2009年1月12日

関西新空港闘争へアピール 道州制攻撃=関空粉砕、橋下打倒を

週刊『前進』06頁(2374号4面2)(2009/01/12)

関西新空港闘争へのアピール
 道州制攻撃の「最弱環」=関空を粉砕し橋下打倒を

 09年の冒頭にあたり、革共同大阪府泉州地区委員会は大阪—全国の労働者人民と団結しプロレタリア革命をやり遂げる決意を新たにしている。革共同政治局1・1アピールが明らかにしたとおり、世界金融大恐慌の爆発は、ついに資本主義の終わりの時、世界革命の時が来たことを示している。革共同はこの時のために闘い続けてきた。泉州地区委員会は世界革命—日本革命の先頭に立って闘う。
 泉州地区委員会は何よりも09年「生きさせろ!」ゼネストの先頭で闘う。昨年は派遣切りに対して森精機で3波のストライキをともに決起して闘った。続いて12月25日の関西合同労組泉州支部S分会組合員の解雇に対し、27日、即座にストで闘い、解雇を撤回させた。年末解雇は労働者を路上にほうり出し「死ね」という攻撃だ。この怒りのストは、まさに労働者の生き死にがかかった「生きさせろ!」ストだ。今年は全国の同志とともにゼネストをかちとる決意である。
 その上で本稿では、全国の同志と労働者に関西新空港闘争に総決起することを訴える。泉州地区委員会は一貫して関西新空港闘争に責任を果たしてきた。泉州住民の会、関西労組交流センターの労働者と団結して闘ってきた。大阪府知事・橋下が道州制—「関西州」を導入し、その中心に関空を位置づけると表明している今、労働者階級が関空闘争の前面に立って闘うことは決定的である。
 関空を関西州の中心に位置づける橋下との闘いは、道州制を粉砕する労働者階級の闘いだ。09年は日帝の延命をかけた道州制を粉砕し、橋下を打倒する年だ。その力で関西新空港を粉砕しよう。

 第1章 橋下府知事は大資本の先兵

 橋下は「大阪府は破産会社、職員の給料は半分にカットして当たり前」と労働者階級への敵意をむき出しに資本家階級の先兵として登場してきた。知事就任以来、「非常事態宣言」を連発し、知事の権限でデタラメな攻撃をやってきた。それは「改憲クーデター」的やり方である。この橋下の基本戦略こそ道州制導入である。
 日本経団連は、道州制を「国家百年の大計」「究極の構造改革」と形容し明治維新以来の「大改革」のように描いている。しかし実際には大破産して世界恐慌を起こした新自由主義政策の続行でしかない。道州制導入の核心は、自治体を丸ごと民営化し、労組を壊滅することにある。そして公務員360万人をいったん全員解雇し選別再雇用することで自治労、日教組を解体し、それをテコに労働運動を絶滅しようとする国鉄分割・民営化を上回る大攻撃である。そして教育、福祉、医療など「公共部門」を全部民営化し、独占資本の餌食にする。農林水産業はつぶす。
 その先兵が橋下だ。凶暴だが、きわめて脆弱(ぜいじゃく)だ。橋下のやり方は、労働者階級の反撃がないことではじめて成り立っている。逆に言えば労働者階級にとって絶好のターゲットである。
 昨年11月21日、橋下打倒闘争を自治労、教労、民間の労働者が中心に決起して開始した。そして泉州住民の会が決起した。その結果、決定的な橋下打倒闘争になった。
 泉州地区委員会は、泉州住民の会、関西労組交流センターの労働者とともに一貫して関空闘争を闘い続けてきた。日帝は関空を成田空港に次ぐ軍事空港—侵略拠点としようとしてきたが、われわれの闘いはそれを阻止し続けてきた。
 泉州住民の会の会員は、ほとんどが労働者か労働者家族である。職場の労働組合が闘わない中で住民の会に結集して闘っている。関空のために地場産業が破壊され、職場を奪われ、低賃金にされた上、収奪された税金が湯水のごとく関空に使われいることに心底怒って闘っている。また軍事空港化に怒って闘っている。
 そもそも関西新空港は労働者階級にかけられた攻撃である。労働運動破壊、女性の深夜勤解禁、非正規職の拡大、低賃金化など、94年関空開港に合わせた攻撃が襲いかかってきた。軍事空港、公害、地元の犠牲などもそうである。しかし連合をはじめ体制内労働組合は国家権力に屈服して闘いを放棄してきた。体制内労働組合・反動勢力と徹底的に闘うことが今こそ重要だ。

