2009年2月23日

自治労本部が道州制の先兵 3・6道州制反対!橋下打倒! 大阪府庁前行動へ

週刊『前進』06頁(2380号3面1)(2009/02/23)

自治労本部が道州制の先兵
 “絶対反対”の闘いの圧殺を狙い労組が公立病院民営化を逆提案
 3・6道州制反対!橋下打倒! 大阪府庁前行動へ

 道州制・民営化攻撃との最大の攻防点として公立病院民営化攻撃との攻防が全国各地で激化している。最近だけでも銚子市立総合病院(千葉県)の閉鎖と職員185人への分限免職の強行(08年9月末)、市立松原病院(大阪府)の3月閉鎖の動き、豊中市立病院(大阪府)への地方公営企業法「全部適用」—地方独立行政法人化提案などの攻撃が相次いでいる。関東1都6県では公立病院の半数以上が自治体による直営方式を見直し、公社化、地方独立行政法人化、指定管理者制度、民間譲渡を予定・検討している(2月16日付東京新聞など)。道州制・民営化、公務員360万人いったん全員解雇、公務員労働運動破壊の攻撃に対し、第2次国鉄決戦と結合して反撃しよう。「道州制反対! 橋下打倒! 3・6大阪府庁前行動」に総決起しよう。

 第1章 「労働組合の機能度高まる」と民営化攻撃推進を正当化

 「自治労本部はついに資本主義の最後の救済者として登場した。『公立病院廃止や分限解雇を想定した場合、自ら医療法人を立ち上げて指定管理者制度を適用させるべき』とか『民営化は労組機能度を高める』なんてことを文書で出している。こんな本部は本当に打倒するしかない!」
 動労千葉主催の「2・16労働者総決起集会」で自治体で働く青年労働者は激しい怒りをたたきつけた。昨年12月に自治労本部衛生医療評議会が出した「運営形態変更・公立病院の再編・ネットワーク化に係わる取組み指針」(以下「指針」)に対する怒りだ。
 この「指針」は、自治労本部の歴史を画する反革命文書だ。
 「指針」は冒頭で、公立病院民営化攻撃に対して「『絶対反対』との闘争を組むことは過去の事例より『避ける』ほうが賢明」と述べる。“絶対反対の闘いはやるな”という現場組合員への恫喝だ。そして、指定管理者制度、民間移譲にならないように「地方公営企業法の全部適用(=全適)を推奨」「むしろ組合からの逆提案という形でも望ましい」と組合側から民営化を積極提案すべきだと明言している。
 さらに許しがたいことに「指針」は、この「全適推奨」にとどまらず「地方独立行政法人化も選択肢として容認し取り組む」と、非公務員型の独法化にもOKを出す。
 そして銚子市立病院のような廃止—全員分限免職の攻撃に対しては「組合が医療法人を立ち上げて指定管理者制度を適用させ、雇用を守る」「賃金削減を受け入れても病院(を守る・で働く)」とまで明言している。
 “賃金が半分になろうが、労働が極限的に強化されようが、首を切られるよりはましだ”というわけだ。自治労本部は政府総務省と一体となって公立病院民営化を推進しようとしているのだ。
 しかも、図を示して“地方独立行政法人(非公務員型)、指定管理者制度が導入された場合、労働基準法、労働組合法が適用される職場になり、労働組合の機能度はむしろ高まりますよ”と甘言を弄(ろう)する。ふざけるな! 闘わずして得た労働基本権など何の役にも立たない。
 「指針」は、許し難いことに「地域医療を守るために」と称して〈組合による民営化推進>を正当化している。そして「既成概念にとらわれない中での発想と議論」「これまでの概念だけでの民営化反対闘争は成り立たない可能性が非常に高い」「独法化へ抗することの難しさを再認識」「保身闘争としか映らない」「現実対応」「(直営について)デメリットと指摘されている部分もあながち間違っているとは言い切れない」と合理化する。労働組合の団結を解体し、売り渡そうというのだ。反撃を組織しようと必死で格闘している現場組合員に対する反革命的襲撃だ。
 衛生医療評議会議長・木村崇は「指針」の冒頭で「本指針を一読された方々の評価は千差万別であろう」と挑発する。組合員の怒りが爆発することは百も承知なのだ。その上で「語弊を恐れずに言えば目的達成のためには、一定の犠牲もいとわない、揺るぎ無い確固たる信念を持ち、たたかうこと!を、組合員一人ひとりに決意していただくことが欠かせない」と居直る。まさに確信犯だ。

