2008年12月15日

ギリシャで青年が暴動 高校生の射殺に怒り爆発 労働者はゼネストへ

週刊『前進』06頁(2372号3面2)(2008/12/15)

ギリシャで青年が暴動
 高校生の射殺に怒り爆発
 労働者はゼネストへ

 第1章 10以上の都市で警察と衝突

 ギリシャの首都アテネで12月6日・土曜日にデモ隊に警察が発砲し、15歳の少年を射殺したことから暴動が発生した。暴動はアテネだけでなく、第2の都市テッサロニキや南部のパトラス、クレタ島など七つ以上の都市に拡大した。さらに暴動は7日、8日、9日と4日間にわたり10以上の都市にまで拡大し、若者が火炎ビンで警察に応戦し、銀行や警察施設、新民主主義党事務所、商店などが燃やされ、また警察官が暴動のターゲットにされた。大学生たちは大学にバリケードを築いて立てこもり、警官隊の突入を阻止している。
 事件の発端は、6日夜9時頃、パトロール中の警察車両が30人ほどの若者に取り囲まれたのに対し、警官が発砲し、それによって15歳の高校生が死亡した事件である。発砲した警察官2人が拘束されたが、地面に向けて撃ったと主張している。7日・日曜日には、直ちに抗議デモが行われ、アテネのアレキサンドラス通りでは警察総司令部に向けたデモが、シンタグマ広場では国会に向けたデモが警官隊によって阻止され、暴動となった。警官隊が催涙弾を使ってデモを鎮圧しようとし、デモ隊が火炎ビンで応酬して、付近の商店が燃える事態となった。

 第2章 大学の教授もスト呼びかけ

 9日には少年の葬儀がアテネ市内で営まれ、再び警官隊との衝突になった。国会周辺では1万人が集まり、少年の射殺への抗議と経済危機やカラマンリス政権の汚職を弾劾した。一連の事態で200人をこえる若者が警察によって逮捕された。
 若者の暴動への決起を受けて、大学教授たちは組合が24時間ストを打ち出したことに対して3日間のストを呼びかけている。これに呼応し、他の組合も12月10日水曜日に24時間ストを予定している。10月8日に民営化反対で24時間ストを打ち抜いたオリンピック航空の労働者も10日に24時間ストを行うことを打ち出した。10日は政府の年金改革反対でゼネストが予定されており、これが一つの闘いに結合している。
 こうした怒りの決起の拡大に対して右派新民主主義党のカラマンリス政権は弾圧を強めている。パブロプロス内相が暴動を受けて辞表を提出したのに対してこれを受理せず、逆に「犯罪行為を許さない」として暴力的に闘いを圧殺しようとしている。10日のストに対しても「混乱が拡大する」として中止を要求したが、労働者側はこれを拒否し、予定どおりストを決行しようとしている。9日には野党、全ギリシャ社会主義運動のパパンドレウ党首と会談し、暴動鎮圧に向け協力を要請したが、逆に早期の解散総選挙を求められた。
 カラマンリス政権は、国営のオリンピック航空の民営化を始め、鉄道なども民営化し、労働者階級に対する大量首切りと低賃金化の攻撃を強行しようとしている。世界金融大恐慌が実体経済に拡大している中で、資本家が生き延びるために一切の犠牲を労働者階級に押しつけようとしているのだ。ここに鮮明に示されているように労働者階級と資本は絶対に非和解だ。資本主義を打倒するプロレタリア革命によって労働者が主人公の社会を建設する以外に今や労働者の生きる道はない。

 第3章 大量首切り、賃下げと対決

 ギリシャではこの間、10月21日に全人口の5分の1に及ぶ200万人が参加したゼネストが闘われるなど、労働者階級の巨大な決起が巻き起こっている。失業率が今年初めのデータで8・3%で、若者(15歳から24歳まで)の失業率は、23・3%でほぼ4人に1人が失業という状態だ。また女性の失業率は男性の2倍になっている。付加価値税は19%に引き上げられている。
 まさに闘わなければ生きられない状況である。労働者階級の決起もゼネストが繰り返し闘われるところまで広がっている。ギリシャはまさに革命情勢に突入している。