 第2章 「関西州」の環に関空を狙う

 日本経団連は提言の中で「道路・空港・港湾の整備・運用を道州に移す」としている。破綻した関空を関西州に押しつけるという方針だ。
 橋下はこれに積極的に応じ、「関空が沈めば、関西経済が沈む」と、関西資本の延命策として関空を道州制の中心に位置づけた。WTC(ワールドトレードセンター)に府庁を移転し、関空と高速道路網で結び、神戸空港ともども関西州の中心にするという構想(上山信一・大阪府特別顧問)を掲げた。大阪府は「大阪発“地方分権改革”ビジョン(素案)」の「関西州のイメージ①」で「関西3空港と阪神港を一体的に運用して物流拠点に」と打ち出した。 関空と湾岸エリアを中心に位置づける関西州をアジア侵略の拠点にし、延命しようというのである。
 しかしこれは橋下の最大の弱点になる。道州制で大増税し、労働者から奪い取った巨額の税金を湯水のごとくつぎ込まなければ関空は維持できない。関空会社には1兆1千億円もの借金がある。府はこれまでに関空会社に資本金として900億円、無利子貸付金を500億円も出している。これはすべて労働者が納めた税金で賄われている。
 さらに空港連絡橋の国有化に65億円、毎年の関空補助金2億5千万円、09年度二期事業に6億円と、毎年関空に税金を出し続けている。他方で府職員給与を10〜4%も賃下げし、府民の医療、教育などをカットした。道州制になれば、もっと巨大な負担を労働者に押しつけるしかなくなる。こんなやり方を労働者が許すはずがない。
 関西新空港は開港後14年たつが、便数は低迷から激減に転じ、赤字は拡大し続け、地盤沈下は止まらず、世界大恐慌の直撃で完全に破綻している。破綻の最大の要因は関空会社自身にある。
 「関西国際空港株式会社」は、中曽根政権が1984年6月に制定した法律に基づき、同年10月に「民活会社第1号」として設立された。新自由主義による民営化・規制緩和政策の開始であり、国鉄分割・民営化と一体の攻撃だった。
 関空会社の民営化で大資本が工事や営業などの利権を全部仕切れるようにした。本島工事に1兆4千億円、地域整備に1兆円、これらの利権を大資本が分捕った。また銀行資本は今も、関空会社に貸し付けた1兆1千億円から年500億円もの利払いを受けている。関空会社の危機とは、資本主義の矛盾の爆発以外の何ものでもない。
 ちなみに、関空会社設立以降、国と自治体は第三セクターなど民営化会社を全国で設立し、再開発、リゾートなどで資本がやりたい放題できるように法改悪し規制緩和してきた。しかしどれも破綻した。それは動労千葉と国鉄1047名解雇撤回闘争がつくりだした国鉄分割・民営化の破綻と同じく、新自由主義の破綻そのものである。大資本は逃げ、借金は国と自治体に残され、労働者が負担させられている。

 第3章 09年橋下打倒を全国闘争に

 地元の泉佐野市では、労働者、住民が関空の犠牲にされてきた。1400億円もの空港関連事業をやって資本をもうけさせてきたが、700億円もの借金を全部労働者に押しつけてきた。ごみ有料化、公共料金値上げ、福祉・教育切り捨てなど、生活は最悪にされていった。労働者と家族は怒りを抑えられない。関空闘争は必ず爆発する。
 09年、世界金融大恐慌がますます激しくなり、全世界を革命情勢がおおうことは間違いない。闘う世界の労働者は、ゼネスト、暴動など革命闘争を激化させていく。「生きさせろ!」ゼネスト方針は、労働者の決定的な方針、スローガンになるであろう。
 橋下打倒闘争と関西新空港闘争が決戦になった。橋下を先兵とする道州制導入に日帝と資本家階級は自らの延命をかけている。だが今や関空は橋下の最弱の環だ。
 道州制攻撃を絶対に阻止しよう。360万公務員労働者の解雇を阻止しよう。自治労、教労を先頭に4大産別、民間労働者とともに闘おう。そして道州制阻止闘争を関空闘争から闘おう。開始された橋下打倒闘争を09年の通年闘争にして、全国の闘いに発展させよう。
〔革共同泉州地区委員会〕