 第1節 動労カクマルと同じ裏切り

 自治労本部は“攻めの民営化対応”へ路線転換した。国鉄分割・民営化時に動労カクマルと同様、公立病院民営化攻撃のみならず道州制攻撃の先兵になりますと表明し、自分たちの反革命的役割を支配階級に売り込み、自分たちだけが生き残ることを考えているのだ。
 1月末の自治労中央委で岡部委員長は、日本経団連と連合の「労使共同宣言」を全面賛美した。「雇用対策」と称して、被解雇者の怒りの決起を支配階級と一緒に鎮圧すると宣言するとともに、「公務員360万人いったん全員解雇・選別再雇用」の道州制攻撃にゴーサインを出したのだ。
 こんな連中は、もはや労働組合でもなんでもない。腐り果てた自治労本部を打倒することなくして道州制攻撃との闘いなどあり得ない。
 重要なことは、これまでまがりなりにも「直営堅持、民営化反対」の立場をとってきた自治労内の「左派」的部分が“攻めの民営化対応”なる言辞を弄して「もはやこれしかない」と総崩れを始めていることだ。「1047名解雇撤回を掲げ続けることは玉砕」と叫んで機動隊を導入し動労千葉を排除する4者4団体派とまったく同じだ。
 「道州制反対! 橋下打倒!」を掲げて3・6大阪府庁前行動を呼びかけている豊中市職女性部組合員の多くが豊中市立病院で働いている。同女性部は、大阪府知事・橋下の道州制攻撃との闘いの基軸として豊中市立病院の独法化反対闘争を闘っている。3・6府庁前行動は、道州制の最先兵=橋下とその最悪の手先に転落した自治労本部を串刺しにして打倒する決定的な闘いの始まりだ。

 第2章 総務省「ガイドライン」粉砕、道州制反対・橋下打倒を!

