張に対し、直接現地調査を行った体験に基づき、メモと現地の状況は相違するとの強い印象を受けた事実を突きつけるとともに、自ら撮影した現場写真や捜索当時の航空写真、森林計画簿・地図を示して追及した。事実の迫力の前に青木はその事実を認めざるをえなかった。青木は対応不能となり、裁判長も検察官も席から立ち上がって注目せざるをえなかった。
 さらに坂井弁護人は畳みかけて尋問した。
 弁護人「井川から3人と本件両事件を直接結びつける何らかの事実は明らかになりましたか」
 青木「ありません」
 弁護人「井川で発見されたものは、何か被告人との関連を示す点がありましたか」
 青木「分かりません」
 青木は検察官が「証拠」だとする関之沢林道関係証拠が本件と関連性がないことを認めたのだ。決定的な証言だ。検察立証の破産がより一層明らかになった。青木尋問は次回12月18日に継続する。差し戻し審の大きな山場だ。傍聴に総結集してともに闘おう!