2009年3月 9日

“第2の郵政民営化”攻撃粉砕 JP労組中央を倒せ

週刊『前進』06頁(2382号4面3)(2009/03/09)

“第2の郵政民営化”攻撃粉砕
 JPエクスプレスへの強制出向を阻もう
 現場の怒りでJP労組中央を倒せ

 昨年の東京中郵廃局阻止闘争を始めとする全逓労働者の闘いによって、郵政民営化の破綻と矛盾が噴出している。「カンポの宿」売却や東京中郵跡地開発をめぐる鳩山総務相と日本郵政社長・西川との”激突”は、民営郵政の破綻が支配階級の分裂と危機を広げていることの表れだ。
 世界大恐慌の進展の中で、郵政資本は生き残りをかけて「第2の郵政民営化」の道を突き進んでいる。その基軸が、日通のペリカン便を統合した新会社JPエクスプレス(JPEX)の子会社化—強制出向である。
 その推進役が連合・JP労組中央だ。ここが敵の最大の弱点である。彼らは「JPEXの成長・発展に向けて積極的に対応していく」とまで公言し、組合員に出向を強要しようとしている。
 これを許せば職場の団結は破壊され、待っているのは労働地獄への道だ。郵政本体では非正規雇用化の全面化も準備されている。郵政民営化との闘いはここが本番だ。

 第1章 JPEX出向は労働地獄への道

 すでに職場では激突が始まっている。郵政資本と連合JP労組中央、中央派の支部執行部と闘いぬき、職場から「強制出向反対」の闘いを巻き起こし、JPEXの子会社化攻撃を粉砕しよう。
 第2の郵政民営化攻撃とは、郵政労働者の9割を非正規化し、徹底的に分断し、強労働と低賃金を強制する攻撃だ。また道州制攻撃と一体の攻撃でもある。「かんぽの宿」や「JPタワー」問題が示すように、郵政や自治体の公共資産をブルジョアジーどもが競って略奪し、生き残りを図ることだ。
 当面する攻撃の最大の軸がJPEXの子会社化だ。2月に開催されたJP労組の第3回中央委員会の追加議案「宅配便事業統合への対応」などでその全容が明らかとなった。
 出向の規模は、今年の計画だけで管理職540人のほか、正社員2350人、契約社員8760人であり、全国くまなく進行する。しかもそれは「本人同意」なき強制出向だ。郵政資本は「本人同意」を頑強に拒否し、JP労組中央はそれに承認を与えた。しかも契約社員にとっては「契約替え」となる。拒否したら雇い止め・解雇だ。
 賃金はどうか。「頑張った社員や責任を果たした社員が報われ、競合他社との競争力を確保できる給与・手当制度となる必要」として、「成果報酬型」賃金の導入を宣言している。労働者同士を競わせ、団結を破壊して、低賃金を強制していくのだ。
 さらに郵便事業会社では認められている「病気休暇」「冬期・年始休暇」「定期昇給制度」が「なし」となる。これらはほんの一例だ。
 労働時間は「年間所定内労働時間」が郵便事業会社では2208時間であるが、JPEXでは上限2680時間。それが果てしなく延長されることは明らかだ。さらに「ヤマト運輸はSD(セールスドライバー)方式による小集団活動組織を導入しており、SDが5〜8名でグループを作り、グループ間の競争と組織管理を行っている」と、職場に分断と競争と相互監視を持ち込もうとしている。民間資本のヤマト運輸や佐川急便などで指摘されるように、過酷な労働環境のもとで、長期に働き続けることがほとんど不可能となることは明らかだ。
 では郵便事業会社に残った労働者は大丈夫なのか。まったくそうではない。JPEXの労務政策が本体にも導入される。そもそも郵政は、通常郵便が下降していく趨勢(すうせい)の中で、”物流にシフトすることで稼ぎ、黒字化する”と言ってきた。そのゆうパックを子会社化すれば、郵便事業会社には通常郵便だけが残ることになる。その先にあるのは、JPEXとまったく同じく、果てしない首切り合理化と賃下げ、労働強化、非正規化の推進ということだ。

 第2章 道州制・民営化で自治体業務奪う

 第2の郵政民営化攻撃とは、道州制攻撃と一体となった攻撃でもある。それをあけすけに語っているのが、JP労組の付属機関であるJP総研の報告書「郵便局の地域連携ビジネス」での「政策提言」だ。
 そこでは、1番目に「地域にとって有益、かつ郵便局が受託可能な行政サービスをパッケージとして受託する」、2番目に「郵便局舎内への自治体施設の移設と自治体施設内への郵便局の移設」と、「施設の共同化」を主張している。
 自治体民営化で自治体労働者から職を奪い、その後にJP資本が乗り込んでいって自治体業務をすべて資本の食い物にしようという狙いを、あけすけに語ったものだ。

 第3章 職場から反撃し民営郵政打倒を

 第2の郵政民営化攻撃は、JP労組中央の資本への全面協力なしにはありえない。
 JP労組第3回中央委員会は、歴史的な大罪を刻印するものとなった。特徴的なことは「議案」「追加議案」「付属資料」のすべてが、「資本の生き残り」「競争に勝つ」「そのために労働者を低賃金でこき使う」という言葉であふれ、読んでいて「郵政資本の文書ではないか」と錯覚するほどの代物なのだ。
 郵政民営化は今や完全に破綻した。要員不足で業務が回らず、ビルひとつ丸ごと郵便物が配達されない事態まで起こっている。労働者には連日3〜4時間の超勤が強制され、交通事故や郵便事故が頻発している。これらの責任はすべて郵政資本と、民営郵政と闘わないだけでなく合理化攻撃を率先推進してきた連合・JP労組中央にある。その上に、JPEXの子会社化—強制出向攻撃が襲いかかっているのだ。
 今や職場では、「現場の俺たちと職場討議もしないで、勝手に決めるな!」「執行部は退陣しろ!」という怒りが噴き出している。
 JPEXの子会社化—強制出向攻撃との闘いは、郵政労働者の怒りを根底から解き放ち、第2の郵政民営化攻撃を粉砕していく闘いだ。最悪の体制内派・連合JP労組中央派との党派闘争を攻勢的に闘いぬくことこそ勝利を切り開く道だ。
 闘う全逓労働者は「動労千葉のように、あらゆる契機をとらえて職場闘争を復権し、その闘いで団結をつくろう。自らの体制内思想や思考をぶち破り、青年労働者を先頭に正規・非正規の団結をつくり出し、JPEXの子会社化—強制出向攻撃を粉砕しよう。『生きさせろ!』ゼネストを闘おう。3・20イラク反戦闘争に決起しよう」と訴えている。
 これこそが第2の郵政民営化を総破産に追い込む道だ。断固、この道を進もう。