 相次ぐ公立病院の民営化攻撃は、総務省が2007年12月に出した「公立病院改革ガイドライン」(以下「ガイドライン」)に基づく全国一斉の動きだ。政府は各自治体に「ガイドライン」を基に「公立病院改革プラン」を08年度中に策定することを迫った。今年3月の期限を前に地方議会への公立病院をめぐる条例提案や経営形態の転換が相次いでいる。
 「ガイドライン」は、①経営の効率化②病院の再編・ネットワーク化③経営形態の見直し——という「三つの視点」を示している。独立採算を原則とし、「3年間で経常収支が黒字化する計画を出せ」と迫り、病院単位での数値目標設定を求めている。この目標達成のために「民間譲渡」「地方独立行政法人化」「地方公営企業法の全部適用」などの経営形態の見直し、職員給与の見直し、病床削減、診療所化などを例示している。特に病床利用率が3年連続70%以下の病院は「抜本的な見直しを行うことが適当」と露骨に廃止・縮小を求めている。
 橋下・大阪府政も昨年10月、「ガイドライン」の大阪版として「公立病院改革に関する指針」を打ち出した。「経営改善を行うためには、より自立的、弾力的な経営を行える地方独立行政法人(非公務員型)への移行が望ましい」「第1段階として地方公営企業法の全部適用に移行し、事業管理者に人事・予算等の権限を付与し、自立的運用を行うことも考えられる」と言っている。ブルジョアジーと橋下が「全適」を全面的な民営化へのステップと考えていることは明らかだ。
 日本経団連は“医療ビッグバン”を打ち出し、「現在の病院経営は多くの規制でがんじがらめ。競争原理がまったく働いていない」と規制の全面撤廃を要求するとともに、道州制—公立病院民営化をその決定的な突破口に位置づけている。彼らの狙いは「労働組合の解体」「首切りの自由化」「賃金は半分」だ。医療・福祉を丸ごと資本の食い物にし、医療・福祉労働者に極限的な低賃金、超過密労働を強制しようとしている。
 アメリカでは80年代のレーガン政権以降、公立病院の独立採算化、民営化、巨大病院チェーンによる吸収・合併とリストラの波が襲った。その結果、一握りの大金持ちは手厚い医療を受けられるが、大多数の労働者階級人民は病院にも行けず、ひとたび病気になったら数百万円〜数千万円もの巨額の医療費を請求されて自己破産するしかないという現実が生じた。
 「ガイドライン」が掲げる「再編・ネットワーク化」とは道州制の発想そのものだ。広域ブロックの中でごく少数の総合病院を地域の「基幹病院」として残し、あとの病院は診療所に縮小するか完全に閉鎖することを意味する。地方自治体が運営する公立病院は全国に約千あるが、現在その約8割が赤字だ。「ガイドライン」を実行したら、ほとんどの病院がつぶされるか資本に売られる。膨大な医療労働者の首が切られる。怒りのマグマが渦巻き、多くの自治体病院で生死をかけた闘いが始まっている。
 「究極の構造改革」=道州制との対決がこういう形で始まっている。日帝ブルジョアジー総体との階級戦争だ。これまでの合理化攻防の延長でなく、政府・財界あげた攻撃との対決だ。
 すべての自治体労働者は今、国鉄分割・民営化攻撃で動労千葉が直面したのと同じ試練と挑戦に直面している。動労千葉の中野洋前委員長は悩みに悩んだ末、「ここで一戦を交える以外に動労千葉の団結を維持することはできない」と考え、国鉄分割・民営化絶対反対を掲げた2波のストライキを決断したと述べている(『俺たちは鉄路に生きる2』)。地方議会の条例一本で、瞬時に大量の公務員労働者の首を切る大攻撃とストライキで闘わずにいつ闘うのか。今こそ動労千葉のように闘おう!

 第1節 職場闘争に敵対する共産党

 大恐慌下の道州制攻撃のもとでは、戦後革命の敗北の代償である「福祉国家」「地方自治」「労働三権」などは暴力的にはぎとられる。国・自治体の事務事業は丸ごと民営化され、資本の利潤追求の場となる。労働者と資本家の階級対立の非和解性はむき出しになる。
 連合・全労連など体制内労働運動指導部は、資本・当局の手先となり、現場組合員に屈服を強要する。資本主義の「最後の防波堤」として反革命的正体をあらわにする。
 日本共産党スターリン主義は道州制について、「地方自治破壊」「住民サービス切り捨て」とは言うが、公務員労働者360万人いったん全員解雇、労働組合破壊の攻撃であるとは絶対に言わない。公立病院民営化攻撃に対しても「地域医療を守れ」の一辺倒で、現場の闘いに敵対する。「全体の奉仕者」論、「教師聖職」論を満展開して現場組合員を奴隷の鎖に縛りつけ、敵の団結破壊の攻撃にさおさしている。
 今こそ「動労千葉のように闘おう!」と呼びかける階級的労働運動派が職場の主流派として鮮烈に登場するときだ。道州制攻撃を、真の階級的団結を打ち固め体制内派を打倒して日本労働運動を根底から塗り替えていくチャンスに転化しよう。
 自治労本部の裏切りを職場で鋭く暴露しよう。3・6大阪府庁前行動の意義を全国・全職場で訴え、徹底的に議論し、仲間を組織し、3・6大阪府庁前に総結集しよう!
●地方公営企業法の「一部適用」「全部適用」 
地方公共団体が経営する企業のうち病院、水道、地下鉄・バスなどの事業が地方公営企業法の対象となる。「一部適用」の場合、この法律のうち財務に関する規定のみを適用する。これまで自治体病院は、ほとんどが直営か「一部適用」。「全部適用」の場合、知事や市長などの自治体病院開設者に代わって、病院事業管理者が人事権、財政権などほぼすべての権限を持つ。