2009年1月26日

〈焦点〉 ソマリア沖派兵阻止せよ 「海賊」口実に自衛隊法で

週刊『前進』06頁(2376号3面3)(2009/01/26)

〈焦点〉 ソマリア沖派兵阻止せよ
 「海賊」口実に自衛隊法で

 自民、公明の与党は1月20日、「海賊対策」と称するプロジェクトチーム(PT)の会合を開き、現行の自衛隊法に基づく海上警備行動を発令して海上自衛隊の護衛艦を東アフリカ・ソマリア沖に派遣することで大筋合意した。22日の正式決定を受けて麻生が派遣準備を指示、浜田防衛相が海上警備行動を発令して、3月にも派兵を開始しようとしている。日帝の海外派兵の決定的エスカレーションであり、断じて許せない。
 麻生は昨秋にも、国連決議を盾に、ソマリア沖への自衛隊派兵のための特別措置法の制定を策動したが、麻生政権自身の支持率の低迷と国会運営の困難さから、すぐには無理と判断、現行法での派兵に方針転換した。
 特措法あるいは「海賊対策新法」自体は依然として追求しており、3月の予算成立後に提出し成立を図ろうとしている。そこまでの「つなぎ」として、現行法の拡大解釈でまず突破口を開けようとしている。インド洋上で米軍艦船に対する給油支援を継続している海上自衛隊が、今度はソマリア沖でも新たな軍事作戦に出ようとしているのだ。
 「海上警備行動」と称して、領海からはるか離れた東アフリカまで乗り出すのは初めてだ。こじつけも甚だしい。さらに「正当防衛・緊急避難」として武器使用を認めようとしている。これも「海賊」と実際に衝突することによって武力行使の突破口を開こうとしているのだ。そういう形で実戦経験を積もうとしているのだ。
 護衛艦2隻で日本関係の船舶に伴走して警戒するとしている。この護衛艦には「特別警備隊」と称する自衛隊特殊部隊が乗り組むと言われている。P3C哨戒機による洋上監視も計画されている。
 すでにソマリア沖へは、ヨーロッパ各国や、中国、韓国が次々と派兵している。ソマリア沖は帝国主義と大国間の争闘戦の戦場となっており、日帝もそこに割り込もうと狙っているのだ。
 日帝は”海賊対策は多くの国が共同して当たっている国際的な事業であり、日本だけが加わらないでは国際社会は納得しない”と言う。しかし問題は、一握りの資本家の権益のため、中東石油の確保のために武力衝突を辞さない道に踏み込んでいるところにある。
 そもそもソマリア沖の「海賊」とは何なのか。彼らはもともと貧しいソマリアの漁民だった。1991年以来、ソマリアが国家的に破産する中で沿岸警備隊も消滅、外国水産資本による漁場荒らし・乱獲と、欧米大企業による有害廃棄物投棄で漁業ができなくなった漁民が、生きるための手段として武器をとり「海賊」を余儀なくされているのが実態だ。ソマリア沖をわが物顔に荒らし回った日米欧の帝国主義こそが元凶だ。
 これはイラク・中東参戦の新たな拡大であると同時に、改憲に向かっての攻撃である。
 ソマリア沖派兵については、自民、公明のみならず、民主党も基本的に賛成だ。「反対」と称する日本共産党も「海賊対策は海上保安庁の責務」などと言って、帝国主義の立場に立って提言する始末。こんな連中を吹っ飛ばして、侵略戦争と改憲の攻撃に労働者階級の闘いをたたきつけよう。